・英女王の国葬に教皇の代理として外務局長が参列

 

The funeral of Queen Elizabeth II in Westminster Abbey(2022.9.19 Vatican News   Susy Hodges)

 

2022年9月20日

・バチカン支援援助省長官がウクライナ”最前線”で援助活動中に銃撃受ける

ウクライナで伝道中のクラエフスキ枢機卿Cardinal Krajewski on mission in Ukraine 

*援助物資を下ろしている最中に”標的”にされた

 ザポリージャは中央ウクライナのドニプロ川沿いの主要都市で、2月にロシアが軍事侵攻を始めた際、真っ先に攻撃、占領され、現在も原子力発電所がロシア軍の脅威にさらされている地域だ。

 枢機卿はこの日、現地の司教やプロテスタントの高位聖職者、ウクライナ軍の兵士たちとともに、被災者たちへの支援活動を実施。ミニバスに食料を積んで、行き場を失った人々が多く残っているが、「兵隊以外は立ち入らない」といわれる、ロシア軍との戦いの”最前線”支援物資を届けに行った。

 そして、食料を車から降ろし終えようとした時、側近たちと共に銃撃に遭った。すぐに身を守る措置を取ったため、皆にケガはなく、命に別条がなかったが、Vatican Newsの電話取材に対して「このような経験は、私の人生で初めてだった。命を守るには、ただ走ればいいわけではない。だが、どこに走ればいいのか分からなかった」と振り返った。

 

*それでも、教皇の心と援助物資を届け続ける

 枢機卿はその後も、援助物資の配給を続け、教皇フランシスコから祝福されたロザリオすべてを人々に配り、首にかけられるようにした。9月17日は、彼にとって特別の日だった。教皇臨席のもとに聖ペトロ大聖堂で司教に叙階されて9年目の記念日だったが、「容赦のない」日、「涙も言葉もない」日になった。そして、この事件後、「私たちは、ただ、この祈りを繰り返すことしかできないー『イエス様、私はあなたを信頼しています』と」と語っている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年9月18日

・教皇、エリザベス英女王逝去に弔電「奉仕の生涯、献身の模範、信仰の不動の証し」に敬意

エリザベス女王とフィリップ殿下のバチカン訪問 2014年4月3日エリザベス女王とフィリップ殿下のバチカン訪問 2014年4月3日 

(2022.9.8 バチカン放送)

 教皇フランシスコは8日、英国のエリザベス英女王がなくなったこを深く悲しまれ、新国王となったチャールズ三世にあてた弔電で、新国王はじめ英国王室の人々、そして英国と英連邦諸国の国民の心からのお悔やみを伝えられた。

 教皇は弔電で、エリザベス女王の死を悲しむ人々と心を合わせ、故人の冥福を祈るとともに、「女王の自国と英連邦諸国のための疲れを知らぬ奉仕の生涯と、義務に対する献身の模範、キリスト教信仰の不動の証し、神の約束における確かな希望」に敬意を表された。

 そして、「女王の高貴な魂を、天の御父の慈しみ深い優しさ」に託された教皇は、女王の後を継ぎ、気高い責任を担う新国王を「神が揺るぎない恵みをもって支えてくださるように」と祈られ、エリザベス女王の思い出を抱く新国王はじめすべての人々に「神の慰めと力があるように」と、神の豊かな祝福を祈り求められた。

(編集「カトリック・あい」)

2022年9月9日

・「中国との暫定合意、再延長に向けて交渉中」「教会は武力による自衛権を認めている」とバチカン国務長官

ピエトロ・パロリン枢機卿がイタリアのニュースチャンネルTg2に登場Cardinal Secretary of State Pietro Parolin appears on Italian news channel Tg2 

*対中関係には多くの困難、道のりは長い

 長官は、まず、間もなく再延長の期限を迎える中国との暫定合意について、「誰かと交渉するときは、常に相手の善意を認めることから始めなければなりません。そうでないと、交渉は意味をなさない」と前置きしたうえ、「中国のすべての司教が教皇と交わりをもち、完全に『中国人』で、完全に『カトリック』であることを保証することを目的とした暫定合意が、更新されると確信している」と述べた。

 その一方で長官は、バチカンの交渉団が北京に戻ったが、「多くの困難があり、長い道のりがある」ことを認め、「”悪天候”の中で撒かれた”種”が芽吹くのを目にするための旅を続けるには、忍耐が必要です」と必ずしも楽観していない考えを付け加えた。

*キリル総主教と教皇の会見実現の努力続ける

 ロシアのウクライナ侵攻が長期化し、子供を含む犠牲者が増え続けている。教皇フランシスコは侵攻を中止させるため、かねてから、プーチン大統領に強い影響力をもつロシア正教のキリル総主教との会談実現を望まれ、9月13日からカザフスタンで開かれる世界宗教者会議の場で総主教と会うことを強く希望されていたが、総主教は先々週になって、同会議を欠席を表明した。

 これについて、長官は「(総主教が教皇の会見呼びかけに応えることを)私は信じています」としつつ、それを効果的なものに津するために、「十分に準備する必要がある」と述べた。そして、バチカンとロシア正教モスクワ総主教庁との対話は、「政府当局と強く結びついているロシア正教会の伝統にもかかわらず、継続している。(その伝統は)対話を無効にするものではありません」と、改憲実現の努力を続けることを確認した。

 

*教皇のウクライナ訪問は

 その文脈の中で教皇のウクライナ訪問も以前から言われているが、長官は、教皇のウクライナ訪問の希望は変わっていない、とし、「教皇がかねてから言われているように、状況が適切で、訪問が、教皇の”現場写真”の機会になるのではなく、和平実現に貢献できるタイミングで、訪問することを決意されているのです」と述べた。そしてこの和平は、永続的な平和を求めることを目的とし、侵略する側、侵略を受けている側の両方に向けられたものであり、「公正」かつ「完全」な平和、「すべての人を満足させ、将来の紛争を避けるためにあらゆる側面を考慮に入れた平和」でなければならない、と指摘した。

 

*攻撃を受けた者に自衛する権利がある

 長官はまた、世界の主要国の間で軍拡競争が起きていることを非難するとともに、「攻撃を受けた者に自衛する権利がある」ことを再確認。「『カトリック教会のカテキズム』は武力による自衛の権利を認めており、侵略者を止めることは義務でもある」とするとともに、「自衛権の行使は、条件を満たす必要があり、その場合、現代の兵器の破壊力を考慮に入れなければなりません」と強調した。

 さらに、軍拡競争が起きていることに教皇が重大な懸念を抱いておられる理由を説明し、世界各国の軍事費は2021年だけでも総額約2ドルに達していることを挙げ、軍拡競争は愚かな行為であり、「すべての人がすべての人に対してリスクとエスカレートし、他のことに役立てるべき世界の資源が、そのために奪われているからです」と述べた。

 

*社会の世俗化の中でも、カトリック教徒が”撤退”すべきでない

 9月25日に予定される総選挙で最高潮に達するイタリアの政治危機に関連して、長官は、「宗教を私的な領域に追いやる社会の傾向」を指摘。「時にはカトリック教徒も、そのような領域に追いやられる可能性がある」と警告するとともに、「現在の世俗化の傾向の中にあっても、カトリック教徒の”市民生活からの撤退”は認められません。キリスト教の社会的、歴史的側面からみても、これを受け入れることができません」と言明。

 「政治におけるカトリック教徒の存在は重要であり、その貢献は重要です。教皇の教えに触発されて、特定の側面に焦点を当てることなく、例えば人生の問題に完全なビジョンを持ち、当事者としてこれを表現することを期待したい」とした。

*ヨハネ・パウロ1世は真の改革者

 最後に、4日に列福されるヨハネ・パウロ1世教皇について、「最も貧しい人々に近く、信仰と福音の本質に焦点を当てた司牧者」と評した長官は、「ヨハネ・パウロ1世は率直、謙虚で、保守的であるどころか、第二バチカン公会議の改革の真の、一貫した推進者でした」とし、今でも根強い「毒殺説」を、「真実ではありません」と否定。「彼の死は、自然死でした。それは議論の余地がありません」と述べた。

 そして、「社会教説を基礎に置いた移住・移民問題、感染症の大感染、戦争などの問題に関する教会の対応に、ヨハネ・パウロ1世教皇は、依然として影響を与えている」と指摘。「私たちは、この困難な世界に平和をもたらすのに役立つあらゆることを支援します」という教皇の言葉を引用した。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年9月4日

・「教皇は”ロシアが始めた”戦争への非難を明言する」とバチカンが声明

(2022.8.31 カトリック・あい)

  ロシアのウクライナ軍事侵略に関する教皇フランシスコの深慮を欠いた発言がウクライナとの間で外交的な亀裂を起こしていたが、バチカンが30日、「ロシア連邦によって始められたウクライナにおける大規模な戦争をはっきりと非難する」とする声明を、30日付けのバチカンのホームページを通じて発表した。

 声明はまず、「‎ウクライナでの戦争について、教皇フランシスコと彼の協力者による多くの介入がなされている。その大半は、平和ととりもどるための連帯と努力を、司牧者たちと信徒たち、そして善意のすべての人々に促すことを目的としている」‎と説明。

 そして、「最近、このような介入に付随する政治的な意味について、何度も公に議論がなされている」が、「改めて強調したいのは、‎この心を揺さぶる問題に関する教皇の発言は、政治的立場からではなく、人の命とそれに関連する価値を守ろうとする声だと解釈される必要がある、ということだ」とし、教皇がロシアやプーチン大統領を名指しで非難するのを避けているのは、ロシア政治的配慮からだ、と批判する関係者などに理解を求めた。

 そのうえで、声明は「ロシア連邦によって始められたウクライナでの大規模戦争について、教皇フランシスコのさまざまな介入が、道徳的に不正で、容認できず、野蛮で、分別を欠き、忌まわしく、神を冒涜するものとしての強い非難のもとになされているのは、明確で疑いないことだ」と言明した。

 ただし、この声明を作成したバチカンの部署、責任者の名前は明らかにされておらず、教皇の意向をそのまま明らかにしたものかも明確でない。ウクライナ当局者や関係者の教皇に対する疑念がこの声明で払拭できるか不明だ。

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 現在も多くの犠牲者を出し続けているロシアによるウクライナ軍事侵略について、教皇はこれまで、「不当な侵略」あるいは「侵略」という言葉を使ったことがあたったが、和平への対話の扉を開いておきたい、との配慮からか、具体的に「ロシア」あるいは「プーチン大統領」を名指しで非難することは避けていた。

 そして、”プーチン大統領の頭脳”と言われ、ウクライナ侵攻を「ウクライナを”非ナチ化”するため」と正当化する論陣を張っていたロシアの哲学者の娘が8月20日に爆破テロで殺害されたことに対しても、24日の一般謁見で「戦争は狂気。戦争に加わっている誰もが『自分は狂っていない』とは言えない… モスクワで車の座席の下にあった爆弾で殺された可哀想な女性を思い起します。無実の者が戦争代償になったのです!」と、ウクライナ、ロシア両国をまとめて非難するような発言をした。

 これに怒ったウクライナ政府は、駐ウクライナ・バチカン大使を呼んで公式に抗議する一方、ウクライナの独立記念日でロシアによる侵略開始から 6 か月目にあたる 8 月 24 日に一般謁見に参加した駐バチカン・ウクライナ大使が、教皇の発言にTwitter で懸念を表明ー「今日の教皇の言葉には落胆し、多くのことを考えさせられた。『加害者と被害者』、『レイプ犯とレイプ被害者』を一緒にして語ることはできない。ロシア帝国主義の論理的支柱の娘を『無実の犠牲者』と呼べるだろうか?彼女は”生贄”としてロシア人に殺害され、侵略の”盾”にされているのだ」と訴えた。

 ロシアの専門家は、殺害された29歳のこの女性は、父親と同じ、ウクライナ侵略戦争の支持者であり、ウクライナに対してさらに強力な武力を使うよう主張していた。また、この爆殺にウクライナは関与しておらず、ロシアの治安当局が背後にいる、との見方もある。

2022年8月31日

・枢機卿会議ーバチカン改革の使徒憲章「Praedicate Evangelium‎‎(福音を宣べ伝える)」の理解深める

教皇と枢機卿団、教皇庁改革めぐる考察の集い 2022年8月29日 バチカン・シノドスホール教皇と枢機卿団、教皇庁改革めぐる考察の集い(2022年8月29日 バチカン・シノドスホール=Vatican Media)

‎(2022.8.29 Vatican News  Salvatore Cernuzio)‎

 教皇フランシスコと枢機卿団による非公開の枢機卿会議が29,30の両日、バチカンの新装なったシノドス・ホールで開かれ、教皇が先に出されたバチカン改革の仕上げとなる使徒憲章「Praedicate Evangelium‎‎(福音を宣べ伝える)」について理解を深めるとともに、新枢機卿も含め参加者たちが互いを知り合う機会を持った。

 今回の会議には、新たに任命された者も含め226人の全枢機卿のうち約200人が参加。近年では例のない多くの枢機卿が集う会議となった。29日は午前と午後に3回の使用言語別の作業部会で意見の交換がなされ、30日には全体会議などで意見の交換を続けた後、夕刻に聖ペトロ大聖堂で教皇司式によるミサで締めくくられる。

‎ バチカン改革の使徒憲章は、聖霊降臨の主日、6月5日に発表され、9月1日から実施されるもので、教皇フランシスコが教皇就任直後に設けた枢機卿顧問会議で検討、策定され、これまでに実施済みのものも含めて、バチカンの部署、機関の思い切った再編統合と名称の統一、権限や説明責任の明確化に至るまで、改革全般を網羅する内容となっている。そして、使徒憲章のタイトル、「Praedicate Evangelium‎‎(福音を宣べ伝える)」が示すように、バチカンの組織・構造を福音宣教を着実に進め、そのために世界の現場の教会の宣教活動に奉仕する形にすることを狙いとしている。

‎ 会議に参加している新枢機卿の一人、ブラジルのアマゾンを管轄するマナウス教区のレオナルド・シュタイナー大司教は、Vatican News の取材に対して「今回の使徒憲章で、さまざまな教会と教皇庁が互いの声に耳を傾け、対話する場ができるようになった」と評価し、「今回、ローマに来たのは、自分たちがしたことを報告するためではなく、”学ぶ”ためですが、教皇庁もこれまでとは別のやり方で”学ぶ”ことを認識している。誰が教皇に仕え、司教に仕えるのかをよく理解している。互いに耳を傾け、文化的な多様性を受け入れ、感謝の気持ちを忘れない、もっと兄弟的な教会になる、という希望に向かってです」と語った。

*枢機卿たちが互いをよく知る機会も提供

 ‎この2日間の会議は、枢機卿団のメンバーが互いの知識と理解を深める機会も提供している。‎参加者の中には、世界のバチカンから遠く離れた地域から来た枢機卿もいる。普遍教会の理想を実現するために、教皇フランシスコは、新枢機卿任命にあたってそうした地域にも気を配られ、トンガからブルネイ、モンゴルからハイチ、バングラデシュからラオス、レソトに至るまで、これまで一度も枢機卿を持たなかった国からも、枢機卿を任命している。‎

‎ 結果、枢機卿団は、文化的背景、司牧をするうえでの感受性、地理的な場所など、極めて多様な背景を持つメンバーで構成されている。そのため、定期的にバチカンでの会議に出たりすることが難しくなっているが、‎コロンビア・‎カルタヘナ名誉大司教のホルヘ・エンリケ・ヒメネス・カルバハル新枢機卿は、それであるからこそ、今回の会議の機会に教皇と顔を合わせ、枢機卿の皆と対話し、互いを知り合うことが大切。枢機卿会議と教皇との会合は、私たちが互いをよく知り、意識し、将来に備えるのに役立ちます」と語っている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年8月30日

・教皇がイタリア中部・ラクィラ訪問、震災犠牲者悼み、復興の努力称える

教皇フランシスコ、イタリア中部ラクィラの修復中のカテドラルで 2022年8月28日教皇フランシスコ、イタリア中部ラクィラの修復中のカテドラルで 2022年8月28日  (Vatican Media)

 教皇フランシスコが28日、イタリア中部ラクィラを訪問、2009年の地震の被災者らとお会いになった。

 ご訪問の目的は、2009年のラクィラ地震の犠牲者の遺族や被災者を励ますとともに、コレマッジョ聖堂で毎年8月28日から29日まで祝われる行事「チェレスティーノの赦し」の開幕を告げ、同聖堂の「聖なる門」を開くこと。

 同日早朝、ラクィラに到着された教皇は、市内中心部ドゥオーモ広場にあるカテドラルに向かわれた。

 13世紀を起源とするこのカテドラルは、1703年の大地震で深刻な被害を受け、19世紀から20世記にかけて修復された。しかし、2009年4月6日のラクィラ地震で再び大きなダメージを受け、使用不可と判定された。現在、修復作業が行われている。

 カテドラル前で行われた市民との集いで、教皇は地震の犠牲者の遺族をはじめ、この悲劇に大きな尊厳をもって立ち向かった全市民に寄り添いを表明。

 苦しみと茫然自失の中にも、十字架上で死に復活したキリストを見つめ続けた被災者たちの信仰の証しに感謝され、「イエスは御父のみ腕に皆さんを託され、御父は皆さんのただ一滴の涙をも無駄にすることなく、すべてをいつくしみ深いその御心に受け止められます… 言葉だけで苦しみを慰めることはできなくても、寄り添いや友情、愛情をもって、互いに兄弟姉妹として助け合い、共に歩むことで前進することができるでしょう」と語られた。

 この席で教皇はアブルッツォ州内の刑務所関係者の使節にも挨拶され、「より人間的な社会の構築における希望のしるし」として彼らの仕事を励ました。

 教皇は、最後にすべての市民に心からの祝福をおくられた。集いの終了後、教皇はヘルメットをつけ、関係者の案内を受けながら、修復中のカテドラルの内部をご覧になった。

(編集「カトリック・あい」)

2022年8月29日

・スカラブリーニ司教とザッティ修道者の列聖式は10月9日に

(2022.8.27 バチカン放送)

 教皇フランシスコは27日の公開枢機卿会議で、福者スカラブリーニ司教、福者ザッティ修道者の列聖式を10月9日に行うと発表された。

 福者ジョヴァンニ・バッティスタ・スカラブリーニ司教(イタリア1839-1905)は、聖カルロ・ボロメオ宣教会および同宣教女会を創立。当時、増加していた海外に移民する貧しい人々に深い憐れみと司牧的関心を寄せ、特に渡米したイタリア人移民たちの保護に尽くした。自ら米国やブラジルにおける移民たちを訪問した。

 福者アルテミデ・ザッティ修道者(イタリア1880-アルゼンチン1951)は、1897年、イタリアから家族と共にアルゼンチンに移住。1900年、サレジオ会に入会。肺結核を患う司祭を看護する中、22歳で自らも感染し、扶助者聖母に、回復したら病者の世話に人生を捧げたいと祈った。その時の誓いのとおり、修道士、看護師として病者や貧者の奉仕に一生を捧げ、その活動を通し、パタゴニアでの宣教に貢献した。

 新枢機卿の叙任式が行われたこの日の公開枢機卿会議で、列聖省長官のマルチェッロ・セメラーロ枢機卿が、2人の福者の列聖日の選択を教皇に願う式文を読み上げ、続いて福者の人となりを紹介。これを受けて教皇フランシスコが列聖式を10月9日の日曜日とすることを発表された。

(編集「カトリック・あい」)

2022年8月28日

・公開枢機卿会議始まるー教皇が新枢機卿20人を叙任

バチカン・聖ペトロ大聖堂で行われた公開枢機卿会議 2022年8月27日

(2022.8.27 バチカン放送)

 教皇フランシスコは8月27日、バチカンの聖ペトロ大聖堂で公開枢機卿会議を開かれ、この中で新しい枢機卿の叙任式を行われた。

 教皇は5月に新枢機卿として21名を発表されているが、ベルギーのルーカス・ファン・ローイ名誉大司教は指名を辞退したため、この日叙任されたのは枢機卿は20名。また、このうちガーナのワー教区長のリチャード・クーイア・バーウォブル司教(アフリカ宣教会)は急な健康上の理由で式に欠席した。

 叙任の儀式で、教皇は新枢機卿ら一人ひとりに、緋色の帽子「ベレッタ」と指輪、任命書を託し、励ましの言葉と抱擁を与えられた。

 こうして枢機卿団に迎えられた新枢機卿らは、この公開枢機卿会議のためにローマに集った世界各国の枢機卿らと平和の抱擁を交わした。この会議のために、日本からは大阪大司教の前田万葉・枢機卿が出席している。

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 この日叙任された枢機卿20名のうち、教皇選挙の投票権を持つ80歳未満の枢機卿は16名、投票権を持たない80歳以上の枢機卿は4名。

 うち80歳未満の有権枢機卿16名の出身地は、欧州4名(イタリア2名、スペイン、英国各1名)、アジア5名(インド2名、韓国、東ティモール、シンガポール各1名)、アフリカ3名 (アルジェリア、ナイジェリア、ガーナ)、アメリカ4名(ブラジル2名、米国、パラグアイ各1名)。80歳以上の新枢機卿4名の出身地は、コロンビア1名、イタリア3名。

 新枢機卿を合わせた枢機卿の総数226人、うち教皇選挙権を持つ80歳未満の枢機卿は132人、80歳以上で投票権を持たない枢機卿は94人。また地域別では、欧州104名(*80歳未満 53名)、北米26名(*16名)、中米メリカ9名(*7名)、南米24名(*15名)、アジア31名(*21名)、アフリカ27名(*17名)、オセアニア5名(*3名)となった。

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 2022年8月27日の公開枢機卿会議で、教皇フランシスコによって新たに叙任された枢機卿は次の通り(発表順、役職または司牧担当教区:出身国)。

80歳未満の新枢機卿

1.アーサー・ローチ大司教(教皇庁典礼秘跡省長官:英国)

2.ラザロ兪興植(ユ・フンシク)大司教(教皇庁聖職者省長官:韓国)

3.フェルナンド・ベルヘス・アルサガ大司教(教皇庁バチカン市国委員会議長およびバチカン市国行政長官:スペイン)

4.ジャン-マルク・アベリーヌ大司教(フランス・マルセイユ大司教区:アルジェリア)

5.ピーター・エベレ・オクパレケ大司教(ナイジェリア・エクウロビア大司教区:ナイジェリア)

6.レオナルド・ウーリッヒ・シュタイナー大司教(ブラジル・マナウス大司教区・フランシスコ会:ブラジル)

7.フィリぺ・ネリ・アントニオ・セバスティアン・ド・ロザリオ・フェラオ大司教(インド・ゴア-ダマン大司教区:インド)

8.ロバート・ウォルター・マッケロイ司教(米・サンディエゴ教区:米国)

9.ヴィルジリオ・ド・カルモ・ダ・シルバ大司教(東ティモール・ディリ大司教区:東ティモール)

10.オスカル・カントーニ司教(イタリア・コモ教区:イタリア)

11.アンソニー・プーラ大司教(インド・ハイデラバード大司教区:インド)

12.パウロ・セザル・コスタ大司教(ブラジル・ブラジリア大司教区:ブラジル)

13.リチャード・クーイア・バーウォブル司教(ガーナ・ワー教区・アフリカ宣教会:ガーナ)

14.ウィリアム・ゴー・セン・シー大司教(シンガポール大司教区:シンガポール)

15.アダルベルト・マルティネス・フロレス大司教(パラグアイ・アスンシオン大司教区:パラグアイ)

16.ジョルジョ・マレンゴ司教(モンゴル・ウランバートル使徒座知牧区・慰めの聖母宣教会:イタリア)

80歳以上の新枢機卿

1.ホルヘ・エンリケ・ヒメネス・カルバハル名誉大司教(コロンビア・カルタヘナ大司教区:コロンビア)

2.アリーゴ・ミリオ名誉大司教(イタリア・カリアリ大司教区:イタリア)

3.ジャンフランコ・ギルランダ神父(教会法教授・イエズス会:イタリア)

4.フォルトゥナート・フレッツァ神父(聖ペトロ大聖堂付司祭:イタリア)

 

(編集「カトリック・あい」)

2022年8月28日

・ロシア正教のキリル大主教が世界宗教者会議欠席、教皇との会談も取りやめに

(Credit: Gregorio Borgia/Pool via AP.)

(2022.8.26 カトリック・あい)

Russian patriarch scrubs meeting where he was to meet pope

 教皇が総主教と最初に会談したのは2016年。2回目をさる6月に予定していたが、ロシアのウクライナ軍事侵攻が激しさを加える中で延期された。そうした中で、総主教は、プーチン大統領の”精神的支柱”として振る舞い、軍事侵攻を正当化、戦地に向かうロシア兵を祝福するなど、和解とは程遠い姿勢を続けている。

 にもかかわらず教皇が総主教との会談を望んだのは、一対一で顔を合わせ、言葉を交わせば、侵攻停止、和平実現に力を合わす道が開ける、という望みを捨てなかったからだ。

 このため、教皇は、「ロシアの軍事侵攻」という言葉を避け、プーチン大統領やキリル総主教を名指しで批判することを控え、対話の扉を開けておくことに心を用いてきた。

 しかし、プーチン大統領もキリル総主教も、ウクライナや欧米諸国に対する強硬姿勢を弱めるどころか、ますます激しさをまし、その一方で、このような教皇の”配慮”がウクライナ政府やウクライナ正教会をいらだたせ、両国の歩みよりどころか、敵対意識を高める結果になっている。

 そのような状況にもかかわらず、身体的な障害を抱える教皇が、会議への出席だけで肉体的な負担が少ないとは言え、カザフスタン行きを決めたのは、総主教との会談を何とか実現し、和解の道に展望を開きたい、という強い思いを持ち続けていたためだ。

 そうした中で、キリル総主教の会議不参加、教皇との会談を事実上、拒否したことで、両国の間に立って和平に近づけたい、とする教皇の思惑は大きく後退を余儀なくされた、といえるだろう。教皇の今後、ウクライナ問題にどのように対応されるか注目される。

 

2022年8月26日

・教皇、ゼレンスキー大統領と3度目の電話会談、大統領が教皇の祈りに感謝

教皇フランシスコ、ウクライナ難民の若者を抱擁Pope Francis embraces a young Ukrainian refugee 

 ‎教皇フランシスコが12日、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話で会談し、大統領はウクライナが継続的な侵略に耐えている中で教皇が祈り続けておられることに感謝を述べた。‎

 電話会談は、教皇がしばしば表明されている「ウクライナのすべての国民との連帯」の一環として行われた。‎

 大統領が‎自身のツイートで明らかにしたところによると、会談で両者は2月24日にロシアが侵攻を開始して以来、ウクライナ国民が苦悩と恐怖に置かれ続けている現状についての認識を新たにし、大統領側から、教皇の祈りに感謝の意が表明された。‎

‎ ツイートで大統領は、「ウクライナの国民は、侵略者が犯した恐るべき行為についての真実を世界に伝える力を持つ世界的な精神的指導者の助けを必要としている」と述べ、ロシアによるウクライナ侵略停止の実現に、改めて教皇の助けを求めた。‎

 大統領にツイートに続いて、ユラシュ・駐バチカン・ウクライナ大使もツイートで電話会談が行われたことを伝えるとともに、「ウクライナの国家と社会は、喜んで教皇をお迎えしたい」と教皇のキエフ訪問への希望を表明した。‎教皇がゼレンスキー大統領と電話会談されたのは、今回が3度目。ロシアが侵攻を開始した2日後の2月26日に初めて電話会談をされ、教皇は、ウクライナで起きている悲劇的な出来事に「深い悲しみ」を表明され、大統領は、ウクライナにおける戦いの終結を平和のために祈ってくれた教皇に感謝し、「ウクライナ国民は、あなたによる精神的な支えを感じています」と語っていた。

 ロシアによるウクライナ軍事侵攻が始まって以来、教皇は繰り返し、苦しみの中にあるウクライナ国民に心を寄せられ、今週10日の一般謁見では、「この残酷な戦争にいまだに苦しみ続けるウクライナ国民」に同情と嘆きを表明された。また世界の政治指導者を始め、すべての人々に、「ウクライナで続いている残酷な現実から目を背けず、故郷を追われ、避難してくる人たちを心から迎えることに”飽きる”ことのないように」と訴え続けておられる。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年8月13日

・バチカン財務責任者が2021年度連結財務諸省発表「赤字は減ったが、さらなる資産売却など”犠牲”は必要」

イエズス会士フアン・アントニオ・ゲレロバチカン財務事務局のホアン・ゲレーロ長官

(2022.8.5  Vatican News)

 バチカンの経済、財政を担当する財務事務局‎のホアン・ゲレーロ長官が5日、記者会見し、バチカンの2021年度連結財務諸表を発表。赤字額が、当初見込みの赤字額3300万ユーロ(約45億円)から300万ユーロ(約4億円)にとどまったことと明らかにするとともに、「財政健全化は進んだが、経費を賄うために、さらにいくつかの保有資産を売却する必要があり、”犠牲”を払う時はまだ終わっていない」と説明した。‎

 さらに「これからも極めて不確実が時期が待ち受けており、バチカンはなお、経済、財政面で様々な構造的な問題に対処していかねばならない」と教区。

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 記者会見での一問一答は以下の通り。

‎問: 今回発表された連結財務諸表で従来との大きな違いは?‎

長官:まず、対象範囲の変更です。バチカン市国とIOR(バチカン銀行)を除く聖座全体の財務諸表を対象とするようにしました。これにより、聖座の全体的な経済状況の透明化、可視化へ一歩前進を意味します。その道のりは遠く、まだ続きます。それと、2021年7月に経済評議会が重要な変更を行い、連結財務諸表が聖座の経済的現実をよりよく反映するようになっています。‎

 教皇庁だけを対象にしたこれまでの連結財務諸表では、聖座の財政の35%しか見ることができませんでした。今回の新しい財務諸表では対象を大幅に拡大し、対象事業体の数を見ても、前年度の60事業体から92事業体に増加。総資産額も2020年度の22億ユーロ(約3030億円)から2021年度はは39億ユーロ(約5380億円)。負債総額は8億ユーロ(約1100億円)から23億ユーロ(3170億円)。純資産は14億ユーロ(約1930億円)から16億ユーロ(約2200億円)。総収入は2億4800万ユーロ(約340億円)から10億9300万ユーロ(約1500億円)、総支出は3億1500万ユーロ(約430億円)から10億9600万ユーロ(約1510億円)となり、差し引きの赤字は300万ユーロとなりました。‎

 

‎Q: 2021年度の連結財務諸表を見ての評価は?‎

長官:まず申し上げたい”‎良いニュース”は、新方式の財務諸表と旧方式の財務諸表のいずれても、予想よりも結果がよいことです。新方式で見ると、3340万ユーロの赤字が予想されていたのが、実際には300万ユーロの赤字にとどまりました。業務赤字は5600万ユーロと予測されていたのが、実際には7770万ユーロでしたが、これは、医療研究センター‎‎Casa Sollievo della Sofferenzaの‎赤字が予測では対象となっていなかったためで、実際には赤字は減っています。

 ‎旧方式の教皇庁の収支計算書を、予算と比べると、4960万ユーロの赤字の予想が2880万ユーロの黒字(予想よりも7840万ユーロ好転)になっています。‎

‎Q: 教皇庁の会計の黒字化の原因は何でしょう?‎

長官:予算と比べると、収入は2180万ユーロ増える一方で、支出は2640万ユーロ減りました。収入の増加は、金融市場や為替市場の動向の影響もあります。‎

 

‎Q:では、この財務諸表の結果をどう思われますか?‎

長官:‎私たちは黒字かどうかよりも、聖座の活動が持続できるようにすることを重視しています。11億ユーロの予算規模に対して300万ユーロの赤字はそれほど多くありません。実質的に収支が均等していると言ってもいいし、懸念を引き起こす数字のようには見えません。そうは言っても、詳細に分析すると、改善すべき点がいくつか見えてきます。市場動向の影響を受ける金融収支が悪化すれば、業務赤字は増えてしまうのが現状です。

‎Q: あなたは過去数年間、””mission budget(福音宣教の使命を果たすための予算)”について多くのことを主張してきました。教皇庁の中でこのような意識は高まっているのでしょうか?‎

‎長官:教皇庁のすべての機関は、教皇の使命遂行を助けるために、献身的にそれぞれの役割を実行し、困難な財政状況の中にあって、歳出抑制に努め、使命の果たすことを強く認識していると思います。‎教皇庁は、旧方式の連結財務諸表で前年度実績との比較を可能にする組織ですが、全体を把握するには不十分です。

 教皇の使命遂行にとって問題なのは資金不足です。‎2021年度の教皇庁(聖ペトロ事業予算を除く)の赤字は1000万ユーロで、2020年度の赤字額よりも5600万ユーロ減りました。これは朗報です。教皇庁が経費を削減し、最も支出抑制が可能な分野で犠牲を払ったことも朗報ですが、経常利益はまだ減り続けています。教皇庁は1400万ユーロ以上稼ぎ、4200万ユーロを支出しました。経常支出が1500万ユーロ減って近年の最低水準を更新したことは評価すべきですが、それだけでは不十分です。経常収益も1400万ユーロ減り、これも最低水準を更新しています。‎

 ‎経費を減らすだけでは十分な使命遂行はできない。福音宣教の使命遂行を損なわずに、経費をこれ以上減らせない時が来ます。ですから収益を増やす方策にも取り組んでいます。聖座は毎年、事業を確保するために資産を売却しています。‎

 

‎Q: 教皇庁の赤字が減っているのに、なぜ聖座の資産売却をする目るのですか?‎

‎長官:確かに教皇庁の決算に聖ペトロ事業の決算などを含めれば黒字額は2880万ユーロです。一方で、聖座は、毎年平均2000万ユーロから2500万ユーロの資産を削減しています。理由は、決算に未実現利益が含まれており、私たちが受け取る多額の寄付・献金は特定の事業に回されることにあります。他の目的に使用することはできません。つまり、特定の事業体の支出を他のすべての事業体の収益と相殺することができないのです。経済的報酬を得ない奉仕事業を実行する部署が多くあり、その事業は常に赤字ですし、そうでなければなりません。‎

 ‎私たちは”ビジネス”をしているわけではない。資産収益と内部拠出金は福音宣教の費用を賄うものではありません。だからこそ、教皇の慈善活動と使命、そして教区の貢献に資金を提供する聖ペトロ事業の助けが不可欠です。‎‎毎年の寄付、そして聖座が生み出すことができる資金だけでは、収入のない団体のすべての費用を賄うことができず、聖座は毎年2000万ユーロから2500万ユーロの資産売却に苦しまねばならないのです。‎

‎Q: 新しい連結財務諸表には、イタリアの病院2つが含まれています。カトリックの医療はどのように機能していますか?‎

‎長官:‎カトリックの医療活動自体が、イタリアで困難な時期を過ごしています。ご指摘の通り、連結財務諸表には2つの病院が含まれています。一つは Bambin Gesù病院。予算規模は教皇庁よりも大きいが、経営は順調で、経済的に健康な病院です。近年では、新型コロナウイルスの大感染による危機に、うまく対処しています。もう一つは‎‎Casa Sollievo della Sofferenza病院で、財政危機に対処し、活動継続に問題が起こらないように緊急の措置が必要です。

 この二つの事業体は、すべての資産と負債を明確に表示し、より現実的な貸借対照表を作ることができました。つまり、私たちは聖座によって契約されたすべての義務を認識することができた、ということです。‎

‎問: 連結財務諸表から浮かび上がるもう一つの問題は、バチカンの職員のための年金基金と離職後給付のの問題ですが?‎

長官:‎年金問題はほとんどの国で問題になっています。私たちの年金基金も例外ではありません。ただ、バチカンの年金は、その規模が小さいことを考えると、多くの近隣諸国よりも、資金的に豊かで安全です。雇用後給付に対する年金基金の純負債を財務諸表に初めて含めましたが、‎2019年の保険数理評価によると6億3140万ユーロ。将来の年金の支払い義務を果たすためには、まだ十分な額ではなく、私たちが実際に余裕がある以上のことを約束していることは否定できません。抜本的な措置を導入する時間的余裕はまだありますが、早急に手を付けねばならないのは事実です。‎財務諸表には離職後給付に対する基金の純負債も初めて含まれており、保険数理評価によると、純資産は1億7120万ユーロです。‎

‎Q:どのような対応を考えているのですか?‎

長官:将来のある時点では、現在の予算配分では対処できない可能性がある。つまり、この予見可能な状況が起こらないように、より多くの資金を年金基金に配分するか、支出(年金の支払い額)を抑制するかのどちらかです。

 これまで、二度にわたって年金基金への配分を増やしましが、これは暫定的な対応に過ぎず、長期的には、今の体制のままでは、予定されるバチカン職員への年金支払いのための基金が十分に確保できない、という構造的な問題を解決できない。‎

‎Q:将来のバチカン財政は?‎

長官:‎私たちは、とても不確実な時代に入っています。私たちは、危機に対処するための選択肢をあまり多くは持っていません。(一国の政府のような)財政政策も金融政策も取ることができませんし、収入の大部分について采配を振るうこともできない。構造的な問題を超えて、戦争、インフレ、物資の不足、金融の不確実性など、世界情勢は、私たちに新たな課題と機会を生み出しています。‎

‎ バチカン財政にとって”犠牲の時”が終わったとは言えません。2022年度は特に困難な年であり、2023年度も同様です。今、私たちは2023年度の予算案の策定時期を迎えています。新型コロナの感染が財政にもたらす圧力は減りましたが、あまり陽気に構えられません。‎

 

‎Q: 財務事務局‎の人的体制をどうお考えですか?

長官:私たちは今後数年間の作業計画を持っており、新しいディレクターは9月に就任する予定で、改善策を導入できることを願っていますが、職場環境の改善、職員の動機づけ、昇進制度、教会への教皇庁による奉仕との一体性などを進めるには時間がかかります。‎

‎ バチカン改革の使徒憲章、教会に仕えることの意味についての示唆と提案に満ちています。教皇庁での奉仕は単なる”仕事”ではありません。それは使命です。まだやるべきことがたくさんあります。‎

Q:バチカン財政の透明性への道の現状と今後は?‎

長官:‎近年、我々は、透明化、聖座の経済面の確保及び持続可能性について、正しい方向で多くの措置をとってきました。教皇庁の各部署、機関は、定められた手順を実行し、正しい方向へ措置を講じています。私たちは最近、聖ペトロ事業への寄付金、私たちが受け取った資金を明確にし、その使途を公開しました。我々はまた、何年も前に教皇が求めておられた金融・投資事業を集約する取り組みを始めました。投資方針を明確にし、投資委員会を設置しました。しかし、私たちの取り組みはまだゆっくりです。‎

 ‎バチカンの金融・財政を不正から守るための手順が導入されました。ロンドンに保有していた不動産の売却は、正しい手続きに従い、透明かつ円滑に進めています。異常な取引を防ぐために、取引にあたっては関係者にきちんとした手順に従うように求めることも含めた監視メカニズムを導入しました。秘密主義を解消することで、バチカンの金融財政運営を、これまでよりも透明にしました… 私たちは正しい道を歩んでいます。‎

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年8月6日

・教皇、9月13日からカザフスタン訪問、宗教指導者会議出席

(2022.8.1 バチカン放送)

 バチカンは1日、教皇フランシスコが宗教指導者会議のため、9月13日からカザフスタンを訪問される、と発表した。

 訪問は同国政府と教会関係者の招きに応えるもので、9月13日から15日まで。同国の首都ヌルスルタン(旧称アスタナ)で開かれる「第7回世界伝統宗教指導者会議」への出席が主な目的だ。

 教皇は、今年4月、カザフスタンのトカエフ大統領とのビデオ会談で、同国訪問へ前向きな意向を表明。7月29日のカナダ司牧訪問からの帰国途上の同行記者団との機中会見で、「カザフスタンには行けたらよいと思う。宗教者会議のための、動きの少ない落ち着いた旅になる」と語られていた。

(編集「カトリック・あい」)

2022年8月2日

‎教皇カナダ訪問最終日:「イヌイットの顔のイエスに出会えるように祈る」若者たちにー原住民虐待”悔悛の旅”終える‎

‎ 教皇フランシスコは29日、カナダ最北の町、イカルイトへの訪問を最後に、カナダの先住民族に対して教会が行った虐待行為への6日間にわたる”悔悛の旅”を終え、帰途に就かれた。‎

 イカルイトで教皇は、イヌイットの若者や年長者との集まりで講話をされる前に、寄宿学校の生徒だったイヌイットの人たちと個人的に会われた。‎

 ‎この後、教皇は、カナダ総督として初の先住民出身者のメアリー・サイモン氏の随行を受けて空港に向かい、イヌイットの伝統的な太鼓と踊りの送別を受けた後、ローマへの特別機に乗り込まれた。

(2022.7.29 Vatican News  Christopher Wells)

 イカルイトでの集会で、教皇はイヌイットの若者たちに、「自分たちの文化を大切にし、美しいイヌクティトゥット語を大切にして、いつも光に向かって前進を続け、”チームの一員”になるように」と励まされるとともに、「皆さんの先祖から伝えられた福音を受け入れ、イエス・キリストのイヌイットの顔に出会うことができるよう」希望された。

 イヌイットの若者と年長者との集まり、それに先立つ寄宿学校の生徒だったイヌイットの人たちとの会見は、いずれもイカルイトにある 4 つの小学校の 1 つ、ナカスク小学校で開かれた。

 教皇は同小学校の校庭で、地元の指導者たちに迎えられ、伝統的なイヌイットの歌、踊り、音楽の歓迎を受けた後、イヌイットの若者や年長者の人々に対して講話をされた。

 

*寄宿学校でのカトリック教会の恥ずべき行為を改めて謝罪

 講話の中で、教皇はまず、国の先住民に対する文化、風俗習慣などを含む民族同化政策に協力して、寄宿学校で先住民の子弟たちを虐待した”少なくない”カトリック教会関係者の悪について、深い悲しみを示されるとともに、先住民の人たちに改めて赦しを請われた。

 「(同化政策によって、子弟が強制的に寄宿学校に収容し)家族をバラバラにした、という行為は、『父と母を敬え』という戒めを守る信徒たちにとって、子供たちにとってありえない行為であり、苦痛以上のものでした」、そして、「親と子の絆を断ち切り、家族の親しい関係を傷つけ、小さな子供たちを傷つけたり、憤らせる行為は、なんと邪悪な行為でしょう」と、教会の代表者として強い反省を述べられた。

 

*癒しと和解の旅

 教皇は、今回のカナダ訪問を振り返り、先住民の人々と多くの出会いをしたことの意義を強調され、「私たちは、創造主の助けを得て、過去に起きたことに光を当て、暗い過去を乗り越えることできるように、この地で共に癒しと和解の旅を共にしています」と語られた。

*「長兄」である教皇からの三つの助言

 そして、「特に若者たちは、年長の人たちの助けを得て、この地球のために、自分たちの仲間たちのために、自分たちの歴史のために、他者をどのように世話するか、世話することをどのように他者に教えるか、学ぶように求められています」と指摘。若者たちに、「過去を受け入れ、情熱を持って歩み、年長者の助言に耳を傾けることを恐れないように」と呼びかけられ、「長兄」としての立場から、三つの助言をされた。

 一つ目は、「上に向かって歩き続けること」、「偉大なことを熱心に追い求めること」。そして「自分たちが現在の世界が抱える課題の答えだ」という自覚を持つこと。 「未来はあなたがたの手の中にある。決して希望を失わず、戦い、全力を尽くす。そうすれば後悔することはありません」と教皇は励まされた。

 二つ目は「他者に光をもたらし、世界の闇を取り除くために働くこと」によって「光に出会うように」促され、そのためには、「識別力ー光と闇を見分ける力、そして正しいものを選ぶ自由をもつことが必要です」と説かれた。

 そして三つ目の助言は、チームワークによって力を発揮できるホッケー選手の例を上げ、「チームの一員になること」の必要性を指摘された。そして、 「チームワークとは『大きな目標を達成することは、一人ではできない』ことを確信すること。共に活動し、忍耐を持って練習し、複雑なプレーに挑戦する必要があります」と述べられた。

*「イエス・キリストのイヌイットの顔」に出会うこと

 最後に、教皇は若者たちに、「このようなことすべてを、自分たちの文化の中で、美しいイヌクティトゥット語で行うように」と促され、「私の希望と祈りは、あなたがたが、イエス・キリストのイヌイットの顔に出会うことです」と強調された。

 そして、心からの祝福の後、カナダでの公式のあいさつ、講話の締めくくりに、イヌクティトゥット語でひとこと、「Qujannamiik!(ありがとう!)」と呼びかけられた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條‎俊二)

2022年7月30日

☩教皇カナダ訪問29日:「聖母マリアと先住民初の聖人に、癒しと和解の歩みへの祝福を願う」先住民の代表たちに

(2022.7.29 バチカン放送)

  教皇フランシスコのカナダ訪問は29日、実質的な最終日を迎え、最後の目的地、イカルイトに向かう前に、ケベック・シティの大司教館に集った先住民の代表たちに挨拶された。

 7月24日に西部アルバータ州のエドモントンからカナダ入りされた教皇は、27日、東部ケベック州のケベック・シティへ移動された後、29日にケベックを発ち、最後の訪問先、最北部ヌナブト準州のイカルイトに向かわれた。

 ケベックを発つ前、教皇は大司教館で、様々な地方から訪れた先住民の代表の使節に挨拶をおくられ、「私はカナダに、友人としてやって来きました。それは皆さんと出会い、耳を傾け、この国の先住民の人々の生き方を学び、敬意を示すためです。私は兄弟としてやって来ました。それは地元のカトリック教会のメンバーたちがもたらした『良い実』と『悪い実』を確認するためです。私は悔悛の心をもってやって来ました。少なからぬカトリック信者が、抑圧的で不当な政策に協力したことで、皆さんに与えた苦しみに対し、私が心に抱える悲しみを伝えるためです」と語られた。

 さらに、「私は巡礼者としてやって来ました。それは、体力的な限界はあっても、皆さんと共に、皆さんのために、さらなる一歩を進めるためです。そして、真理を追求し、癒しと和解のプロセスを推進するため、兄弟愛と調和のもとに共存を望む、先住民と先住民でない人たちの未来の世代のために、希望の種を播き続けるためです」と強調された。

 そして、「この中身の濃い巡礼を、間もなく終えるにあたって、ある意味で私自身も皆さんの家族の一員のように感じ、それを光栄に思っています」とされ、特に「様々な世代の、多くの先住民の家族と共に聖アンナの祝日を過ごしたことは、私の心に、忘れがたい思い出として残るでしょう」と振り返られた。

 あいさつの最後に教皇は、「聖母マリアと、北米の先住民で初めて列聖された聖カテリ・テカクウィサが、癒しと和解のための共通の歩みを祝福し、私たちのために神に取り次いでくださるように」と祈られた。

(編集「カトリック・あい」)

2022年7月30日