・枢機卿会議ーバチカン改革の使徒憲章「Praedicate Evangelium‎‎(福音を宣べ伝える)」の理解深める

教皇と枢機卿団、教皇庁改革めぐる考察の集い 2022年8月29日 バチカン・シノドスホール教皇と枢機卿団、教皇庁改革めぐる考察の集い(2022年8月29日 バチカン・シノドスホール=Vatican Media)

‎(2022.8.29 Vatican News  Salvatore Cernuzio)‎

 教皇フランシスコと枢機卿団による非公開の枢機卿会議が29,30の両日、バチカンの新装なったシノドス・ホールで開かれ、教皇が先に出されたバチカン改革の仕上げとなる使徒憲章「Praedicate Evangelium‎‎(福音を宣べ伝える)」について理解を深めるとともに、新枢機卿も含め参加者たちが互いを知り合う機会を持った。

 今回の会議には、新たに任命された者も含め226人の全枢機卿のうち約200人が参加。近年では例のない多くの枢機卿が集う会議となった。29日は午前と午後に3回の使用言語別の作業部会で意見の交換がなされ、30日には全体会議などで意見の交換を続けた後、夕刻に聖ペトロ大聖堂で教皇司式によるミサで締めくくられる。

‎ バチカン改革の使徒憲章は、聖霊降臨の主日、6月5日に発表され、9月1日から実施されるもので、教皇フランシスコが教皇就任直後に設けた枢機卿顧問会議で検討、策定され、これまでに実施済みのものも含めて、バチカンの部署、機関の思い切った再編統合と名称の統一、権限や説明責任の明確化に至るまで、改革全般を網羅する内容となっている。そして、使徒憲章のタイトル、「Praedicate Evangelium‎‎(福音を宣べ伝える)」が示すように、バチカンの組織・構造を福音宣教を着実に進め、そのために世界の現場の教会の宣教活動に奉仕する形にすることを狙いとしている。

‎ 会議に参加している新枢機卿の一人、ブラジルのアマゾンを管轄するマナウス教区のレオナルド・シュタイナー大司教は、Vatican News の取材に対して「今回の使徒憲章で、さまざまな教会と教皇庁が互いの声に耳を傾け、対話する場ができるようになった」と評価し、「今回、ローマに来たのは、自分たちがしたことを報告するためではなく、”学ぶ”ためですが、教皇庁もこれまでとは別のやり方で”学ぶ”ことを認識している。誰が教皇に仕え、司教に仕えるのかをよく理解している。互いに耳を傾け、文化的な多様性を受け入れ、感謝の気持ちを忘れない、もっと兄弟的な教会になる、という希望に向かってです」と語った。

*枢機卿たちが互いをよく知る機会も提供

 ‎この2日間の会議は、枢機卿団のメンバーが互いの知識と理解を深める機会も提供している。‎参加者の中には、世界のバチカンから遠く離れた地域から来た枢機卿もいる。普遍教会の理想を実現するために、教皇フランシスコは、新枢機卿任命にあたってそうした地域にも気を配られ、トンガからブルネイ、モンゴルからハイチ、バングラデシュからラオス、レソトに至るまで、これまで一度も枢機卿を持たなかった国からも、枢機卿を任命している。‎

‎ 結果、枢機卿団は、文化的背景、司牧をするうえでの感受性、地理的な場所など、極めて多様な背景を持つメンバーで構成されている。そのため、定期的にバチカンでの会議に出たりすることが難しくなっているが、‎コロンビア・‎カルタヘナ名誉大司教のホルヘ・エンリケ・ヒメネス・カルバハル新枢機卿は、それであるからこそ、今回の会議の機会に教皇と顔を合わせ、枢機卿の皆と対話し、互いを知り合うことが大切。枢機卿会議と教皇との会合は、私たちが互いをよく知り、意識し、将来に備えるのに役立ちます」と語っている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年8月30日