Press briefing of 19 October
(2023.10.19 Vatican News L’Osservatore Romano)
シノドス総会参加者は19日夕、聖ペトロ広場で移民・難民のための祈りの集いを開いたが、それに先立って同日午後行われたルッフィーニ広報長官による定例記者会見も、同席したツェルニー総合人間開発省長官たちからの苦難と犠牲を強いられている人々を教会としてどう受け止め、対応するかについての説明が中心となった。
会見ではまず、ルッフィーニ長官から18日午後から19日朝にかけての35の作業部会での討議について説明があり、「聖霊における対話」に時間が割かれ、さらに準備要綱のセクションB3に焦点を当て、「参加、責任、権限」という一般テーマのさまざまな側面について議論が続けられた、という。
(準備要綱B3の主題は、B3/3 が宣教の使命を負ったシノダル(共働的)な教会を強固にするために、どのような仕組みが必要か?」。 B3/4 が「現地教会のグループ化を含む synodality(共働性) and collegiality (合議性)の特徴は形成することができるか?」。 B3/5が「すべてのシノダルな教会の中で司教による合議制を示すことができるように、世界代表司教会議(シノドス)をどのように強化することができるか」となっている)
*ツェルニー 総合人間開発省長官 「地球上で最も弱い立場にある人々と共に歩む」
記者会見に同席した総合的人間開発省の長官、ミヒャエル・ツェルニー枢機卿は、19日夕の移民・難民のための祈りの集いについて「今回のシノドス総会で、 教会として共に歩む方法を学んでいるが、これは地球上で最も弱い立場にある人々、すなわち、戦乱や虐待などから避難を余儀なくされている人々と、教会が共に歩むことを象徴するものとなることになるでしょう」と述べた。
そして 、聖ペトロ広場での祈りの中心に置かれる ティモシー・シュマルツ制作のブロンズ像は 「あらゆる年齢、あらゆる場所で、何らかの形で故郷からの避難を余儀なくされたすべての人々を象徴」しており、そこに表現された「 移民・難民の人々の不安、無力さ、疎外感、そして、こうした現実を拒絶する 私たちの社会の恐ろしい沈黙」と、 「シノドス総会の会場内で私たち参加者が経験する調和と善意、そして…本当に深い交流」の 「劇的なコントラスト」を指摘した。
*米ブランズビルのフローレス司教「メキシコ 国境の教区で、増加する中南米からの入国者を受け入れる」
また、会長代議員で総会準備委員会のメンバーでもあるダニエル・アーネスト・フローレス司教は、メキシコとの国境にあるテキサス州ブラウンズビルの教区長だが、 「世界中の各教区の代表が、それぞれの現地の教会の賜物や経験を携えて、この総会に集まっている」としたうえで、自身の教区について「このところ、中南米から私の教区を 通って米国に来る人の数が増えていますが、教区の信徒たちは彼らを迎える態勢をしっかり整えている。入国してくる 母親や子どもたちの世話をするために時間を割くボランティア、レストランのオーナー、医師、看護師たちが活発に活動しています。カトリック教会だけでなく、 キリスト教の諸宗派、イスラム教徒、ユダヤ人など他のコミュニティのメンバーも重要な貢献をしています」と説明。
そして、「私たちの教区には、豊富な”物質的資源”があるわけではありませんが、住民の心はとても広く、貧困とは何かをある程度知っているので、非常に前向きに対応してくれています。 私たちが守るべき原則は、入国してくる人たちを家族として尊重し、最大限の敬意を持って扱うよう努める、ということです」と語った。
*マロン派修道会のアルワン前総長「世界最高の難民比率のバノンの国民は巨額の財政負担にあえいでいる」
レバノンのマロン派宣教会の前総長、ハリル・アルワン神父は、東方カトリック教会協議会の 事務局長で、ベイルートのレバノン大学の教授でもあり、 東方諸教会を代表し、中東の総会参加者の調整役も務めているが、「シノドス総会には、 これまで4回参加してきましたが、今回の総会は、討議の方法や内容が、従来とは違っている。 現実がすべて表現され、 それに参加することは、私たちにとって、教会の幸せな未来への希望を与える大きな恵みです」と述べた。
そのうえで、レバノンにおけるシリア難民の状況について説明。「 国際社会がレバノンに彼らを留まらせ、欧州に行くことを妨げており、レバノンには現在、シリア難民が 200万人以上、出生届も多く出されている。人口500万人のレバノンは世界で最も難民の割合が高い国になっています」と語った。
そして、「このような状況を緩和するために、ある程度の人道援助が提供されていますが、最も求められているのは、難民が人としての尊厳を持って迎えられるようにすることです」と訴え、「 レバノン人は人間性ゆえに罰を受けています。 難民はレバノンの国家経済に負担をかけている。国際政府機関では対処できないほどの巨額に上っており、結果として、レバノン国民はますます貧しくなっており、 大きな怒りを引き起こしている。難民問題を”人道問題”とすることはレバノンに難民を留めておくための口実だ、と受け止めており、 シリア人の難民の人たちの間に、欧州行きを求める多くの声が上がっている」と強調。
「 私たちは人類の悲劇に直面しており、世界の大国がこの悲劇を終わらせるために働き、シリア人がいつか自分たちの国と文化に戻れるよう、祈ります」と述べた。
*南アフリカ司教協議会副会長のムパコ司教「アフリカで最大の移民・難民受け入れ国、司牧ケアが課題」
プレトリア大司教で南アフリカ司教協議会の副会長であるダブラ・アンソニー・ムパコ大司教は、南アフリカにおける移民・難民状況について概説した。
ムバコ大司教は「自分の出身地を振り返って、多くのアフリカ諸国が既にこの”シノドスの道”を歩むための肥沃な土壌を持っていることに気づきました」としたうえで、 「南アフリカは、 アフリカで最も多い290万人以上の難民を受け入れており、彼らに 司牧ケアを提供するという課題に直面しています」と指摘。さらに、「南アフリカに流入する難民の最大の 原因は貧困。彼らの大半は『経済移民』です」と説明した。
また大司教は、「難民・移民にとって最も人気のある目的地の一つであるプレトリアには、教会が『移民と難民のための司牧的ケアのための確立された奉仕』の態勢が整えられ、食料の提供や、 衣服、医、必要な書類作成などの支援を行っている」とし、「 地元の教会は、彼らの言語で典礼を提供したり、移民・難民担当の宣教司祭を任命したりするなど、状況に応じた司牧的ケアを提供しながら、彼らが地域社会に溶け込めるよう努めています」と語った。
*カトリック教会におけるシノダリティ(共働性)とヒエラルヒー(ピラミッド型階層構造)
記者団からは、「シノダリティに基づいた教会改革が、教区における司教の権威と特権を損なう可能性があるか」という質問が出たが、これに対して、フローレス司教は「その問題は新しいものではない。 教会による権威や奉仕は、回心に基づいていなければならない。いかなる組織にとっても前向きな目標を達成するために不可欠だからです」と述べる一方、 この刷新がどのように行われるかについて多くの意見があることを認めた上で、「キリストにおいて互いに奉仕することに注力する人々に洗礼を施し、叙階することへの強い願望について、懸念している」と指摘した。
ムパコ大司教は、「教会におけるシノダリティとヒエラルヒーという2つの構造が共存せねばならない、ということは万人に受け入れられているが、 私たちが考えるべきは、教会のヒエラルヒーの運営方法にシノダリティが浸透する形で、この二つがどのように機能することができるか、ということです」と述べた。
ツェルニー枢機卿は、「教会の階層構造は、聞くことから始まるプロセスを恐れるものではありません。 それが教会の階層的性質を損なうなどということはあり得ないのです」と強調した。
*難民とLGBTQ+
難民の中のLGBTの人々の存在についての記者の質問では、ムパコ大司教が「どのように対応についての教会の立場は明白です。 教皇はそれを非常に印象的で素晴らしい方法で体現されていると思います」としたうえで、 「しかし、私たちが扱っているのは伝統的なキリスト教人類学であり、その人類学がこの問題にどのように関係しているのかを、調べようとしている段階です。 そして私の印象では、この問題はすぐには解決されないでしょう。私たちは キリスト教人類学を守りながら、私たちはLGBTQ+の人々が教会でくつろげる方法を模索しています」と説明した。
一方、フローレス司教は、「自身の教区において、困難な状況にある家族を受け入れることが、『教会の慈善の使命』だ、と考えています。私たちは、 すべてのボランティアに『苦しんいる人の中に、キリストの顔を探す』よう奨励している」とし、「私たちは、彼らにカトリック教徒かどうかは尋ねないし、キリスト教徒かどうかも尋ねません… 私たちは彼らに、政治信条を尋ねないし、性的指向についても尋ねません。ただ、苦しむキリストに仕えたいだけなのです」と強調した。
*ラテンアメリカ文化とシノドス
またフローレス司教は、ラテンアメリカ文化におけるシノドスについての見方について質問を受け、「容易なことではありませんが、 異なる文化を一つに結びつけることは、シノダリティの表現です。私自身は、ラテンアメリカ 文化と英米文化を分け隔てしないバイリンガルの家庭で育ちましたが、それは、 ある世界を別の世界に翻訳しようとする問題です。 若い人たちはこれをうまくやる方法を知っていますし、特に国境地域に住んでいる人たちにとって、それは財産にもなります」と語った。
だが、そのことを、「 教会レベルで単純化することはできない。 地域のさまざまな教会の間で、対話に向けて前進するよう努力する必要があります」と述べ、 同様に、二つの世界に生きてきたツェルニー枢機卿も、自分にとって「人生は”翻訳”であり、 両方の文化の中で生まれていても、いなくても、『synoding』は、”翻訳”する方法を学ぶことでもあるのかもしれません」と語った。
*「シノドス総会は外部からの圧力や”陰謀”の影響を受けていない」
この後、ルッフィーニ長官から、作業部会の発言と総会の取りまとめ文書への賛否投票など総会の運営方法について説明があり、 ツェルニー枢機卿からは「叙階された奉仕職に関する秩序と職権の関係」についての発言があり、「私は、秩序と職権の識別は克服されていると考えています。つまり、秩序を理解することはすべての職権には必要でなく、これまで聖職者、 高位聖職者、場合によっては枢機卿が行使してきた職権に秩序は必要でないということです」とし、「 教会の本質に危険はありません。すでに責任があり、おそらく枢機卿以外、司教以外、司祭以外の者に、その責任が委ねられることがますます増えていくからです」と付け加えた。
また、記者からの追加の質問に対して、フローレス司教とムパコ大司教は、「現在のシノドス総会は、外部からの圧力や”陰謀”の影響を受けていない」と口をそろえ、フローレス司教は「”陰謀”があるとは思わない。 私はただ、使徒ペトロのケアの下で、正直で、誠実で、忠実で、慈しみにあふれた参加者の言葉に耳を傾けているのです。 それは信仰に対する脅威にはなりません」と言明した。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
Cardinal Czerny then spoke about the relationship between order and office with regard to ordained ministries, saying, “I think that the identification between orders and offices is something that is being overcome. In other words, we’re understanding orders not to be necessary for every office, which until now has been headed by a cleric and in fact a hierarch and in some cases even a cardinal”.
He added the assurance, “There’s no danger to the nature of the Church because there are responsibilities which are already being, and which perhaps increasingly will be entrusted to non-Cardinals, non-bishops, non-priests.
Responding to further questions from the media, Bishop Flores and Archbishop Mpako assured reporters that the synodal reflection was not influenced by external pressures or “conspiracies”: “I do not see a conspiracy”, said Bishop Flores. “I have simply heard honest, sincere, faithful, charitable conversations under, shall I say … ‘sub tutela Petri’, under the care of Peter. That is not a threat to the Faith”.
Finally, Cardinal Czerny, the Prefect of the Dicastery for the Service of Integral Human Development took the floor to give some details about tonight’s celebration in St. Peter’s Square for migrants.
開催中のシノドス 2023年10月18日のミサ バチカン・聖ペトロ大聖堂 (Vatican Media)
(2023 .10.18 バチカン放送)
「共に歩む教会のため − 交わり、参加、そして宣教」をテーマに、バチカンで開催中の「世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会・第1会期」の討議と作業は、現在、全スケジュールの後半部に入っている
4日から始まった同会議は18日、開催2週間目を迎えた。
会議では、先週13日から17日まで、討議要綱のセクションB「交わり、宣教、参加。共に歩む教会のための3つの優先課題」のうち、B2.「宣教の共同責任者。福音への奉仕のためにいかに賜物と課題を分かち合うか」をめぐり作業が続いた。
そして、18日、テーマは討議要綱の最終項目、セクションB中の「B3.「参加、責任と権威の役割。共に歩む宣教的教会におけるプロセス、構造、制度」に移った。同テーマの討議・作業は、21日まで続き、その後、23日から、29日の閉会に向けた最終的なまとめの作業が行われていく。
このシノドスでは、新しい討議テーマに入る毎にミサが捧げられる。 最終テーマの討議が始まった18日午前、バチカンの聖ペトロ大聖堂の「司教座の祭壇」で、ヴィリニュス(リトアニア)の大司教、ジンタラス・グルサス師の司式でミサがとり行われた。
ミサの説教でグルサス大司教は、ルカ福音書10章のイエスが72人を任命の上、派遣し、どこかの家に入ったら「この家に平和があるように」と命じたエピソードを取り上げ、「イエスが言われる平和は、この世が与える平和ではなく、シャローム、神の御心から来る平和です」とし、「神の平和は、慈しみと同じように、すべての人に与えられるものですが、イエスは、それをすべての人が受け入れるわけでないことをご存じでした。内的平和の恵みを得るには、まず神の慈しみを求めねばなりません」と説いた。
(編集「カトリック・あい」)
A working group at the General Assembly (Vatican Media)
(2023.10.17 Vatican News Salvatore Cernuzio)
シノドス総会の17日昼までの進行状況などについて、バチカン広報省のルッフィーニ長官が17日夕、定例の記者会見を開き、 4日以来、総会に参加している枢機卿、司教、司祭、修道女、修道者、信徒の話し合いの模様などについて説明。 全体会議や35の作業部会では、 司教の務め、女性の役割、教会法改正の可能性、信徒の貢献などが話し合われている、と述べた。
長官の会見には、モロッコ・ ラバト大司教のクリストバル・ロペス・ロメロ枢機卿、 オセアニア地域司教協議会連盟会長で豪ブロークン・ベイ教区長の アンソニー・ランダッツォ司教、それに著名な神学者である レネー・ケーラー=ライアン・シドニー・ノートルダム大学教授とナイジェリアのイエズス会士アグボンキアンメゲ・エマニュエル・オロバトル教授が同席し、「聴いて 学ぶ」という総会での経験」に満足していると口をそろえた。
*「協力」から「共同責任」へ―教会法改定の可能性
記者会見の冒頭、ルッフィーニ長官は、17日の朝に聖テレジアに関する教皇の使徒的勧告「C’est la confiance」が総会参加者に改めて配布された、としたうえで、今週初め、16日から17日昼にかけての全体会議と作業部会では、準備文書の 「福音宣教の使命における共同責任」に関するモジュールB2をもとに意見を交換した。 「共同責任」とは、「改正」が求められている教会法における「協力」に代わる導入が提案されている言葉だ。
教会法の専門家であるランダッツォ司教は、「教会 法はその前提としているものが変われば、当然、変わり得ます。法規の中には、特定の地域社会や状況、状況のニーズに応じて適応させることが可能なものもある」と述べた。
*「女性たちの関心は『叙階』だけだと考えると、世界の大半の女性たちの関心を忘れてしまう」
また教会改革に関して、総会参加者たちは、まず「diaconate(叙階)の本質」を明確にしたうえで、それを女性に開放する可能性について議論した。 教会における女性の役割に関して、ルッフィーニ長官は、参加者たちの議論では「イエスが女性を retinue(随行者)として扱われたこと」が想起され、「最初に主の復活を宣言した女性たちが説教をしなかっただろう、ということを想定することは可能でなかったかのかどうか、という問いが持ち上がった」と説明。
また、 「(教区や小教区の)司牧評議会に女性が出席することで、意思決定がより現実的になり、地域社会がより創造的になる」という意見も出た、とし、会議で語られた格言を引用して、「何かについて話したいなら 男性だけの集まり、何かをしたいなら女性の集まりを開くといい」と述べた。
このように、教会における女性の役割に議論の多くが割かれたが、女性の司祭叙階については、それが唯一の役割ではなく、あるいは主要な役割とする意見はなかった。 ケーラー=ライアン教授は、女性の司祭叙階は、「女性たちの要請を必ずしも反映していない”ニッチ”な問題です… (女性の司祭叙階に関する)問題が強調されすぎていると思う」と述べ、「 この問題を重視しすぎると、世界中のほとんどの女性が求めていること、つまり住居、食べ物、衣服、そして子供たちの将来についての問題を忘れてしまうことになりかねない」と指摘。 「子供たちに未来を、そして教会に迎え入れられる未来、そして知っている人や愛する人全員が教会に歓迎される未来を持ってほしいと思っています」と語った。
*「信徒の奉仕を司祭不足の一時しのぎにしてはならない」
作業グループと個々の参加者の発言について出された報告では、「教区—”給油所”ではなく、交わりの場—とコミュニティの重要性」、「 信徒の奉仕を司祭不足の一時しのぎの手段としない、聖職者化しない」「そして受洗者の共同体は司祭の奉仕なしでは成り立たない」などを指摘する意見も出ている。
*「司教は、何でも抱え込まず助けが必要、虐待被害者の声を聴く時間と場も必要」
シノドス総会情報委員会のシーラ・ピレス氏によると、17日の午前の会議では、司教の奉仕活動にも同様の関心が払われ、「司教は信者たちに寄り添い、愛、配慮、懸念を表現する父親のような人物とみなされている」という発言や、「 司教は、諸宗教間および信仰一致のための対話を促進しなければならず、財政、経済、法的側面を管理しなければならない。まさにそのような問題に忙殺されないように、 協力者や専門家から助けを受けることができた」という報告もあった。 「司教は、『自分だけが教区ではない』ことを理解せねばなりません。 一人ですべてを行うことはできず、助けが必要です」と述べた。
会議ではまた、司教候補の育成、司教と聖職者、および新司教との関係にも関心が集まり、「司教は、虐待被害者の声に耳を傾けることを避けるべきではない」といことが強調された。そして、彼らの声を聴くため の時間と空間が必要です」と語った。
*「我々は半分まで来た、まだあと一年、作業が残っている」
今総会の会議では、幅広い問題について話し合われているが、 ロペス・ロメロ枢機卿は、「これは2021年10月に始まり、2024年まで続く”シノドスの旅”の半分に過ぎません」と述べた。
そして、 「私たちがここローマで経験している事だけが”シノドスの道”ではない。過去2年間に世界中の小教区、教区、修道会で経験した何千回もの会合は、 それだけの価値はあった。 私たちは灰から、新しい火を灯すことができました」とする一方、 「現段階では具体的提案を期待すべきではありません。まだ少なくとも1年の作業が残っており、なすべき課題があります。それをこなしたうえで、 より具体的な提案に至るための結論を導き出すのです」と強調した。
*「普遍的な教会として、私たちはどのような立場にあるのかを理解する」
ケーラー=ライアン教授は 「このシノドス総会で今起きているのは、普遍的な教会として非常に多くの異なる声を聞く機会がもたらされ、祈りの気持ちを持って互いに耳を傾けることに重点を置くという非常に重要だということだと思います」とし、 「信徒の参加」が「このシノドス総会の最も重要な点の一つ」だと指摘した。。
また、今総会は、「普遍的な教会としての私たちがどのような立場にあるのか、また私たちが全世界で多くの点で共通した立場にあることを理解するための素晴らしい機会になっています。 私たちにはキリストとその母についての普遍的な教えがあり、私たちの教会について知らない人々に手を差し伸べようと、真剣に努力している… そして、まだデジタル技術にアクセスできない人々がいることを理解しながら、デジタル技術など様々な方法で、それを実現しようとしています」と述べた。
*「世界中の信者が、皆同じ条件にあるわけではない、『欧州的見方』をすべきではない」
デジタルの問題については、ランダッツォ司教も、「デジタル通信とデジタル世界のシンノダリティ(共働性)について話すとき、 『燃料を積んだ船が、しばしばそばを通る島』を思い起すといい。島に 船が来なければ、燃料が手に入らず、発電機も動かず、コンピューターがあっても接続できず、孤立してしまいます」と述べ、 物事を「欧州的な見方」で見ないよう、つまり、「ある場所から別の場所に移動したり、たとえば教区に行くために、誰もがタクシーや電車に乗れるのが当然」と考えないように促した。
そして、「このシノドス総会で私にとって本当に素晴らしい経験の一つは、欧州の伝統的な教会に所属する人たちだけでなく、世界中から来た人たちとテーブルを囲み、時折コーヒーを皆で飲むことです」とし、 これは私にとって、とてもシノダリティ(共働性)を感じます。そして、教皇フランシスコの天才的なところは、これが何もない所から生まれるものではない、ということです」と語った。
*「シノドス総会は、『結果』よりも『プロセス』が重要になる」
オロバトル神父もランダッツォ司教の意見に同意し、「この総会は、神学者にとって『生きがい』の一環、つまり”資源”を引き出すプロセスの一環です。 おそらく、結果よりもプロセスの方が重要になるだろうと確信している。 教会というコミュニティとして、人々を誰でも、立場や地位や状況に関係なく、新しい生き方を体験できるように導く枠組みとメカニズム、だと信じています。また、教会では、 自分たちの意見を聞いてもらうだけでなく、識別のプロセスに貢献することもできます」と述べた。
*「総会参加者の間に多くの意見の相違があるが、”派閥同士の衝突”ではない」
また、ロペス・ロメロ枢機卿は、「 シノドス総会参加者の間には、多くの意見の相違が生じていますが、それらは決して”派閥同士の衝突”ではなく、”憎しみや敵意”を伴ってもいません。この会議の趣旨は、『 対話すること』であり、『相手に応答すること』ではありません」と指摘した。
関連して、ルッフィーニ長官は「シノドス総会は、記者からの問いに答えるように設計されているのではなく、プロセスから生じる教会の識別のために設計されています。 その識別は、『教会が世界でどのように歩むことができるか』に関係しています」と説明した。
*「女性問題やLGBT+の人々の問題は、記者だけでなく、多くの信徒が関心を持って見ている」
これに対し、記者からは、「いくつかの問題、特に教会における女性の役割とLGBT+の人々を受け入れる問題は、単なる記者の関心の問題として扱われるべきではない。 まさにこれらの問題については、これまでの(司教区、小教区レベルなどの「”シノドスの道”の歩みで、多くの信徒たちが時間とエネルギーを費やして議論してきており、今、その答えを待っている人々が多くいる」との意見が出された。
長官は、「指摘された問題は、総会での議論の対象となっている」ことを認めたうえで、「 シノドス総会は確かに単なる”円卓会議”ではなく、もちろん”トーク・ショー”でもなく、『聖霊による対話』です。今 総会では、報告書をまとめ、それが世界の『神の民』に送られ、その後再び総会が開かれます。 ロペス・ロメロ枢機卿が語ったように、それはまだ長いプロセスであり、忍耐と希望が必要です」と説明した。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
Synod briefing (file photo) (Vatican Media) cliche
(2023.10.16 Vatican News Federica Piana)
シノドス総会の16日月曜午前までの討議状況などについて、バチカン広報局のルッフィーニ長官が16日午後、記者会見した。
それによると、全体会議や35に分かれた作業部会では、シノダリティ(共働性)の真の意味、多様性における豊かさ、教会での受洗者の役割、宣教活動、キリスト教一致と宗教間対話、 女性助祭からみた女性の教会での役割、デジタル革命、 最新技術から完全に切り離されている世界の貧しい国の若者たちの問題、などが忘れないこと、などが話題に上っている。
長官によると月曜の全体会議は冒頭、教皇が前日15日に出された、リジュ―の聖テレジア生誕150年を記念する使徒的勧告「C’est la confiance 」に注目することから始まった。また、これまでの各作業部会からの最初の討議報告についての検討もされた。
記者会見にゲストとして出席したスリランカ出身の神学者ヴィマル・ティリマンナ神父(C.S.R.)は今総会に出席しての感想について、「シノダリティ(共働性)は、その人が実行するときに起きることを実感した… 総会に参加するまでは 『シノダリティ』は単なる決まり文句だ、と思っていた」が、「霊的な対話の仕方に補完 された素晴らしい祈りの雰囲気のおかげで、私たちはシノドスの道、シノドスの生活様式が、実際に、どのように生きているかをしることができました」と語った。
神父は、これがテーブルの配置にもどのように反映されているかを強調し、枢機卿、司教、信徒、特に女性が「ピラミッド型の教会ではなく、同心円状の教会… 互いに肩を触れ合った経験」を指摘。 「この総会には、シノダリティの文化が息づいています。私たちの 課題は、それを会議場の外に持ち出すことです」と述べ、また、シノドスの道は、「 教皇フランシスコの個人的な課題ではなく、第二バチカン公会議の継続なのです」と強調した。
女子修道会の世界的な集まりである国際修道会総長連盟(UISG)の事務局長、シスター・パトリシア・マレーは、「シノダリティが、ますます現実のものになっていることを、うれしく思っています」とし、 「女子修道会のメンバーとして、私たちは20年以上にわたって、シノダリティ(共働性)を実践してきたと感じています… 特に人生において重要なことについて決断を下し、結論を出した時には、そうでした」と語った。 そして、「イエスと聖霊を私たちの生活の中心に据え、修道会の全員の声に耳を傾けて、今、神が私たちをどこに召されているのか、どこに神が会衆を召されているのかを見極めることが、多くの集会で実践されてきました… ですから私にとって、このシノダリティ共働性)という言葉が普遍的な教会に広まるのは、さらなる喜びです。これが私たちが生き、共にいたい、と願う方法であり、参加、交わり、使命の言葉なのです」と述べた。
プラハ補佐司教のズデネク・ヴァッサーバウアー司教は、リジューの聖テレジアについての使徒的勧告に感動したと述べ、「私は、この使徒的勧告の中にシノドス全体の羅針盤を見ています… これまでの総会の話し合いで、 『使命』という言葉が私たちにとって重要なポイントであることをはっきりと認識しました」とした。
そして、 なぜこの使徒 的勧告が導き手または道しるべとみなされるのかについて、「まず、 私はこの総会で400人の会員全員が毎日、他者の利益や救いを求めて集まっていることに気づきました。 そして、1856年にリジューの聖テレジアは魂の中で感じた暗い夜に言及し、今日も、三千年紀の教会は暗闇の中にある、と言う人がいますが、この総会は、暗闇を照らす光となっているからです 」
LGBTQ+の人々の「痛み」について議論されたかどうかについての記者の質問に、シスター・マレーは「35全部ではありませんが、多くの作業部会で、意見が述べられ、話し合われました。そして、 教会がどのようにその傷を表現できるかについても議論されています。また引き 起こされた痛みと苦しみについて深い認識があります」と説明。
別の記者の「同性カップルへの祝福の問題が取り上げられたか」との問いには、ルッフィーニ長官が、その 問題は「中心的なものではありません」とだけ答え、その問題よりも、組織形成、聖職者任命、貧しい人々への優遇措置、植民地主義についてもっと議論がなされています」と説明。「 カトリックの教義は、総会での議論のすべての中心になっている」と付け加えた。
さらに、長官は、シノドス総会に出席している中国の司教たちが明日、バチカンを離れる、という情報が間違っていなことを確認し、それぞれの教区に戻る司牧上の理由からそうするのです」と述べた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
An image from a briefing on the Synod at the Holy See Press Office (Vatican Media)
(2023.10.12 Vatican News Paolo Ondarza)
シノドス総会の経過について、バチカン広報局長官の記者会見が12日夕行われ、会見に同席した総会参加者たちからは、 中東、ウクライナ、イラク、アフリカなどで相次いで起きている深刻な状況の中で、 、宗教間および異文化間の対話と共に歩むことの緊急性が表明された。
アラブ・カトリック教徒のFocolare Movementのマーガレット・カラム会長は、12日 朝の全体会議で行われた平和を求める祈りについて、「非常に力強い瞬間でした。ガザ地区での戦闘が始まったことで私の心は打ち砕かれ、このシノドス総会で私は何をしているのだろうと思っていたからです… 皆で共に祈りを捧げることで深く感動しました」と述べた。
*「イスラエル・パレスチナ和平に取って祈りの力は非常に重要」
そして、「和平実現には多くの努力が必要ですが、祈りの力が非常に重要です」とし、 「この祈りの経験は、共に歩み、対話し、他者から挑戦を受けることが何を意味するのかを、私に教えてくれています。また、シノダリティ(共働性)は単なる方法論ではなく、教会の生き方—敬意を持って相手の意見に耳を傾け、 意見の相違を超えて行く-にならねばなりません」と語った。
また、世界中のできるだけ多くの信者を巻き込むために、デジタルプラットフォームの活用も含めて、近年実施されている異宗教間の祈りの多くの取り組みについて言及し、 「昨日はウクライナとの関係の祈りもありました。 私たちは、Living Peace initiativeを通じて共に祈るために同じ時に集まることに同意し、世界の指導者たちへの 平和を求める呼びかけに署名することを約束するとともに、他宗教の兄弟姉妹たちに対する具体的な連帯の意思表示も願いました」とも述べた。
ガザ地区での戦闘に関連しては、「イスラエルでは多くの人が、ガザに住む人々と対話の橋を架けることに疑問を持っていますが、 私のユダヤ人の友人は、 イスラム教徒と同時に祈り、祈りの中で団結することを決意しています」と説明。和平に向けた 交渉が再開され、紛争解決が緊急の課題であることを多くの人が認識するように、世界の国、世界の人の協調行動の必要を訴え、 「まだ沈黙が多すぎる。 私の声だけでは成果は出ません。 人権の尊重と民族間の和解を促進するには、世界中の人々の関与が必要です」と強調した。
*アフリカとシノダリティ(共働性)
カメルーンの司教協議会会長、アンドリュー・エンケア・フアンヤ大司教は、「シノダリティ(共働性)はアフリカ文化の一部を形成している。なぜなら、私たちは常に家族として一緒に物事を行うからです」と述べたうえで、 「今回のシノドス総会は、アフリカにとって非常に大きな慰めになると思います… アフリカは多くの問題を抱えており、私たちは時々孤立し、見捨てられた、と感じています。 しかし、この総会に参加して、私たちは、ここに参加していない地元の教会の人々と共に、アフリカで起きている問題、特に戦争の影響を受けている国々のために祈ります。 これはアフリカにとって、シノドス総会に自らの足跡を残す非常に素晴らしい機会だと思います」と語った。
*「異なる言語を結びつける福音」
バグダッド保健センターの医師で Congregation of the Daughters of the Sacred Heart of Jesusの会員、シスター・キャロライン・ジャルジスも、今のシノドス総会で「一つの家族」になる経験をした。12日朝の祈りの集いで、 他の参加者と共に、自国語のアラビア語で福音書を読み、自分の言葉がどのようにすべての人に理解されたかを知って、衝撃を受けた、という。 「神は、私たちがシノドス総会で行う働きの中におられます。 私たちを選び、ローマに来る前に備えさせてくれました。私たちはすべてを分かち合った最初のキリスト教徒の経験を共にしています」と語った。
*「イラク殉教者たちによってもたらされた教会の豊かさ」
また、シスターは、 「私は戦争中の国から来ています。キリスト教徒は少数派ですが、私たちの教会の豊かさは、殉教者たちの存在によってもたらされています。 殉教者たちの血は、私たちに前へ進もうとする力を与えてくれます。私は、普遍的な教会との交わりの経験から得られる、大きな力を持って家に帰ります」と述べた。
イラクでは、ラシド大統領からキリスト教の長と認める布告を取り消されたサコ枢機卿が バグダッド総主教庁本部から退出することを決めたことについて、記者から質問を受けたシスターは、「殉教の地で、キリスト教徒として尊厳を持って生きるのは正しいことです。私たちは二級国民ではありません」と答えた。
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12日の午後、シノドス総会参加者たちは、聖ペトロと聖パウロの遺物を一時保管している聖セバスチャンのカタコンベ、聖カリストスと聖ドミティラのカタコンベへの巡礼をした。
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*8回目の全体会議は「使命における共同責任」がテーマに
13日の朝は、コンゴ民主共和国のアンボンゴ・ベスング枢機卿が司式する聖ペトロ大聖堂祭壇でのミサの後、8回目の全体会議が開かれ、 「使命における共同責任: 福音への奉仕において賜物と任務をよりよく分かち合うにはどうすればよいか?」というテーマで、準備要綱の 3 番目のモジュールに取り組む。 これに先立つ「交わり」をテーマにした2番目のモジュールについては、11日午後と12日午前に作業部会の後の全体会議で、各作業部会からシノドス事務局長に報告書を提出している。
*7回目の全体会議では36人が発言
12日の7回目の全体会議には343人が出席し、36人から、 「宗教間および異文化間の対話」「 植民地主義が先住民族コミュニティに与えた影響」「 罪の赦しを求めれば受け入れられる『和解の秘跡』の重要性」、 そして、「イエスに会いたいと願う若者たちの声に耳を傾け、それに参加すること」などをテーマに発言があった。 また、シノドス総会の働きの中心として「カルカッタのマザー・テレサの姿と彼女の病人へのケア」が挙げられ、「 カトリック指導者の平和促進への取り組みの緊急性」「 疎外された女性たちのドラマ」「 教会活動における互いを包み込み、耳を傾ける必要性」なども語られた。
*シノドス総会におけるマリアの存在
記者会見の最後に、ルッフィーニ長官は、12日が「アパレシダの聖母」と「ピラールの聖母の祝日」であることを挙げ、 「今朝、シノダル(共働的)な教会におけるマリアの姿の 重要性が強調されました。 マリアは母であり、信徒であり、預言であり、対話であり、カリスマであり、聖性であり、生きた福音です」と強調した。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
Participants in the briefing at the Holy See Press Office
(2023.10.11 Vatican News By Salvatore Cernuzio)
シノドス総会に関するルッフィーニ・バチカン広報省長官主催の記者会見が11日午後も行われ、世界の紛争、貧困、虐待、性的アイデンティティなどのテーマを中心とした10日午後から11日午前までの全体会議や作業部会の模様などについて報告。
同席した カナダのラクロワ枢機卿、パプアニューギニアのグレース・ウラキア氏、イタリアの移民活動家ルカ・カサリーニ氏から、貧困、移民、虐待、女性の役割、性に関する問題などについて、作業部会などでの議論や感想が語られた。
*ガザ地区で起きている「血なまぐさい戦争」の悲惨さを念頭に黙祷
ルッフィーニ長官によると、シノドス総会の6回目の全体会合は、ハマスが引き起こしたパレスチナ・ガザ地区でのイスラエルとの「血なまぐさい戦争」の悲惨さを思い起こすアーサー・ロシュ枢機卿が主導する黙祷で幕を開けた。
ラクロワ枢機卿は、これまでの会議での「豊かさ」の経験について報告。ウ ラキア氏は、パプアニューギニアの「小さな」コミュニティの声を届けた。
地中海での数千人の死者に対する「憤り」から生まれ、海上での人命救助に当たっているNGO「Mediterranea Saving Humans」の創設者の カサリーニ氏は、「 Mare Nostrum(私たちの海)」での取り組みについて説明。自己の 経験を二つの貧困の「出会い」と呼び、「それは、『唯一の資産である土地』を離れることを余儀なくされた人々の物質的な貧困と、『 恐怖を悼み、拒絶する能力』を失ったかに見える西洋諸国の精神的な貧困だ」と語った。
ルッフィーニ長官は、10日に聖マルタの家で開かれた「小さな『作業部会』」について報告。 ローマ市内の貧困者が 食事会に招かれ、教皇フランシスコと慈善事業担当のコンラッド・クライェフスキーから、 教会に期待することについて意見を聞かれた。 「彼らの答えは、ただ『愛』でした」と長官は述べた。
*61年前に聖ヨハネ23世が始められた第二バチカン公会議とシノドス総会
10日の全体会議の出席者は339人、11日朝の祈りには345人が参加し、この日、誕生日を迎えたイタリア司教協議会会長のマッテオ・ズッピ枢機卿が先唱、1962年10月11日に第二バチカン公会議が始まった記念日でもあるこの日、公会議の唱道者である聖ヨハネ23世のとりなしを求めた。
ラクロワ枢機卿が 「 ヨハネ23世は『預言的』な方でした。高齢で病弱であったにもかかわらず、聖霊によって公会議開催の霊感を受け、実行されました。しかし、その結末は生きてご覧になることはできなかった」と語り、「私たちが使っている方法論は、主、主の言葉、洗礼を受けた一人ひとりの中の主の存在、を聴くことに向けられています。そしてこのことが、私たちの心を他者に開かせるのです」という、聖ヨハネ23世が公会議の開催に当たって言葉を読み上げた。そして、「 神の言葉を聞くことによって、私たちは微妙なニュアンスを受け、自分の考えを変えられます。そうすることで、神がすべての人々の中で働き、働いていることが分かるのです… その働きを 生きることで、私たちは自分の考え方を調整し、洗練し、少し変えることができるのです」と強調した。
その延長に、今回のシノダリティ(共働性)をテーマとするシノドス総会が支持する考え方として、これまでなおざりにされていた人々が声を上げられるようにするとともに、「他者の介在で明らかになったことに挑戦を受けさせる」ことがある。
この点に関して、ワラキア氏は、ソロモン諸島とパプアニューギニアの代表をシノドスに招待されたた教皇に感謝し、 「何年もの間、私たちは他の人の声に耳を傾けてきましたが、今度は自分から話したいと思います。そして、皆さんにそれを聴いてもらいたい。 私たちには世界に提供できるものがある。私たちが心から提供できるのは、 私たちの暮らし方、交わりの中で暮らし、共に暮らし、関係を築くことです」と語った。
*戦争、貧困、気候変動の犠牲者たちへの対応は
また、ルッフィーニ長官は、作業部会や全体会合の内容について、「多くの発言者が、平和と戦争に苦しむ人々について触れた」とし、「 戦争と暴力によって損なわれた今の世界で、キリスト教徒がどのようにして、平和と和解のしるしとなり得るか、について語り、 紛争に苦しむ国々と「一部の東方教会の苦しみ」に真剣に対応するよう「強い訴え」がなされた、と説明した。
総会の広報担当のシーラ・ピレス氏によると、一連の会合で、浮上したもう一つのテーマは「貧困に寄り添い、謙虚で、自らを低くし、貧しい人々と共に歩む教会の在り方」。 「さまざまな顔を持つ」貧しい人々、排除された人々、移民・難民、気候変動の犠牲者、さらには世界の一部地域の女性や姉妹たちも、「二級国民とされ、虐待されることから守られるべき存在」であることも強調された、という。
*性的虐待スキャンダルで教会の信頼性に疑問符が付いている
性的虐待を含む虐待への対応も、もう一つの中心テーマだった。 「性的虐待などのスキャンダルによって、私たちの教会の信頼性に疑問符が付いている。性的、物理的、精神的な虐待をすべて根絶するために、あらゆることを行い、あらゆることを継続し、被害者に寄り添う必要がある」という意見も出された、という。
作業部会や全体会合での報告で は、「性的同一性」の問題も取り上げられた。 長官は、「この問題は、福音と教会の教えに忠実でありつつ、責任と理解を持って取り組まなければならない問題です」とし、 「性に関する教会の教えに対するさらなる洞察を求める人もいましたが、一方で、今以上に 識別する必要はない、という意見もありました」と述べた。
また長官は、総会 参加者たちが自問したのは、「教会の教えに忠実でありつつ、離婚した同性愛者のカップルへの、愛に関する司牧的配慮を具体的にどのようにするか」だった、とし、 「これらの問題について発言した人たちは、多かれ少なかれ、『あらゆる形の同性愛への嫌悪を否定せねばならない』という意見でした。また何人かから、『現実と個人の個人的な歩みを知らないことから、多くの困難が生じるのだ』との指摘がありました」と説明した。
*移民・難民問題への対応は
移民・難民の問題に関しては、一部の司教から「移民・難民の受け入れでより良い状況にある他国の司教協議会に助けを求めた。 これは、受け入れられた人々が確実に社会に溶け込めるように開発された手法から恩恵を受けられる方法です」との説明があった。 移民・難民への対応では、「自分たちの国の法律を尊重する必要もある」ことも再確認された、という。
また、イタリアの移民活動家のカサリーニ氏は、「自分は特権を持った人間です。それは、誰が最も多くの人を殺すかを競う世界、憎しみに支配された世界の中で、私は、他者の命を助け、兄弟姉妹を抱きしめることができるからです… 海の真ん中には、人生を変える無限の贈り物があります。 それが私を変えました…」と述べた。
そして、 「海の真ん中で、兄弟姉妹に出会う。その瞬間、あなたは二つの貧困に出会うことになる。 一方で、経済的、社会的貧困で、唯一の財産である土地、家族、そこで暮らした記憶から離れることを強いられる人たちの貧困。 その一方で、「恐怖は日常的」とされる世界の一部地域の悲惨な貧困です」とし、 「私たちはもう、亡くなった子供のために泣くことはできません。 これら 2 つの貧困は、私たちが切実に求めるべきもの、つまり愛のための余地を生み出します。 これが私がイエスと神に出会った方法です」と語った。
シノドス総会では、「怒りと憤りを、敬虔さに変える方法を学んでいます。 私が学んでいるのは、相手の立場に立つことです。 自分ですべてを解決できると期待せず、行動してくださるのは聖霊だ、と確信することです。聖霊に働きは、 とてもクレイジーなことが起こすこともある… 私がシノドス総会に出席しているということも」とカサリーに氏は語った。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
Synod participants begin the 4th General Congregation (Vatican Media)
(2023.10.9 Vatican News By Deborah Castellano Lubov)
二週目に入ったシノドス総会は9日朝、総会の総括報告者、ジャン=クロード・オロリッシュ枢機卿の挨拶に始まり、シノドス事務局から事前に配布された討議要綱のモジュール B-1 についての分かち合いを開始した。
会議に先立って聖ペトロ大聖堂で捧げられたミサでは、 アンティオキアのマロン派教会のベチャラ・ブトロス・ライ総主教が説教をし、「”シノドスの道”は、世界的な危機に対応するのに役立ちます」と強調した。ミサ後、参加者たちは 会場であるバチカンのパウロ6世ホールに戻って全体会合を開き、準備要綱の モジュールAに関する先週の分かち合いに続いて、モジュールB1に焦点を移した。
全体会合ではまず、オロリッシュ枢機卿がモジュールB-1の内容を確認。モジュールAをもとにした先週の全体会合、分科会で 「私たちは過去2年間にわたる神の民の”共に旅する”経験を思い起こし、包括的なビジョンとして、シノダル(共働的な)教会の在り方について、さらに注目するよう努めました」と振り返った。
そのうえで、次の段階として、 「神の民の声に耳を傾けることから明らかになり、この会合が洞察力を働かすよう求められている3つの問題のうちの1番目に取り組む」ことを提案。
その主題は、 「四方に広がる交わり」であり、「どうすれば私たちは、もっと完全な神との結び付き、全人類の一致のしるしとなり、道具となることができるのか」を考察することが優先事項になる、と述べた。
ホレリッヒ枢機卿は総会参加者たちに、これからの先にあるものを繰り返し指摘し、 「9日の午後と10日の朝、私たちはすでに実践した聖霊との対話に触発された共同体の識別の仕方に従って、Circuli Mineres(小さな集まり=分科会)で作業をします。私たちは互いの声に耳を傾け、御霊の声に耳を傾けます… 私たちはそれぞれの分科会の報告書の草案を作り、報告者が全体会合で行うスピーチの準備をし、共通の認識をさらに深めるために、分科会が全体会合に提起したいと考えている点に焦点を当てます」と説明した。
オロリッシュ枢機卿のあいさつと会議の進め方についての説明の後、参加者たちは討議要綱の モジュールB-1に示されたテーマに関するいくつかの意見を専門家などから聞いた。
(注:英国のドミニコ会の修道士で説教師の)ティモシー・ラドクリフ師からは、「井戸に水を汲みに来たサマリア人の女」(ヨハネ福音書4章7-30節」について霊的な考察があり、 英国のダーラム大学神学・宗教学部のンナ・ローランズ教授からは、「交わり:小羊の婚宴」というテーマでの神学的な考察がされた。
また、カトリック教会と正教会の神学対話国際委員会の共同委員長であるギリシャ正教のジョブ・ゲッチャ・エキュメニカル総主教からは、正教会に おけるシノダリティ(共働性)についての考察を述べ、 マレーシアのクラレンス・ダヴェダサン師は、「どのようにすれば私たちはより完全に神との結合、そして全人類の結合のしるし、手段となることができるのか」について語った。 香港出身のカトリック教徒、シウワイ・ヴァネッサ・チェン氏は、シノダリティ(共働性)と文化、特に「シノダリティとアジア文化」について語った。
この後、9日午後から分科会が再開され、討議要綱のモジュールB1をもとに分かち合いが行われた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
Briefing on Synod (Vatican Media)
(2023.10.6 Vatican News By Salvatore Cernuzio)
シノドス総会情報委員長のパオロ・ルッフィーニ・バチカン広報省長官は5夕、二度目の記者会見を行い、5日の段階で351人による35の作業部会で取り上げられ、自由な意見交換もされている「家庭としての教会」「虐待」などのテーマの概要を説明。 私たちはできる限りのことを皆さんに提供できるよう、毎日最善を尽くします」と約束した。
長官によると、5日の作業部会は、司祭、神学生、信徒、カテキスタなど「全員」の参加の確認に始まり、「誰もが居場所を持つ家庭としての 教会」「祈り」「女性や一般信徒、叙階された聖職者、そうでない人の役割」「 聖体と神の言葉の中心性」、 そして「教会の選択肢としての貧しい人々の重要性」「移民難民、虐待、迫害と苦難の中で暮らすキリスト教徒の問題」などが主なテーマとなった。 参加者は、戦争中の苦しみについての感動的な物語を聞いたウクライナ人に拍手を送った。
また会見に同席した情報委員会事務局長のシーラ・ピレス氏は、「非常に会議的」な雰囲気で会合する予定のさまざまな作業部会について、「人々はお互いのことを知り始めている… 私たちは本当に一緒に歩んでいます」。 もちろん「緊張感もないわけではない」が、なによりも「楽しい」雰囲気が進めらている。
そして、アフリカ南部でカトリックとのコミュニケーションに長い経験を持つモザンビーク人にとって、最も興味深い点は、各グループに異なる大陸からの人々が集まっている、という事実であり、「例えば、私のグループには、アジア、アフリカ、北米、そして欧州の人々がいます。 多様性があり、友愛の精神があり、共に歩みたいという願望を持っています」と参加しての印象を語った。
またルッフィーニ長官は、 作業部会で扱われているテーマの中で、特に「すべての人を歓迎する家庭としての教会」に注目し、 「これは総会の会議で繰り返し取り上げられるテーマの一つです」と述べ、「エキュメニズムと宗教間の対話」「若者の認識と女性の参加の重要性」なども主要テーマとして挙げた。
そして、教皇が総会の冒頭で述べたように、優先事項は「耳を傾けること」であり、「聴く ことだけでなく、聴くことを学ぶことは、シノダリティ(共働性)に関するこのシノドス総会の初めの数日間の課題であり、いくつかの祈りの瞬間が散りばめられています。それは熟考と洞察力を助ける休みの時」とピレス氏は述べた。
「友情の絆」を強めることも重要な課題、と長官は指摘し、 「作業部会の小さな集まりから友情が生まれ、皆で教会が何を必要としているかを理解しようと努めました。… 確かに困難はあったし、常にある、と言われていますが、苦しむキリストの肉体を思えば、多くの障壁はなくなるでしょう」と付け加えた。
長官は、現在行われている作業部会では、「教会法典などの教会の仕組みの改定、教皇庁の規模、そしてやはり組み立て」や「 東西関係」にも焦点が当てられており、「移民・難民問題」では、彼らに寄り添い、司牧者としての司教たちの奉仕がその基本になること、「女性の役割」については、教会における促進、教会活動の様々なプロセスに女性を積極的に参加させることの重要性が繰り返し述べられているという。「若者」や「貧困者」への懸念にも強い関心が集まり、「対応の遅さ」を克服する必要も指摘されている、という。
移民という現象に関しては、移民の同行と牧師としての司教の奉仕の必要性が「この同行の基本である」と繰り返した。 女性の役割については、教会における女性の役割を促進し、さまざまなプロセスに女性が積極的に参加することの重要性が繰り返し語られた。 若者や貧しい人々についても同様の懸念が示され、ある種の「遅さ」を克服することが求められていました。
アッシジの 聖フランシスコの 回心の きっかけとなったサン ・ダミアーノの 聖十字架が会場のパウロ6世ホールに置かれているが、 作業部会での議論で、 「(この聖人に倣って、『教会を修復する』というテーマも浮上しました。(…)奉仕に身を置く人々は、教会を修復し、診断と予後を提供し、純粋な心で時代のしるしを読み取るのです」と説明。
作業部会では、「教会として、また信者として、キリストに似ていないものすべて」と「福音に適合しないものすべて」を取り除くことの重要性も強調され、「重要な点の一つ」として、「モノを懸命にため込むよりも、奉仕に徹すること 」も強調されたという。さらに、参加者たちは 「シノダリティ(共働性)は教会のDNAの一部である」という点で同意した。
さらに、「迫害を受け、あるいは国家危機の重大な状況の中にいて、総会に出席できなかった世界の人々に思いを向け」、とくにロシアの軍事侵略の長期化で苦しみ続けるウクライナの教会に注目が集まり、「ある発言には、賛意を示す拍手も起きましたが、これは、戦乱の中にある人たちとの交わりを感じる手段の一つとなりました」と長官は説明した。
とりわけ、ウクライナの「苦しむ教会」に注目が集まった。「拍手を誘発する言及があった」とルフィニ博士は述べ、これは「戦争中の人々との交わりを感じる」方法だと説明した。 苦しみ続けているウクライナのキリスト教徒とともに。 別の拍手が、理由は異なりますが、今日誕生日を祝うレティシア・サラザール姉妹と、司教叙階記念日にちなんでチャールズ・シクルーナ大司教に捧げられました。
会見では、複数の記者から、シノドス総会に関する米国のテレビ番組で 5日に放映された、教理省の前長官、ゲルハルト・ミュラー枢機卿のインタビューに関する質問が出された。
質問によると、このインタビューで、枢機卿は、教皇フランシスコが「公の発言を”断食する”ように」とシノドス総会の参加者たちに求めたことに、不快感を覚えた、と述べたといい、記者の中には、 「懲罰」が考えられているのか、との問いかけもあったが、長官は、 「(懲罰は)誰によってされるのですか?私によってですか?」と冗談交じりに答えたうえで、 「沈黙の中に識別力がある。あなたを罰する憲兵はいない… 総会は、自らに”活動の一時停止期間”を課した兄弟姉妹の集まりです。教皇が参加者に求めたのは個人的な識別力です。 私たちが話していることをあなたに説明する際にもそうです。 識別力は人それぞれに委ねられているのです」と説明した。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)