シノドス総会第1回全体会議 教皇フランシスコと、グレック枢機卿(中)、オロリッシュ枢機卿(左) 2023年10月4日 バチカン・パウロ6世ホール (Vatican Media)
(2923.10.5 バチカン放送)
世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会・第1会期は4日午前、教皇フランシスコが司式したバチカンの聖ペトロ広場での開会ミサの後、同日午後、パウロ6世ホールで第1回全体会議が行われた。
会議では、教皇フランシスコのあいさつに続いて、導入の言葉に続き、シノドス事務局長のマリオ・グレック枢機卿のあいさつ、総会議長のジャン=クロード・オロリッシュ枢機卿による基調講話があった。
グレック枢機卿はあいさつで、「岐路に立つ今日の教会は、神学的、教会学的な課題以上に、「すべての人々にとって、神の愛のしるし、道具となることに召されています」とし、「教会が神の愛のしるし、傷ついた人類をいやす薬となること」を願った。
さらに、「教会とシノドスとは同義であり、シノドス的教会とは、『人々の声に耳を傾ける教会』であると同時に、今日、神がお望みになることを理解するために、伝統の光のもとに『御言葉に耳を傾ける教会』でなけらばなりません」と述べ、シノドスのプロセスは普遍教会と地方教会との間の相互の内在性に基づくものであり、使徒の時代のように「心も魂も一つ」になることを体験するために、教会内の多様な賜物とカリスマをもって、互いの傾聴という形で表されるもの、と話した。
そして、「今回のシノドスで初めて、信徒・修道者・助祭・司祭たちが『会議のメンバー』という完全なタイトルを得て参加していること」を強調した。
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続いて総会議長となったオロリッシュ枢機卿が基調講話を行い、「私たちが話す言葉が少しずつ変わっていくように、シノドスの表現法も時代とともに変わっていきますが、『カトリック性』という文法は変りません… 私たちはシノドスのあり方、表現を学ぶように招かれています」とし、「教会は、キリストを中心に置きながら歴史の中を歩む神の民… 主に眼差しが向けられている時、自分と異なる考えを持つ人に気を取られることはありません。重要なのは、所属しているグループではなく、キリストの教会の中を、キリストと共に歩むことです」と強調した。
次に、今総会の進め方などについて①識別のための4つの考察プログラムと5つ目の討議で構成されること②祈りに多くの時間を割くこと、③分科会では「聖霊のもとに会話する方法」をとり、互いの違いを尊重しつつ、誰もが自分の考えを語ること、などを説明した。そして、今総会の最終的な目標は、「合意に達した点や、さらなる考察が必要と思われる点などを示す、来年の同シノドス総会・第2会期に向けたロードマップ作り」にあることを強調した。
(編集「カトリック・あい」)
Pope Francis presides at Holy Mass with the new Cardinals and the College of Cardinals for the opening of the General Ordinary Assembly of the Synod of Bishops (Vatican Media)
(2023.10.4 Vatican News By Christopher Wells)
教皇フランシスコは4日午前9時から聖ペトロ広場で、第16回司教会議通常総会の開会ミサを、およそ2万5千人の信者たち を前に、新任を含む120人の枢機卿、370人のシノドス参加司教と共に捧げられ、「信頼と喜びをもって、聖霊と共に歩もう」と呼びかけられた。
シノドス総会開会を付ける荘厳ミサは、 教会、教皇、司教たち、そして教皇に託された群れ、そして一般の指導的立場にある人々、男女すべてへの神の保護と祝福を願う伝統的な聖歌Laudes Regiaeで始まった。
教皇はミサ中の説教で、その前に読まれたマタイ福音書に記されたイエスの地上での宣教における「困難な瞬間」を思い起こされ、 「イエスは、先を見ることのできる眼差しを持っておられます。イエスは御父の知恵をたたえ、目に見えないところで育つ善いもの、素朴な人々に歓迎される御言葉の種、夜でも歩むべき道を示す神の国の光を、識別することがおできになります」と語られた。
そして、シノドス総会の開会に当たって、「私たちには、人間の戦略、政治的打算、イデオロギー的闘争で構成される”まったく自然”なビジョンは必要ありません。それよりも、 私たちは御父を祝福し、疲れ抑圧されている人々を喜んで迎えてくださるイエスの眼差しと共に歩むためにここにいるのです」と強調。
さらに、「イエスは、拒絶に直面しているにもかかわらず、失望に囚われることなく、御父に目を向け、嵐の中でも落ち着きを保っておられます… そして イエスは、私たちが神の働きを深く思いめぐらし、現在置かれている状況を識別できる教会となるよう、求めておられます」とされたうえで、 「分裂的で論争的な精神を持って今日の困難な課題と問題に顔を向けるのではなく、交わりである神に目を向け、畏敬と謙遜の心を持ってイエスを祝福し讃え、唯一の主としてイエスを認めるように」と語られ、 ベネディクト16世の言葉を引用しながら、シノドス総会が直面する「根本的な課題」は、「神が今の人々に語られた現実を、人々の救いとなるように、どうやって伝えるかにある」と指摘された。
また教皇は、「イエスはその生涯を通じて、最も弱い者、苦しんでいる者、見捨てられた者たちに対して、父なる神の喜びを持って迎える眼差しを向けておられ、私たちを 喜び迎える教会に誘い、恐れることなく互いに出会うことを可能にする心を持つよう、 呼びかけておられます… シノドス(共働)的な対話の中で神の民として共に歩む素晴らしい『聖霊における旅』で、私たちは主との一致と友情を深め、現代の課題を主とともに見つめることが可能となります」と説かれた。
教皇は説教の最後に、神の民に向けて、今日祝われている聖フランシスコの足跡をたどるように勧められ、 イエスが聖フランシスコに「行って私の教会を修復しなさい」と呼びかけられたことを取り上げて、「今回のシノドス総会は、私たちに、母である教会がいつも浄化を一つ用としていることを思い起させるものとなります」と強調され、世界の信徒たちに、 「謙虚さと一致、祈りと慈善、という福音の武器のみを取るように」と促された。そして、「シノドス総会は 政治的な集会ではなく、聖霊において招集されたもの。二極化した議会ではなく、 恵みと交わりの場です」とされ、 「聖霊は、私たちの予測や消極的な姿勢を超える新しいものを創造するために、しばしば私たちの予想を打ち砕きます… 総会の主人公である 聖霊に心を開き、 信頼と喜びをもって神と共に歩みましょう」と呼びかけられた。
**********(バチカン放送より)
「共に歩む教会のため − 交わり、参加、そして宣教」をテーマとする「世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会」は、初めての試みとして、地方教会レベル、大陸レベル、世界レベルにおける、3ステージを持った、一つの大きな「歩み」として準備されてきた。
2021年10月10日、バチカンでの開幕ミサをもって同シノドスの歩みが始まり、この後、2022年夏まで、第一ステージ、地方教会レベルでの、集い・傾聴・識別などの作業が行われた。次いで、2022年秋から2023年春にかけて、第2のステージである大陸レベルでの会議・考察・提案・総括などの歩みが続いた。
そして、「共に歩む教会のため」というテーマのとおり、地方教会から始まり、大陸別の集いと作業を経て、教会内のあらゆる役割の多くの人々の参加・協力を交えながら入念に準備されてきた同シノドスは、ようやく最終ステージである、ローマでの世界代表司教会議・総会の第1会期(2023年10月4日〜10月29日)を迎えるに至った。総会の第1会期終了後は、2024年秋開催の第2会期に向け、同シノドスの歩みは続いていく。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
(2023.10.2 Crux Senior Correspondent Elise Ann Allen)
教皇、枢機卿5人の”疑問”に返答-同性カップルの祝福は慎重な”Yes”、女性司祭は”No”(Crux)
(14行目)カトリックの啓示と教会の教導権に沿っ他者 たもの であるか、の問いに対して、教皇は
(16行目)『部分的かつ類似した方法』に によるものと限定的に理解され
ローマ – 教皇フランシスコは2日、4日から始まる世界代表司教会議(シノドス)総会に関して、保守派の有力枢機卿5人が提起した批判的な問いについての回答内容を公表。その中で、 女性司祭叙階について、なお研究する余地を残しつつ、それを禁じる現在の教会の方針をおおむね支持する一方、同性カップルに祝福を与えることにについては、結婚の秘跡を混同しないことを条件に、前向きな姿勢を示した。
教皇は7月に、5人に対して回答していたが、公表は2日となった。 5人の保守派枢機卿は9月29日に、教皇に宛てたdubia(疑念の文書)を公表していた。この文書は、女性の司祭叙階、同性愛者の祝福、拘束力のある教義を公布するシノドスの権限などについて、教皇の考え方を問うもので、 7月10日に教皇に提出し、翌11日に回答を受け取ったが、dubiaに対する伝統的な答え方である「Yes」No」となっていなかったため、質問の表現を明確にしたうえで、改訂版を8月21日に提出した。だが、返答を得られなかったため、シノドス総会開幕直前に、公表に踏み切った、という。
これに関して、バチカン教理省の長官に就任したばかりのビクトル・フェルナンデス新枢機卿から教皇宛てた9月25日付けの書簡が2日に公表され、その中には7月に提出された5人の枢機卿のdubiaに対する教皇の回答が含まれていた。
*同性カップルの祝福はケースバイケース—だが「結婚」はあくまで男女間の解消不可能な結びつき
それによると、同性のunions(注:結合あるいは結婚などと訳される)を 祝福する慣行がカトリックの啓示と教会の教導権に沿ったものか、の問いに対して、教皇は、「教会は結婚に関して、非常に明確な概念を持っています。それは、結婚とは、男性と女性の間の排他的で安定した解消不可能な結びつきであり、子供たちを授かることが自然のこととされています」とし、 「このunionだけが『結婚』と呼ばれる。unionの他の形は、『部分的かつ類似した方法』にによるものと限定的に理解され、それが、厳密には『結婚』と呼ぶことができない理由です… 結婚の秘跡は、単なる『理想』をはるかに超えたものであり、教会が、この確信に反し、結婚として認められないことを意味する可能性のある儀式や秘跡のあらゆる形を避けるわけは、そこにあります」と言明。
そのうえで、同性愛の個々の人々に対して司牧上のケアで、深い思いやりを持つ必要があることを強調、同性によるunionに、ケースバイケースで祝福を与えることに前向きな姿勢を示し、 「人々と関わる際に、司牧的な慈愛を失ってはなりません。それは私たちの判断と振る舞いのすべてを通してです… 客観的な真実を守ることだけが慈愛の表現ではなく、親切、 忍耐、理解、優しさ、励ましもそうです」とされ、 「したがって、私たちは拒否し、否定し、排除するだけの”裁判官”になってはなりません」と答えている。
そして、この理由から、「司牧的な思慮深さにおいて、結婚について誤った概念を伝えないような祝福の形が、さまざまな人々によって求められているかどうか、適切に見極めねばならない。それは、 祝福を求めるとき、神からの助けを求め、より良く生きることができるようにと祈り、より良く生きるよう助けてくださる父への信頼を表明していることになるからです」とする一方で、 「特定の状況では、司牧的慎重さが求められる可能性がある決定は、必ずしも規範による必要はない」とし、そうした趣旨の規範を作ることに否定的な考えを示した。
*ドイツ教会の”シノドスの道”-司教協議会がすべてをカバーすることはできない
また、教会のこれまでの規範などを壊す動きとして物議を醸しているドイツ教会の”シノドスの道”の歩みに関連して、教皇は「教区、司教協議会、その他の教会組織にとって、あらゆる種類の問題に対して常に公式に手順や儀式を適用しようとすることは適切ではありません… 特定の状況に直面した際の実際的な識別に関するものは、いかなるものも、規範のレベルに引き上げることはできず、耐え難い不自然さを引き起こすことになるからです」とし、さらに 、「教会法はすべてをカバーしてはならないし、すべてをカバーはできない。さまざまな文書や議定書を備えた司教協議会も、すべてをカバーできると主張することはできません。なぜなら、教会活動は規範的なものに加えて多くのルートを通ってなされるからです」と述べた。
*女性の司祭叙階—聖ヨハネ・パウロ二世の「不可能」との判断は支持するが、それは女性蔑視ではない、女性には教会で重要な役割
女性の司祭叙階について、教皇は、第二バチカン公会議の「教会憲章」を引用し、「すべての信者の共通祭司職と司教及び司祭の職位的祭司職は、本質的に異なる」が、「信者の共通祭司職を、”第二分類”あるいは、価値の劣るもの(劣後したもの)のように考えることを意味する、程度の違いを支持するのは適切ではありません… 二つの祭司職は互いを照らし、支え合うものです」としたうえで、これまで通り、「女性を司祭叙階することが不可能なこと」を権威をもって確定した聖ヨハネ・パウロ二世教皇の判断を支持した。
ただし、 ヨハネ・パウロ二世は「決して女性を蔑視したり、男性に最高権限を権力を与えたりしたわけでありません… 尊厳や神聖さではなく、職務上のこととして、祭司の権限について語られたのです」と説明。 「彼の言葉の真意を、私たちは十分に受けとめていない… 司祭の務めを果たすことは、ある人が他の人よりも優れていることを示すものではないし、 支配の一形態として理解されるべきではなく、『キリストの手足の神聖さ』を構成することなのです… もしこのようなことが理解されなければ、司祭としての役割が男性だけに与えられていることを受け入れるのが難しくなり、女性の権利や、女性たちが様々な形で、教会における主導的な役割を担う必要があることを認識できなくなるでしょう」と強調した。
*神の啓示は、文化の変化に応じて、より良く解釈されるべきもの
また、文化の変化に応じて神の啓示を再解釈すべきかどうか、との問いには、「判断は、『再解釈する』という言葉にどのような意味をもたすか、によります。それが『より良く解釈される』という意味なら、その言葉 は有効です」とし、 「神の啓示が不変で常に拘束力をもつのは事実ですが、教会は謙虚で、主から受けた計り知れない富を決して使い果たさず、啓示への理解を深めていく必要があることを認識する必要があります」と答えた。
そして、教会自身と教導職についての教会の理解は、 時が経つとともに成熟し、 「文化の変化や新たな歴史的課題は、啓示を変えるものではありませんが、常に、さらに多く与えられる豊かな富のいくつかの側面をより明確にするように、私たちを刺激する可能性があります」と語った。
*「シノダリティ(共働性)」は教会活動に不可欠な要素
また、「シノダリティ(共働性)が教会を構成する要素か、教会が生来、シノダリティであることを意味するのか、という問いには、 教皇は、「教会は『福音宣教の使命を帯びた交わりの神秘』だが、この交わりは、情緒的、あるいは霊的なだけでなく、 必然的に実際の参加を意味します… その 階層構造と様々な生き方をする様々なレベルの神の民全体が、互いの声を聴き、教会の旅を担っていると感じることができる。 この意味で、形態として動きとして、教会活動に欠かすことのできない要素である、と言えます」と述べた。
また、世界の人々の多様性を無視して、「一つの集団を喜ばせるような、シノダルな方法論を神聖化したり押し付けたりし、すべての人にとっての規範と義務とするような試みに陥らないように。それは世界中の教会の多様性を無視し、”シノドスの道”を” 凍結”させるだけです」と警告した。
*「告解」は、罪の赦しを受ける権利の行使
告解の秘跡が罪の赦しを受ける必要条件か否か、については、「赦しを受けるのは人の権利」という自身の持論から、「答えは”Yes”です」とし、 「告解は、秘跡による赦しの有効性のために必要であり、二度と罪を犯さないという意図を示すもの。ここには数学は存在しない。告解場は”税関”ではない、ということを改めて思い起こさねばなりません」と指摘した。
さらに、「私たちは”主人”ではなく、信徒を養う秘跡の謙虚な”管理者”です。秘跡という主の賜物は、保存されるべき”遺物”ではなく、人々の生活にとっての聖霊の助けだからです… 自尊心が強い人々にとって、罪や悪行を認めることは残酷な拷問ですが、告白という行為は、回心と神の助けを求める象徴的な表現です」と述べた。
続けて教皇は、「私が覚えておきたいと思うのは、司牧活動の中で無条件の神の愛に多くの場を作るのが、負担になることがある、ということです。しかし、私たちは学ばねばなりません… 信徒たちに、結果として抽象的になったり、自己愛に陥るような、余りに正確かつ確実な解答を求めてはなりません」とし、ヨハネ・パウロ二世が1996年に米国のウィリアム・バウム枢機卿に送った手紙を引用する形で「新たな秋(注:シノドス総会)についての予測能力さえも、決意の信頼性を損なうことはない」と締めくくった。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.
Cardinal Raymond Leo Burke, left, talks with Cardinal Robert Sarah, right, as he arrives for the presentation of his book “Divine Love Made Flesh” in Rome on Wednesday, Oct. 14, 2015. (Credit: Andrew Medichini/AP.)
ローマ発 –4日に始まる世界代表司教会議(シノドス)総会を前に、 カトリック教会の保守派を代表するとされる5人の枢機卿が、教皇フランシスコに対し、女性の司祭叙階と同性カップルの祝福、そして拘束力のある教義を公布するシノドスの権限についての新たなdubia(疑念)を提起した。
新たなdubia は、2016年に教皇が出した使徒的勧告「(家庭における)愛の喜び」フランシスコの文書「アモリス・レティシア」とそこで示された離婚・再婚したカトリック教徒に関する見解ついての少数の枢機卿によるdubiaに続くもの。通常はその内容は公開されないが、2016年に教皇に提出したdubiaに対して本人から返答がなかったため、新たな形で今回の提出となった、という。
署名者は、ドイツのウォルター・ブランドミュラー枢機卿、米国のレイモンド・バーク枢機卿、メキシコのサンドバル・イニゲス枢機卿、ギニアのロバート・サラ枢機卿、元香港司教の陳日君・枢機卿の 5人。いずれも、4日に始まるシノドス総会の参加者に含まれていない。
また、ブランドミュラー枢機卿(94)、バーク枢機卿(75)は、2016年のdubiaの署名者で、バーク枢機卿は最近、保守団体「伝統・家族・財産(TFP)」が発行する小冊子の序文で、今回のシノドス総会を「分裂的」と批判していた。
新dubiaは「キリストの信者への通知」というタイトルで、「高位の聖職者のさまざまな発言… 教会の揺るぎない教義と規律に公然と反するもの、信徒や善意の人々の間に大きな混乱と誤謬をもたらし、今ももたらし続けていることに対して、教皇を支える責任を持ち続ける立場から、申し上げたい」と前置きしている。
5人によると、新dubiaはは7月10日に教皇に提出し、翌11日に返答を受け取った。その時点では教皇の返答を公開しなかった。それは返答が自分たちに宛てられたもので、公開することを前提としていなかったからだが、教皇の書簡が、bubiaへの返答の「慣例に従ったものでなかった」ことから、 「教会の揺るぎない教義と規律に基づいた明確な返答を引き出す」ために、質問の言葉を変えた改訂版を8月21日に再提出したが、「まだ返答は得られていない」という。
新dubiaのオリジナル版は、文化の変化を踏まえた神の啓示の解釈に焦点を当て、 同性結婚の祝福。 「教会の構成要素」としてのシノダリティ(共働性)、 女性の司祭叙階。 そして、教皇が司牧者たちが「常にすべての信徒」の罪を赦す必要があると頻繁に主張していることを踏まえ、赦しを受けるために告解が必要か否か、などについて言及。
改訂版では、教皇の返答に感謝したうえで、新dubiaを提出することを決めたのは、「現代の人々との対話や、彼らがキリストの福音についての問うことを恐れたたためではない」とし、 「私たちがdubiaを提出する動機となったのは、人々の心を変容させる福音の力に疑いをもち、健全な教義ではなく「自分自身の好みに合わせた教え」を信徒たちに語ってしまう司祭たちが いることへの懸念だ、と説明。
さらに、「 神の憐れみは、『私たちの罪を覆い隠すことではない、戒めを守ることによって神の愛に応えること、回心し福音を信じること、を可能にするという点で、 それよりはるかに大きなものだ』と理解されることに懸念を持っている」と述べている。
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だが、枢機卿たちが提起した疑念に対して、教皇の返答は、疑念を解消するものではなかったので、提起した5つの疑念に対して、YesかNoで応えてくれるように、次のように改訂版で表現を変えて、改めて求めた、としている。その内容は次のようなものだ。
①今日の教会が、ex cathedra(教皇が持つ権能のうち、最高のものとされるもの。またその行使による教理宣言。聖座宣言、または教皇座宣言)によってであれ、公会議の決定であれ、あるいは世界中の司教の普遍的な教導職であれ、信仰と道徳に関してこれまで教えてきたものに反する教義を教えることは可能でしょうか?
② 状況次第で、司祭が同性愛者の間のunions(注:結合、結婚、性交などと訳される)を祝福し、同性愛的な行為自体が神の律法や、彼らの神への旅に反しないとすることがあり得るでしょうか? この疑問に関連して、別の疑問を提起する必要があります-普遍的な通常の教導職によって支持されている教え、つまり結婚以外のあらゆる性的行為、特に同性愛的行為は、それがなされる状況や意図に関わらず、神の律法に反する客観的に重大な罪を構成する、という教えは 有効であり続けていますか?
③ローマで開かれる今回のシノドス総会—選ばれた司祭たちと信徒たちの代表のみで構成される総会—は、発言するように求められている 教義的ないしは司牧的な課題において、教皇に委ねられ、教皇と共にある司教団に属する教会の最高権威を執行するのでしょうか?
④将来において、教会は女性に司祭叙階を授与する権限をもつことになり、そうして、洗礼を受けた男性によるこ の秘跡の占有は教会が変更することのできないthe Sacrament of Ordersの本質そのものである、ということが否定されるのでしょうか?
⑤告解した人が、犯した罪を認めながら、再び罪を犯さないとの意思表明をいかなる形にせよ拒んだ場合、正当な赦しの秘跡を受けることができるのでしょうか?
新dubiaに署名した枢機卿5人は、この 「キリストの信者への通知」で、最後に次のように述べている。
「ここで提起した問題の重大さを、特にシノドス総会を目前に控えていることを考慮して、信者の皆さんに、その内容をお知らせすることが私たちの義務であると判断しました。皆さんが 混乱、誤り、落胆にさらされることがないように… 信者の方々は、普遍教会のために、そして特に教皇のために、福音がれまで以上に明確に教えられ、これまで以上に忠実に守られるように、祈らなねばなりません」。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.
親愛なる兄弟である司教の皆さま、
「2021 年 10 月に教皇フランシスコが全教会をシノドスに招集して以来、神の民は動き始めて」(『討議要綱』1項)おり、そして今わたしたちは、神の民の意見聴取から始まったこの歩みにおいて、新たな節目を迎えています。あと数日と迫った10月4日、教皇はシノドス第16回通常総会「共に歩む教会のために―交わり、参加、そして宣教」の第1会期を開会します。
「祈りなくしてシノドスなし」 (教皇フランシスコ「2022 年10月の祈りの意向」)。シノドスとは、何よりも祈り、耳を傾ける行事であり、シノドス総会の参加者だけでなく、洗礼を受けたすべての人とすべての部分教会を巻き込むものです。実際、この時、私たち全員が祈りの交わりのうちに一致し、主が今日の教会に何を求めておられるかを識別するために私たちを導いてくださるよう、聖霊に熱心に呼びかけるよう求められているのです。
それゆえ私は、各自の部分教会において「一致の目に見える原理であり、基礎」(『教会憲章』23項)であり、ゆだねられた神の民のための祈りの第一の担い手である皆さんに手紙を書いています。それは、全教会から「熱心な祈り」(使徒言行録12章5節)が、教皇フランシスコとシノドス総会のすべての参加者のために、神に届けられるためです。
皆さんがシノドスのために祈り、各自の部分教会のあらゆるキリスト教共同体、とりわけ観想修道会の一致した熱心な祈りを勧めてくださるようお願いします。祈りは、あらゆる司教にとって、団体性に基づく行為においてふさわしい参加の一形態であり、普遍教会のために心を向けていることの明らかなしるしなのです(司教省『アポストロールム・スチェソーレス』13項参照)。
さまざまな祈りの形態は、教会のシノドス的生活の多次元的な表現にすぎません。何よりもまず、祈りとは耳を傾けること です。教皇はシノドスの旅の冒頭で、次のように語りました。「シノドスはわたしたちに、耳を傾ける教会になる機会を与えてくれます。立ち止まって耳を傾けるために、日常から抜け出し、司牧的関心を一旦ストップするのです。(教皇フランシスコ「内省の時」ローマ、2021年10月9日)。
祈りの第一歩は、神の言葉に耳を傾け、霊に耳を傾けることです。洗礼を受けたすべての人による、シノドス総会の展開に対する第一の貢献は、霊の声が教会の識別にとって必要条件であるという確信のもとに、神の言葉と霊に耳を傾けることです。
祈りの第2の形態(顔)は崇敬の祈り です。教皇は次のように述べています。「今日、私たちはどれほど崇敬の祈りを欠いていることでしょう。多くの人々が、習慣だけでなく、神を礼拝するということの意味そのものを見失ってしまっているのです」(同、ローマ、2021年10月9日)。
ですから、耳を傾けたあとには、神がご自身の教会に語られていること、そして霊が今日の教会に呼び覚ましていることに、畏敬の念をもって、崇敬を表す沈黙が続くべきです。これまで歩んできたシノドスの道は、私たちを驚きと畏敬の念へと導き、私たちのまなざしを、あきらめの悲しみ(ルカ24・17参照)から、復活した方の現存を自分たちのただ中に発見した人々の喜びの使命(ルカ福音書24章33節参照)へと転換させるのです。
祈りの第3の顔は執り成しの祈り です。私たちは執り成しの祈りの力を信じるべきです。それは神のみ旨を、自分の意志に寄せてくることではありません。むしろ、「執り成し」とは、主が命を与える霊の力で、私たちの心を照らしてくださることによって、私たちが主のみ旨を識別し、実行できるように願うことなのです。
また「執り成す」ということは、責任を担うことでもあり、神の前で自らの参加と関与を宣言することでもあります。「執り成す」とは「私は関心があります、参加します、それは私のものです」と公言することです。シノドス総会のため、その参加者全員のため、そして何よりもまず、たびたび私たちに自らのために祈るよう願う教皇のために執り成すことは、参加の最高の形です。
最後に、親愛なる兄弟の皆さん、祈りとは感謝 であり、私たちのすべての働きとキリスト教共同体の生活のうちに、神のわざと恵みが先に存在するのだと理解すべきです。
教皇は言われました。「感謝の祈りは、常にこのことを起点としています。つまり、恵みは、私たちに先立って与えられることに、気づくことから始まります。私たちは、考え方を学ぶ前から、考えられていました。愛し方を知る前から、愛されていました。自分たちが望む前から、望まれていました」(教皇フランシスコ「一般謁見講話」2020年12月30日)。感謝の祈りは私たちを、自分自身の中に閉じこもった状態から、神が教会の中で働き続けておられることをすべて発見できる、開かれた状態へと駆り立てる、真の「癒し」なのです。
親愛なる兄弟の皆さん。耳を傾けること、崇敬、執り成し、感謝の祈りをもって、霊の力のうちに、洗礼を受けたすべての人に関わる行事であるシノドス総会に、教会共同体全体があずかることになります。 とりわけ10月1日、年間第26主日(A年)に、皆さんがシノドス総会のための祈りを強調し、ミサ中の説教、共同祈願、派遣の祝福の中で、シノドス総会のことを思い起こすよう、お願いします。そのために、共同祈願と派遣の祝福に使用することのできるテキストをいくつか添付します。
シノドスの旅において、各自の部分教会を導いておられる皆さんの配慮に感謝し、また、私たち教会の旅において、交わりと喜びに満ちた希望の賜物を花開かせてくださる主に感謝しつつ、皆さんと、また全教会を代表する皆さんの奉仕職のために、心よりお祈りいたします。どうか、主の霊が私たちを照らし、その御旨の道へと、いつも導いてくださいますように。私たちを生かし(詩編119章50節参照)、その中に私たちが喜びを見出すのは、主の言葉だけだからです。
シノドス事務局長 マリオ・グレック枢機卿
添付資料:
1.「派遣の祝福―年間第26主日」(典礼秘跡省による規範版)
2.派遣の祝福の各国語訳例
3.週日のための「執り成しの祈り」
4.主日のための「執り成しの祈り」―年間第25、26主日
シノドス第16回通常総会サイト:Without prayer there will be no Synod
(編集「かとりっく・あい」)
Cardinal Christoph Schönborn
(2023.9.19 Vatican News By Andrea Tornielli)
10月4日から始まる世界代表司教会議(シノドス)通常総会を前に、総会の行方に大きな影響力を持つウィーン大司教、クリストフ・シェーンボルン枢機卿がこのほど、 Vatican Newsとの会見に応じた。
会見で枢機卿は、今総会での課題を要約して、「総会のテーマとなっている『シノダリティ(共働性)は、教会的交わりのmodus operandi(仕方) であり、統治の問題、教会活動の諸側面への参加です。シノダリティをテーマとする今回の総会の課題は、いかにして教会的交わり、教会の民全員が共にする旅を福音的な仕方で進めるか、にあります」と語った。
そして、教会的交わりを強調することは、UT UNUM SINT(ヨハネ福音書17章21節=「すべての人を一つにしてください」というイエスの父への願い)があらゆるものに優先されていることを理解するのに役立ち、それに関する諸課題について提案、議論が総会でなされることに期待を表明した。
問:「シノダリティ」をテーマとする今年、来年の2回にわたるにシノドス総会の1回目が間もなく始まります。一連の総会から、どのような成果が生まれることを期待しますか?
答: まず申し上げたいのは、 この総会では多くのことが起きる可能性がありますが、何が起きるか、私たちには分かりません。 教皇フランシスコは、私たちを「耳を傾ける」「識別する」というかなりユニークな道に導かれました。 これらは常に行われなければならないことであり、教会の活動にとって基本的なことですが、教皇は識別力の問題、つまり「主は、私たちに何を示しておられるのか」という問題をより明確に強調されました。 神は、私たち、そして今日の教会に、何を望んでおられるのでしょうか? 総会は、この識別の道を深め、学び、経験する試みです。
問: 数年前、ウィーンの教会で、教区シノドスが開かれましたね。そこで何が起こりましたか?
答: それは”シノドス”ではなかったので、少し説明が必要でしょう。「教区シノドス」 には、教会法で定めた非常に正確な定義があります。 私には、それとは別の「教区集会」を考え、多くの信者の賛同を得て、実施したのです。5回開き、 それぞれの教区、教育機関、修道会など、私たちの教区のあらゆる現場から 1400 人から1500 人の代表が参加しました。 その基本は、教皇フランシスコが何度か言及した、(新約聖書の)使徒言行録にある「使徒会議」のイメージです。 私が教区の司祭、信徒たちに提案したのは、主と共に歩む旅で経験したこと、神が私たちの生活の場や小教区で何を気付かせたのか、 秩序を持って互いに話し合うことでした。
問: そのプロセスで最も印象に残ったことは何ですか?
答: 使徒言行録に示された方法論でした。 当時の生まれたばかりの教会共同体では、キリスト教徒になろうとする異教徒たちに問題がありました。洗礼を受けるべきか?洗礼を受けた 場合、ユダヤ教の律法も守り続けねばならないのか?それともキリストへの信仰で十分なのか? この大問題を解決するために、彼らは自分たちの経験を振り返り、いくつかの識別をしました。まずペトロが 話し、次にパウロとバルナバが話し、最後に集会全体が互いに耳を傾け、祈りました。そして 最終的に、「聖霊と私たちが決めたことは…」という結論を導き出しました。
2015年に教皇フランシスコが、シノドス設立50周年記念の式典で、シノドスについてのご自身の講話の前に、私に話をするよう頼まれ、私は、使徒たちの 原始キリスト教会の経験について語りました。 この道、教皇が何度も繰り返しておられる、「語り、耳を傾け、識別する道」が、私たちが今、歩み続けている”シノドスの道”にふさわしいものだと考えています。
問: ウイーン教区集会の結果はどうなりましたか?
答: 私たちが教区でやろうとしたことは、私たちの間の親睦を深め、司牧的な取り組みを促進することでした。何かを決めるための 投票をせず、決議案も提出も文書も出しませんでした。自分たちの経験に照らして教会の活動についての課題を共有したのです。それが、 5回行われた教区集会のやり方でした。聖職者による性的 虐待の悲劇と、そらがもたらしている教会の信頼の危機という困難な時期に、非常に前向きな経験になりました。 私たちは、強い信仰と交わりの経験を持っており、それが私たちが落胆することなく前進するのに役立ちました。
問: 今回の総会のテーマ「Synod on Synodality(シノダリティに関するシノドス)」は、多くの人たちの 感性からかけ離れているように見え、やや専門的なタイトルのように思われますが ?
答: 1985年に開かれたシノドス第二回臨時総会に司教としてではなく、神学者として参加しました。テーマは「第2バチカン公会議の再確認」。第二バチカン公会議が閉幕して20年後に開かれたこの総会では、特定の具体的課題は設定されませんでしたが、「交わり」に関する議論が大半を占めました。 教会の本質的な特徴としても「交わり」です。
今回の、「シノダリティに関するシノドス」も同様のものだと思います。 シノダリティは非常に単純です。それは教会の交わりの在り方であり、統治の問題や決定、教会活動全般についても言えることです。 シノダリティに関するシノドスは、教会的交わりは、神の民全員による共なる旅は、どのように福音的なものとして生かされるのか、に関するシノドスです。
1965年以降に開かれたシノドス総会のほとんどは、具体的な課題を持っていました。 2014年から2015年にかけてのシノドスでは、悔い改めや家族などがテーマとなりました。今回の総会の「シノダリティ」というテーマは、第2バチカン公会議の貴重であった、交わりと交わりの在り方、シノダリティのさらなる一歩となることを目指しています。忘れてならないのは、シノダリティの旅は、 現代だけでなく、歴史の中でもなされてきた、ということです。ですから、シノダリティは、信仰において私たちの先輩だった人たちの旅を思い起すことにもなるのです。
問: 教皇フランシスコは、シノドスは祈り、聖霊の声に耳を傾け、互いに耳を傾け合い、識別することで成り立つ、と強調しておられます。 それは、多数、少数の論理に従う民主主義国の議会とは異なりますが。
答: 私たちは議会、本物の議会、議会制民主主義を有するすべての国に敬意を表します 。 少しだけ付け加えたいことがあります。当然ながら、議会は明示的に聖霊を呼び起こすわけではありません。世界の議会の中には、祈りの伝統をもつものが、まれではありますが、存在します。 私は、ベネディクト16世教皇の、イギリス議会で行った演説を思い出します。教皇は、「議会制民主主義においてさえ、何らかの形での識別が存在する、と指摘しました。イギリス議会における奴隷制度の廃止の決定は、この制度が人間の尊厳に反するという認識が議会での議論を通じて深まったことによるものだった、と語られたのです。確かに、シノドスは「議会」ではありませんが、そのことは、議会の機能が良くない、と言うことを意味しません。
問: では、シノドスと議会の違いはどこにあるのでしょう?
答: 違いは、シノドスでは、教会の様々な活動について常に全会一致を目指していますが、それは、独裁政権や共産主義の国の議会のように誰もが同じ投票をせねばならない、という意味ではなく、「一致に向けた緊張」をもったものなのです。 ほぼ満場一致に達するまで、真理の探求と善の探求を進める聖霊の声に耳を傾けることです。 これは私が知っている教区の評議会、さらにはシノドスでもやってきたこと。会議の運営規則で投票を差でめている場合は、決定のためには投票総数の 3 分の 2 の票を獲得しなければなりません。
また、シノドス総会は、教皇の諮問機関。立法機関ではないことも忘れてはなりません。 それは、耳を傾けること、聖霊に皆で耳を傾けることが求められます。 教皇フランシスコは、家族に関するシノドス総会と、今総会に準備のために、教区や国、大陸などの2段階または複数の段階での司祭、信徒の集まりを開くことを希望されていました。そして、そのまとめとなるシノドス総会も、今年と来年の2回開くことを望まれました。なぜなら、それが、全員一致への道であり、使徒たちの原始キリスト教会について、使徒言行録が書いているように「ut sin, cor unum et anima una(信じた人々の群れは心も思いも一つ・・)」でなければならないからです。その調和が、聖霊のしるしなのです。
問: 「聖霊の声に耳を傾ける」とはどういうことでしょうか? 具体的にどういう意味ですか?
答: 教皇は私たちに、霊的な会話の仕方を教えてくださいました。 それは何で構成されているでしょうか? 「敬意を持って、相手を受け入れ」ながら、「互いの話に耳を傾け」、「識別力を働かせ」、神の御心が何かを知ることです。 数年前に開かれた アマゾン地域シノドスでは、教皇フランシスコが、このことを会議の運営に反映するよう提案されました。 「識別力が欠けているように思えます。もっと識別力が必要です」と。
決定に至るために必要な識別力を持っていることをどうやって知ることができるのでしょうか? 識別力を働かせることは、教皇の統治に必要な技巧ですが、シノドス総会の運営、総会参加者の調和を図るための技巧でもあります。 私たちはこの「耳を傾ける」プロセスにおいて、教会としてのこれまでの経験を生かすことになるでしょう。当然ながら、総会で提起されるであろう 問題や今日的な課題は数多く、議論や意見の交換に多くの時間を費やすことになるでしょうが、常に「聖霊に耳を傾ける」ことが必要です。
問: 確かに、今回の総会に至る”シノドスの道”のこれまでにない特徴は、現地の教会を巻き込み、地域社会や教会から離れていた人々さえも巻き込んで、幅広く参加させ、その意見に耳を傾けよう、という試みにありました。 このようなやり方は重要ですか? 重要だとしたら、その理由はどこにあるのでしょう?
答:「内部」ではない、離れていった人々の声に耳を傾けることは重要です。それによって、私たちがよりよく識別できるようになるからです。 そして当然ながら、信者の方々の声に耳を傾けることが必要。 信仰の問題で信者の声に耳を傾けることに関する聖ヨハネ・ヘンリー・ニューマンの有名な本を読んでみてください。 第一バチカン公会議の時に書かれたこの小さな本は、シノダリティを模索する私たちにとって、とても参考になります。
問: 「神の民の信仰に耳を傾ける」とは、具体的に何を意味しますか?
答: それは 「sensus fidei(信仰の感覚)」です。 もちろん、これは統計では明らかにされません。 私たちが、信仰の感覚に耳を傾けることをしないなら、聖霊に耳を傾けていることにはなりません。なぜなら、神の民の「信仰の感覚真」の中に生き、認識されるものが十字架、神の民の信仰の核心だからです。
私が若い神学生だった時、ブルトマンの思想と Entmythologisierung (脱神話化) の考えについて学びました。 それは従来のキリスト教の信仰に対する根本的な疑問を投げかけるものでした。 家に帰ってそのことを母に話すと、熱心に聴いてくれた彼女は、しばらくして、驚いたような目で私を見て、こう言いました。「でも、もちイエスが生ける神の子でなければ、私たちの信仰は空っぽになってしまう」と。
母がいつも私に教えてくれたことは、神の民、素朴な人の信仰、神の民の信仰に耳を傾けることでした。 これが、教皇フランシスコが強調する「大衆の信心」「人々の信仰」であり、アマゾン地域シノドスの最終文書の中に見られる主張の要点です。(同じドイツ人で高名な進歩派神学者 )ハンス・キュンク師と危機的な関係にあった時、当時のラッツィンガー枢機卿(後のベネディクト16世教皇)が説教で次のように語ったことを思い出します-「神の民の信仰に耳を傾けるために謙虚に奉仕しない神学は役に立たない。 それは霊的な知識だが、信仰には役に立たない」。 多くの信者だけでなく、教会から距離を置いていた人たちも巻き込む方法が識別のために重要だと思います。
問: 今回のシノドス総会のもう1つの特徴は、司教以外の人々の参加です。かなりの数の信徒、特に女性が含まれていますが、総会の進め方などは、従来のシノドス総会と比べてどこまで変わるのでしょう。総会の 結果はどうなるとお考えですか?
答: 過去 50 年間のシノドス総会には、専門家あるいは聞き役として男女の信徒が常に参加していました。 今回初めて、男女かなりの数の信徒が議決権を持つシノドスの正規のメンバーとして参加することになりました。それでも、私は、シノドスの 本質的には変わっていないと思います。というのは、シノドスは確かに司教の会議であり、参加者の大多数を占めるのは、依然として司教です。会議の伝統は、何よりもまず、地域、国家などの司教が集まるものだからです。 しかし、一般の信徒の正規のメンバーとしての参加は、互いに耳を傾ける習慣を向上させるために重要です。
これまでかなりの数のシノドスに参加してきた経験から、男女の一般信徒や聖職者の専門家、聞き役としての参加が議論に大きな影響を与えたと言えますが、 今回はさらに一歩進んだ形で、司教たち以外の声を、議論に取り込みます。 今回のシノドス総会にも、引き続き専門家が参加し、カトリック以外の兄弟教会からも代表者が参加する予定です。
そこで私たちは、55 年以上前のパウロ 6 世教皇によるシノドスの始まりを思い起こす必要があります。シノドスは、「ペトロの後継者の周りに集まる普遍教会の司教の声」として考えられていました。 非常に重要な意味を持つ投票でシノドスの意見が決められることもありました。ですがこれは、最終的に、さらなる識別のために教皇に伝えられる神の民の期待の表現です。 今総会に導入された新たな参加の形は、第2バチカン公会議後のシノドスの意味を本質的に変えるものではありません。
問: 司教以外にも広範な信者が参加する今回のシノドス総会の準備文書には、これまで何十年にもわたって議論されてきた多くのトピックが取り入れられました。一般 信徒や女性の教会活動への参加を増やすための具体的な改革や、道徳神学に関連するいくつかの問題を再考するための要求などが含まれています。今総会では、このような課題がどれほど重視されるのでしょう?
答: このご質問に私は答えることができません。確かに、 これまでの”シノドスの道”の大陸レベルの会議や世界中のいくつかの司教会議で、教会活動への一般信徒の参加の問題が取り上げられています。 これはすでに第2バチカン公会議の中心テーマとなっていたものです。 一般信徒の参加は公会議の意向の中心にありました。ですが、学ぶべきこと、やるべきことはまだたくさんあります。
(公会議を始められた)聖ヨハネ23世教皇は、「『教会活動における女性』のテーマは時代のしるしの一つであり、世界中で生じている大きな問題の一つであり、このテーマは確実に存在する」と述べておられました。し かし、私は、特に世俗化した西側世界でさかんに議論されている諸問題が教会全体にとって中心的な課題だ、という主張には、少々懐疑的です。
例を挙げてみましょう。 アマゾン地域シノドスでは、既婚男性の司祭叙階を認めるようにとの強い主張が、特定のグループからなされました。(この地域の 信徒数に対して司祭があまりにも少ない、と言うのがこの主張の根拠とされいたが)司祭の召命が数多いコロンビア出身の司祭が1200人も、中南米以外、米国とカナダで活動している、というのを疑問に思う人もいます。どうして、 彼らのうちの100人か200人でも、アマゾン地域の司牧に行かないのでしょうか? そうすれば司祭不足の問題も解決されるでしょう。 このように、もう少し識別力を働かせ、問題の複雑さをしっかりと理解しようとする姿勢が必要な場合のあるのです。そうした姿勢を確認する意味でも、 私は今回のシノドス総会が有意義な機会を提供する、これらの問題についての認識を共有する機会となる、と確信しています。
問: 欧米では世俗化が進んでおり、かつては家族内で行われていた信仰の伝承が断たれているようです。 このような状況の中で、どうやって人々に福音を告げ知らせることができるのでしょうか? 今回のシノドス総会は、これにどのように役立つでしょうか?
答: あなたは、「信仰の伝達は家族の中で行われた」とおっしゃいました。 家族内でそれがなされなくても、信仰を伝えることは不可能ではありませんが、難しい。その意味で、 2014年から2015年にかけて開かれた、家族に関する二度のシノドス総会が非常に重要です。 信仰の伝達は、主の御業であり、絶えず行われている、と私は確信しています。私たちに 呼びかけるのも、招くのも主であり、人々の心の中で働かれ、イエスが言われたように、ご自分に引き寄せるのも主です。 イエスは世界中で働いておられますが、この呼びかけ、主の働きを理解するのを助ける人々も必要です。
もちろん、世俗化は大きな問題ですが、私は、 世俗化した社会について語られたベネディクト16世の言葉を思い起こします。 チェコ共和国を訪問された時、こう言われたのです-「ここにも、聖霊が働かれるチャンスがあります」と。それは真実です。ですから、世俗化は、マイナスであるばかりではなく、前向きな面もあるのです。主は活動的です。これは福音です。生命の力、命を奮い立たせるもの。その意味で、私は確信しています。多くの批判が起きているにもかかわらず、教会の一致へ前進する一歩となることを。
*クリストフ・シェーンボルン枢機卿= オーストリア のカトリック教会 のリーダー。神学者。77歳。オーストリア司教協議会会長(在任:1998年 – )。ドミニコ会 所属。現在のチェコの首都プラハ郊外、リトムニェジツェ 生まれの77歳。両親はドイツ 系の旧貴族の末裔で、父のシェーンボルン家 は17世紀以降、数多くの司教、枢機卿、選帝侯といった高位聖職者を輩出してきた 。画家だった父はナチス・ドイツ の占領統治期 には抵抗活動に身を投じ、第2次世界大戦 後、チェコスロバキアがソ連の支配下に置かれ ドイツ系住民に対する迫害を始めたため、両親に連れられて生後9か月でオーストリアに亡命した。若いころから師弟関係にあった故ベネディクト16世教皇の側近の1人だった。行政能力、危機管理能力に長け、枢機卿団の中では保守派とされながら、漸進的な改革論者で、教会内の保守・革新両派から好意的に見られ、様々な問題について穏健で寛容な姿勢を取ることもあって、教皇候補として名前が挙がることが多い。(「カトリック・あい」)
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
The press conference presenting the Ecumenical Vigil of Prayer
(2023.9.8 Vatican News By Christopher Wells)
10月4日からの世界代表司教会議(シノドス)第16回通常総会を前に、シノドス事務局が8日記者会見し、総会の基本的な進め方と、それに先立つ9月30日の 教会一致の祈りの会について説明した。
当日、バチカンメディアのYouTubeチャンネル で下記の様子がライブ配信される。以下は、ローマ時間(日本時間は+7時間)の予定は、16:30~18:00:祈りに向けたプログラム 18:00~19:00:教皇フランシスコが司式する祈り (東方正教会のバルトロマイ総主教、聖公会のジャスティン・ウェルビー大主教、ルーテル世界連盟事務局長のアンネ・ブルクハルト師等、さまざまな教派の教会指導者たちが出席)となっている。
「教会一致祈祷徹夜祭」について、シノドス事務局のナタリー・べカール次長が説明。「神の民の2つの基本的な側面—祈りを中心に置き、共に歩むための他者との対話の重要性」に焦点が当てられる、とし、「(キリスト教における) シノダリティ(共働性)と信仰一致の関係を浮き彫りにするものになります」と述べた。
さらに、この祈祷徹夜祭では「現代の引き裂かれた世界における一致と平和への取り組み、という重要なテーマも強調されます。 シノドスを聖霊に委ねながら、すべてのキリスト教徒の一致のための祈りの重要性を証しするものとなります」とし、 教皇フランシスコと共に、ギリシャ正教のコンスタンティノープル総主教バルトロマイ1世を含むキリスト教各派の代表12人、また英国聖公会の ジャスティン・ウェルビー 大主教など、 シノドスに参加するカトリック教会以外の宗派の代表数名もに参加することを明らかにした。
またべカール次長は、 若い信徒たちも、祈祷徹夜祭で重要な役割を担うことになる。シノドスの週末、テゼ共同体 (キリスト教 の教派を超えた男子修道会。フランス のソーヌ=エ=ロワール県 のテゼ村に所在。約100人のメンバーがいる)の責任者、ブラザー・アロイスが訴えた「キリストにおいて既に達成された一致を祝い、それを目に見えるものにするために、今回のシノドス中に教会一のための集まりを持ちたい」という願いに触発されて、40か国以上から約3000人の若者たちがローマに集まり、祈りと礼拝、分かち合い、研究集会などを予定している。
記者会見に出席したテーゼ共同体のブラザー・マシューは「この若者たちの集まりは、若者を巻き込むことによって、シノダリティ(共働性)をテーマにした今回のシノドス総会の理想と現実を表現することを目的としています」と述べ、祈祷 徹夜祭に参加するためローマ市内のラテラノ大聖堂からバチカンの聖ペトロ広場へ巡礼すること、これらの 行事に向けた大規模な準備がすでに教会一致のモデルとして進んでいる、と指摘した。
記者会見の最後に、今回のシノドス総会のパオロ・ルッフィーニ・コミュニケーション委員長が、総会の概要について説明。「 総会のプログラムの詳細はまだ最終決定されていない」と前置きしたうえ、総会は、シノダリティ、交わり、使命、参加などの主題に分かれた構成単位と、達成された作業の取りまとめを用意するをもとにした構成単位によって進められる、と述べた。
また、総会についてのコミュニケーションについて、「シノドス総会のコミュニケーションをどのように進めるかは、識別のプロセスと全教会にとって極めて重要」と強調したうえ、「機密と個人的な秘密を守り、聖霊における対話に一定のスペースを確保することは、他者に耳を傾け、識別し、交わりに基礎をおいて祈りの真の機会となる時を作りたいという強い願いに適ったものです」と説明。「委員会による広報の進め方は、総会参加者たちに、”一つの体”の一部としての他の参加者それぞれを知り、耳を傾けることができるようにすることになるでしょう」と述べた。
また、総会は、会議の結果を要約した「総括文書」を作成する予定だが、同文書は、総会は来年10月に第二期を予定しており、(第一期の当たる今総会で完結するものではないため)「最終文書」とはならない、と説明した。
最後のルッフィーニ委員長は、「現代の分断された世界において、コミュニケーションが私たちの交わりの取り組みを正確に伝えられることを心から 期待しています」と述べ、記者たちに 「私たちに任せてください。皆さん(の取材、報道)を助けるためにできる限りのことをします」と約束した。
U.S. Cardinal Raymond L. Burke attends the ordination of eight deacons from Rome’s Pontifical North American College in St. Peter’s Basilica at the Vatican Oct. 1, 2020. (Credit: CNS photo/Paul Haring.)
(2023.8.23 Crux | Senior Correspondent Elise Ann Allen)
ローマ発 – ”シノドスの道”を主導する教皇フランシスコが招集した世界代表司教会議(シノドス)総会が10月に迫る中で、米国のレイモンド・バーク枢機卿が、”シノドスの道”を批判する冊子の序文で、この歩みを「きわめて有害、教会に分裂をもたらす潜在性を持つ者だ」と激しく批判した。 バーク枢機卿は、カトリック教会の”伝統主義派の英雄”的存在で、これまでも教皇の”革新路線”をたびたび批判してきた。
この冊子のタイトルは、「”シノドスの道”はパンドラの箱:100の質問と回答」で、米国の保守的団体、American Society for the Defense of Tradition, Family and Property (TFP)によるもの。10月のシノドス総会開催まで 2か月を切った8月22日に、英語版の他、スペイン語、イタリア語など各国語の翻訳も同時出版された。
序文でバーク枢機卿は、「この冊子は、今日の教会における最も深刻な状況に触れており、それが教会員に与えている明白かつ重大な精神的危害を目の当たりにしている思慮深いカトリック教徒と善意の人々すべて」に与える影響に懸念を示している」とし、「 私たちは、使徒の時代から信仰において先祖たちと交わり、一つであり、聖であり、普遍的であり、使徒的であると公言してきた教会が、現在では『synodality(シノダリティ)』という、教義上の歴史をもたない言葉で定義されるようになっている。これは、理に適った定義ではない」と言明。
そして、「『synodality』も、その形容詞である『sinodal 』も、教会がこれまで常に教えてきたことの多くを否定する”現代のイデオロギー”と共に、教会の自己理解を根本的に変える”革命のスローガン”となっている」と批判している。
ドイツの教会が進める”シノドスの道”は、同国の広範な聖職者による性的虐待とそれへの対応の誤りが引き起こしている教会の危機への対応として、一般信徒に教会のおける重要な役割を与えることを目的として2019年に始められたが、現在では、 女性の司祭叙階や同性愛者への司祭による祝福を認める動き、さらには 司祭の独身義務の廃止、同性婚の認知、女性による洗礼や一般信徒の司教選挙への参加などの提案まで出されるに至っている。さらには、一般信徒 と司教で構成する機関を司教協議会に取って変わるものにすることも検討され、事態を重視したバチカンが、昨年夏から、ドイツ教会の”シノドスの道”とその内容をめぐる話し合いを続けている。
バーク枢機卿は序文で、synodalityをテーマとして10月から開かれる世界代表司教会議(シノドス)総会が、このようなドイツの教会と同じ道をたどる可能性がある、と懸念を述べ、”シノドスの道”の歩みは、 「混乱と誤り、そしてその結果、分裂を引き起こし、多くの信者に深刻な精神的害をもたらす事態を、激しく広げている」と語り、 「synodalityに関するシノドス総会が目前に迫る今、混乱と誤りと分裂が普遍教会に訪れるのではないかと懸念する声が出るのは当然だ。 実際、それは地域レベルでなされてきたシノドス総会の準備を通じて、すでに起こり始めている」と”警告”した。
そして、「教会の不変の教義と規律の中で受け継がれているキリストの真理だけが、(現在の”シノドスの道”に働いているイデオロギーを明らかにし、それがもたらしている致命的な混乱と誤りと分裂を正すことを通して、 効果的に対処し、教会員に真の改革の着手を鼓舞することができる。 この改革はキリストへの日々の回心からもたらされる」と主張。
そうした脈絡の中で、バーク枢機卿は、この冊子は「教会の現在の最も憂慮すべき状況にキリストの光、キリストの真実を照らすもの」とし、 「ここにまとめられている問いと答えを勉強することは、誠実なカトリック教徒がキリストの『真理における代理者』、現代における教会の刷新の担い手となり、使徒の伝統に忠実であることの助けとなるだろう」と期待を込めた。
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(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
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