・米国の保守派リーダー、バーク枢機卿が、10月の世界代表司教会議(シノドス)総会は「混乱と過ち、分裂を促進する」と主張

U.S. Cardinal Raymond L. Burke attends the ordination of eight deacons from Rome’s Pontifical North American College in St. Peter’s Basilica at the Vatican Oct. 1, 2020. (Credit: CNS photo/Paul Haring.)

(2023.8.23  Crux  |Senior Correspondent   Elise Ann Allen)

    ローマ発 – ”シノドスの道”を主導する教皇フランシスコが招集した世界代表司教会議(シノドス)総会が10月に迫る中で、米国のレイモンド・バーク枢機卿が、”シノドスの道”を批判する冊子の序文で、この歩みを「きわめて有害、教会に分裂をもたらす潜在性を持つ者だ」と激しく批判した。バーク枢機卿は、カトリック教会の”伝統主義派の英雄”的存在で、これまでも教皇の”革新路線”をたびたび批判してきた。

 この冊子のタイトルは、「”シノドスの道”はパンドラの箱:100の質問と回答」で、米国の保守的団体、American Society for the Defense of Tradition, Family and Property (TFP)によるもの。10月のシノドス総会開催まで2か月を切った8月22日に、英語版の他、スペイン語、イタリア語など各国語の翻訳も同時出版された。

 序文でバーク枢機卿は、「この冊子は、今日の教会における最も深刻な状況に触れており、それが教会員に与えている明白かつ重大な精神的危害を目の当たりにしている思慮深いカトリック教徒と善意の人々すべて」に与える影響に懸念を示している」とし、「私たちは、使徒の時代から信仰において先祖たちと交わり、一つであり、聖であり、普遍的であり、使徒的であると公言してきた教会が、現在では『synodality(シノダリティ)』という、教義上の歴史をもたない言葉で定義されるようになっている。これは、理に適った定義ではない」と言明。

 そして、「『synodality』も、その形容詞である『sinodalも、教会がこれまで常に教えてきたことの多くを否定する”現代のイデオロギー”と共に、教会の自己理解を根本的に変える”革命のスローガン”となっている」と批判している。

 バーク枢機卿は序文で、synodalityをテーマとして10月から開かれる世界代表司教会議(シノドス)総会が、このようなドイツの教会と同じ道をたどる可能性がある、と懸念を述べ、”シノドスの道”の歩みは、「混乱と誤り、そしてその結果、分裂を引き起こし、多くの信者に深刻な精神的害をもたらす事態を、激しく広げている」と語り、 「synodalityに関するシノドス総会が目前に迫る今、混乱と誤りと分裂が普遍教会に訪れるのではないかと懸念する声が出るのは当然だ。 実際、それは地域レベルでなされてきたシノドス総会の準備を通じて、すでに起こり始めている」と”警告”した。

 そして、「教会の不変の教義と規律の中で受け継がれているキリストの真理だけが、(現在の”シノドスの道”に働いているイデオロギーを明らかにし、それがもたらしている致命的な混乱と誤りと分裂を正すことを通して、 効果的に対処し、教会員に真の改革の着手を鼓舞することができる。 この改革はキリストへの日々の回心からもたらされる」と主張。

 そうした脈絡の中で、バーク枢機卿は、この冊子は「教会の現在の最も憂慮すべき状況にキリストの光、キリストの真実を照らすもの」とし、 「ここにまとめられている問いと答えを勉強することは、誠実なカトリック教徒がキリストの『真理における代理者』、現代における教会の刷新の担い手となり、使徒の伝統に忠実であることの助けとなるだろう」と期待を込めた。

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(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2023年8月24日