*ガザ地区で起きている「血なまぐさい戦争」の悲惨さを念頭に黙祷
ルッフィーニ長官によると、シノドス総会の6回目の全体会合は、ハマスが引き起こしたパレスチナ・ガザ地区でのイスラエルとの「血なまぐさい戦争」の悲惨さを思い起こすアーサー・ロシュ枢機卿が主導する黙祷で幕を開けた。
ラクロワ枢機卿は、これまでの会議での「豊かさ」の経験について報告。ウラキア氏は、パプアニューギニアの「小さな」コミュニティの声を届けた。
地中海での数千人の死者に対する「憤り」から生まれ、海上での人命救助に当たっているNGO「Mediterranea Saving Humans」の創設者のカサリーニ氏は、「Mare Nostrum(私たちの海)」での取り組みについて説明。自己の経験を二つの貧困の「出会い」と呼び、「それは、『唯一の資産である土地』を離れることを余儀なくされた人々の物質的な貧困と、『恐怖を悼み、拒絶する能力』を失ったかに見える西洋諸国の精神的な貧困だ」と語った。
ルッフィーニ長官は、10日に聖マルタの家で開かれた「小さな『作業部会』」について報告。ローマ市内の貧困者が食事会に招かれ、教皇フランシスコと慈善事業担当のコンラッド・クライェフスキーから、教会に期待することについて意見を聞かれた。「彼らの答えは、ただ『愛』でした」と長官は述べた。
*61年前に聖ヨハネ23世が始められた第二バチカン公会議とシノドス総会
10日の全体会議の出席者は339人、11日朝の祈りには345人が参加し、この日、誕生日を迎えたイタリア司教協議会会長のマッテオ・ズッピ枢機卿が先唱、1962年10月11日に第二バチカン公会議が始まった記念日でもあるこの日、公会議の唱道者である聖ヨハネ23世のとりなしを求めた。
ラクロワ枢機卿が「ヨハネ23世は『預言的』な方でした。高齢で病弱であったにもかかわらず、聖霊によって公会議開催の霊感を受け、実行されました。しかし、その結末は生きてご覧になることはできなかった」と語り、「私たちが使っている方法論は、主、主の言葉、洗礼を受けた一人ひとりの中の主の存在、を聴くことに向けられています。そしてこのことが、私たちの心を他者に開かせるのです」という、聖ヨハネ23世が公会議の開催に当たって言葉を読み上げた。そして、「神の言葉を聞くことによって、私たちは微妙なニュアンスを受け、自分の考えを変えられます。そうすることで、神がすべての人々の中で働き、働いていることが分かるのです… その働きを生きることで、私たちは自分の考え方を調整し、洗練し、少し変えることができるのです」と強調した。
その延長に、今回のシノダリティ(共働性)をテーマとするシノドス総会が支持する考え方として、これまでなおざりにされていた人々が声を上げられるようにするとともに、「他者の介在で明らかになったことに挑戦を受けさせる」ことがある。
この点に関して、ワラキア氏は、ソロモン諸島とパプアニューギニアの代表をシノドスに招待されたた教皇に感謝し、「何年もの間、私たちは他の人の声に耳を傾けてきましたが、今度は自分から話したいと思います。そして、皆さんにそれを聴いてもらいたい。 私たちには世界に提供できるものがある。私たちが心から提供できるのは、私たちの暮らし方、交わりの中で暮らし、共に暮らし、関係を築くことです」と語った。
*戦争、貧困、気候変動の犠牲者たちへの対応は
また、ルッフィーニ長官は、作業部会や全体会合の内容について、「多くの発言者が、平和と戦争に苦しむ人々について触れた」とし、「戦争と暴力によって損なわれた今の世界で、キリスト教徒がどのようにして、平和と和解のしるしとなり得るか、について語り、 紛争に苦しむ国々と「一部の東方教会の苦しみ」に真剣に対応するよう「強い訴え」がなされた、と説明した。
総会の広報担当のシーラ・ピレス氏によると、一連の会合で、浮上したもう一つのテーマは「貧困に寄り添い、謙虚で、自らを低くし、貧しい人々と共に歩む教会の在り方」。 「さまざまな顔を持つ」貧しい人々、排除された人々、移民・難民、気候変動の犠牲者、さらには世界の一部地域の女性や姉妹たちも、「二級国民とされ、虐待されることから守られるべき存在」であることも強調された、という。
*性的虐待スキャンダルで教会の信頼性に疑問符が付いている