・「性的虐待への対処の誤りが、教会の急激な減退を招いている」ポーランドの虐待担当大司教が告白(LaCroix)

(2022.1.4 LaCroix)

 「聖職者による未成年性的虐待に対処できないことが、ポーランドにおける教会衰退の主要な要因になっている」と同国の司教協議会で児童保護の責任者を務めるヴォイチェフ・ポラック大司教(グニェズノ大司教管区長)が語った。

 ポラック大司教は、聖ヨハネパウロ2世の故郷、敬虔なカトリック国のポーランドの教会が、聖職者による性的虐待とそれへの対応の不誠実さが若者の間で教会に対する不信や嫌悪を招き、それが主因となって「壊滅的な」衰退にある、としたうえで、「教会そのものを浄化する努力を重ねることだけが、衰退を食い止めることを可能にする」と述べた。

 同国の調査研究機関、CBOSが発表した1992年以降の最近のデータによると、1990年代初めに、ポーランドの若者たちの約70パーセントが信仰を実践していると答えていたのが、現在ではそれが25パーセント以下に低下している。大司教はこの数字について、「”壊滅的”というしかない数字です」とポーランド通信社(PAP)とのインタビューで語った。

 2020年の同国の世論調査では、ポーランド人の54パーセントが「教会を信頼していない」と答え、「信頼している」はわずか33パーセントだった。また回答者の8割が「教会は、子供たちを保護するのに十分なことをしていない」としていた。別の調査によると、若者のわずか9パーセントだけが教会を前向き受け止めている。

 「若い世代では、教会に対して極めて厳しい”再評価”がされている」とする大司教は、聖職者による未成年者に対する虐待の訴えに適切に対応できない教会の高位聖職者たちが、こうした教会の衰退を引き起こす主な原因を作っている、とし、 「不当な扱いを受けた人々の側に立とうとしない高位聖職者たちの怠慢が、教会共同体としての私たちの信頼を損なっている」と厳しい自己批判をした。

 ポーランドでは、ジャーナリストのトマス・セキエルスキー氏が、2019年に教会における性的虐待に関するドキュメンタリーを制作、公開し、多くのポーランド人の間に教会、聖職者に対する怒りを呼び起こした。その後、国の小児犯罪委員会は昨年7月に、2017年から2020年の間になされた未成年者に対する性的虐待の加害者の30パーセントが聖職者だったことを示す調査結果を発表している。

 これまで高位聖職者たちが隠蔽し、表ざたにならなかった聖職者による性的虐待が、このように表に出されることで、カトリック司祭養成のための新学校への入学者も減少。ポーランドの主要神学校の協議会は、昨年の神学校の入学者数が前年比で20パーセントも減って356人に留まったことを明らかにした。9年前に入学者が828人いたことから比べれば激減と言える。教会が、性的虐待批判に対していくつかの対策をとっていても、この数字なのだ。

 教皇フランシスコは2019年5月、虐待事件への対応を誤ったり、隠ぺいしたりする司教たちに厳しく対処するための自発教令「Vos estis lux mundi(あなた方は世の光)」を発出された。それ以来、バチカンは昨年一年だけで9人の司教たちを懲戒処分にした。最新の処分は、ヴロツワフの前大司教、マリアン・ゴレビエフスキーに対するもので、この 83歳の高位聖職者は、聖職者による未成年者の性的虐待事件に関し、適切な対処を怠った罪で有罪判決を受けた。

 先月12月28日に、クラクフのマレク・イェドラシェフスキ大司教は、聖職者と未成年の若者との接触を厳しく制限する規制を、ポーランドの教区では初めて発出した。

 このように、最近になってポーランドの教会もバチカンも従来よりも厳しい対応に努めているが、ポーラック大司教は、「これまでの聖職者による多くの性的虐待とそれへの対応の問題が多くのカトリック教徒の信仰に、深い危機を引き起こしている。結果として、教会のミサに出る回数が減り、さらに完全な教会離れの動きにつながっている」と改めて、同国の教会関係者、特に高位聖職者に警告。

 そして、現在の危機に対処する唯一の方法は、信頼回復へ教会を再構築する道を示し、実行すること、であり、「私たちは真実を明らかにし、これらすべての犯罪を取り除くる責任を負っています。それは容易なことではありませんが、信頼を取り戻すために必要なことです」とPAPに語った。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

LA CROIX international is the premier online Catholic daily providing unique quality content about topics that matter in the world such as politics, society, religion, culture, education and ethics. for post-Vatican II Catholics and those who are passionate about how the living Christian tradition engages, shapes and makes sense of the burning issues of the day in our rapidly changing world. Inspired by the reforming vision of the Second Vatican Council, LCI offers news, commentary and analysis on the Church in the World and the world of the Church. LA CROIX is Europe’s pre-eminent Catholic daily providing quality journalism on world events, politics, science, culture, technology, economy and much more. La CROIX which first appeared as a daily newspaper in 1883 is a highly respected and world leading, independent Catholic daily.

 

2022年1月10日

・教皇に”直訴”されたスペインの聖職者251人関与の性的被害に、司教団が対応を始めたが…(Crux)

ヒラルダの塔とセビリア大聖堂(Credit: Marcelo del Pozo/Reuters via CNS)

(2021.12.22 Crux Rome Bureau Chief Inés San Martín)

 教皇に報告を手渡したのは、スペインの新聞「ElPais」の記者Danuel Verduで、同紙の報道によると、教皇への報告書の提出は「スペインの教会にとって予想していなかったこと」という。報告の内容は、聖職者と教会関係の機関の一般信徒若干名を含む251人の未成年者に対する性的虐待に関するもので、被害者などの訴えをもとにした調査は、2018年10月から調査が行われていた。

 その内容はスペイン司教協議会の会長でバルセロナ大司教のフアン・ホセ・オメラ枢機卿からバルセロナの教会裁判所に送られ、捜査が始まっているが、訴えの内容が31の教区、31の修道会に関わるため、多岐にわたらざるを得ないという。

 ElPais紙以外のスペインの報道機関が取材した匿名の複数の関係者によると、「虐待の被害者たちは、新聞には訴えたが、教会に訴えることをしなかったので、犠牲者と生存者は新聞に行ったが教会には行っていなかったため、(教会裁判所が)訴えに対応するのは事実上不可能」と捜査の進展について否定的だ。

 同国のカトリック系週刊誌Vida Nuevaは、ElPais紙が被害者たちと会った際、彼らと教会の仲介をしようという申し出をしたが、無視された、という、ある関係者の話をもとに、「公正な対応を欠いている」と批判した。このことは、スペインの司教団が、調査に距離を置いた理由の説明になる。司教たちは、聖職者の性的虐待の被害者のによる報告を推奨し、この問題を終わらせようとする動きは歓迎するが、ElPais紙にはもっと厳格さが必要、という考え方だ。

 司教協議会も声明で「報告に含まれている訴えは、より厳格であることが強く望まれる。その理由は、本質的に極めて異なる内容が、捜査に役立つ結論を引き出すのを難しくしている。特に、訴えを受けた人々の名前が欠落し、虐待が起きた時期、あるいは亡くなった人に関すること(などが明確でない)」としている。

 これに対して、司教協議会の声明は、「教皇とオメラ枢機卿に渡されたものと同じ情報が、各教区とバチカン教理省の未成年者の保護と虐待の防止の部署に提供される必要がある。そうすれば、その情報をもとに適切な調査が可能だ」とし、加害者の名前や性的虐待が起きた時期なども明確にする必要がある、としている。

 ElPais紙は、「報告には、被害者とされる人々の個人情報は含まれていないが、バチカンの担当部署が被害を受けた人と連絡を取り、必要なら証言してもらえるようにしている」と説明している。

 司教協議会はまた、「教会あるいは一般社会で、未成年者や脆弱な人々に対して行われた性的虐待の悪行を断つのに役立つ各種機関とメディアのすべての活動は、原則として、良好な協力体制がとられている」とも述べ、「性的虐待を弾劾する重要性」を主張し、「自分たちの希望に最も合うような司法的、教会法的、あるいは社会的な機関に被害を届け出ること」をすべての被害者に勧めることで、声明を締めくくっている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2021年12月23日

・豪州のカトリック司教協議会が、性的虐待対策の年次報告を国に提出

2021.11.18 abusi su minori, abuso, tutela del minore

 豪州カトリック司教協議会(ACBC)とカトリック修道会連盟(CRA)が9日、「教会における性的虐待に対処する国および地方レベルでの取り組みに関する年次進捗報告」を発表した。

 報告は、ACBCとCRAが、同国の王立委員会から、児童への性的虐待に対して制度的な取り組みを勧告されたのを受けて、2018年から毎年出されているもの。

 児童保護の分野でなされた対応の進捗状況について具体的に同国政府に報告するのが目的で、全国の50以上のカトリック関係団体から出された報告をもとにまとめられており、カトリック教会の全国的な児童保護の取り組みを強化するため、これまでのCatholic Professional Standards Limited(CPSL)に代わる全国組織として、Australian Catholic Safeguarding Limited(ACSL)を設立したことなども盛り込まれている。

 報告は序文で、ACBC会長のマーク・コールリッジ大司教とCRA議長のピーター・キャロル師は「私たちはあまりにも多くの子供たちを失望させ、何千人もの人々を虐待した」とし、「恥ずべき過去」を改めに反省した。

 そして、「豪州のカトリック教会は、聖職者、修道者、教会で働く一般信徒による児童への性的虐待という悲劇的な行為で、彼らに及ぼした危害の全責任を負う」ことを確認し、 「心身に深い傷を負わせた聖職者たちなどの過ちと、それに全く、あるいは適切に対応しなかった教会指導者たちの過ちは、被害者とその家族、そして彼らの助けようとする人々を傷つけ、多くの人々に苦痛に満ちた人生をもたらしました。そして、教会の共同体を傷つけ、社会の多くの人々を幻滅させました」と改めて謝罪している。

 そのうえで、コールリッジ大司教とキャロル師は、豪州のすべての司教と修道会責任者を代表して、教会の使命として「(信徒たちの)安全を最優先事項」とし、「性的虐待被害者のより良い未来を築く」ことに全力を尽くし、子供たちへの配慮を強化する、という誓約を繰り返し、教会の使命は、「これまでに起きた虐待を痛悔し、被害者たちの心身に具体的に癒しをもたらすことによって、初めて果たすことができます」と言明した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2021年12月19日

・「教会は、性的虐待被害者の声を聴き、権利を守っているか」

Prof. Myriam Wijlens took part in the recent Protection of Minors seminarProf. Myriam Wijlens took part in the recent Protection of Minors seminar 

(2021.12.17 Vatican News  Gudrun Sailer & Devin Watkins)

 教皇庁の未成年者保護委員会がこのほど、「未成年期の性的虐待を訴えた人の教会法の刑事賠償上の権利」と題するセミナーを教皇庁の担当者や専門家の参加で開催した。性的虐待に絡むさまざまな司法制度の規定について意見を交換し、教会法上の刑事訴訟における被害者の権利について理解を深めるのが狙い。

 保護委員会のメンバーで、セミナー参加した独エルフルト大学のミリアム・ウィレンズ教授が、Vatican Newsと会見し、「このセミナーを通して、保護委員会のメンバーは、性的虐待被害者たちの声を聴き、さまざまな法的手段によって被害者たちの権利を深く検討する必要を、改めて認識した」と、以下のように語った。

・・・・・・・・・・・・・・・・

ウィレンズ教授:今回のセミナーで、私たちは、教皇フランシスコが最近おっしゃった「耳を傾けること」が賢明だ、と認識しましたーつまり、世界中の(性的虐待に関する)民事裁判の現状について耳を傾けることです。

 法的手続きにおける虐待被害者の権利を、世界の関係者たちがどのように理解し、保護し推進しているのか?虐待の被害に遭った方々から話を聴くことから始めるように、との助言を得ました。フランスから参加したある被害者は、法的手続きでどのようなことを経験したかを語ってくれました。性的虐待そのものではなく、法的手続きで経験したことについてです。

 次に聴いたのは、被害者の法的規範における立場についてでした。現在の法的規範の対応はどうなっているのか?国連のこの問題の担当者を特別報告者として出席してもらい、被害者を保護するための手続きなどを定めた国際的な規範や協定について説明を聞きました。

 その次に、私たちは世界中のさまざまな国から参加した方々を、英米法系、ローマ法系、ゲルマン系など法的な伝統にしたがってグループに分け、話を聴きました。オーストラリア、フィリピン、インド、アメリカの方から始めて、次に、アルゼンチン、スペイン、フランス、イタリア、そしてドイツとポーランドの方の話に耳を傾けました。

 

問:様々な声を聴く中で、何を発見しましたか? 教会法の法律専門家として、何を教えられましたか?

教授:国際的な標準があることを発見しました。そのいくつかには、キリスト教の伝統にルーツを持つものもあります。しかし、本当に興味深かったのは、異なる伝統の国々だけでなく、同じ法的な伝統を持つ国々の間でも、極めて多様な運用がされている、ということでした。

 特にカトリック教会で性的虐待に遭った方々は、自分の国の法的な文化が適切な対応をすると期待しているかもしれないので、多様性が存在することを知ることが重要だと思います。

 世界中のどこの国の教会でもそうだとは言えませんが、自国の教会が法的な制度をもち、世界の教会のために法的手立てを作ることは、教会にとって好ましいことですし、他者の声に耳を傾け、彼らがどのようにしているかを聴くことは、私たちにとって良いことです。。

さて、教会はいつもそうすることはできませんが、法制度を持ち、世界中の教会のために法的な規定を設けている教会にとって、そして私たちが他の人たちと彼らがそれをどのように行うかについて聞くことは良いことです。

問:カトリック教会の性的虐待被害者にとって、今日の主な課題は何でしょうか?話を聴いてもらうこと、それとも、権利を守ってもらうことですか?

教授:私はこう思います。カトリック教会の大きな問題は、すでに被害者の権利に関するにいくつかの規範を、教会が持っているにもかかわらず、被害者たちが十分に分かるようになっていないことです。私たちの教会が持っている規範を実際にどのように運用するかについては、極めて人間的な側面があります。

 簡単な例で説明しましょう。被害者の第一の権利は、性的虐待があったことを実際に申告することです。しかし、申告を受け付けるウエブサイトが開設されていない、あるいは開設されていても、それを見つけるのに大変な苦労をしなければならない、そういう教区が世界にはいくつもあるのです。

 また、被害者からこういう問い合わせがありますー「今、私は被害に遭ったのと別のところに住んでいます。被害を訴えるために、被害を受けた教区に行かねばならないのですか」と。いいえ、無条件で適用されるわけではありませんが、被害に遭った教区でなくても構わない、と教会法は認めています。こういった基本的な質問がセミナーでもされましたー「どのようにしたら、被害者たちにもっとよく情報を伝える事ができるだろうか?改善すべき法的問題は何だろうか?」

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2021年12月18日

・ニュージーランド性的虐待調査委「カトリックの高位聖職者たちは適切な対応をして来なかった」と批判

独立調査委員会の聴聞に答えるジョン・デュー枢機卿(ウエリントン大司教) (Credit: CNS screenshot/NZ Catholic.)

New Zealand abuse report says Church hasn’t taken ‘sufficient steps’ to address problem

(2021.12.16 Crux Managing Editor Charles Collins)

 ニュージーランドの教会関係者による性的虐待に関する王立調査委員会が15日、同国国会に調査報告書を提出した。

 同委員会は、政府によって設立されたが、政府とこの問題に関係する宗教団体から独立して活動し、調査対象はカトリック教会、英国国教会、救世軍で、調査期間は1950年から1999年の50年にわたった。

 報告書は、調査の結果、明確になったのは、「宗教的な環境下での虐待は、しばしば被害者に”特定の危害”ー信仰や精神面での動揺、完全な喪失ーをもたらす可能性がある」ことであり、「被害に遭う以前には、精神的な強さ、支え、生きる意味などを得てきた信仰の力が、被害のトラウマとともに、喪失する一因となり、ミサや集会、結婚式などさまざまな宗教行事への参加から遠のかせる原因となり得る」と警告した。

 また報告書は、「カトリック教会は、性的虐待被害者が教会の担当者に被害を訴える際に直面する数多くの『構造的な障害』を無くすための措置を十分に講じていない。司教や高位聖職者たちが、教会法に基づく規定の運用に失敗、ないしは適切に行っていなかった」とも指摘。

 「問題の司教や司祭を聖職から追放することは教皇だけができることだが、そうした対応は、しばしば遅いことが多い」とし、「これは、虐待被害者への救済や虐待の未然防止よりも、虐待を働いた疑いのある聖職者の権利が優先されていることを示すものだ。教会当局は、被害者に対して共感と思いやりを示すよりも、虐待の訴えを調べることに重点を置いている。被害者の利益は、カトリック教会のこの問題への対応で最優先事項になっていない」と、高位聖職者など教会幹部を強く批判。

 さらに、「カトリックの教会や関係組織は、被害者への対応の過程で、あるいは刑事手続の途中で、被害者に対する適切なケアと支援を提供できていないことがよく見られる。虐待に関する情報を収集または分析を真剣にしようとしなかったことが、虐待の蔓延を招いた」とも指摘している。

 「不十分な記録管理、秘密主義の文化、虐待の性質と程度を理解することへの関心や傾向の明らかな欠如は、教会の指導者たちが、信徒たちの安全に影響を与える体系的な問題についての洞察が不十分であることを示している。彼らは、性的虐待の報告への対応に当たって、犯罪再発のリスクを評価し、最小限に抑える義務を果たすことを優先しなかった。被害者たちの気持ちを無視している」と報告書は続けている。

 報告書の発表を受けて、ニュージーランドのカトリック教会を代表してデュー枢機卿は、「私たちは、調査委員会での被害者たちの証言に注意深く耳を傾けてきました。この報告には、性的虐待の犠牲者と共に歩みつつ、この問題に対処する私たちの助けとなる多くの助言が含まれています」と語っている。

「彼がなぜ司教のままでいるのか分からない」と枢機卿

(2021.12.16 Crux Managing Editor Charles Collins)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。

Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

2021年12月17日

・教皇、仏司教団と会見-”性的虐待危機”に「シノドス的な取り組み」を進めるよう促す

Pope Francis and the members of the French Bishops' Conference presidency: From left to right, Bishop Olivier Leborgne, Bishop Éric de Moulins-Beaufort, Bishop Dominique Blanchet, and Fr Hugues de Woillemont.Pope Francis and the members of the French Bishops’ Conference presidency: From left to right, Bishop Olivier Leborgne, Bishop Éric de Moulins-Beaufort, Bishop Dominique Blanchet, and Fr Hugues de Woillemont.  (Vatican Media)

 聖職者による大規模、かつ長期にわたる性的虐待の実態が独立委員会(CIASE)の手で明らかされたフランスのカトリック教会の司教団が13日、バチカンを訪問して教皇と定例の会見をした後、14日、ローマ市内で記者団との会見に応じた。

 記者会見には、フランス司教協議会のエリック・ド・ムーラン・と二人の副会長が出席。

 冒頭、今回の教皇との会見は、毎年行われているもので、今回は、先に開いた司教協議会総会の内容などを報告するのが主たる目的だった、と断ったうえで、教皇に対して、1950年以来これまでの教会における性的虐待の被害者が33万人に上るとのCIASE報告が中心議題となった11月の定例司教協議会総会の内容、参加司教たちが皆で「回心」をし、制度的な責任を引き受け、被害者たちのケアに尽くすことを誓ったことなどを説明した、と述べた。

 ビューフォー会長によると、説明を聞かれた教皇は、彼らの尊厳ある姿勢とCIASE報告を受けた対応を評価し、「さらにシノドス的な取り組みを進めるように」と促された。

 教皇は後日、CIASEのジャン・マルク・ソーヴェ委員長からも話を聴くことにしておられるが、今回の司教たちからの報告では、これまでフランスの教会が”問題司祭たち”にどのように対応して来たかについて、特に関心を示された。また、「世界の教会に根深くある悪に対処するために、あらゆるレベルで必要なことをすべてしなければならない」と改めて決意を述べられた、という。

 フランスの教会の性的虐待とこれまでの対応のより具体的内容は、バチカン司教省のマルク・ウエレット長官、奉献・使徒的生活会省のジョアン・ブラス・ジ・アビス長官との協議で説明された。また欧州の他国教会との関係では、非公式な意見交換がかなりの頻度でなされており、来月には司教協議会会長が、ドイツ、スイスの各司教協議会会長と、実態調査やそれに対する対応などこれまでの経験を話し合う予定であることも報告した。

 また、雑誌に女性との交流を書かれたのを受けて先に教皇に辞表を提出、受理されたパリ教区長のミシェル・オペティ前大司教については、教皇は、この決定を下さなければならなかったことに対する悲しみを、打ち明けられ、前大司教の司牧者としての活動に敬意を示すとともに、『司教たちも罪人になり得る』ということを受け入れず、叫び声を上げる美しい魂ー『祈り、苦しむ神の民』のそれとは対照的な態度に言及された、という。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2021年12月15日

・スイスの教会が性的虐待で独立委員会を設置―仏の大不祥事、教会法改定を受け

Archive photo: Swiss bishops during their Ad limina visit in Rome, November 2021Archive photo: Swiss bishops during their Ad limina visit in Rome, November 2021 

*フランス教会のスキャンダル受け、徹底調査

 独立委設置で合意したのは、スイス司教協議会(CES)と修道会協議会、奉献生活団体で構成する協議会、および同国の信徒組織で構成する中央カトリック協議会で、実際の調査をチューリッヒ大学に委任した。

 調査については、「20世紀後半から現在に至るスイスのカトリック教会内での性的虐待」の具体的な実態を調べ、結果をプレス発表する予定。調査対象は、国内のカトリック各教区の小児性愛を含むあらゆる性的犯罪行為を対象とする。

 独立委員会設置についての共同声明では、まず、「スイスのカトリック教会でなされた性的虐待によって、多くの人々が大きな苦しみを受け、それに耐えてきた」ことを認めた。

*「被害者に正義を保証する」ための最重要案件

 そのうえで、「これらの犯罪に関する科学的研究は、私たちが何よりも犠牲者に負っている義務であり、将来の教訓を引き出す必要がある」と言明。研究の「科学的品質」と「独立性」を保証するために、スイス歴史協会(SSS)によって女性主導の特別研究委員会も設立された、としている。

 また、スイスの司教たち、修道者たちは「自分たちから独立した委員会による調査、研究が『性的虐待の被害者に正義を保証する』ための最も重要な要件であると確信している」とし、調査・研究が「今後の教会のあり方に、被害者たちの声をどのように反映できるか」についても明らかにすることを求めている。

 共同声明はさらに、調査委員会の独立性を確保し、調査・研究作業への干渉を防ぐために、結果が利用可能になった際に限って、メディアと国民に公表され、最終報告はスイスの3つの公用語ーフランス語、ドイツ語、イタリア語で出される、としている。独立委員会の調査と並行して、スイスの司教団は来年3月に性的虐待対処計画に関する詳細な内容を公表する予定だ。

 

*性的虐待加害者に対する罰則の対象拡大

 教会における犯罪処罰を定めた「教会法典・第6集」改定版が今年6月に使徒憲章として発表され、12月8日から発効したが、スイスの教会が性的虐待に関する独立委員会の設置を発表したのはその前日に当たる。

 改定版には、虐待の問題を扱う「人間の生命、尊厳、自由に対する犯罪」に関する新しい章が設けられた。教会法は現在、性的虐待の罪で有罪となった聖職者などを「職務の剥奪やその他の措置で」罰すること求めているが、改定版で、対象行為として、新たに、(小児性愛者が)児童をそうした目的で引き込むことや、児童ポルノの保持、閲覧などが新たに追加された。

 また、性的虐待の被害者を未成年者だけでなく、「imperfect use of reason(理性の働きが不完全)」な人にも対象を広げ、加害者も、司祭叙階されていない修道者、一般信徒も罰則の対象となり得る、とした。さらに、犯罪の疑いがもたれる事案の報告を義務付け、司教の説明責任に関する規程も新たに設けられた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2021年12月9日

・初の中南米教会会議が性的虐待被害者への対応を司牧の最優先課題に(Crux)

(2011.11.29 Crux Rome Bureau Chief  Inés San Martín)

Unique LatAm summit identifies abuse victims as pastoral priorityローマ発ー司教、司祭、宗教、平信徒が一堂に会した8日間にわたるラテンアメリカ初の教会会議が11月28日に閉幕し、提言された最優先すべき12の取り組みの中で「カトリック教会が関係する性的虐待の被害者」に寄り添うことを言明した。

 これは、アメリカの南北大陸で信徒はじめ一般の人々に大きな打撃を与え続け、教会離れを招いている聖職者による未成年者などへの性的虐待の影響の深刻さを改めて認め、被害者への対応など真剣な取り組みを確認するものだ。

 コロナ禍の中でインターネット参加を主体に開かれた会議には、ラテンアメリカでの宣教活動に深い経験を持ち、バチカンの司教省長官でラテンアメリカ委員会を率いるマルク・ウェレット枢機卿、”シノドスの道”の実質的責任者のジャン・クロード・オロリッシュ枢機卿やアジア司教協議会連盟のチャールズ・ボー枢機卿など世界の地域の代表も参加。教皇フランシスコも、開会式にビデオメッセージを送られていた。

 メキシコシティでの会議に実際に出席したのは約1000人だったが、YouTubeやソーシャルメディアを通じて会議の模様は動画中継され、連日の記者会見にも多くの報道関係者が集まった。

記事前文はhttps://cruxnow.com/church-in-the-americas/2021/11/unique-latam-summit-identifies-abuse-victims-as-pastoral-priorityに。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2021年12月1日

・「教会は性的虐待問題で人々の信頼を失っている、司教”優越”の時代は終わった」ドイツの”現教皇派”司教(LaCroix)

(2021.11.24 La Croix   Christa Pongratz-Lippitt | Austria)

   “フランシス派”と広く見なされているドイツのハイナー・ウィルマー司教(ヒルデスハイム教区長)が24日、ハノーバーで毎年開かれる教区主催の集会で、教会関係者や社会活動家、政治活動家など約200人を前に、「SOS-私たちの魂を救うかどうかの問題だ」と題して講演し、「これまで教会にとっての最重要事項は、教会制度と性的虐待の加害者を守ることであり、虐待の犠牲者を守ることを全く怠った」と深く反省するとともに、「カトリック教会は、聖職者の性的虐待問題への対処を誤ることで、人々の信頼を失っている」と改めて指摘した。

 ウィルマー司教は、この集会に出席を予定していたラインハルト・マルクス枢機卿が新型コロナウイルスで陽性と判断され結成したため、”代理”の形で講演したもの。講演で司教はまず、「カトリック教会は、もはや社会の中で支配的な役割を演じることができなくなっています」と警告した。

 そうした中で「教会は聖書に示されたルーツを再発見せねばならない」としたうえで、「制度としての教会は規模を縮小し、徹底的に謙虚な存在になる。地球に関する生命観を説明するための数多くの主張の中の一つの声に過ぎなくなる」と述べ、「小さくなる一方で、普遍的なものになるでしょう… 私たちの信仰は今よりもカバーする範囲は狭くなる一方で、深く、聖書的なルーツのもとで成長することになるでしょう」と展望した。

 また、司教は、「司教に今、どれほどの決定権がありますか?」「人々は何を求めていますか?」「教会は今、どれほど役に立っているのか?」と参加者に問い掛け、「司教よりも、中古車のセールスマンの方が信頼されているのです」と述べた。そして、「司教たちが、権威を振りかざし、上から目線で、見下すような扱いを人々にする、自分たちを法律よりも優越していると考える、そうした時代は終わった」と言明。

 さらに、「今日、人々は、司教よりもセールスマンを信用しているが、同時に、これまで以上に、(新しい環境への)適応と安定を指向している… 新型コロナウイルスの世界的感染と気候変動問題で、人々は喪失感をさらに悪化させ、自分たちが依って立つ所を求めている、まさにそうした今の時に、カトリック教会は”がれきの山”に向き合っているのです」と嘆いた。だが、そうした教会に対しても、環境問題と社会問題で人々の利害が衝突したとき、仲介者、双方の間に”橋を架ける者”として行動するよう求める声が、なお残っている、とも指摘した。

 10月23日に”シノドス・プロセス”を自身の教区で開始した際、ウィルマー司教は信徒たちに、「教皇は、教会のこれまでの行き方を覆すことを望んでおられます」と呼びかけた。さらに、「教会における権力の配分を改めねばなりません。通常の聖職者の振る舞いにおいての”上下”は終わりにすべきです。男女についての新たな見識が求められています。そし、聖職者の役割について考え直す必要があります」と強調ている。

Read more at: https://international.la-croix.com/news/religion/astoundingly-candid-bishop-says-catholic-church-is-a-shattered-remains-of-its-former-self/15260

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。

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2021年11月25日

・「児童性的虐待の被害者が、効果的な対策の鍵を握っている」とオマリー枢機卿

European Day to End Child Sex Abuse is observed on or around Nov. 18. European Day to End Child Sex Abuse is observed on or around Nov. 18.   (©doidam10 – stock.adobe.com)

 一方で、「欧州の現実を見ると、フランスでは、カトリック教会の性的虐待に関する独立委員会(CIASE)から、1950年から2020年までのに21万6000人の未成年者が教会で性的虐待を受けた、との推計を明らかにされ、その他の地域でも、オーストラリアの王立調査委員会から、未成年性的虐待の40%がカトリック教会に関連して発生している」と指摘。

 そのうえで、「これらのデータにショックを受け、こうした害悪に対処するために教会がとっている措置を評価し、定量的、定性的な分析をもとに、すべての有益な勧告を誤ったシステムを変革するために役立てる、という努力を曖昧にすることはできません」とし、また、「私たちが確認しないものを修復することはできない。問題の核心に対処しなければ、壊れた信頼を取り戻すことはできません。率直で、独立した調査、情報に基づく行動が必要です」と訴えた。

 また枢機卿は、「性的虐待を予防し、子供たちを守る対策を立て、進めるために、多くの情報を得る方法を、市民社会と学問の世界から学ばなければなりません。そして、お互いに学び合うことで、私たちは真の『教会』となり、子供たちの保護を最優先する『社会』を作ることができるのです」と述べ、互いを信頼する関係と、組織横断的な支援体制の構築の必要を強く訴えた。

 さらに、「教皇フランシスコとバチカンの未成年者保護のための委員会は、『未成年の性的虐待被害者が、意味のある効果的な政策と手順の実施のためのカギを握っている』と確信しています」とし、教皇が「聖職者による性的虐待とその隠蔽について」と題して、2018年に世界の信徒たちに宛てた手紙で「時が経つにつれて、私たちは多くの犠牲者の痛みを知るようになりました。彼らの負った傷は、決して消えることがありません」と語られていたことを挙げた。

 そして、「性的搾取と虐待から子供たちを守る欧州の日」に合わせて、18日をイタリアの教会が、被害者たちのために同国の全教会が祈る日としたことを評価し、この日が、聖職者による性的虐待の被害者を公けに認知し、教皇が全世界の信徒たちに宛てた手紙で強く望まれたように、すべての信徒、神を信じていない人の間に、この問題への認識を深めるようにすることを願って、バチカンの未成年者保護のための委員会を通して、教皇が設けられたものであることを、改めて強調し、その教皇の願いが果たされるように祈った。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2021年11月19日

・「児童ポルノ排除に全力を」「フランス教会の性的虐待発覚は”恥”」教皇、仏誌とのインタビューで(VN)

Pope FrancisPope Francis  (© Servizio Fotografico Vaticano)

(2021.11.11 Vatican News staff writer)

 教皇フランシスコはフランスの雑誌「パリマッチ」とのインタビューで、児童ポルノの制作に責任ある人々を非難するとともに、フランスの教会を大きく動揺させている聖職者による性的虐待スキャンダルに遺憾の意を表明した。

 インタビューで、世界中で氾濫している児童ポルノの問題について聞かれた教皇は、これらを制作している集団は、未成年の犠牲者に損害を与えるために「身を隠して自分たちを守るマフィアのように振る舞っている」と強く非難。このような卑劣な行為を排除するために、速やかに行動するよう、各国のこの問題の担当者に要請された。

 また、フランスの独立委員会報告で先日明らかにされた同国の聖職者による最近まで70年にわたる未成年者などに対する広範な性的虐待について、「恥ずべきこと」と言明された。

*新型コロナウイルス感染の危機への対応

 新型コロナウイルス感染の危機に対するカトリック教会の対応について聞かれた教皇は、バチカンの人間開発の部署に設けられたコロナ対策委員会をを中心に、「勇気と決意をもって、教会、様々な機関、ボランティアを巻き込み」精力的に活動して来た、とし、「具体的な大規模に進められた活動は、現在も続く世界的な危機に立ち向かうために欠かすことができない。教会と世界の将来を見据えて、取り組みを続けることが必要」と語られた。

*バチカンの課題

 また、教皇はインタビューの中で、バチカン改革を含めた、取り組みを続けるべき課題についても言及。「(2013年に)教皇に選ばれて以来、枢機卿などから提案された方策についても実現に努めてきたが、その全てが実現されたわけではない」として、バチカン改革を含む諸課題についてのさらなる取り組みについて意欲を示された。

*手術後の健康状態

 教皇は今夏、イタリア・ローマのジェメッリ大学病院で結腸憩室炎(けいしつえん)の手術を受けられたが、その後の体調について聞かれたのに対しては、「私は普通の生活を送っており、以前と同じペースで働くことができます」と強調された。

 このインタビューは、フランスの出版社Plon Publishing Houseが11月18日に刊行を予定するPourquoi eux” (Why them)に掲載される。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2021年11月12日

・米国の聖職者性的虐待申し立て累計4250件、なおも信頼回復努力が必要(Crux)

 (2021.11.10 Crux National Correspondent John Lavenburg)

Bishop Edward B. Scharfenberger of Albany, N.Y., second from left, listens to a speaker during a “Movement to Restore Trust” symposium at Canisius College Dec. 7, 2019, in Buffalo, N.Y. To the bishop’s right is clergy sexual abuse survivor Michael Whelan. In addition to heading the Albany Diocese, (Credit: CNS photo, via Movement to Restore Trust.)

ニューヨーク発–米国のカトリック教会における2002年未成年者保護憲章の順守状況に関する年次報告書が9日公表され、2019ー2020年監査年度に確認された性的虐待の被害申し立てを受けた聖職者は4250人にのぼり、教会や聖職者に対する訴訟、被害者に対する補償プログラム、教会や聖職者の破産に至っている者が、その三分の二を占めていることが明らかになった。

 報告書によると、4250人のうち4228人は、虐待が行われたのは数年から数十年前、被害者は現在では成人している。残りの22人は、2020年6月20日時点で未成年の人が聖職者から性的虐待を受けたと申し立てたものだ。

 報告書の冒頭、全米カトリック司教協議会(USCCB)全国審査委員会のスザンヌ・ヒーリー委員長は、ホセ・ゴメスUSCCB会長(大司教)宛ての書簡の形で、過去の申し立てとされた4228件の申し立てについて、「過去の痛みが残っていることを改めて思い起こさせるもの。教会は、事件がいつ起こったかに関係なく、被害を受けたすべての人に手を差し伸べ続けなければなりません」と強調した。

 現在も未成年者である人から「虐待された」と申し立てられた聖職者22人のうち、これまでに6人については虐待が立証されており、7人は継続調査中。 3人は立証できていない。また2人は虐待が確認できず、4人については、性的虐待以外の問題とされている。虐待が立証された人数と、申し立て総数は、2018-2019監査年度からそれぞれ、9人、37人減少している。

 ゴメスUSCCB会長は報告書の巻頭文で、聖職者の未成年者に対する性的虐待の新規申し立てが少なくなっていることに注目、「今回の年次報告者は、未成年者を巻き込んだ司祭による性的な違法行為が、今の米国のカトリック教会では極めて少なくなっています」と述べる一方で、「性的虐待被害の申し立てが事実であると立証された加害者は、聖職者としての職務から外し、司法当局に報告しました」とした。

 「申し上げるまでもなく、性的虐待被害の申し立ては極めて多いが、司教の兄弟たちと私は、未成年者と傷つきやすい成人を守ること、被害を受けた方々に思いやりと助けを提供することを約束し、実行に努めています」と説明している。

 今回の報告書は、2019年7月1日から2020年6月30日までの監査に基ずくもの。4250人の聖職者の性的虐待が3946人によって申し立てられ、838人の虐待が立証され、173人は申し立ての根拠がなく、 825人については立証できなかった。 991人については継続調査がされている。1423人は「その他」に分類されているが、これには教区の対応、被害者への補償、あるいは不明を含む。

 4000人を超える虐待が申し立てられたのは、複数の州で時効が変更され、被害者に申し立ての機会が与えられたことで件数が前年度の3倍になった2018-2019監査年度と同じ水準だ。過去の虐待については、多くの教区で、確認された被害者に対して補償プログラムが実施されている。

 また報告書は、2018年8月のペンシルベニア州の大陪審の報告書が、数百件にのぼる聖職者による性的虐待疑惑が明らかにされたのを機に、全米の他州でも同様の調査がなされ、ミズーリ、コロラド両州では2020監査年度分の報告がされている、としている。報告書の調査に参加した教区197のうち195教区では、聖職者の性的虐待の申し立てに関して3億1198万666ドル(約330億円)を費やした、という。

 また、2002年未成年者保護憲章の一項以上が守られていなかった教区はフォートワースとヘレナ、司教管区は聖ニコラス・ウクライナカトリックとニューアークエパルキアの計四つあり、「継続的な改善努力が求められる」とヒーリー委員長は述べ、各教区の司教たちは、検証順守を徹底させるためにそれぞれの教区審査委員会を召集した、としている。

 憲章が守られていないとされたのは、未成年者と成人のための安全な環境を確保する措置が十分でない、未成年者と共に働く聖職者全員と成人信徒の身元調査が行われていない、など。また、これらの教区では二つの教会が監査期間中にデータ収集などで十分な協力を行わなかった。

 報告書取りまとめの過程で、監査委員会は監査年度中に61回の現地監査を行ったが、6割の教区で、性的虐待に関する会議がされていない、担当者の構成が十分でない、理事会の細則に従わない、担当者の職務に自信がもてない、担当者の勤務が適切にされていないメンバーのローテーションの欠如などの問題が見つかった、という。また、2割から4割の教区で、児童ポルノに関する規程を含む児童保護方針または行動規範が定められていなかった。

 さらに、訪問した教区の15〜25%が、典礼が提供された、または教区や学校で表示されたすべての主要言語で印刷された報告手順を持っていなかったと報告している。訪問した教区の同じ割合で、訓練を受けていない聖職者、従業員、ボランティアが子供たち接触したという。

 報告書に関するUSCCBの新聞発表では、2020年に教会の保護サービスへの投資が15パーセント増加した、と述べているが、これには、「聖職者、従業員、ボランティアに対して実施された250万件を超える身元調査」が含まれていました。

 USCCBの児童青少年保護事務局のバーニー・ノジャデラ局長は、報告書の冒頭でゴメスUSCCB会長とヒーリー全国審査委員長にあてた書簡を引用し、2002年未成年者保護憲章にもとずいて取られた措置は「全国レベルで機能しているものの、虐待への警戒が依然として必要」と述べ、「教会の努力は称賛に値するが、それにもかかわらず、絶え間ない警戒が必要であり、聖職者と信徒の献身的努力がなお求められている」と強調。 「教会の努力が”文化”を変えることを願う。これは、全員が規則に従っている場合にのみ可能だ」と訴えている。

 

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2021年11月11日

・フランス司教団、性的虐待報告受け徹底的な教会改革を約束(VN)                                                           

The Bishops of France meet in Lourdes for their plenary assemblyThe Bishops of France meet in Lourdes for their plenary assembly  (AFP or licensors)

 さらに会長は、今回の総会を期に、フランスの教会は制度レベルでの根本的な変化を起こす時を迎えた、とし、「この総会で、私たちは、犠牲者に対する具体的な対応にとどまらず、私たちの教会が、現代社会の中で、どのように幅広く働くことができるか、対応に取り組むことを決めた。このような取り組みは、10月10日の教皇フランシスコによるミサによって始まった『シノドスの道』の歩みとも一致するものです」とし、「私たちは、信徒たちと意見を交わし、その様々な視点からの意見に、進んで耳を傾ける必要があり、そのための最も適切な仕方を模索していかねばなりません」と訴えた。

 

 会長はまた、司祭の「霊的な父性」という言葉が、司祭自身や信徒を惑わす危険性を指摘。「私たちは、この言葉を使う時に注意深く、意味を明確にすべきであり、だまされてはなりません。『父性』の暗喩には、恐怖をもって拒絶せねばならない『近親相姦の父性』も含まれるのです」と警告し、「真の父性は、人を成長させ、解放へと導くものでなければなりません」と強調した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2021年11月9日

・フランスの司教団、性的虐待に関して”制度的責任”認める(VN)

French bishops kneel as a sign of penance during a ceremony in Lourdes for abuse victims性的虐待の被害者たちへの悔悛の祈りを捧げる祈るフランスの司教たち(ルルドで、(AFP or licensors)

(2021.11.6 Vatican News  Lisa Zengarini)

    聖職者による数千件に上る性的虐待 が独立委員会報告で明らかにされ大きく動揺するフランスの司教協議会は2日に始まったルルドでの秋の定例総会で、性的虐待に対する「教会の制度的責任」を公式に認めた。

*70年間に21万人を上回る虐待犠牲者

 同国の「教会における性的虐待に関する独立委員会(CIASE)」は先月初めに公表した調査報告書で、2020年までの70年間にフランスに住む少なくとも21万6000人が、司祭や修道者による性的虐待の犠牲となっていたことを明らかにしている。

*醜聞を隠蔽する体質が虐待の繰り返しを招いた

 フランス司教協議会(CEF)の議長、エリック・ド・ムーラン=ボーフォール大司教は5日の記者会見で、「総会に出席した司教たちはこの調査結果に動揺し、圧倒され、虐待を生んだ教会の”体系的性質”を認識しました。このような規模の性的虐待の犯罪は、単に個人が犯したものではなく、そうした行為を許し、被害の訴えが教区や司教団に報告されるのを阻む慣行によって、長期にわたって、再発を可能にしてしまったことを認めました」と説明。

*犠牲者の声に誠実に耳を傾ける

 さらに、議長は、「報告書で明らかにされた大規模な性的虐待の深刻さを認識したことは、そのまま『正義と賠償の義務』を果たすことを誓った、と言うことを意味します」と述べ、記者会見で説明に立ったヒューグ・ド・ウォイルモン神父は、「司教たちが、性的虐待に関して教会に問題を抱えているすべての人々に会い、耳を傾ける用意があります」と補足した。賠償など財政面では、すでに3月に司教、司祭、一般信徒などからの寄付を受け入れる特別補償基金を設立している。

 また、6日朝には総会に出席した司教たちが Notre-Dame-du-Rosaire Basilica聖堂の前庭で.性的虐待の犠牲者たちに悔悛の祈りを捧げた。

 今回の独立委員会の報告書を重視した教皇フランシスコは、CEF総会の開会に当たってメッセージを送り、司教たちに「信仰と希望をもって重荷を負うように。私もあなた方と共に負います」と励まされている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2021年11月7日

・バチカンが聖職者に性的虐待された被害者の手紙を公開(VN)

Candles are lit during mass in a Church in FranceCandles are lit during mass in a Church in France  (AFP or licensors)

*「司祭たちが怖い、彼らに近づかれるのが怖い」

 聖職者から性的虐待を受けた被害者の手紙は、「同じような被害を受けて苦しんでいるすべての人に代わって、この手紙を書くことを決めました」と前置きして、「自分はここにいます。なぜなら、教会は私の母であり、教会が私を傷つけた時、教会も、けがを負っているからです」と述べ、「子供の時にこの偽善的な行為を経験した人は、成人した後の人生から、それを消すことは決してできないでしょう。一時は、それを忘れ、赦し、充実した人生を送ろうとするかもしれませんが、受けた傷は彼らの心にとどまり、消えることはありません」と訴えた。

 さらに、手紙の筆者は「性的虐待を受けた結果起こされた、心的外傷後ストレス障害、うつ病、不安神経症など、今も日々も続いている精神的な苦しみとの戦い」について説明した後、「私は司祭たちが怖い、彼らに近づかれるのが怖いのです」とも訴えた。

*「教会の傷がさらに深くならないように」「よい聖職者になって」

 そして、「傷や傷跡でいっぱいの教会を守って欲しい。教会の傷がさらに深くなり、新しい傷を負うのを放置しないでください」と求めた。

 また、神学生たちは「神に仕えるために、そして神を通して人々に仕えるために、神によって召された若くて強い人」であることを強調し、「カーペットの下にあるものを一掃しないでください。(注:ごみを)一掃して隠すとき、私たち自身が(注:性的虐待の加害者の)協力者になってしまう。真実を生きたいのなら、目を閉じることはできません!」と強調。「どうか、よい聖職者になってください」と強く願っている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2021年10月20日