(2021.11.8 Vatican News Devin Watkins)
フランスのカトリック司教協議会は8日、秋の定例総会最終日を迎え、独立委員会による聖職者の性的虐待に関する詳細な報告書を受けて、同国の教会の統治を根底から改めることを約束する決議を行なった。
同司教協議会会長のエリック・ド・ムーラン=ボーフォー大司教は、閉会に当たってのスピーチで、今回の総会で、司教たちは、調査報告書の内容を真摯に受け止め、対応を話し合った結果、「フランスの教会は、浄化と刷新の抜本策に着手する必要があることを確認し、教区レベル、全国レベルで、私たちの統治慣行を全面的に刷新することを決めるに至りました」と述べ、教会と教会指導者、司祭たちに対する信頼回復に全力で努める決意を表明した。
フランスの識者などで構成する「教会における性的虐待に関する独立委員会(CIASE)」が先に発表した報告書では、1950年から70年の間に司祭や修道者たちによって少なくとも21万6000人が性的虐待の犠牲となり、多くの人が今も苦しんでいることが明らかにされ、同国内に留まらず、欧州から世界の教会関係者などに強い衝撃を与え、教皇フランシスコも重大な関心と悲しみを持て受け止める事態となっている。
ムーラン=ボーフォー会長は、「CIASEの報告書のおかげで、おぞましい事実ー人の強い結びつき、構造的な結びつきが、常に過ちを犯しうることが明らかになりました」と述べ、司教団として自らの「制度的責任」を認め、「性的虐待の確認と償い、被害者に対する和解調停と補償が行えるようにする体制をとる」と言明。「フランスの教会は、性的虐待の犠牲となった、心の底から嘆き声をあげ、成人後もそうし続けるかも知れない小さな少年、少女、そして十代の子供たち1人ひとりに思いをいたしながら、この歩みを始めます」と語った。
さらに会長は、今回の総会を期に、フランスの教会は制度レベルでの根本的な変化を起こす時を迎えた、とし、「この総会で、私たちは、犠牲者に対する具体的な対応にとどまらず、私たちの教会が、現代社会の中で、どのように幅広く働くことができるか、対応に取り組むことを決めた。このような取り組みは、10月10日の教皇フランシスコによるミサによって始まった『シノドスの道』の歩みとも一致するものです」とし、「私たちは、信徒たちと意見を交わし、その様々な視点からの意見に、進んで耳を傾ける必要があり、そのための最も適切な仕方を模索していかねばなりません」と訴えた。
会長はまた、司祭の「霊的な父性」という言葉が、司祭自身や信徒を惑わす危険性を指摘。「私たちは、この言葉を使う時に注意深く、意味を明確にすべきであり、だまされてはなりません。『父性』の暗喩には、恐怖をもって拒絶せねばならない『近親相姦の父性』も含まれるのです」と警告し、「真の父性は、人を成長させ、解放へと導くものでなければなりません」と強調した。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)