(2021.12.14 Vatican News Cyprien Viet)
聖職者による大規模、かつ長期にわたる性的虐待の実態が独立委員会(CIASE)の手で明らかされたフランスのカトリック教会の司教団が13日、バチカンを訪問して教皇と定例の会見をした後、14日、ローマ市内で記者団との会見に応じた。
記者会見には、フランス司教協議会のエリック・ド・ムーラン・と二人の副会長が出席。
冒頭、今回の教皇との会見は、毎年行われているもので、今回は、先に開いた司教協議会総会の内容などを報告するのが主たる目的だった、と断ったうえで、教皇に対して、1950年以来これまでの教会における性的虐待の被害者が33万人に上るとのCIASE報告が中心議題となった11月の定例司教協議会総会の内容、参加司教たちが皆で「回心」をし、制度的な責任を引き受け、被害者たちのケアに尽くすことを誓ったことなどを説明した、と述べた。
ビューフォー会長によると、説明を聞かれた教皇は、彼らの尊厳ある姿勢とCIASE報告を受けた対応を評価し、「さらにシノドス的な取り組みを進めるように」と促された。
教皇は後日、CIASEのジャン・マルク・ソーヴェ委員長からも話を聴くことにしておられるが、今回の司教たちからの報告では、これまでフランスの教会が”問題司祭たち”にどのように対応して来たかについて、特に関心を示された。また、「世界の教会に根深くある悪に対処するために、あらゆるレベルで必要なことをすべてしなければならない」と改めて決意を述べられた、という。
フランスの教会の性的虐待とこれまでの対応のより具体的内容は、バチカン司教省のマルク・ウエレット長官、奉献・使徒的生活会省のジョアン・ブラス・ジ・アビス長官との協議で説明された。また欧州の他国教会との関係では、非公式な意見交換がかなりの頻度でなされており、来月には司教協議会会長が、ドイツ、スイスの各司教協議会会長と、実態調査やそれに対する対応などこれまでの経験を話し合う予定であることも報告した。
また、雑誌に女性との交流を書かれたのを受けて先に教皇に辞表を提出、受理されたパリ教区長のミシェル・オペティ前大司教については、教皇は、この決定を下さなければならなかったことに対する悲しみを、打ち明けられ、前大司教の司牧者としての活動に敬意を示すとともに、『司教たちも罪人になり得る』ということを受け入れず、叫び声を上げる美しい魂ー『祈り、苦しむ神の民』のそれとは対照的な態度に言及された、という。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)