・バチカン改革の総仕上げー教皇庁組織改編の全容明らかに

(2022.6.14 カトリック中央協議会)

教皇フランシスコは、使徒憲章『プレディカーテ・エバンジェリウム』(2022年3月19日発表、6月5日発効)によって教皇庁組織を以下のように再編成され、それぞれの長を以下のようにされた。

国務省 [SEGRETERIA DI STATO] 長官 ピエトロ・パロリン枢機卿 [Segretario di Stato: Cardinale Pietro Parolin]

  • 総務局 [Sezione per gli Affari Generali] 局長 エドガル・ペーニャ・パラ大司教 [Sostituto: Arcivescovo Edgar Peña Parra]
  • 外務局 [Sezione per i Rapporti con gli Stati e le Organizzazioni Internazionali] 局長 ポール・リチャード・ギャラガー大司教 [Segretario: Arcivescovo Paul Richard Gallagher]
  • 外交官人事局 [Sezione per il Personale di ruolo diplomatico della Santa Sede] 局長 ヤン・ロメオ・パウウォフスキ大司教 [Capo: Arcivescovo Jan Romeo Pawlowski]

省 [DICASTERI]

  • 福音宣教省 [Dicastero per l’Evangelizzazione]                                                                    ・世界宣教部門 [Sezione per le questioni fondamentali dell’evangelizzazione nel mondo]                                        ・
    初期宣教部門 [Sezione per la prima evangelizzazione e le nuove Chiese particolari] 
  • 教皇庁宣教事業 [Pontificie Opere Missionarie]  -教皇庁信仰弘布事業 [la Pontificia Opera della Propagazione della Fede]
    • 教皇庁使徒聖ペトロ事業 [la Pontificia Opera di San Pietro Apostolo]
    • 教皇庁児童宣教事業 [la Pontificia Opera dell’Infanzia Missionaria]
    • 教皇庁宣教者連合 [la Pontificia Unione Missionaria]
  • 教理省 [Dicastero per la Dottrina della Fede] 長官 ルイス・フランシスコ・ラダリア・フェレール枢機卿 [Prefetto: Cardinale Luis Francisco Ladaria Ferrer, S.J.]
    ・教理部門 [La Sezione Dottrinale] 局長 アルマンド・マッテオ神父 [Segretario: Mons. Armando Matteo]
  •   ・規律部門 [La Sezione Disciplinare] 局長 ジョン・ジョゼフ・ケネディ神父 [Segretario: Mons. John Joseph Kennedy]
     

    教皇庁聖書委員会 [la Pontificia Commissione Biblica] 委員長ラダリア・フェレール枢機卿 [Presidente: Cardinale Luis Francisco Ladaria Ferrer, S.J.]

  •   教皇庁国際神学委員会 [la Commissione Teologica Internazionale] 委員長 ラダリア・フェレール枢機卿 [Presidente: Cardinale Luis Francisco Ladaria Ferrer, S.J.]
  •   教皇庁未成年者保護委員会 [la Pontificia Commissione per la Tutela dei Minori]
  • 教皇庁支援援助省 [Dicastero per il Servizio della Carità]
  • 東方教会省 [Dicastero per le Chiese orientali]
  • 典礼秘跡省 [Dicastero per il Culto Divino e la Disciplina dei Sacramenti]
  • 列聖省 [Dicastero delle Cause dei Santi]
  • 司教省 [Dicastero per i Vescovi]
    • ラテン・アメリカ委員会 [la Pontificia Commissione per l’America Latina]
  • 聖職者省 [Dicastero per il Clero]
  • 奉献・使徒的生活会省 [Dicastero per gli Istituti di Vita Consacrata e le Società di Vita Apostolica]
  • いのち・信徒・家庭省 [Dicastero per i Laici, la Famiglia e la Vita] 長官 ケビン・ジョゼフ・ファレル枢機卿 [Prefetto: Cardinale Kevin Joseph Farrell]                          次官 アレシャンドレ・アウィ・メロ神父 [Segretario: Padre Alexandre Awi Mello]
  • キリスト教一致推進省 [Dicastero per la Promozione dell’Unità dei Cristiani]
    • ユダヤ教委員会 [la Commissione per i rapporti religiosi con l’ebraismo]
  • 諸宗教対話省 [Dicastero per il Dialogo Interreligioso]
    • ムスリム委員会 [Commissioni, fra cui quella per promuovere i rapporti con i Musulmani]
  • 文化教育省 [Dicastero per la Cultura e l’Educazione]
  • 総合人間開発省 [Dicastero per il Servizio dello Sviluppo Umano Integrale]長官 マイケル・チェルニー枢機卿 [Prefetto: Cardinale Michael Czerny, S.J.] 次官 アレッサンドラ・スメリッリ修道女 [Segretario: Suor Alessandra Smerilli, F.M.A.]
  • 法制省 [Dicastero per i Testi legislativi] 長官 フィリッポ・イアノーネ大司教 [Presidente: Arcivescovo Filippo Iannone] 次官 フアン・イグナシオ・アリエタ・オチョア・デ・チンチェトゥル司教 [Segretario: Vescovo Juan Ignacio Arrieta Ochoa de Chinchetru]
  • 広報省 [Dicastero per la Comunicazione]

法務機関 [ORGANISMI DI GIUSTIZIA]

  • 内赦院 [Penitenzieria Apostolica] 内赦院長 マウロ・ピアチェンツァ枢機卿 [Penitenziere Maggiore: Cardinale Mauro Piacenza]
  • 使徒座署名院最高裁判所(最高裁判所) [Supremo Tribunale della Segnatura Apostolica] 長官 ドミニク・マンベルティ枢機卿 [Prefetto: Cardinale Dominique Mamberti] 次官 アンドレア・リパ司教 [Segretario: Vescovo Andrea Ripa]
  • ローマ控訴院(控訴院) [Tribunale della Rota Romana] 裁判所長 アレハンドロ・アレジャーノ・セディージョ神父 [Decano: Mons. Alejandro Arellano Cedillo]

財務機関 [ORGANISMI ECONOMICI]

  • 財務評議会 [Consiglio per l’economia] 議長 ラインハルト・マルクス枢機卿 [Coordinatore: Cardinale Reinhard Marx] 副議長 ジョセフ・F. X.ザーラ氏 [Vice Coordinatore: Dott. Joseph F. X. Zahra]
  • 財務事務局 [Segreteria per l’economia] 長官 フアン・アントニオ・ゲレーロ・アルベス神父 [Prefetto: Padre Juan Antonio Guerrero Alves, S.J.] 事務局長 マクシミノ・カバジェーロ・レド氏 [Segretario Generale: Dott. Maximino Caballero Ledo]
  • 使徒座管財局 [Amministrazione del Patrimonio della Sede Apostolica] 局長 ヌンツィオ・ガランティーノ司教 [Presidente: Vescovo Nunzio Galantino] 次長 ファビオ・ガスペリーニ氏 [Segretario: Dott. Fabio Gasperini]
  • 監査室 [Ufficio del Revisore Generale] 監査室長 アレッサンドロ・カッシーニス・リギーニ氏 [Revisore Generale: Signore Alessandro Cassinis Righini]
  • 機密保持委員会 [Commissione di Materie Riservate]
  • 投資監査院 [Comitato per gli Investimenti] 議長 ケビン・ジョゼフ・ファレル枢機卿 [Presidente: Cardinale Kevin Joseph Farrell]

部局 [UFFICI]

  • 教皇公邸管理部 [Prefettura della Casa Pontificia]
  • 教皇儀典室 [Ufficio delle Celebrazioni Liturgiche del Sommo Pontefice] 儀典長 ディエゴ・ジョバンニ・ラベッリ神父 [Maestro delle Celebrazioni: Mons. Diego Giovanni Ravelli]
  • 教皇空位期間管理 [Camerlengo di Santa Romana Chiesa] カメルレンゴ =ケビン・ジョゼフ・ファレル枢機卿 [Camerlengo: Cardinal Kevin Joseph Farrell] 副カメルレンゴ= イウソン・ジ・ジェズス・モンタナリ大司教 [Vice Camerlengo: Arcivescovo Ilson de Jesus Montanari]

弁護士 [AVVOCATI]

  • 教皇庁弁護士名簿 [Albo degli Avvocati presso la Curia romana]
  • 聖座弁護団 [Corpo degli Avvocati della Santa Sede]

聖座関連機関 [ISTITUZIONI COLLEGATE CON LA SANTA SEDE]

  • バチカン文書館 [L’Archivio Apostolico Vaticano]
  • バチカン図書館 [Biblioteca Apostolica Vaticana]
  • 聖ペトロ大聖堂管理部 [La Fabbrica di San Pietro]
  • 考古学委員会 [La Pontificia Commissione di Archeologia Sacra] 議長 ジャンフランコ・ラバージ枢機卿 [Presidente: Cardinale Gianfranco Ravasi]
  • 教皇庁科学アカデミー [la Pontificia Accademia delle Scienze]
  • 教皇庁社会科学アカデミー [la Pontificia Accademia delle Scienze Sociali]
  • 教皇庁生命科学アカデミー [la Pontificia Accademia per la Vita] 議長 ビンチェンツォ・パリア大司教 [Presidente: Arcivescovo Vincenzo Paglia]
  • カトリック大学・学部の評価機関 [l’Agenzia della Santa Sede per la Valutazione e la Promozione della Qualità delle Università e Facoltà Ecclesiastiche]
  • 財務情報監視局 [L’Autorità di Supervisione e Informazione Finanziaria] 局長 カルメロ・バルバガッロ氏 [Presidente: Dott. Carmelo Barbagallo]

 

また、統廃合された評議会 [Pontifical Councils]は以下の通り(既に実施されているものも含む。

  • 信徒評議会 [Pontifical Council for the Laity](⇒いのち・信徒・家庭省へ)
  • 家庭評議会 [Pontifical Council for the Family](⇒いのち・信徒・家庭省へ)
  • 正義と平和評議会 [Pontifical Council for Justice and Peace](⇒総合人間開発省へ)
  • 開発援助促進評議会 [Pontifical Council “Cor Unum”](⇒総合人間開発省へ)
  • 移住・移動者司牧評議会 [Pontifical Council for the Pastoral Care of Migrants and Itinerant People](⇒総合人間開発省へ)
  • 保健従事者評議会 [Pontifical Council for Health Pastoral Care](⇒総合人間開発省へ)
  • 文化評議会 [Pontifical Council for Culture](⇒文化教育省へ)
  • 新福音化推進評議会 [Pontifical Council for Promoting New Evangelization](⇒福音宣教省へ)
2022年6月17日

・ベルギーの退任大司教が枢機卿任命を辞退、教皇認める-性的虐待への対応で批判の声受け

 教皇フランシスコは17日、8月27日の枢機卿会議で正式任命を予定していた21人の新枢機卿のうち、ベルギーのルーカス・ファン・ローイ退任司教がから出されていた枢機卿任命を辞退するとの申し出を受理された。

 任命辞退の申し出の理由は、教皇から枢機卿任命の内示を受けた後、「司牧者の立場から、聖職者による性的虐待について常に十分に強力な対応をしていなかった」と彼に対する批判の声が出たため。

 教皇は5月29日に21人の新枢機卿任命を発表していたが、それから20日も経ないうちに、本人に関する批判の声を受けて、辞退を申し出ることになったわけだ。

 ベルギーの司教協議会は17日に声明を発表し、「ローイ司教の枢機卿任命の発表は、多くの前向きの反応をもたらしたが、同時に、彼がゲント教区長を務めていた2004年から2020年の間に、司牧責任との関係で、性的虐待について常に十分に強力な対応をしていなかった、という批判が起きた」とし、「そうした虐待の犠牲者が、司教の枢機卿任命でさらに傷つくのを防ぐために、教皇に任命辞退を受け入れてくださるよう求め、教皇もこれを受け入れられた」と説明した。

 ベルギー司教協議会議長のヨーゼフ・デ・ケセル枢機卿は、ベルギーのすべての司教と共に、「ローイ司教の判断に感謝し、この機会に、カトリック教会におけるあらゆる形の虐待との戦いを揺らぐことなく続け、犠牲者とその親族を第一に考える、という約束を改めて確認する」と語っている。

 ローイ退任司教は、1941年9月28日にベルギーのティーレンで生まれ、1961年にサレジオ会に入会し、1970年9月12日に司祭叙階。1980年代と90年代にサレジオ会の指導的地位にあった。2003年に62歳でベルギー北西部のゲント教区の司教に任命され、2019年11月に78歳で司教を退任した。

 司教は2010年にベルギー議会の性的虐待問題委員会に呼ばれ、「ベルギーと世界のカトリック教会が性的虐待のスキャンダルが揺らいでいることを、深く恥じている」と語るとともに、教会には聖職者に寄る性的虐待のいかなる疑惑についても、当局に報告する義務があることを確認していた。

  教皇フランシスコが5月27日に発表した新枢機卿21人のうち、5人は教皇選挙権の無い80歳以上で、ローイ退任司教はその一人だった。

(編集・翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

2022年6月17日

・教皇、訪問延期のコンゴ出身者たちと7月3日にバチカンでミサを約束

(2022.6.13 バチカン放送)

 教皇フランシスコが13日、アフリカ宣教会のローマ本部で開かれた同宣教会総会の参加者とお会いになり、7月上旬に予定されていたコンゴ民主共和国と南スーダンへの司牧訪問を治療中の膝のために延期せざるを得なかったことについて、「とても残念です」とされたうえで、7月3日に、バチカンでローマ在住の同国出身者たちとミサを祝う考えを示された。と告げられ、

 参加者たちへの挨拶で、教皇は「実際、この歳で宣教に出掛けるのは容易ではありません」とユーモアを交えながら話され、「皆さんの祈りと模範に元気づけられ、いつも思っている国々の方々のところに会いに行ける日を信じて、待っています」と語られた。

 そして、教皇は、7月上旬に予定していたアフリカ二か国訪問で、コンゴ民主共和国の首都キンシャサでミサを捧げる計画だったことを思い起こされ、同じ7月3日にバチカンで共にミサを奉げる考えを明らかにされた。

 アフリカ宣教会は、1868年に当時アルジェリアのアルジェ大司教だったシャルル・ラヴィジェリ枢機卿(1825-1892)によって創立された「アフリカに生まれた、アフリカのための」宣教会。

 教皇は、アフリカ宣教会の今総会のテーマ「預言的証しとしての宣教」に触れつつ、「世界の変化とともにアフリカも変化していきますが、創立者ラヴィジェリ枢機卿のカリスマから、キリストとその福音に基づく宣教の意味と力を汲み取り続けるように」と会員たちを励まされ、さらに、「あなたがたは使徒、使徒以外の何者でもない」というラヴィジェリ枢機卿の言葉を引用して、「使徒とは証し人。証しとは『祈りと兄弟愛』、すなわち『神に向けて開く心と、兄弟姉妹に開かれた心』です」と説かれた。

(編集「カトリック・あい」)

2022年6月14日

・教皇、欧州委員会委員長と会談、”ウクライナ戦争”終結への努力を確認

(2022.6.10 Vatican News staff reporter)

 教皇フランシスコが10日、は、フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長と会談され、ウクライナにおける戦争を終結させるという、双方の決意を確認された。Ms. Von der Leyen greets the Pope

 バチカン広報局のマッテオ・ブルーニ局長は会談後の記者会見で、2人の会談は「心のこもった」ものだった、としたうえで、「バチカンとEUの良好な関係と、ウクライナにおける戦争を終結させるための努力が会談の焦点となり、特に、この戦争継続が引き起こしている人道的問題と世界の食料供給への重大な影響に関心が払われた」と説明。

 また、委員長は、欧州で脱炭素と経済成長の両立を実現する「欧州グリーンディール」の一環としてローマで開かれた「新欧州バウハウス」(市民、専門家、企業、行政機関などが共創することで、芸術、文化、科学技術、環境、経済などの幅広い分野を融合して新たな生活様式・空間を構築することを目指すプロジェクト)の会議に参加していたが、バチカンの発表文では「この会議の、欧州の未来と欧州連合の将来の仕組みへの影響についての結論」についても取り上げられた、としている。

 さらに、記者の質問に答える形で、局長は、この会談では、「ウクライナにおける戦争、気候、そして持続可能な構造」についても話し合われた、と述べた。

 委員長は、教皇との会談の後、パロリン国務長官とギャラガー大司教とも会談した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年6月11日

・教皇、アフリカ訪問を延期ー膝の治療の効果を無駄にしないように

写真資料 2019年9月 教皇フランシスコのマダガスカル訪問写真資料 2019年9月 教皇フランシスコのマダガスカル訪問  (Vatican Media)

 教皇フランシスコが7月上旬に予定していたアフリカ2か国訪問を延期されることになった。

 バチカンのマッテオ・ブルーニ広報局長が10日発表したもので、教皇は2日から7日にかけてコンゴ民主共和国および南スーダンへの司牧訪問を予定されていたが、「現在受けている治療の効果を無駄にしないため」外国訪問は控えるように、との医師団の助言を受け入れ、延期を決められた、という。

 新たな日程は後日発表される見通し。

(編集「カトリック・あい」)

2022年6月11日

・ 日本・バチカン80周年を記念ー「結ぶ」テーマに生け花とダンス、天正少年使節ゆかりの教会で献花

(2022.6.3 バチカン放送)

 日本とバチカン間の外交関係樹立から80年を記念し、6月2日、「結ぶ」をテーマに、ローマ市内のカンチェレリア宮殿で、伝統的な生け花と現代的なダンスを融合した日本の若い芸術家たちによる演技が披露された。サンタ・マリア・デッロルト教会内の福者中浦ジュリアンの肖像前では、小原流五世家元・小原宏貴氏による献花が行われた。

 カンチェレリア宮殿は、カンポ・ディ・フィオーリに隣接する16世紀初頭の建造物で、内部には教皇庁の裁判所(最高裁判所・内赦院、控訴院)が置かれている。

 この催しでは、ルネッサンス様式をそのままに伝える同宮殿の広間で、「結ぶ」をテーマに、いけばな小原流五世家元・小原宏貴氏による生け花とインスタレーション*、舞踊家・振付師のセイシロウ氏による現代舞踏が、衣装デザイナーの齋藤ヒロスミ氏の協力で行われた。

1970年代以降一般化した、絵画彫刻映像写真などと並ぶ現代美術における表現手法・ジャンルの一つ。ある特定の室内や屋外などにオブジェや装置を置いて、作家の意向に沿っ て空間を構成し変化・異化させ、場所や空間全体を作品として体験させる芸術(Wikipediaより)

 記念イベントの開催で挨拶した岡田誠司・駐バチカン大使は、この80年間に強められた日本バチカンの関係を振り返り、最近の記念すべき出来事として2019年の教皇フランシスコの訪日、そして今年5月の岸田首相のバチカン訪問を挙げるとともに、「日本伝統の生け花にとどまらず、新しい芸術のあり方について創造的な活動を行っている小原氏と、舞踏家のセイシロウ氏とのコラボレーションによる全く新しい芸術を楽しんでいただきたい」と述べた。

 また、教皇庁文化評議会次長、タイ・ポール・デスモンド師は、日本の芸術に触れるこの機会に喜びを語り、「芸術は、それぞれの歴史や社会を背景に育まれたものであっても、その美は普遍の言語を語り、すべての人の魂に触れることができます」と語った。

 インスタレーションでは、まず、広間に組み立てられた木材に、バチカンと日本の絆の歴史を象徴するように、結んだ帯が一つひとつ取り付けられ、小原氏の手で組んだ木の間に枝や葉また花が入れられる中で、インスタレーションは生き生きとした表情と奥行きを帯びていった。

 小原氏によれば、インスタレーションに使用された帯は、小原流いけばなの会員たちの寄贈によるもので、これには”持続可能性”への思いがあるという。

 続いて、完成したインスタレーションの前で、セイシロウ氏が帯をアレンジした純白の衣装をまとい、静と動が共存する、ストーリーと情感あふれるダンスを力強く舞った。

ルネッサンスの雰囲気が漂う重厚な広間で、日本の若い芸術家たちが挑む伝統と現代芸術が融合した演技に、観客は惜しみない拍手を送った。

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 また、この催しと並行して、ローマ市内のサンタ・サンタ・マリア・デッロルト教会・福者中浦ジュリアン肖像前に、小原流五世家元・小原宏貴氏による献花 2022年6月1日マリア・デッロルト教会内の福者中浦ジュリアン神父の肖像(三牧樺ず子氏作)ので、小原流五世家元・小原宏貴氏による献花が行われた。

 ローマのトラステヴェレ地区にあるサンタ・マリア・デッロルト教会は、日本と深いつながりを持っている。

 1585年、天正遣欧少年使節団がローマに到着した。使節のローマ滞在中のある日、歓待行事の一つとして、テベレ川を舟で下り、オスティア方面の海へと向かう遠足が企画された。テベレ川の舟着き場「リーパ・グランデ」から乗船する前に、少年たちは近くのサンタ・マリア・デッロルト教会に立ち寄り、祈りを捧げた。

 海に近づき、教皇シスト5世が派遣した楽隊を乗せた別の小舟も加わって、宴が行われようとした時、突然の激しい嵐に見舞われ、何隻もの舟が波にのまれそうになった。だが、使節の少年たちが、乗船前に訪れた同教会の聖母を心に留め、熱心に祈ると、嵐は急におさまり、すべての舟は無事ローマに戻ることができた。

 この出来事から、3年後、シスト5世は、サンタ・マリア・デッロルト教会に付属する信心会(コンフラテルニタ)を、複合的な大きな信心会(アルチコンフラテルニタ)に引き上げた。現在でも、同教会の聖母の祭日(10月第3日曜日)には、1585年の出来事を思い起こし、ミサの中で感謝の賛歌「テ・デウム」が捧げられる。

 日本から初めてローマを訪れた天正遣欧少年使節は、サンタ・マリア・デッロルト教会の歴史にも、日本とローマを結ぶ一つの絆を残した。こうしたゆかりから、中浦ジュリアン神父が列福された翌年、2009年、同福者の肖像画が寄贈されている。

(編集「カトリック・あい」)

 

2022年6月4日

・教皇フランシスコ、新たに枢機卿21人を任命、総数229人うち”有権者”131人

The Consistory for the creation of the 21 new cardinals will be on 27 AugustThe Consistory for the creation of the 21 new cardinals will be on 27 August  (Vatican Media)

(2022.5.29 Vatican News staff writer )

   教皇フランシスコは29日の正午の祈りの後、新たに21人の枢機卿を任命することを明らかにされた。そして、8月27日に枢機卿会議を開いて正式に任命、続く29、30両日に世界の全枢機卿を招集し、先に発表されたバチカン改革の使徒憲章Praedicate evangeliumを考察する、と発表された。

 現在の世界の枢機卿の総数は208人でうち117人が教皇選挙権を持っているが、新枢機卿の任命により8月27日時点では、総数229人、うち教皇選挙権を持つ枢機卿は131人となる予定だ。

  新任される21人の枢機卿は世界の多種多様な文化、司牧分野などを反映した形をとり、地域別では、8人が欧州(仏、伊、ベルギーなど)で最も多く、6人がアジア(インド、東チモール、モンゴル、シンガポール)4人が中南米(ブラジル、コロンビア、パラグアイ)、2人がアフリカ(ナイジェリア、ガーナ)、北米(米国)が1人、となっている。また現在の教区長以外の職責では、バチカンの典礼秘跡省長官、聖職者省長官、バチカン市国の首長が、それぞれ大司教から枢機卿に昇格。イエズス会士の神学教授、聖ペトロ大聖堂付き参事会員が各1人となっている。

 21人の氏名、現在の肩書、出身国などは以下の通り。

1. Archbishop Arthur Roche – Prefect of the Congregation for Divine Worship and the Discipline of the Sacraments

2. Archbishop Lazzaro You Heung sik – Prefect of the Congregation for the Clergy

3. Archbishop Fernando Vérgez Alzaga, L.C. – President of the Pontifical Commission for Vatican City State and President of the Governorate for Vatican City State

4. Archbishop Jean-Marc Aveline – Metropolitan Archbishop of Marseille (France)

5. Bishop Peter Okpaleke – Bishop of Ekwulobia (Nigeria)

6. Archbishop Leonardo Ulrich Steiner, O.F.M. – Metropolitan Archbishop of Manaus (Brazil)

7. Archbishop Filipe Neri António Sebastião di Rosário Ferrão – Archbishop of Goa and Damão (India)

8. Bishop Robert Walter McElroy – Bishop of San Diego (U.S.A)

9. Archbishop Virgilio Do Carmo Da Silva, S.D.B. – Archbishop of Dili (East Timor)

10. Bishop Oscar Cantoni – Bishop of Como (Italy)

11. Archbishop Anthony Poola – Archbishop di Hyderabad (India).

12. Archbishop Paulo Cezar Costa – Metropolitan Archbishop of Brasília (Brazil)

13. Bishop Richard Kuuia Baawobr, M. Africa – Bishop of Wa (Ghana)

14. Archbishop William Goh Seng Chye – Archbishop of Singapore (Singapore)

15. Archbishop Adalberto Martínez Flores – Metropolitan Archbishop of Asunción (Paraguay)

16. Archbishop Giorgio Marengo, I.M.C. – Apostolic Prefect of Ulaanbaatar (Mongolia)

17. Archbishop Jorge Enrique Jiménez Carvajal – Archbishop Emeritus of Cartagena (Colombia)

18. Archbishop Lucas Van Looy, S.D.B. – Archbishop Emeritus of Gent (Belgium)

19. Archbishop Arrigo Miglio – Archbishop Emeritus of Cagliari (Italy)

20. Fr. Gianfranco Ghirlanda, S.J. – Professor di Theology

21. Msgr. Fortunato Frezza – Canon of Saint Peter’s Basilica

*以下は、2022.5.30 カトリック中央協議会ニュースより

 アジアで働く新枢機卿任命者の5人は、インド・ゴア教区のフィリペ・ネリ・アントニオ・セバスティアオ・ド・ロザリオ・フェラオ大司教、東ティモール・ディリ教区のビルジリオ・ド・カルモ・ダ・シルバ大司教、インド・ハイデラバード教区のアンソニー・プーラ大司教、シンガポール教区のウィリアム・ゴー・セン・シー大司教、イタリア出身でモンゴル・ウランバートル使徒座知牧区長のジョルジョ・マレンゴ司教。

 教皇フランシスコが発表した新枢機卿21人の氏名と役職、出身地、年齢(叙任の時点)は以下の通りです。

〔80歳未満の16人〕

  1. アーサー・ローチ大司教(教皇庁典礼秘跡省長官、英国、72歳)

  2. ユ・フンシク(兪興植)大司教(教皇庁聖職者省長官、韓国、70歳)

  3. フェルナンド・ベルヘス・アルサガ大司教(教皇庁バチカン市国委員会委員長・バチカン市国行政長官、スペイン、77歳)

  4. ジャン=マルク・アベリーヌ大司教(フランス・マルセイユ教区、アルジェリア、63歳)

  5. ピーター・エベレ・オクパレケ大司教(ナイジェリア・エクウロビア教区、ナイジェリア、59歳)

  6. レオナルド・ウルリッヒ・シュタイナー大司教(ブラジル・マナウス教区、フランシスコ会、ブラジル、71歳)

  7. フィリペ・ネリ・アントニオ・セバスティアオ・ド・ロザリオ・フェラオ大司教(インド・ゴア教区、インド、69歳)

  8. ロバート・ウォルター・マッケロイ司教(米国・サンディエゴ教区、米国、68歳)

  9. ビルジリオ・ド・カルモ・ダ・シルバ大司教(東ティモール・ディリ教区、東ティモール、54歳)

  10. オスカル・カントーニ司教(イタリア・コモ教区、イタリア、71歳)

  11. アンソニー・プーラ大司教(インド・ハイデラバード教区、インド、60歳)

  12. パウロ・セザル・コスタ大司教(ブラジル・ブラジリア教区、ブラジル、55歳)

  13. リチャード・クウイア・バーウォブル司教(ガーナ・ワー教区、アフリカ宣教会、ガーナ、63歳)

  14. ウィリアム・ゴー・セン・シー大司教(シンガポール教区、シンガポール、65歳)

  15. アダルベルト・マルティネス・フロレス大司教(パラグアイ・アスンシオン教区、パラグアイ、71歳)

  16. ジョルジョ・マレンゴ司教(モンゴル・ウランバートル使徒座知牧区長、淳心会、イタリア、48歳)

〔80歳以上の5人〕

  1. ホルヘ・エンリケ・ヒメネス・カルバハル名誉大司教(コロンビア・カルタヘナ教区、コロンビア、80歳)

  2. ルーカス・ファン・ローイ名誉大司教(ベルギー・ゲント教区、サレジオ修道会、ベルギー、80歳)

  3. アリーゴ・ミリオ名誉大司教(イタリア・カリャリ教区、イタリア、80歳)

  4. ジャンフランコ・ギルランダ神父(教会法教授、イエズス会、イタリア、80歳)

  5. フォルトゥナート・フレッツァ神父(聖ペトロ大聖堂祭式者、イタリア、80歳)

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年5月29日

・教皇、31日にローマの聖マリア大聖堂でウクライナなど世界の平和を願うロザリオの祈り

(2022.5.26 Vatican News  Deborah Castellano Lubov)

 5月・ロザリオの月の最終日、31日に教皇フランシスコがローマのサンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂で、ウクライナはじめ世界中の戦争で苦しむ人々のために平和を願うロザリオの祈りを、世界の信徒と共に捧げることになった。Ave Regina Pacis statue at Basilica di Santa Maria Maggiore

 バチカンの新福音化推進評議会が26日に発表したもので、教皇は、ローマ時間の31日午後6時(日本時間6月1日午前1時)から、同大聖堂の「Maria Regina Pacis(平和の元后)」の聖母マリア像(写真)の前で、ロザリオの祈りを唱えられる。

 同評議会は声明で、「聖母マリアの月の終わりに、教皇フランシスコは、現在も続いているウクライナでの戦争、そして他の多くの暴力行為で深く傷ついた世界に希望のしるしをもたらすことを希望しておられます」とし、世界のすべての信徒に対して、教皇と祈りを共にするよう呼びかけた。

 同大聖堂の聖母マリア像には、特別な歴史がある。教皇ベネディクトゥス十世が1918年、第一次世界大戦の終結を聖母マリアに願うために、バチカン美術館の副所長だった彫刻家のグイド・ガリに制作を依頼した。

 聖母マリアは、 戦争の終結を命じるしるしとして、左手を上げ、平和を象徴するオリープの枝を落とす用意をしている幼子イエスを右手に抱いている。 土台には花が彫られており、平和の復活とともに生命の開花を象徴している。

 31日に、教皇はこの像の前で、聖母に祈りを捧げ、慣習に従って、像の元に特別の意向を書き記した小片を置く前に、花輪を捧げる予定だ。

 この祈りには、教皇と共に、 ここ数週間に初聖体と堅信を受けた子どもたち、スカウトの子供たち、ローマ在住のウクライナ出身の家族、Marian Ardent Youth (GAM)の代表、バチカン警察とスイス衛兵、そして、平和の元・乙女マリアの名にちなんだローマの三つの小教区、教皇庁からも代表が参加する。

  また、戦争の悲劇を経験しているウクライナ人の家族、戦争犠牲者と関係のある人々、犠牲となった部隊の従軍司祭が、ロザリオを一連ずつ唱えることになっている。

 31日のロザリオの祈りは、サンタ・マリア・マッジョーレ大聖堂と世界のinternational shrineをインターネットで結ぶ、動画配信の形で行われ、現在の戦争、紛争に直接かかわりを持つウクライナの神の母聖堂、イラクのSayidat al-Najat (救いの聖母)大聖堂、シリアの平和の聖母大聖堂、バーレーンのMary Queen of Arabia大聖堂をはじめ、平和と良い航海の聖母聖堂(フィリピン)、救い主と母マリアの国際聖堂(ナイジェリア)、Shrine of Jasna Góra(ポーランド)、韓国の殉教者の国際聖堂(韓国)、ロレートの聖なる家(イタリア)、International Shrine Our Lady of Knock(アイルランド)、グアダルーペの聖母聖堂(メキシコ)、ルルドの聖母聖堂(フランス)なども参加の予定だ。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2022年5月26日

・「『ブチャ』は、平和を当然視する私たちへの警鐘」バチカン外務局長、ウクライナ外相と共同会見

共同記者会見する、バチカン外務局長ギャラガー大司教とクレバ・ウクライナ外相 2022年5月20日 ウクライナ・キーウ共同記者会見する、バチカン外務局長ギャラガー大司教とクレバ・ウクライナ外相 2022年5月20日 ウクライナ・キーウ 

(2022.5.21 バチカン放送)

 ウクライナを3日間にわたり訪問したバチカン外務局長ギャラガー大司教は、最終日の20日、ウクライナのクレバ外相と会談後、共同記者会見を行い、「訪問を通し、この国の傷に手で触れることになった」と語った。

 大司教は、特に20日朝訪問したブチャについて、ヨーロッパにおいて「最も恐ろしいことが起きた場所として、残念ながら21世紀の歴史に残るだろう」と述べ、「これは『平和はあって当然のものと思ってはいけない』という、私たちへの警鐘だ。平和は神の賜物であると同時に、宗教や政治的帰属を超えた善意の人々の絶え間ない努力を必要とするもの。その努力がなければ、この危険はわたしたちのものとなる。ブチャはそれを雄弁に語っています」と強調した。

 また、「多数の死者、あらゆる種類の暴力、都市の破壊、家族の離散、非常に多くの難民」に対する教皇フランシスコの大きな悲しみを伝え、「教皇庁は真の和平プロセスに協力する用意がある」ことを確認。「そのためには当事者双方からの要請が必要」と指摘した。

 さらに、「カトリック教会は、即時の、あるいは長期にわたる人々の精神的・物質的必要に応えるよう努めている」とするとももに、現地ウクライナでのカトリック教会をはじめキリスト教諸教会の平和と連帯のための取り組みに感謝を述べた。

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 ギャラガー大司教は、5月18日から3日間の日程で、戦争に苦しむ人々に教皇フランシスコと教皇庁の寄り添いを伝えるためにウクライナ入りし、初日は、リヴィウで、ラテン典礼の大司教、ギリシャ典礼カトリックの大司教と、それぞれ会見した他、避難民を受け入れているリヴィウの小教区や修道院を訪問。二日目の 19日は、リヴィウの州知事、市長と会見。その後、首都キーウに移動。ギリシャ典礼カトリック、キーウ=ハールィチ大司教区の大司教との出会いを持った。最終日の20日は、多数の市民が犠牲になったキーウ近郊の町ブチャ、ヴォルツェル、イルピンを訪れ、深刻な破壊の跡を目にした。特にブチャでは正教会の聖堂を訪問、集団墓地で祈りを捧げた。また、ヴォルツェルでは神学校が受けた被害状況を視察した。

(編集「カトリック・あい」)

2022年5月22日

・教皇、修道会などの長に非聖職者選ぶことを可能にする詔書

Pope Francis signing a letter (File photo)Pope Francis signing a letter (File photo) 

(2022.5.18 Vatican News   Deborah Castellano Lubov)

 教皇フランシスコは18日に布告された詔書で、バチカンの奉献・使徒的生活会省に対し、聖職者でない者が修道会、修道院など宗教共同体の会長、院長など長を務めることを認める権限を与えられた。即日、発効する。

 教皇は就任以来、カトリック教会の刷新・活性化の一環として、バチカンの諸機関の統治に関する様々なポストに一般信徒が就かせる方策を次々を打ち出しておられるが、それからさらに一歩踏み込んだものとして注目される。

 詔書によれば、今回の変更は、教会法(CIC)の宗教コミュニティの聖職者による統治を定めた588条2項の規定を、一定の条件のもとに免除する、というもの。その条件とは以下の三点だ。

①奉献生活の会または使徒的生活の会の評議会議長は、評議会の同意のもとに、非聖職者を地域の共同体の統治者として指名できる。

②評議会会長は、評議会の同意を得て判断し、奉献・使徒的生活会省から書面による認可を受けた後、非聖職者を長として指名できる。

⓷非聖職者は、そのようなケースを規定する法に従って、評議会会長ないし長として選出されることができるが、選出にあたっては、奉献・使徒的生活会省からの書面による確認を必要とする。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2022年5月19日

・教皇、7月に、教会運営寄宿学校で先住民大量虐待発覚のカナダを訪問

(2022.5.14 カトリック・あい)

 教皇フランシスコが7月にカナダを訪問される。バチカン広報局が13日発表したところによると、カナダ訪問は市民および教会当局、先住民コミュニティからの招待を受けたもので、7月24日から30日まで一週間にエドモントン、ケベック、イカルイトの各都市を訪れる予定だ。

  カナダでは、19世紀から1970年代にかけて15万人以上の先住民族の子供たちが、カナダ社会への同化運動の一環として、国が資金提供するカトリックなどキリスト教の学校に通うことを強制された。現在のカナダ政府は、これらの学校では、児童、生徒たちが母国語を話すことで殴打される暴行が頻繁に起き、身体的および性的虐待が蔓延していたことを認めている。

 問題が表面化したのは、昨年6月にブリティッシュ・コロンビア州カムループスの先住民の子どもたちの寄宿学校の跡地の墓地から215人の遺体が、さらにサスカチュワン州レジーナで先住民の子供たちを収容していた寄宿学校で印のない751人の遺体が埋められているのを発見したことが、先住民の団体によって相次いで明らかにされたため。カナダ全土に大きな衝撃が広がり、先住民同化政策を推進した当時の政府、それに協力して学校運営に関わったカトリック教会の責任を問う声も高まった。

 さらに、カナダ全土に約130もあった同様の寄宿学校に収容されていた数千人の子供の行方が不明になっていることも明らかになって、関係者の間に「人道に対する犯罪だ」などと衝撃が広がり、トルドー首相は「心が痛む。我々は真実を認め、過去から学ばなければならない」とする声明を出している。

 教皇フランシスコも、昨年6月の主日の正午の祈りで「この悲しい発見は過去の苦しみを知ることでいっそう大きくなりました」とし、カナダ全土の先住民寄宿学校で亡くなったすべての子どもたちの魂を主に委ねるとともに、深い哀悼の意を示された。さらに、今年に入って、3月から4月にかけて先住民団体の代表やカナダの司教団と会われた際、彼らの言葉や証言を高く評価され、カナダを訪問し、現地で祈り、再会することに期待を表明されていた。

 13日のバチカン広報局の声明によると教皇が訪問を予定されている3か所のうちエドモントン市は、同国で先住民人口が最も多く、同市のあるアルバータ州には25のカトリック教会運営の寄宿学校があった。イカルイトは人口8000人弱の町だが、イヌイットの人口が3900人とカナダの都市の中で最も多い。またケベック州のサンタンヌ・ド・ボープレは北米で最も古く、最も人気のある巡礼地の1つで、カナダ全土および世界中から毎年先住民やその他の人々が集まる大聖堂がある。

2022年5月14日

・国連事務総長の”正教会の復活祭(24日)ウクライナ停戦”呼びかけに教皇も賛同

(2022.4.21 バチカン放送)

 国連のグテーレス事務総長が19日、ウクライナのギリシャ典礼カトリック教会の最高責任者、シェウチューク大司教との合意のもとに、ロシア、ウクライナ両国指導者に対して、正教会暦で24日の復活祭を機とする停戦の呼びかけを行ったが、教皇フランシスコもこの呼びかけに賛同された。バチカン広報局が21日発表した。

 教皇は10日の「受難の主日」に、復活祭停戦を呼びかけておられたが、カトリック教会歴の17日の停戦は実現せず、ロシア軍のウクライナのマウリポリなど東部地域を中心とした軍事攻撃は止まる気配がない。

 教皇と教皇庁は、ロシア軍の攻撃で避難できずにいるマウリポリなどの人々に人道回廊を確保し、平和を切望する人々の叫びに耳を傾け、一刻も早く平和を回復させるよう、関係国指導者に願い、「神にできないことは何一つない」(ルカ福音書1,章37節)の確信のうちに、主に祈り続けている。

(編集「カトリック・あい」)

2022年4月22日

・聖金曜日・主の受難ー「『あなたがたも悔い改めなければ、皆同じように滅びる』というイエスの警告を思い起こそう」

(2022.4.15 バチカン放送)

 聖金曜日の15日夕方(日本時間16日未明)、教皇フランシスコはバチカンの聖ペトロ大聖堂で、イエス・キリストの十字架上の死を記念する「主の受難の儀式」を行われた。

 イエスの受難と死を深く観想するこの儀式は、祭壇前で頭を垂れた教皇の沈黙の祈りと共に始まり、みことばの祭儀では、ヨハネ福音書の「イエスが、ユダの裏切りで逮捕される場面から、十字架上の死、墓に葬られるまでの箇所」(18章1節-19章42節)が3人の助祭により朗唱され、イエスが息を引き取られる場面では、朗読者と会衆が沈黙のうちに跪き、頭を下げた。

 これに続き、教皇付説教師ラニエーレ・カンタラメッサ枢機卿による説教が行われた。

 枢機卿はまず、「今年の復活祭は、『喜びの鐘の音』ではなく、『死と破壊をもたらす砲弾の爆発の音』のもとで迎えることになった」と述べ、ピラトが流させた血や、シロアムの塔の倒壊で亡くなった人々に触れたイエスが「あなたがたも悔い改めなければ、皆同じように滅びる」(ルカ福音書13章5節)と警告されたことを思い起こしながら、「『その剣を鋤に、その槍を鎌に打ち直す』(イザヤ書2章4節)ことがされなければ、また同じことが繰り返されます」と訴えた。

 そして、「世界は目まぐるしく動き、そしてすべては過ぎさり、過去のものとなっていきますが、そうした時の動きに引きずられることなく、足を地につけているためには、『過ぎ去るもの』から、『過ぎ去らないもの』へと移る必要があります」と強調。「今年の復活祭を真の『過ぎ越し』とし、決して変わることのない方ー神ーへと移りましょう」と全ての司祭、信徒に寄りかけた。

 説教に次いで、聖金曜日の盛式共同祈願が行なわれ、後半の儀式では、十字架を手にした助祭が、大聖堂の入り口から祭壇に向かって進みつつ、三度にわたり歩を止め十字架を高く掲げ、その度に参列者を十字架の崇敬へと招いた。

 十字架は助祭によって教皇のもとに運ばれた。十字架を前にたたずんだ教皇は、長い沈黙の祈りを捧げ、十字架につけられたイエスに接吻された。最後に十字架は祭壇前にもたらされ、参列者は十字架を見つめ祈った。聖体拝領の後、会衆は静かに解散し、「主の受難の儀式」は終了した。

(編集「カトリック・あい」=引用された聖書の箇所の日本語訳は「聖書協会・共同訳」を使用)

2022年4月16日

・聖金曜日・十字架の道行き: ウクライナ、ロシアの家族も参加、「兄弟に振り上げた拳を収めさせてください」と教皇

Pope Francis leads the Via Crucis on Good Friday 2018 

(2022.4.15 Vatican News  Devin Watkins)

   教皇フランシスコが15日の聖金曜日に、ローマのコロッセオで十字架の道行きを主宰され、新型コロナ感染の影響で2019年以来3年ぶりの開催となった道行きには、1万人を超す信徒たちが参加。ウクライナから戦火を逃れてきた家族など15組の家族が代表して、戦争の恐怖や生活の上での苦難などを分かち合った。

    今年は教皇の使徒的勧告「(家庭における)愛の喜び」の公布5周年を祝う家族年であることから、カトリックのボランティア団体や共同体に関わる15の家族が14留それぞれの瞑想のテーマを書いた。「不満、不安、欠乏、心に負った傷」だけでなく、「勇気、許し、祈り、そして希望…」。世界中のすべての家族の暮らしに関連するこれらのテーマは、今回のコロッセオでの聖金曜日の十字架の道行きにおける瞑想の基調となった。

 

*「父なる主の平和の家」で一つの家族となる

 十字架の道行きは、Adoramus Te(We Adore You)から始まり、教皇フランシスコが、苦しみとキリストの十字架に隠された力、そして家庭生活の多くの側面と試練の中で見出された希望を思い起こさせる開式の祈りを唱えられ、その中で「復活されたイエスは、人類に救いの賜物をくださり、皆の涙を拭き、『愛と平和のあなたの家に住む一つの大家族』にすることを約束されました」と語られた。

 道行きの14の留ではそれぞれに、代表する家族が十字架を担い、祈りの意向と共に福音書の箇所を唱え、全員で黙想した。そして教皇が祈りで各留を締めくくり、聖歌隊は Stabat Mater「悲しみの聖母歌った。

*戦争で引き裂かれたウクライナとロシアの女性二人が共に十字架を担って…

 十字架の道の14留のそれぞれの黙祷のテーマは、カトリックのボランティアグループに関係する15の家族によって書かれ、世界中の家族が直面している試練と苦難のさまざまな側面を表現した。

 黙祷のハイライトは、2人の女性ーロシア人のアルビナとウクライナ人のイリーナーが十字架を共に運ぶ第13留だった。準備された祈りの言葉の代わりになされた長い沈黙は、どのような言葉よりも雄弁に二人の思い、家族の思いを伝えた。二人はローマで看護師をしている友達同士だが、十字架を共に担い、戦火にある兄弟姉妹たちすべての苦しみ、平和と和解への強い希望を表す瞳で互いを見つめていた。一瞬の沈黙のうちに、参加者全員が神の平和の賜物をくださるように祈った。

*苦しみの闇の中に福音の光

 十字架の道行きの間、教皇は説教も、ご自分の思いを語ることもせず、家族の代表たちが、それぞれの体験を語れるようになさった。そして道行きの最後に、「喜びと悲しみ、試練と希望の中で、福音の光がすべての家族の心に照らし続けられるように。あなたを遠ざけようとする私たちの”反抗的な心”に、赦しと平和が打ち勝つようにしてください」と次のように、神に祈られた。

 「主よ、私たちの反抗的な心を、あなた自身の心に向けるようにしてください。そうしてくだされば、私たちは平和の計画を追求することを学ぶことができます。敵対する者同士が握手をするように、互いに赦し合うように励ましてください。憎しみのあるところに和解がもたらされるように、兄弟に振り上げた兄弟の拳を収めさせてください。私たちがキリストの十字架の敵として振る舞うことを絶対にしないように、私たちがキリストの復活の栄光を分かち合うことができますように。アーメン」

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*家族生活の歩みの中で

 黙祷は、家族生活の歩みを反映する形で、十字架の道行き第一留は、若いカップルの経済的な苦労から親としての試練、そして喪失の痛みから戦争のような非常に困難な状況へと進む。若いカップルは、友人の結婚が失敗するのを目の当たりにする、彼らの愛はまだ試練に遭っていない、そして彼らの目的を達成するための闘いを含む彼らの困難を映す形で、十字架の道行きが始まる。

 「結婚は”ロマンチックな冒険”にととまらず、”ゲッセマネの園”でもあります。他の人のために体を壊す前に私たちが感じる苦痛があります」

 そして第二留。宣教活動に携わる家族は、戦争の恐ろしさを目の当たりにし、暴力で対抗するやり方に共感を覚え、神の摂理を信頼することの難しさを痛感している。日々、キリストの兄弟姉妹の中で、キリストを裏切る誘惑に抵抗するのに苦労し続けている。

*子供のない老夫婦と子供たち

 

*戦争がもたらす死と破壊

 第13留の言葉は、現在の政治的状況からは互いに対立するウクライナとロシアの家族によって書かれた。両方の家族は、死と破壊の痛みについて述べている。戦いによって、人生がどのように意味を失い、憎しみが絶望と沈黙に道を譲るように見えるかーそして、二つの家族が、共に、イエスの死を印す第13留へ十字架を運ぶ。

 彼らは祈る。「私たちは朝起きて少しの間、幸せを感じますが、その後、突然、これらすべてに自分自身を満たすのがどれほど難しいかを考えます。主よ、どこにおられますか? 死と分裂の沈黙の中で私たちに話しかけてください。私たちが平和を築く者に、兄弟姉妹になること、そして爆弾が破壊したものを立て直すことを、私たちに教えてください」

 

*戦争避難民は陽の光を求めている

 第15留は、戦争のために故郷を追われた避難民の家族からの言葉だ。

 自宅では、家族は大切な存在だった。だが、今は、単なる”番号””分類”だ。カトリック教徒であることさえも、避難民であることの次に置かれる。そして、子供たちが、爆弾、血、迫害を見ることのない人生の機会をえるように、毎日のように、親たちが命を落としている。

 「私たちが諦めないなら、それは、墓の入り口をふさいでいる大きな石が、いつか転がされることを、知っているからです」。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年4月12日

・「時代遅れの国粋主義的関心に閉じこもる権力者がもたらす戦争の闇。だが平和の夢を消してはならない」教皇、マルタの各界代表に

(2022.4.2 バチカン放送)

  マルタ訪問中の教皇フランシスコは2日、首都バレッタの大統領官邸でヴェッラ大統領、アベラ首相と会談後、同国の各界代表と会見された。

  教皇は、各界代表への挨拶の中で、マルタが「地中海の中心」と定義されるのは、「その位置だけでなく、この地で交差してきた歴史や文化が作り出す活気と文化によるもの」とされたうえで、マルタの社会や政治を特徴づけてきた「様々な世界からの風(影響)」を、古地図に描かれる羅針図(コンパスローズ)をイメージしながら語られた。

 そして、「北から吹く風、それは欧州から来るものです」として、特に、平和を守ることにおいて「一致した大きな家族の家としての欧州連合の存在」を示され、「この地は、正義や社会平等の価値、環境保護を推進する最前線にあります」。

 さらに、「この北の風は、時に西方の風と共に吹く。そこからは自由と民主主義の大きな価値を得る一方で、進歩への熱望によって、『自らのルーツを切り離す危険』に注意しなくてはなりません」とされ、「健全な発展のためには、記憶を守り、世代間の調和を醸し、画一化やイデオロギー的植民地主義に飲み込まれないように努め、すべての人の尊厳と命を尊重する必要があります」と説かれた。

 次に南方に目を向けた教皇は、「希望を求めて欧州にやって来る多くの兄弟姉妹の存在」に言及され、「福音の精神の下にこれらの人々を受け入れるマルタ政府と国民」に感謝を表されるとともに、「地中海が再び、『連帯の舞台』となるために、欧州の共同責任を必要としています。地中海を『文明の墓場』にしてはなりません」と訴えられた。

 そして、ロシアの軍事侵略で危機に陥っているウクライナに思いをはせ、戦火を逃れ、国際社会に助けを求めているウクライナの人々を温かく受け入れるようアピール。さらに、「陽がのぼる東からは、暗い戦争の風が吹いて来ている。他国を侵略、残酷な市街戦を展開し、核兵器の使用をほのめかして威嚇するようなことは、遠い過去のこと、と私たちは考えていました。戦争の冷たい風は、ただ死と破壊と憎しみをもたらすだけ」と強調。

 「時代遅れの国粋主義的な関心に閉じこもった権力者が紛争を起こす中で、普通の人々は未来を築く必要を感じています」とされ、「今、戦争の闇が人類の上に降りて来ています。そうした中にあっても、平和の夢を消してはなりません」と呼びかけられた。

 また、レバノン、シリア、イエメンなど、様々な問題や暴力に引き裂かれた中東の国々にも思いをはせた教皇は、「マルタの共存と調和の力を、これらの国々も必要としています。マルタが神の助けの下に、地中海の心臓として、希望と、命へのいたわり、他者の受け入れ、平和への熱望を、鼓動として響かせていただきたい」と願われた。

(編集「カトリック・あい」)

2022年4月3日