・教皇、7月に、教会運営寄宿学校で先住民大量虐待発覚のカナダを訪問

(2022.5.14 カトリック・あい)

 教皇フランシスコが7月にカナダを訪問される。バチカン広報局が13日発表したところによると、カナダ訪問は市民および教会当局、先住民コミュニティからの招待を受けたもので、7月24日から30日まで一週間にエドモントン、ケベック、イカルイトの各都市を訪れる予定だ。

  カナダでは、19世紀から1970年代にかけて15万人以上の先住民族の子供たちが、カナダ社会への同化運動の一環として、国が資金提供するカトリックなどキリスト教の学校に通うことを強制された。現在のカナダ政府は、これらの学校では、児童、生徒たちが母国語を話すことで殴打される暴行が頻繁に起き、身体的および性的虐待が蔓延していたことを認めている。

 問題が表面化したのは、昨年6月にブリティッシュ・コロンビア州カムループスの先住民の子どもたちの寄宿学校の跡地の墓地から215人の遺体が、さらにサスカチュワン州レジーナで先住民の子供たちを収容していた寄宿学校で印のない751人の遺体が埋められているのを発見したことが、先住民の団体によって相次いで明らかにされたため。カナダ全土に大きな衝撃が広がり、先住民同化政策を推進した当時の政府、それに協力して学校運営に関わったカトリック教会の責任を問う声も高まった。

 さらに、カナダ全土に約130もあった同様の寄宿学校に収容されていた数千人の子供の行方が不明になっていることも明らかになって、関係者の間に「人道に対する犯罪だ」などと衝撃が広がり、トルドー首相は「心が痛む。我々は真実を認め、過去から学ばなければならない」とする声明を出している。

 教皇フランシスコも、昨年6月の主日の正午の祈りで「この悲しい発見は過去の苦しみを知ることでいっそう大きくなりました」とし、カナダ全土の先住民寄宿学校で亡くなったすべての子どもたちの魂を主に委ねるとともに、深い哀悼の意を示された。さらに、今年に入って、3月から4月にかけて先住民団体の代表やカナダの司教団と会われた際、彼らの言葉や証言を高く評価され、カナダを訪問し、現地で祈り、再会することに期待を表明されていた。

 13日のバチカン広報局の声明によると教皇が訪問を予定されている3か所のうちエドモントン市は、同国で先住民人口が最も多く、同市のあるアルバータ州には25のカトリック教会運営の寄宿学校があった。イカルイトは人口8000人弱の町だが、イヌイットの人口が3900人とカナダの都市の中で最も多い。またケベック州のサンタンヌ・ド・ボープレは北米で最も古く、最も人気のある巡礼地の1つで、カナダ全土および世界中から毎年先住民やその他の人々が集まる大聖堂がある。

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2022年5月14日