カナダでは、19世紀から1970年代にかけて15万人以上の先住民族の子供たちが、カナダ社会への同化運動の一環として、国が資金提供するカトリックなどキリスト教の学校に通うことを強制された。現在のカナダ政府は、これらの学校では、児童、生徒たちが母国語を話すことで殴打される暴行が頻繁に起き、身体的および性的虐待が蔓延していたことを認めている。
問題が表面化したのは、昨年6月にブリティッシュ・コロンビア州カムループスの先住民の子どもたちの寄宿学校の跡地の墓地から215人の遺体が、さらにサスカチュワン州レジーナで先住民の子供たちを収容していた寄宿学校で印のない751人の遺体が埋められているのを発見したことが、先住民の団体によって相次いで明らかにされたため。カナダ全土に大きな衝撃が広がり、先住民同化政策を推進した当時の政府、それに協力して学校運営に関わったカトリック教会の責任を問う声も高まった。
さらに、カナダ全土に約130もあった同様の寄宿学校に収容されていた数千人の子供の行方が不明になっていることも明らかになって、関係者の間に「人道に対する犯罪だ」などと衝撃が広がり、トルドー首相は「心が痛む。我々は真実を認め、過去から学ばなければならない」とする声明を出している。
教皇フランシスコも、昨年6月の主日の正午の祈りで「この悲しい発見は過去の苦しみを知ることでいっそう大きくなりました」とし、カナダ全土の先住民寄宿学校で亡くなったすべての子どもたちの魂を主に委ねるとともに、深い哀悼の意を示された。さらに、今年に入って、3月から4月にかけて先住民団体の代表やカナダの司教団と会われた際、彼らの言葉や証言を高く評価され、カナダを訪問し、現地で祈り、再会することに期待を表明されていた。