・ベルギーの退任大司教が枢機卿任命を辞退、教皇認める-性的虐待への対応で批判の声受け

 教皇フランシスコは17日、8月27日の枢機卿会議で正式任命を予定していた21人の新枢機卿のうち、ベルギーのルーカス・ファン・ローイ退任司教がから出されていた枢機卿任命を辞退するとの申し出を受理された。

 任命辞退の申し出の理由は、教皇から枢機卿任命の内示を受けた後、「司牧者の立場から、聖職者による性的虐待について常に十分に強力な対応をしていなかった」と彼に対する批判の声が出たため。

 教皇は5月29日に21人の新枢機卿任命を発表していたが、それから20日も経ないうちに、本人に関する批判の声を受けて、辞退を申し出ることになったわけだ。

 ベルギーの司教協議会は17日に声明を発表し、「ローイ司教の枢機卿任命の発表は、多くの前向きの反応をもたらしたが、同時に、彼がゲント教区長を務めていた2004年から2020年の間に、司牧責任との関係で、性的虐待について常に十分に強力な対応をしていなかった、という批判が起きた」とし、「そうした虐待の犠牲者が、司教の枢機卿任命でさらに傷つくのを防ぐために、教皇に任命辞退を受け入れてくださるよう求め、教皇もこれを受け入れられた」と説明した。

 ベルギー司教協議会議長のヨーゼフ・デ・ケセル枢機卿は、ベルギーのすべての司教と共に、「ローイ司教の判断に感謝し、この機会に、カトリック教会におけるあらゆる形の虐待との戦いを揺らぐことなく続け、犠牲者とその親族を第一に考える、という約束を改めて確認する」と語っている。

 ローイ退任司教は、1941年9月28日にベルギーのティーレンで生まれ、1961年にサレジオ会に入会し、1970年9月12日に司祭叙階。1980年代と90年代にサレジオ会の指導的地位にあった。2003年に62歳でベルギー北西部のゲント教区の司教に任命され、2019年11月に78歳で司教を退任した。

 司教は2010年にベルギー議会の性的虐待問題委員会に呼ばれ、「ベルギーと世界のカトリック教会が性的虐待のスキャンダルが揺らいでいることを、深く恥じている」と語るとともに、教会には聖職者に寄る性的虐待のいかなる疑惑についても、当局に報告する義務があることを確認していた。

  教皇フランシスコが5月27日に発表した新枢機卿21人のうち、5人は教皇選挙権の無い80歳以上で、ローイ退任司教はその一人だった。

(編集・翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年6月17日