・「『ブチャ』は、平和を当然視する私たちへの警鐘」バチカン外務局長、ウクライナ外相と共同会見

共同記者会見する、バチカン外務局長ギャラガー大司教とクレバ・ウクライナ外相 2022年5月20日 ウクライナ・キーウ共同記者会見する、バチカン外務局長ギャラガー大司教とクレバ・ウクライナ外相 2022年5月20日 ウクライナ・キーウ 

(2022.5.21 バチカン放送)

 ウクライナを3日間にわたり訪問したバチカン外務局長ギャラガー大司教は、最終日の20日、ウクライナのクレバ外相と会談後、共同記者会見を行い、「訪問を通し、この国の傷に手で触れることになった」と語った。

 大司教は、特に20日朝訪問したブチャについて、ヨーロッパにおいて「最も恐ろしいことが起きた場所として、残念ながら21世紀の歴史に残るだろう」と述べ、「これは『平和はあって当然のものと思ってはいけない』という、私たちへの警鐘だ。平和は神の賜物であると同時に、宗教や政治的帰属を超えた善意の人々の絶え間ない努力を必要とするもの。その努力がなければ、この危険はわたしたちのものとなる。ブチャはそれを雄弁に語っています」と強調した。

 また、「多数の死者、あらゆる種類の暴力、都市の破壊、家族の離散、非常に多くの難民」に対する教皇フランシスコの大きな悲しみを伝え、「教皇庁は真の和平プロセスに協力する用意がある」ことを確認。「そのためには当事者双方からの要請が必要」と指摘した。

 さらに、「カトリック教会は、即時の、あるいは長期にわたる人々の精神的・物質的必要に応えるよう努めている」とするとももに、現地ウクライナでのカトリック教会をはじめキリスト教諸教会の平和と連帯のための取り組みに感謝を述べた。

・・・・・・・・・・・・

 ギャラガー大司教は、5月18日から3日間の日程で、戦争に苦しむ人々に教皇フランシスコと教皇庁の寄り添いを伝えるためにウクライナ入りし、初日は、リヴィウで、ラテン典礼の大司教、ギリシャ典礼カトリックの大司教と、それぞれ会見した他、避難民を受け入れているリヴィウの小教区や修道院を訪問。二日目の 19日は、リヴィウの州知事、市長と会見。その後、首都キーウに移動。ギリシャ典礼カトリック、キーウ=ハールィチ大司教区の大司教との出会いを持った。最終日の20日は、多数の市民が犠牲になったキーウ近郊の町ブチャ、ヴォルツェル、イルピンを訪れ、深刻な破壊の跡を目にした。特にブチャでは正教会の聖堂を訪問、集団墓地で祈りを捧げた。また、ヴォルツェルでは神学校が受けた被害状況を視察した。

(編集「カトリック・あい」)

このエントリーをはてなブックマークに追加
2022年5月22日