・チベット自治区でも宗教活動規制が強化ー”オンライン規制”も中国全土に(BW)

 宗教の自由をさらに制限するために新しい規制が導入され、仏像は破壊され、僧侶と尼僧は僧院から追い出されている。

ハマリン・ヒード寺院から強制退去させられた修道女たち。 mingdemedia.orgから。

 Bitter Winterがすでに報道しているが、歴史的にはチベットの一部だったが現在は中国四川省に取り込まれているカムで先月、高さ約30メートルの仏像とその周りの45台のマニ車が破壊された。

 ダラムサラを拠点とする Tibet Watchが情報筋の話として伝えるところによると、仏像名との取り壊しは2021年12月12日に始まった。中国国内では、過去数年間に、当局の手で、約30メートルのBoddhisattvaの像を含む、浙江省のいくつかの仏像が破壊された。 2019年には、吉林省の長春市にある普門寺の高さ32メートルの青銅製の4面観音像が「高すぎる」として破壊された。

 情報筋はBitter Winterの取材に、「彼ら(中国共産党の官僚)は、誰もが仏教を信じ、党を信じないことを恐れています。この春、当局は、寺院の9つの風鈴塔がチベット様式を具現化しているとして、取り壊すように命じました」と語った。信徒によると、中国政府はチベットの特徴を持つものをすべて禁止している。

Nuns forcibly evicted from Kharmar Monastery in Tibet.

 2021年8月、チベット仏教が実践され説教されている甘粛省・臨夏回族自治州のKharmar寺での”事件”がソーシャルメディアなどで伝えられた。そのビデオでは、僧侶や尼僧が民間人の服装をした数人の男によって強制的に寺から追い出され動画がはっきりと映っている。この不幸な事件は、Radio Free Asia (Tibetan) と New Tang Dynasty Televisionで中国内外に広く伝えられた。

    Nuns forcibly evicted from Kharmar Monastery. From mingdemedia.org.

 当局が強硬策に出たのは、新型コロナ感染に苦しむ人々のために同寺が30万元を寄付したが、中国共産党・政府の管理統制下にある「中国仏教協会」や地方政府にそれが回されるのを拒否したためだ、という。

 中国の習近平主席は2013年11月に就任以来、チベット自治区、新疆ウイグル自治区、内モンゴル自治区で、宗教活動の規制に踏み切った。だが、現場で厳しい規制が実際に行われていることは、これらの地域での厳しい情報統制、報道規制のために、外部にはほとんど伝えられていない。

 2018年に中国政府は「信教の自由の保護に関する中国の政策と慣行」というタイトルの白書を発表しました。しかし、このタイトルは誤解を招くもので、その内容は、宗教団体に中国共産党の指導を受け入れ、中国の特徴を備えた社会主義の道をたどるよう、命じるものだった。

 白書には次のように書かれている。「中国共産党と社会主義システムの指導に従うよう宗教団体を導く。中国の特徴を備えた社会主義の道を支持し、それに従う。中国の文脈で宗教を発展させる。社会主義の核心的価値観を受け入れる。中国の素晴らしい伝統を引き継ぐ。宗教的な教えと規則を中国の文化と統合する。地方政府の法律および規制を遵守し、法律に従って地方政府の行政を受け入れる」

 この指示は、中国のすべての宗教団体に適用される。白書はさらに、「2017年に開催された中国共産党第19回全国代表大会での習近平主席の報告によると、中国は宗教問題に関する党の基本政策を完全に実施し、中国の宗教は中国籍でなければならないという原則を支持し、宗教が社会主義社会に適応できるように、宗教に積極的な指導を行う」

 中国共産党が決めた「第14次五カ年計画」(2021〜 2025年)も、次のように述べています。「我々は、宗教活動に関する党の基本的な指導原則を実施し、中国の宗教の中国化の方向性を遵守し、宗教と社会主義社会の相互適応を積極的に指導する」。要するに、中国での過去数年間の動きから、チベット仏教を含む中国における諸宗教の中国化が進んでいる、結論付けられるのだ。

  一か月前の2021年12月3日から4日、北京で「宗教問題に関連する作業に関する全国会議」が開かれた。李克強・首相が主宰し、上級幹部たちが出席した。会議で、習主席が、宗教の中国化の推進を強調し、オンラインによる宗教活動の規制・管理を強化し、「中国における宗教の健全な継承に影響を与える顕著な問題」に効果的に対処するよう指示した。

 新型コロナウイルスの大感染が始まって以来、ほとんどの活動は世界中でオンラインで行われるようになっており、そうした流れの中で、このような指示がだされたものだ。これを受けて2021年12月20日に「インターネット宗教情報サービスの管理のための措置」が出され、新たな規制の下で、すべての外国の組織および個人は、中国で宗教コンテンツをオンラインで広めることを禁止されることになった。

 チベット自治区においても、効果的に実施されるだろう。この規制措置の第17条には、「オンラインで宗教活動を行うことを組織してはならず、仏を崇拝する、香を焚く、叙階、奉仕、ミサ、洗礼などの宗教儀式を次のような手段ーテキスト、画像、音声、またはビデオをライブまたは録音で放送してはならない」とし、違反者には、地方政府、公安、国家治安機関などによって、罰則が科せられる、としている。

 またこの規制措置は2022年3月1日から発効するとされており、過去にビデオで放送または記録された宗教活動に従事するチベット人に対しても取り締まりが行われる可能性があると、と懸念する声も関係者の間に出ている。

(筆者のTsering Dolma は、インドにある中央チベット政府の研究機関 Tibet Policy Institute,のリサーチフェロー。デリー大学で仏教の研究でPh.D.を取得している)

(翻訳・編集「カトリック・あい」)

 

2022年1月12日

・「収容所の”囚人”たちは日常的に殺されている」殺害免れたウイグル人学者が告白

(2022.1.4 Bitter Winter Alexandra Cavelius and Sayragul Sauytbay*)

China Protokolle - book cover. A book on Xinjiang.

 中国の新疆ウイグル自治区、首都ウルムチ近郊の収容所で虐待を受けた末に妻と共に欧州に脱出したウイグル人学者が自身の体験を詳細に語った「China Log: Annihilation Strategies of the CCP in the World’s Largest Surveillance State(中国日記:世界最大の監視国家、共産中国の抹殺戦略)」(ミュンヘン:Europa Verlag刊2021)の英訳版が近く刊行される。以下は、Bitter Winterによる要約。

 現在は欧州に暮らす学者夫婦が初めて口を開いた。ただし、中国国内にいる親族に危害が及ばないよう、氏名はもちろん、本人と識別されるような表記は一切しない、という条件付きである。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 中国政府・共産党は、国外にいても、どこに居ても、私たちを捜索しています。スパイは、私たちのいる国をまだ見つけていませんが、私たちを探し続けています。もし彼らがこの本で私の名前を見つけたら、彼らはすぐに私たちの子供たちを殺してしまうでしょう。自分以外の親族も、互いに引き裂かれ、肉体的にも精神的にも、強制収容所での経験でひどく傷ついています。

 私は、すべての人を大切にする環境で育ちました。地域の学者の集まりに所属し、年齢は60代で、高齢と言えましたが、非常に活発に活動していました。私は政治に興味を持ったことはなく、問題を引き起こしたこともありませんでしたが、彼らは私をすべて破壊しました。

 2016年、私たちは子供たちの何人かをトルコに留学させました。トルコでなら、より自由に、安全に暮らせるからです。当時、中国当局はすべてのウイグル人にパスポートの申請を命じていました。パスポートを申請しない人は敵対的であると見なされ、「お前は政府に反対している!」と言われ、15〜20日間拘束されました。ですから、パスポートを申請し、手に入れれば自由に海外に行けると多くの人が思ったのです。

 ところが、私たちが逮捕、投獄される理由となったのは、まさにこの海外旅行でした。同時に、パスポートを持っているにもかかわらず海外に旅行しなかった何千人もの人々が「お前の行動は疑わしい」と非難されました。「反政府活動を計画しているに違いない!」と言われ、懲役20年、あるいは終身刑を受けた人もいました。あるケースでは、3世代にわたる親族84人がトルコに移住しました。帰国すれば逮捕されるのは間違いないので、二度と帰ってこなかった。非常に賢明でした。

 私たち夫婦はそうではなかった。2016年、トルコにいる娘の結婚式に出るためにトルコに行き、帰国して一年後、当局から何回も尋問を受けました。「どうしてトルコに行ったのか。お前は外国のスパイではないか」と。翌2017年に、当局は国境を閉鎖し、私たちは国を離れることができなくなりました。

 しかし、妻と私はすぐに彼らの罠に陥りました。私たちは2016年に娘の結婚式のためにトルコに旅行し、それが終わったときに家に帰りました。かろうじて1年後、彼らは私たちに対してこの旅行を何度も尋問しました。 「なぜあなたはトルコにいたのですか?あなたは外国のスパイです!」政府は2017年に国境を閉鎖しました。私たちはもはや国を離れることができませんでした。

 そして、その年の10月2日、3人の警官が深夜に私たちの別荘にやって来ました。私たちは裕福で、別荘には広い庭がありました。ある警官が「どこにいる?」と叫び、私たち夫婦を見つけると、頭に黒い布の鞄をかぶせ、私と妻を別々に連行しました。

 私たちは犯罪者のように手錠をかけられ、足枷をされ、さまざまな場所で何日も休みなく尋問されました。「なぜお前はトルコにいたのか?」何度も何度も。私は「娘の結婚式に出るためだ」と答えると、 「本当の事を言え。なぜお前はトルコに行ったのか」。壊れたレコードのように同じ質問を繰り返しました。

 当局の幹部が、逮捕した私たち全員を一度に殺さなかったのは、おそらく大量殺戮に関係する物理的な能力と関係があったのでしょう。彼らは何百万もの死体を一度に処分することはできません。

 ただし、”駆除ネットワーク”全体はよく計画されています。まず、犯罪の重大性に基づいて”囚人”を類別します。囚人が尋問中に「中国共産党よりも強力なものはない」などと言うと、”第2ラウンド”で処刑されました。

 ただし、「私は何をしましたか?私は法律に違反していません!公平ではありません!」などと言うと、すぐに処刑です。まず、独房から出され、「健康診断に行きましょう」と看守から言われます。数時間後、あるいはその晩のうちに独房に戻されますが、ほとんど意識を失っており、完全にぐったりして、ろくに話すことができなくなっていました。

 連れて行かれる前には歩くことができる普通の人でした。戻されて、通常は2、3時間後、いったん意識が正常に戻り、最後の息を吐きました。その前に、自分たちが注射をされたこと、「連中は、これで…私たちを殺している」という言葉を残していく人もいました。外見的には拷問の痕が見られなかったので、致死的な注射を打たれたのは、間違いありません。

 私のいた収容所では、毎日5人か6人の囚人が独房から呼び出され、何人かは尋問の後に連れ戻されました。戻ってきたのは1人だけの日もあれば、まったく戻ってこなかった日もありました。 生じた”欠員”は、新しい入所者が、他の独房からの囚人で補填されました。私がいる間に最終的に何人が殺されたか、正確に言うことはできません。

 私たちは夜、寝ているふりをしながら、他の房の新しい囚人たちの声に耳を傾け、他の収容所の人々がどのように殺されているかを知りました。 「聞いたことがありますか?」毎晩、私たちの独房は、あえぎ声、咳、喘鳴だけでなく、死者についてのうわさでいっぱいでした。 「あの男は今日亡くなった。昨日は一人亡くなり、もう一人は…」私たちは、亡くなった方の名前を知りませんでした。番号だけです。

 私の5回目の尋問中に、彼らは私の背中を激しく殴打し、私の肺の1つが損傷しました。その後何が起こったのかわかりません。独房に連れ戻されたのでしょう。失神状態から目が覚めた時、血を吐くのを止められませんでした。私は約2リットルの血液を失いました。心臓が不規則に鼓動し、脈拍が激しくなりました。 「彼を医者に連れて行け!」。看守が叫び、顔に布をかけられ、ストレッチャーで建物の出口まで運ばれる間、布の間から、窓の外にある大きなコンクリートの構築物が目に入りました。何マイルも木が見えませんでした。 2階建ての長い建物がいくつか並んでいました。

 看守は、私と15〜20人の重傷者を棒でたたいてから、すりガラスの小さな窓しかないミニバスに詰め込み、立たされ,手錠をかけられ、天井のパイプにつながれました。息苦しく、何人かは失神しました。それも、バスは15分ほど走り続けました…。

 収容所に入れられると、ほとんどの囚人は殴りつけられ、それから”健康診断”に連れて行かれます。外の世界から見れば、収容所の看守たちは規則に正確に従っているように見えました。彼らは、地方政府が指示したことを忠実に実行する善良な市民でした。だが、彼らが受けた指示は、できるだけ多くの囚人を短時間で殺すことでした。

 私たち全員を一度に殺すことは、おそらく物理的な能力だけでなく、政府・党が、その行為を、外の世界に向けて正当化することが困難だ、ということもあったでしょう。”最優先”の囚人は即座に殺されましたが、他の囚人たちは酷い拷問の末に、拘留中に、あるいは釈放直後に亡くなりました。

 私は、移送された治療所で非常に思い病気の高齢者に会いましたが、ベッドには寝かされず、手足を椅子に鎖でつながれたままでした。用を足したいときは、人を呼ばねばなりませんが、ある時、警官が2人でやって来て、彼の頭を殴り、「おしっこをすることができます、おじいさん!」と言い放ちました。

 私の場合、診察をした医師が「肺の損傷が大きすぎるので、ここでは治療できない。ウルムチの肺の専門医のところに連れて行きなさい。そうしないと、ここで死んでしまう」と、監視役の警官に言ってくれました。

 どういうわけか、彼らは、私がその治療所で死ぬことを望んでいませんでした。私を、医師が指定した病院に入院させ、損傷した肺の出血は止められました。 3日間、気を失ったままでした。意識を取り戻すと、部屋の中で医師と警察官が私について話し合うのが耳に入りました。

 「彼はとても高齢だから、すぐに死ぬだろう」「では、彼を収容所に連れ戻すのは意味があるのか」ーそして、私は、釈放されました。彼らは私が釈放されても生き残ることはない、と確信していたのです。釈放後、私は、自分で治療費を払わねばなりませんでしたが。

2022年1月6日

・「西洋の祝い『クリスマス』の行事を禁じる」中国の地方政府の”秘密文書”入手(Bitter Winter)

The leaked document on Christmas celebrations from Guangxi.Bitter Winterはこのほど、広西チワン族自治区の融安県教育部から漏洩した秘密文書を入手した。これは、同自治区当局への指示が中国共産党中央委員会から直接なされたことを明確に示している。

 中国のいくつかの地域では、「新型コロナウイリス感染防止」の名目で、キリスト教の「中国化」に関する指令実施の一環として、各地域政府が管理するプロテスタントの三自愛国教会の礼拝所を含め、クリスマスの宗教行事”に規制を加えており、とくに”西洋の祝い”を禁じている。

 各教会にその内容を指示する文書は、共産党が欧米などで問題にされないように、インターネットで公けにすることを禁じ、また文書で指示を受けた教会は、それらを厳重に機密保持するよう命じられている。

 これと並行して、政府・党が管理監督している教会でのクリスマスの飾りつけなどが映像で放映され、「クリスマスを禁止するようなことをしていない」という外向けの”宣伝”もされている。

 そうした中で、Bitter Winterはこのほど、広西チワン族自治区の柳州市の管理下にある融安県の教育部が作成した文書を、氏名秘匿の条件である情報源から入手した。同様の文書がさまざまな省や地域で発行されていると言われている。

 この文書は、小学校と幼稚園に、児童と教員がクリスマスを祝わないように指示している。文中で、「高官からの指令」と「中国共産党中央委員会から出された規制」に言及していることから、中国全土の他の多くの地域でも同様の文書が発出されているようだ。

 文書を提供した情報筋は、児童と教員と教師が学校や幼稚園だけでなく、家庭でもクリスマスを祝うことを禁じられていることを確認した。また、クリスマスを祝う人々を見聞きした者は、すみやかに公安当局に報告するように求められ、これらの報告を処理する担当官も任命されている、という。

 入手した文書の内容は次の通り。

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【中国の伝統文化を広め、西洋の祭りを祝うことを禁じる旨の通知】

 すべての小学校と幼稚園へ:

 「クリスマス」や「聖なる夜」には、西洋の深い宗教文化が染み込んでいる。一部の西側諸国は、中国において、高度な技術と文化を頼りに、西洋の価値観とライフスタイルを広め、若者を引き付けようとしている。一部の企業は、この祝いの行事をビジネスに利用することを意図し、この西洋の”祝い”を心理的な環境作りや、社会的インパクトにしようとしている。こうしたことは、我々の伝統的な中国文化を傷つけている。

 「上級政府」の指示を受けて、融安県教育部は以下のことを決定した。

・教員と児童が、この西洋の祭りを祝う行事を開催することを禁止する。学校、幼稚園のすべての教員と児童は、党員であるなしに限らず、中国共産党中央委員会の規則に従い、中国文化を広めるモデルになると確信する。

 「クリスマス」や「聖なる夜」の行事をしている個人や組織を見つけた場合は、すみやかに県公安局と同志の李に連絡するように。番号:17772028488

 融安県教育部 2021年12月20日

(翻訳・編集「カトリック・あい」)

2021年12月26日

・キリスト教会は説教で党と習主席への忠誠を説けープロテスタント三自教会が全国会議で(BW)

Three-Self leaders listen to a videotaped version of Xi Jinping’s speech at the  National Conference on Work Related to Religious Affairs. From Weibo.

(2021.12.21 Bitter Wonter  Zhang Chunhua)

Three-Self leaders listen to a videotaped version of Xi Jinping’s speech at the  National Conference on Work Related to Religious Affairs. From Weibo.

 中国のプロテスタント会派で中国政府・共産党の管理・監督下にある「三自愛国教会」が7日、中国基督教協会と合同の全国指導者による臨時会議を開催。

 前週の3,4両日に開かれた中国共産党の「宗教問題に関する全国会議」で宗教の「中国化」の強力推進を指示した習近平・ 国家主席の”演説”を学習し、全国のプロテスタント教会における速やかな実践を確認した。

 中国共産党の「宗教問題に関する全国会議」では、習主席が「宗教関係者や信徒たちの間に、愛国主義や中国共産党や中国の特色である社会主義についての教育を進め、共産党史の学習を強化しなければならない」「宗教関係者や信者に、偉大な祖国や中華民族、党を認める気持ちを持たせなければならない」と言明。

 さらに、「社会主義現代化強国」実現のため、宗教を信じる人々と広範な国民を「組織し、導く」と述べ、法や規則により、宗教活動への管理強化の方針を示している。

 7日のプロテスタント教会の会議は、これを受けたもの。冒頭、習主席の全国会議での上記のような演説をビデオ動画で再生し、その中で主席は「宗教の『中国化』とは、中国共産党の原理原則、目標、方向性との整合性を図ることを意味する」と繰り返した。そして、2016年の会議で開始したプロセスが十分速やかに進展していないことに不満を示し、「特にキリスト教徒は禁止されている”(キリスト教への)改宗活動に従事する傾向があり、国内のソーシャルメディアに無許可の宗教的なコンテンツを投稿する傾向がある」と指摘した。

 会議の冒頭、三自愛国運動のXu Xiaohong,委員長は、「今回の会議では、新型コロナウイルスの感染予防と中国共産党の100周年という2つの課題に焦点を当てることが期待されている」と述べ、さらに習主席の演説は次の「9つの”せなばならない”」に集約でき、今後、数週間から数か月以内に中国全土のすべての牧師と教会共同体に徹底を貼らねばならない、と語った。

   第一:宗教的活動は、中国共産党のより大きな活動の一部であることを深く理解せねばならない。
第二:われわれは、党の指導者と公認された宗教指導者に従わねばならない。

   第三:われわれは、マルクス主義の宗教理論を研究し、実行せねばならない。

   第四:宗教活動に関する中国共産党の指令を調べ、実施せねばならない。

   第五:われわれは、宗教の中国化の道を歩み続けねばならない。

   第六:各キリスト教共同体の主な目的は、中国共産党と政府の周りにキリスト教徒を結集させることであることを理解せねばならない。

   第七:われわれは、これらの目的のために他の認可された宗教の信者と協力せねばならない。

   第八:われわれは、より安定した、よく管理された組織を構築せねばならない。

   第九:われわれは、宗教活動における法の支配のレベルを上げねばならない。既存の規制から逸脱した人々を罰せねばならない。

 また会議では、全国のプロテスタント教会に、説教において「四つの意識 (四个意识)」「四つの忠誠(四个自信)」「二つの支持(两个维护)」を盛り込むよう指示した。これらはすべての中国人が知っているスローガンであり、毎日繰り返すように求められているものだが、興味深いのは、「キリスト教の教会での説教の一部とすべき」としていることだ。「四つの意識」とは、(中国共産党に対する)政治的忠誠を維持し(政治意识)、全体像を評価し(大局意识)、核心的指導者に倣い (核心意识)、連携を続ける(看齐意识).、の四つの義務を意識することだ。

 「四つの忠誠」は、中国共産党の路線への忠誠(道路自信)、理論への忠誠(理论自信)、制度への忠誠(制度信)、文化への忠誠(文化信)。「二つの支持」とは、中国共産党中央委員会(坚决维护党中央委員会威和集中一领導)の権威と中央集権的で統一された指導、および中央委員会と党全体の両方における習近平主席の中核的地位を支持することを意味する。

 会議で扱われなかった重要な問題は、三自教会での説教がキリスト教ではなく中国共産党の宣伝工作にますます傾斜することへの不満から信徒を失い続けるのを防ぐ方法だったようだ。す。

(翻訳・編集「カトリック・あい」)

 

2021年12月21日

・天安門事件の追悼集会参加で実刑判決の香港メディア王、「罰すればいい、血を流した若者たちの重荷を共に負える」

Hong Kong media mogul defiant over Tiananmen vigil sentencing

(2021.12.15 カトリック・あい)

 現地の複数のメディアによると、香港の裁判所は13日、中国政府に批判的なメディア界の大物でカトリック教徒の黎智英(ジミー・ライ)氏ら8人に対し、「天安門事件の追悼集会に参加していた」などとして、実刑判決を言い渡した。

 香港では、有志の団体が毎年6月にヴィクトリア公園で、1989年6月に北京で起きた中国軍による民主化運動弾圧で多数の死者を出した「天安門事件」の追悼集会を以前から行ってきた。昨年と今年も、当局がコロナを理由に禁止する中で集会を行い、数千人が集結。20人以上の政治家や活動家が逮捕、起訴されている。

 13日の判決では、黎氏の他、ジャーナリストから野党の政治家に転身して活動していた何桂藍(グウィネス・ホー)氏や、天安門事件の追悼集会を主催していた香港市民支援愛国民主運動連合会(香港支連会)の副主席だった弁護士の鄒幸彤(チョウ・ハントゥン)氏にも、4か月半から1年2か月の禁錮刑が言い渡された。

 この日の判決で裁判官は「(黎氏は)その名声と影響力をもって、人々を不法集会に参加するよう扇動した」と実刑判決の理由を述べた。

 これに対して、黎氏の弁護に当たったロバート・パン弁護士は記者団に対して、氏から預かった声明を読み上げ、正義のために亡くなった人々を記念することが犯罪であるなら、罪を私に負わせ、罰すればいい。そうすれば、6月4日に血を流した若い男性と女性の栄光の重荷を分かち合うことができる」という氏の声を伝えた。「血を流した人たちを思い出してください… 愛の力が、破壊の力に勝つように」。

 また自らも被告となった他の弁護士は、今回の判決を「天安門事件と香港自身の市民的抵抗の歴史を共に消し去ろうとする組織的な行為の一歩」と指摘。「香港の裁判所は、私たちのような人々を、抗議集会に参加したという理由で有罪判決を下すことで、事実上、政府当局が行使する不平等な権力を肯定した」と批判するとともに、「良心によって動かされる人々は、実刑判決によって阻止されることはない。当局の禁止や規制の中でも、ろうそくの火がきえることはありません」と強調した。

 今回の判決の前にも、若い民主主義運動家の黄之鋒を含むさらに16人が、すでに別の罪状で有罪判決を受けており、別の国家安全保障上の罪状での終身刑につながる可能性のある人もいるという。

2021年12月15日

・中国の習近平主席、宗教関係者や信徒に対する愛国主義・社会主義教育強化を指示

(2021.12.6 カトリック・あい)

  中国共産党の機関紙・人民日報や通信社の新華社などが5日までに報じたところによると、 習近平・ 国家主席が、3日から4日にかけて北京で開かれた宗教の管理に関する会議で演説し、「宗教関係者や信徒たちの間に、愛国主義や中国共産党や中国の特色である社会主義についての教育を進め、共産党史の学習を強化しなければならない」と強調した。

 また、習主席は、「宗教関係者や信者に、偉大な祖国や中華民族、党を認める気持ちを持たせなければならない」と言明。「社会主義現代化強国」実現のため、宗教を信じる人々と広範な国民を「組織し、導く」と述べ、法や規則により、宗教活動への管理を強める考えも示した。

 中国政府・共産党は、新疆ウイグル自治区でのイスラム系ウイグル族の人々のほか、チベット仏教を信じるチベット自治区の人々、さらに中国全域の、教皇のみに忠誠を誓い、政府・共産党の管理・統制に従わないカトリックの”地下教会”の司教、司祭、信徒に対する弾圧をここ数年、強めてきているが、今回の習主席の”指示”を受けて、さらに、宗教団体、信徒、関係者に対する”中国化”の強制、不服従の団体,信徒に対する弾圧が加速することが懸念される。

 

(2021.12.8 Bitter Winter Hu Zimo)

  12月3,4の両日、中国共産党は北京で「宗教問題に関する全国会議」を開催した。これは2016年以来の最初の会議であり、2016年の会議で習近平・国家主席が宗教に対する一層厳しい取り締まりの計画を発表したことを考えると、今回の会議は始まる前から、宗教の信者たちにとって、”幸運の再発”ではなかった。

 会議には、習近平主席をはじめ中国共産党のトップリーダー全員が出席し、その前で習主席が演説した。その中で習主席は「2016年に開始した取り組みは続けられており、進展しているが、問題はまだ存在している」と語った。An image of the CCP national conference on religion. From Weibo.

 そして、特に「宗教的な宣伝やソーシャルメディアでの『不適切な発言』を防ぐためのインターネットの監視は、まだ適切に機能していない」と強調、「より多くの監視が必要であり、宗教的な改宗や政府の宗教政策に対する批判にソーシャルネットワークを使用する信者を罰する」よう、担当者に求めた。

 習主席はまた、政府が管理する宗教団体(つまり、政府・共産党から承認されたカトリックなど5つの宗教)は「『中国の特徴を備えた社会主義の宗教理論』を発展させるべきである」と述べた。これは特に、宗教団体が教会など礼拝所で、”中国の特徴を備えた社会主義活動”を行うことを学ぶ必要があり、そのような社会生活や若い世代の教育を妨害してはならない、ということを意味するものだ。

 また主席は、「未解決の問題」として、中国共産党から”独立して活動”しようとするものが「宗教界の一部」にあることを挙げ、問題の解決策は、「宗教を扱う官僚機構のイデオロギー的コミットメントを改善すること」であり、「マルクス主義の宗教理論によって確立された枠組みの外で活動するように誘惑されることがある」ことを警告した。Xi Jinping addressing the conference. From Weibo.

 さらに、「マルクス主義の宗教的見解に精通し、宗教的活動に精通し、宗教的信者との協力に長けた党および政府幹部のチームを育成し、中国共産党の宗教的活動理論であるマルクス主義的宗教的見解と政策を研究させる必要がある」と指摘。「宗教について十分な知識を持っている必要があるが、何よりも、マルクス主義のイデオロギーと政治を堅持し、宗教的見解を遵守し、…そしてマルクス主義の宗教学の規律の構築を強化することが重要だ」と強調した。

 また主席は「宗教の『中国化』とは、すべての宗教団体が共産党によって主導され、共産党によって管理され、彼らが共産党を支持することを意味する」と繰り返した。

(写真は Weibo.より)

(翻訳・編集「カトリック・あい」)

 

2021年12月6日

・新疆ウイグル自治区に2022年1月にさらなる規制強化の規則導入(BW)

Xinjiang: The People’s Hall, Urumqi, where the People’s Congress of XUAR meets. From Weibo.

 中国で2022年1月から新疆ウイグル自治区に適用される公衆安全の構築に関する新たな規制によって、同自治区の人々に対する監視体制はさらに強化される。

 漢民族以外の住民が「東トルキスタン」という呼称を好む「新疆ウイグル自治区」は、中国で最も厳重に監視されている地域だが、中国共産党はそれでも不十分だと感じているようだ。

 2022年1月1日から適用される「公衆安全の構築に関する新疆ウイグル自治区の規則」は、今年9月28日に開かれた第13回新疆ウイグル自治区人民代表大会常任委員会第28回会議で採択され、10月に発表された。

 同様の規則は1994年に公布され、1997年と2009年に2回改訂されていたが、新規則は、習近平主席が、従来よりも厳しい規制が必要だ、と判断したことを受けた者であることは明らかだ。

 新規則には、新疆ウイグル自治区の治安の優先順位について、”興味深い定義”が含まれている。

 まず、通常の犯罪、強盗、汚職との戦いよりも、最優先されるのは「暴力とテロとの戦いを強化し、民族分離主義勢力を取り締まり、そうした勢力の動きを抑えること。邪悪なテロ勢力、宗教的過激派勢力、その他、国家の安全を危険にさらす違法および犯罪活動を徹底して取り締まること」だ。

 次に優先されるのは、中国共産党が認めていない集団を含む「非行集団と邪悪な組織」との戦い。

 第3の優先事項は、「違法な宗教活動、違法な宗教的宣伝、および違法な宗教的ネットワークを使った”布教活動”を、法律に従って”管理”し、非過激化の推進を継続すること」。

 そして、第4の優先事項は、「反カルト宣伝・教育の推進と、様々なカルト集団の取り締まり、カルトと繋がった市民の教育を通した再教育と思想改造で善業を行なうこと良い仕事をすること」だ。

 第3の優先事項では、イスラム教の取り締まりとイスラム教徒の「再教育」(「脱ラジカル化」と呼ばれる)が対象とされ、 4番目はこれとは別の宗教的な「問題」を扱っている。同自治区以外の中国国内で、新型コロナ感染下で、法輪功や全能神教会を含む、カルトとして禁止された新興の宗教運動が信者を増やしていることが、確認されたことを指す。コロナ危機の中で精神的な慰めを人々に与え、こうした災害が世界で起きる理由を宗教的に説明していることに、中国共産党は脅威を感じ、規制を強化する必要があると判断したものだ。

 

*強化される”グリッドシステム”とは

 そして、こうした監視と規制の強化の手段として運用を強める”グリッドシステム(網の目のように監視システムを張り巡らす方式)”は、中国政府・共産党が「世界で最も効果的な社会的監視システム」として自賛しているもの。対象地域のあらゆる建物、あらゆる家屋、あらゆる集団住宅、そして、すべての市民を1日24時間、監視・規制するのを目的とし、都市や町は一辺の長さ100メートル(328フィート)の正方形にほぼ似た形に、ブロックあるいはブロックをいくつかに仕分けた”グリッド”に分けられられる。

 各グリッドには、実務責任者とアシスタント、警察官、統括官と秘書、地方検察局に報告する法務担当官、消防士、そして全員の管理責任者が置かれている。グリッド内では、誰も違法宗教やカルトに関与させない。このシステムは中国の都市向けに作られたが、新疆ウイグル自治区では、都市部のグリッドよりも広範な地域分けがされたうえで、農村地域に徐々に拡張されている。

 グリッドシステムは、「技術は人間による監視に取って代わることはできない」という基本認識が基になっているものの、新居ウイグル自治区に導入される新規則では、AI(人工知能)を適切に使用すること、としており、また、すでに相当するの監視ビデオカメラが設置されているにもかかわらず、さらに増設する、としている。

 またこの新規則では、中国政府・共産党の指針に従い、メディア報道の管理強化、党によって直接管理されていない情報通信の取り締まり、インターネットに対するより厳格な管理、またそうした業務を怠ったり、期待されるような成果を上げない職員に対する厳罰も求めている。

 要するに、現在の新疆ウイグル自治区の人権状況がどんなに悪かろうが、それは常にさらに悪くなる可能性があることを規則は示しているのだ。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」)

2021年11月22日

・中国当局、青海省の僧院から若い僧侶たちを追放(RFA)

    RFAによると、ロンドンを拠点とするチベット研究者のペマギャル氏は「中国当局は、若いチベット人は成人する前に通常の学校で教育を終えるべきだ、としているが、実際には、中国共産党がチベットの宗教団体を抑え込み、チベット人に幼少時から党の信念を植え付けることで、宗教から切り離そうとする試みの一環だ」とみている。彼は言った。

2021年11月7日

・中国政府・共産党がすべてのメディアを国家管理にー人権の一つ、報道の自由が完全に失われる(BW)

He Lifeng, head of the National Development and Reform Commission.(写真は、国家発展改革委員会の何立峰・委員長) 中国で、民間企業・団体による政治、経済、社会、文化、スポーツ、その他ほとんどすべての分野の報道が禁止されることになった。

 中国の国家発展改革委員会と商工省が共同で作成し、共産党中央委員会が承認を受けて毎年公表されている「市場参入禁止リスト」に、情報・通信事業が掲載された。

 同リストは8日に公表されたもので、掲載された事業には、中国国内の非国家資金はもちろん外国からの投資資金の参入が認められなくなる。

 外国メディアはcryptocurrency mining(仮想通貨の取引データを承認する事業)の禁止に注目し、国家発展委員会は新たに禁止、規制した事業の件数が昨年の123件から117件に減ったことを強調した。

 だが、117件の中にはもっと重要な事業が含まれている。それは、情報・通信事業だ。

 禁止リストの第6項は次のように書かれている。

リストの6番は、次のように述べています。

*非公的資本は、ニュースの取材、編集、放送事業に携わってはならない。

*非公的資本は、ニュース事業ーニュース配信事業、新聞発行事業、ラジオおよびテレビ放送事業、インターネットニュース配信および情報の収集および出版事業などー設立および運営に投資してはならない。

*非公的資本は、紙面、ラジオ電波、テレビ電波、コラム執筆・配信、その他公的媒体を使用するニュース事業を経営してはならない。

*非公的資本は、政治的、経済的、軍事的、外交的、社会的、文化的、科学的および技術的、健康、教育、スポーツおよびその他について、政治的方向性、または世論および価値観に関連する生放送に携わってはならない。

*非公的資本は、外国人によって報道されたニュースを紹介してはならなあい。

*非公的資本は、ニュースや世論形成の分野でフォーラムやサミットを開催したり、賞を授与したりすることを認められない。」

 要するに、以上の禁止措置は、すべての形式、分野のすべての情報が統制される(別に新しいことでないが)だけでなく、”人気役者”、つまり中国共産党によって、独占的、直接的に作り出されるされねばならない、ということを意味している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」)

 

2021年10月11日

・中国政府・共産党が、カトリック”地上教会”の”中国化”を加速

(2021.10.7 カトリック・あい)

 共産党指導の下に宗教の国家管理が進む中国で、カトリック教会のうち政府・党の管理統制に服しない”地下教会”への迫害が強まる一方、管理統制を受け入れた”地上教会”の”中国化”が一段と加速している。

China accelerates Sinicization of Catholic Church

 ”中国化”は、”アカデミック”な意味では「中国の文化、社会を背景にした宗教の実践、儀式の土着化」ことだが、

実際には「社会主義、(外国の影響を排除した)自立、中国共産党の指導という“核心的価値”をもとに、社会や制度に厳格なルールを課す」ことと理解されている。

 アジア地域の有力カトリック・メディアUCA Newsが5日付け(https://www.ucanews.com/news/china-accelerates-sinicization-of-catholic-church/94413)で伝えるところによると、それを象徴するような出来事が9月下旬にあった。中国政府・共産党の管理下にある中国カトリック司教会議(BCCCC)と中国天主教愛国協会(CCPA)が共催して、山東省と河北省で実施した「百説教」と呼ばれる集会だ。

 UCA Newsによると、山東省では淄博(Zibo)市の二つのカトリック教会で集会が行われ、張店カトリック教会では、司祭、信徒約30人が「山東省天主教会堅持中国化”百説教”」の横断幕が掲げられた会場に集まり、淄博教区長でBCCCC副議長の杨永强司教を講師に、習近平・国家主席の宗教への対応、教会における中国化の推進、社会主義社会への適応などについて”学習”した。

 また、淄博CCPA副会長の王裕神父はCCPAを通じた教区管理、宣教や日常活動での30年の経験をもとに、「教会の中国化についての個人的経験」を語り、「一方向、一道、一旗」の原則に従い、宗教の中国化、独立の道を守るよう呼びかけた。

 河北省では、全国から集まったCCPAの主要メンバー18人が、石家荘市にある著名な共産主義革命の”聖地”、西柏坡村を訪問。訪問は、カトリック教会中国化の一環として、「中国共産党への愛情、愛国心、社会主義を育む」ことを目的とした「赤い足跡を取り、赤い精神を継承する」というテーマに基づいて行われたもの。

 中国共産党中央委員会、統一戦線工作部、中国共産党第7中央委員会第2回総会、および中央軍事委員会の”旧跡”や、毛沢東、朱徳、周恩来など共産主義革命家が使用した戦争室や西柏坡記念館を訪れ、ガイドから「革命的な殉教者の英雄的な行為と『新中国の誕生』につながる偉大な業績」についての説明を注意深く聞きながら、歴史的な展示も見て回った、という。

さらに、河北省にある神学校や慈善団体などカトリック関係の施設も訪問し、現地の司教や司祭、信徒と交流会を持った、とUCANewsは伝えている。

2021年10月7日

(論考)バチカンと中国の暫定合意で否定、肯定両陣営が”アニー・ホール”状態(Crux)

(2021.9.19 Crux  Editor  John L. Allen Jr.

 そうした見方があるにもかかわらず、バチカンの”暫定合意”の当事者たちは、この同じ状況について、極めて異なる見方を導き出ているようだー1949年の中国における共産政権樹立以来、初めて、この国のすべてのカトリック司教が中国政府と教皇の両方に受け入れられるようになった、と。

 昨年10月、中国との”暫定合意”が期限を迎え、延長するかどうかの判断を迫られる時期に、私は、バチカンの交渉団の事実上のトップであるバチカン国務省のポール・ギャラガー外務局長(大司教)と話をした。その際、彼は、”暫定合意”の理屈をこう語った。

 「私たちは頭に入れておかねばなりません。何かが起こるべくして起きたのです。さもなければ、私たちは、10年後に、教皇と交わりを続ける司教がまだ存在していたとしても、ごくわずかになっていたでしょう。今、始めなければ、そうなってしまうのです」。そして、「私たちが1950年代以来初めて、中国のすべての司教たちを教皇と交わらせることができた、という事実、そして中国当局が司教たちの任命において、教皇に控えめな発言を認めている、という事実、しかし、突き詰めて言えば、最終決断は極めて注目に値します」と。

 その一方で、外務局長はこの”暫定合意”が「理想からは程遠い」ことをあっさり、しかし遠慮がちに、認めた。また、現地で人事に関する情報を収集・分析する役割を持つ大使を置いていない中国で、司教候補者を探すのはとても難しいこと、意志疎通を図る他のチャネルがわずかしかなく、まして、国によって管理されていない人と意思疎通を図るのは至難の業であること、も正直に述懐した。

 だが、それにもかかわらず、「暫定合意は、中国の教会の将来を確実にするための正しい選択」との主張は変えなかった。

 そして、「これからの数年間に、どのような障害が待ち構えているのか、誰に分かるでしょうか?」との問いには、「分からない。でも、現時点で言えることは、ゆっくりと前進する可能性がある、ということです」と答えた。

 要するに、「アニー・ホール」の例の場面にならって、暫定合意の肯定論者と否定論者がセラピストのところに治療を受けに出掛け、新たに叙階された武漢の司教について聴かれたら、次のように答えた、ということだろう。

 否定論者「彼は政府の人間だ。司教叙階されたのはひどいことだ」

 肯定論者「彼は政府の人間だ。他の候補者よりも優れている」

 そして、それが、一言で言えば、「議論の核心」なのだ。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。

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2021年9月21日

・”第二の文化大革命”?-無名の専門学校教師の投稿に富裕層などが怯える(BITTER WINTER)

(2021.9.10 Bitter Winter Massimo Introvigne)

 習近平が2番目の文化大革命を準備していると主張するブログ記事をCCPの主要メディアが転載した。今回の標的は富裕層だ。

 中国では、毛沢東主席を称え、「文化大革命の”古き良き時代”を懐かしく回想」する左派のブロガーでいっぱいだ。ただし、誇張すると罰せられ、投稿できなくなっていたが、8月29日からは、これまでとはまったく違う現象が起きている。

 Li Guangmanという男がWeChatのブログページに「誰もが大きな変化が起こっていると感じることができる」というタイトルの投稿を公開したのが始まりだー載せているのは、著名な中国の億万長者の娯楽有名人の脱税やその他の犯罪、有名人を支援するグループに対して中国サイバースペース管理局(CAC)が8月27日に公布した規制措置、中国で最も有名な億万長者、馬雲とアリババ・グループに対する規制当局による取り締まり、大企業や超富裕層に対して開始された調査、不動産王の利益を制限する賃貸に関する新しい規則の施行、習近平主席の「先富論」の説話…など。

 Liは、これらすべての動きを知るように求め、 「これらの出来事が私たちに伝えているのは、中国で大きな変化が起こっていること、そして経済、金融、文化、政治の分野で大きな変革が進んでいることだ」とし、「資本主義の派閥」から人々への復帰、「資本中心」から「人民中心」への移行を求めている。「それは人民が、が再び最前線に立ち、すべてにおいて中心となる政治的変革だ。人民中心の変革を妨げる人々は取り残されるだろう。この深遠な変革はまた、中国共産党の本来の意図への回帰、人民を中心としたアプローチへの回帰、そして社会主義の本質への回帰を示している」と述べている(China DigitalTimesより)。

 さらに続けて、「この変革はすべてのほこりを洗い流す。資本市場はもはやギャンブル詐欺の楽園ではなく、文化市場はもはや弱虫の星の天国ではなく、ニュースや世論は西洋文化を崇拝する立場には立たない。それは革命精神への回帰だ」とし、習近平・主席がこの革命を始めるのに成功してなかったら、「かつてのソビエト連邦のように、国が崩壊し、富が略奪され、人民が災難に陥り、破壊がもたらされただろう」と主張している。

 これは、典型的な”左翼”のたくさんあるブログ投稿の一つだが、Li氏は、他の投稿者のように懲戒処分を受けず、それどころか、中国共産党の機関紙、人民日報、国営の新華社通信、国営テレビCCTVはじめ、China Youth Daily、China News Service、その他の日刊紙に、投稿が掲載されたのだ。さらに、その内容は、中国全土の何百もの地方紙などのメディアに転載された。要するに、中国共産党が彼の投稿を”公認”したわけで、党がこの投稿を扇動に使ったのではないか、と疑いの声も出た。

 せは、Li Guangmanとな何者か。本人のブログによると、1957年に生まれ、華中電気労働者専門学校の元教員で、Huazhong Electric PowerNewsの編集者を務めた後、ブロガーとして活動を始めた、という。

 Li のブログ投稿が、中国共産党公認のあらゆるメディアの掲載されたことで、国内の資本家や外国人投資家を怖がらせている。、金持ちと有名人を”被告”にした新しい文化大革命が進められようとしている、と受け止められているからだ。

 この投稿には批判も出ている。著名な経済学者の張維迎・北京大学教授は、このような二度目の”文化大革命”は、一度目の「文化大革命」と同じように中国経済を破壊することになる、と警告。この発言は他の経済学者に回覧されたが、彼は一種の”反体制派”と見なされており、中国共産党も軽視している。

 だが、中国共産党の対外宣伝を担う環球時報の胡錫進・編集長による批判は無視できないだろう。「かつて胡主席は、文化大革命に続く鄧小平氏が主導した『改革開放』以前の時代に中国の時計の針を戻そうとした」いう表現でLiを非難し、彼の文章は「誤解を招く」と批判した。

 これまで胡錫進・編集長は、習近平主席周辺の意向を忠実に伝えてきた。Liの記事に対する彼の見方が、共産党指導部と共有されていれば、Liの記事は上記のような党の公式メディアには乗らず、Webサイトから削除されていただろうが、実際はそのようなことはされていない。

 中国共産党が相矛盾する複数のメッセージを出して、内外の反応を見るということは、今回が初めてではない。 確かなことは、 China Media Project が書いているように、「無名の電気専門学校の教師が書いた内容が数か月のうちに、中国の歴史と現代の専門家がLiの投稿記事の重要性を評価する可能性が高い」ということだ。

(翻訳・編集「カトリック・あい」)

 

 

 

2021年9月14日

・中国で、バチカンとの暫定合意以来、6人目の”地上教会”の司教叙階

(2021.9.8 カトリック・あい)

 中国で8日、2018年秋のバチカンとの司教任命に関する暫定合意以来、6人目の司教が叙階された。(Photo: chinacatholic.cn)

 バチカンのマッテオ・ブルーニ報道局長が同日、確認したもので、叙階されたのは Francis Cui QiChinese diocese gets new bishop under Sino-Vatican dealngqi神父(57)で、教皇フランシスコが今年6月に漢口/武漢教区の司教として指名していた。同教区では2007年に前任の董光清司教が亡くなって以来、司教が空席となっていた。

 暫定合意の内容は3年経った今も公開されていないが、司教叙階に当たっては、中国当局が指名した候補者を教皇が承認することが条件とされている、といわれ、今回もその手順に従った、とされている。

 Vatican News は、暫定合意について「”制度的対話”の道を促進し、中国のカトリック教会の活動に積極的に貢献し、中国の人々の利益、世界の平和に貢献するという共通の希望を与える」のが狙い、とする一方、「バチカンと中国の外交関係、中国カトリック教会の法的地位、あるいは聖職者と中国当局の関係について直接扱わず、司教任命の過程に限定したもので、中国の信者が教皇と完全に交わり、同時に中国当局によって認められている司教を持つことを可能にする、という司牧的目的を持つ」と”解説”している。

 だが、実際には、中国のカトリック聖職者、信徒の約半分を占めると言われる中国政府・共産党の規制・監督に従わない”地下教会”に対する弾圧は、暫定合意以後激しさを増し、教会の破壊、閉鎖、聖職者や信徒の逮捕・拘禁が続き、そればかりか、”地上教会”に対しても”中国化”を旗印にした当局の締め付けが強まっている、との報道がされている。

 暫定合意以降これまでに叙階された司教たちは、全員が、中国政府・共産党の規制・監督下にある中国天主教愛国協会、中国カトリック教会司教協議会(BCCCC)のメンバー。アジアの有力カトリック・メディアUCANewsが8日伝えたところによると、今回叙階されたCui 新司教も2016年以来、BCCCCの事務局次長を務めている。武漢の聖ヨセフ大聖堂で8日行われた叙階式は、BCCCC会長の馬英林・昆明司教が主宰し、同副会長である北京、海門(江蘇省)の両教区長や隣接の江西省、山西省の司教、湖北省の司祭たちが、地元武漢教区の司祭、修道女、一般信徒とともに参加したという。当然ながら、”地下教会”の聖職者、信徒たちの参加はなかったようだ。

 「中国の人々の利益、世界の平和に貢献するという共通の希望を与える」というバチカンの暫定合意にかける思惑とは程遠い状況と言えそうだ。

 

2021年9月9日

☩「裏切られ、間違う可能性があっても、対話をあきらめるべきでない」教皇、対中国で・(解説)問題は「対話」の中身だ

(2021.9.3 カトリック・あい)

 教皇フランシスコは、Vatican News が1日報じたスペインのジャーナリスト、カルロス・ヘレーラ氏との会見で、現在の様々な課題について語られたが、その中で、対中国関係について、「容易ではなく、だまされたり、間違いを犯したりする可能性」を認めつつ、「それでも、対話をあきらめるべきではない」と強調された。

 バチカンが2018年秋に中国政府に申し合わせ、昨年秋に2年延長した司教任命に関する暫定合意について、「教皇の道徳的権威を危機に落としかねない、として合意の再更新に反対する声が出ています。多くの人が教皇としての道をとることを望んでいる、とお感じになってはいませんか」とヘレーラ氏が質問したのに答えられたものだ。

 Vatican News が報じた教皇の答えの全文の英語訳は次の通り。

 中国(問題を扱うの)は容易ではありませんが、対話をあきらめるべきではない、と確信しています。裏切られる可能性があります。間違いを犯す可能性があります。それでも(対話を続けようとするのが)とるべき道です。心を閉ざすことは、決して、とるべき道ではありません。

 中国との間でこれまでに達成されたのは、少なくとも「対話」でした…新しい司教の任命のようないくつかの具体的なことはゆっくりと…しかし、これらは問題を含んだ歩みであり、評価も分かれます。

 この問題すべてを考えるうえで、最も重視し、助けと刺激をいただいているのは、カサロリ枢機卿(1998年6月没。バチカン国務長官として、旧ソ連圏の国々での教会迫害に対処するため重要な役割を果たした)です。

 彼に対して、ヨハネ23世教皇は(旧ソ連共産圏下の)中東欧と”橋を架ける”よう求めました。偉大な著作「The Martyrdom of Patience(忍耐の殉教)」の中で、彼は自分の経験について触れています。小さな歩みをいくつも重ねて、橋を架けました。難しい時期に、戸外で、あるいは”水道の蛇口を開いた状態”で、相手と話す必要がありました。ゆっくりと、ゆっくりと、ゆっくりと、外交関係を結ぶ準備を重ねて行きました。そして、最終的に、中東欧諸国で新しい司教たちを任命し、信徒たちの司牧ができるようにしたのです。

 今日、この(中国で)最も問題のある状況の下で、なんとかして、対話の道を一歩一歩、進まねばなりません。

 私のイスラム教との対話の経験、例えばグランドイマーム・アルタイエブとの対話では、とても前向きの成果があり、彼に非常に感謝しています。その後に私が出した回勅「Fratelli tutti(兄弟の皆さん)」の”胚芽”にもなりました。

 対話すること、常に対話すること、あるいは対話に努めることで、とてもいいことがあります。カサロリ枢機卿は、聖ヨハネ・パウロ2世教皇に最後に会った時、ご自分がされていることを話しました… (枢機卿は毎週末、ローマのカサ・デル・マルモだったと思いますが、少年刑務所を訪問していました。そこで少年たちと過ごしたのですが、普通の司祭が着るカソック姿だったので、誰も彼が枢機卿だとは知りませんでした)。

 そして、2人の話が終わり、カサロリ枢機卿が出口のドアのところで別れの挨拶をしようとすると、教皇は彼を呼び、こう聞かれましたー「あなたは、今も少年たちの所に行っておられるのですか?」。枢機卿が「もちろん、そうしています」と答えると、 「決して彼らから離れないでください」と教皇が願われたのでした。

 聖人である教皇の、優れた外交官に対する申し送りの言葉ー「外交の道を歩み続けなさい、しかし、あなたが司祭であるということを忘れないように」。これは私にとって、気持ちを奮い立たせる言葉です。

 

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*(解説)問題は「対話」の中身だ、「人権抑圧」「信教の自由の侵犯」など”不都合な真実”を避けてはならない

 教皇のこの発言からは、”対中対話”に前のめりの印象が強いバチカンの外交責任者、パロリン国務長官の姿勢に比べて、慎重、冷静な姿勢がうかがわれる。「対話」継続の努力を重ねることは必要だが、問題がある。対話を推進しようとするあまり、中国にとって”不都合な真実”に目をつぶろうとする気配が感じられることだ。

 世界の様々な地域、国で起きている一般市民への迫害、人権の著しい侵害に対して警告を繰り返している教皇だが、中国政府・共産党が新疆ウイグル自治区、チベット自治区などで宗教的迫害、人権の侵犯、香港で民主活動家を弾圧していることなどについては、米欧など国際社会から強く批判の声が上がり、国際的に報道が繰り返しされているにもかかわらず、公的な場ではこれまでのところ一切触れていない。意識的に言及を避けているように見える。

 司教任命に関する暫定合意がされた2018年秋以降、カトリック教会をはじめ、プロテスタント教会、仏教やイスラム教の司祭、信徒で政府・共産党の支配を拒む人たちへの弾圧は強まる一方だ。そればかりでなく、政府・党の支配・統制を受け入れた”地上教会”に対しても、「中国化」を名目にした宗教統制が激しさを増しているようだ。対話を続けようとするなら、こうした問題も明確に議題に取り上げ、軌道修正を求めていくのが、世界の諸宗教のリーダーでもあるバチカンのとるべき「道」だろう。

 そうした姿勢を欠き、”不都合な真実”に目をつぶったまま、対話を続けるなら、教皇がインタビューで言われた「だまされたり、間違いを犯す」ことが重なり、結果として、世界で覇権獲得の姿勢を高める中国に利用されることにもなりかねない。第二次大戦中、バチカンはナチスのユダヤ人集団虐殺が起きているのを知りながら、”信徒を守る”ことを優先して、この問題に沈黙を続け、結果として歴史的な大惨事”ジェノサイド”を放置した過ちを繰り返すのでは、との懸念を強める関係者は、決して少なくない。

 バチカンの国務省幹部の中には、中国との交渉では、相手が限定されていて、取り上げる問題も限定されている、と限界を感じる声も出ているようだが、実際のところ、バチカンとの交渉の中国側代表は、中国政府の機関である国務院の外務省であり、中国国内であらゆる宗教活動の監督・統制の全権を握る中国共産党統一戦線工作部ではない。

 つまり、いくら外務省が約束しても、統一戦線工作部がそれを守る保証はないし、中国における力は後者の方がはるかに強いとあれば、「基本合意」がバチカン側が希望するような形で守られる保証がどこまであるのか。実際に、合意後に司教に叙階された人々は、すべて党の監督・統制下にある中国天主教愛国協会のメンバーであり、監督・統制に服さない”地下教会”の司教の中には降格されたり、逮捕・拘禁される人が目立っているのだ。

 教皇が中国との対話の重要性を強調するのであれば、このような中国国内の実態を正確に把握し、弾圧、迫害に苦しむ信徒たちの声に耳を傾け、対話の中身も、それを反映した、信教の自由、人権の確保がなされるように、バチカンの対中外交担当者たちに指示していくべきではなかろうか。

(「カトリック・あい」南條俊二)

 

2021年9月3日

・駐ギリシャ・バチカン大使の中国人大司教が、共産政権の70年余の中国と教会を語る

(2021.8.20 カトリック・あい)

 駐ギリシャ・バチカン大使、韓大輝大司教 (Photo: AFP)
Archbishop spells out 'drama' of China's Catholics, communists

 駐ギリシャ・バチカン大使の韓大輝 (Hon Tai-fai)大司教がこのほど米カリフォルニア州にあるイエズス会経営のサンタ・クララ大学で開かれた米中カトリック協会の国際会議で講演し、中国共産党が1949年に政権を取って以来これまで70年余の中国のカトリック教会の歴史は、三つに分けることができる、と語った。

 韓大司教は、1950年10月に香港で生まれ、1982年に香港で司祭叙階、ロンドン大学で哲学を学び、教皇庁立サレジオ大学で神学博士号を取得。サレジオ会中国管区(中国本土、香港、マカオ、台湾を担当)に所属して香港神学校で神学を教え、教皇庁神学アカデミー会員、国際神学委員会委員を経て、2010年にベネディクト16世教皇が大司教に任命、2010年からバチカン福音宣教省次官を務めた後、教皇フランシスコによってギリシャ大使に任命された。

 この間、韓大司教は2011年3月に、中国天主教愛国協会による司祭叙階について、「分裂… 共同体全体に大きな苦痛をもたらす… 共同体は傷を負い、血を流している。なぜなら、教皇の権限を欠いた、正当な司教の任命はありえないからです」と述べた。さらに「党の意向に反対するものは、隔離され、政治的な再教育を強制されている」とし、中国の司祭、司教たちは気骨を見せ、教会一致への愛と過去数十年の信仰への英雄的な証しに対する政府の圧力に抵抗せねばならない、と訴え、当時、投獄されていた2人の司教の解放を求めたことがあった。

  以下は、カトリック系有力メディアUCANewsがCatholic News Service提供として報じた韓大司教の米中カトリック協会の国際会議における講演の要旨。

 中国のカトリック教徒と共産党指導者の間で、共産党が政権を握った1949年から現在に至る「ドラマ」には3つの段階がある。

 現在の第3段階は、2013年からの「縮小、混乱」の段階。信徒たちは非常に混乱し、「孤立している」と感じている。

 ひるがえって、第1段階は共産政権発足の1949年から1980年まで続いた「抵抗と分裂」の段階。カトリック教会は、中国政府・共産党が認める教会と、政府・党の規制・管理を拒む”地下教会”に分裂させられ、多くの教会指導者が、この段階の早い時期に逮捕された。「それが共産党政権の狙いだった。信徒たちを分裂させることで、統治をしやすくしたのです」。政府・党はバチカンの「帝国主義」を嘲笑し続け、”地上教会”には「飴」を”地下教会”には「鞭」を使い分けた。

 この段階で、バチカンは、「中国との外交関係を正常化しよう」と努める一方で、「カトリック教徒が聖座に忠実であり続けることを奨励し、聖座から離れた教会はカトリック教会になることはできない」との方針を堅持した。

 1980年から2013年までの第2段階は、「和解によって成長する教会のため」の段階。バチカンと中国は互いに和解的な態度を取り始めた。中国政府が宗教団体に対する政策を維持しつつ、改革開放を奨励する一方、バチカンは、中国政府との対話を始め、”地下教会”と政府認可の”地上教会”の和解を促進しようと試みた。

 2013年3月にバチカンと中国政府・共産党の歴史的な出来事が相次いだ。フランシスコが3月13日に教皇に選出され、翌14日に習近平が国家主席に選出されたのだ。両指導者は祝辞を交換し、第3段階が始まった。

 習国家主席は「”強い中国”の夢」を語り、習政権の下で”地下教会”にさらなる”棒”を振るい、”親中国化”の”地上教会”にはさらなるニンジンを与えた。

 一方のバチカンは、これまでに確立した中国政府との協議の体制を放棄することで“失明”し、「バチカンに見捨てられた、と(”地下教会”の司祭、信徒たちを)失望させた」。「(中国の”地下教会”の信徒たちに)光を投げかける代わりに、教会の教えと、多くの信徒たちの殉教の光を消してしまった」。

 以後、現在の新型コロナウイルスの世界的大感染に至る期間のドラマは、「教会と国家、信仰と政治、良心と権力の間の緊迫したせめぎ合い」として展開されている。

 「2018年9月の中国における司教任命に関するバチカン・中国暫定合意(詳細はいまだに公表されていない)と、これを受けた同年12月にバチカンが破門していた司教2人をそれぞれの教区長として認めた後に、新型コロナウイルスの世界的大感染が起こった」。この直前、教皇が司牧指針を発表して、司教、司祭が中国政府に登録するかどうかの判断は、それぞれの良心に従ってなされるべき」との方針を示した。そして、コロナ大感染。バチカンと中国の協議は中断している。

 この緊張したドラマで演劇で、どのような人物に注目しようとするか?風にそよぐ葦のような人物か?それとも、どのような状況でも頼りになる人物か?私は、後者を好む。彼らの何人かは血を流した殉教者であり、他の人々は自らの命をもって証した人々だ」。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2021年8月20日