・中国政府・共産党が、カトリック”地上教会”の”中国化”を加速

(2021.10.7 カトリック・あい)

 共産党指導の下に宗教の国家管理が進む中国で、カトリック教会のうち政府・党の管理統制に服しない”地下教会”への迫害が強まる一方、管理統制を受け入れた”地上教会”の”中国化”が一段と加速している。

China accelerates Sinicization of Catholic Church

 ”中国化”は、”アカデミック”な意味では「中国の文化、社会を背景にした宗教の実践、儀式の土着化」ことだが、

実際には「社会主義、(外国の影響を排除した)自立、中国共産党の指導という“核心的価値”をもとに、社会や制度に厳格なルールを課す」ことと理解されている。

 アジア地域の有力カトリック・メディアUCA Newsが5日付け(https://www.ucanews.com/news/china-accelerates-sinicization-of-catholic-church/94413)で伝えるところによると、それを象徴するような出来事が9月下旬にあった。中国政府・共産党の管理下にある中国カトリック司教会議(BCCCC)と中国天主教愛国協会(CCPA)が共催して、山東省と河北省で実施した「百説教」と呼ばれる集会だ。

 UCA Newsによると、山東省では淄博(Zibo)市の二つのカトリック教会で集会が行われ、張店カトリック教会では、司祭、信徒約30人が「山東省天主教会堅持中国化”百説教”」の横断幕が掲げられた会場に集まり、淄博教区長でBCCCC副議長の杨永强司教を講師に、習近平・国家主席の宗教への対応、教会における中国化の推進、社会主義社会への適応などについて”学習”した。

 また、淄博CCPA副会長の王裕神父はCCPAを通じた教区管理、宣教や日常活動での30年の経験をもとに、「教会の中国化についての個人的経験」を語り、「一方向、一道、一旗」の原則に従い、宗教の中国化、独立の道を守るよう呼びかけた。

 河北省では、全国から集まったCCPAの主要メンバー18人が、石家荘市にある著名な共産主義革命の”聖地”、西柏坡村を訪問。訪問は、カトリック教会中国化の一環として、「中国共産党への愛情、愛国心、社会主義を育む」ことを目的とした「赤い足跡を取り、赤い精神を継承する」というテーマに基づいて行われたもの。

 中国共産党中央委員会、統一戦線工作部、中国共産党第7中央委員会第2回総会、および中央軍事委員会の”旧跡”や、毛沢東、朱徳、周恩来など共産主義革命家が使用した戦争室や西柏坡記念館を訪れ、ガイドから「革命的な殉教者の英雄的な行為と『新中国の誕生』につながる偉大な業績」についての説明を注意深く聞きながら、歴史的な展示も見て回った、という。

さらに、河北省にある神学校や慈善団体などカトリック関係の施設も訪問し、現地の司教や司祭、信徒と交流会を持った、とUCANewsは伝えている。

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2021年10月7日