・中国で、バチカンとの暫定合意以来、6人目の”地上教会”の司教叙階

(2021.9.8 カトリック・あい)

 中国で8日、2018年秋のバチカンとの司教任命に関する暫定合意以来、6人目の司教が叙階された。(Photo: chinacatholic.cn)

 バチカンのマッテオ・ブルーニ報道局長が同日、確認したもので、叙階されたのは Francis Cui QiChinese diocese gets new bishop under Sino-Vatican dealngqi神父(57)で、教皇フランシスコが今年6月に漢口/武漢教区の司教として指名していた。同教区では2007年に前任の董光清司教が亡くなって以来、司教が空席となっていた。

 暫定合意の内容は3年経った今も公開されていないが、司教叙階に当たっては、中国当局が指名した候補者を教皇が承認することが条件とされている、といわれ、今回もその手順に従った、とされている。

 Vatican News は、暫定合意について「”制度的対話”の道を促進し、中国のカトリック教会の活動に積極的に貢献し、中国の人々の利益、世界の平和に貢献するという共通の希望を与える」のが狙い、とする一方、「バチカンと中国の外交関係、中国カトリック教会の法的地位、あるいは聖職者と中国当局の関係について直接扱わず、司教任命の過程に限定したもので、中国の信者が教皇と完全に交わり、同時に中国当局によって認められている司教を持つことを可能にする、という司牧的目的を持つ」と”解説”している。

 だが、実際には、中国のカトリック聖職者、信徒の約半分を占めると言われる中国政府・共産党の規制・監督に従わない”地下教会”に対する弾圧は、暫定合意以後激しさを増し、教会の破壊、閉鎖、聖職者や信徒の逮捕・拘禁が続き、そればかりか、”地上教会”に対しても”中国化”を旗印にした当局の締め付けが強まっている、との報道がされている。

 暫定合意以降これまでに叙階された司教たちは、全員が、中国政府・共産党の規制・監督下にある中国天主教愛国協会、中国カトリック教会司教協議会(BCCCC)のメンバー。アジアの有力カトリック・メディアUCANewsが8日伝えたところによると、今回叙階されたCui 新司教も2016年以来、BCCCCの事務局次長を務めている。武漢の聖ヨセフ大聖堂で8日行われた叙階式は、BCCCC会長の馬英林・昆明司教が主宰し、同副会長である北京、海門(江蘇省)の両教区長や隣接の江西省、山西省の司教、湖北省の司祭たちが、地元武漢教区の司祭、修道女、一般信徒とともに参加したという。当然ながら、”地下教会”の聖職者、信徒たちの参加はなかったようだ。

 「中国の人々の利益、世界の平和に貢献するという共通の希望を与える」というバチカンの暫定合意にかける思惑とは程遠い状況と言えそうだ。

 

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2021年9月9日