・新疆ウイグル自治区に2022年1月にさらなる規制強化の規則導入(BW)

Xinjiang: The People’s Hall, Urumqi, where the People’s Congress of XUAR meets. From Weibo.

 中国で2022年1月から新疆ウイグル自治区に適用される公衆安全の構築に関する新たな規制によって、同自治区の人々に対する監視体制はさらに強化される。

 漢民族以外の住民が「東トルキスタン」という呼称を好む「新疆ウイグル自治区」は、中国で最も厳重に監視されている地域だが、中国共産党はそれでも不十分だと感じているようだ。

 2022年1月1日から適用される「公衆安全の構築に関する新疆ウイグル自治区の規則」は、今年9月28日に開かれた第13回新疆ウイグル自治区人民代表大会常任委員会第28回会議で採択され、10月に発表された。

 同様の規則は1994年に公布され、1997年と2009年に2回改訂されていたが、新規則は、習近平主席が、従来よりも厳しい規制が必要だ、と判断したことを受けた者であることは明らかだ。

 新規則には、新疆ウイグル自治区の治安の優先順位について、”興味深い定義”が含まれている。

 まず、通常の犯罪、強盗、汚職との戦いよりも、最優先されるのは「暴力とテロとの戦いを強化し、民族分離主義勢力を取り締まり、そうした勢力の動きを抑えること。邪悪なテロ勢力、宗教的過激派勢力、その他、国家の安全を危険にさらす違法および犯罪活動を徹底して取り締まること」だ。

 次に優先されるのは、中国共産党が認めていない集団を含む「非行集団と邪悪な組織」との戦い。

 第3の優先事項は、「違法な宗教活動、違法な宗教的宣伝、および違法な宗教的ネットワークを使った”布教活動”を、法律に従って”管理”し、非過激化の推進を継続すること」。

 そして、第4の優先事項は、「反カルト宣伝・教育の推進と、様々なカルト集団の取り締まり、カルトと繋がった市民の教育を通した再教育と思想改造で善業を行なうこと良い仕事をすること」だ。

 第3の優先事項では、イスラム教の取り締まりとイスラム教徒の「再教育」(「脱ラジカル化」と呼ばれる)が対象とされ、 4番目はこれとは別の宗教的な「問題」を扱っている。同自治区以外の中国国内で、新型コロナ感染下で、法輪功や全能神教会を含む、カルトとして禁止された新興の宗教運動が信者を増やしていることが、確認されたことを指す。コロナ危機の中で精神的な慰めを人々に与え、こうした災害が世界で起きる理由を宗教的に説明していることに、中国共産党は脅威を感じ、規制を強化する必要があると判断したものだ。

 

*強化される”グリッドシステム”とは

 そして、こうした監視と規制の強化の手段として運用を強める”グリッドシステム(網の目のように監視システムを張り巡らす方式)”は、中国政府・共産党が「世界で最も効果的な社会的監視システム」として自賛しているもの。対象地域のあらゆる建物、あらゆる家屋、あらゆる集団住宅、そして、すべての市民を1日24時間、監視・規制するのを目的とし、都市や町は一辺の長さ100メートル(328フィート)の正方形にほぼ似た形に、ブロックあるいはブロックをいくつかに仕分けた”グリッド”に分けられられる。

 各グリッドには、実務責任者とアシスタント、警察官、統括官と秘書、地方検察局に報告する法務担当官、消防士、そして全員の管理責任者が置かれている。グリッド内では、誰も違法宗教やカルトに関与させない。このシステムは中国の都市向けに作られたが、新疆ウイグル自治区では、都市部のグリッドよりも広範な地域分けがされたうえで、農村地域に徐々に拡張されている。

 グリッドシステムは、「技術は人間による監視に取って代わることはできない」という基本認識が基になっているものの、新居ウイグル自治区に導入される新規則では、AI(人工知能)を適切に使用すること、としており、また、すでに相当するの監視ビデオカメラが設置されているにもかかわらず、さらに増設する、としている。

 またこの新規則では、中国政府・共産党の指針に従い、メディア報道の管理強化、党によって直接管理されていない情報通信の取り締まり、インターネットに対するより厳格な管理、またそうした業務を怠ったり、期待されるような成果を上げない職員に対する厳罰も求めている。

 要するに、現在の新疆ウイグル自治区の人権状況がどんなに悪かろうが、それは常にさらに悪くなる可能性があることを規則は示しているのだ。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」)

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2021年11月22日