・天安門事件の追悼集会参加で実刑判決の香港メディア王、「罰すればいい、血を流した若者たちの重荷を共に負える」

Hong Kong media mogul defiant over Tiananmen vigil sentencing

(2021.12.15 カトリック・あい)

 現地の複数のメディアによると、香港の裁判所は13日、中国政府に批判的なメディア界の大物でカトリック教徒の黎智英(ジミー・ライ)氏ら8人に対し、「天安門事件の追悼集会に参加していた」などとして、実刑判決を言い渡した。

 香港では、有志の団体が毎年6月にヴィクトリア公園で、1989年6月に北京で起きた中国軍による民主化運動弾圧で多数の死者を出した「天安門事件」の追悼集会を以前から行ってきた。昨年と今年も、当局がコロナを理由に禁止する中で集会を行い、数千人が集結。20人以上の政治家や活動家が逮捕、起訴されている。

 13日の判決では、黎氏の他、ジャーナリストから野党の政治家に転身して活動していた何桂藍(グウィネス・ホー)氏や、天安門事件の追悼集会を主催していた香港市民支援愛国民主運動連合会(香港支連会)の副主席だった弁護士の鄒幸彤(チョウ・ハントゥン)氏にも、4か月半から1年2か月の禁錮刑が言い渡された。

 この日の判決で裁判官は「(黎氏は)その名声と影響力をもって、人々を不法集会に参加するよう扇動した」と実刑判決の理由を述べた。

 これに対して、黎氏の弁護に当たったロバート・パン弁護士は記者団に対して、氏から預かった声明を読み上げ、正義のために亡くなった人々を記念することが犯罪であるなら、罪を私に負わせ、罰すればいい。そうすれば、6月4日に血を流した若い男性と女性の栄光の重荷を分かち合うことができる」という氏の声を伝えた。「血を流した人たちを思い出してください… 愛の力が、破壊の力に勝つように」。

 また自らも被告となった他の弁護士は、今回の判決を「天安門事件と香港自身の市民的抵抗の歴史を共に消し去ろうとする組織的な行為の一歩」と指摘。「香港の裁判所は、私たちのような人々を、抗議集会に参加したという理由で有罪判決を下すことで、事実上、政府当局が行使する不平等な権力を肯定した」と批判するとともに、「良心によって動かされる人々は、実刑判決によって阻止されることはない。当局の禁止や規制の中でも、ろうそくの火がきえることはありません」と強調した。

 今回の判決の前にも、若い民主主義運動家の黄之鋒を含むさらに16人が、すでに別の罪状で有罪判決を受けており、別の国家安全保障上の罪状での終身刑につながる可能性のある人もいるという。

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2021年12月15日