・香港の”言論の自由の最後の砦”「蘋果日報」が廃刊に追い込まれた

(2021.6.25 カトリック・あい)

香港最大の民主派新聞で中国共産党・政府そして香港当局の民主主義弾圧を批判し続けてきた「蘋果日報(アップルデイリー)」が24日、最終号を発行し、廃刊に追い込まれた。26年にわたって発行を続けた同紙の廃刊は、香港の言論の自由、民主主義回復を求める多くの市民にとって大きな打撃だ。

 現地のジャーナリストの8つの団体は声明を発表し、「香港人は、勇気をもって発言し、真実を擁護することを主張するメディア組織を失った」と悲しみを表明した。ジャーナリストの国際団体「国境なき記者団」の報道の自由の年間ランキングで、香港は2002年の18位から今年は80位に引き下げられた。中国本土は、180のうち177位で、これより下の国はトルクメニスタン、北朝鮮、エリトリアのわずか3か国だが、今回の結果によって、香港が”中国本土並み”になるのは避けられそうにない。

 蘋果日報の創業者でこれまで報道の自由の先頭に立ってきた黎智英(ジミー・ライ)氏はカトリック信徒だ。ほかにも香港の民主政治を守ろうと、中国政府・共産党、香港当局に抵抗して多くの逮捕者を出している民主活動家の中にはカトリック信徒が少なくない。今回のような、基本的人権の大きな柱である言論の自由、報道の自由を力をもって抑え込もうとする露骨な動きに対して、香港のカトリック教会は、バチカンはどのように考え、対応しようとしているのだろうか。

  英国国営放送BBCなどマスコミ各社の現地からの報道によると、香港の「蘋果日報」本社前には23日夜、別れを惜しむ市民数百人が集まり、激励の言葉を叫ぶ人もいた。最後の編集作業に追われる記者たちも、時折バルコニーに出ては市民に手を振り返していた。最終号は約100万部印刷されたという。

 親会社「壱伝媒(ネクスト・デジタル)」が台湾で発行している「蘋果日報台湾(アップルデイリー・タイワン)」は、引き続き台北で事業を継続する。

Apple Daily journalists hold freshly-printed copies of the newspaper's last edition while acknowledging supporters gathered outside their office in Hong Kong
(印刷されたばかりの最終号を掲げるアップルデイリーの記者たち,(GETTY IMAGES))

「蘋果日報」ーは創刊当初、センセーショナルな見出しと”パパラッチ”の写真で有名だった。しかし26年間の歴史の中で、同紙は堂々と中国政府を批判することを恐れず、民主派運動の旗手を務めるという、より貴重な存在になった。香港で最も大きな抵抗の声として多くのファンを獲得したが、その姿勢が発行停止につながった。

 創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏は昨年、香港国家安全維持法(国安法)が施行された数カ月後に、無許可の集会に参加した罪などで逮捕された。現在は有罪判決を受け、服役中。そして香港の捜査当局は17日、アップルデイリーに掲載された記事が国安法に違反したとして、編集局を家宅捜索。銀行口座が凍結され、幹部6人が逮捕された。同紙は23日午後に発行停止を発表していた。

 BBCの取材に、香港中文大学の徐洛文助教授は「蘋果日報は、正に香港社会の要石、市民は同紙ーを読んで育ってきた。日常生活の一部だった。他の媒体もあるが、蘋果日報ーほど大規模で声高な新聞はなかった。それが当局をいら立たせていた原因だ。それでも手を緩めず、信念を貫いた」と語り、これまでの報道を高く評価した。

*「蘋果日報」は旧約聖書のイブの禁断の果実から名を取った

 「蘋果日報」は1995年、カトリック信徒の黎氏によって創刊された。紙名”リンゴ日報”は、旧約聖書創世記の禁断の果実、リンゴにちなんで付けられた。黎氏はシンガポールの中国語紙「連合晩報」の取材に「もしイヴが禁断の果実を食べなければ、罪はなく、善悪もなかった。もちろん、ニュースも生まれなかっただろう」と、新聞の名前に込めた思いを語っていた。

Interview with Jimmy Lai Chee-ying of Apple Daily, 1995
(1995年当時のアップルデイリー編集局と黎氏(GETTY IMAGES))

 香港では2000年代初頭、中国への統合に抵抗する人々によって、さまざまな社会運動が起こり始めた。BBCの取材に応じた豪シドニー大学の中国メディア研究家、ジョイス・ニップ博士は次のように語った。

 「抵抗運動の盛り上がりが、蘋果日報に政治報道のj分野を切り開き、香港の大手各紙が、中国政府・共産党の”一国一制度”に従い始める中で、同紙の当局の圧力も恐れぬ報道姿勢が際立つようになった。その編集方針やニュースの取り上げ方は、中国の政治システムや中国そのもの、そして中国から任命された香港自治政府に反対するものだった」。

 娯楽記事なども引き続き掲載する一方、政治関連の記事も次々と発表し、堂々たる民主派メディアとしての立場を固めていったが、記者たちは次第に中国での取材を禁じられることが増え、2008年の北京五輪では取材許可が下りなかった。中国政府と香港の親中派に対する批判記事を理由に、広告主から広告掲載を中止されるケースも目立った。

*「国家安全維持法」を基に中国政府・共産党による弾圧が激化

 中国政府・共産党は昨年6月、国家安全維持法を施行、中国からの分離独立や中央政府の転覆、テロ行為、外国勢力との”結託”を、最高で無期懲役の刑をもって禁止する、という名目で、中国政府・共産党に対する批判的言動、民主政治回復を求める運動を徹底的に取り締まる動きに出た。民主活動家たちは、「香港の言論や集会の自由を損なうもの」と批判したが、当局は意に介さず、法施行から半年後、”標的”とした黎氏をはじめとするメディアの重鎮や民主派活動家が次々と逮捕、蘋果日報も捜索を受けた。

Around 200 police officers raided the paper's office
(蘋果日報の社屋捜索には約200人の警官が動員された(GETTY IMAGES))

 それでも蘋果日報はひるむことなく報道を続けたが、黎氏は数々の容疑をかけられ、禁錮20カ月の実刑判決を言い渡された。黎氏は収監直前のBBCとのインタビューで、「恐怖を植えつけるのが最も簡単かつ効果的に統制する方法だと、彼らは知っている。脅しに屈しないただ一つの方法は、恐怖の前でも顔を上げ、怖がらないことだ」と強気の姿勢を続けていた。

 だが、創刊26周年を数日後に控えた6月17日、当局は、掲載記事が国家安全維持法に違反したとして、数百人もの警官を動員して蘋果日報の社屋などの捜索を行い、同社の関連資産1800万香港ドル(約2億5000万円)を凍結。日々の業務継続、従業員への給与支払いを不能にした。さらに、編集局長と他の幹部5人を逮捕した。Chief Operations Officer Chow Tat Kuen (C) is escorted by police from the headquarters of the Apple Daily newspaper

 (逮捕・連行されるアップルデイリーの親会社「壱伝媒(ネクスト・デジタル)」の周達権COO(中央)(GETTY IMAGES))

 徐助教授はBBCに「当局は蘋果日報が自ら発行停止するよう仕向けた。有罪とすら決まっていないのに資産を凍結された。資金はあるのに使えなくなってしまった」と述べ、ニップ博士も「これは権力の誇示だ。誰が実権を握り、何が許されない行為なのかをはっきりと示したのだ」と指摘した。

 BBCによると、23日の発行停止の発表前には、取締役会が警察によって中断され、ジャーナリスト1人が逮捕されている。黎氏の顧問を務めるマーク・サイモン氏はBBCの取材で、「この取締役会は蘋果日報の今後を決めるために開かれていた。警察の介入は、取締役会の結論に影響を及ぼして(中略)早急かつ確実に(アップルデイリーを)閉鎖させるのが狙いだった」と説明。

 さらに、「黎氏はいずれこうなると分かっていた。当たり前のことだ。皆、いつかこうなると思っていたが、発行を続けていた。それがジャーナリストというものだ。香港のジャーナリズムは今後、闘いになると思う(中略)ジャーナリストは毎日闘うことになるだろう」と述べた。

 

2021年6月25日

・香港の言論弾圧激化・当局が民主派新聞の資産凍結、事業停止へ

Hong Kong pro-democracy paper unable to pay staff

A supporter of two executives from Hong Kong’s pro-democracy Apple Daily newspaper, chief editor Ryan Law and CEO Cheung Kim-hung, holds up a copy of the newspaper during a protest outside court in Hong Kong on June 19. (Photo: AFP)

(2021.6.22 カトリック・あい)

 英国から香港を返還された際の、一国二制度の適用―香港の民主政治を継続する、とのー約束を反故にし、民主勢力弾圧の姿勢を強める中国共産党・政府と香港当局が、言論弾圧を一段と強めている。

 カトリック系有力ネットニュースメディアUcanews(https://www.ucanews.com/news/hong-kong-pro-democracy-paper-unable-to-pay-staff/92953)などが21日までに伝えたところによると、当局が”民主運動”つぶしの標的にしている日刊紙「蘋果日報(アップル・デイリー)」は、創業者である黎智英(ジミー・ライ)氏の顧問、マーク・サイモン氏が21日、数日以内に事業閉鎖を余儀なくされる、との見通しを明らかにした。

 同紙は、当局が17日、関連3社の円換算約2億6000万円相当の資産を凍結、だらに、500人以上の警察官を動員して編集部門を手入れし、幹部5人を逮捕。資産凍結により、約700人いる社員への給与支払いも困難になっており、資産凍結の一部解除を裁判所に申し立てることも検討しているというが、見通しは暗い。

 中国共産党・政府そして香港当局の民主勢力に対する徹底した弾圧、そして、基本的人権に関わる報道の自由の深刻な圧殺の動きに対して、長期にわたって空席となっていた香港教区長に先月、教皇フランシスコから任命されたばかりの周守仁・司教が、カトリック教会としてどのように対応していくか注目される。

 蘋果日報では、中国共産党・政府が昨年6月に国家安全維持法を施行して以来、同法を根拠に、創業者の黎智英(ジミー・ライ)氏を逮捕、起訴されたのに続いて、18日、同紙を発行する「ネクスト・デジタル」の張剣虹・最高経営責任者(CEO)と同紙の羅偉光(ライアン・ロー)編集長を「外国勢力と結託した罪」で起訴されている。黎智英氏は、一昨年の民主勢力の中国共産党・政府そして香港当局への抗議行動に参加した、として懲役刑に処せられているが、国家安全維持法で有罪判決となれば終身刑となる可能性もある。

 またサイモン氏自身も同法違反で当局に目を付けられているが、昨年香港を去り、現在は米国に滞在中。CNNニュースに「これらはすべて基本的に公安当局による措置。裁判所の判断ではない」と語っている。

 

2021年6月22日

・「不妊手術、妊娠中絶の強制、さらに新生児殺害も」”新疆ウイグル民間法廷”で元看護師証言ー中国共産党は直ちに否定

Shemsinur Abdighafur
(”ロンドンの民間法廷”で証言するシェムシヌール・アブディガフルさん=右写真)

 中国の新疆ウイグル自治区では、ウイグル人イスラム教徒に対する政府の”家族計画”で、人道的な倫理基準は完全に無視され、女性への不妊手術、堕胎の強制はもちろん、致死的な薬液注射による新生児の殺害まで行われている…

 中国政府・共産党が新疆ウイグル自治区などでウイグル人イスラム教徒に対して行っているとされる人道的犯罪の実態を解明する法律専門家などによる「ウイグル法廷」がこのほどロンドンで開かれたが、同自治区の複数の病院の手術室で看護師として勤務していた女性が、インターネットを通じて証言した。

 女性は、シェムシヌール・アブディガフルさんで、新疆ウイグル自治区で伝統医学を修めた後、いくつかの病院で手術室の看護師として働いていた時、強制中絶と不妊手術、そして致死量の注射による新生児の殺害を目撃した、と語った。

 2010年にトルコに脱出したシェムシヌールさんは、「自分が見たこと、看護師として強制されたことが、私を何年にもわたって悩ませてきました。中国政府・共産党の私の家族に対する脅迫、私自身に加えられるに違いない精神的な迫害の危険を冒してでも、体験した事実を今、話すしかないのだと感じている」と証言を決断した動機を語った。

*勤務した病院で毎日20件の強制中絶と不妊手術

 証言によると、最初に勤務した郊外の小規模な病院では、1日に3〜5回の妊娠強制中絶と不妊手術が行われていた。自身が最初の子を出産した後、より大きな地区の病院の婦人科への転勤を命じられ、毎日20件の強制中絶と不妊手術に関わった。

 その苦痛から逃れるために、彼女は自分のクリニックの開設を計画したが、経験を積むために自治区のいくつかの病院で勤務した際、中絶や不妊手術に関わらされただけでなく、生まれて間もない赤ちゃんに致死的な薬液を注射して殺害していることも知ることになった。「私がある病院で働いていた時、何人かの赤ちゃんが生まれ、泣き声を聴きました。でも、すべての赤ちゃんに”注射”が行われることを知らされていたので、”我が家”に着く前に、彼らが死ぬことを知っていました」と語った。

 「妊娠中の女性に対して加えられる容赦ない追求は、”余分な出産”の厳格な取り締まりの顕著な特徴」と述べ、当局の家族計画規制を無視している疑いのある人々を追跡するために、多くの手段が使われ、”秘密の出産”を根絶するために、内部告発も奨励されている、とした。

*ウイグル人医師と協力して胎児を守る努力をするも当局に知られた

 「ある時、自宅に妊娠中の友人を隠し、赤ちゃんを出産させようとしましたが、見つかって、病院に連れて行かれました。ウイグル人医師などの協力で便法を使って、何とか無事出産できるように努力を重ねましたが、生まれた赤ちゃんは4時間後に亡くなりました」と悲しい経験をしたシェムシヌールは、その後も、自宅に妊婦を保護したり、支援者を見つけたり努力を重ね、自分の病院で胎児を守った。

 だが当局の検査が頻繁に行われ、自分の行為を続けることが困難を極める一方で、ウイグル人たちからは、病院で働いていることで「当局の犬」と非難され、「妊婦を陰で守ろうとしていた私たちは軽蔑され、信用されませんでした。彼らは私たちの本当の気持ちを知らず、関係は良くありませんでした」と語った。

 そうした中で、非常に多くのウイグル人医師と一部の民間病院が、赤ちゃんを救うために介入することで政府の政策を「覆そう」としたことから、当局は、中国人医師が実権を握るようにした。「中絶薬のリバノールの投与を少くすることで、赤ちゃんが生きて生まれる可能性がありました。ですが、そうやって多くの赤ちゃんの命を救っているのが、当局に知られ、そのような投薬の”操作”をできないようにされてしまった。当局は私たちを信頼しなくなったのです」。

 彼女は、他の部門に移され、実体を知ることが困難になったが、当局の家族計画担当者が実権を掌握するまで、協力者の助けを借りて手術部門にアクセスして状況をつかみ、その結果、1日に少なくとも3〜5回の強制中絶または不妊手術が行われたことを確認した。 「この薬液を注射された妊婦は出産前に赤ちゃんを亡くしました。注射器の針は非常に長く、子宮に直接注入されます。針を刺すと、液体が”正しい所”に注入しているか確認します。私は措置室に勤務していた時に、注射が行われるのを実際に見ています。毎日行われました」と証言した。

*義理の姉も”違法出産”が見つかり、母子ともに死亡

 また彼女は、義理の姉の悲劇的な死について語った。

 「義理の姉は、自分が知られていないウイグル人の大きな町、カラカシュに行けば匿名で出産できる、と単純に考えていました。彼女の”違法”な妊娠は3回目で双子の出産を予定していたのですが、当局に見つかり、カラカシュ到着時に病院に連れて行かれ、薬が投与され、その数分以内に、赤ちゃんだけでなく母親である義姉も亡くなったのです。義理の姉はとても健康で、病気もしたことが無かったのに、亡くなりました。私の夫は義姉の夫である兄弟と一緒に手術室の前で待っていましたが、30分足らずで遺体となった彼女がが出てきました。病院側は『心臓病があった』と説明しましたが、義理の姉は30歳と若く、病歴もなかったのです。なすすべもなく、家族は遺体を取り、葬式をし、埋葬しました」。

 さらに、2008年のこと、彼女は、新疆ウイグル自治区の病院で、ウイグル人女性の子宮摘出に「割り当てシステム」が適用されていることを知って、ショックを受けた、と証言した。

*「自分も『癌だ』と言われて子宮を切除された」

 2005年に父親を亡くしたのが原因で、身体に変調が起き、その診断の過程で、自分の子宮に前癌性腫瘍が見つかった。「子宮を切除しないと、癌が体全体に広がるだろう」と医師に言われ、言われるままに切除手術を受けたが、術後の病理検査で切除された子宮に癌は発見されず、手術は必要なかったことに気づいた。だが、その医師が釈明する中で、年間2000件の子宮切除手術を義務づけられていること告白したことで、罪を追求することを諦めた、という。

 まだ第三者による検証がされていないが、新疆ウイグル自治区周辺のさまざまな病院で働いた彼女の個人的な経験をもとにした推定によると、自治区南西部のホータンに限っても、ウイグル人女性の70%が子宮を切除されている。

 「当局は、女性の子宮を検査して、何か”異常”を見つけた場合、切除する理由に使いました… 首都ウルムチでも事情は変わらないと思います」と述べ、彼女自身が診療した女性も、そう証言したという。「ホータンの母子育児病院で勤務していた際、そこにいた女性の4人に3人が『私には子宮がない』と言っていました。 病院の避妊部門の負担が大きいこともあって、そちらも手伝ったのですが、その経験から、多くのウイグル人女性の子宮が無いことを知ったのです」と語った。

*病院に医療倫理基準があっても、”家族計画”を優先

 また、新生児を殺害する倫理上の問題を、聴聞者から聞かれて、「医療倫理基準は中国の病院にありましたが、政府当局の命令がそれと矛盾しても、従わざるを得なかったのです」と彼女は答え、また、”家族計画”に関しては、「完全に政府当局が実施権限を持っており、私たち病院関係者は、それに手を付けることはできません。避妊手術の強制について言えば、医療倫理は単なる紙の上の約束事でしかありません」と指摘した。

*避難先のトルコに会いに来た兄は逮捕、懲役10年の刑に

 シェムシヌール氏の兄は、2016年に母親と共にトルコに彼女を訪ね、2週間後に新疆に戻ったが、当局から「懲役10年」の刑を宣告された。

 それ以後、新疆にいる家族から連絡が絶えていたが、今回のロンドンでの民間法廷で証言した後、中国共産党関係者が主催した緊急記者会見で彼女を攻撃、彼女の妹マルハバも中国のテレビに出演して批判し、親類縁者も全国テレビで、彼女の家族を非難するように仕向けられた。

*妹が、姉を「嘘つき」と罵倒する情宣ビデオも作成された

 マルハバは、姉が2人の子を出産した後に子宮The rapidly convened CCP press conference answering Shemsinur’s and others’ charges.を摘出された、というようなことは「見たことも聞いたこともない」と述べ、「自分の母は8人の子を産み、子宮摘出術を強制されたこともない。私も子を持ち、幹部であり、誰からもそのようなことを強制したことはない」「私の姉が言っていることはすべて嘘。私たちの国と新疆ウイグル自治区を誹謗中傷しています。大嫌いです」と叫んだ。そして、自治区政府と共産党の情宣ビデオでこう語ったー「私たちはとても元気に暮らしています。とても幸せです」。

(中国共産党は、”民間法廷での証言に反論する緊急記者会見を開いた=写真右)

The rapidly convened CCP press conference answering Shemsinur’s and others’ charges.
Marhaba was forced to publicly denounce her sister.(姉を公けに批判するの妹のマルハバさん)

(翻訳・編集「カトリック・あい」)

 

2021年6月18日

・「強姦され、拷問され、屈辱を受けた」新疆ウイグル自治区などでの人権侵害に関する民間法廷で被害者24人が証言(BW)

(2021.6.9 Bitter Winter Ruth Ingram)

Sir Geoffrey Nice QC explaining the purpose of the People’s Tribunal.
Sir Geoffrey Nice QC explaining the purpose of the People’s Tribunal.

 中国政府・共産党が新疆ウイグル自治区などでウイグル人イスラム教徒に対して行っているとされる人道的犯罪の実態を解明する法律専門家などによる「ウイグル法廷」が4日から7日にかけてロンドンで開かれた。

 ”裁判官”は、国連の旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷で元セルビア大統領のミロセビッチを「大量虐殺(ジェノサイド)・人道に対する罪」などで起訴した検察側で副検察官を務めた、英国の弁護士、ジェフリーナイス卿ら8人で構成。

 今回は、被害者たち24人から証言を聴いたが、さらに9月に第二回の証人尋問を行い、12月に判決を下す予定だ。

 この裁判は米国とオーストラリアの政府から支援を受けている。中国政府にも4回にわたって出席を求めたが、「違法」かつ「新疆ウイグル自治区の2500万人の民族グループに対する深刻な挑発」と決めつけ、無視した。

 ・・・・・・・・・・・・

 法廷は事前に、300人の証人陳述書を読解して40人の証人を選び、今回、うち24人から証言を求めた。今回の聴取では、新疆ウイグル自治区などでの、不当な裁判、警察行為、正当な裁判なしの処刑、拷問、強姦などの実情が語られた。

Omar Bekali, a witness and camp survivor of significant torture, demonstrating the method of shackling of prisoners in the internment camps.

 具体的には、収容所での、飢えと屈辱、恐怖を与える音響装置付きの拷問部屋、「虎の椅子」という拘束・拷問用具、低温の液体に首まで沈められる「水部屋」での死の恐怖が語られ、偽りの「犯罪」を告白させられた少女が看守に繰り返し性的に暴行され、100人の受刑者たちはそれを見るように強制され、絶えられずに背を向けた者は罰せられた。

 ある若い女性は収容所の警備員に毎夜連れ出され、暴行され、出血し、茫然自失のまま戻ってきた。ある収容所の教員をさせられたウイグル人によると、収容者の中から臓器摘出のための人が選ばれた。

 陳全国が2016年に新疆ウイグル自治区書記に就任して以来、顕著になっている残虐行為に対して、中国は国連安全保障理事会での拒否権を盾に説明責任を免れ、国連の司法機関である国際司法裁判所も事実上無力だ。

 ジェフリー卿は開廷に当たって、「中国に対して、1948年の世界人権宣言に対する多くの違反に基づいてなされた申し立ては重大だ。 人道とジェノサイドに対する犯罪は深刻」と語り、集団殺害罪の防止及び処罰に関する条約(ジェノサイド条約)が第二次世界大戦直後に国連で採択、発効して70年以上経過しているにもかかわらず、何の効果もないことに、強い遺憾を表明。「各国政府が条約を履行する義務を果たすことができない以上、我々がその空白を埋めざるを得ない」と強調した。

 今回の法廷には、現在居住している米国、スウェーデン、ノルウェー、ドイツから実際にロンドンに来て証言した人とともに、インターネットによる証言した人もいたが、いずれも、怒りと悲しみ、絶望の状態に置かれた新疆ウイグル自治区のイスラム教徒たちの実情を強く訴え、その痛み、苦しみが世界の多くの人々に共有され、正義が行われるようになることを強く希望した。

 

Qelbinur Sedik, a former camp teacher, showing her summons for compulsory IUD insertion at a local clinic.
Qelbinur Sedik, a former camp teacher, showing her summons for compulsory IUD insertion at a local clinic.

  証言者の一人、収容所で教師をさせられていたケルビヌール・セディック氏は、「今、私は自由ですが、友人たちは、まだ収容所に入れられたまま。若い男女が最もひどい拷問を受けています」と語り、さらにBitterWinterの取材に対して、「私は、虐待の真実を語ることにできない彼らを代表して訴えているのです。そのことを決して忘れません」と述べた。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」)

2021年6月11日

・中国当局が、バチカン任命の司教、司祭7人、神学生10人逮捕ー聖職者規制の新規則実施

(2021.5.25 カトリック・あい)

 カトリック系の有力メディア、AsiaNews(http://www.asianews.it)とUCanews(https://www.ucanews.com/)が24日までに報じたところによると、中国の「扶助者聖母の祝日」直前の20日、河北省で公安当局が少なくとも100人の職員を動員、同省沙河橋にあるカトリック・新郷教区の神学校を襲い、司祭7人と神学生10人を逮捕。さらに翌21日、教区長の張維柱(Zhang Weizhu)司教を逮捕・拘禁した。

 教皇フランシスコは23日の聖霊降臨の主日の正午の祈りの中で、世界の全ての教会、信徒に、翌24日に「キリスト信者の助けなる聖母(扶助者聖母)」を祝う中国のカトリック信徒たちに熱心な祈りをもって寄り添うよう呼びかけられたが、そうした教皇の中国の信徒たちへの思いを踏みにじる行為といえる。また、関係者の間には、先に中国政府との間で司教任命に関する暫定合意の延長に踏み切った”中国政府・共産党寄り”とも見えるバチカンの姿勢に、「教皇への忠誠、キリストへの信仰の自由を貫こうとする”地下教会”の聖職者、信徒への裏切りではないか」との声も出ている。

 張司教は1985年に司祭に叙階され、1991年に当時の教皇ヨハネ・パウロ二世によって司教に任命されている。中国政府・共産党の規制・監督下にある中国天主愛国協会に不参加のため、政府・党は公認していなかった。 中国の教会関係者によると、バチカンが中国との間で司教任命に関する暫定合意を結んだ2018年秋以降、中国政府・共産党の規制・監督を拒否する”地下教会”の司教、司祭、信徒に対する迫害はひどくなっている。さらに今月1日からの「宗教の聖職者管理のための新規則」実施を機に、カトリックを含むキリスト教、仏教、イスラム教の聖職者、信徒で政府・党への忠誠を拒否する人々への迫害は加速しており、今回の動きもそれを象徴するものと、関係者の間で受け取られている。

  AsiaNewsとUCanewsによると、襲われた神学校は河北省の教会所有の元工場を転用していたが、中国政府・共産党が5月1日から施行したカトリック、プロテスタント、仏教、道教、イスラム教の5つの”公認”宗教の聖職者管理のための新規則をもとに、当局が違反と判断し、神学校を閉鎖、全員の私物などをすべて没収した。

 新郷教区は1936年に開設され、カトリック信徒が10万人いるとされているが、共産党が中国の政権を取って以来、政府が公認しておらず、新規則では、同教区における司教、司祭、信徒の活動は「犯罪」と見なされる、という。

 AsianNewsによれば、公安と警察はさらに、信徒の家庭を個別に探索しており、十字架、彫像、神聖な画像、教皇の写真などカトリックの信仰を示す事物があれば、押収・破壊したうえ、罰金を科している、という。

  またUCanewsによると、中国共産党のカトリックを含む宗教団体による教育活動の禁止措置を受け、新郷市当局が昨年、新郷教区のカトリックの学校と幼稚園を閉鎖したと伝えられるなど、中国全土で、カトリック教会などが運営していた貧困児童や孤児、障害児のための施設の閉鎖が相次いでいる、という。

 

2021年5月25日

・中国がブータンの仏教聖地を占拠、対インドで優位に立つ狙いか(BW)

(2021.5.17 Bitter Winter Massimo Introvigne)

 (写真は、ブータンに”進出”した中国の村落、揭罗布(Gyalaphug ーTibet Daily TVより)

 中国、インドと国境を接するブータンの仏教聖地に中国が村落を建設することは、同国の対インド戦略の一環だ。Gyalaphug, a newly built Chinese village—in Bhutan. Screenshot from Tibet Daily TV.

 5月初め、中国政府が、「チベット自治区の南部地域に、チベット語で「揭罗布(Gyalaphug)」、中国語で「杰罗布(Jieluobu)」と呼ぶ新しい村落の建設が完了した」と発表した。だが、1つだけ問題があるーこの村落は、中国ではなくブータンにあるのだ。

 そして、さらに問題は、 5月7日発行の米外交誌Foreign Policy で、「中国が揭罗布を含む三つの村落を建設中」と伝えた。「新しい道路、小さな水力発電所、2つの共産党支部センター、通信基地、災害救援倉庫、そして5つの人民軍あるいは警察の前哨基地、および主要な信号塔、衛星受信ステーション、軍事基地、および最大6つの警備サイト」も全てブータンの領土内にある。

(写真は、揭罗布を訪問する中国チベット自治区の共産党書記ーTibet Daily TVより)

Wu Yingjie, Tibet’s CCP secretary, visits Gyalaphug. Screenshot from Tibet Daily TV. 中国が他国領土内で行っているこのようなは前例がない。この地域の名前「ベユル(Beyul)」は深い宗教的意味を持つ。チベット仏教では、西暦8世紀にチベット密教の開祖、パドマサンバヴァ(蓮華生)が精神的な避難地と定めた隠された谷ー精神的な世界と物質的な世界が互いに交わる地だ。

 パドマサンバヴァが定めたベユルの正確な数には議論があるが、現在中国人が住んでいる地域であるベユル・ケンパジョンは確かにそのひとつ。中国共産党は、チベット自治区に加えて、この地を占拠することは、チベット仏教を管理下に置こうとする強力なしるしだ。

 この動きには地政学的な意味もある。中国とブータンに外交関係はない。政府間の定期協議はされているが、賢明なことにブータン政府は巨大な隣国に歯向かうような姿勢を見せないようにしてきた。

 外交筋は次のようにコメントするー「ブータンの人々とチベット仏教徒にとっての、この地域の比類ない重要性を考えると、ブータン政府が中国に渡すことはありえない。英国がストーンヘンジを、イタリアがヴェネツィアを、他国に譲ることがないように」。中国の領土ではないし、領土だと主張する根拠もない。

 (共産党書記から揭罗布村への貴重な贈り物ー中国国旗と習近平主席の肖像写真ーTibet Daily TVより)Precious gifts to Gyalaphug villagers from Wu Yingjie, a Chinese flag and a portrait of Xi Jinping. Screenshot from Tibet Daily TV.

 伝えられるところによると、中国はブータンとの政府間交渉で、占拠中のベユル・ケンパジョンの一部を”返還”する代わりに、中国、ブータン、インドの3つの国境に近い係争地域の中国占有を求めている。これが実現すれは、中国はこの地域でインドに対して決定的な軍事的優位に立つ。 中国は、インドに対する憎悪キャンペーンを続けている。中国共産党公認のソーシャルメディアには、インドのコロナ感染死者の火葬の画像やインドの宗教をもとにした後進性を揶揄する書き込みがされている。

書き込みはその後、削除され、多くの人から批判を受けたが、超国家主義的なコメントで中国のソーシャルメディアの英雄となった復旦大学の沈毅教授は、インドの「後進性」と中国の「進歩性」を比較し、「インドという”軽薄な娼婦”の気性も必要だ。聖なる愚痴(書き込みを批判する人々を指す)は、インドに行って燃焼させてもらいたい」。

 

2021年5月18日

・新疆ウイグル問題で国連が特別イベントー”ジェノサイド”批判に中国が反発(BW)

UN representatives of the USA (right) Linda Thomas Greenfield, the UK (bottom left) Barbara Woodward, and Germany, Christoph Heusgen (bottom right).
UN representatives of the USA (right) Linda Thomas Greenfield, the UK (bottom left) Barbara Woodward, and Germany, Christoph Heusgen (bottom right).

 米英独の三国が主催した国連の特別インターネット・イベントで参加18か国が中国の新疆ウイグル自治区におけるウイグル人ジェノサイド(大量虐殺)に対し国連が続けてきた沈黙を破ることを誓った。

 今週開かれたこの会合には、各国の大使、市民グループ、学者、ジャーナリストなどが出席、同自治区における中国政府・共産党によるウイグル人に対する深刻な人権弾圧、迫害の現状について意見を交換し、今後の対応について話し合った。

 中国政府は、この会合が開かれる以前から、「わが国の内政に不当に干渉するもの。主催者たちは中国との対立をかきたてることに夢中になっている」と批判、国連加盟国に参加しないよう呼び掛けていた。

 このイベントにウイグル人の代表の一人として参加したジュワア・トティさんは、学者の父、イルハム・トティ氏が”分離主義者”の烙印を押され、終身刑に処されている実情を報告した。

Jewher Ilham, Uyghur exile and daughter of Uyghur scholar, Ilham Tohti, sentenced to life imprisonment for separatism.

 トティ氏は、8年前に空路米国に向かう途中で北京空港で逮捕され、裁判にかけられ、2017年に終身刑の判決を受けた。ジュワアさんによると、トティ氏が有罪とされたのは、漢人とウイグル人の対話を促進し、すべての人々の宗教的および文化的信念の自由の保障を訴えたことだった。彼女は「父からは、この4年間、連絡がありません。逮捕された後、10日間監禁され虐待を受けた後、いったん自宅軟禁の措置を受け、しばらくして、武装警察によって強制収容所の闇に放り込まれた、ところまでは知っていますが、今、生きているかどうかも分かりません」と訴えた。

(写真右は、ジュワア・トティさん)

 ジュワアさんはさらに、新疆ウイグル自治区でのウイグル人の実態について、「多くの人が駆り集められ、収容所に閉じ込められ、強制労働をさせられたり、厳しい懲役刑を宣告されたりしています。まさに、国家が組織的に行っている人権侵害です」と述べ、 「家族は引き裂かれ、精神的な苦痛のどん底に落とされています」と指摘。

 だが、このようなことを、これまでトランプ前米大統領との会見など、様々な場で繰り返し訴え続けてきたにもかかわらず、 「現状に何の変化も見られません」としたうえで、「現在行われている残虐行為を即刻止めねばなりません。私の父を含めたウイグルの人々の運命は、国際社会の手に委ねられているのです」と、イベント参加者たちに改めて積極的な協力を求めた。

 米英独から参加した国連常駐代表(国連大使)たちは、深刻化している人権侵害の現状について概説し、中国北西部地域におけるウイグル人とトルコ人のイスラム教徒たちに対する残虐行為の事実は「反証が不可能」であることを確認した。

 英国のバーバラ・ウッドワード国連大使は「あらゆる事象が、特定の民族グループに対する組織的な抑圧が大規模に行われていることを示している」と語り、各国の代表に、国連高等弁務官が中国政府に「この地域への『即時の、意味のある、自由なアクセス』を許可するよう求めることを要求。「この地域へのアクセスを妨げていることに、強い疑問を感じます。人間の権利と価値、国連憲章の核心にある諸原則を堅持せねばなりません」と訴えた。

 米国のリンダ・トーマス・グリーンフィールド国連大使は「世界人権宣言の基礎は『個人』にあり、『国家』ではありません」とし、「今、虐待されている人たちは『犠牲者』ではなく『英雄』です。私たちも、中国政府が新疆ウイグル自治区での大量虐殺と人道に対する犯罪行為をやめるまで、発言し続けることを誓う」と強調した。

 ドイツの国連大使クリストフ・ホイスゲンは、すべての国連加盟国に対し、「ウイグル人たちが自由に暮らし、信教と言論の自由を保障されるまで、力を合わせて働き続けよう」と呼びかけた。

 人権NGOのHuman Rights Watch (HRW)や Amnesty International,  World Uyghur Congress(WUC)の代表は、新疆ウイグル自治区における中国政府・共産党の行為を口をそろえて強く非難。 HRWのケネス・ロス事務局長は、中国が国連事務総長に対して圧力をかけるなど、国連の関係者、機関をこの問題について沈黙さようと懸命になっていることを指摘し、このイベントに肝心のミシェル・バチェ国連高等弁務官が参加していないことに強い疑問を呈した。

 Amnesty Internationalのアグネス・カラマール事務局長も、「国連高等弁務官事務所、国連事務局、そして、多くの国連加盟国の、この問題に対する沈黙、恐れ、臆病さは、率直に言って受け入れらません。彼らは自分たちの役割に背いている」と批判、中国による圧力に屈することのないよう、関係機関、各国関係者に訴えた。さらに、国連が、こうした人道的犯罪を調査する国際的なメカニズムを作るための特別会合あるいは緊急討議の場を招集するよう要請。 「この問題に黙り続け、あるいは見苦しい譲歩をしていることが、中国の姿勢を大胆にしている。彼らは人権保護の体制を傷つけ、国連全体を弱体化させ、中国に対して私たちが果たすべき義務を怠っている」と指摘した。

 国連の少数民族問題特別報告者(国連人権 理事会から任命され、特定の国における人権状況や主題別の人権状況について 調査・監視・報告・勧告を行う専門家)、フェルナンド・デ・ヴァレンヌ氏は、新疆ウイグル自治区などにおける残虐行為の実態を調べる調査団派遣の緊急の必要性について発言することを、国連関係者が恐れ、ためらっていることを非難。

 「煙があるところには火がある。今、数え切れないほどの人々に影響を及ぼす大きな火災が発生しているのです。被害を受けている人たちの大半は少数派、そのほとんどはイスラム教徒、ウイグル人です」と述べ、「国際社会全体と国連が、自分たちで声を上げることのできない人たちを守る時が来ている」と強調した。

 そして、18の国々のイベント参加者ートルコ、北欧およびバルト諸国、フランス、カナダ、日本、スロバキア、オーストラリア、オランダ、ルクセンブルグなどー全員が、中国北西部での人権侵害を非難し、これを優先度の高い問題としてこれに対処する緊急の行動を求めた。

反論する中国の郭嘉君・国連大使

 Chinese representative to the U.N., Guo Jiakun.こうした中で、唯一反対意見を述べたのは、中国の郭嘉君・国連大使で、「真実を明らかにする時が来た。わが国新疆ウイグル自治区での、いわゆる”残虐行為”の告発は、今世紀最大の虚偽であり、このようなことは決して起きていない」と反論。「我々に、隠すことは何もない。全ての人々が来るのを歓迎するが、虚偽に基ずく調査には反対だ。新疆ウイグル自治区は素晴らしく、反映している地域であり、中国封じ込めのためにこの地域を利用する試みは、失敗する運命にある」と主張した。

 これに対して、WUCのドルクン・イサ議長は、ウイグルの人々を代表して、中国は、自らの残虐行為を否定し、世界の広範な地域を力で抑えつけようとしている、と改めて批判。「こうした体制の下で苦しんでいる人々のために、皆さんに、行動を起こすようにお願いしたい。ウイグルの人々だけでは、今行われているジェノサイドを終わらすことができないのです」と訴えた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」)

 

 

2021年5月15日

・アカデミー賞候補のドキュメントが「香港の自由消滅の物語の一部に」と監督

 今回のアカデミー賞では、香港生まれの監督、デレク・ツァン氏のロマンチック犯罪映画「BetterDays」が国際長編映画部門の最終候補に残った。

 香港でここ数か月、芸術、メディア、文化に対する監視が強化される中で、映画は香港での抗議記録に向かい、ある大学は報道写真展を取りやめ、まもなくオープンする現代美術館が警察の新設部門の作品審査を受け入れると表明している。

(オスカーにノミネートされた映画「不割席」の一場面)

 香港当局は、香港における(市民の)権利と自由は損なわれておらず、高度な自治を保持している」としているが、”国の安全”は、越えてはならない一線だったのだ。

 香港政庁の幹部の多くは、「暴力を美化す​​る」試みとして抗議デモ参加者の活動に膨大な放送時間を使ったマスコミの姿勢を批判した。

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 ハマー監督の「不割席」は、2019年の夏から、新型コロナウイルスの感染拡大と香港国家安全維持法施行によって自由回復を求めるデモが勢いを失うまでを、さまざまな抗議グループをフォローする形で記録している。

そのオープニングシーンは、中国銀行の支店への道順を尋ねる黒い服を着たデモ隊の男女の動きを追っている。彼らは後に、中国政府の香港に対する強力な締め付けに対する怒りに火をつけた。

 香港国家安全維持法は、世界的な金融ハブである自由香港に専制独裁政治を持ち込んだとして、西側の各国政府と国際的な人権保護組織から批判を浴びているが、そうした国際的な動きを無視するように、これまで何十人もの市民活動家や野党の政治家が投獄されてきた。 抗議行動に関連しては一万人以上が逮捕されている。

 この映画に登場するジョーイ・シウ氏を含む多くの活動家は香港を脱出し、米国などで、香港に残った人々の支援活動を続けている。「このドキュメンタリー作品で一番悲しかったのは、私が関心をもって追った人たちに、現在までの香港の状況がどのような影響したかを確認したことでした」とハマー監督は語った。「彼らの側に付いて撮影し、さまざまな状況の中で彼らをフォローしていましたから」。

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(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2021年4月22日

・「彼らは現代の預言者だ」-有罪判決受けた香港の活動家たちを中国通の司祭が讃える(Crux)

Missionary calls sentenced Hong Kong activists ‘prophets for our days’

Pro-democracy activist Martin Lee, center, arrives at a court in Hong Kong Friday, April 16, 2021. Seven of Hong Kong’s leading pro-democracy advocates, including Lee and pro-democracy media tycoon Jimmy Lai, are expected to be sentenced Friday for organizing a march during the 2019 anti-government protests that triggered an overwhelming crackdown from Beijing. (Credit: Kin Cheung/AP.)

 (2021.4.19 Crux  Elise Ann Allen)

 ローマ–香港で長年活動してきたミラノ外国宣教会のジャン二・クリベラ神父が先週、同宣教会の雑誌などに、香港国家安全維持法に反対して懲役刑に処せられた民主活動家を称賛する評論を載せた。

 神父は「私たちが知っている香港は、もはや存在しません。(香港国家安全維持法が施行された)2020年7月1日に香港の自由は死にましたが、この法に基づく、民主活動家たちの有罪判決が下された4月16日は、これまでで最も悲しい日になりました」と述べた。

 そして、「彼らは、香港市民への献身と、一部の人々にとっては、職業的、政治的な信条を貫いたことで、罰せられた。私たちの時代の証人であり、預言者です」と、彼らの勇気と献身的活動を讃えた。

 また、「彼らは、もっと認められる価値がある。だが、今の時代と世界は、自由を愛さず、大きな代償を払って自由の為に戦う人々を愛しません」とした。

 クリベラ神父は、ミラノ外国宣教会の国際宣教師養成学校の教授、研究部長を務めているが、現職の前に、香港の聖心哲学・神学院で宣教神学と中国におけるキリスト教の歴史を教えるなど、27年にわたって中華圏の国で教鞭をとってきた。

 評論は、4月16日に香港の裁判所で10人の民主化運動家(うち5人はカトリック教徒)に有罪判決が下されたのを受けたものだ。10人は、香港で最も長く有名な活動家の1人でメディア王のジミー・ライ氏を除き、大半が香港議会の議員。国家への反逆、離脱、扇動、破壊、外国の干渉、テロを禁止する香港国家安全維持法に違反した、というのが罪状だ。

 香港は、1997年に英国から中国に返還された際、少なくとも50年間は「一国二制度」の下で、住民に従来通りの政治、社会、経済的自由が維持されることになっていたが、中国政府とその支配下にある香港政庁はこれを反故にし、香港国家安全維持法をもとに、異議を唱える人々を徹底して取り締り始めた。

 神父は評論の中で、民主活動家に下された8か月から1年7か月の懲役刑は「予想よりも軽かった。香港の司法当局には、まだ、ある程度の公平感が働いているようだが、このような有罪判決自体が適当なものではない。彼らは、香港の市民たちが自発的に行ったデモが落ち着いた形で、秩序正しくなされるように、最善を尽くしました」と述べ、「決して無謀な活動家ではなく、長年にわたって自由と民主主義を守って来た”主人公”です」と強調した。

 有罪判決を受けたカトリック教徒には、香港で「民主主義の父」と呼ばれてきたマーティン・リー氏(82)もいる。香港で最上級の法廷弁護士である氏は、民主党を設立し、香港基本法の策定者の1人だが、執行猶予付きの1年の刑を言い渡された。

 元国会議員のイ・チュクヤン氏(64)も、ミラノ外国宣教会の宣教師と親しい関係を持つカトリック教徒。1989年6月4日の天安門事件の際に中国に滞在ており、拘束されたが、香港の人々の多くが釈放を求め、実現した。クリベラ神父は「彼は1年の懲役刑を言い渡されたが、まさか、香港で刑務所に入れられるとは思っていなかったでしょう」と述べた。

 シド・ホー氏(66)は、香港の立法評議会の元メンバーで、労働党の創設メンバー。現在は副委員長を務めている。懲役8か月の刑を言い渡された彼女は、ミラノ外国宣教会の司祭から洗礼を受けた。

 弁護士のマーガレット・ング氏(73)は、執行猶予付きの1年の刑。カトリック教徒である彼女は、香港が英国から中国に返還された際、議会のバルコニーから香港の人々に、自由と民主主義を守るように呼びかけた。16日の判決に有罪判決を受けた時、彼女は聖トマス・モアの言葉を引用し、「法律は人々に奉仕しなければならず、人々に法律を提供しなければならない」と不当な判決に抗議の意思を表した。

 香港の民主運動を代表する顔であり、すでに刑務所に入れられており、さらに1年2か月の懲役を言い渡されたジミー・ライ氏(72)もカトリック教徒だ。香港で最も人気のある新聞AppleDailyの創始者である彼は、香港の名誉司教であるヨセフ・ゼン枢機卿から洗礼を受けている。

 これらのカトリック教徒たちの大半をよく知っているクリベラ神父は、彼らを「福音のメッセージを真剣に受け止めた人たちだ」と讃え、「彼らは自由を信じており、イエスのメッセージそのものです。彼らは自由な人々の尊厳を信じています。私たちは神の子供であり、神の形に創造され、すべての人類の共通善を築く重要な役割を演じる人たちなのです」と強調した。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。

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2021年4月20日

・「”歴史的虚無主義”を排除せよ」ー中国共産党結党100周年事業の一環(Bitter Winter)

The Party History Mobilization Meeting. Source: Chinese Central Government.The Party History Mobilization Meeting. Source: Chinese Central Government.

   中国国内でメディアを席巻し、しかも国外ではほとんど知られていない中国共産党による全国キャンペーンの一つが、結党100周年にあたって習近平が立ち上げた「党の歴史を学ぶ」運動だ。

 私は以前、BitterWinterで、このキャンペーンの主たる特徴と、「歴史を支配する者が国を支配する」という習近平のマルキストとしての言説について説明したことがある。

 そこで述べたように、中国共産党について考える時は、「文書と保管資料の調査研究を基に歴史的な真実の確認に努める」という、歴史についての”ブルジョア的な捉え方”を忘れるべきだ。マルキスト的な歴史の捉え方は、「共産党を力づけ、強化することに役立つように、”事実”を語る」ことなのだ。

  だが、キャンペーンはうまくいっていないようだ。いくつかの常軌を逸したその中身は、中国共産党が「歴史的虚無主義(に関係する有害な情報」と呼ぶものを排除するため、習近平が”歴史”を重視していることに、迎合する形で作られたものだ。

 「歴史的虚無主義」とは一般に、「今生きている世界、特に過去および現在における人間の存在には意義、目的、 理解できるような真理、本質的な価値などがない、とする考え方」を指す、とされているが、ここで使われる「歴史的虚無主義」という言葉は、「中国の歴史を研究、学習する際に、外国の歴史学者による中国共産党非公認の文献を使うこと」、あるいは「中国共産党とその指導者たちの主張を補強する手段として歴史を見ず、歴史を学ぶのにブルジョア的手法を採ること」を指す、中国共産党独自の”符号”だ。

 2021年4月9日、中国サイバースペース管理局(CAC)は、中央ネットワーク情報室・報告センターという下部機関を通して、共産党非公認の歴史を語る内容をインターネット上で見つけたら報告するよう求める文書を、全国民宛てに発出した。国民をスパイとして動員するのは、中国共産党の以前からのやり方だ。

4月13日、報告センターは4日後の13日に開かれた党の歴史学習推進会議に次のような文書を提出した。以下は、Bitter Winter が入手、翻訳した内容。

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オンラインに掲示された歴史的虚無主義および誤った発言は、12377の電話に申告するようにー歴史的虚無主義に関わる有害情報の報告センター

中央ネットワーク情報室報告センター

本年は、中国共産党の結党100周年にあたり、党の歴史を学び、思想を理解し、実質的な結果を導き出し、新たな状況を切り開くことに、全党挙げて取り組む。習近平・党総書記が党史研究キャンペーンの動員会議で強調したように、私たちは歴史的虚無主義に明確に反対し、思想的指導と理論分析を強化し、党の歴史における主要関心事への曖昧な理解と一方的な理解を排し、根本を正し、基盤を強化せねばならない。

「仮に、誰かが国を破壊しようとすれば、まず、その歴史を支配するだろう」。このところ、いわゆる「歴史的分析」と「真実の回復」の旗印の下で、下心のある者たちが、我々を混乱させる目的をもって、インターネット上で歴史的虚無主義の誤った言説、党や国家、軍の歴史の悪意ある歪曲、侮辱、否定を広めてきた。その影響は好ましくない。思想を歪曲し、人々の心を混乱させ、「道、制度、理論、文化の)4つの自信」を喪失させ得る。

 こうした虚偽の言説が国民を誤らせるのを避け、清浄なサイバー空間を確保するために、そして党の結党100周年のための世論の好ましい空気を作るため、中央ネットワーク情報室の違法かつ有害な情報の報告センターは、このほど、公式ウエブサイトと他のアプリ、チャンネルに「歴史的虚無主義に関わる有害情報」の報告を受けるための特別のページを開設した。

 虚偽の陳述で国民を誤解させることを避け、クリーンなサイバースペースを維持し、党の100周年に向けて世論の良い雰囲気を作り出すために、最近、中央インターネット情報局(州インターネット情報局)の違法および望ましくない情報の報告センター公式ウェブサイト、アプリ、その他のチャネルで「歴史的虚無主義を含む有害な情報」の報告、とくに一般国民からの報告を受けるための特別のページを開設しました。

 報告を求める内容は以下のとおりである。

 1.党の歴史、新しい中国の歴史、改革開放の歴史、社会主義の発展の歴史を歪める内容。

 2.党の指導、イデオロギー、指針、政策を攻撃する内容。

 3. (党の)英雄と殉教者の名誉を毀損する内容。

 4.すぐれた中国の伝統文化、革命文化、そして高度な社会主義文化を蔑視する内容。

 インターネット利用者の大多数が率先して社会的監督の役割を果たし、ネットワークの総合的な管理に積極的に参加し、有害な情報を熱心に報告し、共同で健全なネットワーク環境を維持することを望んでいる。

 報告のための電話番号:12377 ウェブサイト:http://www.12377.cn 公式マイクロブログ、WeChatの公開番号:各省インターネット情報局報告センターへ

(翻訳・編集「カトリック・あい」)

2021年4月20日