・中国、テレビ・ラジオ放送に新規制法ー「反対意見や宗教は禁止」(BW)

(2022.9.9 Bitter Winter Zhou Kexin )

*「映像、音声による放送には”新進社会主義文化”促進、政権支持の義務」中国テレビシステムのテレビ制作棟。

 中国の国家ラジオ・テレビ局は8日までに「ラジオ、テレビ、オンラインA/V番組の制作とビジネスの管理に関する規定」を実施した。

 新規定は、ラジオ、テレビ、インターネットにって提供され報道や企画、娯楽番組などが、「中国共産党によって完全に制御されず、”混沌”の状態にある」とする習近平・国家主席の批判を受けて策定、実施されるもの。

 それによると、これらの手段を通して放送される内容は、「”新進社会主義文化”を促進、政権を支持」せねばならず、ラジオ、テレビ、またはインターネット放送用の番組制作は国の認可を受けた者のみが行い、外国人が中国国内で制作することは禁止される。また、制作が禁止される”リスト”も明示されている。

*規制リストと”包括規定”

 制作が禁止される内容は、次のようなものだ。

①中国憲法が定める基本原則に違反し、憲法、法律及び規則について抵抗を扇動し、あるいはその効果の弱体化を図ろうとし、”先進社会主義文化”を歪曲、あるいは否定するもの。

②国家の統一、主権及び領土の一体性を危険にさらし、国家機密を暴露し、国家安全保障を危険にさらし、国家の尊厳、名誉及び利益を損ない、テロリズム、過激主義及びニヒリズムを助長するもの。

③優れた中国の伝統文化を侮辱し、民族的憎悪、民族差別、国家の慣習および慣行の侵害を扇動し、国家の歴史または国家の歴史上の人物を歪曲し、国民感情を傷つけ、国家の統一を損なうもの。

④ 革命文化、英雄的殉教者の行為及び精神を歪曲し、中傷し、冒涜し、又は否定するもの。

⑤ 国の宗教政策に反すること、または”謝家や迷信を助長するもの。

⑥社会道徳を危険にさらし、社会秩序を乱し、社会の安定を損なうもの。

 興味深いのは、この規定が、中国の歴史の解釈について中国共産党の独占を再確認し、それからのいかなる逸脱も「ニヒリズム」として禁止していることだ。

 この規定は、主要宗教を対象から除外しているが、それはすでに「国家宗教政策」が存在し、「具体的に許可されない限り、宗教の活動や情報提供はいかなるメディアを通じても禁止される」と規定しているためで、“謝家”として禁止されている集団や”迷信”として幅広く禁じられているものに対する肯定的な報道を禁じている。

 また、⑥の「社会道徳を危険にさらし、社会秩序を乱し、社会の安定を損なう」は極めて網羅的、抽象的な表現だが、これは、中国共産党に対する反対意見や批判と見なされるものは、リストに明示されていなくても、党の判断次第で取り締まれる”包括規定”であることを意味している。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

 

2022年9月10日

・台湾総統特使として陳・前副総統が列福式に参加、教皇に「台湾のために祈って」と願う

(Photo: Embassy of the Republic of China (Taiwan) to the Holy See)

(2022.9.7 カトリック・あい)

 Asia News が5日付けで伝えたところによると、4日、バチカンで行われたヨハネ・パウロ1世の列福式に、中華民国(台湾)の陳建仁・前副総統が、蔡英文総統の特使として出席。その後、教皇フランシスコと短時間会見し、総統からの挨拶を伝えるとともに「台湾のために祈ってくださるよう」に願ったのに対し、教皇から「世界平和のために、共に祈りましょう」との答えをいただいた、という。

 陳・前副総統は、カトリック信徒で、教皇庁科学アカデミーの一般会員でもある。

 バチカンは、台湾と正式な外交関係を維持する世界14か国のうちの一つ。

 中華民国は1912年 に中国本土で成立したが、 国民軍と共産軍の内戦の結果、共産党政権である中華人民共和国 に本土から放逐され、 1950年 以降は 台湾省 の全域 と 福建省 のごく一部の 島嶼 などを 実効支配 する 民主主義国家として、経済的繁栄を続けている。

 これに対し、中国政府は、台湾を自国の領土と見なし、世界の国々に外交関係を断絶するよう様々な圧力をかけ、外交関係を維持する国を減らすのに成功。バチカンに対しても、台湾と国交を断ち、共産中国との外交関係を樹立するよう様々な手を打っており、2018年秋の国内の司教任命に関する暫定合意もその一環。

 暫定合意は、今月で二度目の期限を迎えつつあるが、教皇は、中国側に様々な”問題”があることを認識しつつ、交渉のパイプを維持するために、期限の再延長を容認する姿勢を示しており、台湾関係者が重大な懸念をもって、その成り行きを注視している。

 そうした中での台湾総統と特使としての陳・前副総統のヨハネ・パウロ1世の列福式への出席。短時間ながらも会見に応じたのは、バチカンの”バランス外交”の表れと見ることもできる。なお、バチカン広報は、このことについて、公表していない。

2022年9月7日

・「中国・新疆で深刻な人権侵害」国連人権高等弁務官事務所が報告書発表

親族が拘束され抗議する新疆ウイグル自治区出身の人々=2021年3月9日、カザフスタン・アルマトイの中国領事館外/Abduaziz Madyarov/AFP/Getty Images

親族が拘束され抗議する新疆ウイグル自治区出身の人々=2021年3月9日、カザフスタン・アルマトイの中国領事館外/Abduaziz Madyarov/AFP/Getty Images

(2022.9.1 カトリック・あい)

 世界の主要報道機関が8月31日報じたところによると、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は同日、中国の新疆ウイグル自治区で「深刻な人権侵害が行われてきた」と指摘する報告書を公表した。

 報告書では、中国政府が国内のイスラム過激派によるテロをウイグル族などのイスラム教徒と関連づけて行った”対テロ対策”によって、「広範囲にわたり(ウイグル族などの)人権が不当に制限されてきた」と指摘。

 多くの少数民族が組織的に収容された「職業技能教育訓練センター」について、収容者の扱いに懸念を示したうえで、拷問や虐待などの欧米などの人権団体が指摘してきた疑惑に対し、強制的な医療行為や収容の悪条件を含め、拷問や虐待のパターンに関する主張は信頼できる。性的及び性差に基づく暴力の個別事案の主張も同様だ」と明言した。

 そして、ウイグル族などのイスラム教徒に対する中国政府の対応は、「恣意的で差別的な拘束は、基本的権利の制限やはく奪に該当する」との判断を示し、「『人道に対する罪』にあたる可能性がある」とした。

 そのうえで、中国政府に対し「国際人権法に準拠する形で法律の運用や政策の実施を行う」ことを求め、この報告書が指摘する人権侵害についての調査を促すとともに、「恣意的に拘束された人々の解放や、差別的な政策の撤廃」も要求した。

 報告書について、中国の駐ジュネーブ国連機関代表団は「偽の情報とうそ」に基づいたもので、「我が国の法律と政策を曲解し、我が国を理不尽に中傷し、内政に干渉するものだ」とする声明を出した。また、英語で書かれた120ページ余りの独自の報告書を発表し、新疆ウイグル自治区の中国政府の政策の正当性を主張している。

2022年9月1日

改・「中国天主愛国協会」の会長に北京大司教が就任、「”中華民族の偉大な復活の夢”実現へカトリックの”中国化”推進」約束

(2022.8.26 カトリック・あい)

 カトリック系ニュースサイトの  LiCAS.newsなどが伝えるところによると、8月20日閉幕した 第10回中国カトリック代表大会の最終日に、「中国天主愛国協会」の会長に、北京教区のヨゼフ・李山・大司教が任命されたと発表された。Archbishop Joseph Li Shan 2014 (15606607701).jpg

 同協会は、中国におけるカトリック教会の”自立”を明確にする目的で、中国政府・共産党の指導の下に1957年に設立された団体。中国には別に、バチカンが公認していない「中国司教協議会」があるが、同議長には、江蘇省海門教区のShen Bin司教が就任した。

 李大司教は57歳。1965年に北京市のカトリック信者の家に生まれ、北京神哲学院で学び、1989年に司祭叙階。2007年に教皇の同意を得て司教になったが、中国共産党とその統制下にある天主愛国協会寄りであると、以前から見なされてきた。

 なお、愛国協会が大会後にウエブサイトで発表した声明によると、大会では「司牧の精神を伝え、主を敬い、人々に利益をもたらす偉大なプロジェクト」について議論され、「愛国心の探求と、わが国におけるカトリックの中国化を深める輝かしい見通しを得た」としている。‎

 

(2022.8.28 Crux Contributor Catholic News Service)

 中国天主愛国協会が大会後にウエブサイトで発表した声明によると、同協会および中国司教協議会の新指導者の選出には、‎中国全土から300人以上のカトリック司教、聖職者、修道者が参加した。‎

 そして、新指導者となった‎李山・中国天主愛国協会会長とShen Bin中国司教協議会会長は声明で、「明るい未来」に向かって前進するために、「中国化のさらなる促進へ、全国の司祭、修道者、そして一般信徒を司牧伝道に関与させることを約束する」と述べた。声明はまた、昨年12月に開かれた中国共産党の「‎‎宗教問題に関連する業務に関する全国‎‎会議」の精神を実行し、中国共産党中央委員会が示したカトリック教会の要件を満たす必要があることを強調した。

 昨年12月の全国会議では、習金平・国家主席が「マルクス主義政策の厳格な実施、オンラインによる監視の強化、国家安全保障を確保するための宗教統制の強化」を全国の党、政府の地方組織に厳命している。‎

‎ 新指導者選出に参加した司教たちの声明では、「『新しい時代』のため、中国の特色を持つ社会主義に関する習近平主席の思想に従うために、司祭、長老、忠実な人々を団結させ、導く必要がある。高い愛国心と宗教への愛を持ち続ける。(そして)独立し、自己運営する教会の原則を堅持する」と約束。‎

‎ 二人の新指導者も、「中華民族の偉大な復活の夢」の実現へ、「愛国勢力の建設を精力的に強化する」ために、中国における「カトリックの中国化」の方向性を固守することが重要であると考える、と述べたという。‎

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

2022年8月26日

・北京など各地でプロテスタント”家庭教会”を公安が強制捜査ー習主席の”中国化”の一環(BW)

 (写真は、‎8月21日、吉林‎‎省‎‎長春市の長春サンシャイン改革派教会を公安が強制捜査。ツイッターより)‎The August 21 raid against Changchun Sunshine Reformed Church in Changchun city, Jilin province. From Twitter.

(2022.8.24 Bitter Winter Tao Niu)

 中国共産党の管理統制に服するプロテスタント教会の組織「三自教会」への参加を拒否している”家庭教会”を標的にした公安当局による強制家宅捜査が8月に入って、‎北京、陝西省、山西省、吉林省、四川省で行われている。習近平・国家主席が進めるキリスト教などの宗教活動に対する”中国化”キャンペーンの一環だ。‎

 昨年12月初め、中国共産党が5年ぶりとなる「‎‎宗教問題に関連する業務に関する全国‎‎会議」を北京で開き、‎‎習主席が演説し、「非中国」および「違法」な形態の宗教に対する強力なキャンペーンを呼びかけた。‎

 これに応える形で、中国全土にわたるカトリック、プロテスタントをはじめとする宗教活動に対する取り締まりが厳しさを加え、プロテスタントの教会のうち、中国政府・共産党の管理統制に服そうとしない”家庭教会”もターゲットになっている。

 政府・共産党は、キリスト教に関しては、カトリックもプロテスタントも、自己の管理統制下に置くことを至上命題とし、プロテスタントの場合は、管理統制下にある「‎‎三自‎‎教会」の参加を強制し、拒否すれば”違法な宗教団体”とみなして、関係者を逮捕、施設を閉鎖する方針を示し、これを受けた地方政府・党・公安当局が実際の行動に移している。

8月19日、西安の様々な家庭教会とキリスト教団体を禁止する発表。

 ‎8月19日、陝西省西安で30年にわたって活動を続けてきた「Fengsheng教会」が、「カルト」であり、「不正に寄付を募っている」と、西安市民生局から宣告され、「違法な社会組織」として“清算”された。同じく「家庭教会」のネットワークに参加していた中国福音協会も活動中止か、牧師と信徒の逮捕化を選ぶよう強制され、親子の牧師二人が”指定された場所”での居住、当局の監視下に置かれた。

 

(左は、‎8月19日付けで西安市民生局が出した複数のキリスト教会を違法として活動禁止する公告‎)‎

 同じ日に山西‎‎省‎‎臨浦市の「Covenant Home教会」の信徒約70人が親子キャンプをしていたところ、約100人の武装警察に包囲され、大人たちは拘束。また教会員たちの住まいも強制捜査され、キリスト教関係の書籍、文書を押収された。

 ‎8月21日には、吉林‎‎省‎‎長春市の「長春太陽改革派教会」が礼拝中に家宅捜索を受け、参加していた信徒たちが暴行され、女性2人が心臓発作を起こして病院に運ばれる事態となった(写真)。‎‎9人の信徒が拘束され、牧師や長老は、「違法な宗教団体を運営している」として告発された。‎

 北京でも、これらに先立つ‎8月14日に、「Zion Church シオン教会」の門頭溝区・分教会が当局の強制捜査を受け、コンピューターなどの備品が押収されたうえ、牧師と信徒9人が一時、逮捕・勾留された。‎

 6月14日には、四川省光林‎‎公安局が、「違法な集会を組織し、資金提供した」として拘束していたプロテスタントを、「福音を宣べ伝え、人里離れた山岳地帯の村人を助けた」ことが法令に違反するとして、逮捕している。‎

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。
2022年8月26日

・巨大企業集団「新疆生産建設兵団」がウイグル人弾圧の主要手段になっている―英大学が調査報告(BW)

新疆生産建設隊が運営する準軍事部隊の兵舎。
Barracks of a paramilitary unit operated by XPCC. Credits.

 その衝撃的な事実が、英シェフィールド・ハラム大学のヘレナ・ケネディ国際司法センターの‎「‎‎何も残らなくなるまでー中国の入植者とウイグル地域における人権侵害‎‎」と題する調査研究報告書で明らかにされた。

 この組織は、新疆生産建設兵団(XPCC)といい、新疆ウイグル自治区における開墾と辺境防衛のための準軍事政府組織として1954年に正式に設立されたが、時間の経過とともに、ウイグル人など少数民族に「異常な恐怖と抑圧の環境」を作り出すための組織に変質。中国政府・共産党中央の指導の下に、現地で運営され、ウイグル人の生活の最も個人的な部分でさえも「監視され、裁かれ、罰せられる」ところまで、その活動は”進化”している、と報告書は指摘。‎

 XPCCの筆頭政治委員は現在、中国共産党中央政治局局員、新疆ウイグル自治区党委書記である陳全国が兼任し、中央政府と新疆ウイグル自治区の両者の指揮下にある。本部はウルムチ市に置かれ、258万人とされる団員の9割が漢族で占められ、毛沢東時代の1954年に設立された小さな国境防衛の準軍事組織だったXPCCが、今や中国国内上場企業13社と世界中で86万2000以上の企業を直接、間接に保有する数十億ドル規模の巨大複合企業になっている。

 ‎当初は農業開発と建設土木が中心だった事業は、エネルギー、鉱業、化学、石油および天然ガス生産、物流、繊維アパレル、エレクトロニクス、ワイン、食品加工、保険、観光など、幅広い分野に広がっており、「XPCCによって生産された商品はグローバルサプライチェーンにまで達しており、XPCCの建設プロジェクトは新疆ウイグル自治区にとどまらず、中国全土、中央アジア、中東、アフリカもその対象」と報告書は述べている。‎

 また新疆ウイグル自治区において‎XPCCは、地域の土地の6分の1、総人口の6分の1、およびその統治構造の多くを管理し、独自の軍事力、メディアネットワーク、学校と大学を保有し、刑務所まで運営している。

 最も問題なのは、中国国内から何十万人もの漢族を動員して同自治区に定住させ、それによって先住民族を”希釈”し、彼らから土地を奪って、漢族のための家屋や都市を建設する役割をXPCCが担っていること。そして、イスラム系ウイグル人など少数民族に対する、いわゆる”再教育センター”と強制労働プログラムの広大なネットワークを構築、運営していることだ。

 100万人以上がこのネットワークのもとに拘禁され、拷問やあらゆる種類の苦しみを味合わされる一方、さらに多くの人々が、欧米市場向けの商品を作る「貧困緩和」と名付けられた事業に動員されている。‎‎「この地域のすべての企業と投資プロジェクトは、ウイグル人を”変容”させ、洗脳し、労働集約的な仕事に”強制移送”し、中国政府のプログラムに従う企業責任の一環とみなされている」と報告は述べている。

 こうした人権侵害行為に対して、米国は2019年7月、XPCCとその最高幹部の2人に対して制裁を発動。XPCC傘下のすべての企業の製品の米国への入国を禁止しているが、「XPCC製品、特に輸出用に引用されたトマト、石炭、綿、羊毛の生地は、現在、英国と米国への輸出が禁じられているものの、複雑で説明責任があいまいな流通ネットワークのために、世界中への輸出が続いている」という。‎

 報告では、‎XPCCによる住民の土地への侵入、乏しい水資源の流用、古来からの入植地の破壊、文化的、宗教的な施設の破壊などの具体例が示され、中国政府・共産党中央の指示を受けたXPCCの容赦ない行動が、「テュルク人など少数民族の排除、あるいは完全な同化」という最終目標のもとに進められていることを明確に示している。‎

 「‎何世紀にもわたって耕作されてきた畑、オアシスの家、彫刻された柱、果樹園がブルドーザーで破壊され、中国人入植者のための規格にはまったコンクリートの住宅団地が建設されていく中で、地元住民が受ける経済的、肉体的、精神的、感情的な打撃は無視された。多くの人が、自宅を取り壊し、土地を明け渡せば、報奨金を与えると言われ、国営の監視付きの無味乾燥な団地に強制的に移住させられている」と報告は述べている。‎

 「貧困緩和」工場の「転勤労働者」。レポートから。‎XPCCの”陰謀”を深く掘り下げたこの報告書は、中国政府・共産党中央の主導のもとに、すべてのテュルク人など少数民族を恐怖に陥れ、漢の慣行と習近平・主席の「新時代ビジョン」を支持し、自分たちの伝統文化と言語を捨てさせる周到な取り組みの実態を明らかにしている。‎

 ‎「『雑草を切り刻み、根を破壊し、何も残らなくなるまで悪を排除する』‎という習近平・主席の命令は、XPCCによって新彊ウイグル自治区を事実上の”開放刑務所”に変えてきた… 監視と近隣のネットワークに四六時中さらされ、信仰を実践することが逮捕・監禁の理由にされることの恐怖、真夜中に公安が自宅を訪れ、学者、作家、友人が消されていく、という恐怖の中で暮らしている人々は、明日は自分が同じ目に遭うかもしれない、という強迫観念に取り憑かれている」。‎

 シェフィールド・ハラム大学のヘレナ・ケネディ国際司法センターの‎‎人権‎‎と現代奴隷制の専門で、報告書の著者の一人、ローラ・マーフィー教授はこう訴えている。

 ‎「XPCCの主な目的は、ウイグル人の文化に何も残らなくなるまで、ウイグル人を支配、脅迫、解散させ、最終的に崩壊させることです。‎強制労働プログラムを背景に企業帝国を築き上げてきたXPCCは、世界経済に大きな影響を与えている。世界の各国政府と企業のリーダーたちが、XPCCのこのような人権侵害に共同で立ち向かわねばなりません。世界中の企業がXPCCの子会社から製品や原材料などを調達し続ける限り、ウイグル人やこの地域に住む少数民族の人々は苦しみ続けます」‎。

 報告は、‎XPCCによって栽培、加工、製造された商品の輸入禁止を含む、直接行動と、さらに多くの制裁が課されねばならない、と主張。米国のマグニツキー法に基づく制裁措置の対象を、さらに多くの個人に広げるよう求めている。

 報告を受けて、世界の民主主義国の超党派の有志議員で組織する「中国に関する列国議会同盟(IPAC)」の共同議長20人が、XPCCに説明責任を負わせる緊急行動を提唱。具体的には、「XPCCが過半数の株式を保有する中国内外の2873社に対する輸出管理」を含む、強固な規制措置、XPCCおよび新疆ウイグル自治区における強制労働に責任のある他の組織によって製造された商品の輸入を禁止するための”現代奴隷制法”の改革を提案した。‎

‎ また、世界ウイグル‎会議やウイグルにおける‎強制労働撲滅連合を含むウイグル人‎の国際組織は、「すべての国のすべての企業が、XPCC企業および子会社とのすべての関係を断つよう」改めて、世界各国政府、企業に呼びかている。‎

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。
2022年8月24日

・ニカラグアの司教逮捕・拘禁で、教皇の”対話推奨”に国外退去中の司教が反論(Crux)

追放されたニカラグアのプレレートは、司教の逮捕で教皇フランシスコに異議を唱える

‎(2022.8.23 クルックスローマ‎‎支局長 ‎‎イネス・サン・マルティン‎)

‎ローマ 発-ニカラグアのローランド・アルバレス司教が国家警察当局に逮捕され、5人の司祭と神学生、テレビ放送局カメラマンとともに長期拘禁されている問題で、教皇フランシスコが21日の正午の祈りでオルテガ政権との「オープンで誠実な対話」を求めたのに対し、同国の首都マナグアの補佐司教、シリビオ・バレス神父が”反論”した。

  この司教は、自身もオルテガ政権下で脅迫に遭い、生命の危険にさらされ、国外に避難中のシリビオ・バエス司教。21日、避難先の米マイアミの教会でミサ中の説教で「(拘禁中の司教たちの)解放を求めねばなりません。その人(オルテガ大統領)と交渉はすべきでない。アルバレス司教は無実だからです」と訴えた。

 同国中部のマタガルパの教区長であるアルバレス司教は、数人の司祭、神学生たちとともに、”暴力集団を組織”しようとした容疑で、オルテガ大統領の義弟、ディアス長官が率いる国家警察に逮捕され、15日間司教館に拘禁されたあと、首都マナグアに移送され、”自宅保護”下に置かれている。他の司祭、神学生たちは、関係者から”拷問センター”と呼ばれる拘置所El Chipoteに送られた、と伝えられている。

 ニカラグアのオルテガ大統領は、昨年11月の大統領選挙で5期目の再選を果たしたが、反米を旗頭に、対抗する候補者を拘束・軟禁したのを始め、公正で民主的な政治を求める国民や教会関係者を弾圧。昨年の選挙以前も、2018年に大統領の圧政に抗議した市民350人以上を殺害したと言われ、現在も野党などの幹部190人が逮捕・拘禁されているとされている。

 バエス補佐司教は、こうしたオルテガ政権の圧政にかねてから強く抗議、姿勢を正すよう求めてきたが、彼と彼の家族に対して殺害予告などの脅迫が繰り返され、教皇の要請を受けて2019年から国外に避難している。‎

 補佐司教は21日のマイアミでのミサ中の説教で、信徒たちに「私が受けている限りない苦しみを理解し、ニカラグアと私たちの教会のために祈ってほしい。特に、今、司牧者を奪われたままになっているマタガルパとエステリの教区の兄弟姉妹に愛を込めたあいさつを送りたい」と訴え、ニカラグアの人々に対して「希望を失わず、主を信頼するように」と願った。

‎‎ オルテガ政権は、同国のカトリック教会の指導者たちを「クーデターの首謀者」とし、「テロリスト」の烙印を押して、弾圧を強めている。今年に入っても、ニカラグア駐在バチカン大使、ヴァルデマール・スタニスワフ・ゾンマータグ大司教を

 国外追放し、教皇庁との外交関係を断ち切っただけでなく、カルカッタのマザー・テレサによって設立された神の愛の宣教会の修道女18人も国外追放している。‎司祭の投獄、教会の街頭での祭礼は禁止、信徒の教会への立ち入りや聖体拝領の妨害、教区事務所の強制捜査などが続く中での、大統領再選後、初めてとなる司教の逮捕・拘禁‎は、教皇の言う「オープンで誠実」なオルテガ政権との対話とはかけ離れた状況に、ニカラグアの教会が置かれていることを示している。(この部分「カトリック・あい」が加筆)

 

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

2022年8月24日

・ニカラグアで独裁大統領批判の司教が逮捕・軟禁-国連やラ米司教協議会などが批判、釈放要求

デモ隊はアルバレス司教らの釈放を求めるDemonstrators call for the release of Bishop Álvarez and others  (AFP or licensors)

 ニカラグアの首都マナグアの‎ローランド・アルバレス司教が警察に逮捕され、5人の司祭と神学生、テレビ放送局カメラマンとともに2週間にわたって自宅軟禁されている。20日には首都の司教館が警察当局によって強制捜査がなされた。

 ‎司教は、独裁色を強めるオルテガ大統領をかねてから強く批判し、公正な選挙の実施など民主主義のルールを守るよう求めており、今回の逮捕・拘禁、そして強制的な家宅捜査は、同大統領の反政府勢力撲滅の一環とみられる。

ニカラグア国家警察

これに対して、ラテン・アメリカ司教協議会は、アルバレス司教への支持と自宅軟禁が続けられていることに強い懸念を示した。国連のグテーレス事務総長も同国で民主主義が深刻な状態に置かれ、教会と市民社会が当局の攻撃対象にされていることに重大な懸念を表明。米州人権委員会は、司教たちの自宅軟禁を早急に解くよう、ニカラグア政府に要求している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年8月21日

・「新疆ウイグル自治区における少数民族虐待に制裁を」と4つの国際人権団体が米政府に発動求める(BW)

 ‎‎‎新疆ウイグル自治区の”教育キャンプ”で“更生”させられたウイグル人女性(「‎‎新疆ウイグル自治区警察ファイル」より)

アイトゥングール・アブドゥケリム、教育キャンプを通じて新疆ウイグル自治区の変容を遂げたウイグル人囚人の一人。出典:新疆ウイグル自治区警察ファイル。

 中国政府・共産党による新疆ウイグル自治区におけるウイグル人など少数民族への人権侵害行為を告発する「‎ウイグル人のためのキャンペーン」「ウイグル人権プロジェクト」「世界ウイグル人会議」「共産主義犠牲者記念財団」の国際人権4団体がこのほど、米国のブリンケン国務長官らに対し、同国のウイグル人権法とグローバルマグニツキー法による制裁発動を求めた。‎

 (ウイグル人権法は、2020年6月に米大統領の署名で発効。ウイグル人などの少数民族に対する「恣意(しい)的な拘束、拷問、ハラスメント」に責任を負うべき中国当局者を特定し、これらの中国当局者について、米国内に保有する資産凍結と米国への渡航禁止を義務付ける内容。マグニツキー法は2012年に制定された法律で、世界全体を適用範囲とし、米政府が人権侵害に関わった個人・組織を特定、米国内の資産を凍結するとともに、入国を禁止するなどの制裁措置をとることができる。同様の法律が欧州など34か国でも導入されている)

 中国新疆ウイグル自治区で少数民族のウイグル族らが「再教育施設」などに多数収容されている問題で、徹底的な取り締まりを指示する共産党幹部の発言記録や収容施設の内部写真、2万人以上の収容者リストや顔写真や公式の極秘文書など大量の内部資料が流出、その内容を米国のNPO「共産主義犠牲者記念財団」(VOC)が今年5月、英国営BBCや仏ルモンド紙など世界の主要メディアを通し明らかにしている。

 「‎‎新疆警察ファイル‎ (xinjiangpolicefiles.org)」としてインターネット上で現在も公開されているその内容によると、党幹部の発言記録には、新疆ウイグル自治区トップの陳全国・党委員会書記(当時)が2017年5月の演説で「海外からの帰国者は片っ端から捕らえろ」「拘束者が数歩でも逃げれば射殺せよ」と指示したことや、習近平総書記ら党中央の関与を示す公安トップの発言もある。

 また機密文書の中には、中共公安部長の趙克志氏が2018年に行った内部演説に関する内容もあり、趙氏は演説の中で、新疆南部だけで200万人以上が「過激派宗教思想の浸透に深刻な影響を受けた」と警告。また、中国共産党中央の指導者が新疆ウイグル自治区の強制収容所の収容能力を増強するよう直接命じたことに言及している。

 収容者リストには、カシュガル地区コナシェヘル県のウイグル族ら2万人以上の身分証番号や収容理由が記されている。VOCによると、同県で2018年頃、成人全体の12.1%以上が収容されていた。10代から70代までの収容者2800人超の顔写真のほか、当局者が収容者に手錠や覆面をつけて尋問したり、制圧訓練を行ったりする施設内部の写真もあり、VOCは「罪なきウイグル人らが犯罪者のように扱われていることを証明するものだ」としている。

 ウイグル人たちに対するジェノサイドともいえる大規模な民族粛清行為が、このような膨大な内部流出資料によって、さらに明白に裏付けられたとする「‎‎ウイグル人のためのキャンペーン‎‎(CfU)」「ウ‎‎イグル人権プロジェクト‎‎(UHRP)」「‎‎世界ウイグル会議‎‎(WUC)」「共産主義犠牲者記念財団(VOC)」はこのほど、ブリンケン国務長官はじめ米国の政府高官に書簡を送り、ウイグル人権法に基づき、ウイグル人などの少数民族に対する「恣意(しい)的な拘束、拷問、ハラスメント」に責任を負うべき中国当局者を特定し、米国内に保有する資産凍結と米国への渡航禁止の措置を取るよう要請した。

 ‎書簡は、「‎‎新疆‎‎警察ファイル」によって現在開示されている新しい証拠を挙げ、「中国政府の趙浩志・公安部長、中央‎‎新疆‎‎作業調整小組の王楊・組長、中国の政治法務委員会の郭盛君・事務局長を含む中国政府の関係高官」を制裁の対象とするよう求め、こうした人々に厳しい制裁を課すことによって、「中国がジェノサイド条約に違反して残虐行為を犯すのを、世界が傍観しない、という強力なメッセージを送ることができる」と強調している。‎

 UHRPの代表者は、Bitter Winterの取材に対して、「すべての政府は、ジェノサイド条約に基づく義務を負っています。彼らにできる最低限のことは、何百万人もの無実の人々に対して、故意に残虐行為を働いている加害者を制裁することだ」とし、「欧州各国政府も、何もせずに、『国際社会』に責任を転嫁することはできない」と述べている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

2022年8月13日

・「信教の自由が世界中で”集中砲火”に遭っている」-ローマで世界専門家会議(Crux)

(2022.7.21  Crux  Rome Bureau Chief  Inés San Martín)

ローマ発-米ノートルダム大学主催の信教の自由をテーマとする会議が20日から22日にかけて、ローマの教皇庁立グレゴリアン大学で開かれ、世界中で信教の自由が脅かされる深刻な事態となっていることが多くの出席者から報告された。

  ワシントンに本部があるウィルソン・センターのフェロー、サマ・ノーキスト氏は「宗教に対する暴力は過去10年間で歴史的なレベルにまで上昇し、世界のほぼすべての宗教団体に影響を及ぼしている」とし、

 「キリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒、仏教徒、ヤジディス、バハイ教徒を含む、ほぼすべての宗教の信徒たちは、差別、嫌がらせを受け、国家および非国家主体による迫害、ならびに思想運動による抑圧に直面している」と訴えた。

 自身もウイグル出身であるターケル氏はさらに、「習近平ではなくアッラーを崇拝している」ことが犯罪とされ、100万人以上のウイグル人が強制収容所に入れられ、拷問、レイプ、強制労働、殺害などの犠牲者となっている、と指摘。「中国共産党は、宗教が党のイデオロギーと個人崇拝に代わるものとなることに脅威を感じ、党とその指導者のみを崇拝することを狙っている。党にとっての”最悪の悪夢”は、人権と人間の尊厳を重んじる共同体。信仰の厚い宗教団体、組織は、中国政府・共産党の独裁が信教の自由と整合性をもたないことから、彼らにとって脅威なのです」。

*南アジア全体で進む非イスラム教徒に対する改宗強制

 会議では、信教の自由のための世界国会議員会議のメンバー、パキスタンのファラフナーズ・イスパハニ氏も出席し、宗教的および世俗的な人権擁護者の間に国や地域ごとの、そして世界的な協力体制を構築することが「最も重要」と訴えた。彼女の国では、特に非イスラム教徒である少数者にとって、イスラム法の基づく法規制が、信教の自由を脅かし続けており、「ヒンズー教徒、キリスト教徒、シーク教徒などの宗教的少数派のイスラム教への強制改宗の動きが放置されている」と指摘。

 さらに、パキスタンを含む南アジア地域全体で、公立、私立学校の教育内容を通じて、イスラム教の子供たちに他宗教の子供たちに対する憎悪または無関心を強めていることを非難。また、「反ユダヤ主義をあおる陰謀説は至る所で振り撒かれ、聖職者や政治家によって広められている。非武装の宗教的少数者の団体のメンバーに対する暴力や、礼拝所の破壊を狙った攻撃も、パキスタンの歴史のほとんどを通じて行われています」と訴えた。

 そして、「人々は信教の自由について認識する必要があり、他の人権と同じようにそれを支持せねばなりません。他宗教の人が拷問に苦しんでいることに嫌悪感をもたないように、人々は自分たちに信徒の権利だけを気にすることがあってはならない。信教の自由の原則に注意を払うべきです」と述べた。

*それでも私たちは信教の自由、良心の自由を求め、戦い続ける

 ノートルダム法科大学院の学部長で、「ノートルダム宗教の自由運動」の創設者であるマーカス・コール氏は、「私たちは、世界史上、最も強力な帝国であった首都で、会議を開いている。その帝国の廃墟は私たちの周りにある。マタイ福音書で、イエスは、エルサレムの神殿を指さして、『ここに積み上がった石は、一つ残らず崩れ落ちる』と預言された。ここローマにいて、偉大なローマ帝国が、信仰によって〝征服”されたこと、イエスの言葉の真実を明かしできる」と述べた。

 「ローマ人は初めは、信仰を笑いものにしたが、結局、笑いは止まった。今、信教の自由の敵たちは、私たちを笑うだろうが、私たちは退くことがない。良心の自由と信教の自由を求めて、すべての人が喜んで受け入れてくれるまで戦い続ける」と訴えた。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年7月22日