・中国版チャットGPTに当局が規制-反国家、反共産党の内容は禁止(BW) 

Baidu’s press conference unveiling ERNIE Bot, its version of ChatGPT. From Twitter.

 人工知能チャットボット「チャットGPT」が世界的に流行し始め、規制の是非をめぐって大きな議論を呼んでいるが、中国当局が11日、Alibabaや Baiduが始めようとしている中国版チャットGPTに関する規制案を公開した。中国共産党が承認しないテキストを利用者が取得するのを防止する狙いだ。規制案を公開し、国民の意見を聞く体裁をとっているが、案に対する批判は受け入れられず、ほぼ案通り実施される。

 チャットGPTでは、人工知能が中国政府・共産党に批判的なテキストを作り出す”危険”があると判断した中国政府・共産党の対応は素早く手を打ち、その指示を受けた国家サイバースペース管理局が「生成型人工知能 (AI) サービス管理措置」をまとめた。

 それによると、中国のユーザーに対して、「人工知能プラットフォームは、社会主義の核心的価値を反映すべきであり、国家権力の転覆、社会主義制度の打倒、国家分裂などを扇動し、国民の一致を損なうものであってはならない」という条件を満たすコンテンツの配信のみを認める」とし、具体的に禁止されるのは、「テロ、過激主義、民族的憎悪、民族差別、暴力、わいせつ、ポルノ、虚偽の情報を助長し、経済秩序と社会秩序を混乱させる内容」で、中国共産党 に対する批判や反対意見は禁止される。

 Alibaba は 「Tongyi Qianwen」 と呼ばれる中国版チャットGPT の提供を始めた。提供企業は「人間」が経営しているが、人工知能は「人間」ではない。だが、中国では、コンテンツの作成に「人間」が関与しない場合も、「生成されたコンテンツに対する作成者の責任」の原則が適用される。

 このことは、提供企業はアルゴリズム(解が定まっている「計算可能」問題に対して、その解を正しく求める手続き)を規制当局と共有し、常にチェックを受け、使用するソースとその使用方法を開示する必要があることを意味する。また、 サービスの利用者の名前を当局に開示するよう求められる場合があり、「社会主義の核心的価値観や中国政府・共産党の利益に沿わない質問をしたり、テキスト メッセージを要求したりする顧客の利用を禁止する必要がある。

In turn, Alibaba lunched its ChatGPT-style chatbot called Tongyi Qianwen. From Twitter.

 このような当局による中国版チャット規制は、インターネットと関連する技術を支配しようとする、習近平・主席が主導する中国共産党の闘争の新たな章のようだ。 中国政府・共産党にとっての問題は、特定のテクノロジーが本質的に制御不能であり、犯罪の可能性があるという警告にもかかわらず何百万人もの中国の若者が VPN (インターネット回線を利用して作る 仮想の専用ネットワーク)を使って当局の監視を逃れようとしていることでだ。中国共産党の”イデオロギー警察”の対応が、最終的には機能しない可能性もある。

 少なくともそうなるまでの間、Alibabaや Baiduの中国版チャットGPT を利用して学生たちが欠こうとする学期末のレポートは、中国共産党と習近平を賛美するものになるだろう。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

 

 

2023年4月21日

・中国当局の暫定合意無視が続く中で、カトリック香港司教が”返還”後初の北京訪問

カトリック教会香港教区の周守仁司教=2021年12月、香港(AFP時事)

(2023.4.21 カトリック・あい)

 世界の主要報道機関が20日までに伝えたところによると、カトリック香港教区の教区長、周守仁・司教が17日から5日間の予定で、北京を訪れている。中国政府・共産党公認の中国天主教愛国会に属する北京教区長の李山・大司教の招請を受けたもので、香港から北京に司教が訪問するのは1997年に香港が中国に返還されてから初めて。

 周司教は、訪問中に李大司教と会見するほか、カトリック教会の国立神学校を訪れ、玄武門教会でミサを捧げる。また、司教の大先輩のイエズス会士で中国で布教に当たったマッテオ・リッチ 神父(1552–1610) の墓を訪れる予定。

 周司教が事前にロイター通信に寄せた書簡では、中国ほんとの教会と、特にアジアを中心とする海外の教会との間で「交流が促進される」ことへの希望が宣べられ、バチカンからメッセージを託されたのか、というロイター側の質問には「教区間の交流。中国は国家事案についてバチカンと連絡体制を確立している」とだけ答えた。また、現地でのメディアの問いかけには「香港教区には、北京と香港の接触を促し、理解を深める橋渡し役の使命がある」と述べている。

 中国本土には中国政府・共産党公認の中国天主教愛国会に属するカトリック教会と”地下教会”に合わせて約1200万人の信徒がいるといわれる。バチカンと中国には国交がなく、長年、司教の任命権をめぐって対立してきた。

 2018年秋に任命に関して暫定合意がなされ、これに基づいて何人かの司教が双方の合意で誕生していたが、今回の周司教の北京訪問の直前、今月4日、過去9年間空席となっていた上海教区の教区長に、国政助言機関の人民政治協商会議(政協)常務委員の申斌(シェンビン)司教が就任した、とバチカンの同意がないまま、一方的に発表。バチカンのブルーニ広報局長は同日の会見で、「バチカンは数日前に中国当局の決定について知らされた」と述べ、今回の司教人事がバチカンの同意なしに中国側の一方的通告によってなされたことを公式に認めた。

 中国は昨年11月にも、江西省でバチカンが認めていない新設教区の補佐司教を一方的に任命、バチカン側が合意に違反するとして「遺憾の意」を表明している。

 周司教の地元の香港では、以前から中国政府・共産党の”地下教会”弾圧など信教の自由を踏みにじる行為に批判を続けてきた元教区長の陳日君・枢機卿を逮捕、拘禁するなど、中国当局による強硬姿勢が目立っている。

 バチカンは今のところ、こうした中国側の姿勢に”静観”を続けているが、中国側の周司教の北京訪問招請には、「バチカンとの一層の関係悪化を避けたい中国側の思惑がある」との見方も関係者の間にある。

2023年4月21日

・ 中国で、すべての宗教活動施設に「習近平主席の社会主義思想の徹底」など義務付ける新規則(BW)

Baiyun Taoist Temple, Guangzhou. Credits. 中国共産党・政府が近く、新たな「宗教活動施設の設置、承認、および登録に関する規則」を実施する。2005年実施の現行規則よりも一段と厳しい締め付けを行い、国内のすべての宗教の礼拝施設に中国共産党の宣伝を義務付ける内容となっている。

 中国では、 すべての宗教団体の活動が、行政や警察当局による日々の監視は言うまでもなく、数多くの法律、規則、条例によって、すでに”窒息”状態にある。

  それでも、習近平・主席は、宗教活動によって中国共産党が脅かされるリスクが依然、存在する、とし、これを受けた党、政府が継続的に新しい対策を講じている。新たな「宗教活動施設の設置、承認、および登録に関する規則」の実施もその一環だ。 新規則の原案はすでに公示されており、利害関係者は4月24日までに原案に対する意見を申し立てることができる、とされているが、この”疑似民主的な手続き”を経ても、過去の例を見る限り、修正はほとんどない。

 原案を見ると、現行規則で定めている「宗教施設の当局への登録義務付け」などに変更がないが、特徴は、すべての宗教の礼拝施設が 中国共産党の宣伝広報の”積極的な代理店”でなければならない、という点が強調されていること。具体的には、「 礼拝施設は、中国共産党の指導部を支持し、社会主義制度を支持し、習近平の社会主義思想を徹底的に実施する場合にのみ、運営許可を取得して、施設を維持することができる」「憲法、法律、政令、規則、および関連する宗教事務管理規定を遵守し、社会主義の核心的価値観を実践し、宗教の中国化の方向性を順守する」と定めている。

 そして、施設の閉鎖は従来よりも迅速かつ容易に行われることとされ、「祖国への愛と、中国共産党の指導部と社会主義制度への支持」を積極的に説くことが義務付けられ、 司祭、牧師、イマーム、僧侶も、「祖国への愛と、中国共産党の指導部と社会主義制度への支持」に基づいて選ばれる必要がある、としている。

 また、新疆、チベット、内モンゴル自治区を念頭に、礼拝施設では「国語(漢語)と文字の使用を促進し、国家の団結と進歩を促進し、宗教的な市民を指導して国家意識を高めるべきである」とし、「市民の意識、法の支配の意識、民族的慣習と宗教的信念の正しい区別、行政、司法、教育、社会生活を妨害するために宗教を使用すること」の禁止を明言している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

 

2023年4月8日

・共産党公認の中国カトリック教会が上海司教をバチカンの同意なしに任命

Chinese Catholics

(2023.4.5  カトリック・あい)

 中国のカトリック教会上海教区が4日、過去9年間空席となっていた教区長に、国政助言機関の人民政治協商会議(政協)常務委員の申斌(シェンビン)司教が就任したと発表した。

 2018年にバチカンと中国政府が暫定合意し、現在も有効な司教の任命に関する取り決めでは、双方の合意が必要とされている。

 バチカンのマッテオ・ブルーニ広報局長は同日の会見で、中国側によって行われたこの人事を確認する一方、「バチカンは数日前に中国当局の決定について知らされた」と述べ、今回の司教人事がバチカンの同意なしに、中国側の一方的通告によってなされたことを認めた。

 中国は昨年11月にも江西省でバチカンが認めていない親切教区の補佐司教を一方的に任命、バチカン側が合意に違反するとして「遺憾の意」を表明していた。

 今回の中国側の行為に対して、ブルーニ局長は「バチカンとしてこのことをどう評価するかについて、現時点で何も言うことはない」としているが、度重なる暫定合意違反が、カトリック教会にとって最重要の年間行事である聖週間の最中になされたことに、教皇フランシスコとバチカンがどう対応するか注目される。

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 中国共産党公認の中国天主愛国会の公式メディア「中国天主教」が4日付けで伝えたところによると、同日、上海で申斌司教の教区長就任式が行われた。

 式は、上海市天主教教務委員会主任の吳振神父が主宰。中国カトリック司教団の楊宇神事務局長が申斌司教の上海教区長のポストへの異動に関する「中国主教任命書」を朗読。 中国天主教愛国会の会長で北京教区長の李山司教が、さらに、上海市天主教愛国協会の会長、盧欽明と吳建林神父が上海天主教会を代表してあいさつ。

 申斌司教は、「上海カトリック教会の素晴らしい伝統を継承し続け、国を愛し、独立と自己管理の原則を遵守し、中国におけるカトリックの中国化の方向性を遵守し、上海でのカトリック伝道の健全な継承をよりよく促進する」と抱負を語った。

 

2023年4月5日

・「宗教を信じない」との誓約が幼稚園入園の条件―中国・温州市で

The Wenzhou atheistic pledge. 「優れた共産党教育」は幼稚園から始まり、必然的に無神論が含まれる- 3 月初め、浙江省温州市龍湾区のキリスト教徒の両親が、3 歳から 6 歳までの子供たちを幼稚園に通わせる条件として当局から署名を求められた誓約書を、人権団体に通報した。誓約書は実物と思われ、同様のものがすでに中国全土で配布されているという。

 誓約書には、「宗教を信じない幼稚園児の家族の約束」というタイトルが付けられ、保護者の署名と、入園を希望する子供の名前を明記することが求められている。

 具体的には保護者は「宗教を信じず、いかなる宗教活動にも参加せず、子供たちに宗教を教えない」こと、「文明化された家族」を導くことを約束。また、自分と子供が「他の邪教の法輪功」に近づかないようにし、「封建的な迷信」を避け、幼稚園児に科学、社会主義、中国共産党への信仰を教えることを約束する、としている。

 中国における「無神論のキャンペーン」は沈静化するどころか、地方レベルに浸透する形で進んでいる。 習近平・主席は「科学的無神論はマルクス主義の本質的な特徴である」と繰り返し主張しており、大衆文化はこの考えを教え込むために動員されている。 中国の子供たちへの宗教教育の完全な禁止は、これらのキャンペーンの一環であり、幼稚園はそれを実施することが期待されている機関の一つになっている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

2023年3月25日

・「司教任命に関する中国との暫定合意は期待通りにいっていない」とバチカン外務局長、EWTNとの会見で

Archbishop Paul Richard Gallagher

(2023.3.16 カトリック・あい)

 バチカン国務省のポール・ギャラガー外務局長(大司教)がこのほど、カトリックの国際テレビ・ラジオネットワーク、EWTNのインタビューに応じ、中国との間で2018年秋に結んだ同国内での司教任命に関する暫定合意について、当初期待されていたような結果が得られていないことを認め、”改善”について中国外務省と交渉していることを明らかにした。

 ギャラガー外務局長は、この暫定合意がされたのは好ましい時期ではなかった、とし、中国共産党が、カトリック教会共同体、いわゆる”地下教会”に圧力をかけるために利用したことを認めつつ、「(良い結果が得られるように)前進するしかない」と述べた。

 また、この暫定合意は、「その内容のほとんどは、ベネディクト16世教皇の時代に、バチカンと中国当局の間で了解されていた」とし、バチカンの外交官たちは、バチカンと中国当局が長年にわたってお互いに「より深い理解とより深い敬意」を持って関係を育てて来たと信じていると語る一方、「明らかに(中国側の対応)すべてが、中国の国内政治の文脈で行われている …したがって、私たちが出来ることは限られている」と付け加えた。

 ギャラガー外務局長は、EWTN とのインタビューで、「現在、他の司教の任命について交渉が進めらている」ことを認め、バチカンとして、今後も対話を続ける意思があると述べた。また、中国との関係を「数か月、あるいは数年単位ではなく、もっと長い時間の中で考えており、今後、より正常で、実りあるものに願っている。私たちは、善良なカトリック教徒は中国の善良な市民になり得る、と信じるところから出発している」と語った。

2023年3月16日

*中国カトリック教会「一会一団」が指導者合同会議を開催-「習近平思想に導かれ、中国共産党大会の精神を完全に実施」を確認

(2023.2.18 中国天主教ニュース)

 2月16日の朝、第2022回中国カトリック「一会一団」の第2023回指導者合同会議が北京で開催。全国宗教団体指導者の春節フォーラムでの中国共産党の中央政治局常務委員会メンバー、王滬寧氏と、中国共産党中央委員会の政治局メンバーで同党中央委員会の統一戦線工作部の責任者である石泰峰・部長の演説を学び、「中国カトリックの『一会一団』の作業概要」を共有、本年の重点を審議し、採択した。

 合同会議は、中国カトリック司教会議会長の沈斌司教と中国天主教愛国会会長の李山司教が主宰し、中国共産党中央委員会統一戦線工作部の関連指導者が出席。「王滬寧が国家宗教団体担当の責任者の立場で春節フォーラムに出席し、石泰峰・部長が『一会一団』を訪問して調査したことは、党中央委員会が中国カトリックの『一会一団』活動を重視していることを十分に示した。 常任委員の王滬寧氏と石泰峰・部長の演説は先見の明があり、意味合いが豊富で、方向性を指摘し、将来の仕事の青写真を描いた」とし、「われわれは、演説の精神の本質と豊かな意味合いを誠実に研究し、理解し、演説の精神に従って自己構築を強化し、愛国心と宗教愛の旗を高く掲げ、橋の役割を十分に発揮し、わが国のカトリックの中国化のプロセスを促進し続けるべきである。 われわれの政治的地位を絶えず向上させ、思想的理解を深め、識字能力を増強し、倹約を提唱し、浪費を慎むために、われわれは演説の精神を真摯に実践し、真新しい態度ですべての仕事において新しい状況を切り開くよう努めなければならない」ことを確認した。

 会議は2022年の「一会一団」の業績を完全に確認し、「一会一団」は「新時代の中国の特色ある社会主義に関する習近平思想」に導かれ、「中国共産党の全国代表大会の精神を完全に実施」し、「習近平総書記の宗教活動に関する重要な発言を深く研究し、理解」し、「カトリック活動の中心に密接に焦点を当て、全体的な状況に奉仕し、愛国心と宗教の旗を高く掲げ、教会の独立と自己管理の原則を遵守し、中国におけるカトリックの中国化の方向性を堅持し、宗教を包括的に厳格に管理」し、「崇費と贅沢の控えに関する共同イニシアチブ」の関連活動を積極的に実施するなど、すべての作業をしっかりと推進することで一致した。

 会議では、2023年は中国共産党全国代表大会の精神を完全に実施する最初の年であり、中国カトリック教会の全国代表大会の召集後の最初の年でもある。

 会議は、「一会一団」がデモンストレーション、ガイダンス、リーダーシップの役割を果たし、「自己教育、自己管理、自己規律を強化」し、「カトリック分野の悪い雰囲気を断固として修正」し、効果的に抑制し、未解決の問題を修正および改革し、「規則と規制を改善し、組織システムと管理モードを改善し、「内側の刃の勇気と石から水を滴下する粘り強さ」で宗教の包括的かつ厳格な管理を推進」し続け、中国のカトリックの健全な継承を保護するべきであると強調しました。 「一会一団」の仕事は、常に正しい政治的方向性を堅持し、わが国のカトリックの中国化のプロセスを深く促進し、グループ自体の建設と才能の育成を強化し、懸命に、堅実な仕事をする精神で、中国の愛国心と宗教の原因に新しい章を書く必要がある、ことも確認した。

*「カトリック・あい」注:中国天主教愛国会( Chinese Patriotic Catholic Association=中国愛国天主協会)は本部を北京市に置く、中国政府・共産党公認の団体で、中国天主教主教団(中国カトリック司教会議)と合わせて、中国カトリックの“一会一団”と呼称される。バチカンは未公認。このもとに、雑誌とニュースサイト『中国天主教』、聖書、宗教書なども編集、出版、発信されている。

2023年3月1日

・ニューデリーで2000人のキリスト教徒が、インド全土での迫害に抗議のデモ(Crux)

 

(2023.2.22  Crux  Contributor  Nirmala Carvalho)

   ムンバイ発 – インドの首都ニューデリーで19日、2000 人を超えるキリスト教徒が集まり、全国のキリスト教徒に向けられた暴力と差別に抗議する異例のデモ、集会を行った。

 主催者は、1947年に国家の独立が宣言されて以来、キリスト教徒が首都で、このような抗議集会を開いたのは5回とわずかだが、今回の行動は「キリスト教徒への迫害と差別の強まりに強いられたものだ」と説明している。

 キリスト教徒に対する迫害を監視する超宗派監視団体、キリスト教連合フォーラム(UCF) によると、2022 年の1年間に 21 州で 598 件のキリスト教徒に対する暴力事件が発生。8年前の 2014年の4倍に急増している。その内容は、脅迫、暴徒による暴力、性的なものを含む残忍な暴行、礼拝所の破壊、教会の閉鎖、信徒の社会的排斥、死者の埋葬の拒否、改宗に関する虚偽の報告、反改宗法に基ずく強制的な改宗など、多岐にわたっている。

 また、キリスト教徒が迫害に最も遭っているのはウッタル プラデーシュ州 (人口 2 億人の国内で最も人口の多い州) で 186 件、これに次いでチャッティースガル州が 132 件、ジャールカンド州が 51 件、カルナータカ州が 37 件、タミル ナードゥ州が33件となっている。

 抗議集会の主催者によると、19 日の抗議行動は、右派のヒンズー民族主義政党 BJP を代表するナレンドラ モディ首相率いる中央政府と、国の最高裁判所および市民社会に注意を向けさせるのを目的としていた。会場となったのは、18 世紀に建てられた有名な天体観測施設ジャンタル・ マンタル前の広場。

 バプテスト教会評議会、ユナイテッド ペンテコステ派教会 – 北東インド、マニプール福音ルーテル教会など、約 79 のキリスト教団体が抗議に参加し、抗議者たちは、キリスト教徒を標的にした憎悪と暴力に対する追悼を象徴する黒い腕章をつけて参加した。

 UCF の報告書はまた、昨年、反改宗法に違反し、キリスト教への改宗を強要したとして起訴されたキリスト教徒は74件でうち56件がウッタル プラデーシュ州、また逮捕者が最も多かったのも同州で332 人。続いてカルナータカ州で 40 人、マディヤ プラデーシュ州で 21 人、ウッタラーカンド州で 17 人に上っている。

 集会で、UCFののマイケル・ウィリアム会長は、「今日、私たちは、チャッティースガル州、ジャールカンド州、マディヤ プラデーシュ州、ウッタル プラデーシュ州、カルナタカ州、その他多くの場所でキリスト教を信仰している同胞の苦悩を分かち合うことを希望し、ここジャンタル マンタルに平和に集まりました。 私たちには信教の自由という基本的人権の最も基本となる権利が奪われている。私たちは結束して立ち上がり、インド大統領に覚書を提出する予定です」と語った。

 また、ニュー・ライフ・チャーチのバスカー牧師は、「抗議行動はインド政府に信教の自由を約束させることを目的としています。インドの憲法によれば、私たちが信じていることを実行し、公言する自由が認められている。ところが、キリスト教徒の殺害が多発し、キリスト教への改宗を強要した疑いもかけられている。私たちは政府に保護を求めているのです」と述べた。

 ジャーナリストで人権活動家のジョン・ダヤル氏も「政府は私たちを裏切った。カルナータカ、チャッティースガル、ジャールカンド、ウッタル プラデーシュなど、いくつもの州でキリスト教徒の共同体を標的とした攻撃が行われている。このことを認めるよう政府に求めたい」と批判、最近の迫害の事例として、キリスト教徒の埋葬地使用の拒否、日曜日の祈祷会の最中に教会への攻撃、ヒンズー教への改宗強要と拒否した者の村からの追放などを挙げている。

 

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

 

2023年2月23日

中国天主教愛国協会と中国天主教司教会議について公式説明

(2023.1.17 中国天主教)

中国カトリック愛国協会について、

リリース時間: 2014-05-30 著者:

中国カトリック愛国協会は 1957 年 8 月 2 日に設立されました。 それは、全国のカトリック司祭と信者で構成される非営利の愛国的で宗教的な大衆グループです。

ご存知のように、新中国の建国当初、中国のカトリックはまだ植民地状態にあり、教会を管理する権利は外国の宣教師の手にありました。 教会を浄化し、福音を広めるために、中国のカトリックの愛国的司祭たちは、中国のカトリック反帝国愛国運動を下から上まで開始しました。

1950 年 11 月 30 日、四川省広源県の 500 人を超えるカトリック信者が、王良左神父が率いる「広源カトリックの自立と革新運動宣言」を共同で発行し、「新しい教会を設立する」という考えを提案しました。それは、自律的で、自立的で、自己増殖的です。」 この宣言は、国の多くの地域でカトリック教徒によって反響されました. 1950 年から 1956 年末にかけて、全国に 200 を超える地元の愛国団体が設立され、全国的な愛国団体である中国カトリック愛国協会を設立する条件が整いました。

1956 年 2 月、中国人民政治協商会議第 2 委員会の第 2 回会合に出席した司教、司祭、信者、および特別に招待された代表者数名は、国務院書記長の習仲勲が主宰するシンポジウムに参加した。 シンポジウムでは、誰もが1955年の反帝国愛国運動と反革命運動の後、カトリック社会の愛国者、特に高級聖職者がさまざまなイデオロギー的制約から解放され、愛国意識を高めたと信じていました。 国家愛国団体設立の条件が整い、その時が来ました。

1956 年 7 月 19 日から 25 日まで、中国カトリック愛国協会準備委員会の準備会議が北京で開催され、36 人のプロモーターが会議に出席した。 会議は満場一致で中国カトリック友好協会の発起人会議の提案を承認し、中国カトリック友好協会大会準備委員会の準備室を設立した。 準備委員会の準備会議の後、周恩来首相は、翌日、中南海の自光閣で開催された会議に出席した世界中の司教、司祭、信者を迎え、自信を持って教会を運営するよう奨励した。

周首相は、「教会が神学校をうまく運営し、能力と道徳的誠実さの両方を備えた司祭を育成することを願っています。財政的な問題があれば、政府はそれを解決するために最善を尽くします。」 周首相のスピーチは参加者を勇気づけました。

1957 年 2 月 12 日から 16 日まで、中国愛国カトリック愛国協会イニシエーター(拡大)会議が北京で開催されました。 瀋陽教区のPi Shushi大司教が招待されました。 会議は、中国カトリック愛国協会を設立することを決議した。

1957 年 7 月 15 日、北京の新橋ホテルで中国カトリック代表会議が開催され、全国 26 の省 (市、自治区) から 241 名の代表 (実際には 237 名) が参加しました。 その中には、11 人の司教、4 人の使徒的首相、58 人の代理司教、代理司教、84 人の司祭、1 人の修道士、9 人の修道女、74 人の平信徒がいます。 8月2日、閉会式が行われました。 すべての代表者は満場一致で「中国愛国カトリック協会の憲法」を可決しました。

憲章は、「協会は中国のカトリック司祭と信者で構成される愛国的で宗教的な大衆組織である」と規定しており、その目的は「全国の司祭と信者を団結させ、愛国心の精神を推進し、社会主義の建設に積極的に参加することです。祖国と様々な愛国運動のために、世界平和を守り、政府が信教の自由の政策を実施するのを支援する.同日に可決された「中国カトリック代表会議の決議」は、「祖国と教会の未来のために、中国のカトリック教会は古い中国の帝国主義を完全に変え、私たちの教会に植民地と半植民地の国家を与え、独立を実行し、中国の司祭と信者自身によって運営されなければなりません.祖国の利益と独立した尊厳を守るために、私たちはバチカンの聖座と純粋に宗教的な関係を維持します.法王に従います.」

中国カトリック愛国協会の副会長、事務局長、副事務局長、および常任委員会のメンバー。 瀋陽教区の毘淑子大主教が、中国愛国カトリック協会の初代会長に選出された。 会議終了の 2 日後、人民日報は「カトリック反帝国主義愛国運動の発展」と題する社説を掲載した。

社説は、「中国のカトリック教徒は、中国で独自のカトリック教会を運営するすべての権利を持っている」と指摘し、「この中国のカトリック代表会議は非常にうまく開催され、カトリック教徒の政治的意識をさらに向上させ、将来の愛への努力の方向性を決定した」と指摘した。国を愛し、教会を愛してください。」

1962年に第2回中国カトリック全国代表大会が開催された際に、名称を「中国カトリック愛国協会」に変更し、それ以来使用されています。

 

中国天主教主教团について

 发布时间:2014-05-30作者:

1980 年 5 月 23 日から 30 日にかけて、第 3 回中国カトリック全国大会が北京で盛大に開催されました。 これは非常に重要な会議であり、中国のカトリックが文化大革命後の包括的な回復と再建の段階に入ったことを示しています。 この会議は、第2回中国カトリック代表会議から18年離れたものであり、「ギャングオブフォー」の粉砕後、カトリックコミュニティの最初の壮大な会議です。

この会議で、中国カトリック司教会議と中国カトリック教務委員会が設立され、当時は「二会一派」と呼ばれていた。 この二つの教務組織の設立は、教務の発展を促進する上で非常に重要な役割を果たしてきました。 宗懐徳司教が愛国協会の会長に選出され、張家樹司教が司教会議の初代会長に選出された。

この会議では、聖職者の後継者を養成するために中国カトリック神学哲学アカデミーを設立することも決定され、「全国カトリック司祭と友人への手紙」と「カトリック司祭と友人への手紙」を発行しました。台湾”。 その後、教務の発展の必要性から、1992年に開催された第5回中国カトリック信者全国代表大会で、全国の組織構造が調整され、元の3つの組織(つまり、「2つの協会と1つの連隊」)が調整されました。

カトリック司教会議と中国カトリック愛国協会の 2 つの機関である学務委員会は、教務を専門とする司教会議の下の委員会に調整されました。 中国のカトリック教会はこれまでに全国代表大会を8回開催し、そのたびに愛国協会と主教会議の憲章を時代に合わせて修正する必要があった。

2010 年 12 月に北京で開催された第 8 回中国カトリック代表会議で、改訂された「中国カトリック愛国協会の憲法」によると、中国カトリック愛国協会の目的は次のとおりです。

共産党と社会主義体制の指導の下、国家の憲法、法律、規則、政策を遵守し、愛国心と教会愛の旗を高く掲げ、独立と自己の原則を堅持する。政治、経済、教会事務の管理、国家主権と教会事務の自治、社会主義の擁護 社会に適応するため、教育事務組織が教会の民主的運営の精神に基づいて司牧伝道に良い仕事をするのを助ける教会; 祖国の統一、国家の統一、社会の調和、宗教の調和を維持し、世界平和に貢献するために、全国の司祭と信者が経済的および社会的発展を促進する上で積極的な役割を果たすように導きます.

「中国カトリック司教会議」は、このグループの目的を次のように規定しています。

第二バチカン公会議の精神を尊重し、信仰の宝庫を維持し、聖霊によって与えられた恵みを用いて福音を広め、聖なる宗教を広め、政治的、経済的、政治的、政治的、政治的、政治的活動における独立と自己管理の原則を遵守する.社会主義社会に適応するために国家の主権と教会の自治を維持し、全国の司祭と信者を団結させて指導し、憲法、法律、規制、政策を遵守し、経済的および社会的促進に積極的な役割を果たします。

祖国の統一、国家の統一、社会の調和、宗教の調和、世界を守ること 国、社会、人類の幸福を増進するために平和に貢献する」信仰と福音宣教の原因である使命は、主イエス・キリストによる使徒の派遣と聖霊による使徒のエンダウメントに基づいている.力を与え、司牧的使命を果たし、ペテロの後継者との交わりを維持する信じられ、行動されるべきである教義と正典の面で総主教;協会の組織では、それは中国のカトリック代表会議に責任があります.」中国のカトリック司教会議は当初設立されました。

現在、中国には 97 のカトリック教区があり、約 60 人の司教または副司教がいます。 40 近くの教区にはまだ司教がいません。 したがって、中国のカトリック教会の司教を選出するという課題は依然として急務です。

2023年1月17日

・「第18回東京-北京フォーラム」全体会議・パネルディスカッションー「厳しい世界情勢、日中はどういう存在になるべきか」

(2022.12.7 言論NPOニュース)

 言論NPOと中国国際伝播集団が主催する「第18回東京-北京フォーラム」は12月7日(水)、日本と中国をオンラインで結び開幕。午前の開会式と基調講演に続いて、「世界の平和と国際協調の修復に向けた日中両国の責任~日中国交正常化50周年で考える」と題するパネルディスカッションが行われました。

 「ロシアのウクライナ侵略後の世界の平和秩序をどのように修復するのか」、さらには「北東アジアの台湾海峡での懸念が高まる中で紛争を避けるために宮本.jpgはどうすればいいのか」という国際社会が直面する難題について、東京と北京、上海の3カ所から両国の有識者8人が1時間半にわたって活発な議論を交わしました。

 冒頭、日本側司会を務める元駐中国大使の宮本雄二氏(宮本アジア研究所代表)が「ロシアのウクライナ侵攻、台湾海峡問題、世界経済の競争と分断に陥る中、国際社会は極めて厳しい十字路に直面している。世界の未来にとって日中両国はどういう存在になるべきなのか」と問題提起しました。

cyo.jpg 中国側司会の趙啓正氏(元国務院新聞弁公室主任、中国人民政治協商会議第11 期全国委員会外事委員会主任)も宮本氏の主張に賛意を示した上で、12月7日に北京・人民大会堂で開催された江沢民元国家主席の追悼大会に言及。「江沢民氏は中日関係に大きな期待を寄せていた。国交正常化50年で数多くの関係者が両国の関係改善に努力した。『朝日新聞』論説主幹で北京で亡くなった若宮啓文氏が『日本海に荒波があって、どうやって同じ船に乗ることができるのか』と書かれたが、百年に一度の大変革の時代に真摯に向き合うべきだ」と語り、議論がスタートしました。

 

 

*「中日協力でチェンマイ・イニシアチブの実体化を推進すべき」

朱.jpg 中国元財政部副部長の朱光耀氏は、1980年代から現代に至るシビアな国際金融市場環境に触れた上で、東アジアにおける経済危機に対応することを謳った2000年5月のチェンマイ・イニシアチブ(CMI)の重要性に言及。「中日両国が協力してチェンマイ・イニシアチブの実体化を推進すべきだ」と訴えました。

 

 

*「中国指導者が『天の下の道理を尊び 民を慈しむ』方向に進むか注目」

五百旗.jpg歴史ある「アジア調査会」会長など要職を務める五百旗頭真氏(兵庫県立大学理事長)は国交正常化50周年、来年の友好条約締結45周年の節目を迎える一方で、両国の政治環境が改善されないことに懸念を表明。「中国は世界の運命」の方向性を握っていることから、為政者は「天の下の道理を尊び 民を慈しむ」方向に進むかどうか、国際社会が注視しているとの見方を示しました。

tei.jpg 前中国駐日本大使の程永華氏(中日友好協会常務副会長、中国人民政治協商会議第 12 期全国委員会外事委員会委員)は世界経済の「頓挫」や「新冷戦」「覇権主義」などが懸念される現状について、歴史上「百年に一度の変化が起きている」と分析。その上で「21世紀はアジアの時代」であり、戦略的互恵関係やRCEP(地域的な包括的経済連携)協定の重要性を改めて唱えました。

河野.jpg

 

 

*「消えた”戦略的互恵関係”、日中防衛交流の早期再開が必要」

 

国際安全保障の専門家である河野克俊氏(前自衛隊統合幕僚長)は「第一次安倍政権─福田康夫政権時代の『戦略的互恵関係』が最近全く使われなくなった」と指摘した上で、ウクライナ戦争において、ロシアの「核使用」に対して中国側が明確に反対を表明したことなどを評価。国際的に懸念が高まる台湾海峡問題に関しても「尖閣諸島国有化を経て日中間の防衛交流が2013年以降途絶えている」として、早期再開の重要性を求めました。

中国国際戦略研究基金会上席研究員の張沱生氏は、台湾海峡問題を巡って米国の関与が強まっていることを念頭に「冷戦がアジア地域にやってきそうだ」と不快感を表明。同時に日中関係が悪化した理由について①相互信頼の弱体化②グローバリゼーションの進展③パンデミック④歴史認識──などに起因する問題を挙げて、「新しい大国関係をつくらねばならない」と主張しました。

 

*「日中の共通項は経済に。両国共通の土俵づくりを」

 

宮本.jpg 司会の宮本氏が「日中の共通項は経済にある」との認識を示し、元日銀副総裁の山口廣秀氏(日興リサーチセンター理事長)の意見を求めました。

yamaguchi.jpg 山口氏は「今ほど政治と経済を切り離して語れることはそうそうない。各国間の協調によって不安定化を避けている」との見解を示しました。ウクライナ戦争、北朝鮮ミサイル、台湾海峡問題などアンチ・グローバリゼーションを進める不安定要因が山積する中で、日中両国ともに共通の対応を求められると指摘。同時に「中国が改革開放路線を堅持してくれるのかどうか、日本の経済界は心配している」と述べ、両国共通の土俵づくりの構築が重要との認識を明らかにしました。

一連の発言を受けて、改めて宮本氏が「世界や日中が大きな問題を抱えている中で、両国がどのような関係を目指すべきか」と問題を提起しました。

五百旗頭氏は「中国が『核不使用』を表明した意味合いは大きい」と歓迎した上で、最近のゼロコロナ政策にも変化が生じていることに言及。強硬路線から「やや柔らかな路線に移ってきている」として、今後の方向性を注視する考えを示しました。

朱光耀氏は先の発言に続いて、チェンマイ・イニシアチブを念頭に「日中は協力を強化しなければならない」と指摘。その上でマクロ経済、地域政策、サプライチェーンなど各種政策を整理するためにも「今回のフォーラムは有効だ」と語りました。この発言を受けて、山口氏が「世界経済はディスインフレ、デフレからインフレの時代に変わりつつある」と懸念を表明。マクロ経済分野において、日中両国がどのような考えを持っているのか示すことも、世界経済にとって重要になると強調しました。

 

*安全保障分野で日中に意見の相違も明確に

 

また、安全保障分野について程永華氏が「今、わざと相手を敵だとみなす動きがあるが、日中間には平和友好条約がある。さらに交流を深めて対話を進めていくべきだと」と語りかけました。

一方、河野氏は、日本国民の間には尖閣諸島を巡る中国の行動に対して「脅威がある」と指摘。仮に台湾有事が生じれば、「日本の安全保障上対応せざるを得なくなる」と釘を刺しました。

cyo.jpg これに対して中国側司会の趙啓正氏は「中国からすると、日本のロジックは受け入れられない」「米国の空母、偵察機が台湾海峡付近をパトロールしているが、日本の基地からやって来ている。日米同盟も我々に不安を与える」と反論しました。

張沱生氏が「どのような中日関係が望ましいのか」と問題提起し、互恵関係や「一つの中国」原則の遵守などが基本になると指摘。同時にさまざまなレベル・分野での対話の回復をはじめ、APECなど国際的な枠組みでの議論が求められると主張しました。

日中双方の意見が真っ向から対立しそうな気配になったところ、五百旗頭氏が「ウクライナ戦争を終結させるイニシアチブを、日中が共同で働きかけることは重要だ。成熟した大国の雅量を示してほしい」と訴えました。

最後に司会の宮本氏、趙啓正両氏が「対話を基礎としたプラットフォーム」設定の重要性を確認。「まずはこの『東京─北京フォーラム』を大切にしよう」と語りかけて、1時間半にわたるパネルディスカッションは終了しました。

 

 
2022年12月9日