・中国で新しい司教叙階の一方、逮捕され所在不明の司教が少なくとも3人

(2024.2.4 カトリック・あい)

 中国ではバチカンとの暫定合意に従う形で、新年に入って3つの教区で立て続けに3人の司教が新任、あるいは上位の教区への転任がなされたが、その”画期的”な出来事の一方で、新年早々、中国政府・共産党の指示に服さない教皇任命の司教が逮捕・拘禁され、しかもいまだにその所在が不明のまま、という事態が起きている。

 Asia Newsは1月2日付けで、中国東部・浙江省の温州教区長、邵祝敏・司教が、中国当局により逮捕、拘禁されたことを伝えていたが、2月2日付けのLaCroix Internationalによると、2日現在も教区の信徒たちは彼の所在をつかめていない、という。

 邵司教は2011年にバチカンから司教に任命され、2016年に温州教区長となったが、2017年以降、何度か拘禁され、教会の祝日前後に定期的に嫌がらせを受けていた。中国政府・共産党の目には、温州は「激動の」教区であると、あるオブザーバーは述べた。はバチカンの承認を得ているが、政府・党の管理下にある「中国天主教愛国協会」への加盟を拒否している。

 温州教区には約15万人のカトリック教徒がいると言われるが、中国政府・共産党は同教区を”簡易教区”に格下げしたうえ、中国天主教愛国協会の会員である馬仙石・神父を邵司教に代わる教区監督に任命し、教区長の職務を遂行させた。これに邵司教が抗議したのが、今回の逮捕・拘禁となったと見られている。
 

 中国では、現在、邵司教を含め、少なくとも3つの教区で、バチカンが承認している司教3人が行方不明になったまま、という。このうちの1人、河北省の保定教区長だった蘇志民・司教は1996年に逮捕されて以降、消息がつかめず、存命なら91歳になるが、「すでに亡くなっている」ことを懸念する関係者もいる。

 カトリック関係の欧米メディアなどは、今回の邵司教の逮捕・拘禁、所在不明は、司教任命について中国政府と結んだ暫定合意の更新期が今年秋に迫る中で、バチカン側がどのように対応するか注目している。1月になってからのバチカンの中国天主教愛国協会の会員である3人の相次ぐ新司教承認など、バチカン側の”好意的”な姿勢が目立つが、このような中国政府・共産党の”地下教会”司教たちの処遇をいつまで黙認するのだろうか。

 

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2024年2月5日