・中国で改正国家機密保護法が施行ー「何が機密か」が機密、人権や”違法”宗教への弾圧強まるか(BW)

(2024.3.6  Bitter Winter  Hu Zimo) 
 中国全国人民代表大会常務委員会で決定された改正国家機密保護法(中華人民共和国保守国家秘密法)が5月1日に施行される。
 改正法では、中国共産党が国家機密と判断したすべてのものに、処罰の範囲を拡大、漏洩者は、逮捕、投獄され、刑期は数年、場合によっては死刑に処される。だが、何が「国家機密」なのか、その定義自体が「国家機密」であり、中国の国民はもとより、中国で事業を行っている外国企業にとって極めて深刻な問題だ。
 1988年に制定された国家機密保護法は 2010 年に改正され、さらに今回改正された。目的は、国家機密と国家安全保障の保護を強化し、漏洩、スパイ行為、妨害行為を防止すること、とされている。国家機密を「さまざまな分野における国家の安全と利益に関係する事項」と定義しているが、 問題は、大まかなカテゴリーしか示しておらず、何が国家機密なのかが非常に不明確であることだ。 今回の改正では、国家機密の定義を拡大し、実際に情報などが公になった場合、国家の安全と利益に影響を与える可能性がある事項も含めるようにしている。 改正法第 13 条で、「国家の安全と利益に関わる次の事項は、漏洩した場合、政治、経済、国防、外交その他の分野における国の安全と利益を損なうおそれがあり、国家機密とする」とし、 (1)  国政に関する重要な決定における機密事項。 (2) 国防建設及び軍隊活動における機密事項。 (3) 外交・外交活動における機密事項及び対外的に守秘義務を負う機密事項。 (4) 国家経済社会発展における機密事項。 (5) 科学技術上の機密事項。 (6) 国家安全保障活動の維持および刑事事件における捜査の機密事項。 (7) その他、国家秘密保持管理部門が定める機密事項-を挙げ、「 前項の規定に従う政党の機密事項は国家機密に該当する」としている。

 つまり、中国共産党が「国家機密」と判断したものは、たとえ公にされたものであっても、「国家機密」ということだ。 「国政」「社会的発展」「刑事捜査」の”機密”への対処には、人権問題や「違法な」宗教に対する弾圧が含まれる場合があります。 そして、第 13 条の 7 には、中国共産党 がケースバイケースで機密とみなす可能性のある「その他の事項」がある。

 改正法では、国家安全保障委員会、国家機密局、およびその他の関連部門に対し、法の施行の監督および検査、違反を調べ処罰する権限を与え、違反に対する罰則を強化し、処罰の内容は、警告や罰金から懲役、死刑に至るまで多岐にわたる。

 改正法の施行は、中国における表現、情報、コミュニケーションの自由、特にジャーナリスト、学者、活動家、弁護士をさらに委縮させる可能性があり、彼らは仕事においてさらなる制限やリスクに直面する可能性がある。 また、中国と他の国や地域との間の協力や交流、特にビジネス、科学、技術の分野に影響を与える可能性があり、「国家機密」と定義されるリスクのある問題に取り組む外国の団体や個人にとってさらなる障壁や不確実性を生み出す可能性がある。

 あるいは、中国共産党にとって「有害」な情報がソーシャルメディアで共有されたり、「Bitter Winter」を含めて海外で報道されたりするのを防ぐ努力の方が、より重要視されるかもしれない。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。
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2024年3月6日