・国連人権委の特別報告者3人が、中国共産党によるウイグル人子弟の”強制中国化”教育を批判する声明(Bitter Winter)

Deported soon? Uyghur children in Turpan, Xinjiang. Credits. 
Deported soon? Uyghur children in Turpan, XinjiangCredits

(2023.10.4  Bitter Winter   Massimo Introvigne)

 国連人権委員会の特別報告者、フェルナン・ド・ヴァレンヌ(少数民族問題)、アレクサンドラ・ザンタキ(文化的権利問題)、ファリダ・シャヒード氏(教育問題)が4日、連名で、「新疆ウイグル自治区で中国政府・共産党が行っているウイグル族やチュルク系イスラム教徒の子供たちを親から強制的に引き離し、寄宿学校に入れて中国人に文化、言語面で強制同化する政策」を非難する共同声明を出した。

 声明は、中国政府・共産党のこの行為の目的は、「ウイグル人たちの民族的および宗教的アイデンティティを破壊することにある… 子供たちは『人工的な孤児』にされている」と強く非難。

 さらに、「中国政府・共産党が運営する新疆ウイグル自治区の寄宿学校は、ウイグル人などの子どもたちの母国語であるウイグル語による教育をせず、ほとんどが”公用語(北京語)”でなされている。子どもたちは、家族や地域社会から強制的に引き離され、北京語と漢民族の文化に『強制同化』されようとしている」と強い懸念を表明した。

 また、国連は「親が亡命、または逮捕・拘禁されている幼い子供たちを含む、主にウイグル族の子供たちを家族から大規模に連れ去っている」という情報を入手しており、「これらの子供たちは中国当局によって『孤児』として扱われ、全日制の寄宿学校、幼稚園、または孤児院に預けられ、使用される言語はほぼ中国語(普通話)に限られている。彼らは 厳しく管理された寄宿施設に入れられ、両親、大家族、地域社会とのつながりを断たれ、民族の文化的、宗教的、言語的アイデンティティを弱めることになるだろう」と声明は述べている。

 声明に署名した特別報告者たちは、「教師が特定の言語の授業以外でウイグル語を使用した場合も、制裁の対象となる可能性がある」とし、最近、新疆ウイグル自治区で、ウイグル族やその他のイスラム教徒の子供たちのための「寄宿学校の数が急激に増加」していると指摘。 ウイグル語やその他の少数言語による教育が提供される地元の学校の閉鎖も大規模になされており、基本的人権侵害の極めて深刻な懸念を引き起こしている」と強く警告している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。
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2023年10月8日