・教皇、ドイツ司教団に”性的虐待問題”を公明正大に、正直に話し合うことを希望

(2021.6.24  Crux Cindy Woden

Bishop: Pope wants German Catholics to discuss issues openly, honestly

Pope Francis greets Bishop Georg Bätzing, president of the German bishops’ conference, during an audience at the Vatican June 24, 2021. Bätzing said he assured the pope that German Catholics do not want to split from the church. (Credit: CNS photo/Vatican Media.)

 ローマ発—ドイツ司教協議会会長のゲオルク・ベツィング司教が24日、バチカンで教皇フランシスコと会見。その後に発表した声明で、「ドイツの教会は自分の思い通りの道を行くことを望んでいない」ことを教皇に確認した、と述べた。

 声明でベツィング会長は、教皇との話し合いは、「ドイツにおける聖職者による性的虐待事件への対応といくつかの教区における”困難な状況”を中心に、ドイツの教会の現状に焦点を合わせて行われた」とし、性的虐待の被害申し立てへの対応に関する報告を近日中に発表することを明らかにしたうえで、 「教皇はドイツの教会の状況をよくご存じで、”緊張が克服”されることを希望された」と説明。

 また、ドイツの教会の「シノドスの旅」の状況について、教皇に詳細に説明し、「『ドイツの教会が自分の思い通りの道を進みたい』と考えているという噂は真実ではないことを明らかにした」と述べた。

 さらに、ドイツの司教団と全国信徒評議会による、暫定的な”シノドスの道”への取り組みの企画についての決定は、「国レベルの教会会議あるいは本会議と異なり、教会における権力、性道徳、聖職者生活、女性の役割になどのテーマを議論する決定でもなく、一部の人々に、ドイツのカトリック教徒たちが教会の手続きを無視し、分裂に向かってさえいる、との発言をもたらすものだった」と反省。

 「教皇は、私たちに”シノドスの道”を歩み続け、直面する問題について率直かつ正直に話し合い、教会の行動を変革するための勧告をまとめるように、求められ、同時に、2023年の全世界代表司教会議(シノドス)に至る準備に、すべての国のカトリック信徒が貢献するような”シノドスの旅”を助けるように、ドイツの教会にお求めになった」と述べた。

 そのうえで、会長は「私は、リンブルグ司教、そしてドイツ司教協議会の会長としての私の任務の遂行において、教皇に強く励まされた感じている。教皇が、ドイツの教会の状況をよく認識され、問題を言葉で表現される、バランスの取れた理解に感銘しました。教皇は、危機から脱出する私たちの国の教会の歩みに、同行してくださいます」と、教皇への感謝と期待を語った。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2021年6月25日

・性的虐待に関する改定教会法施行へ準備開始」枢機卿顧問団の主要メンバー、グラシアス枢機卿が会見

Cardinal says Church law on abuse will need ‘continuous updating’In a file photo, Pope Francis walks next to Indian Cardinal Oswald Gracias as he leaves the morning session of the extraordinary Synod of Bishops on the family at the Vatican Oct. 9, 2014. (Credit: Paul Haring/CNS.)

(2021.6.15 Crux  Contributer Nirmala Carvalho)

 インド、ムンバイ発ー教皇フランシスコが6月1日に使徒憲章として発表された教会における犯罪処罰を定めた「教会法典・第6集」改定版は12月8日発効する。1983年に犯罪処罰が制定られて以来、初の改訂となるが、教皇を補佐する枢機卿顧問団の主要メンバーで、世界各地の教会における児童保護規定導入を推進する作業部会のメンバーでもあり、今回の改訂にも関わったオズワルド・グラシアス枢機卿(ボンベイ大司教)は、これに関連して、性的虐待に関する教会法の箇所は「継続的な更新」が必要、と強調した。

 改定版には、虐待の問題を扱う「人間の生命、尊厳、自由に対する犯罪」に関する新しい章が設けられた。教会法は現在、性的虐待の罪で有罪となった聖職者などを「職務の剥奪やその他の措置で」罰すること求めており、対象行為として、(小児性愛者が)児童をそうした目的で引き込むことや児童ポルノの保持、閲覧などが新たに追加される。また、改訂版が、性的虐待の相手として、未成年者だけでなく、「imperfect use of reason(理性の働きが不完全)」な人に広げ、また、司祭叙階されていない修道者、一般信徒も罰則の対象となり得る、としている。

 グラシアス枢機卿はCruxとの会見で、「[1983年に教会法へ処罰規定が導入された時、性的虐待はまったく扱われなかった。法律は、時々の要請に応えるために、常に見直しをしていかねばなりません。当時、性的虐待を対象とする必要が感じられなかったが、その後に、多くのことが起こりました」とした。

*聖職者の性的虐待への対処を法制度化した意味

 今回の改定は、前々教皇の聖ヨハネ・パウロ2世が、この問題を真剣に受け止める必要がある、として問題提起をされたのが発端。前教皇のベネディクト16世が、性的虐待行為の報告の義務化を図ったが、教皇フランシスコはさらに、虐待と隠ぺいの防止、被害者のケアなどに具体的な措置を講じて来た。教皇就任後、聖職者の性的虐待、司教たちの説明責任、および虐待の隠蔽に関するいくつかのルールをを決めた。その中で最も重要なのは、虐待の通告義務とそのための制度整備を促す自発教令「Vos Estis Lux Mundi(あなた方は世の光)」で、聖職者による性的虐待に対処するための手順を明確にし、虐待の訴えを受けた際の対応について司教、修道会の責任者に責任を負わせるようにしたものだ。

 枢機卿は、「こうした措置は(注:制度として恒久化するために)教会法に取り込まねばなりませんでした。内容的には、教皇がすでに執行されているので、大きく変わることはありません」としたうえで、今回の教会法改定で重要な点の一つは「 grooming behavior (小児性愛者が児童を性的虐待の目的で引き込む行為)」を処罰の対象として明記したことにあるが、この用語の定義は今後、もっと適切なものに改めていく必要がある、と指摘。

*「grooming」などに用語改善の余地

 「groomingは(犯罪の)準備行為。犯罪の全行程の一部であり、性的虐待の準備と見ることもできます。これまで、そうした行為が意識的、あるいは無意識的になされるのを見てきました。それは”赤信号”です… 法的に見れば、(性的虐待が)行為者の頭の中にあるでしょうが、『子供たちに親切で司牧的でありたい』という気持ちとの区別は難しい。それが、用語を、継続的に更新していく必要のある理由です」と説明した。

  同様に、改定で処罰の対象となる性的虐待の相手として、未成年者とともに明示された「imperfect use of reason(理性の働きが不完全な)」人についても、「これは、精神的に(普通の人よりも)強くない成人を指しますが、この用語も改善の余地があります」と語った。

*インドでは司教団が施行に備え推進本部設置

 改定教会法が12月に実施されるのに備えて、枢機卿のインドでは、同国の司教、司祭などへの周知徹底と未成年者保護推進のために、ムンバイにインド司教協議会の推進本部を開設し、専門のウエブサイトも準備中だ。

 枢機卿は、「関係者のZoomを使用した会合も、私を議長として既に始めています。補佐役は、バチカンの未成年者保護委員会のメンバーでもあるシスター・アリーナ・ゴンサルベスが担当してくれています。ウェブサイトは近隣諸国の教会関係者にも公開します。各教区のこれに関連した組織・制度をどうするのか、虐待被害者をどう助けるのか、など課題は多い。ですから、私たちは、今すぐ、取り組みを始めるのです」と決意を述べている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

2021年6月16日

・教皇、性的虐待隠ぺいのポーランド司教の辞表を受理(La Croix)・日本では?

(2021.5.14  La Croix International staff | Poland)

   教皇フランシスコは12日付けで、ポーランドのビドゴシュチ教区長、ヤン・ティラワ司教に対する教区司祭の性的虐待を隠蔽した訴えに関するバチカンの調査を終え、同司教から辞表を受理した。

 ポーランド駐在のバチカン大使が同日発表した声明によると、バチカン主導して行われた調査の結果、72歳になるティワラ司教が「聖職者による未成年者に対する性的虐待を適切に処理できなかった」と判断されたとしている。

 さらに声明は「正式な報告に続いて、教皇フランシスコの自発教令『Vos estis lux mundi(あなた方は世の光)』に従い、司教の過失に関する手続きを行った」と声明は述べた。2019年に発出されたこの自発教令は、性的虐待を犯した聖職者に司牧を続けさせる司教あるいは修道会会長に説明責任を求める規範と手続きを定めたもの。

 そして「この手続きを完了した後、教区を管理する上での他の困難も考慮に入れ、司教は教皇に辞表を提出した」と声明は経過を説明している。

 教皇は2019年5月に自発教令『Vos estis lux mundi(あなた方は世の光)』を発出、司祭の性的虐待に対して司教や修道会会長の説明責任を求める規範を明確にしているが、その規範適用のポーランド教会高位聖職者だ一号だ。

 ティラワ司教の弁護人、エドマンド・ドベッキ氏は12日、ポーランドの日刊紙Gazeta Wyborczaに、「ポーランドの国会議員や抗議者からの声を受けて、司教はしばらくの間、役務を退くことを考えている」と語った。同紙によると、抗議者たちは司教の住居前で最近まで数回、デモを繰り返している。

 司教は、2004年からポーランド北部のビドゴシュチ教区長を務めてきたが、昨年2月、管轄の教区司祭の一人の性的虐待嗜好を擁護した、として訴えられた。司教は、問題の司祭、パベル・カニアが他の教区で少年を誘惑し、自身のパソコンに児童ポルノ画像を蓄積した容疑で警察に逮捕された後も、擁護し続けた。逮捕以前には、その司祭を信徒の司牧から外すことせず、何度も他教区へ転出させることを繰り返した。司祭は逮捕、起訴され、2015年に7年間の懲役刑に処せられている。

 司祭から性的虐待を受け、訴えていた元祭壇奉仕者の少年は、裁判所での和解のための公聴会で、ティラワ司教に会い、8万ドル相当の損害賠償を受けた。

 同司教は、教皇が発出した自発教令によるルール適用の最初のポーランド教会の高位聖職者となったが、教皇は、それ以前にも、未成年に対する性的虐待で告発された司祭の犯罪を隠蔽したことが明らかになったポーランドの司教2人に厳しい措置を取っている。この2人は、グダニスク教区のSławojLeszekGłódź司教とカリシュ教区のEdward Janiak司教で、昨年3月に引退していたが、2人とも教区長を務めていた教区内への居住継続、教区内での公けの典礼参加を禁じられた。2013年に引退した82歳のビェルスコ・ジヴィツエ教区のTadeusz Rakoczy司教も、この自発教令による新しい手続きの下で調査を受けることになった。

 ポーランドの司教団は2019年に、聖職者による性的虐待についての報告をまとめているが、それによれば、 1990年から2018年までの発生件数は382件、被害者は624人に上っている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

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日本でも、司祭の性的虐待で長崎大司教区などで裁判続く

(2021.5.17 カトリック・あい)

 日本でも、司祭による信徒への性的虐待事件は、欧米に比べれば件数は少ないものの発生しており、教区が訴えられたのは、カトリック長崎大司教区と仙台教区で確認されている。だが、高位聖職者が何らかの責任を取った、あるいは取ろうとている、という話は聞かない。

 すでに、75歳の”司教定年”に達し、他にも教区資金の不正運用が問題にされている長崎大司教は、辞任しても責任を取ったことにならない、責任を持って対処するのが、自らの使命、という、どこかの国の政治家や企業経営者が地位に留まる“言い訳”につかる論法を使っていることを耳にしたことがある。

 長崎大司教区では、「教区司祭から性被害を受け、教区の事後対応でさらに心的外傷後ストレス障害(PTSD)が悪化した」として、長崎県内の女性信徒が大司教区に550万円の損害賠償を求める訴えを起こしており、先週5月11日には長崎地裁で第三回の口頭弁論が行われ、女性側は書面で「大司教区は被害を認め示談したにもかかわらず、女性の名誉を侵害しないようにする注意義務を負った」と主張した。

 訴状などによると、2018年に教区司祭からわいせつ行為を受けた女性に対し、大司教区は翌2019年に賠償金を支払った。だが、高見三明・長崎大司教がその後の内部の会議で「(女性を)『被害者』と言えば誤解を招くので『被害を受けたと思っている人』など別の表現が望ましい」などと発言したとする議事録が別の神父らに配布された。

 女性側代理人によると、大司教区側はこれまで、高見大司教の発言について、「示談の事実を知らない知人記者の言葉を紹介したにすぎない」と主張しているが、女性側は11日の口頭弁論で、大司教区の注意義務を踏まえ「仮に発言を引用しただけでも違法性がある」と反論した、と現地の長崎新聞は報じている。

 

 

彼は1948年11月4日にKuźniceŚwidnickie [1](現在のBoguszów-Gorce)[2]で生まれました。1966年に彼はバウブジフの中等学校第3校を卒業し、中等学校を卒業する試験の証明書を取得しました。1966年から1973年にかけて、彼はヴロツワフのメトロポリタン高等神学校で哲学と神学を学び、1967年から1969年にシュチェチン-ポドユヒでの彼の基本的な兵役の期間中中断しました。は1973年にヴロツワフの神学部で神学修士号を取得ました彼は1973年5月26日に聖大聖堂で司祭に叙階されました枢機卿によるヴロツワフの洗礼者ヨハネ地元の大司教、BolesławKominek。1974年から1980年にかけて、彼はルブリン カトリック大学の神学部で研究を続け、1976年に学士号を取得し、1980年に聖体に関するWojciechNowopolczykを教える論文に基づいて博士号を取得しました。1985年から1986年にかけて、彼はパーダーボルンで奨学金を受けていました[1]

1973年から1974年にかけて、彼は聖教区で牧師および教職員として働きました。スタニスラウスとセント。シュフィドニツァのワクワフ[3]。1988年から1993年にかけて、彼はヴロツワフのコーパスクリスティ教区教区司祭 であり[1]、2001年には最初に管理者であり、次にヴロツワフの聖霊教区の教区司祭でした[4]

1980年から1985年にかけて、彼はヴロツワフのメトロポリタン高等神学校の司祭でした[5]。1980年に彼はヴロツワフの神学部の教義学部で講師になり[5]、そこで教義学科の助教授に就任[1]、1981年から1988年に秘書を務めた[5]。彼はColloquiumSalutisの編集委員会に参加しました[1]

1988年9月24日に、教皇ヨハネ・パウロIIは、彼に任命さの補佐司教 ヴロツワフの大司教区[3]の参照名ばかり ノヴァSinna [6] 彼は1988年11月5日に聖大聖堂で司教叙階されました。ヴロツワフの洗礼者ヨハネ。それらは、ヴロツワフのメトロポリタン大司教であるヘンリーク・グルビノヴィッチ枢機卿によって提供され、ヴロツワフの補佐司教であるタデウシュ・リバクアダム・ディツコフスキーヨゼフ・パズドゥルの支援を受けました[1]。司教の叫びとして、彼は「Crux ave spes unica」という言葉を採用しました(こんにちは、クロス、唯一の希望[7]。1989年に彼は大司教区の司教総代理に任命され[1]。彼は平信徒と若者の牧会に携わり、宗教出版物の検閲者[3]と教会会議を支持する審査官[1]でもありました。彼はに属していた司祭の協議会consultorsの協議会。1989年に彼は大聖堂の章の正典になりました。彼はヴロツワフ教会会議の主委員会の委員長であり、ヴロツワフで開催された国際聖体大会の組織委員会の事務局長でした[3]

2004年2月24日、ヨハネパウロ2世の決定により、彼は2004年3月25日に新しく設立されたビドゴシュチュ主教区の教区主教の事務所に異動しました[8] [9]アングルビドゴシチの大聖堂、彼は教会法教区を引き継いだ、その間は、2004年3月28日に行われた[10] 。2021年5月12日ポーランド教皇庁は、自発教Vos estis lux mundiに従って、聖座に通知しました。彼に従属する何人かの牧師による未成年者の不利益のために性的虐待の事件を実施する際に報告された階層の過失に関する手続きを実施した。取り決めの結果、彼は辞任し、教皇フランシスコに受け入れられた[11] [12]

ポーランド司教会議の一環として彼は「Iustitia et Pax」委員会、文化遺産保護評議会[1]、社会コミュニケーション評議会[3]のメンバーになりました。彼はまた、オーストリアの司教会議との接触のためのポーランドの司教会議の代表、ラジオとテレビのニエポカラヌフのためのポーランドの司教会議の助手としての地位を占めました。さらに、彼はカトリック情報局のプログラム委員会とオポカ財団の監査役会に加わりました。ポーランドの監督制を代表して、彼は中央ヨーロッパのカトリックデーの組織委員会のメンバーにもなりました[3]

2021年5月17日

・カナダ司教団が、聖職者による性的虐待の訴え聞く新制度・・日本の司教団は?

Canada's bishops are helping people report instances of abuseCanada’s bishops are helping people report instances of abuse 

(2021.5.10 Vatican News  Lisa Zengarini) 

 カナダのカトリック司教団が、未成年者や弱い人々を保護する取り組みを強力に進める一環として、信徒たちが聖職者による性的虐待と管轄司教による隠ぺいについての訴えを容易に行うことのできる複数言語による新システムを開始することになった。

 新システムによって、被害者あるいは被害を知った信徒たちは、全国どこからでも、インターネット(BishopReportingSystem.ca)あるいはフリーダイヤル(1-866-892-3737)で訴えをすることができ、機密性の高い安全なプラットフォームClearViewConnectsTMを使用。24時間年中無休で、英語またはフランス語で訴えを受け付ける。

 このシステムは、倫理報告や内部告発のプラットフォームを提供する同国のプロバイダーClearView StrategicPartnersが開発したもの。聖職者によるによる性的虐待、性的違法行為、あるいはそうした報告を受けた管轄の司教の隠蔽についての訴えを受け付け、その内容を、性的虐待問題の責任者に確実に伝えるように設計されている。訴え人は、実名か匿名を選択でき、すべての通信は文書化され、保存される。

*説明責任の強化

 今回の司教団の対応は、教皇フランシスコが2019年に出された使徒的書簡「Vosestis lux mund(あなたは世の光)」を受けたもの。教皇はこの書簡で、全世界のカトリック教区に対して、「(聖職者による性的虐待についての)報告を受けるための、誰もが利用でき、しっかりとして、使いやすいシステム」を一つ以上、導入するように求め、司教が訴えを受けた際の対応についての手順を示していた。

 カナダ・カトリック司教協議会(CCCB)のウェブサイトによると、新報告システムの導入によって、聖職者による性的虐待とその他の性的違法行為について訴えを受け、対応するための既存の手順に追加する形で、カナダの教会指導者たちに、さらなる説明責任をもとめることになる。

 同国の「子供と家族に関する研究センター」のデルフィーヌ・コリン・ベジーナ所長は、今回の司教団の措置について、「被害者優先の対応であり、被害の訴えの開示を妨げる​​複数の障壁を取り除くことを目的としている」とし、「子供や弱い人たちへの虐待を容認しないこと、彼らをそうした被害から守ることを最優先する環境作りに向けた重要な前進」と評価。

 そして、「これまで、聖職者による性的虐待の被害者たちは、黙らせれ、虐待の事実は隠蔽され、虐待の被害者たちの声は聴かれないままにされてきた。今回の司教団の取った措置を歓迎したい。これによって、虐待被害者が癒され、立ち直る機会が増すことを期待します」と希望を表明した。

 カナダの司教団は、今回の新システム導入に当たって、性的虐待の「罪と犯罪」に対処する責任ある姿勢を強調し、「被害者に手を差し伸べ、正義の回復、癒しの促進への道を共に歩む」を約束。改めて、司教、司祭、助祭、修道者、そして信徒たちが被害者にもたらした苦痛について痛悔を表明し、「この報告システムによって、司教たちは誠実に振る舞い、教会法と民法に従って性的虐待の報告に対して説明責任を果たします」と強調している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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 日本では、数年前に司教団が全国の聖職者による性的虐待に関する調査をしたものの、その内容は、極めて不完全で、結果に対す対応についても、通り一遍のものしかされずに現在に至っている。しかも、司教団のトップを務める大司教が管轄する長崎教区での女性信徒への被害については、訴えられた司祭が、警察から取り調べを受け、虐待容疑で送検されたものの、不起訴処分になったことに安心したのか、その女性を心理的に苦しめる発言をしたために、民事の損害賠償を求める動きになっている。

 仙台教区でも、女性の被害者から訴えが起こされている、と伝えられている。それ以前にも、東京の某修道会の故人となった司祭が、当時少年だった男性を性的虐待を働いたとして、被害者から訴えられているが、これらいずれに対しても、当事者の教区、修道会から明確な謝罪もないまま、「説明責任を果たす」には、ほど遠い状態が続いている。

 コロナ禍が長引く中で、多くの信徒のこの問題への関心も薄らいでいることを”奇貨”として、放置したまま、忘れ去らせようとしているかのようにさえ、見える。だが、このような無責任ともイエス、誠実さを欠いた対応が、教会の指導者たちへの信頼を低下させ、教会離れを加速することになることを、懸念せざるを得ない。

2021年5月11日

・フランス司教団が聖職者による未成年性的虐待対処方針ー被害者ケア、再発防止へ決意表明(LaCroix)

(2021.3.29 La Croix  France Christophe Henning)

 フランスのカトリック司教協議会が3月下旬開いた春の定期総会で、聖職者による未成年者と幼児に対する性的虐待に対する長期的な対処方針を決定した。過去の性的虐待の具体的な案件を調査し、被害者をケアし、再発を防止する具体策を着実に進めるのが狙いだ。

 総会後の3月26日に記者会見した司教協議会会長のエリック・ド・ムーランボーフォール大司教(ランス教区長)は、「我々は被害者の言葉を真剣に受け止めねばなりません」と語り、被害者との会合が性的虐待との戦いへの決意を強めてくれた、と述べた。また、その決意を具体化するために、「小児性愛の予防と戦いのための評議会」を設置することを明らかにした。

 大司教は、今回の決定に至るまで、虐待被害者たちが自分たちの苦しみを超えて、虐待の事実を述べるなど協力してくれたことに、司教団を代表して謝意を述べる一方、これまで教会が司祭によってなされた行為を認識せず、そうした事実を把握する方法を知らなかったことについて、司教団が反省していることも認めた。

 今回決定した対処方針では、司教たちは性的虐待の事実を確認した場合、司法当局に通知し、加害者に法的措置を取る一方で、被害者をケアする義務を伴う責任を負う、とし、教区が被害を認定し、民事手続きを受けた被害者に対しては金銭的補償もすることを明記した。補償金支払いのための基金は、司教、司祭、助祭、一般信徒たちからの献金を原資とし、寄付当初、500万ユーロ(約6億5000万円)程度の規模だが、将来、増額を見込んでる。

 被害者・犠牲者を忘れないための常設の場所も設けることとし、ルルドが有力だ。教皇フランシスコの発案による「教会における性的暴力、権力乱用による被害者のための祈りの日」は、毎年の四旬節第三金曜日とする。

 専門家によるネットワークも「小児性愛の予防と戦いのための評議会」のメンバーで構成し、青少年と関係するすべの教会の委員会や奉仕活動団体には、未成年保護を確実にするための担当者を置く。また、全国組織として、相談や訴えを受けるチームを発足させる。

 また、全国レベルでの措置を合理的なものとするため、司教団は、「犯罪や違反行為の取り調べと判決の決定には専門的知識が求められる」ことから、教区を超えた教会法上の処罰のための裁判所の設置について希望を表明。さらに、性的虐待に関わるか有罪となった司祭の警戒と支援のユニット創設も決めた。

 フランス司教協議会は、以上のような聖職者による性的虐待への対処方針に加えて、小児性愛に対する戦いについて、フランス全国の信徒たちへの書簡をまとめた。その中で司教協議会は「私たちの教会は、いつも安全な”家”であるとは限らなかった… 信徒の人生を踏みにじり、苦痛を与えてしまったこともありました」と謝罪し、今回の対処方針が「信徒の方々の中から被害者を出さないように、被害に遭われた方々をケアすることを狙いとしており、内容な控えめだが、私たち司教団を、将来に向けて責任をもつようにさせるものとなります」と約束している。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

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2021年4月1日

・聖職者による性的虐待報告受け、ドイツのカトリック大司教が辞意

(2021.3.19 カトリック・あい)

2021年3月19日

・フランスでは聖職者による性的虐待被害者が1万人にのぼる可能性(LaCroix)

(2021.3.4 LaCroix   Céline Hoyeau | France)

 フランスのカトリック教会における性的虐待に関する独立委員会(CIASE)は4日までに、1950年にさかのぼって3000人の被害者を特定していることを明らかにしたが、同国の週刊誌 l’Obs news magazineによると、最終的にその数が1万人に達する可能性がある、と見ている。だが、「大きな問題は、その何パーセントが被害を立証できるかです。25パーセントか10パーセントか、それとも5パーセント以下か」とCIASEのジャン・マルク・ソーべ委員長は被害の立証の難しさも認めている。

 CIASEの調査は、バチカン国務省の協力を得て、バチカンやフランスのカトリック各教区に保管されている資料なども丹念に調べ上げてまとめられたもので、1つの教区だけが調査への協力を拒否した、という。

 これまでの調査によると、特定された虐待被害者が被害に遭った時期は、大部分が1950年代から1960年代にかけて。それ以降は、1970年代が18パーセント、1980年代が12パーセント、1990年代が7パーセント、2000年代に入ってから現在までは9パーセント弱だ。また被害者の約30%は現在70歳以上の高齢になっている。

 また被害者の性別は、男性68パーセントに対して女性は32パーセント。被害者の87パーセントが、被害に遭った時点で未成年だった。87パーセントの年令別は30パーセントが6歳から10歳、35パーセントは11歳から15歳。当時すでに成人になっていた被害者の33パーセントは神学生あるいは若い聖職者だ。

 CIASEでは今年9月末までに、全体の調査・分析結果をまとめ、これまでの作業の経過についても説明する予定という。

 フランスのカトリック司教団は、このほど開いた臨時総会で司教団全体としての、各司教個人としての責任を認識したが、ソーべ委員長は「聖職者による性的虐待という問題には、個人としての過ちや失敗以上に、全体としての教会共同体社会と同様に『教会の権威』の失墜ー見たくも知りたくもないものーがあります」と指摘する。

 「性的虐待は本質的に個人的なものであるだけでなく、われわれ委員会が指摘することになる制度的側面があります… われわれは、カトリック教会の機能において、その統治において、その教えにおいて、何が性的虐待を正当化してしまうのか、促進してしまうのか、しないのかを理解しようとしているのです」。

 委員長は、CIASEの最終報告に盛り込む、調査結果・分析に基づいた提言として、時効は成立した、あるいは加害者が死亡した性的虐待犯罪に対する修復的司法(犯罪に関係する全ての当事者が一堂に会し、犯罪の影響とその将来への関わりをいかに取り扱うか集団的に解決するプロセス)の適用、教会法上の手続きにおいて、被害者に大きな役割をもたせることによって加害者である聖職者を罰する手段を、教会の司法当局を付与、などを考えていることを明らかにした。

 また、「性的虐待がもたらす損害は、個人的にも集団的にも、金銭的な賠償だけで解決できない、特にそれが被害を黙っていることを条件とするようなことがあってはならないことを、関係者が認識するように、被害者たちは強く求めている」と語り、「被害者への償い」と「被害者に正義をもたらす強力な行動」の必要性を強調。「深い、一人ひとりが関わる運動の中で、被害者の苦しみを理解しなければ、私たちは、被害者を癒し、和解する展望を開くことができません」と述べた。

 フランスの司教団は、3月末の春の定期総会でこの問題についての具体的な行動を決めるか、それとも、CIASEが今秋に予定する最終報告書の発表を受けて判断するのか、まだ決めていない。いずれにしても、CISEの最終報告書には、司教団が2000年以降これまでにとった措置についての査定結果が盛り込まれることになるだろう。

 さらに、ソーべ委員長は、マクロン大統領が1月に性的暴力に関する政府委員会を創設したことで、「国としての賠償措置を含む性的虐待撲滅の対策推進の土台が出来た」ことを強調した。

 これは言い換えれば、フランスの教会が実施を決めたこの問題に対する財政的な措置は、一般社会での性的虐待の被害者への賠償について政府の勧告が出た場合には、それに従う必要がある、ということだ。ソーべ委員長は、司祭による性的虐待を、社会全体の性的暴力についての幅広い枠組みの中に位置づけおり、フランスの社会全体で見た場合、女性の20パーセント、男性の8㌫が性的暴力の被害で苦しんでおり、その大半が被害を受けた時に当時未成年者だったことが、統計で明らかになっている、と述べた。

 そして、「性的暴力は、大きな社会現象であり、無数の行為を通しての人に対する攻撃が、意識的に、あるいは無意識的に、沈黙のうちに、全世界的な規模で起きています。だが、この問題への教会の取り組みは、進んでいる。カトリック教会は、避けて通ることのできない、辛く、時間のかかるこの仕事に、勇気をもって取り組んでいます」と教会の取り組みを評価した。

 フランス政府は、性的暴力に関する委員会を設立したばかりだが、こうしたソーべ委員長の姿勢に刺激を受ける可能性が高い。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

LA CROIX international is the premier online Catholic daily providing unique quality content about topics that matter in the world such as politics, society, religion, culture, education and ethics. for post-Vatican II Catholics and those who are passionate about how the living Christian tradition engages, shapes and makes sense of the burning issues of the day in our rapidly changing world. Inspired by the reforming vision of the Second Vatican Council, LCI offers news, commentary and analysis on the Church in the World and the world of the Church. LA CROIX is Europe’s pre-eminent Catholic daily providing quality journalism on world events, politics, science, culture, technology, economy and much more. La CROIX which first appeared as a daily newspaper in 1883 is a highly respected and world leading, independent Catholic daily.

 

2021年3月9日

・「被害者への謝罪、そして『命の福音』を言葉と行いで証しする聖職者の義務を再確認」菊地大司教、7日にミサ

(2021.3.5 カトリック・あい)

  3月5日の「性虐待被害者のための祈りと償いの日」に、菊地東京大司教が5日付けの「司教の日記」に以下の言葉を書かれた。

 3月5日は「性虐待被害者のための祈りと償いの日」であります。聖職者による性虐待の罪に赦しを願い、被害を受けられた方々の心の癒しのために祈り、同じ過ちを繰り返さない決意を新たにするために、教皇フランシスコは、全世界の司教団に向けて、「性虐待被害者のための祈りと償いの日」を設けるように通達されました。

 日本の教会では「四旬節・第二金曜日」と定めました。東京教区では、次の日曜日、四旬節第三主日のミサで、この意向のもとにミサを捧げることにしております。東京カテドラル聖マリア大聖堂では関口教会のミサとして、7日午前10時のミサを、わたしが司式してこの意向を持って共にお祈りいたします。

 教皇ヨハネパウロ二世は、「人間の命を人間自身が自由意思の赴くままに勝手にコントロールできるのだ」という現代社会の思い上がりを戒めながら、そういった現実を「死の文化」とよばれました。そして教会こそは、蔓延する死の文化に対抗して、すべての命を守るため、「命の文化」を実現しなければならない。そう強調された教皇は、回勅「命の福音」の冒頭に、こう記されています。

「命の福音は、イエスのメッセ-ジの中核に位置します。教会は、命の福音を日ごと心を込めて受け止め、あらゆる時代、あらゆる文化の人々への『良い知らせ』として、あくまでも忠実に宣べ伝えなければなりません」

 危機にさらされる命の現状、教皇ヨハネパウロ二世が指摘する「死の文化」が支配する現実の中で、教会こそは、「命の福音」を高く掲げる務めがあることを自覚しなければなりません。

 その教会にあって聖職者には、神の賜物である尊厳ある命を守るために最善を尽くす義務があり、「命の福音」をその言葉と行いを持って証しする義務があります。

 残念ながら、その模範たるべき聖職者が、とりわけ性虐待という他者の人格を辱め人間の尊厳を蹂躙する行為に及び、命の尊厳を貶め、命の危機を生じさせる事例が、世界各地で過去にさかのぼって多数報告されています。また司教を始めとした教区の責任者や、修道会の責任者が、聖職者の加害行為を隠蔽したり、その被害を過小評価した事例も、多数指摘されています。

 日本の教会も例外ではありません。被害を受けられた多くの方々に、心からお詫び申し上げると共に、教会は命の光を生み出す存在となる務めがあることを、改めて心に刻みます。(なお東京教区の対応については、教会の中の性的被害に対応 | カトリック東京大司教区 ウェブサイト (catholic.jp)をご覧ください

(編集「カトリック・あい」)

2021年3月6日

・バチカンは、性的虐待の”刑事裁判”で枢機卿を調べられるか?(Crux)

(2021.2.26 Crux Editor John L. Allen Jr.)

Will the Vatican investigate a cardinal implicated in its own abuse trial?

2016年2月10日の灰の水曜日のミサで、教皇フランシスコの頭に灰をしるすアンジェロ・コマストリ枢機卿 (Credit: L’osservatore Romano/Pool Photo via AP.)

*原告側証人が聖ペトロ大聖堂首席司祭だった枢機卿の「不作為」を証言

 ローマ発–2月24日、バチカンで現在進行中の異例の性的虐待に関する裁判が波乱含みの展開を見せた。それは、教皇フランシスコが手を付けたバチカン改革が実際にいかに深刻であるかを語る多くのものを含んでいるのかも知れない。

 24日の公判では、3人が原告側の証人として立ち、「前週の20日に聖ペトロ大聖堂首席司祭、同大聖堂管理局責任者およびバチカン市国教皇代理を辞任したばかりのアンジェロ・コマストリ枢機卿が、バチカン敷地内にある小神学校で起きた性的虐待の被害者からの告発を知りながら、何も対応しなかった」と証言したのだ。

*バチカンにある小神学校で10年前に起きた性的虐待

 この証言の真偽は厳密に検討する必要があるが、メリットは批判的に検討されなければならないが、少なくとも、それはコマストリ枢機卿を取り調べる根拠になり、結果は今後の展開によるとしても、過失を成立要件とする刑法上の罪に問われることになり得る。

 そしてこれは、単にコマストリ枢機卿の聖職者としての地位に関わる教会法上の裁判ではない。裁判で取り上げられている犯罪はバチカンそのものの中でなされたものであり、仮に枢機卿が誤ったことをしたということであれば、それは、バチカン自身の法制度で、私人同士の法的紛争を裁く「民事訴訟」を扱う、ということになる。

 これまで、バチカンの法廷で高位聖職者が刑事犯として起訴されたことはなく、多くのバチカン関係者は、バチカンの法制度が枢機卿のような高位の人物の行為を公判であからさまにするのを防ぐように作られているのかどうか、疑いの目で見ている。コマストリ枢機卿について何の反応もなければ、その印象は変わらないが、制度が機能すれば、多くの関係者は、ついに真の改革がなされた、と結論付けるだろう。

 要するに、この事件の核心は、当時、バチカンの敷地内にある聖ピオ十世小神学校の生徒で、現在は司祭になっているガブリエレ・マルティネリが、実名が公表されない「LG」というイニシアルの生徒を性的に虐待した、という告発にある。2人は、起訴の対象となっている2007年から2012年に、いずれも未成年で、「LG」は容疑者よりも一歳、年下だった。もう一人の被告は、性的虐待があったとされる時期に小神学校の校長を務めていたエンリコ・ラディス神父で、その性的虐待の事実を隠ぺいした罪に問われている。

 聖ピオ十世の小神学校はバチカン関係者の間ではよく知られている。バチカン市国の中にあり、聖ペトロ大聖堂での教皇ミサで祭壇奉仕する少年たちはこの学校の生徒だからだ。

*被告の現司祭は虐待を否認するが、起こるべくして起きた校内の実態

 この性的虐待は2017年に、以前、前教皇ベネディクト16世の時代にバチカンの機密漏洩を暴いたことのあるイタリアのジャーナリストが「Peccato Originale(原罪)」という、この事件の告発本を出したことで、明るみに出た。

 バチカンの裁判所は、すでにマルティネリ自身から話を聞いているが、彼は性的虐待について強く否定し、小神学校関係者の”進歩派”と”保守派”の内部争いが、自分が被疑者にされた背景にあることを示唆している。

 24日の公判では、検察側の4人の証言が行われ、問題とされている年の小神学校での生活について好ましいとは言い難い内容を語った。

 証人の一人、小神学校で2010年から1年間を過ごしたアレッサンドロ・フラミニオ・オッタヴィアーニ氏は、同性愛についての冗談や言及、同性愛の傾向があると思われる特定の生徒たちに女性のあだ名をつけたり、同性愛者と見なされる「バチカンの枢機卿や司教たち」を軽蔑するような話をしたりするなど、「心理的な圧力に満ちた、不健全な環境」に囲まれていた、と述べた。

 2009年にわずか1か月で神学校を去ったクリスチャン・ギレス・ドンヒ氏は、ローマ教皇庁の関係者に関するものを含めた「とても酷いうわさ話」や、身体的な外見や女性のような特徴を持つ生徒を笑いものにするなど、「耐え難い」経験をした、と話した。

 マルティネリの告発者「LG」に対する性的虐待を直接目撃したする者は、証人4人の中にいなかったが、彼らは皆、マルティネリは「同性愛的な振る舞い」をし、それが生徒たちの間で嘲笑的な話題になっていたことや、彼が生徒たちに性的に不適切な接し方をしたり、陰部に触れるなどの振る舞いをしたりするのを目撃したことを、宣べたてた。

 また、マルティネリが、自分がラディス校長のお気に入りだったのをいいことに同僚の生徒たちの間で権力をふるい、神父が小神学校の活動の様々な分野の運営を彼に任せたことから、”小さな司令官”と呼ばれていた、と語る証人もいた。

*「枢機卿は、被害者の訴えを知っていた」と3人が証言

 一連の証言で特に注目を引いたのは、4人のうち次の3人が、「コマストリ枢機卿は、小神学校に関する問題、特に、マルティネリとLGに関する訴えも知っていた」と証言したことだ。

・ドンヒ氏は、コマストリ枢機卿が、ラディス校長を辞めさせようとする動きを「理由にしている内容は嘘だ」として制止し、そのような枢機卿の振る舞いに驚いた、と小神学校を管轄するコモ教区の幹部から告げられた、と語った。

・オッタヴィアーニ氏は、マルティネリに対する訴えをコマストリ枢機卿に知らせた後、ヤルツェンボウスキーが枢機卿の事務所を去るのを見た、と述べた。

・聖ペトロ大聖堂で聖歌隊の指導者を務め、小神学校の生徒と頻繁に付き合いのあるピエール・ポール神父は、聖ペトロ大聖堂の首席司祭だったコマストリ枢機卿の補佐役を務めたヴィットリオ・ランツァーニ神父が、「カミルとL.G.について知っていた」と述べた。

 コマストリ枢機卿が24日の公判の4日前に聖ペトロ大聖堂首席司祭などの役職を解かれたことを考えると、教皇フランシスコは何が起きるかを事前に知っておられて、そうなさったと考える誘惑にかられるが、いずれにせよ、法的な対応なしの、公式な説明なしの辞職は、教皇とその側近たちが言明している教皇による改革の核心にある「完全な透明性と説明責任の遵守」からほど遠いものだ。

*そして、”ボール”はバチカンのコートにある

 公平のために言うと、コマストリ枢機卿がこの小神学校にいかなる責任を負っていたのか、まったくはっきりしない。小神学校は、 “Opera Don Folci”と呼ばれる修道会を創設したジョバンニ・フォルチというイタリア・コモ出身の司祭によって始められたのだが、修道会、教区、バチカンの三者が、この小神学校の管理運営についてどのように関与するのか、あいまいだ。

 25日の証言で、現在、コモ教区長を務めるオスカー・カントーニ司教は、2017年にコマストリ枢機卿と会った際、枢機卿は「バチカンは聖ペトロ大聖堂での生徒たちの奉仕のみに責任を持ち、小神学校の内部的な運営には責任がない」と語っていた、と述べた。

 現在までのところ、我々が手にしているのは、コマストリ枢機卿あるいはその部下が性的虐待の訴えについて知っていた、とする3人の、裏付けのない証言だけ。枢機卿が正確に何を知っていたのか、その情報をもとにどうしたのか、は明らかにされないままだ。

 これはまさに、バチカンの司法当局によって正式に取り調べることで対処べき問題だ。

 結局のところ、バチカンは、透明性の公約にいさかかの面目を施すために「マルティネリ裁判」の完全公開に踏み切ったのだ。だが、その代償として、バチカンは、裁判の過程でもたらされる情報をもとに行動すると、実際に見られねばならない。たとえそれが、「枢機卿に至る道」に見えるとしてもだ。

 今、ボールはバチカンのコートにある。そして、今後の展開は、バチカンがどう対応するかに、かかっているのだ。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2021年3月1日

・(評論改)「性的虐待被害者のための祈りと償いの日」に何もしない司教団?

 聖職者による性的虐待の”絶滅”を悲願とする教皇フランシスコが提唱して始まった「性的虐待被害者のための祈りと償いの日」は、日本では四旬節の第三金曜日、3月5日だ。

 だが、5日になっても、日本の司教団は、中央協議会のホームページの「子供と女性の権利擁護のためのデスク」のページに、祈りなどの動画と、5年前に司教団が出した「性的虐待被害者のための祈りと償いの日」設定にあたってのメッセージを再録したのみだった。同ページの「イベント」をクリックすると、出て来たのは、一見、今年の行事のように見えるが、詳細を確かめると、なんと2018年の行事。愕然とした。

 3年も前の「予定」が消さずに放置されている、という無神経さ、関心のなさ。これが今の日本の教会の少なくないリーダーたちの「心のなさ」を象徴しているように思えてならない。

 司教協議会会長の高見大司教は、当日5日になっても、この日について、ご自分の長崎教区のホームページにすら何の言及もなかった。

 東京教区の菊地大司教は、5日に誠実なメッセージを出され、7日には祈りと償いのミサをされるが、それ以外の教区はどうなっているのだろうか。

*聖職者による性的虐待防止は、「取るに足らない問題」ではない

  教皇は、この問題で一昨年2月に全世界司教協議会会長会議を招集、「聖職者による性的虐待防止は、決して取るに足らない問題ではなく、教会の使命の不可欠な部分でなければならない」との認識を、全世界の司教の代表に共有させ、真剣な取り組みを約束させたはずだった。

 会議を受けて、教皇は同年5月に自発教令Vos estis lux mundiを発出。司教や修道会の上長が聖職者や修道者の性的虐待について上部機関への報告を怠ったり、隠ぺいしたりした場合の、教会法の規範に従った措置を明確にするとともに、世界の各司教協議会に対して「聖職者による性的虐待・隠ぺい防止の新規範」の策定・実施を求めた。また、同年12月、聖職者による性的虐待の関する事案を「秘密」にする教皇特権を廃止した。

 「会議に参加した各国の司教協議会の会長たちは『自分たちの国はそのような問題はない』と考えていたのが、実際にそうではなかったことに気づき、この問題に真剣に取り組むことを約束してくれた。そうした認識は、高位聖職者だけでなく、司祭や一般信徒にもいえることだ」とバチカンの未成年者保護委員会のハンス・ゾルナー神父(グレゴリアン大学未成年者保護センター長)はVaticanNewsに語っている。

*日本の司教団としての取り組みに真剣さがうかがえない

 だが、本当にそうだろうか。この会議には、日本からも司教協議会会長の高見・長崎大司教も参加し、会議後に「世界で起きているさまざまな性的虐待に教会は本来立ち向かっていかなければいけない。世論を高め、専門的な知識を結集して、改善に取り組みたい」とも語っていたが、それから二年経った今も、一般信徒の目に見えるような進展があったようには見えない。

 教皇が自発教令で世界に司教協議会に求めた「聖職者による性的虐待・隠ぺい防止の新規範」は、米国など主要国の司教協議会では、昨年までに新規範の決定、新たな具体的取り組みが始まっている。

 日本の場合は、公表されている司教協議会報2021年1月号によれば、昨年11月の常任司教委員会で「本常任司教委員会の諸意見に基づいて修正した『未成年者と弱い立場におかれている成人の保護のためのガイドライン』(案)を 12 月の臨時司教総会で全司教に提示し、このガイドライン作成に至った経緯と内容について周知を図る。その後、諸意見をもとにガイドラインを整え、2021 年 2 月の司教総会で確定できるよう準備を行う」ことで合意した、となっていた。

 会報2月号では、「 『子どもと女性の権利擁護のためのデスク』事務局会議が 昨年 12 月 4 日に開かれ、同月 10 日の臨時司教総会勉強会のテーマ「聖職者による未成年者への性虐待に対応するためのガイドライン」の提出資料の確認を行った。なお、ガイドライン案についての経緯と内容について事務局が説明することになった」とあったが、同月10日に開かれた臨時司教総会に関する会報の記述には、この件については何も書かれていない。

 ガイドラインを確定するとされていた定期司教総会は2月15日から5日間開かれたが、2月26日現在、中央協議会ホームページには、総会の結果ほもちろん、開催されたこと自体、報じられていない。司教団の名で発表されるメッセージなどは、すべての司教の賛同が必要で、年に三回の総会の機会にしか決議されないというが、3月5日の「性的虐待被害者のための祈りと償いの日」まで、あと一週間という26日になっても、何も発表されないということは、司教団として何の進展もない、ということなのだろうか。

*聖職者による性的虐待アンケート結果発表から一年で何が

 「性的虐待被害者のための祈りと償いの日」の司教団の軽視は今に始まったことではない。一昨年の着手からとりまとめに一年近くもかかった「聖職者による未成年者への性虐待の対応に関するアンケート」の結果は、当然、昨年のこの日、3月13日までに発表されると見た教会関係者も少なくなかったが、実際に中央協議会ホームページに掲載されたのは約一か月後の4月7日。

 しかも、その内容は、「昨年2月末日の時点で全16教区ならびに全40の男子修道会・宣教会、55の女子修道会・宣教会から回答を得た結果、『聖職者より性虐待を受けた』とされる訴えは16件が報告され、内訳は1950年代1件(女子)1960年代5件(女子1件、男子3件、不明1件)1970年代1件(男子)1990年代3件(女子2件、男子1件)2000年代3件(女子1件、男子1件、不明1件)2010年代2件(女子1件、男子1件)で、残り1件は被害があったが詳細は不明」「加害聖職者は、教区司祭(日本人)7名、修道会・宣教会司祭8名(外国籍7名、日本人1名)、他一名は不明(外国籍)。加害を認めた件数が4件、否認した件数が5件、不明が7件」。加害聖職者の措置(事件発覚時)は、職務停止は2件に過ぎず、退会も1件のみ。異動で済ませたものが8件(国内外含)、ほか5件は不明、という、はっきり言えば、極めて甘い、いい加減と思われる、取りまとめ結果だった。

 「本調査によって訴えがあがってこなかった教区・修道会・宣教会においても、『被害がない』という短絡的な捉え方をするべきではない。被害者が安心して声を上げられる環境かどうかを見直し、教会全体として、性虐待・性暴力根絶に向けた、たゆまぬ努力が必要である」としていたが、具体的にどのような工程表を作り、形だけでない内実を伴った取り組みをしようとしているのか、各教区に何を期待するのか、全く明らかにされていなかった。

 それは、一年後の今に至っても変わらない。各教区には、この問題での相談窓口は設けられているが、このような対応では、心に痛手を受けた信徒がアクセスをするだろうか。まして、以下に述べるような長崎教区のようなことがあれば、なおさらのことだ。

*長崎大司教区の対応は…”心”が欠けている

 そもそも、日本の司教協議会の会長であり、2019年2月の全世界司教協議会会長会議にも日本代表として出席した高見大司教が管轄する長崎大司教区で、女性信徒が司祭からわいせつ行為を受け、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したという問題が未だに解決されないどころが、女性への心無い対応がさらに問題を深刻化させている。

 この問題は、教皇フランシスコが訪日された一昨年11月直前に、通信社の報道で明らかになり、「長崎大司教区は問題の神父について、聖職を停止したが、教区の信徒たちに処分を公表せず、不在の理由も『病気療養中』とだけ説明しいる」と報じられていた。

 昨年8月になって、大司教区は賠償金を支払うことで女性と合意したと言われていたが、その後の大司教区内の会議で、髙見大司教が「(女性を)『被害者』と言えば加害が成立したとの誤解を招くので『被害を受けたと思っている人』など別の表現が望ましい」と発言したとする議事録が神父らに配布され、それを知った女性は「被害を前提に示談したにもかかわらず、被害がなかったかのような表現にショックを受け、症状が悪化した」として、大司教区に損害賠償を求める裁判を起こした。

 長崎地裁で1月26日に第一回口頭弁論が行われたが、地元の長崎新聞が報じた女性側の代理人の話によると、大司教区側は、答弁書で「髙見大司教の発言は、報道機関の記者が発言したことを紹介したにすぎない」と反論、請求の棄却を求め、真っ向から対決する姿勢を見せているという。

 高見大司教は、一昨年の世界司教協議会会長会議から、帰国2か月後の2019年4月に東京で開かれた「施設内虐待を許さない会」主催の「カトリック神父の子どもへの性虐待! 日本でも」と題する集会に参加し、その席で、有力月刊誌「文芸春秋」昨年3月号の調査報道記事「カトリック神父『小児性的虐待』を実名告発する “バチカンの悪夢”が日本でもあった!」で実名を明らかにしていた性的虐待被害者の男性に面前で謝罪していた。だが、この問題についても、その後、何ら具体的な対応をしておらず、それに怒りを感じた男性が中心になって、昨年6月に「カトリック神父による性虐待を許さない会」を発足させる原因を作った。

 聖職者による未成年を中心とした性的虐待は欧米の教会を中心に深刻な問題を投げかけ続けている。膨大な件数の告発を受けている米国の教会では、損害賠償額が日本円にして数百億円以上に上っていると言われ、賠償金が払いきれずに財政破綻する教区も出ている。そうした状態に比べれば、日本は微々たるもの、大したことはない、という心理が働いているのかもしれない。

 だが、性的虐待で相手を心身共に傷つけることは、件数で判断できるものではない。性的虐待を働いた司祭はもとより、それを報道されるまで認めようとせず、厳正な対処を怠った上位の聖職者、二重の精神的被害を受けたとする女性の損害賠償請求訴訟に、棄却請求で応じる教区の態度には、首をかしげざるを得ない。

 「性虐待被害者のための祈りと償いの日」設定にあたって、日本の司教団が日本のカトリック信徒宛てに、2016年12月に出した声明では、「すべてのキリスト者とともに、傷ついた被害者の方々の悲しみと苦しみを理解し、彼らの癒しと回復のために、慈しみ深い神に祈り、また、全世界の教会がこの困難な状況を乗り越えるために、神からの恵みと力づけを祈りましょう。私たち日本の司教は、聖職者、修道者、信徒のみなさんとともに、日本においてこのようなことが起こらないよう、重ねて自らを正し、教会の刷新に励んでいきたいと思います」と決意表明をしていた。

 だが、その後、現在に至る以上のような動きを振り返れば、まったく説得力に欠けることは明らかだ。

*祈りだけでなく行動、”不都合な真実”を避ける教会文化を変える努力が必要

 その司教団の代表である司教協議会会長の高見・長崎大司教は2021年の”年頭教書”と題する大司教区の信徒宛てメッセージのタイトルを「『すべてのいのちを守る教会』を目指して」とし、「一昨年、わたしたちは、教皇様のご訪問に励まされて新たな一歩を踏み出そうとしました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、不安や心配の中、ミサや教会行事などへの参加は制約され、カトリックセンターの宿泊事業は閉鎖に追い込まれ、大浦天主堂の拝観者数は激減するなどしました」とし、冒頭からコロナによる打撃について列挙したものの、それへの対応努力については言及がなく、司祭の性的虐待問題には一言も触れていない。

 この問題と並行して昨年表面化した教区司祭による総額2億5000万円の無断の投資、貸し付けで、教区の会計規模としては莫大な額の損失を発生させている問題についても、当初は「監督者として責任を痛感する…可能な限り修復に努める」と責任を認めていたにもかかわらず、このメッセージでは「教区会計上の重大な問題などにも皆が心を痛めました」とまるで他人事のような表現だ。

  さらに言えば、最大の問題にされているコロナ禍への対応でさえも、日本の教会のトップとしての役割をこの一年果たしてこられたとは、残念ながら言い難い。これでは、すべてのいのちを守る教会」というタイトルも、説得力の持ちようがないだろう。

 バチカンの未成年者保護委員会のハンス・ゾルナー神父は先のVatican Newsとの会見で、聖職者による未成年者などへの性的虐待を根絶するためには「祈りだけでなく、行動。行動だけでなく、教会そのものの”文化”を変える努力も必要」と強調している。

 日本の教会とそのリーダーに求められているのは口先の謝罪や祈りではなく、心の底からの祈り、そのうえでの行動。そして、”権威”を背景に”不都合な真実”を避けて通ろうとする、教会の”文化”を変える努力ではなかろうか。

 

(「カトリック・あい」南條俊二)

 

2021年2月27日

・性的虐待の責任は加害者個人以外どこまで問えるかー仏の専門家に聞く(LaCroix)

(2021.2.23 LaCroix Christophe Henning)

 聖職者の性的虐待が引き起こした世界的な教会の危機に対処するため、教皇フランシスコが全世界司教協議会会長会議を招集してから2年経った。その結果などを受けて、世界各国の司教協議会では様々な取り組みを進めているが、フランスの司教協議会もこのほど、その一環として、この問題に関する司教たち自身の責任について振り返るオンライン会合を実施した。彼らの課題の一つは、性的虐待を犯した者の個人としての罪と、教会を構成する者の共同責任の間の境界をどのように引くのか、だ。LaCroixが、フランスのイエズス会が発行する Étudesの副編集長で哲学者のNathalie Sarthou-Lajusに話を聞いた。

 一問一答は以下の通り。

問:性的虐待の責任は、実行犯以外にも問えるでしょうか?

答*自己の行動に対して責任が生じる、というのが原則ですが、(すべきことを)しなかったことに対しても責任を問うことができます。責任が生じる核心にあるのは”関係”です。

問:今、司教たちは、性的虐待の被害者、さらに信徒たちに何を語ることができるでしょう?

答:責任とは「道徳的な負い目」です。司教たちには、被害者の痛み苦しみを認識し、償いをする義務を負っています。それは単なる個人的問題ではありません。司教たちは、その職務上、責任を負い、説明する責任を負わねばなりません。その責任の範囲はとても広い。法的責任にとどまらない、道徳的な責任があります。裁判官は私に、何に責任があるのか尋ねますが、道徳的な問題に責任があるのか。それには、引き起こされた苦しみを認識していることが必要となります。

 「無過失責任」(私法上の概念で、損害の発生について故意・過失がなくても損害賠償の責任を負うことをいう)という考え方が出てきています。官僚型組織に関わる特定の状況では、原因のもつれと行為の相互関係が、個々人の責任の特定を困難にし、責任が問えなくなることがあります。

問:過去の世代に関しては「歴史的な過ちに対する悔い改め」があり、将来の世代に対しては「環境への責任」があります。集団、団体などは、どうやってそうした責任を認識できますか?

答:共同責任の難しさは、特定できる外見がなく、個人の責任を問うことができなくなる可能性があることです。ですから私は、個人でなく、人々のネットワーク全体の責任の共有という捉え方がいいと思います。罪に問われるのは、一連の人々の関わりの結果だからです。このことは、個人的責任を問わないことで作られた官僚的な制度の非道な組織に問題を提起します。

 これまで、それぞれの人は罪を認めるか認めないか、あるいは、単に黙っているかしなければなりませんでした。否定を克服し、行為の深刻さを真に全体として認識する方向に進み、共同責任を果たす必要があります。

 意識も集合的でなければなりません… 同時に全ての人が関与し、特定の人は関与しないような責任というものを考えるのは、とても難しい。道徳的責任は個人的なものです。ハンナ・アレントは、集団的責任のこの問題のある概念の例として、ナチのユダヤ人大量虐殺の責任を問われたアドルフ・アイヒマンの1961年のエルサレムでの裁判を挙げています。ナチスの兵士が個人的な責任を取ることを拒否することと、ドイツの若者たちが抱く過度の集団的罪悪感の両方が、個人的な責任の現実逃避をもたらすゆえに、道徳的に非難される、と語っています。

 自分が本当に犯した悪に責任を感じるよりも、他人が犯した悪に責任を感じる方が簡単です。私たちの集団、私たちの国、私たちの宗教のメンバーの行為に対して、連帯をもとに責任を感じることができるのは事実です。でも、どこまで連帯の範囲を広げるべきなのか?私たちの祖先の過ちを償わねばならないのか?それは間接的に個人を巻き込むだけの責任です。

 

問:共同責任はむしろ、集団に所属することから生じるものなのですか?

答:責任には、いくつかのレベルがありますが、集団あるいは共同体の代表者だけに責任を負わすべきではありません。BostonGlobes紙主催の賞を受けた、聖職者の性的虐待に関する映画「Spotlight」で語られて台詞を思い出します。「子供を育てるのに村が必要とするなら、彼らを虐待するのに村が必要だ」と。性的虐待の責任についてキリスト教信者が抱く感覚は、司教たちと同じ立場に自分を置き、あるいは自分が属する修道院生活で責任を分かち合う機会だ、ということです。「私たちは共同体から離れることによってのみ、政治的な純粋の共同責任から逃れることができる」とハンナ・アレントは言っています。

問:集団での悔い改めという現象についてどう思いますか?

答:集団的な認識と態度の変化をもたらすなら、それは、行われた悪についての認識と記憶にとって重要な象徴的価値をもちます。集団的な悔い改めを公けに行うことは、陳腐な演劇的な表現になる可能性があるので、どう考えたらいいのか、微妙ですね。悔い改めは、悪を犯した者の代理人と犠牲となった人との対人関係においてのみ、道徳的な意味を持ちます。なぜなら、それは、変わることを心から希望し、悔い改めた加害者の変容を意味するからです。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

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2021年2月26日

・バチカン敷地内の小神学校の性的虐待事件の危機は透明化の”報酬”(Crux)

(2021.2.12 Crux Editor John L. Allen Jr.)

  Students at the Pre-Seminary of St. Pius X serve a papal liturgy. (Credit: Screen capture.)Abuse case at Vatican pre-seminary captures risk, reward of transparency

 ローマ発ーバチカン敷地内の聖ピオ小神学校で起きた未成年性的虐待事件について審理を担当するバチカン刑事裁判所は10日、昨年10月以来4回目の公判を開き、被告の一人、ガブリエレ・マルティネリ神父の反対意見を聴いた。

 神父は、第二バチカン公会議が決めたミサ典礼への自国語の使用に未だに反対する動きを背景とした小神学校の司祭たちの”派閥対立”のあおりで”冤罪”を帰せられた、犯行があったとされる寮の構造から、舎監などに知られずに犯行がされることはあり得ない、など、無罪を主張した。

 小神学校は、イタリアのコモ教区が運営しているが、施設そのものはバチカンの敷地にあり、神学校に進む教育を受けるために11歳から18歳の少年10人余りが宿舎に寝起きし、聖ペトロ大聖堂で教皇がささげるミサの侍者を務めている。

 裁判で被告となっているのはマルティネリ神父とエンリコ・ラディス神父の2人。前者は、2012年より前に、聖ピオ小神学校で、神学生として生徒たちを教えていた時、未成年の生徒に性的虐待を働いたとして、後者は同校の校長として虐待を助長し、幇助したとして、それぞれ起訴されている。

 現在28歳のマルティネリ神父は2017年に司祭に叙階され、現在は高齢者向けの医療施設でチャプレンとして奉仕しているが、性的虐待を起こしたのは、原告被害者と共に小神学校に在籍した2007年から2012年の間とされている。

 この時期は、すでに世界中、特に欧米で聖職者による未成年者性的虐待と高位聖職者のこれを隠蔽しようとする対応が大きな問題となり、バチカンも真剣に問題に対処を初めた時期に当たる。しかも、教皇のおひざもとのバチカンの敷地内で起きた問題、ということで、大きな注目を集めている。

 神父が所属するコモ司教区は、2013年に被害者から告発状を受け取り、独自の調査を実施し、「主張には根拠のないことが証明された」との結論を一方的に出した。だが、これに納得しない被害者が教皇フランシスコに直接、嘆願書を送り、教皇は、裁判で真実を明らか伊にするようバチカンの担当部門に指示し、昨年秋から裁判が始まった。

 裁判は今後、3月に原告の弁論、裁判官らの現地調査、公開聴聞などを経て、結審となるが、どのような判決が出るのか。裁判を強く望まれた教皇が判決を受けて、どのような対応をされるか、注目される。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。

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2021年2月14日

改・3月5日は「性虐待被害者のための祈りと償いの日」

(2021.2.12 カトリック東京大司教区)

 カトリック東京大司教区の皆様へ 2021年「性虐待被害者のための祈りと償いの日」について

 神を信じるわたしたちには、神の賜物である尊厳あるいのちを守るために最善を尽くす義務があります。残念ながら、その務めの模範たるべき聖職者が、とりわけ性虐待という人間の尊厳を辱め蹂躙する行為におよんだ事例が、世界各地で、過去にさかのぼって多数報告されています。なかでも保護を必要とする未成年者に対する性虐待という、卑劣な行為を行った聖職者の存在も明らかになっています。

 加えて司教をはじめとした教会の責任者が、聖職者の加害行為を隠蔽した事例も、少なくありません。日本の教会も例外ではありません。

 教皇フランシスコは、聖職者によるこのような問題に教会が全体として真摯に取り組み、その罪を認め、ゆるしを願い、また被害にあった方々の尊厳の回復のために尽くすよう求めておられます。そして特別の祈りの日を設けるようにと指示されました。日本の司教団は、日本における「性虐待被害者のための祈りと償いの日」を、四旬節・第二金曜日と定めました。

 2021年にあっては、来る3 月5日(金)がこの「性虐待被害者のための祈りと償いの日」にあたります。

 東京教区の各小教区共同体にあっては、この日、またはその直後の日曜日に、教皇様の意向に従ってミサを捧げてくださるようにお願いいたします。そのミサにおいては、『ゆるしの奉献文』が使用されることといたします。またこの意向を持ってのミサが主日など他の日に捧げられる場合でも、3月5日当日には、祈りの時を持つことも勧められています。なお共に唱えるための祈りが新潟教区訳で準備されています。

 また東京カテドラル聖マリア大聖堂では、3月7日(日)午前10時の関口教会主日ミサをこの意向を持っての大司教ミサといたします。祈りを共にしてくださるように、お願いいたします。

 無関心や隠蔽という教会の罪を認めるとともに、被害を受けられた方々に心からお詫び申し上げます。同じようなことが繰り返されないように、信仰における決意を新たにし、愛のうちに祈り、行動したいと思います。

カトリック東京大司教区 大司教 菊地功

<参照>「性虐待被害者のための祈りと償いの日」共同祈願例文

 いつくしみの主である神よ、教会に集う私たちが、被害に遭われた方の痛みに寄り添い、共に癒しの道を歩めるよう導いてください。

 加害者が謙虚にその過ちを認め、被害に遭われた方とその家族に誠実に謝罪することができるよう、光と力をお与えください。

 仕えるために来られたキリストに従い、人々への奉仕の道を歩むことを選んだ聖職者たちが、その使命を全うすることができるよう導いてください。

 神の民である私たちが良心に目覚め、弱い立場におかれている子どもや大人を守り、連帯し、キリストの福音を告げる使命を全うすることができますように。

(カトリック中央協議会 子どもと女性の権利擁護のためのデスク 作成)

的虐待被害者のための祈り」

 天の父よ、あなたは、あなたのすべての子どもたち、特に最も小さく弱い子どもたちを愛し、心にかけておられます。性的虐待を受け、信頼と純真の心を傷つけられてしまった、自分を守ることのできない多くの子どもと大人たちをあなたに委ねます。

 私たちが彼ら、彼女らの苦しみの叫びに耳を傾け、損なわれた多くの人生に寄り添い、責任ある行動を取っていくことができますように。

 被害を受けた方々が、仲間や家族からの理解と支えを受け、あなたの恵みによって傷が癒やされ、平安に生きることができますように。

 聖霊の交わりの中で、あなたとともに世々に生き、罪を除いて私たちと同じ弱さを身にまとわれた御子、私たちの主、イエス・キリストによって。アーメン。

(教皇庁児童を守るための委員会作成 新潟教区訳)

 

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(2021.2.22 カトリック・あい)

 なお、日本の司教団は2016年に、以下のようなメッセージを出している。その後更新されてはいない。また、この後、現在までの動きを見ると、形式的、制度的な整備は進められたものの、それが本当に、意識の面も含めて、被害者の訴えを聴き、誠実に応えるような形になっているのかについては、疑問がある。最近の性的虐待に関する長崎教区などの具体的問題への対応を見る限り、目立った成果が出ているとは言い難いようだ。

  「性虐待被害者のための祈りと償いの日」設定にあたって   日本のカトリック信者の皆様へ

はじめに
教皇フランシスコは、全世界の司教団に向けて、「性虐待被害者のための祈りと償いの日」を設けるように通達され、日本ではこの日を「四旬節・第二金曜日」にいたします。
第一回目は、2017年3月17日(金)になります。司教団としては、その直前の2017年2月の司教総会中に、性虐待被害者のいやしと償いの意向でミサをささげることにしています。
「祈りと償いの日」は、四旬節の金曜日という回心にふさわしい日としましたが、同時に象徴的な日でもあります。それぞれの教区司教の呼びかけに従って、四旬節の間、あるいは前後の日曜日などを使って、祈りと償い、被害者の痛みを学ぶ機会を作ってくださるようにお願いします。

教皇フランシスコの意向
2002年、米国のボストンで聖職者による子どもへの性虐待事件が報道され、世界各地で同様の事件が明るみに出ることになりました。
教皇フランシスコは、教皇庁に新しく「児童を守るための委員会」を設立し、教皇自らがこの問題に真剣に取り組む姿勢を示されると同時に、全世界の教会がこの問題に真摯に向き合うように促しておられます。そして全世界の司教協議会に対して、子どもに対する教会のメンバーの責任について明確に意識できるように、神により頼む日として、「性虐待被害者のための祈りと償いの日」を設定するよう指示されました。

 教皇の意向は、以下の諸点に要約されます。
1. 教会のメンバーによって、また家庭や教育現場において行われた、子どもへの性虐待の罪について、神からのゆるしを願うこと。
2. これらの重大な犯罪が、教会のメンバーによって行われたことを公に認めること。
3. 教会の権威者たちが、虐待の加害者を秘匿し、被害者の痛みを無視した罪について、神のゆるしを願うこと。
4. 被害者のケアをする責任は、教会のメンバーとしてすべての人におよぶことを、皆が認識できるよう恵みを願うこと。
5. 被害者とその家族のために神のいやしと支えを願い、教会がその人々の内的いやしと和解の歩みに有効に寄り添うことができるよう祈ること。
6. 虐待の被害者から何らかの反応があった場合、特別な司牧的な配慮をもってすぐに応えるようにすること。

日本の司教団として
日本司教団は、2002年、聖職者による子どもへの性虐待の事例の調査を行いました。その結果、日本でも同様の事件は存在することが分かり、この事実を受けてメッセージを出すとともに取り組みを始めました。
2002年6月には、「子どもへの性的虐待に関する司教メッセージ」を発表しました。そこでは、「性虐待は、無防備な子どものからだ、たましいに傷を負わせる恐ろしい犯罪であること、日本でも不幸にして聖職者、修道者による性虐待があったことが判明したこと、司教団として十分な責任を果たして来なかったことを反省し、被害者の方々には誠実に対応するとともに、加害者である聖職者、修道者には厳正に対処すること、子どもの人権擁護のための活動、またかれらの育成に携わる学校・施設で働く者、および聖職者、修道者の養成に力を注ぐこと、このような事件が起らないように自らを正し、教会の刷新に励んでいくこと」を表明しました。

 続けて、2003年2月に司教のための対応ガイドラインを発表するとともに、カトリック中央協議会に「子どもと女性の権利擁護のためのデスク」を設置し、具体的な取り組みと啓発活動を推進しました。また、2013年2月には司教のための対応ガイドラインの補足として、『教会が子どもの権利を守るために〜聖職者による子どもへの性虐待に対応するためのマニュアル』も発表しました。

 今後も、被害者の方が声をあげたときに、各教区として問題解決をはかるための体制を整えるとともに、聖職者と神学生の意識を喚起するために養成を徹底し、教会のメンバーの意識化のために啓発を行っていきたいと思います。

終わりに
みなさん、すべてのキリスト者とともに、傷ついた被害者の方々の悲しみと苦しみを理解し、彼らのいやしと回復のために、いつくしみ深い神に祈り、また、全世界の教会がこの困難な状況を乗り越えるために、神からの恵みと力づけを祈りましょう。わたしたち日本の司教は、聖職者、修道者、信徒のみなさんとともに、日本においてこのようなことが起こらないよう、重ねて自らを正し、教会の刷新に励んでいきたいと思います。

2016年12月14日 日本カトリック司教団

2021年2月13日

・仏裁判所が元バチカン駐仏大使に性的虐待で有罪判決(La Croix)

religion/former-papal-nuncio-to-france-gets-eight-months-suspended-sentence-for-sexual-assault

Former nuncio Luigi Ventura, in Carcassonne, September 18, 2012. (Photo by CLAUDE BOYER/ INDEPENDENT /MAXPPP)

(2020.12.17 LaCroix  Claire Lesegretain and Loup Besmond de Senneville in Rome France)

 パリの裁判所は16日、昨年までフランス駐在のバチカン大使を務めていたルイジ・ベンツラ大司教に4人の若者に対する「性的暴行」について禁固八か月の執行猶予付き有罪判決を下した。

 この76歳のイタリア人聖職者は、昨年、パリ市長が市庁舎で外交官や宗教指導者、市民団体関係者たちを集めて行った新年挨拶の場で、男性職員に対して臀部をさわるなど痴漢行為をしたとして起訴され、検察側が10か月の執行猶予付き判決を求めていた。16日の判決言い渡しに、ベンツラ大司教は欠席した。

 また、裁判所は、大司教に対し、これと併せて、告発をした被害者の男性に2000ユーロの賠償金と2500ユーロの法定費用の支払い、別の性的虐待の被害者である元神学生には6000ユーロの賠償金と5000ユーロの法定費用の支払いを命じた。

 弁護士は、この神学生は「このことに加え、神学校を追い出されたことも重なって、深い精神的痛手を被り、その後の人生にも大きなマイナスとなった。もっと多額の慰謝料の支払いが必要」と強調した。

  一方、ベンツラ大司教は、昨年4月の検察当局との聴聞会、およびその一か月前の原告団とやり取りの席で、訴えの内容を強く否定していた。

 被告の弁護士は、判決を不服として上告することを希望しているが、「被告は性的被害とその後の取り調べ、裁判、そしてマスコミ報道で非常に苦痛を感じており、そうしたことがこれ以上続けられることに耐えられないでしょう」とも語っている。

 バチカンは昨年7月に大司教の外交特権をはく奪し、12月に「定年の75歳を迎えた」ことを理由に、教皇が辞表を受理していたが、今回の有罪判決を受けた処遇について、これまでのところ明らかにしていない。

 海外に駐在するバチカンの大使で、最近、裁判沙汰を起こしたのは、2人。1人はカルロ・マリア・ヴィガノ大司教で、自分の身障者の兄弟から180万ユーロを奪ったとして、2018年にイタリアの裁判所から賠償を命じられた。もう一人はポーランド人のヨセフ・ウェソロスキー大司教で、バチカンの司法当局に小児性愛の罪で逮捕されたが、裁判が始まる前に死亡している。

 

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

LA CROIX international is the premier online Catholic daily providing unique quality content about topics that matter in the world such as politics, society, religion, culture, education and ethics. for post-Vatican II Catholics and those who are passionate about how the living Christian tradition engages, shapes and makes sense of the burning issues of the day in our rapidly changing world. Inspired by the reforming vision of the Second Vatican Council, LCI offers news, commentary and analysis on the Church in the World and the world of the Church. LA CROIX is Europe’s pre-eminent Catholic daily providing quality journalism on world events, politics, science, culture, technology, economy and much more. La CROIX which first appeared as a daily newspaper in 1883 is a highly respected and world leading, independent Catholic daily.

2020年12月18日

・聖職者による性的虐待後にさらに「二次被害」と、女性信徒が長崎教区を提訴

(2020.12.17  カトリック・あい)

 16日までに新聞各紙が伝えたところによると、カトリック長崎大司教区の神父から性的被害を受けたと訴えている長崎県内の女性信者が、教区トップである高見三明・大司教の発言で精神的苦痛を受けたとして15日、教区に慰謝料など550万円の支払いを求めて長崎地裁に提訴した。各紙の問い合わせに対し、教区本部事務局は「訴状が届いていないので一切コメントできない」としている。

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(評論・カトリック・あい)

 長崎教区はこのところ、日本の教会の信頼を大きく損なう失態を繰り返している。司祭から性的虐待を受け心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したとする女性を再び精神的に傷つける行為と受け取られる対応をした今回の二重の失態。そして、不明朗な資金運用による2億5000万円と言われる教区の財政規模からみて”巨額”の損失発生と、その後の対応の拙劣さ、という二重の失態だ。

 新型コロナウイルスの世界的大感染と言う未曽有の危機の中で、日本の教会が一体となって、物心両面から人々を支えねばならない時期に、日本の教会のリーダーであるはずの高見カトリック司教協議会会長が大司教を務める長崎教区で、教会の信用と信頼を棄損するようなことが繰り返されていることに、怒りを通り越して、深い心の痛みを感じる。この繰り返しの失態は、長崎教区だけの問題ではない。日本の教会全体に影響を与える問題なのだ。これまでの経過、対応を見る限り、リーダーには、そうした自覚も、真剣さも、残念ながら感じられない。

 長崎教区は先月、「教区会計上の重大な不手際に関する問題」その後の経過について、と題する釈明文を12月号の教区報に掲載し、その中で、9月の教区評議会臨時総会で、教区の対応に対して「具体性がなく不十分」との厳しい指摘を受け、責任者の辞任の可否を問う質問が出たことに対して、「 髙見大司教は『監督者としての私の責任を痛感し、 申し訳なく思っています。総辞職という道もありますが、 私は、 自分が辞任することでは責任をとることにはならないと考えています。むしろ、 まずは教区会計の健全化・透明化を早急に推し進め、 教区組織の在り方の再検討を図り、 さらには司教と司祭の生活を刷新し、 信徒の皆様の信頼回復に努めることが責任の取り方であると考えています』と答えた」と説明した。

 今回の司祭による虐待の訴えを受けた対応の問題も合わせて、「責任を取る」という言葉の重さを、改めてかみしめ、教会の信頼回復と被害者への心の癒しへ適切、かつ速やかな行動をとるよう、当事者に強く求めたい。

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 長崎市内で記者会見した代理人弁護士によると、女性は2018年5月、教会の司祭館で神父に体を触られ、教区は19年8月、女性がわいせつ行為で心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したとして賠償金を支払ったという。この神父は今年2月に強制わいせつ容疑で長崎地検に書類送検され、4月に不起訴処分になった後、大司教区は報道機関に「(女性に)今後も誠意を持って対応する。(聖職者による性被害を)二度と起こさないよう再発防止に全力を尽くす」との声明を出した。

 だが、その後、教区内の公的な会議で、高見大司教が女性について「『被害者』と言えば加害が成立した、との誤解を招くので『被害を受けたと思っている人』など別の表現が望ましい」と発言する議事録が作成され、各教会の神父宛てに送られて関係者の目に触れた。その内容を知った女性は再びショックを受け、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を再び悪化させた、といい、代理人弁護士は「性被害があったことを前提にした示談にもかかわらず、その後の大司教の発言で二次被害を受けた」「宗教は信者の魂や精神のよりどころであり、世俗的な関係以上の信頼がある神父による性被害について「ショックは非常に大きかった」と強調した。

 また女性は15日、代理人を通じ「怒り、憎しみ、悲しみが日に日に増している。大司教区の世間から外れた考えを改めてほしい」とのコメントを発表。

 現地の長崎新聞の取材に、自身が症状に苦しむだけでなく、家族もショックを受けたことが苦痛をさらに増したこと、女性の母親も別の神父に対し「昔の娘を返せ」と言い放つほど精神的に追い詰められ、体調を崩したと語った。

 また神父から受けた被害についても、改めて語った。男性神父とは家族ぐるみで17年来の付き合いがあったが、2018年5月、女性は他の神父らに頼まれ、アルコール依存症とされる問題の神父を見舞いに県内の教会を訪ねたところ、突然、後ろから覆いかぶさられ、無理やり体を触られても、怖くて、「やめてください」と声を振り絞るのが精いっぱいだったという。その後、女性はPTSDを発症。神父の祭服を見ると恐怖がよみがえり、叫び声を上げたこともある。ミサの時間に震えが止まらず、フラッシュバックが起きるとその間の記憶を失うなど、仕事を辞めざるを得なくなった。だが、警察に被害届を出そうとすると、「最後までしてないんだから」「信徒は神父の言うことを聞いて当たり前」などとさらに傷つくような言葉を受け、自分を責め、何度も自殺を考えた、と語った。

 そして、さらに今回の”二次被害”で、教会には怖くて近づけなくなり、自宅のカーテンを一日中閉めてふさぎ込み、孤独に症状と闘う日々が続いている、という。

 

 

 

2020年12月17日