Former nuncio Luigi Ventura, in Carcassonne, September 18, 2012. (Photo by CLAUDE BOYER/ INDEPENDENT /MAXPPP)
(2020.12.17 LaCroix Claire Lesegretain and Loup Besmond de Senneville in Rome | France)
パリの裁判所は16日、昨年までフランス駐在のバチカン大使を務めていたルイジ・ベンツラ大司教に4人の若者に対する「性的暴行」について禁固八か月の執行猶予付き有罪判決を下した。
この76歳のイタリア人聖職者は、昨年、パリ市長が市庁舎で外交官や宗教指導者、市民団体関係者たちを集めて行った新年挨拶の場で、男性職員に対して臀部をさわるなど痴漢行為をしたとして起訴され、検察側が10か月の執行猶予付き判決を求めていた。16日の判決言い渡しに、ベンツラ大司教は欠席した。
また、裁判所は、大司教に対し、これと併せて、告発をした被害者の男性に2000ユーロの賠償金と2500ユーロの法定費用の支払い、別の性的虐待の被害者である元神学生には6000ユーロの賠償金と5000ユーロの法定費用の支払いを命じた。
弁護士は、この神学生は「このことに加え、神学校を追い出されたことも重なって、深い精神的痛手を被り、その後の人生にも大きなマイナスとなった。もっと多額の慰謝料の支払いが必要」と強調した。
一方、ベンツラ大司教は、昨年4月の検察当局との聴聞会、およびその一か月前の原告団とやり取りの席で、訴えの内容を強く否定していた。
被告の弁護士は、判決を不服として上告することを希望しているが、「被告は性的被害とその後の取り調べ、裁判、そしてマスコミ報道で非常に苦痛を感じており、そうしたことがこれ以上続けられることに耐えられないでしょう」とも語っている。
バチカンは昨年7月に大司教の外交特権をはく奪し、12月に「定年の75歳を迎えた」ことを理由に、教皇が辞表を受理していたが、今回の有罪判決を受けた処遇について、これまでのところ明らかにしていない。
海外に駐在するバチカンの大使で、最近、裁判沙汰を起こしたのは、2人。1人はカルロ・マリア・ヴィガノ大司教で、自分の身障者の兄弟から180万ユーロを奪ったとして、2018年にイタリアの裁判所から賠償を命じられた。もう一人はポーランド人のヨセフ・ウェソロスキー大司教で、バチカンの司法当局に小児性愛の罪で逮捕されたが、裁判が始まる前に死亡している。