・バチカンが元米枢機卿の性的虐待に関する膨大な報告書発表・世界の司教、聖職者への教訓に+全文も

 

セオドア・マカリック元枢機卿  (2010 Getty Images)

(22020.11.11 バチカン放送)

 教皇庁は10日、昨年、枢機卿の称号とともに聖職者の地位を解かれたセオドア・マカリック元ワシントン大司教に関する報告書「元枢機卿セオドア・マカリックに関する聖座の制度的知識と意思決定過程(1930年から2017年)(英語名:Report on the Holy See’s institutional knowledge and decision-making process related to formal Cardinal Theodore Edgar McCarrick (from 1930 to 2017)」を発表した。

 マカリック元ワシントン大司教・元枢機卿は未成年者と成人に対する性的虐待の罪を犯したとして、昨年、聖職者としての地位をはく奪されたが、教皇フランシスコは、この処分に先立って2年前に、国務省に厳正な調査を命じていた。報告書は、世界中のカトリック教会でいまだに終息せず、教会そのものの信頼を大きく揺るがし続けている「聖職者による性的虐待」の象徴ともいえるマカリックの行為について、徹底的な調査を行い、米国のみならず、世界の教会の再建への教訓としようとするものだ。

 報告書のポイントの第一は、過去に犯された過ちについての指摘だ。重大な性的犯罪者を、事前に知ることが可能であったにもかかわらず、カトリック教会の責任ある高い地位につけてしまった。その誤りは、今後同様のことが繰り返されないように、教会に新たなルールが導入された。

 二つ目の問題は、マカリックの未成年者性的虐待について、2017年に至るまで、具体的な証拠を備えた告発はなかったことだ。未成年者をめぐる、十分な証拠の揃った最初の告発は、3年前のものであり、それによって直ちに教会法上の措置がとられた。そして、教皇フランシスコの決定により、まず同師の枢機卿の位が取り上げられ、その後、聖職からも解かれる、という結果に至った。

 この事件は、教会全体が学ぶべき痛ましい教訓を残すことになった。2019年2月に招集された「教会における未成年者の保護」のための全世界司教協議会会長会議の後、教皇フランシスコによってとられたいくつかの対応の中には、未成年者への性的虐待のケースに関し、「教皇レベルの機密」を廃止するなどの処置がある。

 バチカン国務長官ピエトロ・パロリン枢機卿は、今回のレポートをめぐる声明で「報告書の膨大さ、多数の資料、内容からもわかるように、これは真理の追究に動かされたもの」とし、「苦しみには、希望の眼差しが伴う。このようなことが二度と繰り返されないためには、より効果的な規則と共に、心からの回心が必要。福音を告げる、信頼に足りる司牧者たちが必要です。『私を離れては、あなたがたは何もできない』というイエスの言葉に信頼しつつ、ただ聖霊の恵みによってのみ可能であることを、私たちはしっかり自覚しなくてはなりません」と、全世界の司教はじめ聖職者たちに、それぞれが抱える同種の問題についての厳正な対処を、改めて求めている。

(編集「カトリック・あい」)

【参考】

(2019.2.16 Vatican News)

 バチカン報道局は16日、性的虐待の罪で告発されていた米国のセオドア・エドガー・マカリック前枢機卿に対し司祭職の剥奪を含む最終的な判断を下した、とする声明を発表した。

 声明は、聖職者の性的虐待犯罪を所管する教理省が作成したもので、マカリックについて「聖職者としての職務の期間中の犯罪行為―権力の濫用という嫌悪すべき動機をもって、告解の秘跡における教唆、未成年者と成人に対する教会の(注:姦淫を禁じた)第六の掟を破った罪-により有罪」とすることを決定、罰として「司祭職を剥奪」した、としている。

 マカリックはこの決定を不服として事前に申し立てをしていたが、声明は、13日に開いた教理省の通常の審判の場で申し立てについて審理を行い、「判決を確認した」とし、15日に本人に通告した。この決定は教皇フランシスコの裁可を得ており、最終的なものだ。

 マカリックの犯罪が明るみに出たのは、2017年9月に米ニューヨーク大司教区が、前枢機卿のマカリックについて「1970年代に当時十代の少年に性的虐待を働いた」との告発状を、バチカンに送ったことによる。これを受けて、教皇フランシスコは同大司教区に対し、徹底した調査を行うよう指示。同大司教区は調査委員会を設置して調査を進め、結果報告をバチカンの教理省に提出した。

 2018年6月にティモシー・ドラン枢機卿が公表した報告書によれば、マカリックに対する告発の内容は「信頼でき、実証された」と言明。ドラン枢機卿は、教皇の意を戴したピエトロ・パロリン国務長官がマカリックに対して「聖職者の職務の執行を認めない」と指示した、と述べていた。声明はまた、マカリックが調査に協力し、無実を主張してはいるものの、バチカンの判断を受け入れた、としていた。

 これと同じ日に、ニュージャージー州のメツチェン教区とニューアーク大司教区はマカリックについて、二件の法的和解も含めて性的な不適切行為があったことを認め、さらに数週間後に、これとは別に、未成年に対するさらなる性的虐待とともに、成人の神学生たちに対する不適切行為が発覚した。

 こうしたことを受けて、バチカンは昨年7月28日、教皇が、マカリックの枢機卿団からの退任申し出を受理し、本人に対し、あらゆる聖職者としての公的活動を差し止め、自宅謹慎と、最終的な判断が出るまで祈りと痛悔の日々を送るように通告した、と発表していた。

 さらに、バチカンは昨年10月6日、「虐待と隠ぺいはこれ以上、許容できず、虐待や隠ぺいの罪を犯した司教たちに対して、聖職者主義に基づくような異なる取り扱いをすることも許容しない」ことを確認する声明を発表。教皇が、教会内外での虐待の重大な犯罪に対する戦いのために、社会で最も罪のない、傷つきやすい者たちに対して二度とこうした犯罪を起こさないために、力を結集するよう強く求めている、と強調していた。

 21日からの全世界の司教協議会会長たちに参加を求めた聖職者による性的虐待問題に対する抜本的な対策を話し合うサミットを前にしたこの声明は、教皇が「神の民に対する書簡」で語られた次の言葉を引用している-「これほど多くの人生を暗くする悪に対して私たちがせねばならない対応は、神の民である私たちすべてに関する役務として、それを体験することです。被害を受けた人々と共に歩む歴史の一部であることを知ることは、内からの刷新を可能にする改悛の表明をもって、私たちに自身の過去の罪と過ちを認識させます」(2018年8月20日)。

 また、昨年10月7日に、司教省長官のマルク・ウエレット枢機卿が、マカリック問題に関連してバチカンの前駐米大使が教皇を公けに批判したことに対する文書を公表し、枢機卿が「どうして、マカリックのような人物、ワシントン大司教に任命され、枢機卿にも選ばれた人物にいくつもの機会を与えることができるのか」と問いただし、教皇のなさった人事はその時点で、最善の情報に基づき、誤りのないものであり、マカリックは自身に対する告発に対し巧妙に自己弁護をしているが、事実が証明されたら厳しい判断が下される、と言明していた。

 さらにウエレット長官はこの文書で、前教皇のベネディクト16世の治世の間、旅行したり、公の場に現れたりしないように、マカリックがいかに「強く指示されていたか」について説明した-マカリックはこうした指示を無視していた。長官は、こうした指示は前教皇による”制裁”ではなく、教皇フランシスコがこの指示を棚上げしたとする(注:前バチカン駐米大使の)主張を否認するとともに、現教皇は「ニューヨーク、メッチェン、ニューワーク、ワシントンでのマカリックの行為と何に関係もしていない」と言明。未成年に対する性的虐待の告発が信頼できると判断されたのを受けて、マカリックから枢機卿の階位をはく奪した。

 セオドール・エドガー・マカリックは1930年7月7日、ニューヨーク生まれの88歳。1958年5月31日にフランシス・スペルマン枢機卿によって司祭に叙階された。1977年5月に聖パウロ6世教皇によってニューヨーク補佐司教に任命、さらに聖ヨハネ・パウロ2世によりメツチェンの初代司教、ニューアーク大司教、ワシントン大司教に任命された。2001年2月に枢機卿となり、ベネディクト16世教皇を選出した2005年のコンクラーベに参加して一票を投じていた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

報告書全文は→http://www.vatican.va/resources/resources_rapporto-card-mccarrick_20201110_en.pdfでご覧になれます。

http://www.vatican.va/resources/resources_rapporto-card-mccarrick_20201110_en.pdf

http://www.vatican.va/resources/resources_rapporto-card-mccarrick_20201110_en.pdf

2020年11月11日

・教皇、未成年性的虐待のポーランド枢機卿を懲戒処分、被害者の救済や虐待防止に資金拠出も命じる

 

   未成年者の性的虐待などで告発されているポーランドのヘンリク・グルビノヴィッチ枢機卿に対し、教皇フランシスコは6日、担当部局による調査結果を受けて懲戒処分とした。

 同国のバチカン大使館は同日昼、声明を発表し、国内で最年長の枢機卿の1人であるグルビノヴィッチ枢機卿が未成年者の性的虐待によって懲罰の対象となった、と発表した。同国西部のヴロツワフ教区の名誉大司教である、枢機卿は、脅迫、同性愛行為、および共産党政権時代の治安機関への協力で非難で告発されていた。

 バチカンが同日発表した声明では、「ヘンリク・グルビノヴィッチ枢機卿に対する告発について調査を行い、枢機卿の過去に関する他の告発を分析した後、聖座は彼に対して次の懲戒処分を決定を下したー公けの祝祭の席や会議に参加を禁止、枢機卿であることを示す印の使用禁止、大聖堂での葬儀や埋葬の執行の禁止」とし、さらに枢機卿に対して、「性的虐待の被害者のためにポーランド司教協議会が設立した聖ヨゼフ財団の活動、被害者の精神的支援、虐待の防止、さらに未成年者保護に責任を持つ人々の育成に、十分な額の資金を拠出すること」を求めている。

 

 

2020年11月7日

・教皇、国務省の資金運用・監督の権限を他の部署に移管ーバチカン改革の一環

 

St Peter's BasilicaSt Peter’s Basilica 

 報道官によると、教皇は、この決定を4日に招集したバチカンの関係幹部による会議で説明した。会議にはピエトロ・パロリン国務長官のほか、エドガル・ペーニャ・パラ総務局長、。フェルナンド・ベルゲス・バチカン市国代表、ヌンツィオ・ガランティーノ聖座財産管理局長、フアン・アントニオ・ゲレーロー・アルベス財務事務局長が出席した。

 会議には、昨年8月に教皇がバチカンの資金管理・運用の権限を国務省から移すことを命じたパロリン国務長官あての書簡も配布された。教皇は、その中で「バチカン改革の一環として、私は経済・金融活動のより良い組織化を可能にする対策について、福音的見地から考え、祈りました」とし、「業務が重なり合い、ばらばらになり、不必要で有害な重複がなされることを避けるため」に、経済・金融関係部署の使命を明確に定義することが「極めて重要」と強調している。

 また、国務省は「間違いなく、教皇の活動を最も身近に直接支える部署」と評価しつつ、バチカンの他の部署にすでに割り当てられている機能を国務省が果たそうとするのは不必要、あるいは適切でないように思われる」とし、「補完性の原則は経済・金融において、国務省の役割についての偏見を持つことなく、適用されることが望ましい」との判断を示している。

 このような判断から、「国務省は、すべての金融資金と不動産資産の管理・運用を聖座財産管理局に移管し、同管理局はいかなる場合も、現在与えられている目的を堅持するよう」に指示。さらに、当面の問題として、「(注:現在、バチカンの資金運用に関して疑惑の中心になっている)ロンドンでの不動産投資と Centurion fund(注:英国軍と関わりのある基金?)への投資」を挙げ、「特に注意を払う必要があり、可及的速やかに資金を撤収するか、風評被害を被らないように処理しなければならない」と具体的に言及している。

 さらに、教皇は書簡で、「これまで国務省によって管理されてきたすべての資金は、聖座の連結予算に組み込まれる」こと、経済・財政に関して、国務省は「通常の仕組みを通して承認された予算によって運営され、機密事項とされるものを除いて、この目的で設置された委員会によって承認を受けた手続きに従うものとする」と規定。

 「バチカンのすべての部署の経済・財政に関わる管理・監督を財務事務局の責任」と定め、国務省は、この面で、いかなる責任も負わず、「バチカンの資産について執行・管理をする必要が無くなることから、関連部門の見直し、存続の必要性について検討することを念頭に置くように」と求めている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2020年11月6日

・教皇の公開一般謁見を 11月4日から再度中止、非公開ビデオ中継にー公開謁見で感染者

(2020.10.31 カトリック・あい)

 毎週水曜日に行われている教皇フランシスコの一般謁見が、9月から再開していた公開方式を11月4日から中止、再びバチカン宮殿からのビデオ中継に戻されることになった。

 イタリアを含む欧州主要国では新型コロナウイルス感染が再び深刻化し、各国でいったん緩和していた規制が再び強化せざるを得ない事態となっている。バチカンの今回の判断もそれにならったもの。バチカン広報局が29日発表した声明によると、10月21日のパウロ6世ホールで行われた公開の一般謁見で参加者から一人の感染者を出したことも理由となっている。

 教皇一般謁見は、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、今年3月中旬より、教皇宮殿内からのビデオ中継の形をとってきたが、9月からは、信者が参加する公開謁見を教皇宮殿の「聖ダマソの中庭」で再開、さらに10月からは、多くが参加できるパウロ6世ホールで行われていた。

2020年10月31日

・教皇、11月2日「死者の日」にバチカンのテウトニコ墓地で私的ミサ

バチカン市国内のテウトニコ墓地 バチカン市国内のテウトニコ墓地   (Vatican Media)

 教皇フランシスコは、典礼暦で「死者の日」を記念する11月2日(月)、イタリア時間午後4時から、バチカン市国内のテウトニコ墓地でミサを捧げられる。

 バチカン広報局の発表によれば、教皇のミサは、私的な形で、信者の参加を伴わずにとり行われる。ミサ終了後に、教皇は墓地で祈りの時を持たれ、続いて、聖ペトロ大聖堂地下のグロッタに赴き、先代の教皇たちの墓前で祈られる。

 また5日(木)午前11時から、聖ペトロ大聖堂の司教座の祭壇で、この1年間に亡くなった枢機卿・司教のためにミサを司式される。

 今後数か月、宗教儀式は、これまでもそうであったように、新型コロナウイルスの感染状況に応じた変更がない限り、現行のコロナ感染拡大防止措置に従い、信者の参加人数を限定して行われる。

2020年10月29日

・バチカン、「死者のための全免償」を11月の全期間に拡大

内赦院:死者のための全免償、11月のすべての期間に拡大 (写真:ローマ・ヴェラーノ墓地)内赦院:死者のための全免償、11月のすべての期間に拡大 (写真:ローマ・ヴェラーノ墓地)  (ANSA)

(2020.10.28 バチカン放送)

 「死者のための全免償」が、今年は、パンデミック危機のために、信心業の実践上の状況と信者たちの安全を考慮し、11月中全体にわたり得られることになった。

 教皇庁内赦院が26日までに、2020年11月に限定された免償規定を発布した。同規定によれば、現在の新型コロナウイルス感染症拡大予防措置に対応し、信心業を実践する上での状況、および信者たちの安全確保を考慮し、死者のための全免償を、11月中にわたって得られるものとする。

 内赦院は、新型コロナウイルス感染症のために、「免償の手引き(Manuale delle Indulgenze)」の規則にある「煉獄の魂に譲ることのできる全免償を得るための敬虔な信心業の条件」に変更を加えられないかとの、司牧者たちからの少なからぬ請願に応え、人々が集まることが禁じられている場所でそれが生じないことを目的に、教皇フランシスコの特別な許可を得て、今年、以下の条件を以下のように決定した。

 a.  11月1日から11月8日までの各日において、故人のために、たとえ精神の上だけでも、墓地を訪問し、祈る者に与えられる全免償を、11月中の他の日々に代替できる。これらの日々は、個々の信者が自由に選ぶことができ、それぞれの日が離れていても可能である。

 b. 「死者の日」を機会に、聖堂を敬虔に訪問し、「主の祈り」と「信仰宣言(クレド)」を唱えることで与えられる11月2日の全免償は、「死者の日」の前後の日曜日、あるいは「諸聖人の日」に代替できるものであるが、信者が個々に選べる、11月中の別のある1日に代替することもできる。

 高齢者、病者、そして、たとえばパンデミック時において、多数の信者が聖なる場所に集まることを避けるために当局から出された制限令など、重大な理由のために外出できないすべての人は、他のすべての信者と心を合わせ、あらゆる罪から完全に離れようとする心を持ち、全免償を得るために必要な通常の3つの条件(ゆるしの秘跡、聖体拝領、教皇の意向に従った祈り)を可能な限り早く果たす意志を持ち、イエスあるいは至福なるおとめマリアの聖画像の前で、敬虔に死者のための祈り、たとえば、「教会の祈り」(聖務日課)中の「死者の日」に唱える聖務の朝と晩の祈り、あるいは、ロザリオの祈り、神のいつくしみのチャプレット、その他、信者に最も親しまれている死者のための祈りを唱える、または、死者の典礼で提案される福音朗読箇所の一つを黙想しながら読む、もしくは自分の生活の苦しみと困難を神に捧げつつ、いつくしみの業を行うことで、全免償が与えられる。

2020年10月29日

・教皇、枢機卿に新たに13名を任命へ、28日に任命式-フィリピン、ブルネイはコロナで欠席に

(2020.10.25  Vatican News)

   教皇フランシスコは25日の正午の祈りの後、枢機卿に新たに13人を任命する、と世界の聖職者、信徒たちに向けて発表した。正式な任命式は11月28日に行われる。

 13人のうち、80歳未満で今後の教皇選挙権を持つことになる枢機卿は9人、80歳以上は4人。また、13人のうち、80歳未満の9人中、2人はバチカン高官で、マルテーゼ・マリオ・グレッグ・シノドス事務局長とマルチェロ・セメラーノ列聖省長官。7人は、イタリアのアッシジの聖フランシスコ修道院のマウロ・ガンベッティ院長と、世界中で司牧に当たっている米国、イタリア、チリ、フィリピン、ルワンダの大司教4人とブルネイの使徒座代理区長で、ガンベッティ師以外の枢機卿予定者は次の通り。

  なお、バチカン広報局が11月24日確認したところによると、このうち、フィリピンとブルネイの枢機卿予定者は、新型コロナウイルス感染拡大のため、任命式に欠席する、という。

(翻訳・「カトリック・あい」南條俊二)

  Archbishop of Kilgali, Rwanda, Antoine Kambanda;   Archbishop of Washington, United States, Wilton Gregory;   Archbishop of Capiz, in the Philippines, Jose Fuerte Advincula; Archbishop of Santiago, Chile, Celestino Aós Braco;  Apostolic Vicar of Brunei, Cornelius Sim;   Archbishop of Siena, Italia, Augusto Paolo Lojudice.

 また、80歳以上で新たな枢機卿に選ばれた4人は、 Felipe Arizmendi Esquivel, Archbishop Emeritus of San Cristóbal de Las Casas (Mexico);  former Apostolic Nuncio Silvano Tomasi, former permanent observer at the United Nations in Geneva who then worked in the Dicastery for Promoting Integral Human Development;  Capuchin Father Raniero Cantalamessa, preacher of the Papal Household;   the pastor of the Shrine of Divine Love, Father Enrico Feroci.

(バチカン放送日本語課)

 新しく枢機卿に任命される人々は次のとおり(発表順・括弧内は出身国と年齢)。

[80歳未満の有権枢機卿]

*マリオ・グレック司教、シノドス事務局・事務局長(マルタ、63)  *マルチェッロ・セメラーロ司教、列聖省長官(イタリア、72)  *アントワーヌ・カンバンダ大司教、ルワンダ・キガリ大司教(ルワンダ、61)  *ウィルトン・グレゴリー大司教、米国・ワシントン大司教(米国、72)  *ホセ・アドヴィンクラ大司教、フィリピン・カピス大司教(フィリピン、68) *セレスティーノ・アオス・ブラコ大司教、チリ・サンチアゴ大司教、カプチン・フランシスコ修道会(スペイン、75) *コルネリウス・シム司教、ブルネイおよびクアラルンプール代牧(ブルネイ、75) *アウグスト・パオロ・ロユーデチェ大司教、伊・シエナ‐コッレ・ヴァル・デルサ‐モンタルチーノ大司教(イタリア、56) *マウロ・ガンベッティ神父、コンヴェンツァル・聖フランシスコ修道会、アッシジ・聖フランシスコ修道院院長(イタリア、54)

[80歳以上の枢機卿]

*フェリペ・アリスメンディ・エスキヴェル司教、メキシコ、サンクリストバル・デ・ラス・カサス名誉司教(メキシコ、80) *シルヴァーノ・マリア・トマーシ大司教、教皇大使(イタリア、80) *ラニエーロ・カンタラメッサ神父、教皇付説教師、カプチン・フランシスコ修道会(イタリア、86) *エンリコ・フェローチ、ローマ教区サンタ・マリア・デヴィーノ・アモーレ主任司祭(イタリア、80)

2020年10月25日

・バチカン、中国との司教任命に関する暫定合意の2年延長発表+機関紙による詳細説明の日本語抄訳と英語訳全文

 教皇庁と中国間の司教任命をめぐる暫定合意の延長が22日、バチカン広報局を通して発表された。同局の暫定合意延長に関する声明は次の通り。

  「教皇庁と中華人民共和国間の司教任命をめぐる暫定合意-2018年9月22日締結、1ヵ月後発効-の期限終了にあたり、双方は同暫定合意の実験的な実施段階をさらに2年延長することで一致した。教皇庁は、教会的・司牧的に本質的価値を持つ同合意のスタートが、双方の良いコミュニケーションと協力のおかげをもって、取り決め事項において有益であったと判断し、カトリック教会の活動と中国国民の善のために、開かれた建設的な対話の継続を意図するものである」。

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*バチカン放送日本語版によるバチカン機関紙、オッセルバトーレ・ロマーノ紙の、以上の声明について背景説明などの記事の抄訳は以下の通り。

 「双方がこの合意の様々な側面を検証した結果、 口頭の通達の公式交換をもって、2022年10月22日まで、合意の有効期間をさらに2年延長することで一致した」。合意の主な目的は、中国において「教会の完全で目に見える一致を築きながら」、「福音の告知を支え、促す」ことにある。司教任命と司教らの教皇との一致の問題は、「地方または普遍の教会の活動にとって、本質的な重要性を持つものである」。

まさにこの要素が、「信仰の一致と司教間の交わり、中国のカトリック共同体のための完全な奉仕を、少しずつ保証するための」「交渉に契機を与え、合意文作成における基準点となった」。何十年をも経て、今日、初めて、中国のすべての司教は、ローマ司教(教皇)との一致の中にあり、合意の実施のおかげで、今後、非公認の司教叙階はないであろう。

オッセルバトーレ紙の記事は、この合意は「教会が憂慮するすべての未解決の問題や状況に対応するものではなく」、それはあくまでも「司教任命に限定した問題」である、と述べている。

2018年9月に行われた暫定合意の署名は、「一つの長い歩みの到達点」をなすと同時に、「何よりも、より広い、先見性ある合意のための出発点である」。暫定合意の文書は、「その実験的な性質のために、相互の同意に基づいて公表されていないが、それは、開かれた、建設的な対話の実りである」。

この「尊重と友情に育まれた、対話の態度」は、教皇フランシスコが「強く望み、促進するもの」である。教皇は過去において教会の交わりが受けた傷をよく認識しており、先代の教皇たちが始め、進めてきた、長い年月にわたる交渉に続き、彼らの考えを継承し、教皇の認可を受けずに叙階された中国の司教たちとの完全な一致を回復し、司教任命をめぐる合意への署名を許可した。その草稿に関しては、教皇ベネディクト16世による承認をすでに得たものである。

「国際政治の一角で、教皇庁のこの行為について、地政学上の解釈がまさった分析がなされているが、それに対し、教皇庁にとってこの行為は、非常に深い教会学的な問題である」と、オッセルバトーレ紙は記している。さらに、教皇庁はこの対話が「国際社会全体に利する、より豊かな共通善の追求を促進する」ものと「十分に自覚している」とも述べている。

これまでに得た成果としては、二人の新しい司教の任命があった。また、「他の新たな司教任命のためにいくつかのプロセスが進行中」である。たとえ、「統計的には大きな成果に見えなくとも、徐々に他の目標でもポジティブな成果を得るとの希望において、これは良いスタートを示している。なぜなら、パンデミックによる衛生上の危機が、双方の接触と合意の実施に、影響を及ぼしたことも考慮すべきだからである」。

「合意の実施は、中国の司教たちのより積極的な参加をもって、中国のカトリック教会の活動に大きな重要性を持ちつつあり、その反映は、普遍の教会にももたらされる。このような展望の中には、長い間分裂にあった中国のカトリック信者たちを助け、中国でのより効果的な福音の告知のために、和解と協力、一致のきざしをもたらすという、教皇庁の司牧的目標も置かれている」。

一方、「大きな苦しみを伴う状況が少なからず残っていることを認めなければならない」とオッセルバトーレ紙は述べ、「教皇庁はそれを深く自覚すると共に、重要視し、信教の自由のより豊かな行使を容易にするよう、中国政府の関心を促すことを怠らない。この歩みはまだ長く、困難がないわけではない」と記している。

教皇庁は、同暫定合意とその延長が、「特に、中国のカトリック共同体の活動はもとより、世界レベルで様々な緊張が見られる今、国際平和の推進などの観点から、克服すべき共通の関心問題の解決に貢献する」ことを願っている。

*バチカン放送英語版が22日に伝えたバチカン機関紙 L’Osservatore Romanoの暫定合意延長決定の背景説明などについての記事の英語試訳全文は次の通り。

 The Provisional Agreement between the Holy See and the People’s Republic of China regarding the appointment of Bishops was signed in Beijing on September 22, 2018. That Agreement expires today since it went into effect one month later, with the term of two years ad experimentum.

 As this date drew near, the two parties evaluated various aspects of the Agreement’s application, and through an official exchange of Note Verbali, have agreed to prolong the term for another two years, until October 22, 2022. Therefore, the renewal of the Provisional Agreement seems to be a propitious occasion to explore its objective and motivations.

 The primary objective of the Provisional Agreement regarding the appointment of Bishops in China is that of sustaining and promoting the proclamation of the Gospel in that land, restoring the full and visible unity of the Church. In fact, the primary motivations that have guided the Holy See in this process, in dialogue with the Government leaders of that country, are fundamentally of an ecclesiological and pastoral nature.

 The question regarding the appointment of Bishops is of vital importance for the life of the Church, both at the local as well as at the universal levels. In this regard, Vatican Council II, in the Dogmatic Constitution on the Church, stated that “Jesus Christ, the eternal Shepherd, established His holy Church, having sent forth the apostles as He Himself had been sent by the Father (see John 20:21); and He willed that their successors, namely the bishops, should be shepherds in His Church even to the consummation of the world. And in order that the episcopate itself might be one and undivided, He placed Blessed Peter over the other apostles, and instituted in him a permanent and visible source and foundation of unity of faith and communion” (Lumen Gentium, 18).

 This fundamental teaching regarding the particular role of the Supreme Pontiff within the Episcopal College and in the appointment of Bishops itself, inspired the negotiations and was a point of reference in the drafting of the text of the Agreement. Thus will be ensured, little by little as things go forward, both the unity of faith and the communion among the Bishops, as well as being able to completely be at the service of the Catholic community in China. As of today, for the first time after many decades, all of the Bishops in China are in communion with the Bishop of Rome and, thanks to the implementation of the Agreement, there will be no more illegitimate ordinations.
 It should, however, be noted that all the open issues or situations that are still of concern for the Church have not been treated in the Agreement, but solely the issue of episcopal appointments, which is decisive and essential to guarantee the ordinary life of the Church in China, as in all other parts of the world. His Eminence Cardinal Pietro Parolin, Vatican Secretary of State, recently spoke about “The Catholic Church in China, past and present” at a Convention held in Milan this month for the 150th anniversary of the arrival of the PIME missionaries in Henan. On that occasion, he pointed out that various misunderstandings had arisen regarding the Provisional Agreement.
 Many of them originated because extraneous objectives or unrelated events regarding the life of the Catholic Church in China were attributed to the Agreement and it was even connected to political issues that have nothing to do with the actual Agreement. Recalling that the Agreement exclusively concerns the appointment of Bishops, Cardinal Parolin stated he is aware of the existence of various problems regarding the life of the Catholic Church in China, but also that it is impossible to confront all the issues together. The stipulation of the Agreement, therefore, constitutes the destination point of a long journey undertaken by the Holy See and the People’s Republic of China, but it is also and above all the point of departure for broader and more far-sighted agreements.
 The Provisional Agreement, the text of which, given its experimental nature, has been consensually kept confidential, is the fruit of an open and constructive dialogue. This dialogic posture, nourished by respect and friendship, is strongly willed and promoted by the Holy Father. Pope Francis is well aware of the wounds the Church’s communion has sustained in the past, and after years of prolonged negotiations that his Predecessors had begun and carried on and indubitably in continuity with their thought, he has re-established full communion with the Chinese Bishops who were ordained without the necessary Pontifical mandate and authorized the signing of the Agreement regarding the appointment of Bishops, which had already been approved by Pope Benedict XVI in draft form.

 Cardinal Parolin emphasized that the current dialogue between the Holy See and China has age-old roots and is the continuation of a journey begun a long time ago. The last Pontiffs, in fact, sought that which Pope Benedict XVI described as the overcoming of the heavy “situation of misunderstandings and incomprehension” that serves neither the “interests of…the Chinese authorities nor the Catholic Church in China”. Citing his predecessor, Pope John Paul II, he wrote in 2007: “It is no secret that the Holy See, in the name of the whole Catholic Church and, I believe, for the benefit of the whole human family, hopes for the opening of some form of dialogue with the authorities of the People’s Republic of China. Once the misunderstandings of the past have been overcome, such a dialogue would make it possible for us to work together for the good of the Chinese People and for peace in the world” (Letter of the Holy Father Pope Benedict XVI to the Bishops, priests, consecrated persons and lay faithful of the Catholic Church of the People’s Republic of China, no. 4).

 Some sectors of international politics have sought to analyze the Holy See’s work primarily along geopolitical lines. Regarding the scope of the Provisional Agreement, instead, the Holy See views it as a profoundly ecclesiological issue, in conformity with two principles stated thus: “Ubi Petrus, ibi Ecclesia” (Saint Ambrose, “Where Peter is, there is the Church”) and “Ubi episcopus, ibi Ecclesia” (Saint Ignatius of Antioch, “Where the Bishop is, there is the Church”). Moreover, there also exists an awareness that the dialogue between the Holy See and the People’s Republic of China favors the search for the common good for the benefit of the entire international community.

 Specifically with this intention, Archbishop Paul R. Gallagher, Secretary for Relations with States, met with Mr. Wang Yi, State Councilor and Foreign Minister of the People’s Republic of China, on February 14, 2020 in Munich in Bavaria, in the context of the 56th Munich Safety Conference, even though their first personal meeting, although not official, had taken place on the occasion of the General Assembly of the United Nations Organization in New York in 2019. It should be noted that both meetings took place in the context of multilateral diplomatic meetings in favor of global peace and security, thus seeking to pick up on even the slightest signal to foster and sustain the culture of encounter and dialogue.

 As was made public by the Holy See, the two diplomats acknowledged the contact between the two parties that had developed positively over time during the meeting that took place in Germany. On that occasion, the desire to pursue the bilateral dialogue at the institutional level fostering the life of the Catholic Church and the good of the Chinese people was reiterated. In addition, the hope was expressed that increased international cooperation would promote civil co-existence and peace in the world and they exchanged considerations regarding intercultural dialogue and human rights. In particular, the importance of the Provisional Agreement regarding the appointment of Bishops, which has now been renewed, was highlighted with the hope that its fruits might grow on the basis of the experience gained over the first two years of it being in force.

 Regarding the results achieved so far, on the basis of the regulatory framework established by the Agreement, two Bishops have been appointed (His Excellency Antonio Yao Shun, Diocese of Jining, Inner Mongolia Autonomous Region, and His Excellency Stefano Xu Hongwei, Diocese of Hanzhong, Shaanxi Province), while various other processes for new episcopal appointments are in the process, some at the initial stage, others in more advanced stages.

 Even though, statistically speaking, these results may not seem to be that great, nevertheless they represent a good start, in the hope that other positive goals might be progressively reached. It cannot be overlooked that in recent months the entire world has been practically paralyzed by the health crisis that has influenced both life and activity in almost all sectors of both public and private life. The same reality has obviously influenced regular contact between the Holy See and the Chinese government as well as the implementation of the Provisional Agreement.

 The application of the Agreement, with an effective and progressively more active participation of the Chinese Episcopate is, therefore, of great importance for the life of the Catholic Church in China and, as a consequence, for the universal Church. It is also in that context that the pastoral objective of the Holy See can be situated: to help Chinese Catholics, who have long been internally divided, to manifest signs of reconciliation, collaboration and unity for a renewed and more effective proclamation of the Gospel in China. In a Letter dated September 26, 2018, the Pope had entrusted in a particular way to the Catholic community in China – to the bishops, priests, men and women religious, and lay faithful – the commitment to live love for one another in an authentic spirit, expressing it through concrete actions so as to help overcome misunderstandings, giving witness to their own faith and genuine love. It must be acknowledged that there are still many situations causing serious suffering.

 The Holy See is very much aware of them, is taking them into account and does not fail to draw them to the attention of the Chinese government so that religious freedom might be truly exercised. There is still a long and difficult road ahead.

 Trusting completely in the Lord of history who unfailingly guides His Church and in the maternal intercession of the Most Holy Virgin Mary, Our Lady of Sheshan, the Holy See entrusts this delicate and important step to the gracious support and, above all, to the prayers of all Catholics, and hopes that with this contact and dialogue with the People’s Republic of China, which has matured to the point of the signing of the Provisional Agreement on the appointment of Bishops and its renewal today, that they might contribute to the resolution of the matters of common interest that are still open, in particular, those touching the life of the Catholic community in China, as well as the promotion of an international vision of peace, in a moment in which we are experiencing numerous tensions on an  international level.

(This is an unofficial working translation of the Italian original.)

2020年10月23日

・中国との暫定合意は「すべてうまくいくだろう」とバチカン国務長官、”宗教迫害”には答えず

Cardinal Pietro Parolin at the Pontifical Antonianum UniversityCardinal Pietro Parolin at the Pontifical Antonianum University 

 

 

2020年10月22日

・教皇、枢機卿顧問会議を8か月ぶり召集「バチカン改革の新使徒憲章は”先行実施”」

Archive image of Pope Francis and the Council of CardinalsArchive image of Pope Francis and the Council of Cardinals  (© Vatican Media)

    教皇フランシスコと枢機卿顧問会議(C6)メンバーのオンライン会合が13日午後、開かれ、教皇が進めるバチカン改革の目玉とされている新使徒憲章『Praedicate Evangelium』の実施について協議した。

  新使徒憲章は、現在のバチカンの組織・運営体制を規定している使徒憲章Pastor Bonus』(聖ヨハネ・パウロ二世発布)に代わるもの。草案は1年以上前に完成したが、世界各国の司教協議会、特定の修道会の総長たちや神学者たちから追加提案を受けたい、という教皇の意向から、改めてそうした提案を反映する形で修正され、今年春から夏にかけての発表が見込まれていた。

 だが、新型コロナウイルスの世界的大感染の影響を受け、枢機卿顧問会議も2月の会合以後、中断し、最終草案のとりまとめ、それを受けた教皇による署名が大幅に遅れているが、新使徒憲章を基にバチカン改革を急ぐ必要がある、との教皇の判断から、顧問会議は実際に顔を合わせる必要のないオンライン会合の形で8か月ぶりの開催となった。

 バチカン報道官の声明によると、会合は、バチカンのサンタマルタの家の教皇執務室を拠点に行われ、新憲章のいくつかの側面について話し合った。「夏の間、枢機卿顧問会議は、インターネットを使って、教皇に提出された新使徒憲章の最新草案の取りまとめについて作業をした。通常の慣行に従って、バチカンの関係諸部門が現在、同草案の読解を進めている」という。

 また声明は、今回の会合の狙いについて、「これまでの作業をまとめ、新使徒憲章の公表後、どのように実施していくかについて検討する」ことであり、会合で、教皇が「バチカン改革はすでに、行政や経済の方面においても、進んでいます」と語られた、とし、すでに”先行実施”していることを示唆された。

 なお、今回の会合に出席したのはオスカー・ロドリゲス・マラディアガ・テグチガルパ(ホンジュラス)大司教、ラインハルト・マルクス独ミュンヘン・フライジング大司教、ショーン・パトリック・オマリー米ボストン大司教、オズワルド・グラシアス・インド司教協議会会長、ピエトロ・パロリン・バチカン国務長官、ジュゼッペ・ベルテッロ・バチカン市国行政庁長官の枢機卿6人と、マルチェロ・セメラロ・枢機卿会議事務局長およびマルコ・メリノ同事務局次長。

 次回会合は、12月に、今回と同様、オンラインを使って開かれる予定。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2020年10月15日

・未成年性的虐待”逆転無罪”のペル枢機卿が教皇に挨拶

(2020.10.13 バチカン放送)

 オーストラリア出身で2014年から2019年まで教皇庁財務事務局長官を務めたペル枢機卿(79)が、ローマに戻り、12日、バチカンに教皇フランシスコを訪問した。教皇は、ペル枢機卿と再会の挨拶を交わされ、同枢機卿のこれまでの証しに感謝を述べられた。

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 ペル枢機卿は、メルボルン大司教時代における未成年者への性的虐待の訴えを受け、裁判のため、財務事務局長官任期中の2017年7月、教皇の許可を得てオーストラリアに帰国。2018年12月、メルボルン地裁から有罪判決を受けた。2019年8月の控訴審で、ビクトリア州最高裁は、地裁判決を支持し、枢機卿の控訴を棄却。だが、無罪を主張してきた枢機卿は、連邦最高裁判所に上告し、2020年4月、同裁判所が、「犯罪は行われなかったという理にかなった可能性があり、よって、無実の人物を罪に定める可能性がある」とし、下級審の有罪判決を破棄し、無罪とした。

 最高裁判決まで、ペル枢機卿は、約400日間、禁固刑に服していた。枢機卿は釈放後、自身が常に訴え続けた無実が認められたことで、「これまで受けた不正義が正された」と語り、告発者に対する恨みはない、とも述べた。そして、長い癒しの基礎となるものは真理であり、正義の唯一の基礎も真理である、なぜなら正義とは、すべての人のための真理を意味している、と話した。

 教皇フランシスコは、ペル枢機卿の無罪判決の知らせから数時間後、バチカンのサンタ・マルタ館でのミサで、「四旬節のこの日々、私たちは、イエスが迫害され、律法学者たちがイエスをいかに敵視したかを見ました。イエスは罪のない方でありながら、憎しみによって裁かれました。今日、わたしは、憎しみによる不当な判決に苦しむすべての人々のために祈りたいと思います」と、ペル枢機卿の名前に触れずに、このように説教した。

 バチカン広報局は、ペル枢機卿の無罪判決を受けて声明を出し、教皇庁は常にオーストラリアの司法当局に信頼を置き、同連邦最高裁判所の、ジョージ・ペル枢機卿に対する未成年者虐待の訴えに無罪を告げ、実刑判決を破棄した、全会一致の判決を好意的に受け止めている、と述べていた。また、枢機卿は、司法府の判断に自らをゆだね、真理が明らかになることを待ちながら、一貫して無罪を訴えていた、とし、この機会に、未成年者に対するあらゆる虐待の防止と追及に取り組む教皇庁の意向を改めて強調していた。

(編集「カトリック・あい」)

2020年10月13日

・バチカン敷地内の小神学校で性的虐待容疑の司祭2人が裁判所に出廷へ

(2020.10.11 カトリック・あい)

 CATHOLIC NEWS SERVICEが9日付けで報じたところによると、バチカンにある小神学校の2人の司祭が14日にバチカン刑事裁判所に出廷することになった。2人は同小神学校の生徒2人に対する性的虐待に関与した疑いで昨年秋に起訴されていた。

 この2人は、ガブリエレ・マルティネリ神父とエンリコ・ラディス神父。前者は、聖ピオ小神学校で教員を務めていた際、未成年の生徒に性的虐待を働いた疑いがもたれ、後者は同校の校長として、虐待を助長し、幇助した容疑がかけられている、という。虐待は2012年より前になされたとされている。

 小神学校は、イタリアのコモ教区が運営しているが、施設そのものはバチカンの敷地にあり、神学校に進むための教育を受けるために11歳から18歳の少年10人余りが宿舎に寝起きし、聖ペトロ大聖堂で教皇がささげるミサの侍者を務めている。

 この小神学校での性的虐待の情報は2013年から広まり始め、学校関係者とコモ教区によって調査が行われたが、十分な対応がなされないまま、マスコミで取り上げられ、2018年になってバチカンの担当部局が調査に入っていた。

 イタリアのテレビ番組「LeIene」には、被害者の1人、現在21歳になっているポーランド人の若者が登場し、13歳の時にローマに来て、司祭になることを希望して、小神学校に入ったが、リーダー格の年上の生徒が夜、彼の部屋にやって来て、ルームメイトのベッドに入り、性的虐待を繰り返した。その男は、2017年に司祭叙階したといい、現在コモ教区で働いている29歳のマルティネリ神父とされており、イタリアの警察当局も独自に調査している、という。

 

2020年10月11日

・「中国との暫定合意」は2年延長で更新、中国側の合意厳守を暗に期待ーバチカン国務長官

(2020.10.2 カトリック・あい)

 バチカンと中国の司教選任に関する暫定合意の扱いについて、バチカンのパロリン国務長官が、すでに現行の内容のまま2年延長することを中国側に提示していることが明らかになった。米国のカトリック系有力インターネット・ニュースCRUXが2日付けで伝えた。

 パロリン長官は1日、バチカンを訪れた米国のポンぺオ国務長官と45分にわたって会談し、対中国政策などについて双方の意見を交換したものの、双方の見解が一致することはなかった。

 CRUXによると、パロリン長官は記者団に対し、中国国内での人権抑圧などを根拠に暫定合意の更新に反対する米国の強硬な姿勢には明確な理由があると信じており、「ポンぺオ長官もまた、バチカンがこの問題に対処するやり方について理解してくれたと信じている」とし、「私たち(米国とバチカン)は皆、信教の自由と教会が正常な活動が確保する目標に向かって模索を続けている… (米国とバチカンが)違うのは、その目標を達成するための方法だ」と語った。

 そして、パロリン長官は、バチカンは中国との暫定合意が今月で期限切れとなることを確認したうえで、バチカンは中国側に「ad experimentum(注:正式な合意に移行する前の試験的取り決め)期間の2年追加」を” request(依頼)”している、と述べた。

 さらに「ad experimentumである限り、その内容は秘密とされる」と述べ、具体的な取り決めをこれまで通り公開しない方針を示した。そして、「今後二年間、これは” the request”であり、これまでされてきた通り、継続すべきものだ。私たちが希望するのは、これまで以上にうまく機能し、司教が空席になっている教区に司教が任命されることだ」と語り、中国側が暫定合意を厳守し、内容通り実行することに、暗に期待を表明した。

 

 

2020年10月2日

・米、バチカン国務長官会談ーバチカンは暫定合意更新の方針変えず

Cardinal Parolin meets with US Secretary of State Mike Pompeo

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2020年10月1日

・講演会で米国とバチカンの国務長官、信教の自由めぐる対中国政策の違い明確に(Crux)

(2020.9.30 Crux  Senior Corespondent Elise Ann Allen

On China, Vatican and US risk flawed assumptions about each other U.S. Secretary of State Mike Pompeo delivers his speech during the “Advancing and Defending International Religious Freedom Through Diplomacy” symposium, in Rome, Wednesday, Sept. 30, 2020. (Credit: Guglielmo Mangiapane/Pool Photo via AP.)
 Cardinal Parolin speaking at a Symposium in Rome hosted by the U.S. Embassy to the Holy See (photo courtesy U.S. Embassy to the Holy See)

Cardinal Parolin speaking at a Symposium in Rome hosted by the U.S. Embassy to the Holy See  (Courtesy U.S. Embassy to the Holy See) ROME –バチカンと中国の司教任命に関する暫定合意が期限を迎えた9月30日、米国の在バチカン大使館主催の「外交と信教の自由」に関するシンポジウムが開かれた。

 会議には、先日、First Things誌への寄稿で「中国の人権や信教の自由を蹂躙している行為に異議を唱えないことでバチカンと教皇フランシスコが道徳的権威を失うリスクがある」と指摘した米国のマイク・ポンペオ国務長官、暫定合意更新の方針を明確にしているバチカンのピエトロ・パロリン国務長官、ポール・ギャラガー外務局長などが出席した。

*米国務長官「中国で信教の自由が危機にさらされている-バチカンは勇気ある道徳的な証しを」

 ポンぺオ国務長官は講演で、教皇を含む宗教指導者たちに、信教の自由を守る「勇気ある道徳的な証し」をするよう強く求めるとともに、現在の中国について、「中国ほど、信教の自由が脅威にさらされているところはない」と非難した。

*バチカン外務局長「議論を放棄することは誰にとっても不利益」と”対話路線”強調

 これに対し、ギャラガー外務局長は、中国と対決姿勢を取らないバチカンの路線を擁護し、「信教の自由を巡る議論を放棄することは、犠牲者たちにとっても、『私たちに同意しない人々』にとっても、不利益をもたらすことになるだろう」と主張。

 バチカンが中国や他の誰かに目をつぶっていないことを婉曲的に表明し、「バチカンは信教の自由の侵害に、懸命に、絶えず注意を払っている・・・ 私たちは、自分たちに手にある外交ツールを使い続ける」と述べた。

 また外務局長は、無差別に標的にしていると思われる「新右翼」を装った「西側諸国における巧妙な形の迫害」について懸念を表明した。

*米国務長官「ヨハネ・パウロ二世は欧州での共産主義に終焉をもたらした」

 ポンペオ長官は講演の冒頭で、宗教指導者たち、とくにカトリック教会の指導者たちに、信教の自由を、中国共産党などの「専制政治体制」やISISなどの過激派集団から守る「道徳的な証し」をするように求めた。

 そして、ポーランド出身の故ヨハネ・パウロ二世教皇が「専制政治に挑戦し、そうすることによって、教会が世界をより人間的な方向に動かすことができることを示した」と述べ、欧州における共産主義の終焉をもたらすのに果たした同教皇の役割を賞賛。

 さらに、私たち全員が現在の時代においても、彼のように力強く振る舞う必要がある、とし、聖書でイエスが弟子たちに促されている「地球の塩であり世界の光」という言葉は、「力強い道徳的な証しをすることを意味している」と強調した。

*駐バチカン米大使「信教の自由を守るのは国家安全保障上の義務」

 また、米国のカリスタ・ギングリッチ駐バチカン大使は、開会のあいさつで、「信教の自由を守ることは、国家安全保障上の義務」としたうえで、「信教の自由を守るために、今ほど重要な時期はありません」と述べ、ミャンマーのロヒンギア・イスラム教徒、ニカラグアとナイジェリアのキリスト教徒、サウジアラビアのイスラム教徒と非イスラム教徒、そして、中国におけるウイグル人イスラム教徒や他の宗教団体の人々に対してなされている宗教的迫害を挙げた。

 このシンポジウムには、パネリストとして、米国のサミュエル・ブラウンバック信教の自由担当大使、ネイサン・セイルズ国務次官(民間安全保障、民主主義、人権担当)、バチカンの諸宗教間対話評議会のカレド・アカシェ・イスラム教担当らが出席した。

 ポンペオ長官は、発言の中で、「人間の尊厳と宗教の自由を守ることは米国の外交政策の中心課題」とし、中国については特に、ウイグル人イスラム教徒に対する迫害、具体的には、強制収容所や女性に対する強制的な中絶と不妊手術などを挙げて非難。

*米国務長官「中国国内で全ての宗教、宗派が犠牲にー香港市民も、ウイグル人イスラム教徒も、カトリック教徒も」

「犠牲になっているのは彼らだけではない…中国共産党は国内のすべての宗教、宗派を打ちのめしている… カトリック教徒も、この抑圧の波を免れなかった」と述べ、聖堂の破壊、司祭と司教の逮捕、そして香港での民主活動家の逮捕、監禁などを具体的に上げた。

そして、このような迫害の実態に「光を当てる」には、さらに多くのことをしなければならない、とし、そうするうえで、「カトリック教会は指導的役割を果たすことができる特別の立場にある。各国政府関係者は中国との間を往来しているが、教会は別の立場にある」と指摘した。

*米国務長官「列聖20周年迎える中国の殉教者123人は信教の自由を守った勇気ある人々」

 また、ポンぺオ長官は、ヨハネ・パウロ二世が中国人殉教者123人を列聖して今週で20周年を迎えることを取り上げ、「彼らは、自らの良心に従って、信仰を守る為に危険を冒す世界中の多くの勇気ある男女たちの、模範となった」と述べた。

*バチカン外務局長「信教の自由守る対話でカトリック教会は”羅針盤”に」

 バチカン国務省のギャラガー外務局長は、ここ数十年で「国際の平和と安全の問題において宗教が果たす重要な役割についての認識が高まっている」と述べ、信教の自由を尊重することは、「人類の共通善」を促進するという点で「必須条件」だ、と強調した。

 その一方で、バチカンは、公的および私的領域における宗教の自由を制限する、いわゆる「新右翼」」などの傾向について懸念を強めている、とした。

 それは「主として西欧の国々で見られる、宗教の信じる生き方と矛盾する法律について、従来以上に一般化した傾向… 物理的な迫害の形によるものだけでなく、政治的な矯正と呼ばれるイデオロギー的傾向が従来よりも顕著になっている… それは、寛容と差別の名のもとに、自分たちの立場を受け入れない人々を非難するのを容易にしている」とし、これらの法律を発動する人々は、「自分自身、忍耐力に欠け、差別的だ」と断言した。

 また外務局長は、バチカンは、信教の自由についての議論や討論において「活動的であり続ける」と述べ、カトリック教会はこの問題に関する対話において「道徳的な羅針盤」になることができる、と強調した。

*バチカン国務長官「信教の自由に関する根本的誤解を解く障害は”不寛容”」

 バチカンのパロリン国務長官は、シンポジウムの閉会あいさつで、「信教の自由と良心の自由は人間性の『固有の部分』として重要であり、そこでは、人それぞれが神から『良いことをする』ように召されている」と述べた。

 そして、良心に対する新たな数々の侵犯の理由の一部は-そうするのが、過酷な行為を強制しようとするテロリストの政治体制であろうと、『政治的イデオロギーでぶつかる人々を黙らせ』ようとする『政治的には正しい、不寛容な人々』であろうと-、『恐怖とイデオロギー』によって突き動かされた『信教の自由に関する根本的な誤解』がもとになっている」と指摘。

 さらに、「過激な主観主義」と「誇張された個人主義」が、そうした誤解の根本原因になっている、と批判。「こうした現状、そして、異なる信条を表明する人たちの間で対話の機会が減っている中で、私たちがもっと不寛容について真剣に考えるべきだ」と語り、同意しない能力は健全な社会のしるし、と強調した。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2020年10月1日