◎教皇連続講話「使徒言行録」③「聖霊は私たちに人間的な限界を越えさせ、教会を成長させる」

(2019.6.19 VaticanNews)

 教皇フランシスコは19日の水曜恒例の一般謁見で、先週に続いて「使徒言行録」をもとにした講話をされ、今回は、聖霊降臨の日の出来事について考察された。

*祈りと息

その日、弟子たちは”上の部屋”でマリアを囲んで「祈って」いた。教皇はまず、「『祈り』は、いつも弟子たちに息をさせる『肺』です。『祈り』がなくではイエスの弟子であることはできません」と前置きされたうえで、聖霊降臨は「弟子たちの期待を超える出来事」、私たちに「根源的な息」を思い起こさせる風の力に、彼らは「驚嘆」した、と語られた。

*風と火

そして、風に続く火。教皇は「『火』は私たちに、聖書に書かれた『燃える柴』を思い起こさせます。『火』は神の現存によって生じるものだからです」とされ、「その火の中で、神はご自身の生きた言葉を伝えられ、火そのものが、『人々の心を温め、輝かせ、試される』という神の業を表現しています… シナイ山で、私たちは神の声を聞き、エルサレムで、聖霊降臨の喜びの中で、それはペトロの声になります。自身の弱さにもかかわらず、聖霊の火に満たされると、ペトロの声は力を得ます。人々の心を貫くことのできる力… それは強い者を惑わすために、神がこの世で弱い者を選ばれるからです」と説かれた。

*真理と愛

さらに教皇は「教会は愛の火から生まれます… 聖霊降臨の日に起こった火は、復活された方の聖霊に満たされた言葉の力を示します」と述べられ、弟子たち自身の言葉も、同じ聖霊に満たされたものとなる、その言葉は「新しい、今までとは違う言葉となり、すべての言語に同時通訳されたように、誰にでも分かる言葉」となった、それは「世界共通語であり、文字が読めない人にも分かる、真理と愛の言葉」なのだ、と強調された。

*交わりと和解

 最後に教皇は「聖霊は、交わりを作られる方、ユダヤ人とギリシャ人、奴隷と解放された自由民の間にある障壁の取り除く方法を知っている和解の芸術家… 人間的な限界、罪、スキャンダルを乗り越えるのを助けることで、教会を成長させてくださる」とし、「神の聖霊だけが、人々を人間的にし、つながりを作る… それは、ご自身を受け入れる人々から始まります」と締めくくられた。

*広島、長崎の「平和大使」の高校生二人に激励の言葉

 なおこの日の一般謁見には、「高校生平和大使」として広島と長崎の高校生2人が参加し、教皇は彼らに直接言葉をかけて、励まされた。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

2019年6月20日

♰「神に近づく者は負けない、常に前進する」-カメリーノでミサ

(2019.6.16 バチカン放送)

 教皇フランシスコは三位一体の大祝日の16日、2016年8月24日の地震で大きな被害を受けた中部イタリア・カメリーノを公式訪問され、ミサを捧げられた。

 ミサ中の説教で、教皇は被災者たちに、「神は私たちの肩に重荷を負わせるだけにせず、苦悩や困難に立ち向かい、そこから立ち直るための力をも与えてくださいます」と述べられ、「希望の神、人々の身近にとどまられる神に信頼し、祈り、人が何かを始めるのをただ待つのではなく、自ら善を行い、兄弟たちを慰めることに心を向けるように」と勧められた。

 また、三位一体の大祝日にあたって、「聖霊において、神の子キリストを通して実現された救いの神秘」について語られ、被災者たちのために祈ると共に絶えず精神的に寄り添うことを約束し、「神は決して私たちを忘れ去ることはないこと、神にとって一人ひとりが限りなく尊い存在であること」を思い起こすよう励まされた。

(2019.6.16 Vatican News 英語版)

Pope at Mass in Camerino: “Remember, repair, rebuild…together”

 Pope Francis celebrates Holy Mass in Camerino in the Italian Marches Region, reflecting on Psalm Number 8, and on the words “remembering”, “hope”, and “closeness”.

 The earthquakes that struck Camerino and nearby Italian hill-towns, on August 24th and again on October 30th three years ago, left nearly 300 people dead and buildings in ruins. At a magnitude of 6.6 on the Richter Scale, they were the most destructive earthquakes to hit Italy in over 30 years, after those that devastated L’Aquila in 2009. The towns and the people have been struggling to recover ever since.

Psalm 8:5

Pope Francis began his homily by repeating the words of Psalm 8: “What is man that you are mindful of him?” The Pope said these words came to mind when he thought of the people of this area: “Faced with what you have seen and suffered”, he said, “with houses collapsed and buildings reduced to rubble, the question arises: what is man ever? What is he, if his hopes can end up in dust?”

Remembering

In quoting from the Psalm, Pope Francis used the Italian verb “ricordare” – which literally means “to remember”, or to “return with the heart”.  Answering his own question, he said, “God remembers us as we are, in our frailty…He returns to us with the heart, because we are in His heart”. We may be “small under heaven and powerless when the earth trembles”, the Pope continued, “but for God we are more precious than anything”.

“Remembering is a key word for life”, said Pope Francis. “Remembering gives us the strength not to surrender”. The Pope admitted that bad memories return, even when we don’t want them to. To free ourselves “from the negative memories that keep us prisoner, from the regrets that paralyze us, we need someone to help us carry the burdens we have inside”, he said. Jesus does not offer us the “quick and easy solution” of taking away our burdens, explained the Pope. Instead, He sends us the Holy Spirit, the Comforter, who transforms “the wounds of the past into memories of salvation…because the Holy Spirit is the rebuilder of hope”.

Pope Francis then proceeded to speak about the nature of Hope. “Earthly hopes are fleeting”, he said, “they always have an expiry date”. “The hope of the Spirit”, on the other hand, “is a long-lasting one because it is based on God’s fidelity”. This is the hope that confirms we are not alone, added Pope Francis. “It is a hope with strong roots, which no storm of life can eradicate”. This is the hope that, according to St Paul, “does not disappoint”.

Closeness

Pope Francis continued his homily referring to this Sunday’s Feast of the Most Holy Trinity. “The Trinity is not a theological puzzle”, he said, “but the splendid mystery of God’s closeness”. God is not “up there, distant and indifferent”. God sends us the Spirit, knowing that “it takes more strength to repair than to build”. The Pope recalled how “almost three years have passed” since the earthquake struck in 2016. “The risk is that, after the first emotional and media involvement, attention falls and promises are forgotten”, he said. “The Lord instead pushes us to remember, repair, rebuild, and to do so together”, he said, “without ever forgetting those who suffer”.

“I came here today to be close to you”, concluded Pope Francis, “to pray with you to the God who remembers…the God of hope…the God who is close to us…so that what is unstable on earth will not shake the certainty that we hold within us”.

 

2019年6月17日

♰「気候変動への戦いを待つ余裕は、私たちにない」-世界の石油企業代表たちに(Crux)

(2019.6.14 Crux Rome Bureau Chief Inés San Martín)

 ローマ発ー教皇フランシスコは14日、バチカンの人間開発のための部署とノートルダム大学共催の「私たちの共通の家のエネルギー移行と保護」をテーマにしたシンポジウムであいさつし、世界の代表的な石油企業幹部を前に、気候変動が人類の未来を脅かしており、「世界終末の予測」はもはや軽視できない段階にある、と訴えられた。

 教皇はシンポジウムでのあいさつで、「時間切れになりつつあります。何ができるかを考えている場合ではない。なすべきことに力を集中させねばなりません。他人が問題解決を進めるのを待つ余裕も、目先の経済的利益を優先させる余裕も、私たちにはないのです」と述べ、「気候変動の危機は、決然とした行動を私たちに求めています。そして教会は、自らの役割を果たすことに全力を尽くします」と言明された。

 ご自身の環境回勅「Laudato Si’」を引用され、「私たちは長い間、科学的な調査研究の成果に耳を傾けることをせず、世界が終末を迎えるとの予測はもはや、知らないふりをしたり、軽んじたりすることができません」とし、「気候変動とエネルギー消費の転換についてのどのような議論も、現在入手可能な最高の科学的調査・研究の結果を基礎に置かねばならず、深い認識をもってなされなけれがならない」と強調。

 そして、昨年10月に国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発表した評価報告書の「地球温暖化を産業革命前に比べ1.5°C以内の上昇に抑えるためには、社会のあらゆる側面で急速かつ広範な変化が10年程度でなされる必要がある」との提言をもとに、教皇は「気候面での緊急事態に直面している私たちは、貧しい人々と将来の世代の人々に対する正義にもとる蛮行を避けるために、必要な行動をせねばならない。短期と長期の影響を考慮に入れて責任ある行動をする必要があります」と訴えた。

 さらに、気候変動に対抗するには”勇気”が必要であり、台風、干ばつ、洪水によって一番被害を受けるのは貧しい人々であることから、行動が必要だ、とするとともに、将来の世界のためにも、ひどく台無しにされた世界を受け継がせないように、危機に対抗せねばならない、と強調した。

 今回のシンポジウムの焦点となったのは、適切な移行、炭素排出量の価格付け、気候変動リスク報告の透明性の3点だったが、教皇は「そうした移行には、低酸素社会を目指す動きの社会面、雇用面への影響にどのように対処していくか、という課題も含まれ、適切に対応すれば、移行過程で新規の雇用が生まれ、不平等が少なくなり、気候変動の影響を受ける人々の生活の質が改善する」と語られた。

 また、炭素排出量の価格付けに関連しては、人は天然資源を”賢明”に使うように求められており、天然資源を使うことの経済的、社会的コストがはっきり分かっており、将来の世代の人々ではなく、今、実際にその恩恵を受けている人々によって消費されているのであれば、その使用には倫理的な考えが必要、と指摘。気候変動リスクの報告の透明性については、それが全人類の共通の利益につながる、と述べた。

 最後に教皇は、対応に残された時間が無くなりつつあるが、気候変動の最悪の影響を避けることのできる可能性は残っており、「人間として、最悪の可能性がある一方で、良いものを選び、新たなスタートを切ることも可能です」と強調された。

 このシンポジウムにはロイヤルダッチシェル、オクシデンタル石油、レプソル、シェブロン、エクソンモービル、エキノール、イタリアのEniから代表が出席し、会議の最後に、地球温暖化ガスの排出量削減に向けた炭素燃料価格設定と気候変動に関する戦略、行動、管理手法、実績に関する明確な情報の開示の重要性を確認する声明に署名、「世界のエネルギー産業、投資機関、その他の組織を代表して、我々は、将来の低炭素社会への移行を、現在の計画を上回って大きく加速するために、人間的、経済的繁栄を進めつつ、地球の温暖化を2°C以内に抑えるための大規模な行動とさらなる技術面での解決策が必要とされていることを、認識する」と言明した。

翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2019年6月15日

◎教皇連続講話:使徒言行録について②主の復活-愛の和解の力ーを証しする素晴らしさを再発見しよう

(2019.6.12 VaticanNews Linda Bordoni)

 教皇フランシスコは12日の一般謁見の中のカテキーシスで、先週に続いて、新約聖書の「使徒言行録」について語られ、まず、「自己言及(自分自身あるいは自分の属するものに言及すること)の誘惑」に陥らないように警告されるとともに、「多様性」を恐れないように信徒たちに求められた。

 教皇は、「キリストが12人の使徒を選んだことは、教会とイスラエルの人々の間の連続性を示します」と語られた。

 復活されたイエスは40日にわたって使徒たちと共におられた後、天に昇られた。その後の弟子たちの集まりで、ペトロが、ユダの裏切りで空いてしまった12の使徒ポストの一つに「主イエスが私たちと共に生活されていた間、いつも一緒にいた者のうちの誰か一人」が加わり、「主の復活の証人になるべきだ」と提案した。そして、二人の候補のいずれかを示してくださるように、主にともに祈り、マティアが選ばれた(使徒言行録1章15~26節参照)。

 *目に見える親しい交わり

 教皇は「イエスは弟子たちに『互いに愛し合うならば、それによってあなたがたが私の弟子であることを、皆が知るであろう』(ヨハネ福音書13章35節)と語られました」とされ、使徒言行録で語られる「目に見える使徒たちの親しい交わり」が、主の復活と救いの愛を証しする最初の形となった、と説明された。

 さらに、使徒たちは、キリストの復活が「多くの出来事の中の一つ」ではなく、新しい命の源だ、ということを完全に認識し、ユダが「生よりも死」を選ぶ一方で、11人の使徒たちは「生と救い」を選び、歴史を通してー世代から次の世代へ、イスラエルの人々から教会へ-そのことを伝えていく責任を引き受けた、と指摘。12使徒のうちの一人だったユダの自己放棄が使徒たちの共同体に傷を作り、ユダの使徒としての仕事を他の人に回し、12人の集団を再構成することが必要となった、と教皇は語られた。

 *共同体の識別

 そして、このことが、共同体による識別の実践の始まりであり、識別は「神の目を通して、一致と交わりの視点から、現実を見ること」にあり、「親しい交わりは、分裂、孤立、私的な場を優先するメンタリティーに打ち勝つ」という事実を強調。

 使徒たちの目に見える親しい交わりが、主の復活と救いの愛を証しする最初の形となったが、「私たちもまた、復活された方を証しすることの素晴らしさを再発見する必要があります。自己言及の態度を乗り越え、神の賜物を自分自身のものにしておこうとする誘惑に抵抗し、決して、月並みな生き方に屈しないようにする必要があるのです」と訴えられた。

 講話の最後に、教皇は信徒たちに、私たちの一致によって、高慢と不和を打ち負かし、多様性の中から一つの神の民を作る「愛の和解の力」を証しできるよう、主に助けを求めるように強く促された。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

2019年6月13日

♰「格差と分裂の現代社会、”人間家族”を再生するために、私たちは聖霊を必要としている」-聖霊降臨のミサで

(2019.6.9 VaticanNews Linda Bordoni) 

 教皇フランシスコは9日、聖ペトロ広場で行われた聖霊降臨の大祝日のミサの説教で、私たちを「調和を作る職人、良いことの種をまく人、希望の使徒」としてくださる聖霊の賜物を懇願するように、参加した信徒たちを強く促した。

 説教で、教皇はこの日の聖書の朗読箇所を取り上げられ、聖霊のおかげで、弟子たちの心配が消え、聖霊によって元気を回復した彼らは、生き方が変わった、とされたうえで、「聖霊は抽象的な実在とは程遠い、最も具体的で、身近かな方、私たちの生き方を変える方なのです」と述べられた。

 そして、「では、どのようにして、それをなさるのでしょうか」と信徒たちに問いかけられ、「聖霊は、使徒たちにとってなすべきことを、もっと容易にはなさいませんでした。目を見張らせるような奇跡もされませんでした。彼らが直面する障害と敵対者を取り除かれませんでした。聖霊は、使徒たちの生き方に、彼らに不足していた調和、をもたらされたーご自身の調和、ご自身が”調和”だからです」と答えを導かれた。

*調和をもたらす聖霊

 「復活された主を見るだけでは不十分です。私たちの心の中に喜んで迎え入れなければ」とされ、私たちの中にイエスを生かし、心底から力づけてくださるのは聖霊であり、「それが、イエスが弟子たちに現れた時、『あなたがたに、平和があるように!』という言葉を繰り返され、聖霊を授けられた理由です」「『平和』は外的な問題を解決することではなく、聖霊を受けることに関するもの… 聖霊に満たされることによってのみ、私たちの心は平和になり、『迫害さえも恵みに変える』ことを可能にする深い調和を成し遂げることができるのです」「一過性の諸問題を解決することが平和をもたらすことはないでしょう。『変える』のは、イエスのもたらす平和、聖霊のもたらす調和、なのです」と強調された。

*平和をもたらす聖霊

 さらに教皇は、現在の狂ったような生活のペースの中で、調和は脇に追いやられ、私たちはしばしば安易な解決方法を求めている、だが、私たちに何よりも必要なのは、聖霊であり、「聖霊は、騒々しさの最中の平和、失望の最中の確信、悲しみの時の喜び、老いの時の若さ、試練の時の勇気、なのです」とされた。

 そして、「聖霊なしには、私たちのキリスト教徒の人生はむなしく、全てをまとめる愛を欠いたものとなる。聖霊なしには、イエスは”過去の偉人”にどどまり、聖霊によって私たちの現在に生きておられる方になる。聖霊なしには、聖書は”死んだ手紙”となり、聖霊によって生きた言葉となる。聖霊を欠いたキリスト教は喜びのない道徳主義となり、聖霊によって命となるのです」と訴えられた。

 また、聖霊は私たちの中に調和をもたらすだけでなく、教会の特質と賜物のもつ素晴らしい多様性を創造的にもたらしてくださり、その多様性を基礎にして、聖霊は一致を作られる、と指摘され、「創造の初めから、聖霊はそうなさってきました。混沌と宇宙に変え、調和を作り出すスペシャリスト、だからです」と説かれた。

*一致をもたらす聖霊

 教皇は、現代世界の調和の欠落が、殺伐とした分裂をもたらしており、「多くを持ちすぎている人がいる一方で、何も持たない人がおり、百歳まで生きようとする人がいる一方で、生まれることさえできない人がいる」現実を指摘され、「現代のコンピューターの時代にあって、格差は拡大を続けており、ソーシャルディアを使えば使うほど、私たちは社会性を失っていきます」と警告。

 そのうえで、「私たちは、教会として、神の民として、人間家族として自分たちを再生するために、聖霊を必要としています」と訴え、「私たちの小さな集団にしがみつこうとする誘惑」を糾弾し、あらゆる堕落に抵抗するように呼びかけ、「聖霊は、離れ離れの人々をまとめ、遠くの人々を一致させ、別れ別れになった人々を故郷に戻します。様々に異なった色調を、調和するように混ぜ合わされます。それは、あらゆることの前に、善をご覧になるからです」と説かれた。

 続けて教皇は、「聖霊は、人々の過ちに目をやる前に一人一人をご覧になり、人々の行いの前に人物をご覧になります」とし、聖霊は「息子たちと娘たち、兄弟たちと姉妹たちの場」としての教会と世界を形作られる、と説明され、聖霊によって生きる人々は「不和のある所に平和をもたらし、争いのある所に和合をもたらします。聖霊に満たされた人は悪を善で返します。傲慢さには謙虚さで、悪意には善意で、叫びには沈黙で、噂話には祈りで、敗北主義には激励をもって、応えます」と説かれた。

*聖霊を欠いた教会は単なる”組織”

 説教の締めくくりに、教皇は、物事を見るのに聖霊のなさり方に倣うように、信徒たちに求められ、「そうすれば、全てが変わります。聖霊によって、教会は神の聖なる民となり、その使命は喜びを広げることになります。他の人々が私たちの兄弟、姉妹となり、同じ父のよってすべての人が愛されるのです」と訴えられ、聖霊を欠けば、「教会は”組織”、その役割は”プロパガンダ”となり、交わりは骨の折れるものとなります」と警告された。

 そして最後にこう祈られた。「神の調和である聖霊よ、あなたは恐れを信頼に変え、自己本位を自己奉献に変えられます。私たちのところに来てください…  私たちを和合の職人、善の種を撒く人、希望の使徒にしてください」。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

2019年6月9日

♰オランダの少女安楽死に対して、「安楽死と自殺幇助は皆にとっての敗北」

(2019.6.6 バチカン放送)

 オランダの17歳の少女、ノア・ポトーベンさんが同国で合法化されている安楽死を実行したことを受けて、教皇フランシスコは5日、安楽死と自殺幇助をめぐりツィートされ、思いと祈りを表された。

 このツィートで、教皇は「安楽死と自殺幇助は皆にとっての敗北です。これに対して、私たちが求められている答えは、『苦しむ人を決して見捨てず、あきらめることなく、希望を再び与えるためにケアし、愛すること」です」と述べられた。

 

2019年6月7日

♰「巡礼者として、人々と交わり、共にいる喜びを得た」-ルーマニア訪問を振り返って

(2019.6.5 バチカン放送)

 教皇フランシスコは5日、バチカンで水曜恒例の一般謁見を行われ、講話で、2日までのルーマニア司牧訪問について報告された。

 教皇は、聖ヨハネ・パウロ2世の初訪問以来20年ぶりにローマ教皇のルーマニア訪問が実現したことを神に感謝され、ヨハニス大統領はじめ、すべての関係者の協力に心からのお礼を述べたうえで、今回の訪問のモットー「共に歩もう」の通り、「巡礼者として同国の人々と交わり、共にいる喜びを得ることができました」と述べられた。

 そして、滞在中の様々な出会いを通し、「キリスト者同士」が信仰と愛において、また「市民同士」が社会への取り組みにおいて、「共に歩むことの大切さを訴えました」と話され、教会一致に向けた成果として「ルーマニア正教会のダニエル総主教および聖シノドとの出会い」を挙げ、この機会を通して「記憶の和解と完全な一致を目指しつつ、共に歩むことを願う」というカトリック教会の望みを強調した、と述べた。

 また、ギリシャ典礼とラテン典礼から構成されるルーマニアのカトリック共同体と、ブカレストのカテドラル、スムレウ・チュクの聖母巡礼聖堂、そしてブラジで、3回にわたってミサを捧げることができ、特にブラジでは、自由といつくしみの証人である、7人の司教殉教者の列福式をとり行うことができた、と語られた。

 一方、ヤシでの若者と家族との出会いでは「多様性の豊かさと同時に、ルーツを大切に、自由と創造性のうちに共に歩む道を切り開いていくよう」に求め、ブラジのロマ族共同体との出会いでは「あらゆる形の差別に反対し、民族・言語・宗教の異なるすべての人への尊重」を呼びかけた、 と話された。

 最後に教皇は、この訪問がルーマニアと同国の教会に豊かな実をもたらすことができるよう、聖母の取り次ぎを祈られた。

(編集「カトリック・あい」)

2019年6月6日

◎教皇連続講話「使徒言行録について」①”旅”の主役は御言葉と聖霊、御言葉の力強さは「聖霊の力」だ

(2019.5.30 バチカン放送)

 教皇フランシスコは29日の一般謁見中のカテケーシス(教会の教えの解説)で、先週で終了した「主の祈り」の考察に続いて、「使徒言行録」を介した考察を始められた。

 考察で教皇はまず、福音書記者・聖ルカによって記された「使徒言行録」は「旅」について語っており、その「旅」とは「この世での福音の旅」だ、と指摘され、「この旅の中で御言葉と聖霊は素晴らしい結びつきを示していますが、実際のところ、使徒言行録の主役は、御言葉と聖霊なのです」と語られた。

 そして、「『仰せを地に送ると 御言葉は速やかに走る』と詩編147章15節にあるように、神の御言葉は走り、降りた全ての地を潤します… 御言葉の力強さは、ルカによれば、美辞麗句ではなく、聖霊の力なのです」と強調され、「聖霊のおかげで使徒たちは選ばれ、聖霊は彼らの福音宣教における忍耐と実りを保証しました。それは、聖霊が今日、私たちの宣教を支えているのと同様です」と述べられた。

 さらに、福音書はイエスの復活と昇天を結末とするが、「使徒言行録の物語は、まさにここから、復活された主の命があふれるほどに教会に注ぎ込まれたところから、始まります」「復活の主がご自身の弟子たちを派遣したのは、現在を不安のうちに生きるためではなく、時代と結びつきながら、聖なる歴史が広がるのを待ち、時間と空間の主である神の歩みに備えるためでした」とされた。

 使徒たちは、最後の晩餐でイエスが聖体を与えてくださった出来事を証しする(注:最後の晩餐の場であり、聖霊降臨の場とされた)「二階の広間」で、主の家族のように共に生き、忍耐をもって祈り、一つになって、神の力の訪れを待ったが、「彼らのこの体験を豊かにしていたのは、『愛に忠実であること』を主から最初に学んだ、マリアと女性たちの存在でした」と指摘された。

 終わりに、教皇は「主の歩みを待つ忍耐-主の業を自分たちで作り出すという誘惑に屈せず、祈りのうちに従順に生き、聖霊を呼び求めつつ教会の一致を育む忍耐-を、私たちも主に祈りましょう」と会衆に呼びかけられた。

(編集「カトリック・あい」)

(2019.5.29 VaticanNews)

 Pope Francis begins a new catechesis on the Acts of the Apostles, telling the faithful that the protagonists are the Word and the Spirit.”

 At his General Audience on Wednesday the Pope led the faithful on a new journey. Leaving behind his continuing catechesis on the Our Father, Pope Francis began a new cycle focusing on the Acts of the Apostles.

 The Pontiff explained how this book speaks about the spread of the Good News and shows us the wonderful bond between the proclamation of the Gospel and the Holy Spirit who gives power to this witness of faith. He added that, “the protagonists of the Acts are a lively and effective “couple”: the Word and the Spirit.”

 The Word of God, said Pope Francis, “is dynamic, it irrigates every ground on which it falls.” He also pointed out that its strength, according to St Luke is not its rhetoric but the power of the Holy Spirit.

 The gift of the Spirit, noted the Pope, is freely given; it cannot be merited or earned. The Lord himself “gives everything for free. Salvation is not bought or paid for: it is a free gift.”

 Pope Francis emphasized how the Risen Jesus invites us to faithfully await the fulfilment of the Father’s promise which is, “You will be baptized with the Holy Spirit”

 As they awaited this gift, said the Pope, the Apostles, together with Mary, did so as members of the Lord’s family in the upper room.

 They awaited this promise, stressed Pope Francis, “praying with perseverance, as if there were not many, but only one…It is through prayer, in fact, he said, that solitude, temptation and suspicion are overcome and the heart is opened to communion.”

 At the end of the Audience the Pope recalled that on May 30 the Church celebrates “the Ascension of the Lord Jesus into Heaven”.

 Pope Francis commented, as Jesus said to the Apostles, the Lord repeats to us today, “I will not leave you orphans, I will come to you”. He concluded, “if you are friends with Jesus, He will make you feel his presence in your life, and you will never feel alone or “Abandoned.””

2019年5月30日

♰「教会は聖霊に従い、信徒一人一人の行動的な参加によって成り立つ」

(2019.5.26 VaticanNews Devin Watkins

 教皇フランシスコは復活節第6主日の26日、聖ペトロ広場での正午のレジナ・チェリ(天の元后)の祈りに先立つ説教で、復活されたイエスを証しする中で聖霊が私たちと教会をいかに導くか、を観想された。

  説教で教皇は、この日のミサで読まれた福音書(ヨハネ14章23-29節)を取り上げられ、「受難を前にされたイエスは、あなた方を放っておくことは絶対にしない、と弟子たちに約束されました」とされたうえで、イエスが「父が私の名によってお遣わしになるパラクレートスー聖霊ーが、あなたがたにすべてのことを教え、私が話したことをことごとく思い起こさせてくださる」と語られた言葉は「約束の言葉なのです」と述べられ、ギリシャ語の「パラクレートス」は、「助け、慰めるために人の側に立つ者」を意味する、と説明された。

 さらに「このようにして、イエスは、聖霊-パラクレートス-のなさることを通して、弟子たちを教え、励まし続けられ、私たちが世界に福音を述べ伝えるという使命を果たすのを助けてくださいます」と語られ、「聖霊は神の啓示に何も付け加えない、なぜなら、イエスは弟子たちに託されようとしたことを全てお伝えになっていたから。聖霊の仕事は、人々に、イエスの教えを完全に行う使命を思い起こさせるようにする、言い換えれば、教えを充分に理解させ、力づけることです」とされた。

 さらに、「その使命は、生き方を通して遂行する教会の使命でもあります」とし、その使命とは「主を信じ、御言葉を守ることに特徴づけられます。それは、復活された主を現存させ続ける聖霊の業に従い、主の平和を受け入れ、他の人々との出会い、開かれた態度を通して主を証しすること」であり、「教会は一か所に留まりつづけることができない。洗礼を受けた一人一人の行動的な参加によって成り立つものです」と言われた。

 教皇は、信仰の旅をしばしば妨げる自分の見方、戦略、目標の束縛から自分自身を解き放ち、神の言葉に素直に耳を傾けるように、私たちは求められている、とされ、「私たちを導き、教会を導くのは聖霊です。キリストが望まれる本物の、美しく、光あふれる顔を輝かすように」と述べられた。

 そして最後に、信徒たちに、特に「聖母マリアの月」である5月の間、教会と全人類をお守りくださるように、聖母マリアにお願いするよう促され、「神の子の顕現において聖霊と完全につながった謙虚で勇気ある信仰をもって、私たちがパラクレートスの教えと導きに従うように助けてくださいますように。そして、私たちが神の言葉を受け取り、私たちの人生をもって証しすることができますように」と祈られた。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二=福音書の引用は「聖書協会 共同訳」を使用)

 

2019年5月27日

♰「福音は、信仰が”行動予定表”でなく、”道”であることを教えてくれる」-国際カリタス総会記念ミサで

 (2019.5.23 バチカン放送)

 教皇フランシスコは23日夕方、バチカンの聖ペトロ大聖堂で、国際カリタスの関係者とミサを捧げられた。ローマでの国際カリタス第21回総会の開会を記念して行われた。

 ミサの説教で教皇は「イエスは”完璧な模型”のような教会は望んでおられません。イエスの生き方は『歩み』の中にあり、人生の衝撃をも恐れないものでした」と述べられたうえで、「福音こそが私たちの人生のプログラムであり、そこにすべてがあるのです」と強調。福音は私たちに「諸問題への対応は”既成の対策”で間に合わせるものではない。信仰とは”行動予定表”ではなく、”道”であることを教えてくれます」と説かれた。

 そして、このような「歩む教会」に必要な要素として、「耳を傾ける謙遜さをもつこと」「様々なカリスマの集まりであること」「捨てることの勇気をもつこと」の3つを挙げられ、「使徒言行録」に見られる初期キリスト共同体は「宗教的な伝統とアイデンティティーを大切にしながらも、『主を告げる』ことに最大の主眼を置いていました」と指摘。

 さらに、神と真の信仰は「私たちをこだわりから清める力を持っています。主に従って歩むには、余計なものを捨て、身軽になる必要があります」と諭され、「他人への関心が育つとき、自分自身への執着が減り、他人に耳を傾けることで、人は謙遜になるのです」とも語られた。

さらに、「一人ひとりがイエスの教会の一員として、それぞれのカリスマをもって集まり、画一性ではなく、交わりを創り出していくこと」の重要性を示された。

(編集「カトリック・あい」)

2019年5月25日