・ロシアによるウクライナ攻撃続行が正教会の復活祭に大きな影

Rescuers search for survivors in a partially destroyed residential building, after a shelling in Sloviansk, on April 14, 2023Rescuers search for survivors in a partially destroyed residential building, after a shelling in Sloviansk, on April 14, 2023  (AFP or licensors)

 ロシア当局は現在、米経済紙Wall Street Journalの記者をスパイ容疑で逮捕、拘束しているが、他にもこの悪名高い刑務所には多くの人が収容されており、その扱いが懸念されている。

 ウクライナの人々は、正教会の復活祭を迎える中で、攻撃がすぐにも停止し、心身が傷ついた人々が癒されるように祈っている。しかし、スロビアンスクのような事態が繰り返されることを懸念する治安当局は、復活祭を祝おうとする人々に、大規模な祝祭行事への参加を控えるように、聖堂に「不必要に」長くとどまらないように、と警告している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2023年4月16日

*暴力の連鎖深刻化する聖地のキリスト教会指導者たち復活祭を前に和平訴え(Crux)

ナタニヤフ政権の司法制度改革に抗議する行列(4月1日、首都テルアビブで (Credit: AP Photo/Ohad Zwigenberg.)

Christian leaders in Holy Land make Easter appeal for peace amid spiral of violence

(2023.4.3  Crux  Senior CorrespondentElise Ann Allen) 

 ローマ発 – イースター休暇が近づくにつれてイスラエルの緊張が高まる中、同国のキリスト教会指導者たちが3月31日に声明を発表、暴力の激化に強い懸念を示すとともに、国の指導者たちに対して、協力し、差別に終止符を打つよう訴えている。

 声明は、イエス・キリストの復活を通して「私たちを新たに生まれさせ、生ける希望を与えてくださった」と聖ペトロが語る第一の手紙(1章3節)を引用し、「この希望は、使徒たちと初期のキリスト教徒に、喜び、尊厳、そして恩寵をもって、多くの試練と苦難に耐える力を与え、彼らを支えたのです」と述べた。

 そして、「このような喜びの中で、たとえほんのしばらく様々な試練を受けるとしても、私たちの信仰の真正さが…イエス・キリストが真の姿を現される時、賛美と栄光、栄誉の中に見出されるでしょう。そして、私たち自身の信仰が試され続けている今の激動の時代に、私たちを励まし、力づけてくれます」と強調している。

 また、ここ数か月の間に「聖地をのみ込んだ暴力のエスカレーション」を取り上げ、特に現地のキリスト教徒は「聖ペトロが書いているような逆境に、ますます苦しめられています」とし、「この 1 年間、私たちの教会、葬儀の行列、公共の集まりの場所のいくつかが、攻撃の標的になりました。 私たちの聖地や墓地のいくつかは冒とくされ、枝の主日の行列や聖なる火の儀式など、私たちの伝統的な典礼のいくつかは、何千人もの信徒の参加が排除されています」と訴えた。

 さらに、国際社会と地元住民に対し、「聖地のキリスト教共同体と、世界から聖地を訪れる何百万人もの巡礼者の安全、移動、信教の自由を確保するために、イスラエル政府に要請するのに協力して欲しい」と求めた。

 過去数か月、イスラエル人とパレスチナ人の間で武力衝突が増えており、昨秋にネタニヤフ首相が率いる極右民族主義連合が形成されたことで、多くのキリスト教徒やその他の少数派の間で、宗教的な差別が強化される不安が強まっている。とくに最近数週間では、いくつかの死傷者が出るような小競り合いに加えて、政府の司法制度改革を、クーデターと民主主義の抑圧が狙いとするものとして批判する反ネタニヤフ政権派の人々で騒動が起き、2日、政府がベン・グビル国家安全保障相が指揮する国家警備隊の設立を決めたことで、緊張はさらに高まっている。

 ベン・グビルは、極右政党「オツマ・イェフディット(ユダヤ人の力)」党首で、過去にキリスト教徒に対する暴力を主導し、「キリスト教徒を全員、国外追放すべきだ」と主張したと言われる急進的な反同化勢力「レハバ」のリーダー、ベンツィ・ゴプスタインを擁護している。また、2015 年にガリラヤ湖の北西岸沿い、タブハにあるカトリック教会の「パンと魚」の聖堂に放火し、有罪判決を受けた男の弁護も引き受けた。

 そのベン・グビルが率いる国家警備隊にどのような権限を与えるかは、政府機関の専門家たちで構成する委員会によって決定される予定だが、国家警備隊の新設が警察や総保安庁、さらには国防軍の権力を弱体化させ、これら治安に関する機関が競合する事態となるのを懸念する声もある。

 またネタニヤフ首相は、先に国家警備隊の新設だけでなく、最高裁判所の権限を縮小し、裁判官の選任に政治家が関与することなどを盛り込んだ司法改革案を国会に提出しており、これらを「イスラエルの民主主義の危機」ととらえて反対する国民の抗議活動が3カ月以上にわたって続いている。米国政府筋からの指摘も受け、首相が、法案成立に向けた動きを一時停止している。

 イスラエルのメディアによると、これまでに 17 万人以上が首都テルアビブでの反政府抗議行動に参加し、全国で 45 万人以上がデモに参加したといわれるが、2日に国家警備隊の創設が決まったことで、緊張はさらに高まっている。

 警察幹部OBを含む一部の反対派は、「ベン・グビルがクーデターを起こすために国家警備隊を利用する恐れがある」と警告。多くの公民権団体や野党政治家も、警察活動を政治化し、法における平等の原則を弱体化させる可能性がある、とし、国家警備隊をベン・グビル国家安全保障相の指揮に任せることに反対している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible. 

 

2023年4月3日

・「世界青年の日」の「閉幕ミサ用の祭壇・周辺設備に7億円」に現地リスボンで批判の声(CRUX)

$5.4 million altar for World Youth Day generates controversy in Portugal

((2023.1.30  Crux Staff

ローマ発 – 8月にポルトガルの首都リスボンで開かれるカトリックの「世界青年の日」で教皇フランシスコの司式が期待されている(まだ正式には確認されていない)閉幕ミサに使用される祭壇とその周辺の設備建設費をめぐって、現地リスボンで論争が起きている。

 リスボン市当局は1月下旬、5万4000平方フィートの巨大な祭壇とその周辺施設の詳細を発表、その際、この建設に要する費用が540万ユーロ(約7億5600万円)にのぼることを明らかにした。建設を受注したのは同国最大の建設会社Mota-Engil 。

 これに対して、地元のマスコミや野党政治家が強く批判、リスボン市長に、この案件について議会で質問に答えるよう要求した。

 野党ブロック党のモエダス・フィゲイレド議員はツイッターで、「市営住宅建設に、世界青年の日の祭壇の費用に充てられたなら、住宅危機はすでに克服されているだろう。問題は、公的支出の優先順位だ」と主張。ロイター通信が伝えるところでは、ツイッターユーザーのマヌエル・バルボサ氏は、「カトリック教徒として、信仰者として、このような困難な時期に不必要な贅沢ではないか」と批判している。

 市当局によると、祭壇・舞台は、教皇と随行者、約1000人の司教と 300 人の共同司式者、200 人の合唱団、30 人の手話通訳者、90 人のオーケストラ、そしてゲストを含め、最大 2,000 人が使用できるように設計されており、舞台部分はミサ後も残して、野外コンサートや集会などのイベントに活用する、という。

 わずか数時間の祭壇と周辺設備建設に多額の資金が当てられることへの批判に応えて、リスボン大司教区のアメリコ・アギア補佐司教は、リスボン市議会、およびプロジェクトを担当する都市リハビリテーション協会との間で会議を開き、建設費削減の可能性について話し合う、と説明している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2023年2月12日

・トルコのカリタス、教皇の呼びかけに応え、他教会と連帯して被災者支援

The Cathedral of Iskanderun lies in ruins as outreach continuesThe Cathedral of Iskanderun lies in ruins as outreach continues 

(2023.2.9 Vatican News  Devin Watkins) 

   トルコ、シリアを襲った大震災で多くの住民に死傷者が出ていることに心を痛められた教皇フランシスコが、8日の一般謁見、そして9日のツイートなどで繰り返し、両国や世界の国々、国際機関が連帯して救援、危機克服に努めるよう呼びかけられている。

 この呼びかけに応えて、カトリック教会のいくつもの人道支援団体が、救援に動き出している。この地域を担当するカリタス・アナトリアも被災した何千人もの人々への支援物資の提供などを始めた。

 

*効率的かつ公平な支援

 シリアとの国境に近いトルコ南部のイスカンデルン市で支援活動に当たっているAntuan Ilgit神父はVatican News の電話取材に、「カリタスは地元住民に分け隔てなく温かい食事を提供しています。トルコのカトリック教会は強い連帯で支援に当たっている。 現時点で最も機能している機関の1つであると断言できます」と語った。神父はアナトリア使徒代理区の司教代理でイエズス会士だ。

 今回の大地震で、イスカンデルン市の大聖堂は、激しい揺れで完全に崩壊した。「それでも、教会は、被災し、困窮した人たちを受け入れるために、扉を開きました。教会には広い中庭があるので、宗派を問わず、助けを求める約100人が避難所できるようにしました」と神父は説明した。

A woman huddles under blankets in nearby Syria シリア側で被災し、家を失った女性

 

*危機の中でキリスト教一致が証しされている

 

 アナトリア使徒代理区の管轄地域はトルコ全土の約半分を占めており、その大部分が大地震の影響を受けた。そうした中で、カトリックの人道支援組織、カリタス・アナトリアの責任者でもある神父は、「遠隔地の多くには、支援の手がまだ及んでいない。私たちはそうした地域にも、支援の手を差し伸べようとしています」と述べた。また、「援助の実施に当たっては、公平を心がけています。このような緊急事態の中で、必要以上の援助物資をため込もうとする人もいるからです」とも語った。

 トルコ南東部にあるこのカトリック教会は、アルメニア正教会の司祭たちを含む他のキリスト教会の人々とも力を合わせ、この悲劇に対処している。「ほんの数日前に、私たちは彼らとキリスト教一致のための徹夜の祈りを下ばかりでした。 そして今、私たちはこの緊急事態に一致して対応しています。 アルメニア正教会の信者たちは、総主教庁からの援助物資を私たちと分かち合い、私たちはイスタンブールの使徒代理区からの援助物資を彼らと分かち合っている」と教会一致の成果を強調している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2023年2月10日

・2022年に世界中で暴力行為で殺された〝宣教師”、18人に‐アフリカが最多

2020.10.23 candele preghiera Nacht der Tausend Lichter (c) Vanessa Rachlé

 

 

*中南米でも 8 人が殺されている

 中南米では、メキシコで今年も最も多い犠牲者が出ている。3 人の司祭と 1 人の神学生が殺害された。12 月 27 日に、サカテカス州の神学生が強盗を試みた武装集団に殺害されたばかり。それ以前にも6月20日に、79歳と80歳のイエズス会司祭2人がチワワ州で麻薬カルテルの武装勢力によって射殺されている。この事件はメキシコ全土に怒りを巻き起こし、 教皇フランシスコも強く批判された。

 また、ホンジュラスで2 人、ボリビアで1 人が命を落とした。ハイチの首都ポルトープランスでは、6 月 25 日、20年間も路上生活の子供たちの世話をしていたイタリア人の64歳の修道女が強盗に殺害されている。

*アジアで司祭1人が殺害

アジアでは、ベトナムのドミニコ会司祭が、コン トゥム教区で告解を聞いている際、精神病の男性に刺されて死亡している。

今年、オセアニアとヨーロッパでは宣教師の殺害は報告されていません。 オリビエ・メール、SMM、フランスのモンフォール宣教師の管区長で、ルワンダ生まれの精神的な問題を抱えた移民によって殺害されました。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

2022年12月31日

・ロシアの苛烈な攻撃の中でウクライナの人々はクリスマスを祝っている

Ukrainian serviceman decorates a Christmas tree, in BakhmutUkrainian serviceman decorates a Christmas tree, in Bakhmut  (REUTERS)

 ロシアの軍事侵略でこれまでに少なくとも数万人が命を落とし、さらに多くの人が負傷し、数百万人が家を追われている。そうした欧州で第二次世界大戦以後、最大規模の軍事侵略の恐怖からのひと時の心の安らぎを、クリスマスが提供している。

 だが、軍事侵攻開始から10か月を経ても、「クリスマス休戦」は実現していない。ウクライナ当局によると、ロシア軍は23日から24日にかけても、戦車、迫撃砲、大砲、ロケット砲を使って、ウクライナ東部、ドネツク州の都市バフムート郊外の新開地を攻撃した。

 ドネツク州の都市は、ウクライナ軍にとって東部地域の支配権を回復するために欠かせない場所であり、ロシア軍も譲る気配がない。ウクライナのゼレンスキー大統領は今週、最前線のこれらの都市を訪れ、市民や兵士たちを激励した。

 クリスマスの祝いが終わると、夫が、このウクライナを守る戦いの最前線にすぐに戻らねばならないことをレイシャは覚悟している。「このままでは、私たちの将来の計画を立てることができない。私たちは平和を願っています。 しかし、単なる平和ではありません。 (ロシアの軍事侵略との戦いに)勝利しての平和を望んでいます。私たちウクライナ国民を団結させるのは、このたった一つの願いなのです」。

 これは、ウクライナの、平和を祈るキリスト教徒を含め、何百万人もの人々が共有するクリスマスの願いだ。多くの人たちが、ロシアの容赦ない攻撃によって、発電所など生活に欠かせないインフラの多くが破壊される中で、極寒に直面している…。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2022年12月25日

・大司教の性的虐待隠ぺいがもたらした教会の信頼危機、ケルンの信徒たちの動揺深刻(Crux)

Crisis of confidence over cardinal shakes Cologne Catholics

(2022.12.10 Crux   Associated Press

ケルン、ドイツ — 前例のない信頼危機が、ドイツのカトリックの歴史的中心、ケルン大司教区を揺るがしている。 多くのカトリック信者は、彼らと深く断絶した大司教、ライナー・ヴェルキ枢機卿に、聖職者の性的虐待を隠蔽した可能性をめぐって抗議し、教会離れが続出している。

 

*ドイツ最大の歴史ある大司教区の危機は、ドイツ教会の縮図

 枢機卿の出処進退は教皇フランシスコの手に委ねられているが、ケルン大司教区が約180万人の信徒を抱える同国で最大の教区であり、司教座聖堂のケルン大聖堂は欧州でも有数の古い歴史を持ち、最も重要な巡礼地の 1 つであることもあって、波紋は国内を越えて広がっている。

 そして、すでに何千人ものカトリック信者が教会を離れている”ケルンの危機”は、ある意味で、聖職者による性的虐待に対する信者の強い批判に端を発し、大きな物議を醸している改革プロセスの中で起きているドイツのカトリック教会全体の問題の縮図ともいえるようだ。

 

*「モラルの衰退に耐え切れない信徒も」

 

 教会は卓越した道徳の模範であることが期待されており、「社会のあらゆる種類の人々のための最高の道徳基準を設定している。だが、もはや司教には当てはまらないのだろうか?」とケルン大司教区の評議会議長、ティム・クルツバッハ氏はAP通信と問いかけた。大司教区にあるゾーリンゲン市長でもあるクルツバッハ氏は、ケルン大司教区の「モラルの衰退に耐えきれずに教会を去る信徒を何人か知っている」とも語った。

 ケルン大司教区の信頼の危機は 2020 年に始まった。ヴェルキ枢機卿は、聖職者が性的虐待で訴えを受けた際、それぞれの小教区関係者がどのように対応したかに関する報告書を、自身が依頼したものであるにもかかわらず、法的な問題になることを懸念して公表せず、秘密にしていた。 そのことで、多くの信徒たちの反発を買い、信頼を大きく損なった。

 そして、2021 年 3 月に公表された新たな報告書では、高位聖職者が、適正な対応を怠った事例が 75 件明らかになり、ケルン大司教区のトップであるヴェルキ枢機卿が、性的虐待の被害者に関する法的な義務を怠ったことも明白になった。枢機卿は、その後、聖職者の性的虐待の訴えなどに関する扱いで過去に間違いを犯したことを認める一方、辞任によって責任を取ることを拒否し、さらに信徒たちの反発を大きくした。

*枢機卿の出した辞表を教皇はいまだ受理せず

 

 数か月後、2 人の教皇特使がケルンに派遣され、高位聖職者による対応の過ちの可能性について取り調べを行い、その結果の報告を受けた教皇フランシスコは、ヴェルキ枢機卿に重大な意思疎通を図る上での過ちがあった、と判断され、枢機卿に対し、数か月の”精神的なタイムアウト”を申し渡した。タイムアウトの期間を終えた後、枢機卿は教皇に辞意を申し出たが、これまでのところ教皇はそれを受理していない。

 クルツバッハ議長は、「ケルン教区の信徒たちがどれほど苦しんでいるのか、バチカンにそれが伝わっている、とか思わない。枢機卿の問題に関するバチカンの決定がなければ、私たちは危機から抜け出すことができない。 問題は最終的な解決を見る必要があります」と述べた。

 この問題は、ドイツの司教団が11月にバチカンを訪問し、教皇と会見した際に、取り上げられた。 ドイツ司教協議会会長のゲオルク・ベッツィング司教は記者会見で、「ヴェルキ枢機卿にとっても、ケルン大司教区の状況がますます耐え難いものになっていることが、非常に明確になった。 教皇の決定を待つことは、ドイツのカトリック信者にとっても重荷になっている」と述べた。

 

*昨年一年で、ケルン大司教区で4万人超、ドイツの教会全体で36万人弱が教会を離れた

 

 このようにしている間にも、ケルン大司教区では、記録的な数の信徒たちが教会を離れている。ドイツの教会統計によると、ケルン大司教区で教会を離れる信徒の数は、2020 年の 1万7281 人から 2021 年には 4万4772 人に上っている。

 信徒の教会離れは、ケルン大司教区ばかりではない。ドイツ全体で見ても、教会を去るカトリック信徒の数が劇的に増加している。 2020 年に 22万1390 人だったのが、2021 年には 35万9338 人。

 ドイツの総人口8400万人に対してカトリック信徒数は2160万人と、カトリック教会が依然としてドイツ最大の宗教団体であることに変わりはない、とも言えるが、「困難な状況であることは明らかです」と、ケルン大司教区のスポークスマン、ユルゲン・クライカンプ氏は先週、AP通信に語った。

 その一方で、「ヴェルキ枢機卿は、出来る知る限りのことを尽くし、献身的に仕事をしておられます。一部のカトリック教徒は怒って、自分たちの教会関係者と言い争っているが、司教が来ると拍手して歓迎する人もいる」とも述べたが、ケルン大司教区の多くのカトリック教徒は、枢機卿が辞任したとしても、危機がすぐに簡単に解決できる、とは考えていない。

 

*「枢機卿1人がやめて解決する問題ではない、根本的改革が必要」

 ケルン大司教区の司牧支援専門家協会のスポーク・ウーマンのレジーナ・オディガー・スピンラス氏は、今の状態を「信頼と信用の絶対的危機」と呼び、「危機はケルン大司教区の状況を超えている」と考えている。「教会には、女性と LGBTQ の人々の平等を促進するなど、根本的な変化が必要です。教会の指導体制も考え直す必要があります。カトリック教会は今も完全な位階制社会で、『トップダウンで権威主義的だ』と言う人もいる。多くの信徒は、もはやそれに賛成したくない、と考えていると思います」と語った。

 彼女の主張は、世界の教会に先んじてドイツの教会が進めている”Synodal Path(シノドスの道)”における改革プロセスに沿ったものだ。ドイツの教会は、2018年に聖職者による性的虐待に関する調査報告書で1946 年から 2014 年の間に少なくとも 3677 人が聖職者によって虐待されたことが明らかになったのを受けて、有力信徒による カトリック中央委員会と共同で、この問題への具体的対応を中心に、教会改革のための取り組みを続けている。

 ドイツ版”シノドスの道”では、いくつかの取り組みの場で、同性カップルの祝福、既婚司祭や、女性助祭の叙階を認める働きかけをすることを決めているが、バチカンやドイツ教会などの保守的な聖職者から激しい反対も引き起こしている。だが、オディガー・スピンラス氏は「改革実現のために戦う用意があります」と述べている。

 しかし、保守勢力の圧力と遅々として進まない改革に耐え切れなくなった信徒も出てきている。

 「私は教会を去ります」と語るのは、デュッセルドルフの聖マルガレータ教会の信徒、ペーター・バーゼル氏だ。ヴェルキ枢機卿がデュッセルドルフを訪問した際、抗議運動を組織した。何十年にもわたって活発な教会活動を続けてきたバーゼルは、聖マルガレータ教会で司牧したことのある司祭2人に対する性的虐待の訴えに、注意を喚起しようと努めたが、 結局、あきらめた。「教会を去るとき、恋しく思わないことはない。キリスト教の信仰は、他の人々と分かち合うものだからです。しかし、私はもはや今のような教会制度を支援できない」。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年12月11日

・ウクライナの大司教、ロシア軍占領地で不当逮捕、拷問されている司祭2人の早期釈放を訴える

Archbishop Sviatoslav Shevchuk, head of the Ukrainian Greek Catholic ChurchArchbishop Sviatoslav Shevchuk, head of the Ukrainian Greek Catholic Church 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年12月3日

・「ロシアの軍事侵略に対する闘いは、『人の尊厳』を守る闘い」とウクライナの大司教

Archeparch Borys Gudziak, Archbishop of Philadelphia and Metropolitan for Ukrainian Catholics of the United States, in the studio at Vatican RadioArcheparch Borys Gudziak, Archbishop of Philadelphia and Metropolitan for Ukrainian Catholics of the United States, in the studio at Vatican Radio 

 さらに、そのためにインターネットなど新しいテクノロジーの活用を進めることへの認識を示しつつ、「聖職者と一般信徒説教者の最大の課題は、自分たちが語ることを自分の生活の中で証しすることです」と述べ、「教会内で起きている(聖職者の性的虐待など)スキャンダルが、教会の信頼性とコミュニケーション能力を危うくしている」と指摘した。

 また、いまだに続いているロシアによるウクライナ軍事侵攻について問われた大司教は、「知ってもらいたいのは、ウクライナの人々が(ロシアの)植民地となることを受け入れるか、そしてウクライナ人が(ロシアに)服従する用意があるか、ということ」とし、「今、世界が目の当たりにし、ウクライナの人々が言っているー自分たちの命を究極の犠牲にして訴えているのは、『ノー!』です」と強調。

 「ウクライナの人々は、『カトリック教会の社会教説』の4つの主要原則、つまり『人の尊厳』『連帯』『補完性』そして『共通善』を守るために、結集しているのです」と述べ、次のように語った。 「ウクライナ人の尊厳を守るための闘いであることは、お分かりになるでしょう。素晴らしい連帯が発揮されています。国を守る中で人道的な努力がなされているのを耳にするでしょう。人々は、草の根のレベルで働いています。『補完性』とは、末端のレベルで物事を決定することを意味し、それによって、全手の人に権限と責任感が与えられます。そして、闘い、努力、働き、事業は、共通善の為であらねばなりません。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年11月16日

・11月の全米司教協議会総会にオハイオ州の教区統合が諮られるー日本の教会は?(Crux)

Noting decline in numbers, Steubenville bishop seeks merger with Diocese of Columbus(2022.10.12 Crux  National Correspondent John Lavenburg)

 ニューヨーク 発= 米国でジェフリー・モンフォートン司教が2012年にスチューベンビル教区長に着任した時、住民の人口とカトリック信者数が減っているオハイオ州南東部の実情が教区にどのような影響を与えるか尋ねたことがある。それから10年、彼は、隣のコロンバス教区との統合に動いている。

 

 

*教区民はすでに4万人を割り、さらなる減少が避けられない

 

 モンフォートン司教は「私たちはこのままの状況を続けていくことができない。教区を維持するとしても、信者数はこれから10年先まで減り続けます」と述べ、 「教区事務所の職員や支援スタッフを減らせねばならず、それが福音宣教と人々に手を差し伸べる力を損なわざるを得ない時に、(今の教区をそのまま維持することは)神の民に対して公正なことでしょうか」と訴えている。

 スチューベンビル教区はオハイオ州の南東部13郡を管轄しているが、信者は4万人を割っており、教区の統合再編は緊急の課題だ。だが、教区の合併は容易ではない。

 司教によると、これまでに、教区の全信者に調査票を送り、この問題について認識してもらい、意見を述べる機会を作ってきた。そして、来月予定する全米司教協議会の総会で、その結果を説明する。全米の司教たちは投票によって、オハイオ、スチューベンビル両教区の統合の是非を判断し、合併が支持を得られれば、その結果を教皇フランシスコに送り、最終決定を求めることになる。

 モンフォートン司教が合併を考え始めたのは約1年半前、バチカンがスチューベンビル教区での信者の減少に懸念を示した時のこと。具体的な対応が必要であり、コロンバス教区の統合が最良の選択肢と思われる、との見方で、バチカンと見解が一致した。その半年後に、オハイオ州の司教たちが会議を開き、両教区の統合が最善の道との判断に全員が賛成した。

 だが、統合に賛成票を投じたコロンバス教区長のロバート・ブレナン司教が昨年11月にブルックリン教区長に異動となり、後任のコロンバス教区長として今年5月に就任したアール・フェルナンデス司教が「11月の全米司教協議会の総会で結論が出るのを待ちたい」と言明したため、統合の動きは一時棚上げとなっている。

 

 

*司祭は高齢化、信徒は30年で半分近くに減った

 

 モンフォートン司教が「統合が必要」と判断した最大の理由は、教区の司祭と信徒の”少子高齢化”だ。教区司祭は70歳以上が6人、60代が12人、50台が5人、40代が4人、30代が7人、20代に至ってはわずか2人。つまり、50歳以上の司祭が23人なのに対して、50歳未満は13人のみ、というわけだ。

 教区の信徒数について司教は、「現在の4万人弱から、今後10年以内に2万5000人を割るまで減るだろう」とみる。通常の日曜ミサの出席者数は1990 年に 2万5000人弱だったのが、2019 年には 1万3702 人と半分近くに減っている。

 統合相手とモンフォートン司教が考えているコロンバス教区は、20以上の郡を管轄し、信徒数は27万5000人。「スチューベンビル教区はもともとコロンバス教区から分かれてできた。だから、統合して元の形に戻るのは理に適っています」と司教は主張する。

 「統合の利点は、人的、物的資源の効果的活用が可能になること」であり、「コロンバス教区は私たちの教区よりも多くの人的、物的資源を持っており、統合によって、経済などの影響を吸収する力も強くなる」と、統合への期待を強める。

*「米国での教区統合は過去64年に2件、だが今後は頻繁になる」

 

 米国における教区の統合はこれまで、まれだった。2020 年に、アラスカ州ジュノー教区がアンカレッジ大司教区に統合され、アンカレッジ ・ジュノー大司教区となったが、それ以前の統合は1956 年のカンザスシティ教区とセント ジョセフ教区までさかのぼる。

  だが、モンフォートン司教は、「教区の統合はこれから頻繁になると思います。米国では、中西部と北東部で人口減少、信徒減少が顕著で、今後もその傾向は続くでしょうは多くの衰退が見られ、それは続く」 と予想する。

 統合相手のコロンバス教区長のフェルナンデス司教も、統合によって大きな教区の司教になることに理解を示しているというが、最終的な決定は教皇の判断だ。統合後の新教区の名前、小教区の統廃合などはまだ議論されていない。

 「11月の全米司教協議会総会の後の日程はまだ決まっていません。総会で統合に賛成を得られでも、成否はすべて教皇の手に委ねられているのです。それまで、私はここスチューベンビル教区の司教であり続けます。救いのために全身全霊を捧げます」と語っている。

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*日本の教会は‥16教区中、4万人割れが12教区、うち1万人割れが6教区も

 米国と単純な比較はできないが、日本の教会の現状は、カトリック中央協議会がまとめた「カトリック教会現勢2021」によれば、全国16教区のうち、信者が4万人を超えているのは東京、横浜、大阪、長崎の4教区にすぎない。札幌、仙台、新潟、さいたま、名古屋、京都、広島、高松、福岡、大分、鹿児島、那覇の12教区で4万人を割っており、うち1万人にも達していたいのは仙台、新潟、高松、大分、鹿児島、那覇の6教区。最も信者数が少ない高松教区は4332人と、東京教区などの大きな小教区一つの信者数にも満たない。このままの状態を放置し続けていいものだろうか。大いに疑問がある。

 

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

 

2022年10月14日

・ウクライナのカリタス、ミサイル攻撃受けても支援活動続ける(VN)

People shelter at Kyiv metro station as Russian shelling hit the Ukrainian capitalロシアのミサイル攻撃から身を守ろうと首都キーウの地下鉄駅に避難する人たち  (ANSA)

 

2022年10月11日

・「プーチン大統領の核使用発言は”冗談”にあらず、キューバ危機以来の脅威になり得る」と米大統領

(2022.10.7 カトリック・あい)

 ロイター通信など世界のニュースメディアが6日付けで報じたところによると、米国のバイデン大統領が民主党支持者らとの会合で、ロシアのプーチン大統領が核兵器使用の可能性を示唆していることについて、「キューバ危機以来の核使用の脅威になり得る」と警告。米政府が、プーチン大統領にとっての危機脱出の出口戦略を解明しようとしていることを明らかにした。

 バイデン大統領は、最近のプーチン大統領の言動について「ウクライナの前線で敗退を喫した後に、戦術核兵器を使用すると語った時、プーチン氏は冗談を言っているわけではなかった。本気で戦術核兵器や生物・化学兵器を使用する可能性について語っている。ロシア軍が著しく劣勢となっているからだ」と指摘し、「彼が戦術核兵器を使用してもアルマゲドン(世界最終戦争)を回避できる簡単な方法があるとは思わない」と述べた。

 そのうえで、「(プーチン大統領が)面目だけでなく、ロシアにおける相当の権力を失わない形で危機から脱する出口戦略」をどのように考えているか、米政府として解明しようとしている、と語った。

2022年10月7日

・「(ロシアを批判する)”こけおどしの連中”は、過酷なシベリアの鉱山に来るべきだ」キリル総主教、強硬姿勢改めず(BW)

キリル総主教がノリリスクの鉱山を訪ねる。テレグラムから。

(左の写真は、シベリア・ノリリスクの鉱山を視察するキリル総主教=Telegram)

   先日カザフスタンで開かれた世界伝統宗教者会議を欠席し、教皇フランシスコの会見の希望にも応じなかったロシア正教の指導者、キリル総主教に、ロシアのウクライナ軍事侵攻に対する姿勢を変える兆しはないようだ。

 総主教は17、18の両日、北極線よりさらに300km北に位置する世界最北の都市、シベリアのノリリスクを訪問。郊外にある鉱山を訪れる一方、18日に鉱山労働者の守護聖人である聖バルバラを称える新しい教会を祝福した。

 鉱山は世界有数のニッケルとパラジウムの産出量を誇り、ロシアにとっても戦略的に重要な鉱山だが、そこに働く8万人の労働者が困難で危険な環境にあることでも知られている。

 総主教は、教会でのミサ中の説教で、前日17日に鉱山を訪問した時の経験を振り返り、「2000メートルの深さまで降り、鉱山労働者の作業の実態を見た。本当に英雄的な仕事だ。地球内部の熱にさらされ、酸素不足を感じ、非常に厳しい環境の中で働いていることが分かった」と述べた。

 また、ロシア軍に従軍し、ウクライナで戦っている兵士たちを思い起こし、「祖国に仕える義務、そして最も重要なロシア正教の信仰を堅持する義務を果たしている者たち」を称えた。

ノリリスクの新しい聖バーバラ教会の奉献中のキリル総主教。テレグラムから。
(右の写真は、ノリリスクの新しい聖バルバラ教会を祝別するキリル総主教=Telegram)

 過酷な環境で働く人々を教会指導者が慰めることは、珍しいことではないし、軍隊の宗教的精神を称賛することはロシア正教会でも珍しいことではない。

 だが、キリル総主教は、それを超えて、次のような国際社会への脅迫めいた言葉まで発したのだ。

 「シベリアの鉱山を見て、国際関係の中で起きている私たちの国を脅す試みがいかに無駄であるかが分かった。”scarecrows(こけおどしの連中)”をここに連れてきて、鉱山労働者が働いている現場を体験させるべきだ… ロシア人を怒らせる価値があるかどうか考え直させるために」。

 このような総主教の発言に対して批判の声が上がったのに対して、ロシア教会の総主教庁は、「総主教の言葉は『ロシアを批判する人々はノリリスクに行き、ロシアの鉱山労働者の鉄の意志を見るべきだ』という意味だ」と説明した。

 だが、総主教の言葉が脅迫のように聞こえたのは確かだし、ウクライナへの軍事侵攻が始まって以来、総主教が示してきた姿勢と一貫するものだ。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。
2022年9月23日

・「より良い世界に向けて共に働こう」世界伝統宗教代表者会議が宣言を採択して閉幕

Participants at the VII Congress of Leaders of World and Traditional Religions

   (Vatican Media)

 カザフスタンの首都、ヌルスルタンで開かれていた第7回世界伝統宗教指導者会議は15日、2日間の日程を終え、宗教の名のもとに暴力を非難し、より良い世界に向けて働くことへの共通の願いを表明する宣言を採択して閉幕した。

 教皇フランシスコをはじめ、約60カ国から100人以上の代表が参加した会議を締めくくる宣言では、すべての関心のある国々における政治的決定、立法規範、教育プログラム、およびマスメディアの在り方について、地域および国のレベルで保持すべき原則が宣べられている。

*より良い世界の実現に取り組むことを誓う

 この宣言は、第77回国連総会に公式文書として提出を予定し、宗教間対話の促進、文明間協力の促進のための努力を強調している。宣言では、会議参加者たちが、公正、平和、安全かつ繁栄が確保された世界への共通の願いを表明し、人類の精神的および社会的発展における共通の価値の重要性を確認している。

 また、宗教的迫害や人の命と尊厳の損なう過激主義、急進主義、テロリズムとともに、人種的、宗教的、文化的な差異をもとにした不寛容、外国人への嫌悪、差別、紛争、そしてテロに対抗し、打ち勝つことの必要性についても確認した。

 加えて、人道支援が必要な移民・難民が世界的に増加していることに懸念を表明し、新型コロナの世界的大感染が終息した後の世界で、気候変動、飢餓、貧困などの地球規模の課題に対処する重要についても強く認識。世界の精神的、政治的なリーダーたちが、こうした地球規模の課題に立ち向かう努力を緊急に求められていることも強調している。

 

*紛争や戦争を拒絶する

   前文と35項からなる宣言で、会議参加者はさらに、「世界の文化、文明の間の平和と対話のための作業を継続すること」を確認した。

 そして、緊張と対立を引き起こし、国際関係を損なう軍事紛争を放置することに反対し、あらゆる形態の暴力と戦争は、その目的が何であれ、「真の宗教とは何の関係もなく、可能な限り強い言葉で拒絶されなければならない」と言明。世界の指導者たちに、「世界の不安定化につながる攻撃的で破壊的なレトリックをすべて放棄し、紛争と流血をやめる」ことを求め、「友情、連帯、平和共存の名の下に対話を発展させる」よう促した。

 また、憐れみと思いやりの行為を奨励し、紛争、自然災害、人為的災害の影響を受けた地域への支援を呼びかけた。

 

 

*”メッカ宣言”の価値と重要性を認識

 宣言はさらに、教皇フランシスコとアル・アズハルのグランド・イマーム、アフマド・アル・タイエブが2019年2月に署名した「人間の友愛に関する文書」、2019年5月にメッカで署名した「共通の利益のために信者間の平和、対話、相互理解、相互尊重」を呼びかけるメッカ宣言の重要性と価値を認識した。

 

*多元主義は神の意志と知恵の表現、特定の宗教、協議の押しつけは容認せず

 また、「神が、人種、宗教、民族、社会的地位に関係なく、すべての人を平等に創造された」という事実から、「すべての宗教的教えを支える寛容、尊敬、相互理解の価値を支持する」とし、「多元主義と宗教、肌の色、性別、人種、言語の違いは、創造における神の意志と知恵の表現」であり、「特定の宗教と宗教的教義を強制するようなことは、容認できない」と言明。「すべての人々の社会正義と連帯を構築するために、宗教、宗派間の対話を推進するイニシアチブ」を支援するよう求めている。

 宣言ではこのほか、家族制度を強化し、女性の権利と尊厳を保護することの重要性なども強調している。

 宣言は最後に、今回の会議の開催地となったカザフスタン共和国の「文明間、宗教間、宗教間対話の権威あるグローバルな中心地」としての役割を確認するとともに、2025年の第8回大会を、今回と同じ首都ヌルスルタンで開するとの願望を示している。」

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2022年9月15日

・「私たちにとっても、平和への『光と希望』」ーロシアからの巡礼団、カザフスタン教皇ミサに参加(VN)

Faithful gathered for the Holy Mass presided by Pope Francis at the EXPO Grounds in Nur-Sultan

 

   (Vatican Media)

 ドゥビニン補佐司教はVatican Newsとのインタビューで、ロシアの巡礼団がカザフスタンを訪れ、教皇に出会うことの重要性を強調。「私たちは長年にわたり、教皇のロシア訪問を祈ってきました。今も、訪問が実現するのを心待ちにしています。残念ながらまだ実現していませんが、希望を失ってはいません」と語り、また、「旧ソ連邦の一国として、困難な時期に私たちロシアの教会と運命を共にした隣国、カザフスタンへの訪問は、私たちにとって特別な意味をもちます」と説明。

 さらに、「今回の巡礼に参加できたのは少数の信徒だけですが、ロシア全土の多くのカトリック教徒が、14日の『十字架称賛』の祝日にカザフスタンでミサを捧げられる教皇フランシスコの旅に霊的に参加しているのです」と強調した。

 このロシアからの巡礼団が、様々な国から集まっ他信徒たちと、14日の教皇ミサに参加したことの意義は、ロシア・シベリアのノボシビルスクで文化センターの責任者を務めるイエズス会士、Janez Sever神父も強調している。

 神父はVatican News とのインタビューで、「ウクライナ、そして世界の他の多くの地域で戦乱の狂気が続く中で、教皇フランシスコが今、カザフスタンにおられることは、ロシアのカトリック教徒にとっても、『平和への光と希望』をもたらしてくれます」と語った。

 「世界平和への渇望」と「民族間の調和と友愛を築く上での宗教の重要な役割」は、教皇が、ヌルスルタンで行った二つの演説のポイントであり、「カザフスタンを異なる信仰、文化、国籍の人々間の平和的共存の模範」とされている。

2022年9月15日