・「世界青年の日」の「閉幕ミサ用の祭壇・周辺設備に7億円」に現地リスボンで批判の声(CRUX)

$5.4 million altar for World Youth Day generates controversy in Portugal

((2023.1.30  Crux Staff

ローマ発 – 8月にポルトガルの首都リスボンで開かれるカトリックの「世界青年の日」で教皇フランシスコの司式が期待されている(まだ正式には確認されていない)閉幕ミサに使用される祭壇とその周辺の設備建設費をめぐって、現地リスボンで論争が起きている。

 リスボン市当局は1月下旬、5万4000平方フィートの巨大な祭壇とその周辺施設の詳細を発表、その際、この建設に要する費用が540万ユーロ(約7億5600万円)にのぼることを明らかにした。建設を受注したのは同国最大の建設会社Mota-Engil 。

 これに対して、地元のマスコミや野党政治家が強く批判、リスボン市長に、この案件について議会で質問に答えるよう要求した。

 野党ブロック党のモエダス・フィゲイレド議員はツイッターで、「市営住宅建設に、世界青年の日の祭壇の費用に充てられたなら、住宅危機はすでに克服されているだろう。問題は、公的支出の優先順位だ」と主張。ロイター通信が伝えるところでは、ツイッターユーザーのマヌエル・バルボサ氏は、「カトリック教徒として、信仰者として、このような困難な時期に不必要な贅沢ではないか」と批判している。

 市当局によると、祭壇・舞台は、教皇と随行者、約1000人の司教と 300 人の共同司式者、200 人の合唱団、30 人の手話通訳者、90 人のオーケストラ、そしてゲストを含め、最大 2,000 人が使用できるように設計されており、舞台部分はミサ後も残して、野外コンサートや集会などのイベントに活用する、という。

 わずか数時間の祭壇と周辺設備建設に多額の資金が当てられることへの批判に応えて、リスボン大司教区のアメリコ・アギア補佐司教は、リスボン市議会、およびプロジェクトを担当する都市リハビリテーション協会との間で会議を開き、建設費削減の可能性について話し合う、と説明している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2023年2月12日