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・国連WFPがスーダン支援再開、日本でも緊急募金8日から開始
(2023.5.10 WFPニュース)
アフリカ東部スーダンで起きている内戦で、国民が大きな被害を受け、チャドに3万人、エジプトに4万人、南スーダンに3万人以上が移動を余儀なくされ、隣国でもそれぞれ大きな危機に直面している。国連WFP(世界食糧計画)の職員3名が命を落とし、2名が重傷を負いました。スーダンにおける治安情勢の悪化により、国連WFPは4月16日、現地での支援活動を一時的に停止。命を救うための食料・現金支援、子どもたちへの学校給食の提供、栄養不良の予防や治療といった支援の一時中断を余儀なくされたが、5月1日に、全ての職員とパートナーの安全確保に最大限の注意を払いながら、支援再開を決定した。
これを受けて、認定NPO法人国連WFP協会(神奈川県横浜市)は、8日からスーダン緊急支援募金を開始している。スーダンの内戦で被災した難民、難民を支えるホストコミュニティー、国内避難民の緊急のニーズに応えるものだ。
4月5日に新たに国連WFP事務局長に就任したシンディ・マケインは「必要とされている人道支援者とスーダンの人びとを守る最善の方法は、戦闘を止めることです。スーダンでは、戦闘勃発前から1500万人以上の人びとが深刻な食料不安に直面していました。この数は、戦闘が続けば続くほど、大幅に増加すると予想されています。このような時こそ、国連WFPとパートナーが最も必要とされています」と訴えている。
また日本の国連WFP協会 青木 創 事務局長も「スーダンではこの戦闘前より370万人の国内避難民に加え、110万人以上の難民を受け入れており、1,500万人以上が深刻な食料不安に直面していました。約40
0万人の幼児と妊娠中・ 授乳中の女性が急性栄養不良に陥っており、現在の危機の継続によってさらに増加することが予想されています。また、重要な港湾都市であるポートスーダンでは8,000トンの食料を確保しています。しかし、国内にある物資のかなりの部分(約17,000トン)が武装勢力の攻撃を受け略奪されたと報告を受けており、皆さまからのご支援がなければ、困っている方々に支援を届けることができない重大な危機に直面しています。日本の皆さまからの温かいご支援をどうぞよろしくお願いいたします」と協力を要請している。
■寄付受付および最新情報:寄付ページ:https://www.jawfp.org/oneshot?btn=LPNR2022sudan 電話:0120-496-819(年始を除く年中無休)最新情報:https://ja.wfp.org/
■国連WFPとは:飢餓をゼロにすることを使命に活動する、国連唯一の食料支援機関です。災害や紛争時の緊急支援、栄養状態の改善、学校給食の提供などを活動の柱に、123の国と地域で活動している。2020年にはノーベル平和賞を受賞した。認定NPO法人 国連WFP協会は、国連WFPを支援する認定NPO法人で日本における国連WFPの公式支援窓口です。募金活動のほか、企業・団体との連携、広報を通じて、日本における支援の輪を広げている。
・ナイジェリアでは5万人以上のキリスト教徒がイスラム過激派によって殺害されている

スーダンで、国の実権をめぐる国軍と準軍事組織「迅速支援部隊(RSF)」の激しい衝突が勃発し、民間人の死者が100人近くに上っていると伝えられ、教皇フランシスコも強い懸念をもって注視しているが、同じアフリカのナイジェリアでは2009 年の過激派イスラム組織「ボコ ハラム 」による反乱勃発以来、キリスト教徒に対する激しい迫害が続き、すでに5万人を超える死者が出ている。
ナイジェリアの自由・人権団体Intersociety が、同国におけるキリスト教徒の現状をまとめた調査報告書を発表した。「Martyred Christians in Nigeria(ナイジェリアで殉教したキリスト教徒たち)」と題するこの報告書によると、2009 年の「ボコ ハラム 」による反乱勃発以来これまで14年の間に少なくとも 5万2250 人のキリスト教徒がイスラム過激派の手によって残忍に殺害されている。
うち3万人以上がブハリ前大統領の政権下にあった 8 年間に殺害されており、治安悪化に対して十分な措置を取らなかった、と批判されている。穏健派のイスラム教徒も14年間で約3万4000人が、イスラム過激派によって殺害された。
またこの14年間に、放火などで破壊された教会は1万8000、キリスト教系学校が2200に上っっている。
報告書によると、今年2023年に入っても、事態が改善される見通しは立っていない。年初から4カ月足らずで、すでに1000人を超えるキリスト教徒が殺され、少なくとも 707 人が拉致されている。特に酷いのはナイジェリア北部のニジェール州で、 3 月 14 日にアドゥヌ で 100 人を超えるキリスト教徒が拉致された。 被害は、カツィナ、タラバ、エド、オグン、ナサラワ、クワラ、コギ、ボルノ、ヨベ、アダワマ バウチ、エヌグ、イモ、ケビ、ゴンベ、バイエルサ、クロス リバーなどの州に広がっている。
ナイジェリアのキリスト教徒は、「ボコ ハラム」だけでなく、過激派グループに加わったイスラム教徒の遊牧民フラニ族によっても命を脅かされている。
このような事態が続く中で、故郷を捨てることを余儀なくされたキリスト教徒は約 500 万人に上り、ナイジェリア国内や国境に設けられた難民 キャンプに収容されているという。
ナイジェリアがアフリカのキリスト教徒にとって最も危険な国の一つになっていることは、迫害されるキリスト教徒の国際支援組織「Open Doors 」が1月に発表した現状報告の危険国・地域監視リストにも載せられている。報告によると、ナイジェリアは近年、全世界で迫害により命を落としたキリスト教徒総数の 89% を占めている。また教皇庁の支援組織「Aid to the Church in Need (ACN) 」の最新の年次報告によれば、2021 年 1 月から 2022 年 6 月までの1年半の間だけで 7600 人を超えるキリスト教徒が殺害された、としている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
・「信徒の減少、高齢化、そして文化的多様化が進んでいる」豪司教協議会が報告書

オーストラリアのカトリック司教協議会の司牧研究センターが17日、2021 年の国勢調査結果をもとにした同国のカトリック 信徒の情勢に関する報告書を発表した。
それによると、信徒数の縮小と高齢化だけでなく、文化的、言語的、儀式的な多様化も進んでいることが明らかになった。
具体的には、同国の信徒数は2021年現在で 507万5910 人で、総人口に占める割合は 20% で、2016年の22.6%から 5 年間で約 2.5ポイント減っている。
司教協議会会長のティモシー・コステロ大司教は「我が国における宗教的多様化の傾向を考えると、この数字は驚くべきことではない」と述べつつ、こうした傾向に失望していることを認めた.
懸念されるのは、この国のカトリック信徒の高齢化がさらに進んでいることで、年齢の中央値は1996 年に 33 歳だったのが、2021年に43歳と、10歳も上がっている。ちなみに、全人口の年齢の中央値は38歳と、カトリック信徒よりも5歳も若い。
また総信徒数の9.7%、49万3225人が一人暮らしで、6.7、34万2034人が助けを必要としている。
文化的および言語的多様性も顕著になっている。報告書によると、2021年現在で136万9744 人の信徒、総数の 21.4% が英語を話さない国で生まれ、21.5% が自宅で英語以外の言語を話している。 2006 年には、これらの数値はそれぞれ 17.9% と 19.2% だった。
また英語を母国語としない信徒の主な出身国は、フィリピン、イタリア、インド、ベトナム、クロアチア (旧ユーゴスラビアの他の国と合わせて数えた) だ。この傾向は、同国の国民全体の傾向ともほぼ一致している。
同国では、1996年以降、カトリック信徒のうち東方カトリックの信徒は別にカウントしているが、現在のカトリック信徒総数の1.5%、 7万7393 人 が東方カトリック教会に属し、うち4万7003 人がマロン人、3091 人がメルカイト人、2886 人がウクライナ人、1万4108 人がカルデア人、1万305 人がシロマラバール人となっている。
ただし、東方カトリック信徒の実際の数はおそらくこれよりも多いと見られている。 報告書によると、同国のカトリック信徒総数の 3% 強が、伝統的に東方教会に関連する言語を家庭で話している、からだ。また家庭で話されている言語は他に、 7万7727 人がアラビア語、3万4237 人がアッシリア/カルデア語、3万8288 人がマラヤーラム語、2967 人がウクライナ語と、多様化を印象付けている。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
・「復活されたキリストは、苦難にある私たちの希望だ」ウクライナのギリシャ・カトリック教会指導者

一問一答は次の通り。
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問:ウクライナの復活祭では、信者たちが「キリストが復活された。本当に復活された」と挨拶を交わします。1 年以上続いているロシアの軍事侵略の中で、この挨拶はどのような意味を持つのでしょうか?
総大主教:私たちにとって、この挨拶は単純な挨拶ではなく、信仰宣言であり、キリスト教徒としての私たちの存在を表明するものでもあるのです。 ウクライナがソビエト連邦に組み入れられていた時代、私が子供の頃は、この挨拶の意味を知らずに、共産党の代表に向けて挨拶していたことを覚えています。 私がその代表に「キリストが復活された」と挨拶すると、「はい、ありがとう。 私はとっくに知らされているよ」という言葉が返ってきました。 しかし、「知らされている」と「『本当に復活されたのだ』と宣言する権利を持っている」ことでは、意味が違います。私たちは今、悲劇的な状況を共有しています。 キリストは確かに復活され、私たちと共におられます。キリストは、私たちの回復力の源であり、私たちの希望、未来への希望、いつの日かこの戦争が終結するという希望の源であり、平和、命、そして復活が、私たちの歴史の中で、最後の言葉となるでしょう。
問:教皇は、10年前に着座されて以来、核兵器の危険性について常に警告してきました。 現時点で、教皇のメッセージが特に重みをもっているのはなぜでしょう?
総大主教:世界は今、再び核戦争の瀬戸際に立っているからです。 国際法が機能しなくなったとき、世界の誰も安心できません。 そして、今日、世界の安全のカギを握っているのは核保有国だけ。 核保有国間の軍事的緊張の高まりを私たちは目撃している。それは非常に悲しいことです。 そして教皇は「やめてください。交渉の道具にに使わないでください。核兵器による恫喝や使用は、全世界に破壊をもたらします」と警告を繰り返されているのです。
問:復活されたキリストは、最初に女性たちに出現なさいました。 ウクライナの女性たちは、この困難な時期に、特に教会内で、どのような役割を果たしていますか?
総大主教:ウクライナの女性たちは、私たちの社会の礎石です。 「ウクライナの文化は母系」とよく言われます。 ウクライナの母親、女性は、ほとんどがキリスト教の信仰を表明しています。そして、復活節第二主日を、復活されたキリストに最初に出会った女性たちに捧げます。
今日のウクライナで、教会が福音宣教の使命を果たす上で、女性の役割は極めて重要です。 私たちの教会共同体のカテキスタの 99% は女性。聖職者もほとんどが既婚者です。 非常に多くの場合、とくに女性にとってデリケートな問題がある場合、信徒たちはまず、司祭の妻に話し、それから次に司祭に話します。「 母親」は、今日のウクライナのイメージです。 母なる教会は、極めて重要であり、特に、今日のウクライナの人々に対して雄弁です。 母なる教会-母であり教師、母であり保護者-は、今日の私たちの教会の象徴です。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
・ロシアによるウクライナ攻撃続行が正教会の復活祭に大きな影

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
*暴力の連鎖深刻化する聖地のキリスト教会指導者たち復活祭を前に和平訴え(Crux)
ナタニヤフ政権の司法制度改革に抗議する行列(4月1日、首都テルアビブで (Credit: AP Photo/Ohad Zwigenberg.)
(2023.4.3 Crux Senior CorrespondentElise Ann Allen)
ローマ発 – イースター休暇が近づくにつれてイスラエルの緊張が高まる中、同国のキリスト教会指導者たちが3月31日に声明を発表、暴力の激化に強い懸念を示すとともに、国の指導者たちに対して、協力し、差別に終止符を打つよう訴えている。
声明は、イエス・キリストの復活を通して「私たちを新たに生まれさせ、生ける希望を与えてくださった」と聖ペトロが語る第一の手紙(1章3節)を引用し、「この希望は、使徒たちと初期のキリスト教徒に、喜び、尊厳、そして恩寵をもって、多くの試練と苦難に耐える力を与え、彼らを支えたのです」と述べた。
そして、「このような喜びの中で、たとえほんのしばらく様々な試練を受けるとしても、私たちの信仰の真正さが…イエス・キリストが真の姿を現される時、賛美と栄光、栄誉の中に見出されるでしょう。そして、私たち自身の信仰が試され続けている今の激動の時代に、私たちを励まし、力づけてくれます」と強調している。
また、ここ数か月の間に「聖地をのみ込んだ暴力のエスカレーション」を取り上げ、特に現地のキリスト教徒は「聖ペトロが書いているような逆境に、ますます苦しめられています」とし、「この 1 年間、私たちの教会、葬儀の行列、公共の集まりの場所のいくつかが、攻撃の標的になりました。 私たちの聖地や墓地のいくつかは冒とくされ、枝の主日の行列や聖なる火の儀式など、私たちの伝統的な典礼のいくつかは、何千人もの信徒の参加が排除されています」と訴えた。
さらに、国際社会と地元住民に対し、「聖地のキリスト教共同体と、世界から聖地を訪れる何百万人もの巡礼者の安全、移動、信教の自由を確保するために、イスラエル政府に要請するのに協力して欲しい」と求めた。
過去数か月、イスラエル人とパレスチナ人の間で武力衝突が増えており、昨秋にネタニヤフ首相が率いる極右民族主義連合が形成されたことで、多くのキリスト教徒やその他の少数派の間で、宗教的な差別が強化される不安が強まっている。とくに最近数週間では、いくつかの死傷者が出るような小競り合いに加えて、政府の司法制度改革を、クーデターと民主主義の抑圧が狙いとするものとして批判する反ネタニヤフ政権派の人々で騒動が起き、2日、政府がベン・グビル国家安全保障相が指揮する国家警備隊の設立を決めたことで、緊張はさらに高まっている。
ベン・グビルは、極右政党「オツマ・イェフディット(ユダヤ人の力)」党首で、過去にキリスト教徒に対する暴力を主導し、「キリスト教徒を全員、国外追放すべきだ」と主張したと言われる急進的な反同化勢力「レハバ」のリーダー、ベンツィ・ゴプスタインを擁護している。また、2015 年にガリラヤ湖の北西岸沿い、タブハにあるカトリック教会の「パンと魚」の聖堂に放火し、有罪判決を受けた男の弁護も引き受けた。
そのベン・グビルが率いる国家警備隊にどのような権限を与えるかは、政府機関の専門家たちで構成する委員会によって決定される予定だが、国家警備隊の新設が警察や総保安庁、さらには国防軍の権力を弱体化させ、これら治安に関する機関が競合する事態となるのを懸念する声もある。
またネタニヤフ首相は、先に国家警備隊の新設だけでなく、最高裁判所の権限を縮小し、裁判官の選任に政治家が関与することなどを盛り込んだ司法改革案を国会に提出しており、これらを「イスラエルの民主主義の危機」ととらえて反対する国民の抗議活動が3カ月以上にわたって続いている。米国政府筋からの指摘も受け、首相が、法案成立に向けた動きを一時停止している。
イスラエルのメディアによると、これまでに 17 万人以上が首都テルアビブでの反政府抗議行動に参加し、全国で 45 万人以上がデモに参加したといわれるが、2日に国家警備隊の創設が決まったことで、緊張はさらに高まっている。
警察幹部OBを含む一部の反対派は、「ベン・グビルがクーデターを起こすために国家警備隊を利用する恐れがある」と警告。多くの公民権団体や野党政治家も、警察活動を政治化し、法における平等の原則を弱体化させる可能性がある、とし、国家警備隊をベン・グビル国家安全保障相の指揮に任せることに反対している。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.
・「世界青年の日」の「閉幕ミサ用の祭壇・周辺設備に7億円」に現地リスボンで批判の声(CRUX)

(Credit: Image courtesy Lisbon City Council.)
((2023.1.30 Crux Staff)
ローマ発 – 8月にポルトガルの首都リスボンで開かれるカトリックの「世界青年の日」で教皇フランシスコの司式が期待されている(まだ正式には確認されていない)閉幕ミサに使用される祭壇とその周辺の設備建設費をめぐって、現地リスボンで論争が起きている。
リスボン市当局は1月下旬、5万4000平方フィートの巨大な祭壇とその周辺施設の詳細を発表、その際、この建設に要する費用が540万ユーロ(約7億5600万円)にのぼることを明らかにした。建設を受注したのは同国最大の建設会社Mota-Engil 。
これに対して、地元のマスコミや野党政治家が強く批判、リスボン市長に、この案件について議会で質問に答えるよう要求した。
野党ブロック党のモエダス・フィゲイレド議員はツイッターで、「市営住宅建設に、世界青年の日の祭壇の費用に充てられたなら、住宅危機はすでに克服されているだろう。問題は、公的支出の優先順位だ」と主張。ロイター通信が伝えるところでは、ツイッターユーザーのマヌエル・バルボサ氏は、「カトリック教徒として、信仰者として、このような困難な時期に不必要な贅沢ではないか」と批判している。
これに対して、バチカンのマッテオ・ブルーニ報道官は、報道陣に対し、「世界青年の日」に関するこの問題は「現地マターであり、予算の責任はリスボン市議会にある」と述べたが、モエダス議員は「祭壇とその周辺設備の計画は、『世界青年の日』組織委員会、ポルトガルの教会とバチカンの代表者で構成する会議で練り上げられたもの」と反論した。
市当局によると、祭壇・舞台は、教皇と随行者、約1000人の司教と 300 人の共同司式者、200 人の合唱団、30 人の手話通訳者、90 人のオーケストラ、そしてゲストを含め、最大 2,000 人が使用できるように設計されており、舞台部分はミサ後も残して、野外コンサートや集会などのイベントに活用する、という。
わずか数時間の祭壇と周辺設備建設に多額の資金が当てられることへの批判に応えて、リスボン大司教区のアメリコ・アギア補佐司教は、リスボン市議会、およびプロジェクトを担当する都市リハビリテーション協会との間で会議を開き、建設費削減の可能性について話し合う、と説明している。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.
・トルコのカリタス、教皇の呼びかけに応え、他教会と連帯して被災者支援

(2023.2.9 Vatican News Devin Watkins)
トルコ、シリアを襲った大震災で多くの住民に死傷者が出ていることに心を痛められた教皇フランシスコが、8日の一般謁見、そして9日のツイートなどで繰り返し、両国や世界の国々、国際機関が連帯して救援、危機克服に努めるよう呼びかけられている。
この呼びかけに応えて、カトリック教会のいくつもの人道支援団体が、救援に動き出している。この地域を担当するカリタス・アナトリアも被災した何千人もの人々への支援物資の提供などを始めた。
*効率的かつ公平な支援
シリアとの国境に近いトルコ南部のイスカンデルン市で支援活動に当たっているAntuan Ilgit神父はVatican News の電話取材に、「カリタスは地元住民に分け隔てなく温かい食事を提供しています。トルコのカトリック教会は強い連帯で支援に当たっている。 現時点で最も機能している機関の1つであると断言できます」と語った。神父はアナトリア使徒代理区の司教代理でイエズス会士だ。
今回の大地震で、イスカンデルン市の大聖堂は、激しい揺れで完全に崩壊した。「それでも、教会は、被災し、困窮した人たちを受け入れるために、扉を開きました。教会には広い中庭があるので、宗派を問わず、助けを求める約100人が避難所できるようにしました」と神父は説明した。

*危機の中でキリスト教一致が証しされている
アナトリア使徒代理区の管轄地域はトルコ全土の約半分を占めており、その大部分が大地震の影響を受けた。そうした中で、カトリックの人道支援組織、カリタス・アナトリアの責任者でもある神父は、「遠隔地の多くには、支援の手がまだ及んでいない。私たちはそうした地域にも、支援の手を差し伸べようとしています」と述べた。また、「援助の実施に当たっては、公平を心がけています。このような緊急事態の中で、必要以上の援助物資をため込もうとする人もいるからです」とも語った。
トルコ南東部にあるこのカトリック教会は、アルメニア正教会の司祭たちを含む他のキリスト教会の人々とも力を合わせ、この悲劇に対処している。「ほんの数日前に、私たちは彼らとキリスト教一致のための徹夜の祈りを下ばかりでした。 そして今、私たちはこの緊急事態に一致して対応しています。 アルメニア正教会の信者たちは、総主教庁からの援助物資を私たちと分かち合い、私たちはイスタンブールの使徒代理区からの援助物資を彼らと分かち合っている」と教会一致の成果を強調している。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
・2022年に世界中で暴力行為で殺された〝宣教師”、18人に‐アフリカが最多

*中南米でも 8 人が殺されている
中南米では、メキシコで今年も最も多い犠牲者が出ている。3 人の司祭と 1 人の神学生が殺害された。12 月 27 日に、サカテカス州の神学生が強盗を試みた武装集団に殺害されたばかり。それ以前にも6月20日に、79歳と80歳のイエズス会司祭2人がチワワ州で麻薬カルテルの武装勢力によって射殺されている。この事件はメキシコ全土に怒りを巻き起こし、 教皇フランシスコも強く批判された。
また、ホンジュラスで2 人、ボリビアで1 人が命を落とした。ハイチの首都ポルトープランスでは、6 月 25 日、20年間も路上生活の子供たちの世話をしていたイタリア人の64歳の修道女が強盗に殺害されている。
*アジアで司祭1人が殺害
アジアでは、ベトナムのドミニコ会司祭が、コン トゥム教区で告解を聞いている際、精神病の男性に刺されて死亡している。
今年、オセアニアとヨーロッパでは宣教師の殺害は報告されていません。 オリビエ・メール、SMM、フランスのモンフォール宣教師の管区長で、ルワンダ生まれの精神的な問題を抱えた移民によって殺害されました。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)