・「人身売買の根本原因の一つは”買い手”にある」人身売買被害者が訴えー「Talitha Kum」創立15周年総会で

Group photo of participants gathered together at Talitha Kum 2nd General Assembly  (Marco Mastrandrea/Talitha Kum)
Group photo of participants gathered together at Talitha Kum 2nd General Assembly

(2024.5.20 Vatican News   Deborah Castellano Lubov )

  人身取引の撲滅に取り組む奉献生活者の国際ネットワーク「Talitha Kum(タリタクム)」の創立15周年を記念する総会が、加盟90か国の代表約200人が参加して18日から24日までローマで開かれている。女子修道会国際総長連盟(UISG)が2009年に設立したTalitha Kumの記念総会には、一般信徒の女性と男性、信徒、若者、そして人身売買との闘いに積極的に取り組んでいる被害者なども参加した。

 出席者の一人、米ミズーリ州カンザスシティの非営利人権団体ジャスティス・プロジェクトKCの常務理事で、自身も人身売買の被害者であるクリスは  「人が”製品”を買わなければ、”売る”のはずっと難しいのです」とVatican News に語った。

 裕福な家庭に育ったクリスは、世間知らずの十代のころ、羽目を外して、男に騙され、米国のあちこちで売春をさせられた。その経験から、今も増え続ける人身売買の撲滅に取り組んでいる。具体的には、貧しい女性や少女に対する権利擁護、システムナビゲーション、ピアサポートを提供しており、米司法省の人身売買反対連合、カンザス州司法長官の人身売買諮問委員会の委員を務める。

 クリスは「性的搾取を生き延び、現在被害に遭った人たちと働いている者として、より広い世界がこれらの人々を無条件に受け入れ、愛する必要がある、と心から思っています」と述べ、「変化が必要です。人々は、犠牲者と呼ばれると、自分自身に対する見方が変わるのです」と強調した。

  そのうえで、「多くの憎しみに直面しているトランスジェンダーの被害者を含む他の被害者や、「時には人目につかないことがある男性や少年たち」に対して、もっと包容力のある対応を求めたい、とし、人々に対して、「偏見を脇に置き、被害者たちが自分自身のために正義を達成できるよう支援する必要がある」と語った。

 さらに、総会参加者たちの多くが、「今起きている人身売買の根本原因に対処したい」と考えているのであれば、「”需要”、つまり“買い手”に対処する必要があります。根本原因は数多くあるが、その中で主要な原因の1つは、依然として“買い手”がいることです。“買い手”がいなければ、”売る”ことが難しくなるからです。これは資本主義の理論です。”買い手”をなくすことで、”売る”ことをできなくする。それが、私の希望です」と強調した。

 そして、そのためのカギは、「人身売買行為の不当性について、特に男性、若者たちを教育すること」と指摘した。「そうした教育を通じて、女性や少女を単なる遊び道具にしてはいけない、ということを分からせることです」。

 より基本的には、「男女平等、あらゆるレベル、あらゆる段階、あらゆる国、あらゆる場所での男女の平等を促進する努力を続けることが必要」と強調。また、各国の司法当局に対して、「”需要”に厳しく対応すること」を求め、また、「人身売買で利益を得ている者たちは、法的、金銭的な罰則を受けると、多くの場合手を引き、それが(そうした対応を司法当局がしていない国や地域との)違いを生みます」と訴えた。

*日本では、Talitha Kum設立から8年遅れて2017年に日本女子修道会総長管区長会、日本カトリック管区長協議会が連携し、日本カトリック難民移住移動者委員会の「人身取引問題に取り組む部会」として、「タリタ・クム日本」が作られている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2024年5月21日

・バチカンの前典礼秘跡省長官、「西欧の高位聖職者たちは世俗的価値観への批判精神を失っている」と批判‐同性カップル祝福に反対

(2024.4.15 Crux  Africa Correspondent  Ngala Killian Chimtom)

 ヤウンデ(カメルーン)発 – 教皇フランシスコの路線に批判的立場をとるロバート・サラ枢機卿(前典礼秘跡省長官)が15日の母国カメルーンの司教たちとの会議で、同性のカップルへの祝福を認める最近のバチカンの文書について、「この文書は、伝統的アフリカ文化だけでなく、カトリックの教えそのものにとって、受け入れることができない」と主張し、「西欧の高位聖職者たちは、世俗的な価値観に反対することに消極的。神経が衰弱している」と批判した。

 サラ枢機卿は「多くの西欧の高位聖職者は、世界に愛されることを夢見ている。 彼らは”抵抗の象徴”になりたいという欲求を失ったのだ」と述べ、「現代の教会は無神論の誘惑にさらされている。しかも『 知的無神論』ではなく、『流動的で実利的な無神論』の微妙で危険な精神状態に置かれている。このような無神論は、初期症状が良性のように見えても危険な病気。教会の言説を含む現代文化のあらゆる側面に浸透しているため、知的無神論よりも陰湿だ」と指摘。

 さらに、「教会とその指導者たちは、『流動的で実利的な無神論』という大きな嘘に順応し、それと共謀するという罪を犯している。キリスト教の信者であり、信仰を持っている人であるふりをしているが、実際には異教徒、不信者として生きているのだ」とし、「『流動的で実利的な無神論』は危険でとらえどころのない勢力であり、蜘蛛の巣に捕まった虫のように、逃げようとすると、もっと強く締めつけられる。サタン自身が仕掛けた巧妙な罠だ」と述べた。

 そして、「(西欧の)教会指導者たちは、この形態の無神論は人間の弱さとその欺瞞に屈する人間の傾向を食い物にしているが、教会に派閥や自称”救世主”が存在すべきではない。教会に”政党”を作ることも必要ない」とし、「信仰の精神を維持するということは、それを損なうものをすべて拒否し、神の御手をしっかり握りながら信仰のレンズを通してのみ世界を見ることであり、それが真の平和と優しさへの唯一の道。信仰の精神だけが真の兄弟愛を育み、欺瞞と紛争で荒廃した世界に平和をもたらすことができる」と強調。”西欧教会の歪曲”に直面する中で「信仰の統一」を守るよう、アフリカの司教たちに強く勧めた。

 またサラ枢機卿は、現在進んでいる”シノドスの道”の歩み、特にシノダリティ(共働性)に関する今年10月の世界代表司教会議総会の第二会期に言及し、昨年10月の総会第一会期を含めて、アフリカ教会の指導者たちが伝統的な教義と価値観を強く擁護してきたことを賞賛、「昨年10月の総会第一会期で、アフリカの教会は、神によって創造された男性と女性の尊厳を力強く擁護した。 その声は、西欧の圧力団体を喜ばせることだけを考える人たちから無視され、軽蔑されたが、アフリカの教会は、神権の真理と信仰の一致を守らなければならない。 アフリカの教会の声は、貧しい人々、素朴な人々、小規模な人々の声だ」と訴えた。

 さらに、「アフリカの教会は今日、神の言葉を守る上で重要な役割を果たしているが、西欧のキリスト教徒は富に惑わされ、啓蒙と現代性について誤った認識を持っているようだ」としたうえで、「真実を断片化し、相対主義の文化を推進する(西欧の)司教たちに対抗し、信仰の普遍性を守る者としてのアフリカの司教たちの立場」を強調、「神の真理の使者としての、アフリカの司教たちの役割」を賞賛し、「神はしばしば、強くて評判の高い人々を混乱させるために、一見弱くて人気のない人々を選ぶ」と述べた。

 同性カップルや”非伝統的関係”にある人々の祝福を認めるバチカンが最近出した文書「Fiducia Supplicans」に反対しているカメルーンの司教たちを称え、この文書に従わない、とする司教団の決定を「教会の統一とその教えの真実を守る大胆かつ預言的な行動」と評価した。そして、アフリカ・マダガスカル司教協議会連盟(SECAM)の声明を取り上げ、今回のバチカンの文書以前の同性愛に関する宣言、カトリック教会のカテキズム、聖書などを引用して、アフリカで同性愛カップルなどに祝福を与えない神学的および教義的な理由を説明した。

 カメルーン司教協議会会長のアンドリュー・ンケア・フアンヤ大司教はCruxの取材に対し、サラ枢機卿は「神が与えてくださった偉大な人物であり、アフリカのカトリック教会の象徴であり、彼が私たちの中にいることは素晴らしいこと」と述べ、「この世界にはあまりにも騒音が多いので、彼は私たちに沈黙の中で神と親密になるよう教えてくれた」と語っていた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
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2024年4月17日

・教皇の”白旗”発言に、ウクライナの政府、教会が激しく反発、ロシア政府は”歓迎”(Crux)

Pope faces civil, ecclesial backlash for Ukraine ‘white flag’ remarks

People wave Ukrainian flags before Pope Francis’s noontime Angelus prayer from the window of his studio over looking St. Peter’s Square at the Vatican on Sunday, March 10, 2024. (Credit: Alessandra Tarantino/AP.)

 

(2024.3.8 Crux  Senior Correspondent  Elise Ann Allen)

 ローマ発 – 教皇フランシスコがスイスの公共放送とのインタビューで、「ウクライナはロシアとの戦争で『白旗』を掲げて交渉を開始すべき」と語ったことに、ウクライナの教会やウクライナ政府から激しい反発の声が出ている。

 米国訪問中のウクライナ・ギリシャ・カトリック教会(UGCC)のスヴャトスラフ・シェフチュク大司教はニューヨークで講演し、教皇の発言に応えて「ウクライナでは誰も降伏する可能性はない」と言明。「ウクライナは負傷者はいるが負けない。 ウクライナは疲弊しているが、立ち続けている」とし、ロシアの理不尽極まる軍事攻撃に抵抗し続ける「ウクライナの能力を疑問視する人たちは、ウクライナに来て、現実を見てください!」と訴えた。

 ウクライナのドミトロ・クレバ外務大臣は、ソーシャルメディアXに、ウクライナの国旗は「黄色と青だ」と投稿。「これは私たちが生き、死に、そして(戦争などの苦難に)打ち勝つための旗。 私たちが『他の旗』を掲げることは、決してない」と言明。ウクライナの平和を祈り続ける教皇フランシスコに感謝の意を表明しつつ、ロシアの軍事侵攻に苦しむウクライナの人々を支援するために「教皇がウクライナを訪問されることを、今も希望している」と述べた。

 バチカン駐在のウクライナ大使館も「一貫性を保つことが非常に重要。現在起こっている第三次世界大戦について語る時、第二次世界大戦から学ぶ必要がある」とし、「当時、ヒトラーとの和平交渉について、そしてヒトラーを満足させる『白旗交渉』について真剣に話していた人がいただろうか?」と問いかけた。そして、ヒットラーとの戦いから学ぶべき教訓は、「戦争を終わらせたいなら、ドラゴンを殺すためにあらゆる手段を講じなければならない、ということだ!」と強調した。

 ロシア大統領府のマリア・ザハロワ報道官は、イタリアのメディアに対し、「教皇は、キエフに対してではなく、西側に対して話している。西側諸国はウクライナを『野心』の『道具』として利用しており、私の見方では、教皇は西側諸国に対し、自らの野望を脇に置き、それが間違っていたことを認めるよう求めているのだ」と教皇発言を”解釈”し、「今日、すべての専門家、すべての外交官は、ウクライナ情勢が『行き詰まっている』ことを理解している。多くの国や国際指導者が交渉を求めている」と述べた。

 バチカンのマッテオ・ブルーニ報道官は反発を受けて事態収拾を試みる声明を発表し、「『白旗』という言葉はインタビュアーが使ったもの。教皇は『敵対行為の停止と停戦への交渉を勇気をもって進めること(への希望)を示すために、この言葉を繰り返しただけ。教皇が希望されているのは、公正かつ永続的な平和に向けた外交的解決策だ」と説明したが、批判の声は、教会関係者にも広がっている。

 イタリアのウクライナ人キリスト教協会は、教皇の発言を「衝撃的で当惑し、非常に攻撃的」だと批判。現在米国で会合しているウクライナ・ギリシャ・カトリック教会の常設会議の司教たちも10日声明を発表して、遺憾の意を表明。「ウクライナ国民は、(身体的な)傷を負いながらも(精神的な)傷は負っておらず、疲れていても立ち直る力がある… 降伏は死を意味する。ウクライナ人が降伏することはない。 プーチンとロシアの意図は明確かつ明白だ。 その目的は一個人の目的ではない」と述べ、ロシア国民の70%が「対ウクライナ大量虐殺戦争」を「明確かつ明白に」支持している、と非難した。

 そして、「ロシア正教総主教庁とキリル総主教は戦争を支持し、ロシアのプーチン大統領の野望を支持している… プーチン大統領にとって、ウクライナの国、ウクライナの歴史、言語、そして独立したウクライナの教会生活などというものは、存在しない。 ウクライナに関するあらゆる事柄はイデオロギーの構築物であり、根絶されるべきもの… 彼にとって、ウクライナ人のアイデンティティとなるイデオロギーは『ナチス』なのだ。(ロシア人であることを拒否し、ロシアの支配を受け入れない)すべてのウクライナ人を『ナチス』と呼ぶことで、プーチンは我々の人間性を奪っている。ウクライナ人を『殲滅され、殺されるべき民族』とみなし、 ブチャ、イルピン、イジウムなどの都市で(住民虐殺などの)戦争犯罪を繰り返している」と訴え、「ロシアによるウクライナ占領が『ウクライナ・カトリック教会の根絶』と『独立したウクライナ正教会の消滅』、さらには『ロシアの覇権』を支持しない他の宗教的伝統や制度の抑圧につながる」と警告した。

 そのうえで、「ウクライナ人は今後も自らを守り続けるだろう。 自分たちにはそれ以外に選択の余地がないと感じている。 最近の歴史は、プーチン大統領との間では真の交渉が成り立たないことを証明している」とし、具体的な事例として、ウクライナが1994年にロシアと覚書を交わし、ウクライナが当時世界第3位の規模を持っていた核兵器の放棄を決め、ロシアは、その見返りに領土保全を保証したにもかかわらず、プーチンがその約束を踏みにじっていることを挙げた。

 そして、ウクライナにロシアとの和平交渉に応じるように、との教皇や世界の指導者たちの呼びかけとは関係なく、「ウクライナ人は公正な平和を達成するために自由と尊厳を守り続ける… 自由と神から与えられた人間の尊厳、真実、神の真実を信じており、神の真理が勝つと確信している」と強調している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2024年3月11日

・今年1月までの13か月に8222人以上が殺害‐ナイジェリアでキリスト教徒の”静かなる大虐殺”が続く(CRUX)

(2024.2.16  Crux  Africa Correspondent   Ngala Killian Chimtom)

Nigeria experiencing a ‘silent genocide’ against Christians
 ヤウンデ – (カメルーン)発=カトリック系のNGO「 International Society for Civil Liberties and Rule of Law (Intersociety)」が「灰の水曜日」の14日に発表した報告書によると、ナイジェリアでは、2023年1月から今年1月までのわずか13カ月間に、8222人以上のキリスト教徒がイスラム主義過激派などによって殺害された。他にも拉致被害者や行方不明者も多数に上っている。
 殺害は、聖戦フラニ族の牧畜民(少なくとも5100人を殺害)、ボコ・ハラムとその同盟者(同500人)、聖戦主義者のフラニ族強盗団(同1600人)によってなされたほか、国の治安部隊も1000人のキリスト教徒を殺害した。
  報告書は、ナイジェリアにおけるキリスト教徒の組織的殺害は「静かなる虐殺」であり、この惨状を伝えない内外メディアと国際社会の無関心が浮き彫りにされている、と訴えている。
 報告書は、今年1月までの13か月間に起きたキリスト教徒大虐殺は「近年で最悪の死者数となった。ナイジェリア政府と治安部隊は、この事態に対処できないどころか、殺害に加担したことに重大な責任がある」と強く批判。「ナイジェリアは(過激派ボコ・ハラムが残虐行為を開始した)2009年以来、宗教的動機によって無防備な民間人が15万人以上殺され、シリアに次ぐ世界で2番目に死者の多い大量虐殺の国となった」と述べている。

 殺害された15万人のうちキリスト教徒は約10万人、穏健派イスラム教徒は約4万6千人、残りの無防備な民間人死亡者4千人は他の宗教の信者。 ナイジェリアの死者数を上回るのはシリアのみだ(シリアでは、2011年以来の壊滅的な内戦で、国民約2150万人のうち民間人30万6000人が死亡している)。

 人的被害だけでなく、民族的、宗教的要因に基づく、残虐な暴力・破壊行為により、住宅数万軒、キリスト教の教会1万8500か所以上、その他の宗教施設 2500 か所以上が破壊され、キリスト教徒や非イスラム教徒が所有していた5万9000平方キロメートル以上の土地が奪われ、住民は追放された。

 さらに、報告書はナイジェリア内外のから得た情報をもとに、ボコ・ハラムとその関連組織が2009年から2014年にかけて、少なくとも2万2500人のキリスト教徒の誘拐と失踪に関与し、1万3000の教会を破壊または放火したとし、1500のキリスト教学校などで130万人以上が退学を余儀なくされた。

  国際人権団体「International Alliance against Genocide」によると、ナイジェリア政府は世界で進行中の14件の虐殺の一つに関わっている。Cruxの取材に対して、同団体関係者は、「ナイジェリアでは、ムハンマドゥ・ブハリ政権(2015~2023年)だけでなく、2023年5月に発足したボラ・ティヌブ政権さえも、治安部隊によるキリスト教徒殺害に加担している。 新政権は前のブハリ政権と変わらない」と強く批判。

 さらに、 「最も衝撃的なのは、ジハード主義者のフラニ族の牧畜民たちが、政府から何の処罰も受けず、残虐行為を止めることもなく、自由に、何の抵抗も受けずに活動していること。 国の治安部隊は、見て見ぬふりをするばかりか、フラニ族の牧畜民を保護するために、その土地の住民やリーダーを逮捕している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。
 「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。
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2024年2月17日

・世界で3億6500万人のキリスト教徒が迫害、差別の犠牲になっている

【1万4766の教会、学校、病院などが攻撃された】
2024年1月19日

・ナイジェリアでキリスト教徒の「大量虐殺」続くー昨年末だけで300人(Crux)

(2024.1.11 Crux  Africa Correspondent Ngala Killian Chimtom)

 ヤウンデ(カメルーン)発-アフリカ最大の人口をもつナイジェリアでキリスト教徒に対する「大量虐殺」が顕著になっている。
 
 現地からの報告によると、昨年末、イスラム教徒のフラニ族の遊牧民がプラトー州のキリスト教徒を標的にした襲撃を繰り返し、少なくとも300人を殺害した。
 
 襲撃は新年に入っても続いており、地元ニュースサイト「Sahara Reporters」によると、1月4日、イスラム過激派ボコ・ハラムが、同州のChurch of Christ in Nations の指導者、アユバ牧師と少なくとも13人の信徒を殺害した。Release International partnersによると、ボルノ州とカドゥナ州でボコ・ハラムとフラニ族の牧畜民による襲撃でさらに50人のキリスト教徒の命が失われた、という。
 
 プラトー州のカレブ・マナセ・ムトファン知事は新年のメッセージの中で、今起きていることを1994年のルワンダ虐殺*と比べて「疑念を避けるために付け加えておきますが、これまで伝統的に言われてきたように、我が国民に対する不必要で根拠のない攻撃を『農民と牧畜民の衝突』として説明するのは誤まりです。これは正真正銘の『大量虐殺です』」と非難している。
   *ルワンダのジュベナール・ハビャリマナ大統領と隣国ブルンジシプリアン・ンタリャミラ大統領の暗殺から、ルワンダ愛国戦線 (RPF) が同国を制圧するまでの約100日間に、フツ系の政府とそれに同調するフツ過激派によって、多数のツチとフツ穏健派が殺害された。正確な犠牲者数は明らかとなっていないが、100万人、ルワンダ全国民の20%と言われている。

 ナイジェリアにおける大量虐殺を追跡する国際監視団体である「 International Society for Human Rights and the Rule of Law (“Intersociety”)」によると、2009年以来、ナイジェリアでは少なくとも5万2000人のキリスト教徒が殺害された。

  同団体の事務局長はCruxの取材に、「フラニ族の牧畜民は昨年だけで、少なくとも3500人のキリスト教徒の死に責任を負っっています。ナイジェリアにおけるキリスト教徒の大量虐殺はナイジェリア政府の共謀によって行われている。ボラ・ティヌブ大統領の政権は”虐殺機構”の一部になっています」と述べ、さらに、「フラニの”聖戦士”はブハリ前大統領の下で権力を掌握し、ティヌブはその”伝統を永続”させるつもりです」と非難した。

 また、「私たちは、ティヌブ政権が国際的な圧力を受けない限り、状況が変わることはない、と考えています」とも語った。 

 国際的な圧力という点では、米政府がナイジェリアを信教の自由に関する「特別懸念国」に指定していないことに、一部の関係者は不満を抱いている。 米国の人権団体「U.S. Commission on International Religious Freedom」は声明で、ナイジェリアにもインドにも米政府が信教の自由に関して警告を出していないことに異議を唱え、そのような判断は「説明がつかない」と述べている。

 人権団体の関係者は「米国は、信教の自由に対する特に深刻な侵害をしているナイジェリアを容認した。 ナイジェリアのキリスト教徒の運命は、ナイジェリア政府に経済制裁など強い圧力をかけ、虐殺を含む暴力行為を止めさせる各国政府、国際機関、人権団体の判断にかかっています」とCruxに語っている。

 こうした中で、同国のカトリック司教協議会を含むキリスト教各派の連合組織、ナイジェリア・キリスト教協会は、信徒たちに平静を求めている。協会会長でChrist Holy Church Internationalのメンバー、ダニエル・オコー大主教は、「逆境に直面しても、私たちは国民として落胆しないことが肝要です。 私たちは団結し、一致した、平和で繁栄した国家を築く、という決意を固持し続けなければなりません。新たな目的意識と、愛するナイジェリアのより良い未来を育むという揺るぎない決意を持って取り組んでいきましょう。 私たちの信仰、共通の価値観、そして直面する障害を乗り越えるための集団的な決意から力を引き出しましょう」と呼びかけている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2024年1月12日

・米オハイオ州の二つの教区の合併交渉再開・信徒減少、司祭高齢化でー駐米バチカン大使の要請受け(Crux)

(2023.12.12 Crux  National Correspondent  John Lavenburg)

ニューヨーク発 – 米オハイオ州スーベンビル教区の司教(当時)が隣接するコロンバス教区との合併を検討中と発表して約1年後の11日、両教区の司教が共同声明を出し、合併交渉を再開すると言明した。両教区の多くの司祭、信徒の反発を呼んでいる。

 コロンバス教区のアールフェルナンデス司教とスチューベンビル教区ブラッドリー司教の共同声明によると、合併交渉の再開は駐米バチカン大使、クリストフ・ピエール枢機卿の要請によるもの。

 声明は「駐米バチカン大使から、両教区に対して、『二つの教区がもっている差異が、合併でどのような影響を受けるか』検討するよう要請があった。まだ、合併に関するいかなる判断もされていないが、適切な配慮が必要であり、啓発された、責任ある判断がタイムリーになされるだろう」とし、「最終的な判断は教皇による」と述べている。

 スチューベンビル教区はオハイオ州南東部の13の郡を担当しているが、信徒数は3万人だが、年々減少を続けており、聖職者も高齢化が進み、人数の確保も困難になりつつある。

 2012年からスチューベンビル教区長を務め、昨年9月にデトロイト大司教区の補佐司教に転出が決まったモンフォートン司教は、教区を離れる際、Cruxとのインタビューで、「私は、教区合併の取り組みから離れるが、スチューベンビル教区がうまくいかなくなりつつある、というのは明らかだ」と語り、「この地域は、炭坑や製鋼所でにぎわっていた時代とはすっかり変わっている。そのような中で、どのように巻き返し、発展させるか、と考えねばならない」としていた。

 彼が昨年秋に両教区の合併が検討されていることを明らかにした時、司祭、信徒から多くの反発の声が上がり、教区のこの問題の調査では、回答者3200人にうち6割、教区の信徒総数の約1割)が合併に反対を表明した。オハイオ州の司教たちはすでに、全会一致で両教区の合併が最善の道だとの判断を下していたが、このような状況を背景に、昨年11月の全米司教協議会総会に判断が委ねられ、その結果が明らかにされないまま、今年2月モンフォートン司教が、合併の財政面からの実行可能性を判断するため、教区の財務監査を行うことになった旨、発表。だが、その結果は、11日の両教区の司教たちの共同声明でも明らかにされていない。

 11日の声明で二人の司教は「ブラッドレー、フェルナンデス両司教は、両教区の司祭、信徒に、両教区の共同作業が成果を挙げるよう、祈ってくれるよう願っている」としている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2023年12月13日

・急速に縮む教会がオランダの司祭たちに”燃え尽き症候群”を起こしている(Crux)

Cathedral Basilica of Saint John the Evangelist in ‘s-Hertogenbosch, the Netherlands. (Credit: Wikipedia/CC BY-SA 3.0.)

(2023.12.8 Crux Francesco Paloni=Editor for Katholiek Nieuwsblad)

 オランダ、セルトーヘンボス発 – 仕事のプレッシャーの増大、教区の合併、教会の閉鎖が、オランダの教区の司祭にストレスを与えており、時には聖職者が耐えられなくなることさえある。

  新型コロナウイルスの世界的大感染が、そうした聖職者たちにさらなるプレッシャーをかけた。 Katholiek Nieuwsbladの調査によると、これは、大感染が司牧への懸念を高め、その一方で、教会のミサ参加者の減少と経済的問題の深刻化が、さらに加速しているためだ。
 同誌がインタビューした司祭少なくとも一人にとって、コロナ大感染は”最後の一撃”だった。「思い返してみると、私は疲れ切って走っていたのです」とアルクマールの教区司祭ヤン・ヤープ・ファン・ペペルストラテン神父は語る。
  2021 年のクリスマス頃にオランダ全土が感染防止のための封鎖を実施した時、 「私は何かせねば、と思いました。しかし、私の中にとのための力が残っていなかった。私は限界に達しており、それが『燃え尽き症候群』の始まりでした」 という。
 「私はすべてを新型コロナウイルスのせいにしました。それが人々への最も分かりやすい説明だったからです。 しかし、本当の問題はもっと深いところにありました。それを、コロナ大感染が表面化させたに過ぎません」と説明した。

 

  オランダの7つの教区に対する調査では、司祭の精神的な問題が認識されているが、教区の広報担当者は「燃え尽き症候群」の司祭の数が増えていることを否定している。しかも、 ほとんどの教区は、関連のデータを”機密事項”とし、具体的な数字を明らかにすることができないか、あるいは、しようとしない。
  オランダ社会全体でみても、「燃え尽き症候群」の人々の数は増えている。同国の調査研究機関TNOの最近の調査によると、2022年にはオランダで全労働人口の約20%にあたる160万人が「燃え尽き症候群」に苦しんでいるという。 2021 年の調査では 130 万人だったから、わずか一年で30万人も増えたことになる。
  オランダのカトリック教会の各教区は、この増加が司祭だけでなく、教会職員の間でも見られるかどうかを確認できていない。 ブレダ教区の広報担当者マルク・デ・コーニング氏は、司祭や教会の他の職員の間でストレスが生じていることは「現実にある」と認めるものの、「それは30年前にも同様でした」と述べた。
 だが、教会関係者は、教区の合併や教会の閉鎖の過程で司祭に新たな業務が課せられ、司祭がそれに応じる備えがあるとは限らないことを認識しているようだ。
  ルールモント教区の広報担当マシュー・ベメルマンス氏は、「司祭は、司牧的な方法で人々に接することには慣れていますが、時には『マネージャー』として、難しい決断を下さなければならないこともあります」と語っている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

 

 

2023年12月10日

・ガザ南部の中心都市ハンユニスで激戦、住民は脱出に必死、北部の避難民キャンプの10万人も危機的状態

(2023.12.7 Vatican Newes   Nathan Morley)

 戦闘が続くイスラエルのガザ地区では、イスラエル軍が南部の中心都市ハンユニスに地上部隊を進め、これに対してイスラム組織ハマスが抵抗し、戦闘が激しさを増し、住民たちが脱出に必死になっている。

 一方、北部のジャブアリア避難民キャンプ周辺は、ハマスの軍事拠点を破壊するとして、イスラエル軍の戦車が地域一帯を包囲し、激しい戦闘が繰り広げられているが、キャンプには約10万人の避難民が残っており、医療や食料を欠いたまま、危機的状況になっている。供給はない。先の一時休戦が終わって以来、北部地域への医療、食料などの援助物資が届いていない。

 世界保健機関(WHO)は、イスラエルの執拗な砲撃の中で避難民となったパレスチナ人の間に疫病の蔓延が懸念されている、とし、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は6日、「ガザ地区の状況は急速に悪化しており、治安が完全に崩壊する可能性がある」と警告、 国連安全保障理事会に対し「人道的大惨事の回避を支援」するよう求め、 異例の措置として、事務総長就任以来初めて国連憲章第99条を発動を要請した。

 事務総長は、国連安保理への書簡で、「私たちは人道的支援体制の崩壊の深刻な危険に直面しています… 状況は急速に大惨事へと悪化しており、パレスチナ人全体と地域の平和と安全に取り返しのつかない影響を与える可能性があります。 このような事態は何としても避けなければなりません」と訴えたが、これにイスラエルのコーエン外相が反発、グテーレス氏が事務総長のポストにいることは「世界平和への危険」をもたらす、と非難している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2023年12月8日

・COP28で諸宗教指導者たちが各国指導者に「協力と決断を伴う迅速な行動」を求める共同宣言

(2023.12.3 バチカン放送)

 ドバイで開催中の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)に参加した諸宗教リーダーたちは、12月3日、共同宣言を行った。教皇フランシスコは、バチカンの書斎から共同宣言に署名された。

 COP28に集った諸宗教指導者たちは共同宣言を通して、「1.5℃目標」(気温上昇を産業革命前比で1.5℃までに抑える目標)を中心に据えるとともに、気候変動の影響を受ける共同体を支えるために革新的行動を必要とするこの気候変動の危機の中で、団結と、責任の共有、人類の兄弟愛の精神を強調。

 そして、「この歴史の瀬戸際において、皆で立ち向かうべき挑戦の重大さを思いつつ、私たちは次世代への遺産を自覚し続ける」と述べ、「共通の行動と深い責任のタペストリーを紡ぐ」ため、また「傷ついた世界を癒し、私たちの”共通の家”の輝きを守る」ために、協力と決断を伴う迅速な行動をとるよう、COP28に集まった各国の指導者たちに呼びかけた。

(編集「カトリック・あい」)

2023年12月4日

・COP28議長国のUAEが二国間会談を利用して石油・ガス商談を画策、と英BBCが報道

(2023.11.29 カトリック・あい)

 国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP28)が30日から、アラブ首長国連邦(UAE)で開かれるが、英国営放送BBCが27日、環境問題を中心に調査報道をしている「センター・フォー・クライメート・リポーティング(CCR)」と協力して入手した文書をもとに、議長国UAEが各国との二国間会談を利用して石油やガス取引の商談を画策していた、と報道した。石油や天然ガスなど化石燃料の使用を無くしていこうとする会議の主旨とは正反対の動きを議長国がしていることになり、国際的に批判が出ている。

 BBCとCCRが入手した文書は、UAE側がCOP28の参加国政府代表団との個別会談のために準備した150ページ以上にのぼるもの。各国のCOP28での交渉ポイントのほかに、UAEの国営石油企業ADNOC、国営再生可能エネルギー企業MASDALとの取引や、将来的なビジネスの可能性も記されている、という。COP28で議長を務める予定のスルタン・ジャーベル氏はUAEの産業・先端技術大臣だが、ADNOCの最高経営責任者(CEO)も務めており、「利益相反」との指摘も出ている。

 また米CNNが28日伝えたところによると、COP28の運営チームの広報担当者はCNNの取材に電子メールで答え、「BBCの記事で紹介された文書は不正確で、COP28(の準備)では、これらを会合で使用していない。BBCが信憑(しんぴょう)性を確認できない文書を報道に使用したとみられるのは極めて遺憾だ」と述べる一方、「COP 28の運営チームは、ADNOCから独立して活動しているのか」とのCNNの問いには回答せず、ビジネス上の利益が話し合われていることについて明確に否定しなかった、という。

2023年11月29日

・エルサレム総大司教が、世界の教会に17日の聖地の平和の祈りに参加を呼び掛け、世界の女子修道会連合も参加

A Christian prays for peace at the Church of the Holy Sepulchre in Jerusalem (archive photo)A Christian prays for peace at the Church of the Holy Sepulchre in Jerusalem (archive photo)  (AFP or licensors)

 (2023.10.16 Vatican News   Sr. Titilayo Aduloju, SSMA)

    世界の女子修道会代表で構成する国際修道会総長連合(UISG)が16日、世界中のすべての女子修道会会員とその協力者に対し、17日に聖地で行われる「平和と和解のための断食と祈りの日」を共にするよう呼びかけた。

  教皇フランシスコは15日の正午の祈りで、聖地でのこの断食と祈りを世界の信者たちが共にするよう呼びかけ、「祈りは憎しみ、テロリズム、戦争という悪魔の力に対抗する柔和で神聖な力… 聖地でも、ウクライナでも、他のどこでも、これ以上罪のない血を流さないでください!もう十分です!戦争は常に敗北です、常に!」と訴えられており、これに応えたものだ。

 UISGは16日の声明で、聖地での最近の出来事に悲しみを表明し、「私たちが直面している状況に深い懸念と悲しみを抱いているこの時に、希望の光を分かち合いたい」と述べ、 「今こそ、私たちが、国際社会として一致し、平和が暴力に勝利し、正義が争いに勝利し、憎しみに和解が勝利する世界を祈る時。祈りで一致すれば、私たちは平和と正義への願いを父なる神に届けることができる」として、すべての会員とその協力者が世界祈りの日に参加するよう、心から奨励した。

 エルサレム総大司教のピエルバティスタ・ピッツァバラ枢機卿は、世界のカトリック教会のすべての兄弟姉妹に対し、17日を断食と聖地の平和への祈りに捧げるよう要請している。

  枢機卿は声明で、「前例のない暴力、激化する憎しみ、さらなる破壊をもたらしているイスラエルの現在の政治的・軍事的危機」を嘆き、「残念なことに、私たちがあまりにも長い間経験してきた憎悪がさらに増大し、その後の暴力のスパイラルはさらなる破壊を生み出している。 すべてが死について語っているようです」と述べた。

 そのうえで、「私たちは失望と悲しみの真っただ中に無力なままでいることを望んでいません。私たちは死とその刺し傷(コリントの信徒への手紙1・15章55節)だけを耳にすることはできません。だからこそ、私たちは祈り、父なる神に心を向ける必要性を感じているのです」と言明。聖地のすべての教会指導者を代表して、世界のすべての教区と修道会を、平和と和解のための断食と祈りの日に招いた。 そして、「この方法でのみ、私たちはこの苦難のさなかに神に祈りととりなしを頼り、神に祈り、叫び求めることによって、この困難な時期に耐えるのに必要な強さと平穏を引き出すことができるのです」と訴えた。

 
2023年10月17日

・ニカラグア独裁政権の教会弾圧ー今度はイエズス会の法的立場を取り消し、土地、建物没収

ニカラグアにおけるイエズス会の法的ステータス取り消しに、同会中米管区は非難を表明

(2023.8.24 バチカン放送)

 ニカラグアのオルテガ政権が教会に対する弾圧を強める中で、今度は、現地で活動中のカトリック修道会、イエズス会の法的立場を取り消し、活動を停止させるとともに、会の所有する土地、建物を没収した。

 一連の政権による行為は、法的手続きを無視して強行され、イエズス会には、公平な法的判断を求める機会も与えられなかった、という。

 オルテガ政権は、今回の強硬措置に先立って、イエズス会が設立、運営している「ニカラグア中米大学(UCA)」と、マナグアのイエズス会の施設を「テロとの戦い」を理由に閉鎖、没収している。その際、施設で生活していたイエズス会士たちに、個人的な身の回り品を持ち出すことさえ認めなかった。

 このような政権の不当行為に対して、イエズス会の中米管区は声明を発表。「我々の修道会に対する攻撃であるにとどまらず、ニカラグア国民に対する国家レベルの組織的弾圧の一部だ」と強く非難。「国民や教会に対する弾圧を直ちに中止し、真理、正義、対話、人権と法治国の尊重が勝る理性的解決に努めるよう、同国の政治家たちに訴えた。

 オルテガ政権による教会や教育機関に対する弾圧はここ一年、特に強まっており、マタガルパ教区のロランド・アルヴァレス司教は昨年8月に逮捕された後、裁判も開かれないまま、「国家反逆罪」という罪状で26年の懲役を科せられた。

 ニカラグア国内の大学に対する圧力は増し、マナグア大司教区のインマクラーダ・コンセプシオン大学をはじめ、多くの私立大学が「自主的解散」という名目で大学としての扱いを取り消され、閉校に追い込まれている。

(編集「カトリック・あい」)

2023年8月26日

・豪司教協議会の代表団がウクライナ訪問、ロシアの軍事侵略の惨状を確認、被災者たちを激励

Bucha, UkraineBucha, Ukraine  (AFP or licensors)

  代表団はまた、聖ペテロ・パウロ教会で行われた戦死した兵士の葬儀ミサに招かれた。葬儀は、この教会だけで一日に十数件も行われることがあるという。 キエフでは、復活大聖堂でウクライナ・ギリシャ・カトリック教会(UGCC)のキエフ大司教区のアンドリー・ヒミャク補佐司教と会談した。復活大聖堂はまだ建設中だが、秘跡と司牧活動の重要な中心となっている。ロシアによる軍事侵攻が始まった当初の数日、300人以上の人々が身を守るために大聖堂の地下に避難した。 今も、大聖堂は避難所、祈りとミサ典礼の場所、そして被災者の支援とケアを行う拠点であり続けている。被災して日々の暮らしに困窮している人々に毎日最大 800 食の食事を提供してもいる。

  キエフの郊外には、ロシア軍の無差別的な攻撃で多くの一般人が殺戮されたルピンとブチャの町がある。 イルピンでは、住宅や建物の7割が破壊された。代表団は、イルピンの小さなコミュニティを率いるギリシャのカトリック司祭ヴィタリ・コレスニク神父と面会した。 近くのブチャでは、地元の戦死した兵士の墓地と民間人の集団墓地を訪れ、殺害された人々、後に残された人々のために祈りを捧げた。

  ACBCは今回の訪問についての報告を「短い期間だったが、ウクライナ訪問で、ウクライナの人々を支援する、というオーストラリアの教会の兄弟的決意を確認することができた」と締めくくっている。 司教たちは帰国後、「これまでに築いたつながりをさらに強化し、オーストラリアの信徒たちに祈りで苦しみの人々に寄り添い続けるよう促す」と記している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2023年8月14日

・米日のカトリック4教区が核兵器廃絶で共同行動の声明‐日本側のホームページには見当たらず?

(2023.8.13 カトリック・あい)

   米国の有力カトリック・メディアCRUXが12日伝えたところによると、 日本の長崎への原爆投下から78周年を迎えた8月9日、原爆投下に関わりを持つ日米4教区のカトリック司教たちが、過去の行為に焦点を当て、「核兵器のない世界」実現に向けて協力する共同声明を出した。 「原爆投下80周年にあたる2025年8月までに具体的な進展がなされることを」と当面の目標とする、という。

 共同宣言に参加したのは、米国のサンタフェ教区長のジョン・ウェスター大司教と シアトル教区長のポール・エティエンヌ大司教、日本の広島教区長の白浜 満・司教、長崎教区長の中村倫明・大司教と高見三明・元大司教の5人。

 声明で5人は、「核兵器の保有は道徳に反するもの」と糾弾し、「(広島、長崎の惨状を)記憶し」、「(核全廃に向けて)共に歩み」、「(核の悲劇の再発から)守る」の三つを重点に、世界の教区、聖職者、修道者、信徒に、この運動にに積極的に参加するよう呼びかけた。また、この問題に関わる人々―広島と長崎の原爆犠牲者、ウラン鉱山労働者、平和活動家、核技術者、軍関係者、外交官―などとの対話を進め、、核兵器のない世界を目指す特別な意向で少なくとも年に一度ミサを捧げるほか、核被害者を支援し、兵器が破壊した環境を回復するための特別募金を呼びかける、という。

 そして声明の最後に、核兵器の全廃を目指す核兵器禁止条約に、米、英、仏、ロシア、中国、インド、パキスタン、北朝鮮など核兵器保有国や、核を持たないが強い影響力を持つ日、独、伊など主要国首脳会議(G’7)メンバーに署名を求めるとともに、核兵器廃絶に向けた具体的な措置を講じるよう呼びかけた先のG7広島サミットの内容を確認している。

 米国科学者連盟が3月に発表したデータによると、世界で最も多くの核弾頭を保有しているのはロシアで5899発、米国が5244発でこれに次ぎ、3位は410発の中国だが、現在急ピッチで核弾頭を増産している。4位はフランスの290発、5位が英国の225発。以下、パキスタン 170 発、インド 164 発となっている。

 今回の共同声明について、日本の司教協議会会長の菊地功・東京大司教はCRUXに対して、 「私たち日本は、この破壊的な兵器を最も大量に保有する国の一つである米国の司教や友人の日本の司教たちが核兵器に反対し、核兵器の廃絶を訴えてくれたことを歓迎します」とし、「平和を求める被害者の側からの声はもちろん重要ですが、核兵器を使用する可能性のある国の人々の側からも声を上げる必要があり、米国の人々、特に一部の司教たちが勇気を持って核兵器廃絶を訴えてくれたことをうれしく思う」と強調。 「世界中の教会で自らの行動を通じて、対話が連帯と信頼を得る唯一の方法であることを証明することに努めねばなりません。それは、教会のSinodalirity(共働性)を促進し、sinodal(共働的)な教会は神の平和の世界のモデルとなるでしょう」と期待を述べた。

 なお、共同声明を主導した米国のサンタフェ教区は、広島、長崎に投下された原子爆弾の開発、製造を行ったニューメキシコ州のロスアラモス国立研究所を管内にもつ。同研究所は、現在でも、核兵器開発やテロ対策など米国の軍事・機密研究の中核となる研究部門を持っている。

 また、シアトル教区の管内には、シアトル郊外にある海軍の戦略原潜基地があり、米国内でもっとも核兵器が集中配備されているといわれ、いずれも、現在に至るまで核兵器の開発、製造、配備で、米国を”代表”する研究所や基地を抱える教区だ。

 今回、核廃絶を訴える共同声明を出したことは評価するが、特にサンタフェ教区の場合、広島、長崎原爆投下時、あるいはそれから間もない時期に、その二つの原爆の開発、製造を行い、今も続けている研究所が自らの教区内にあることを知っていたはずであり、なぜ80年近くも”沈黙”していたのか、という疑問が残る。

 また、同教区は聖職者による性的虐待に対する被害者の損害賠償訴訟多発に教区財政が耐え切れず、今年初めに 破産手続きで原告と合意に達したばかり、しかも3月半ばには ウェスター大司教名で、性的虐待を受けた信徒たちに謝罪する公開書簡を出す、という具合に、教区に対する教会内外の人々の信頼が大きく揺らいでいる最中だ。”規模”は違うが、日本側も長崎教区が、長崎地方裁判所から、性的虐待にからんで損害賠償命令を受け、さらに性的虐待問題を扱い教区事務局の担当者を精神的傷つけたとして訴えられるなど、問題を抱えている。

 そうしたことが影響したのか定かでないが、この共同声明も、日本側はカトリック中央協議会のホームページにも、長崎、広島両教区のホームページにも、13日現在、見当たらないようだ。せっかく日米共同で出された核廃絶への決意を示す声明が、肝心の日本の信徒と共有されないのは、極めて遺憾としか言いようがない。

 ちなみに、米側の両教区はホームページで9日付けで、以下の共同声明を報じている。

Partnership for a World Without Nuclear Weapons  From the Archbishops of Santa Fe, Seattle, Nagasaki, and Bishop of Hiroshima

Nagasaki, Japan, August 9, 2023 – On the 78th anniversary of the atomic bombings of Hiroshima and
Nagasaki, we, the bishops of four Catholic arch/dioceses in areas impacted by nuclear weapons, declare
that we will begin working together to achieve a “world without nuclear weapons.” We urge that there be
concrete progress made by August 2025, the 80th anniversary of the atomic bombings.
In the spirit and teaching of Pope Francis, we recognize that even the possession of nuclear weapons is
immoral. Therefore, we call upon the leaders of the world, as we urged the leaders of the G7 meeting in
Hiroshima in May 2023, to also undertake the following concrete steps toward the abolition of nuclear
weapons:
• Acknowledge the tremendous, long-lasting human suffering that the Hiroshima and Nagasaki atomic
bombings inflicted upon hibakusha;
• Acknowledge the tremendous, long-lasting human suffering and environmental impacts caused by
uranium mining and nuclear weapons research, production and testing around the world;
• Reiterate that a nuclear war cannot be won and must never be fought, as well as emphasize that, as the
G20 agreed to in November 2022, the use and the threat of use of nuclear weapons are “inadmissible;”
• Announce and commit to concrete steps to prevent a new arms race, guard against nuclear weapons
use, and advance nuclear disarmament;
• Honor the international mandate to enter into serious multilateral negotiations leading to nuclear
disarmament, pledged to more than a half-century ago in the 1970 Non-Proliferation Treaty;
• Support the Treaty on the Prohibition of Nuclear Weapons, which was first signed and ratified by the
Vatican.
At the same time, in recognition of our own responsibility as religious leaders to exercise leadership, we
have agreed to create a new initiative to promote the realization of a world without nuclear weapons. In the
spirit of “remembering, walking together, and protecting,” as Pope Francis said in his message in
Hiroshima on November 24, 2019, we will work hand-in-hand with our four arch/dioceses as well as with
other dioceses and other faith traditions to build an interfaith partnership.
To remember is to learn from our painful history, to examine the current situation, and to build a culture of
peace. To walk together is to pray together, to support each other, and to act. To protect is, among other
things, to help all victims of nuclear weapons, to restore the environment destroyed by nuclear weapons,
and to protect our common home, the earth.
We invite all religious traditions to develop specific activities in accordance with the spirit of this
partnership introduced above.
In our four arch/dioceses, more specifically,
(1) In order to remember, we will listen to and dialogue with hibakusha, uranium miners, peace
activists, nuclear engineers, military personnel, diplomats, and others on a regular basis;
we will create opportunities to learn about the threat of nuclear weapons and the devastation caused
by nuclear weapons.
(2) In order to walk together, we will ask for God’s help as individuals and as community with specific
prayers (as introduced at the end of this declaration); we will offer Mass at least once a year with a
special intention for a world without nuclear weapons and, wherever possible, call for a special
collection to support nuclear victims and to restore the environment destroyed by nuclear weapons.
(3) In order to protect, we will promote the signing and ratification of the Treaty on the Prohibition of
Nuclear Weapons; we will urge the leaders of the world to redirect the funds spent on the
development and maintenance of nuclear weapons toward helping vulnerable populations and
addressing environmental issues.
We, the bishops of four arch/dioceses in areas that have experienced the devastation caused by nuclear
weapons, call on our priests, religious, and lay people to participate actively in this partnership to
“remember, walk together and protect” so that we may create a legacy of peace for current and future
generations.
The road to peace is difficult—we cannot travel it alone.
We conclude by calling upon Christ, the Prince of Peace, our Partner and Companion on the journey, to
bless our partnership, and we ask for the intercession of Mary, Queen of Peace.

 

2023年8月13日