・バイデン米大統領、信仰に基礎を置く組織を再開(Crux)

(2021.2.15 Crux National Correspondent John Lavenburg)

 米国のバイデン新大統領は14日、国内の宗教関係者や団体の要請に応えて、ブッシュ政権の下で創設され、オバマ政権まで続けられていたホワイトハウスの「信仰を基盤とし隣人との協力を推進する室」を再開する大統領命令に署名した。

 オバマ大統領当時の2013年から2017年にかけて室長を務めたメリッサ・ロジャース氏がトップに復帰し、大統領選挙でバイデン候補の信仰面を補佐したジョシュ・ディクソン氏が副所長に就任する。また選挙中にアフリカ系米国人との連絡役を務め、現在はホワイトハウスで市民参加担当の上級顧問になっているトレイ・ベイカー氏は、同室の黒人コミュニティとの連絡を担当する。

 バイデン大統領は14日の発表で、再開される部署は、米国が直面する問題のいくつかを解決するのを助けるために超党派で対応するためのであることを強調。「危機に瀕している地域社会の最前線であり、私たちの癒し、団結、再建を支援できる、さまざまな信仰と背景を持つ指導者と協力するため」にこの部署を再開することを決めた、と説明した。

 そして、「現在の新型コロナウイルスの感染の中で、命を落とし、職を失い、飢え、住まいの立ち退きを迫られ、人種差別や気候変動の危機の矢面に立たされたりする人々に、民主党員も共和党員もありません。皆、同じ人間。米国人です。私たちの国は、周りで苦しんでいる人々を黙って見ている国ではない。私たちが何者かでもない。どのような信仰が私たちを動かすかでもありません」と、苦しむ隣人を助ける努力を結集するよう訴えた。

 Jubilee USA Networkのエリック・レコンテ代表はCruxのインタビューに、「大統領が、この部署を再開するのは素晴らしいことだが、何より素晴らしいのは、この部署が、このような5つの分野を推進する使命を帯びていることです」と期待を込めて語った。Jubilee USA Networkは、就任式の翌日に大統領に、部署の再開を求める書簡を送った50の信仰を基盤とする組織・団体の一つ。

 他には、「NETWORK Lobby for Catholic Social Justice」「 Church World Service」「 Pax Christi USA」「 Leadership Conference of Women Religious」「 Catholic Labor Network」「National Advocacy Center of Sisters of the Sisters of the Good Shepherd」などが所管の署名に参加しており、「NWTWORK…」代表のシスター・シモン・キャンベルは「オフィスが再開されたことにとても感謝しています。すべての信仰共同体に役立つでしょう。協力して対処することを楽しみにしています」と、ロジャース室長にエールを送っている。

 

2021年2月16日

・「女性の司祭叙階と女性の役割拡大は別問題」と国際修道会連盟事務局長

(2021.2.2 Crux SENIOR CORRESPONDENT Elise Ann Allen)

 ローマ発―世界のカトリック教会で最も有力なシスターの一人である国際修道会連盟(UISG)のシスター(UISG)・パトリシア・マリー事務局長が、1日開かれたオンラインセミナーで、女性の司祭叙階を巡る議論について「この問題は、叙階された聖職と教会の意志決定への参加とを分けて考える必要性を強調する、もっと深い問題を提示している」との考えを明らかにした。

 「女性の力・昨日と今日」をテーマにしたこのセミナーは、駐バチカン・アイルランド大使館が主催したもので、マリー事務局長は講演で、まず、現在カトリック教会で話し合うべき主要課題として、「識別」の重要性を強調。

 彼女が所属している女子修道会、The Institute of the Blessed Virgin Mary の霊的な伝統は、教皇フランシスコの”本籍”であるイエズス会の創設者である聖イグナチオ・ロヨラの(識別を重視する)教えがもとになっている、としたうえで、「全世界のカトリック教会の奉仕に聖霊が何を求めておられるのか深く考察することを、まさに『識別』が求めているのです」と指摘。

 そして、「それは性急にできるものではありませんが、試みられるべきもの。X、YあるいはZについて”圧力団体”に即座に答えるのではなく、世界が求めるもの、特定の場で教会が求めるものに対する人々の意見表明に深い関心をもち、吟味し、それから、何がしかを試し、すこしずつ前に進むようにするのです」と説明した。

 さらに、アイルランドの尊者ナノ・ネーゲル(18世紀にSisters of the Presentation of the Blessed Virgin Maryを創設)と尊者キャサリン・マコーレー(19世紀にthe Sisters of Mercyを創設)の生涯に触れ、「この二人は、最終的に成し遂げたことよりも異なる点の多い計画を立てていました。歩き続けながら見識を得たために、そうなったのです」と述べた。

 そして、カトリック教会で議論が高まっている女性の司祭叙階問題について、「教皇フランシスコが私たちに言われていることの一つは『確かにこの問題についてさまざまな声が出ているが、司祭職を変えることについて、私たちが司祭職を一般的にどう見るのかについて、もっと奥の深い問い掛けがある』ということです」とし、「教会におけるすべての司牧活動は、それがカトリック要理を教えることであろうと、病気の人や瀕死の人のケア、貧しい人への奉仕であろうと、育成される必要があります… 世界には、神に奉仕するためにさまざまな仕方があるのです」と語った。

 さらに、「聖職にもさまざまなものがあり、叙階された司祭職のように、特定の聖職は時間をかけて育てられると思います… 叙階された司祭職は、確かにとても重要ですが、同じように重要な他の聖職には、ふさわしい重さが置かれていません」とし、「私見では、教会における女性の役割の問題は、司祭叙階だけに絞ることはできない、と思います」と言明。

 また、「現代世界における女性の力と信仰」についての考察で、 教会組織における女性と、神の民の一員、修道者、そして一般信徒として教会共同体全体に奉仕する女性に焦点を合わせ、北半球の先進国で生活し奉仕する多くの女性の一方で、女性信徒の大多数は南半球に住んでおり、貧困、紛争、戦争、差別が北半球よりも横行しているが、北半球でも貧富の格差が広がりつつあり、それが女性が奉仕する環境に複雑さを付け加えている、と指摘。

 そして、教区の活動に奉仕する女性、ミサで朗読をする女性、聖体を配る女性、教える女性、医療施設や刑務所、ホームレス保護施設、難民キャンプで働く女性など、何百万人という女性たち、アマゾンや南スーダンなど辺境や危険地域で働く宣教師たち、人身売買の犠牲者や新型コロナウィルスに感染した人々を助けている人々を称賛し、聖職者、一般信徒の区別なく、世界中で、女性たちは信仰の故に「連帯と慈しみに招かれていることを感じています… これらの女性すべてが、イエスの使命を実際に感知できる手段を通して、目に見えるものにしているのです」と語った。

 教会の組織運営に関して、この数十年の間に、女性たちは「教会の役に立つために、自分たちの見方や洞察を通して、意思決定に参加したい」と自由に発言することが増えてきています」とし、実際に、第二バチカン公会議以降、教会の中で女性が自分たちの場所をさらに拡大させてきたことに注意を向けた。

 具体的には、神学や教会法を学んだり、高い水準のテーマを教えたり、書物にしたりする女性、教会法の専門家の中に一般信徒の女性が増えていること、数え切れないほど多くの女性が教皇庁で重要な地位に任命されてきていること、多くの女性が世界代表司教会議に招かれていること、などを挙げ、「カトリック会の脱聖職化と、叙階制度と教会運営に関する政策決定過程の繋がりを絶つプロセスに焦点が合い始めており、重要な変化が必要になるでしょう」とも述べた。

 また、洗礼を通してカトリック教徒は「教会の使命と司牧を平等に分かち合っている」とし、教皇フランシスコが2013年に出された使徒的勧告「Evangelii Gaudium(福音の喜び)」で語られている言葉を引用したー「私たちが秘蹟の力について話すとき、私たちの役割は『働く』ことであり、『威厳』や『聖性』をもたらすことではありません」。

 このように、さまざまな司牧活動で、教皇の見方に倣う必要があり、「教会の組織の中で、女性は役割と機能の両方を広げつつある」ことを付け加えた。「私自身、ローマにいた時、様々なレベルでの考察、識別、政策決定への、女性の参加という変化を、数多く目の当たりにしました」と述べた。

 そして、「今の教会で女性にとって最も大きな課題は、依然として、私たちの声が聞き届けられること、教会のあらゆるレベルで女性が参加できる場所ができること、なのです」と強調。「教皇フランシスコはその模範となってくださっている、と思います。簡単なことでありません。困難はつきものです。しかし、女性のための場所が作られ、小教区や教区でもそれが起こりつつあるのです」。

 この変化は、一様ではなく、世界の場所、段階によって異なっているが、「その方向に物事が進み始めれば、それ以降の進展は時間の問題です… 私たちは尊厳と勇気を持って真実を語り、私たちの場所を主張せねばなりません」と訴えた。

(翻訳「カトリック・あい」田中典子・南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも昨年、全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。

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2021年2月5日

・14日まで一週間で少なくとも10人のカトリック高位聖職者がコロナで死亡(Crux)

(2021.1.18 Crux Inés San Martín

 新型コロナウイルスの世界的大感染が続く中で、カトリックの高位聖職者の感染、死亡が相次いでいる。

 新年に入って8日から14日のわずか一週間で、世界中で10人の司教が亡くなり、さらに17日には、南アフリカの主要教区であるダーバンのアベル・ガブザ大司教がコロナで命を落とした。教区長のポストを彼に引き渡す予定だったウィルフリード・ネイピア枢機卿は同日、声明を発表。「ガブザ大司教は、その優しさと思いやり、温かな性格を通して、全ての人に大きな影響を与えてきました。彼の死は南部アフリカの教会にとって大きな損失です」と追悼した。

 この期間で司教の死亡が集中したのは1月13日で、3つの大陸でザンビアのハムンゴレ司教を含めて4人の司教が亡くなった。英スコットランド最大のカトリック教会共同体、グラスゴー教区を率いてきたフィリップ・タータグリア大司教(70)、イタリア・ファーノ教区のマリオ・チェッキーニ司教(87)、ブラジル・リオデジャネイロ教区の教区長を引退していたエウゼビオ・オスカー・シャイド枢機卿(88)だ。

 このうちシャイド枢機卿は、コロナウイルス感染が分かり入院して、数日後に亡くなった。枢機卿が亡くなった際の慣習として、教皇フランシスコは、リオデジャネイロ大司教のオラニ・ジョアン・テンペスタ枢機卿に弔電を送り、深く哀悼を示すとともに、その功績を讃えた。ブラジルは、コロナ感染で米国に次ぐ多くの死者を出している。

 また、この一週間の初めに亡くなったのは、ベネズエラ・トルヒーヨのカストル・オズワルド・アズアヘ・ペレス司教(69)。ベネズエラの司教として初のコロナによる死者となったが、同国では、少なくとも8人の司祭と数人の修道女がコロナで亡くなっている。

 南米では、コロンビア・サンタマルタのルイス・アドリアーノ・ピエドラヒタ・サンドバル司教(74)が、昨年12月23日から入院治療中だったが11日に亡くなり、コロンビアで最初の司教の死者となった。。

 スコットランドでは、タータグリア大司教が亡くなった翌日の14日に、ダンケルド教区のヴィンセント・ローガン名誉司教(79)が死亡している。

 欧州では、ほかにポーランドのアダム・ディツコウスキー名誉司教(88)が10日に、ルーマニア・クルージュゲルラのフロレンティン・クリハルメヌ司教(61)が12日に、それぞれ亡くなった。

 南米メキシコも大感染が続いており、すでに100人近くの司祭が死亡しているが、メキシコシティの元大司教、ノルベルト・リベラ・カブレラ枢機卿も、コロナ感染で16日に入院している。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2021年1月18日

・アイルランドのカトリック施設で未婚の母の子どもたち9000人が無名で埋葬

world/taoiseach-primate-apologize-for-abuse-at-mother-and-baby-homes-in-ireland

June 2014 file photo showing a handwritten note painted on the site of a mass grave of up to 800 children on the site of the former Mother and Baby home in Tuam, in western Ireland. (Photo by EPA /AIDAN CRAWLEY/ MaxPPP)

(2021.1.13  La Croix International staff )

  アイルランド政府の母子家庭調査委員会が13日、調査報告書を発表、1960年代半ばまで80年以上の間に、国内に18あった未婚の母子収容施設で9000人に上る乳幼児が死亡、名もなく集団埋葬されていたことを明らかにした。

 これらの施設の大部分は、カトリック教会によって運営されていたもので、全アイルランドの教会を代表してイーモン・マーチン主席大司教が被害者たちに陳謝した。

 報告書によると、施設は、救貧院、孤児院などで、出産を諦めたり、出産しても自分の子として育てるのを諦めた未婚の女性たちが祈りと無給労働で過ごしていた。1998年までにそうした施設は閉鎖されたが、これらの施設の未婚の妊婦は合わせて5万6000人に上り、死亡した乳幼児は無名で埋葬され、命の助かった多くの乳幼児は国の内外に養子として出されていた。

 大量死に関する政府の調査のきっかけは、2014年。アマチュアの歴史家が、アイルランド中西部のチュアムの町で女子修道会が運営する18の家の1つの敷地内に約800人の乳幼児が印のない墓に埋葬されているのを明らかにするために、彼らの死亡診断書をまとめたことだった。

 マーチン主席大司教は、生存している全ての関係者に深く謝罪するとともに、「教会が『人々が非難され、裁かれ、拒否される文化』の明確な一部だったことを認めます… 嘆かわしいことですが、アイルランドの多くの家庭の体験に触れる今回の報告書を私たち全員が、生かしていくことが重要です」と述べ、「私たちは、報告書の中心を占める証言をされた人たちと心を通わせる方法を見つけ続けねばなりません。報告書は、私たちが共有する歴史の何年にもわたって隠されてきた部分に光を当てるようにし、『未婚の母と子どもたち』が経験させられた『隔離、秘密、社会からの追放の文化』を明るみに出すものです」と自省を込めて語った。

 さらに大司教は「関係の全ての生存者が自己の個人情報を入手する権利を完全に保証されること、実態解明に残された障害を確実にすることを、政府に改めてお願いしたい。亡くなられた方と家族が決して忘れられることのないように、埋葬地を全て確定し、記録される必要があります」と政府に要望。「教会、国、そして社会は、一体となって、アイルランドの全ての子どもたち、母親たちが、求められ、歓迎され、愛されている、と確信できるようにしなければなりません」と訴えた。

 ミホル・マーティン首相も、議会下院で、この問題について政府の責任を認めることにしており、「これは、アイルランドのごく最近の歴史の中で、政府、社会、教会の重大な過ち。暗く、恥ずべき一章。私たちは、性的な面、親密さの面で完全に歪んだ態度をとり、若い母親と幼児たちにその代償を払わせた。歪んだ宗教的道徳と統制を押し付け…社会全体がそれに加担した。人間の尊厳を致命的に損なった。国家ぐるみの“共謀”、怠慢です」と謝罪した。

 

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

LA CROIX international is the premier online Catholic daily providing unique quality content about topics that matter in the world such as politics, society, religion, culture, education and ethics. for post-Vatican II Catholics and those who are passionate about how the living Christian tradition engages, shapes and makes sense of the burning issues of the day in our rapidly changing world. Inspired by the reforming vision of the Second Vatican Council, LCI offers news, commentary and analysis on the Church in the World and the world of the Church. LA CROIX is Europe’s pre-eminent Catholic daily providing quality journalism on world events, politics, science, culture, technology, economy and much more. La CROIX which first appeared as a daily newspaper in 1883 is a highly respected and world leading, independent Catholic daily.

 

2021年1月15日

・世界で毎日13人のキリスト教徒が信仰ゆえに殺害ー「OpenDoors」年次報告

Christians march in Abuja during a prayer and penance gathering for peace and security in Nigeria on 1 March 2020 Christians march in Abuja during a prayer and penance gathering for peace and security in Nigeria on 1 March 2020   (AFP or licensors)

 

2021年1月14日

・米連邦議会議事堂乱入、死傷者発生の事態にキリスト教関係者も憂慮

Supporters of President Trump climb on walls at the US Capitol on 6 January 2021Supporters of President Trump climb on walls at the US Capitol on 6 January 2021 

(2021.1.7 Vatican News staff writer)

 米国ワシントンで次期大統領を選出する上下両院合同会議が開かれていた連邦議会議事堂に6日、トランプ大統領の支持者が乱入、死者4人、負傷者13人と大量の逮捕者が出た事件に対し、世界中から批判があがっているが、カトリックなどキリスト教関係者も、米国社会の分断と嫌悪、暴力の高まりに強い懸念を示すとともに、民主主義の価値と共通善に重きを置いた平和なアメリカの回復を訴え、祈った。

 全米カトリック司教協議会のホセ・オラシオ・ゴメス会長は声明を発表し、「これは私たちアメリカ人の姿ではない。平和的な権力の移譲はわが国の特徴の一つであるはずだ」と言明。人々が賢明さと健全な真の愛国精神の道を歩めるよう祈った。ワシントン大司教のウィルトン・グレゴリー枢機卿も「この危機の中、私たちは歩を止めて、平和のために祈らなくてはならない。私たちの中にある分裂の雰囲気は変わらねばならない」とし、平和的な政権移行への国民の一致した協力と民主主義の価値と共通善の尊重を呼びかけた。

 カトリック系の国際平和運動組織Pax Christi の米国本部は、今回の事件を極めて遺憾とし、「今日の出来事が一部の人々にとって回心の機会となる」ように希望を表明した。

 ジュネーブに本拠を置き、120か国以上の340を超える会員団体を持つ世界教会協議会は、今回の事件を極めて深刻な事態と受け止め、事務局のイオアン・サウカ牧師は「このところの米国社会の分裂を加速させたポピュリスト政治の結果であり、米国の民主主義の基盤を脅かすもの。米国に留まらず、国を超えた影響を世界に及ぼす懸念をもたらしている」とし、関係者すべてに対して、「目先の政治的利益にとらわれず、他者と、より広い社会に責任を負うやりかたで行動するように」と訴えている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2021年1月8日

・フランスの聖職者性的虐待対策委員会に6500件の訴え(LaCroix)

 

religion/frances-commission-on-clergy-sex-abuse-has-received-6-500-denunciations

according to France’s Independent Commission on Sexual Abuses in the Church, the majority of victims are men over 50 years of age, and 50% of the cases date back to the 1950s and 1960s. (Photo : ADOBESTOCK)

(2020.11.13 LaCroix  Christophe Henning)

 フランスのカトリック教会の性的虐待に関する独立機関(CIASE)が、18か月近くの関係者への聞き取り調査をもとにした第一次報告を発表した。

 CIASEの責任者、Jean-Marc Sauvéが11日、フランスの男女修道会代表者のオンラインによる会議の席上、発表したもので、調査結果によると、聖職者による性的虐待の訴えは6500件に上り、うち42%が被害者と判定された。被害者に対しては2時間の聴取が120回にわたってなされた。

 それらの結果、被害者の62%は男性で、虐待がされた時期は、1950年代と1960年代が半分を占めたが、1970年代は18%、1990年代は7%、2000年代は3%。さらに2010年代が5.7%を占めている。現在の年令は50歳から69歳が半分を占め、30%が70歳以上だ。

  Sauvé氏は、徹底した被害者への聴取をもとに、「性的虐待は、被害者の人格を壊すなど、ひどい結果をもたらしている。彼ら、彼女らの追った心の傷は深く、見えないもの」と指摘し、被害者の心身の痛みについて個人として、集団として深く認識する必要がある、と強調した。

 調査結果の最終報告の発表は来年秋になるが、「個人的、集団的、制度的な過ちと失敗」だけでなく、調査する必要のある体系的な側面についての反省を行なうべきことは、今回の一時報告で既に明らかになっています… 弱者を保護すべき立場にある権威の失敗、信頼を裏切る行為が目に余る」と強く批判。

 調査結果では、性的虐待の被害者の87%は当時未成年。うち3割は6歳から10歳、35%は11歳から15歳だった。また被害者の13%は若い成人で、その3分の1は神学生または宗教的な訓練中に被害に遭っている。ただ、調査で明らかになった被害者で法的な措置をとった者は14% に過ぎず、それ以外の人々も含めて「何らかの形で被害者に正義を行う必要がある」と述べる一方、これまで彼らに適切な対応がとられたかどうかを完全に知ることは難しい、とも語った。

 さらに Sauvé氏は「虐待は死を運ぶ者、物理的な死をもたらし、命を、おそらく数世代にわたって破壊してしまう可能性があります。それは、人としての存在の無限の荒廃。それほど、深刻な犠牲をもたらすのです」と強調。「私が知っている、被害当時12歳の少年だった人のことを今でも覚えています。苦しんでいるのに何もできないことを疑問に思いましたが、60年経った今、CIASEの責任者になって、自分の疑問が十分に根拠があることに、ようやく分かったのです」と自己の体験を語った。

 一次報告書の発表を受けて、修道会代表者の会議では「被害者たちがどのような種類の補償を受けられるか」をテーマに議論がなされ、300人近くの修道会代表者が昨年11月にフランスの司教団が提案した”金銭面の賠償”を超えた「修復的司法(注:犯罪に関係する全ての当事者が一堂に会し、犯罪の影響とその将来への関わりをいかに取り扱うかを集団的に解決するプロセス)」の様々な側面について、意見が交換された。

 「赦し求める」をテーマにした議論では、修道会が「性的虐待で受けた傷のそれぞれ異なったケース」に着目して、被害者たちそれぞれに必要な対応を考える必要がある、との指摘があった。

 このオンライン会議には、2人の虐待被害者からも話を聴いたが、2人とも、被害者の傷を癒すためには長い時間かけての対応が必要、と強調。そのうちの1人は「教会の道徳的信頼性は粉砕されてしまった」と訴えた。

 この会議を主宰したフランス男女修道会総長連盟議長のシスター・ベロニク・マルグロンは「これは私たち一人一人が旅しなければならない道だと信じています。自分を低くし、美しいものをすべて残し、恥ずかしさを痛感し、許しを懇願します。そして、『すべてをコントロールし、大きく変える』という私たちのこれまでの願いを放棄します」と述べた。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

LA CROIX international is the premier online Catholic daily providing unique quality content about topics that matter in the world such as politics, society, religion, culture, education and ethics. for post-Vatican II Catholics and those who are passionate about how the living Christian tradition engages, shapes and makes sense of the burning issues of the day in our rapidly changing world. Inspired by the reforming vision of the Second Vatican Council, LCI offers news, commentary and analysis on the Church in the World and the world of the Church. LA CROIX is Europe’s pre-eminent Catholic daily providing quality journalism on world events, politics, science, culture, technology, economy and much more. La CROIX which first appeared as a daily newspaper in 1883 is a highly respected and world leading, independent Catholic daily.

2020年11月20日

・紛争続くカメルーン西部で武装集団が90歳の枢機卿を拉致、翌日解放

クリスチャン・トゥミ枢機卿クリスチャン・トゥミ枢機卿 

(2020.11.6 バチカン放送)

 アフリカ中部のカメルーンで、11月5日、クリスチャン・トゥミ枢機卿(90)が武装集団に拉致される事件が発生。同枢機卿は、翌6日、解放された。

 同国西部では、政府軍と独立強硬派が紛争を続け、治安が悪化を続けており、先月24日にも主要都市クンバで、銃や刃物で武装した集団が学校を襲撃し、生徒少なくとも8人が死亡、12人が負傷している。

この事件に対し、教皇フランシスコは、深い悲しみを表され、暴力の停止と、若者たちに教育と未来が保証されるようアピールされているが、その後も、武装集団によって何人かの教師が誘拐され、11月5日に解放されたばかりだった。

 トゥミ枢機卿が襲われたのは同国西部のバメンダとクンバを結ぶ道で、現地時間11月5日午後。児童らに学校に行くことを励ましたことが、武装集団の拉致の動機とみられるが、翌6日、解放されたことが現地ドゥアラ教区のサムエル・クレダ司教の声明によって確認された。

 拉致から解放されたトゥミ枢機卿は、1930年生まれ。チャドとの国境に近いカメルーン北部で、貧困問題や民族分裂などの地域問題の第一線に立ってきた。カメルーン北部と南西部の平和推進と、少数派のアングロフォンへの差別反対のために闘ってきた同枢機卿は、2019年、ネルソン・マンデラ賞を受賞している。

(編集「カトリック・あい」)

2020年11月7日

・仏ニースの大聖堂が襲撃を受け、3人殺害される、イスラム過激派か

(2020.10.29 カトリック・あい)

 フランスのニースにあるカトリックのニース・ノートルダム大聖堂で29日、イスラム過激派のテロとみられる襲撃事件があり、3人が死亡、数名のけが人が出ている模様だ。

 現地からの複数の報道によると、襲撃は現地時間同日午前9時ごろ発生。ニース市長の発表では、襲撃犯は犯行時、アラビア語で「神は偉大なり」と叫んだという。仏メディアによると、被害者3人のうち2人は教会内でのどを切られるなどして死亡。1人は教会付近のバーに逃げ込んだが、追いかけてきた襲撃犯に殺害された。襲撃犯は警官に撃たれ、病院に搬送された、という。

 フランスでは今月16日に、イスラム教預言者ムハンマドの風刺画を教材にした中学教員が刺殺され、マクロン仏大統領は犠牲となった教員を「英雄」と称賛し、国家追悼式を実施。「(表現の)自由への闘い」を重視するとして、ムハンマドの風刺画を擁護した。

 さらに、仏政府は、暴力を誘発するツイッターを拡散したとして、イスラム教徒の人道団体やモスクに対する閉鎖を命令。イスラム主義への対決姿勢を鮮明にしており、「国内の分断をあおる」とする懸念の声も出ていた、という。

 イスラム人口は仏国内で1割近くを占めるが、風刺画をめぐっては、イスラム圏のトルコやパキスタン、アラブ諸国で反発が広がり、仏製品に対するボイコット運動に発展している。

2020年10月29日

・「戦争とコロナ大感染の封じ込めに、指導者たちも、善意の全ての人も力を合わせよう」ー「ローマ2020平和アピール」に教皇たち署名

(2020.10.20  Vatican News staff writer)

 教皇フランシスコは20日午後、世界の主な宗教指導者たちとともに、ローマのカピトリーノの丘で開かれた聖エギディオ共同体が主催する宗教間平和会議「誰も一人では救われないー平和と友愛」に出席。共に平和への祈りを捧げるとともに、世界に平和を訴える「ローマ2020平和アピール」に署名した。

 内容は以下の通り。

 私たちは、「アッシジの精神」をもってこのローマに集まり、世界中の宗教を信じる人たち、すべての善意の男女と精神的に一つの体となり、私たちの世界に平和の賜物がもたらされるように、互いに共に祈りました。人類の傷を思い起こすように呼びかけました。私たちは苦しんでいる多くの兄弟姉妹の静かな祈りと共にあります。私たちは今、厳粛に誓いますーこの平和を、私たち自身で作り上げ、各国の指導者たちや世界の人々に求めることを。

 このカピトリーノの丘では、史上最大の戦いとなった第二次世界大戦を教訓に、関係国が欧州統一の夢の実現を目指してローマ条約(1957年)を結びました。この不確実な時代に、今、不平等と恐怖を悪化させることで平和を脅かす新型コロナウイルスの世界的大感染の影響を感じる時、私たちは誰も一人で救われることはできないと断言します。

 戦争と平和、大感染と健康管理、飢餓と食糧供給、地球温暖化と持続可能な開発、人口の移動、核の脅威の排除、不平等の削減ーこれらは個々の国だけに関係する問題ではありません。私たちは、密接につながっていますが、友愛の感覚をしばしば欠いている世界で、私たちはこのことを、もっとはっきりと理解します。

 私たち皆が兄弟姉妹なのです!この試練の時を経て、もはや「他者」ではなく、多様性に富んだ偉大な「私たち」が存在する可能性があることを、至高の方に祈りましょう。平和が可能であり、必要であり、戦争のない世界がユートピアではないことを、改めて大胆に、理想として掲げる時が来ました。それが、私たちがもう一度、このように言いたい理由ですー「No more war(戦争をこれ以上繰り返すな)」!

 誠に嘆かわしいことですが、多くの人にとって、戦争はいまだに「国際紛争を解決するための、一つの可能​​な手段」であるように思われています。そうではありません。手遅れになる前に、「戦争はいつも、世界を以前よりも悪くさせる」ということを、皆に思い起こさせましょう。戦争は政治の失敗、人類の失敗です。

 私たちは各国政府の指導者たちに、しばしば、恐れと不信に基づいて発せられる分裂の言葉を拒絶するように、そして、戻ることのできない道に踏み出さないように、強く訴えます。一緒に犠牲になっている人々に目を向けましょう。あまりにも多くの紛争が現在も進行中です。

 国の指導者たちに私たちは呼びかけますー平和の新しい建築物を作り上げるために協力しましょう。力を合わせて、生命、健康、教育、平和を推進しましょう。破壊的で致命的な武器を生産するの使われてきた資源を、生命を選び、人類と私たちの共通の家をケアすることに転用する時が来ているのです。時間を無駄にしないでください!達成可能な目標から始めましょう。すべての人に適切で、利用可能なワクチンが完成するまで、ウイルスの拡散を封じ込める努力を今すぐ、一致して進めてください。大感染は、私たちが血を分けた兄弟姉妹であることを、思い起こさせています。

 すべての宗教を信じる人たち、そして善意の男性と女性に、私たちは呼びかけますー平和の創造的な職人になり、社会的友愛を築き、私たち自身の対話の文化を作りましょう。正直で、粘り強く、勇気ある対話は、不信、分裂、暴力の解毒剤です。対話は、まず手始めとして、私たちの人間の家族が求められている友愛を破壊する戦争への論争を取り壊します。

 誰もこの努力を免除されていると感じることはできません。私たち全員が責任を共有しています。私たち全員が赦し、許される必要があります。世界と歴史の不正は、憎しみと復讐によって癒されるのではなく、対話と許しによって癒されるのです。

 神が、私たちに、このような理想と、皆が共にする旅への決意を励ましてくださいますように。神が、すべての人の心に触れ、私たちを平和の先駆者としてくださいますように。

         ローマ、カピトリーノの丘にて、2020年10月20日

 

 

 

2020年10月21日