・米オハイオ州の二つの教区の合併交渉再開・信徒減少、司祭高齢化でー駐米バチカン大使の要請受け(Crux)

(2023.12.12 Crux  National Correspondent  John Lavenburg)

ニューヨーク発 – 米オハイオ州スーベンビル教区の司教(当時)が隣接するコロンバス教区との合併を検討中と発表して約1年後の11日、両教区の司教が共同声明を出し、合併交渉を再開すると言明した。両教区の多くの司祭、信徒の反発を呼んでいる。

 コロンバス教区のアールフェルナンデス司教とスチューベンビル教区ブラッドリー司教の共同声明によると、合併交渉の再開は駐米バチカン大使、クリストフ・ピエール枢機卿の要請によるもの。

 声明は「駐米バチカン大使から、両教区に対して、『二つの教区がもっている差異が、合併でどのような影響を受けるか』検討するよう要請があった。まだ、合併に関するいかなる判断もされていないが、適切な配慮が必要であり、啓発された、責任ある判断がタイムリーになされるだろう」とし、「最終的な判断は教皇による」と述べている。

 スチューベンビル教区はオハイオ州南東部の13の郡を担当しているが、信徒数は3万人だが、年々減少を続けており、聖職者も高齢化が進み、人数の確保も困難になりつつある。

 2012年からスチューベンビル教区長を務め、昨年9月にデトロイト大司教区の補佐司教に転出が決まったモンフォートン司教は、教区を離れる際、Cruxとのインタビューで、「私は、教区合併の取り組みから離れるが、スチューベンビル教区がうまくいかなくなりつつある、というのは明らかだ」と語り、「この地域は、炭坑や製鋼所でにぎわっていた時代とはすっかり変わっている。そのような中で、どのように巻き返し、発展させるか、と考えねばならない」としていた。

 彼が昨年秋に両教区の合併が検討されていることを明らかにした時、司祭、信徒から多くの反発の声が上がり、教区のこの問題の調査では、回答者3200人にうち6割、教区の信徒総数の約1割)が合併に反対を表明した。オハイオ州の司教たちはすでに、全会一致で両教区の合併が最善の道だとの判断を下していたが、このような状況を背景に、昨年11月の全米司教協議会総会に判断が委ねられ、その結果が明らかにされないまま、今年2月モンフォートン司教が、合併の財政面からの実行可能性を判断するため、教区の財務監査を行うことになった旨、発表。だが、その結果は、11日の両教区の司教たちの共同声明でも明らかにされていない。

 11日の声明で二人の司教は「ブラッドレー、フェルナンデス両司教は、両教区の司祭、信徒に、両教区の共同作業が成果を挙げるよう、祈ってくれるよう願っている」としている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

 

このエントリーをはてなブックマークに追加
2023年12月13日