・世界で３億6500万人のキリスト教徒が迫害、差別の犠牲になっている

　北朝鮮はキリスト教徒にとって世界で最も危険な場所だ。「イエスに付き従う者」であることが発覚すると、それは事実上、死刑宣告に等しい。 2023年にこの国は中国との国境管理を強化したため、キリスト教徒が国外に脱出するのが一段と困難になっており、外部からの支援も届きにくくなっている。

【アルジェリア】　

　アルジェリアは、憂慮すべき迫害の増加により、今回、世界監視リストの順位を 4 つ上げた。以前は、この国には 47 のプロテスタント教会があったが、現在、活動を続けているのは 4教会のみ。彼らも強い圧力にさらされている。

【中国】

　 2023 年に中国では、少なくとも 1万の教会が閉鎖された。そのほとんどはプロテスタントの「家庭教会」だったが、政府・共産党から「公認」されているカトリック、プロテスタントの教会も圧力にさらされている。

　 新しく導入された規制により、教会は「共産党を愛し、国を愛し、宗教を愛せよ」と書かれた看板を掲示することが義務付けられた。

　デジタル監視が強化されており、ある省では、キリスト教徒が教会の礼拝に出席する前に政府・共産党が管理するアプリに登録することが義務付けられている。

【世界中で毎日13人のキリスト教徒が殺されている】

　2023 年に世界中で殺害されたキリスト教徒は1日平均で 13 人、年間合計で4998人にのぼった。

　キリスト教徒の殺害は、依然として【ナイジェリア】が最も多く、世界で殺されたキリスト教徒の82パーセントをこの国で占めている。

【1万4766の教会、学校、病院などが攻撃された】

　また、2023年には世界全体で1万4766の教会と関係施設が攻撃された。特に教会や修道会などが経営する学校、病院、墓地に対する攻撃件数が前年の7倍と、爆発的に増加している。

　目立つのは、インドでの暴徒による暴力、中国での教会閉鎖、ナイジェリア、ニカラグア、エチオピアでの襲撃だ。

【 29万5120人のキリスト教徒が故郷を追われた】

　戦争や過激派の活動によって国が不安定化することで、キリスト教徒が危険にさらされる度合いが増している。 2023年には、故郷を追われたキリスト教徒の数が前年の2倍以上、 29万5120人に上った。サハラ以南アフリカの国々で特にその傾向が目立つ。

【迫害が過酷さを増している】

　3 億 6500 万人以上（キリスト教徒の7 人に 1 人）が、信仰のために過酷な迫害に直面しており、世界監視リストに登録されている国々では、迫害が危険なほど暴力的になっている。

　2023 年には、これまでに記録された以上に多くのキリスト教徒が暴力的な攻撃に直面し、教会や関係施設に対する攻撃が急増した。

　サハラ以南アフリカの国々では、政情不安、戦争、過激派の台頭により、キリスト教徒にとって危険な状況が生じている。無法地帯が生じ、アルカイダやボコ・ハラムなどのイスラム過激派武装勢力の動きが活発になっている。

　弱体化した政府は彼らの活動を止めることができず、武装勢力は何の制約もなく、教会や関係施設への攻撃を繰り返している。

　 2023年に起きたキリスト教徒の殺害の大半はサハラ以南のアフリカの国々でなされており、宗教を動機として殺人事件の10件中9件がナイジェリアで発生した。コンゴ民主共和国、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ共和国でも、キリスト教徒が殺された。

　故郷を追われるキリスト教徒も増えており、サハラ以南アフリカの国々で発生した国内・国外避難民3450万人のうち、約1620万人がキリスト教徒だ。

【好ましい動き】