・「より良い世界に向けて共に働こう」世界伝統宗教代表者会議が宣言を採択して閉幕

Participants at the VII Congress of Leaders of World and Traditional Religions

   (Vatican Media)

 カザフスタンの首都、ヌルスルタンで開かれていた第7回世界伝統宗教指導者会議は15日、2日間の日程を終え、宗教の名のもとに暴力を非難し、より良い世界に向けて働くことへの共通の願いを表明する宣言を採択して閉幕した。

 教皇フランシスコをはじめ、約60カ国から100人以上の代表が参加した会議を締めくくる宣言では、すべての関心のある国々における政治的決定、立法規範、教育プログラム、およびマスメディアの在り方について、地域および国のレベルで保持すべき原則が宣べられている。

*より良い世界の実現に取り組むことを誓う

 この宣言は、第77回国連総会に公式文書として提出を予定し、宗教間対話の促進、文明間協力の促進のための努力を強調している。宣言では、会議参加者たちが、公正、平和、安全かつ繁栄が確保された世界への共通の願いを表明し、人類の精神的および社会的発展における共通の価値の重要性を確認している。

 また、宗教的迫害や人の命と尊厳の損なう過激主義、急進主義、テロリズムとともに、人種的、宗教的、文化的な差異をもとにした不寛容、外国人への嫌悪、差別、紛争、そしてテロに対抗し、打ち勝つことの必要性についても確認した。

 加えて、人道支援が必要な移民・難民が世界的に増加していることに懸念を表明し、新型コロナの世界的大感染が終息した後の世界で、気候変動、飢餓、貧困などの地球規模の課題に対処する重要についても強く認識。世界の精神的、政治的なリーダーたちが、こうした地球規模の課題に立ち向かう努力を緊急に求められていることも強調している。

 

*紛争や戦争を拒絶する

   前文と35項からなる宣言で、会議参加者はさらに、「世界の文化、文明の間の平和と対話のための作業を継続すること」を確認した。

 そして、緊張と対立を引き起こし、国際関係を損なう軍事紛争を放置することに反対し、あらゆる形態の暴力と戦争は、その目的が何であれ、「真の宗教とは何の関係もなく、可能な限り強い言葉で拒絶されなければならない」と言明。世界の指導者たちに、「世界の不安定化につながる攻撃的で破壊的なレトリックをすべて放棄し、紛争と流血をやめる」ことを求め、「友情、連帯、平和共存の名の下に対話を発展させる」よう促した。

 また、憐れみと思いやりの行為を奨励し、紛争、自然災害、人為的災害の影響を受けた地域への支援を呼びかけた。

 

 

*”メッカ宣言”の価値と重要性を認識

 宣言はさらに、教皇フランシスコとアル・アズハルのグランド・イマーム、アフマド・アル・タイエブが2019年2月に署名した「人間の友愛に関する文書」、2019年5月にメッカで署名した「共通の利益のために信者間の平和、対話、相互理解、相互尊重」を呼びかけるメッカ宣言の重要性と価値を認識した。

 

*多元主義は神の意志と知恵の表現、特定の宗教、協議の押しつけは容認せず

 また、「神が、人種、宗教、民族、社会的地位に関係なく、すべての人を平等に創造された」という事実から、「すべての宗教的教えを支える寛容、尊敬、相互理解の価値を支持する」とし、「多元主義と宗教、肌の色、性別、人種、言語の違いは、創造における神の意志と知恵の表現」であり、「特定の宗教と宗教的教義を強制するようなことは、容認できない」と言明。「すべての人々の社会正義と連帯を構築するために、宗教、宗派間の対話を推進するイニシアチブ」を支援するよう求めている。

 宣言ではこのほか、家族制度を強化し、女性の権利と尊厳を保護することの重要性なども強調している。

 宣言は最後に、今回の会議の開催地となったカザフスタン共和国の「文明間、宗教間、宗教間対話の権威あるグローバルな中心地」としての役割を確認するとともに、2025年の第8回大会を、今回と同じ首都ヌルスルタンで開するとの願望を示している。」

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

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2022年9月15日