アーカイブ
教皇カナダ訪問最終日:「イヌイットの顔のイエスに出会えるように祈る」若者たちにー原住民虐待”悔悛の旅”終える
教皇フランシスコは29日、カナダ最北の町、イカルイトへの訪問を最後に、カナダの先住民族に対して教会が行った虐待行為への6日間にわたる”悔悛の旅”を終え、帰途に就かれた。
イカルイトで教皇は、イヌイットの若者や年長者との集まりで講話をされる前に、寄宿学校の生徒だったイヌイットの人たちと個人的に会われた。
この後、教皇は、カナダ総督として初の先住民出身者のメアリー・サイモン氏の随行を受けて空港に向かい、イヌイットの伝統的な太鼓と踊りの送別を受けた後、ローマへの特別機に乗り込まれた。
(2022.7.29 Vatican News Christopher Wells)
イカルイトでの集会で、教皇はイヌイットの若者たちに、「自分たちの文化を大切にし、美しいイヌクティトゥット語を大切にして、いつも光に向かって前進を続け、”チームの一員”になるように」と励まされるとともに、「皆さんの先祖から伝えられた福音を受け入れ、イエス・キリストのイヌイットの顔に出会うことができるよう」希望された。
イヌイットの若者と年長者との集まり、それに先立つ寄宿学校の生徒だったイヌイットの人たちとの会見は、いずれもイカルイトにある 4 つの小学校の 1 つ、ナカスク小学校で開かれた。
教皇は同小学校の校庭で、地元の指導者たちに迎えられ、伝統的なイヌイットの歌、踊り、音楽の歓迎を受けた後、イヌイットの若者や年長者の人々に対して講話をされた。
*寄宿学校でのカトリック教会の恥ずべき行為を改めて謝罪
講話の中で、教皇はまず、国の先住民に対する文化、風俗習慣などを含む民族同化政策に協力して、寄宿学校で先住民の子弟たちを虐待した”少なくない”カトリック教会関係者の悪について、深い悲しみを示されるとともに、先住民の人たちに改めて赦しを請われた。
「(同化政策によって、子弟が強制的に寄宿学校に収容し)家族をバラバラにした、という行為は、『父と母を敬え』という戒めを守る信徒たちにとって、子供たちにとってありえない行為であり、苦痛以上のものでした」、そして、「親と子の絆を断ち切り、家族の親しい関係を傷つけ、小さな子供たちを傷つけたり、憤らせる行為は、なんと邪悪な行為でしょう」と、教会の代表者として強い反省を述べられた。
*癒しと和解の旅
教皇は、今回のカナダ訪問を振り返り、先住民の人々と多くの出会いをしたことの意義を強調され、「私たちは、創造主の助けを得て、過去に起きたことに光を当て、暗い過去を乗り越えることできるように、この地で共に癒しと和解の旅を共にしています」と語られた。
*「長兄」である教皇からの三つの助言
そして、「特に若者たちは、年長の人たちの助けを得て、この地球のために、自分たちの仲間たちのために、自分たちの歴史のために、他者をどのように世話するか、世話することをどのように他者に教えるか、学ぶように求められています」と指摘。若者たちに、「過去を受け入れ、情熱を持って歩み、年長者の助言に耳を傾けることを恐れないように」と呼びかけられ、「長兄」としての立場から、三つの助言をされた。
一つ目は、「上に向かって歩き続けること」、「偉大なことを熱心に追い求めること」。そして「自分たちが現在の世界が抱える課題の答えだ」という自覚を持つこと。 「未来はあなたがたの手の中にある。決して希望を失わず、戦い、全力を尽くす。そうすれば後悔することはありません」と教皇は励まされた。
二つ目は「他者に光をもたらし、世界の闇を取り除くために働くこと」によって「光に出会うように」促され、そのためには、「識別力ー光と闇を見分ける力、そして正しいものを選ぶ自由をもつことが必要です」と説かれた。
そして三つ目の助言は、チームワークによって力を発揮できるホッケー選手の例を上げ、「チームの一員になること」の必要性を指摘された。そして、 「チームワークとは『大きな目標を達成することは、一人ではできない』ことを確信すること。共に活動し、忍耐を持って練習し、複雑なプレーに挑戦する必要があります」と述べられた。
*「イエス・キリストのイヌイットの顔」に出会うこと
最後に、教皇は若者たちに、「このようなことすべてを、自分たちの文化の中で、美しいイヌクティトゥット語で行うように」と促され、「私の希望と祈りは、あなたがたが、イエス・キリストのイヌイットの顔に出会うことです」と強調された。
そして、心からの祝福の後、カナダでの公式のあいさつ、講話の締めくくりに、イヌクティトゥット語でひとこと、「Qujannamiik!(ありがとう!)」と呼びかけられた。
(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)
☩教皇カナダ訪問29日:「聖母マリアと先住民初の聖人に、癒しと和解の歩みへの祝福を願う」先住民の代表たちに
(2022.7.29 バチカン放送)
教皇フランシスコのカナダ訪問は29日、実質的な最終日を迎え、最後の目的地、イカルイトに向かう前に、ケベック・シティの大司教館に集った先住民の代表たちに挨拶された。
7月24日に西部アルバータ州のエドモントンからカナダ入りされた教皇は、27日、東部ケベック州のケベック・シティへ移動された後、29日にケベックを発ち、最後の訪問先、最北部ヌナブト準州のイカルイトに向かわれた。
ケベックを発つ前、教皇は大司教館で、様々な地方から訪れた先住民の代表の使節に挨拶をおくられ、「私はカナダに、友人としてやって来きました。それは皆さんと出会い、耳を傾け、この国の先住民の人々の生き方を学び、敬意を示すためです。私は兄弟としてやって来ました。それは地元のカトリック教会のメンバーたちがもたらした『良い実』と『悪い実』を確認するためです。私は悔悛の心をもってやって来ました。少なからぬカトリック信者が、抑圧的で不当な政策に協力したことで、皆さんに与えた苦しみに対し、私が心に抱える悲しみを伝えるためです」と語られた。
さらに、「私は巡礼者としてやって来ました。それは、体力的な限界はあっても、皆さんと共に、皆さんのために、さらなる一歩を進めるためです。そして、真理を追求し、癒しと和解のプロセスを推進するため、兄弟愛と調和のもとに共存を望む、先住民と先住民でない人たちの未来の世代のために、希望の種を播き続けるためです」と強調された。
そして、「この中身の濃い巡礼を、間もなく終えるにあたって、ある意味で私自身も皆さんの家族の一員のように感じ、それを光栄に思っています」とされ、特に「様々な世代の、多くの先住民の家族と共に聖アンナの祝日を過ごしたことは、私の心に、忘れがたい思い出として残るでしょう」と振り返られた。
あいさつの最後に教皇は、「聖母マリアと、北米の先住民で初めて列聖された聖カテリ・テカクウィサが、癒しと和解のための共通の歩みを祝福し、私たちのために神に取り次いでくださるように」と祈られた。
(編集「カトリック・あい」)
☩教皇カナダ訪問28日:「絶望のどん底にいるとき、主は歩みを共にしてくださる」-ケベックの巡礼聖堂でミサ
(2022.7.28 バチカン放送)
カナダ訪問中の教皇フランシスコは28日午前、ケベック・シティー郊外のサンタンヌ・ド・ボープレの巡礼聖堂でミサを捧げられた。
ミサ中の説教で教皇は、ルカ福音書の「エマオの旅人」の物語を取り上げ、エマオへの道でイエスに出会った弟子たちの歩みを、一人ひとりの歩み、また教会の歩みと重ねられて、「エマオに向かう弟子たちの旅は、私たち個人の、また教会の歩みをイメージさせるものです」と指摘。
「私たちは人生の道、信仰の道を、夢や計画や希望を抱いて歩みますが、途中で自分の弱さや失敗、失望を味わい、挫折感にさいなまれ、身動きできなくなる時があります。しかし、まさにその時、主は私たちのところにおいでになり、に寄り添い、歩みを共にしてくださるのです」と説かれた。
そして、「この福音の物語は、私たちが、悪の暴力や恥や罪の意識に茫然とし、人生が罪や失敗によって干上がり、何もかも失ったと思う時、まさに落胆と苦しみの中で、主が私たちに近づき、共に歩いてくださることを教えています」と語られた。
さらに、「失望の中で、『この場から逃げたい』という誘惑に打ち勝つことの大切さ」を強調されたうえで、「エマオに向かう弟子たちにも、『イエスが十字架上で亡くなったエルサレムからできるだけ遠く、静かな場所に行きたい』という気持ちに襲われたことでしょう。人生で失敗したときに、それに立ち向かわず、逃げ出すことは最悪です。敵の誘惑は、私たちの霊的歩みや教会の歩みを脅かします」と注意された。
最後に教皇は、「私たちの道、力、慰め主である主イエスに、エマオの弟子たちのように『私たちと一緒にお泊りください』と願い、『人生の苦しみの闇が、朝の輝きに変わり、新しい命の希望が開けるように、一緒に歩いてください』と祈りましょう」と参加者に促された。
・・・・・・・
ケベック州の保護者、聖アンナの名を冠したサンタンヌ・ド・ボープレは、北米で最も古い巡礼地として知られ、カナダの国定聖地となっている。1658年に、最初の教会が、人々の信心を集めていた木製の聖アンナ像を安置するために建設された。
その際、脊椎側弯症のために松葉杖の補助なしでは歩行できなかった一人の信者がこの建設に加わったところ、礎石を据えた段階で治癒し、杖なしで歩けるようになった。このことが広く伝わり、地域の入植者や、受洗した先住民たちの巡礼地になっていった。その後、老朽化や火災などに遭い、何度か再建され、現在の大聖堂は1923年に建てられたものだ。
(編集「カトリック・あい」)
☩教皇カナダ訪問28日:「喜びをもって、神の群れの世話をしているか」司教、司祭たちに
☩教皇カナダ訪問27日:カナダ各界要人・先住民代表と会見「神と人と自然に耳を傾ける先住民たちに、多くを学ぶ必要がある」
(2022.7.28 バチカン放送)カナダ訪問中の教皇フランシスコは27日、ケベック市ででカナダ各界要人・先住民代表、駐在外交団との会見を行われた。
カナダ総督の公邸到着後の歓迎式、さらにサイモン総督、トルドー首相との会談後に行われた会見で、教皇は、ケベック州の紋章に使われ、カナダ国旗に用いられるようになった「カエデ」の葉、カナダのシンボルである楓の木に注目しつつ、挨拶の言葉を述べられた。
教皇は「楓の木々は、植民地への移住者たちがカナダに来る以前から、過去の多くの歴史を見守ってきました」とされ、先住民の人々が古くから、楓の樹液から栄養のあるシロップを作っていたことに触れつつ、「常に大地と環境を守り、被造物の調和のビジョンへの忠実に配慮した忍耐強い働き」を続けてきた人々に思いをはせられた。
そして、「めまぐるしい変化とスピードに特徴づけられた世界が、真に人間的で持続可能な統合的発展を難しくし、疲弊した社会を生み出している現在、神と人と自然に耳を傾ける先住民たちの力に、多くを学ぶ必要があります」と強調。
さらに、「汚れた空気を吸収し、酸素を送り出す大きな楓の葉は、『被造物の美しさに目を見張り、搾取という害ある習慣からの回復を促す先住民の素晴らしい文化』にもっと関心をもつように私たちを招いています」とされた。
教皇は、「しかし、このような文化は、過去において、乱暴な形で妨げられ、特に(カナダにおける)同化政策と、それに伴う寄宿学校制度が、多くの先住民の家族を傷つけ、言語や文化、世界観を脅かしました。それに、この国のカトリック教会の組織が関与したことに、強い恥と悲しみを感じます」とし、「多くのキリスト教徒が犯した悪に対し、カナダの司教団と共に、この場で、改めて赦しを乞いたい」と謝罪された。
続けて教皇は、「様々な色の葉をつけた楓の木は、画一的ではない、開いた受容的な人類共同体を、共に前進させていくことの重要さを思い起させ、枝々を豊かに彩る葉の一枚一枚は、社会を構成する一つひとつの家族を思わせます」と語られ、「生産性や利益の名のもとに家族への配慮と権利が忘れられることのないよう、家族を大切にする先住民から、教えを受けなければなりません」と説かれた。
また、兵士たちが楓の葉で傷を覆い、癒した過去を思い起こし、「現在の戦争の狂気に対しても、私たちは敵対的な言葉や行為が激しくなるのを抑え、憎悪の傷を癒すことが求められている」とウクライナやミャンマーなど世界中で起きている悲劇を念頭に語られた。
最後に教皇は、紛争を始め気候変動、環境問題、新型コロナなど伝染病の大感染、移民・難民問題など、世界が取り組むべき大きな課題を挙げつつ、「共通の認識をもとに、共に努力し、解決が急務となっている諸課題に立ち向いましょう」とカナダの人々に呼びかけられた。
(編集「カトリック・あい」)
・教皇カナダ訪問27日:ケベック到着、総督、首相と会談

(2022,7,28 バチカン放送)
カナダ訪問中の教皇フランシスコは27日午後、第二の訪問先ケベック・シティに到着、総督官邸での歓迎式の後、サイモン総督、トルドー首相と相次ぎ会談した。
24日からカナダを訪問中されている教皇は、27日午前、最初の訪問地、アルバータ州を後にし、東部のケベック州へと向かわれ、同日午後、ケベック国際空港に到着。ケベック・シティの要塞シタデルにある総督公邸にメアリー・サイモン総督を表敬訪問された後、公邸の中庭で行われた歓迎式に臨まれた。
続いて、公邸内でサイモン総督、ジャスティン・トルドー首相とそれぞれ会談。さらに、カナダの各界要人、先住民代表、駐在外交団との会見された。
(編集「カトリック・あい」)
☩教皇カナダ訪問26日:「先住民の兄弟姉妹が受けた暴力のトラウマ」と「植民地主義がもたらした恐ろしい結果」からの癒しを神に祈る
カナダ訪問中の教皇フランシスコは26日、エドモントンから西方72kmの湖、ラック・サンタンヌ(聖アンナ湖)へ巡礼に参加され、現地で御言葉の祭儀を行われた。
この湖は、古くから先住民たちから癒しの場とされ、「神の湖」「霊の湖」と呼ばれていたが、1842年にアルバータに宣教師として初めて定住したティボー神父がラック・サンタンヌと名付けた。オブレート会の宣教師たちが教会を建て、1889年に最初の巡礼が始まり、以来、毎年7月26日、おとめマリアの母でイエスの祖母、聖アンナの祝日の週に巡礼が行われ、北米で最も重要な巡礼の一つとなっている。
この日、教皇は、湖近くの教会から数人の先住民たちに伴われて、湖畔に車椅子で向かわれ、途中の緑地公園で多くの巡礼者たちの歓迎を受けた。教皇は湖畔でしばらく祈られた後、ガラスの鉢に入れられた湖の水を祝別、この水で巡礼者たちを祝福された。
続いて、緑地帯に設けられた集会所で、巡礼者らと共に御言葉の祭儀を行われ、「すべての人が、魂と体の医者であるイエスの癒しを必要としています」と語られ、特に「先住民の兄弟姉妹が受けた暴力のトラウマ」と「植民地主義がもたらした恐ろしい結果」、「多くの家族の消し難い苦しみ」からの、癒しを神に祈り求められた。
そして、「これらの傷の癒しには、私たちの具体的な努力が必要ですが、それだけでは十分ではありません」とされ、主の助けを願い、イエスの母聖マリアと、祖母聖アンナの取次ぎを熱心に祈られた。
(編集「カトリック・あい」)
☩教皇カナダ訪問:エドモントンでミサ「それぞれのルーツを守り、育てよう」ー”同一化政策”への反省を念頭に
(2022.7.26 バチカン放送)
カナダ訪問中の教皇フランシスコは26日午前、アルバータ州の州都エドモントンのスタジアムで、約5万人の信徒を前にミサを捧げられた。
教会の暦は、この日、おとめマリアの両親、イエスの祖父母、聖ヨアキムと聖アンナを祝った。教皇は説教で、「ヨアキムとアンナの家で、幼きイエスは祖父母と触れ合い、その寄り添いや優しさ、賢明さを体験した」とされ、私たち信徒も「それぞれの祖父母たちとの絆を改めて見直すように」と促された。
そして、「私たちは、”守るべき歴史の子”。私たちは孤立した存在ではありません。誰一人、世界と切り離されて生まれる人はいません。私たちが生まれた時に受け取ったルーツと愛、私たちが育った家庭は、ただ一つしかない歴史の一部です。それは私たちが受けた恵み、守るように、と召された恵みなのです」と強調。
また、「私たちがここにいるのは、両親のおかげであると同時に、祖父母のおかげでもあります。祖父母たちは私たちが生まれたことの喜びを伝え、多くの場合、何も見返りを求めず、私たちを心から愛してくれます… 祖父母から教わった善と優しさと知恵は、人類の堅固なルーツである。祖父母の家で、私たちは福音の香りを吸い込み、家庭的な信仰の力を味わいます」と語られた。
ヨアキムとアンナはマリアを愛し、マリアは同じようにイエスを愛した。「その愛は抑圧し束縛する愛ではなく、イエスがこの世に生まれた理由です。その使命を受け入れるのを見守る愛でした」とされた教皇は、「私たちは、祖父母から受け取った豊かさを守ることができますか。学んだ良い教えを記憶することができますか。お年寄りたちと話し、耳を傾ける時間を持っていますか。彼らを思い、彼らのために祈っていますか」と自らに問うことを求められた。
さらに、教会が”同一化政策”に協力したことへの反省を念頭に「忘却の霧が立ち込める今日において、ルーツを育てることの重要さ」を説かれた教皇は、「根を守ってこそ木が育つように、ルーツを大切にしてこそ未来を築くことができるのです」とされ、「私たちは”歴史を守る子ら”となるだけでなく、”歴史の作り手”となっていく必要」を強調された。
最後に教皇は信徒たちに、「祖父母や先人たちが伝えた情熱や希望を生き生きと保ち、正義と兄弟愛、連帯に満ちた世界への彼らの夢を受け継ぎ、先人たちの根に支えられて、花を咲かせ、実をつけ、歴史の中に新しい種を蒔くのは、私たちの役割」と訴えられた。
(編集「カトリック・あい」)
☩教皇カナダ訪問:「教会が同化政策に加担し、多くの人に消し難い苦しみを味わわせたことに、怒りと恥を感じる」先住民の教会で
(2022.7.26 バチカン放送)
カナダを訪問中の教皇フランシスコは2日目の25日午後、アルバータ州の州都エドモントンの教会で先住民や小教区の信者らとの集いを持たれた。
会場となった「ファーストピープルズの聖心教会」は、1913年に建設された、エドモントン市内で最も古い教会の一つ。この小教区は、1991年、カナダのファースト・ネイション、メティス、イヌイットのための教会となった。
教皇は、先住民の人々の太鼓の音と歌に迎えられ、人々のへの挨拶で、この教会にファースト・ネイション、メティス、イヌイットの人々と共に、先住民ではない地域の人々や、出身も様々な移民たちが共に集う様子を喜ばれ、「開かれた受容性ある皆の家、これこそ神の家族、教会のあるべき姿です」と話された。
この集まりに先立つエドモントン郊外、マスクワシスでの先住民の人々との出会いを思い起こされた教皇は、「カトリックの人々が先住民に対する同化政策に加担し、劣等感を与え、共同体と人々から文化的・精神的アイデンティティーを奪ったことを深い悲しみとします」と謝罪。
そうした過去を持つ地域の消極の信徒たちが「日々の出会いを通し、癒しと和解の基礎を築いていること」を神に感謝されるとともに、「キリストによる和解とは、表面的な和平でも、双方の満足を図る妥協でもありません」とされ、「使徒聖パウロは、『イエスは二つのものを一つのもの、一つの民に造り上げる』(エフェソの信徒への手紙2章14節)と語っているが、それは、十字架を通して、です。イエスは私たちを、十字架上でー命の木の上で、和解させるのです」と説かれた。
さらに、「聖パウロは『イエスは十字架を通して、私たちを一つの体として和解させる』と述べていますが、その『体』とは『教会』です」とされ、「教会は『和解のための生きた体』であるべきにもかかわらず、まさにその教会が関係した場所で、多くの人に消し去りがたい苦しみを味わわせたことに、怒りと恥辱を覚えます。… 人が神に近づけるようにすることよりも、人に神を押し付ける方が簡単なように思われますが、それは決してうまくいきません… なぜなら、神は強制や抑圧はなさらず、常に人を愛し、解放し、自由にされるからです」と反省を込めて話された。
最後に教皇は、「神ご自身が望まれるようにイエスが自由と慈愛のうちに告げられ、私たちが出会う苦しむ人々を、解決すべき対象としてではなく、愛するべき兄弟姉妹として認めることができますように、キリストの体である教会が、和解のための生きた体となりますように」と祈られた。
(編集「カトリック・あい」)
☩教皇カナダ訪問:「キリストの福音とは相容れない破滅的な過ち」先住民に赦しを請う
カナダを訪問されている教皇フランシスコは25日、エドモントンから70km南方のマスクワシスを訪れ、今回の同国訪問の主な目的である先住民の人々との出会いを始められた。
・・・・・・・・・・・・
同国政府は1863年から1998年にかけ、先住民の「同化政策」の一環として、先住民の子弟、延べ15万人以上を家族から引き離し、各地に設けた寄宿学校に強制収容。管理・運営をカトリック教会などキリスト教の組織に任せたが、各校で様々な差別、虐待が繰り返されが。閉鎖後の跡地から最近になって無名のまま埋められた数多くの遺体が次々と発見され、大きな政治・社会問題となり、カナダ政府は2008年に正式に先住民に謝罪している。
マスクワシスのエルミネスキン地区には、問題の寄宿学校の中でも最大規模の「エルミネスキン・レジデンシャル・スクール」が置かれていたが、「真理と和解のための国立センター」の調査によると、多くの先住民の子弟が過密状態の中で病気になり、命を落とした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
エルミネスキン地区の先住民の墓地に車椅子で向かわれた教皇は、立ち並ぶ木の十字架の墓標の間で、沈黙のうちに祈りを捧げられ、「聖母の七つの御悲しみ教会」では、各地の寄宿学校で亡くなった子どもたちの名が記された長い横断幕に接吻し、祈られた。
教皇は途中、先住民、ファースト・ネイション、メティス、イヌイットの代表者らに迎えられつつ、寄宿学校の子どもたちを思い起こすためのテント形のモニュメントの前で車椅子を止め、ここでも頭を垂れて祈られた。
次いで、ベア・パーク・パウワウ・グラウンドで、トルドー首相やサイモン・カナダ総督らの参加のもと、カナダ全土から集まった先住民の様々な共同体を代表する人々とお会いになり、「今日、私は、古い記憶と共にいまだ傷が開いたままの、この地にやって来ました。これは『悔悛の巡礼』の最初の一歩です。私が今、実際に皆さんの傍にいるのは、皆さんに赦しを請い、私自身の深い悲しみをお伝えするためです」と語られた。
そして、「多くのキリスト教徒たちが様々な形で、先住民の人々を抑圧する権力者たちの植民地主義的な心的傾向を支持したこと、中でもカトリック教会や修道会の聖職者たちが、当時の政府による先住民文化の破壊と、寄宿学校制度を頂点とする強制的な同化政策に協力したこと」に対し、赦しを願った。
さらに「たとえキリスト教的慈愛や子どもたちに対する模範的な献身が少なからずあったとしても、寄宿学校政策がもたらしたものは全体として、あまりにも悲惨であり、キリスト教信仰から見て、イエス・キリストの福音とは相容れない破滅的な過ちでした」と謝罪。「謝罪は終着点ではなく、出発点に過ぎません」とされ、「赦しを請い、その被害を補おうとしても、決して十分ではないことは理解しています」とも語られた。
また、「未来を見つめる時、このような状況を繰り返さないだけでなく、完全になくすことを可能にする文化を築くために尽力することは、決して無駄ではありません」とも話され、「過去の真実の解明と、寄宿学校の元生徒たちが受けた精神的な打撃を克服するためのプロセス」の必要を訴えられた。
最後に教皇は、カナダのキリスト教信徒と社会に対して、「先住民の人々のアイデンティティーと経験を受け入れ、尊重することで成長し、皆で共に歩みながら、それを知り、認める道を見出すように」と促され、この数日間のカナダ巡礼ですべての場所を訪れることはできないが、「この悔悛の巡礼で私が語る言葉は、先住民のすべての人・共同体に向けられ、心から彼らを抱擁するもの。癒しと和解の実現には、私たちの力だけでは足りません。神の恵みが必要です。神こそが私たちの手を取り、私たちを共に歩ませてくださるのです」と強調された。
(編集「カトリック・あい」)
・ 教皇、カナダ訪問開始ーエドモントンに到着
(2022.7.22 バチカン放送)
カナダ司牧訪問に出発された教皇フランシスコは24日の現地時間午前11時過ぎ、最初の訪問地である同国西部、アルバータ州の州都エドモントンに到着された。
空港で、サイモン総督とトルドー首相、先住民の代表たちに迎えられた教皇は、空港内で歓迎式に臨み、先住民の人々による伝統的な歌曲の演奏に耳を傾けられたあと、エドモントン市内の滞在先となる神学院に向かわれた。
25日は、エドモントン南方のマスクワシスで先住民の人々との出会いをもたれるほか、市内の教会で先住民や小教区の人々との集いに参加される。
(編集「カトリック・あい」)
・ 教皇、カナダ訪問を開始ー先住民たち「教会の”謝罪の旅”の始まり」となることを期待

Gerald Antoine, center, First Nations NWT Regional Chief, is flanked by Natan Obed, president of Inuit Tapiriit Kanatami delegation, left, and Cassidy Caron, President of the Metis community, as they meet reporters in St. Peter’s Square, at the Vatican, after their meeting with Pope Francis, Friday, April 1, 2022. (Credit: AP Photo/Alessandra Tarantino, File.)
(2022.7.23 バチカン放送)
教皇フランシスコは24日朝、一週間のカナダ訪問へ出発された。
カナダ政府と同国のカトリック教会、そして先住民共同体の招きに応えるもので、教皇フランシスコにとって、第37回目の海外司牧訪問(イタリアを除く)となる。
「共に歩む」をモットーに掲げた一週間にわたるこの旅で、教皇は25日のエドモントン郊外、マスクワシスでのファースト・ネイション、メティス、イヌイットの人々との会見を皮切りに、エドモントン、ラック・セント・アン(以上アルバータ州)、ケベック・シティー(ケベック州)、イカルイト(ヌナブト準州)を訪れ、先住民たちとお会いになる予定。
27日にはケベック市でトルドー首相との会談、カナダ各界要人・先住民代表・駐在外交団との会見。28日には同市近郊、サンタンヌ・ド・ボープレの巡礼聖堂でミサ。ノートルダム司教座聖堂で、司教・司祭・助祭・修道者・神学生・司牧活動に従事する人々と夕べの祈りをもつ。
最終日29日には、ケベック市内でイエズス会会員との出会い、ケベックの先住民の使節との会見。午後、ケベックから空路でイカルイトに向かい、小学校で、かつての先住民同化政策下で苦難を味わった寄宿学校の元生徒たちと私的に会見され、さらに若者と高齢者たちとの集いが行われる。
Senior Correspondent Elise Ann Allen
ローマ発 – カナダのカトリック教会が運営を受託した寄宿学校で多くの人種差別や虐待を受けた被害者たちには、今回の教皇フランシスコのカナダ訪問で、自分たち、あるいはすでに亡くなり、匿名のまま密かに葬られた仲間たちに対して、カトリック教会の最高責任者として直接謝罪することを期待している。
被害者たちで組織する Métis National Councilのスポークスマン、スティーブ・サザーランド氏は、Cruxの取材に対し、「カナダの土地における教皇フランシスコの謝罪は、”重要な瞬間”にになるでしょう」とし、「それは、 Métis(カナダにおいて先住民とヨーロッパ系の人々の子孫)の人々、カナダ全土のすべての先住民たちと真実、和解、正義、癒しの道を歩むという、カトリック教会の新たな誓約の始まりを告げることになるはずです」と希望を表明した。
また、六先住民族連盟のアーカンド・ジュニア会長は21日の記者会見で記者団に「教皇訪問での謝罪は、我々の諸民族が癒される道を開くもの」と述べ、「私の心は被害者たちと共にあります…彼らは何世代にもわたって想像を絶するトラウマを抱えてきました。彼らの痛みは認知されねばなりませんる。そのような決着を彼らは必要としている」と強調。
ストーニー・ナコダ族協会のトニー・アレクシス会長も会見で「我々のメンバーの一部は現在もカトリック信徒として生活しており、教皇の謝罪が、教会による少数民族の指定に対する虐待と加害について『認識し、認めること』になる」とし、「生存している被害者の中には、今も怒りを抑えられずにいる者もいる。教皇の謝罪は、彼らの悲惨な経験を確認し、心の癒しを助け、問題を解決に向けて進める契機になりますが、私たちの前には、まだ多くのやらねばならない仕事が残っている。教皇訪問は、その出発点に立つ、ということです」と、くぎを刺した。
二人は、教皇の訪問時に会見を予定している寄宿学校在籍経験者たちとも、これまで討論会で話をしている。
24日からのカナダ訪問で、教皇は、複数の先住民グループと会見し、カナダ最大規模だったアーマインスキン寄宿学校があったマスキワシスも訪問される。また、カナダで州として最も多い寄宿学校が置かれていたアルバータ州にも行かれる予定だ。さらに、訪問中の最後に、イカルイトで寄宿学校経験者たちと私的会合をもつことにしておられる。
教皇はカナダ訪問開始直前に、カナダの先住民子弟の寄宿学校の管理運営におけるカトリック教会の「嘆かわしい行為」について謝罪文を発表しているが、カナダ訪問では、現地で改めて謝罪を表明されるとみられる。これは、同国での多数の寄宿学校の管理運営、教育事業の実態と児童・生徒たちの被害、その家族への影響などを解明する「カナダ真実和解委員会」が2015年に報告書とともに発表した94項に上る和解のための具体的提案のうち、58項を履行することを意味する。
Métis National Councilのサザーランド氏は、教皇にはカナダ訪問中に、さらに徹底した謝罪を期待するが、「それは、真実、正義、癒し、和解の長い旅路の第一歩に過ぎない」と指摘。カナダの先住民被害者の代表団は今年初めにバチカンを訪問し、その際、癒しと和解のための特別基金をもとにした被害者、家族への金銭補償、寄宿学校に関する文書・書類の保存館の開設などを求めていたが、氏は「その実現に向けた作業は進んでいるが、バチカンとの対話が教皇訪問後も継続することを希望する」と述べた。
教皇訪問への先住民被害者たちの希望と期待にもかかわらず、先住民団体の一部には、身体上の問題から教皇の行動に強い制限がかかっていること、このような状態でのカナダ訪問の是非の判断に関して、カナダ司教協議会やバチカン側から相談を受けなかったことに疑問の声もある。
アーカンド会長らは「これまでに明らかになったのは、今回の教皇の訪問と謝罪は、もともと先住民の被害者と家族ためのものであったにもかかわらず、実際はカナダのカトリック教徒と世界のキリスト教コミュニティの利益の観点から司教協議会とバチカン主導で計画が進められ、民族同一化政策で被害を受けた先住民コミュニティとの補償と和解への実際の取り組みの観点からではなかった、ということです」。
訪問の具体的な日程策定について、「私たちの意見はほとんど聞かれず、公式日程もメディアが報じるまで知らされていなかった」とし、こうしたバチカン側の一方的な取り組みで、「先住民の被害者たちが”再犠牲”になることを懸念している」と述べた。
(以下、英語原文で続く)
An apology from Pope Francis for the church’s role in the abuse Indigenous children endured in residential schools, they said, “potentially represents a monumental moment for us and may serve to help put our shared collective pain behind us.”
“What we need to do, then, is to acknowledge it together and work together in a spirit of true collaboration on the healing path forward,” they said, and asked Trudeau to be an ally in engaging with the church “to ensure that our future relationship is based in mutual respect, trust, and cooperation.”
Sutherland also lamented to Crux that “much of the visit and programming around the visit has been developed by the CCCB and Vatican.”
“We wish Pope Francis the best of health and understand the limitations that have been put in place for his travel plan,” he said, noting that the Métis National Council has been allocated a certain number of tickets for each papal event, and they have worked with trip organizers to ensure that survivors are able to attend if they choose.
During Thursday’s Treaty Six press conference, Chief Randy Ermineskin of Ermineskin Cree Nation said that the pope’s visit and his apology have been a long time coming, “and we are grateful for this day that has finally come – that it is taking place in our homelands.”
A residential school survivor, Ermineskin did not speak of his own experience, but said one of his brothers came home during a school break and killed himself at the age of 17. “He came home but he didn’t come home…those are some of the truths that need to be revealed.”
Ermineskin said the moment is bittersweet and will “trigger emotions” for himself and many other survivors, but said the process, while difficult, is “a necessary one” in order to move forward.
“This apology will be a fundamental step toward healing, justice, and reconciliation,” he said.
Similarly, Elder and residential school survivor Gordon Burnstick from the Alexander First Nation told journalists Thursday that he is one of 16 children, all of whom attended residential schools.
Many of his brothers and sisters, he said, are slowly beginning to talk about their experiences, but hardly know one another, since boys and girls were kept separated and had few opportunities to interact apart from their brief trips home.
At a family gathering in 2007, one of his brothers told a sister that “I love you but I don’t know you,” and the two wept together. After witnessing that moment, Burnstick began to work with other survivors, and has offered support ever since.
Similarly, Elder and residential school survivor Rod Alexis from the Alexis Nakota Sioux Nation said the pope’s visit is a time to “voice our concerns” and share what they encountered and experienced at residential schools.
Alexis, whose parents are also residential school survivors, said his father at one point confessed that he did not know how to be a dad, and that saying “I love you” and showing physical affection toward his children was difficult given the trauma he experienced in residential schools.
“I think the journey we are going to go on is a long journey and it’s not easy, because some of those wounds are too far gone and we see our young generations today dying of drugs, alcohol, or they are in jail, because of the trauma they went through,” he said.
“To have reconciliation, you have to have peace around you,” Alexis said, voicing hope that the papal visit would help Canada as a whole understand what Indigenous communities endured and the value of their traditions.
In his remarks, Arcand said the pope’s visit is “an important historical moment for survivors of the residential school system” in light of “the harm caused by the Catholic Church.”
This visit “is for survivors and their families, for truth and validation,” he said, saying the wounds of the past “cannot be undone, but it is important for us to come together.”
The process of healing and reconciliation, he said, “doesn’t end here. There is a lot to be done; this is only the beginning.”
Follow Elise Ann Allen on Twitter: @
(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)
・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.
・バチカンが新規制ーリスクの高い投資、ポルノ、武器生産企業への投資を排除へ(Crux)

(2022.7.20 Crux Rome Bureau Chief Inés San Martín)
ROME-バチカンの財務事務局が19日、投資慣行の合理化と改革の両方を目的とした規制を実施する旨の声明を発表したが、その中で、ポルノや売春、ギャンブル、武器産業、避妊や妊娠中絶医療など、カトリック教会の社会教説に反する”商売”をしている企業への投資の禁止が明確にされている。
これまでのバチカンの資金運用、投資活動にはさまざまな問題が指摘されてきた。
現在、元教皇側近のアンジェロ・ベッチウ枢機卿などを被告とした裁判が行われているロンドンの不動産をめぐる不明朗な投資では、2014年から2018年の間に、国務省が2億ドル(約260億円)以上の資金をつぎ込み、さらに、仲介したブローカーへの支払いと金融機関からの借入金返済などで、事実上の損失額は 2億1700万ユーロ(約300億円)に上ると言われている。
それ以外にも、過去に、国務省が一部を出資した投資基金を通じて、避妊薬製造会社、ポルノ産業、あるいは、映画「ロケット・マン」や歌手のエルトン・ジョンの伝記映画の製作会社など、カトリック教会の社会教説に反する商品を生産する会社に数百万ユーロ(約80億円)を注ぎ込んだ、と批判されている。
新規制の導入は、このような疑惑ばかりか、バチカン財政に大きな打撃を与えかねないリスクの高い投資を根絶するのが狙いだ。
・・・・・・・・・」
規制の対象となるのは、バチカンのすべての部署、組織で、9月1日の規制発効で、これまで各部署、組織でバラバラに運用されてきた投資資金は、バチカン銀行の使途座財産管理局の口座に統合され、カトリック教会としての倫理的、社会的、および環境的基準に基づいた低リスクの投資を選択が事実上義務付けられることになる。
7月、バチカン市国は、金銭上の不正行為で告発されたアンジェロ・ベチウ枢機卿を含む10人の裁判の中心に残っている不動産を売却したと発表しました。教会は失敗した投資で推定2億1700万ユーロ(2億4200万ドル)を失いました。
声明では、バチカンの資金は「公正で持続可能な世界に貢献する」のに役立つべきであり、常に「聖座の純資産の真の価値を維持し、持続可能な方法で、聖座の活動に貢献するのに十分な利益を生み出す」ことを念頭に置く、としている。
また、バチカンの投資活動は、「カトリック教会の社会教説」と「一致」していなければならず、したがって「生命の尊厳、人間の尊厳、あるいは共通善などの基本原則と矛盾する投資」は投資対象から除外することを義務付けている。
規制に基づいた個々の投資活動の見直し、使途座管財局の口座への統合には、一年の猶予期間が設けられているが、バチカンのすべての部署、組織は使途座管財局に、具体的な投資中の案件と管理責任者、投資契約、銀行情報、その他の関連情報を通知する必要がある。
また今回の規制実施に伴い、バチカンは「投資監査院」を設置した。6月に施行されたバチカン改革の新使徒憲章で設置が定められたもので、米国のケビン・ファレル枢機卿が議長に就任した。バチカンとしての「投資戦略」を策定するとともに、「投資方針に従った収益とリスクの基準に加えて、教会の社会教説の原則に沿って、投資判断が適切か否か、特に投資の適合性に注意を払って」評価するために必要な協議を行う、とされている。
(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)
・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.
・バチカン、社会教説に沿った新投資政策を実施へー不正不動産投資による巨額損失発生受けた措置か
(2022.7.19 カトリック・あい)
バチカンの財務事務局が19日、広報省を通じて新聞発表を行い、新たな投資政策を9月1日から実施することを明らかにした。
「カトリック教会の社会教説」に沿う形で、バチカンの活動のための収益を生み出すような資金運用を目指す、としているが、バチカンでは現在、教皇フランシスコの側近の1人だった元国務省次官・枢機卿が絡む不正不動産投資による巨額損失事件が裁判になっており、そうした事態の再発を防ぐのが本当の狙い、との見方が強い。
2億5000万円という、教区の財政規模からみて巨額といえる不明瞭な投資によって損失を出し、それに対する社会常識的に見て、適切な処理、責任の取り方などが、いまだに明確にされているとは言い難い長崎教区にとっても、参考にすべきことがあると思われる。



