☩教皇カナダ訪問28日:「絶望のどん底にいるとき、主は歩みを共にしてくださる」-ケベックの巡礼聖堂でミサ

(2022.7.28 バチカン放送)

 カナダ訪問中の教皇フランシスコは28日午前、ケベック・シティー郊外のサンタンヌ・ド・ボープレの巡礼聖堂でミサを捧げられた。

 ミサ中の説教で教皇は、ルカ福音書の「エマオの旅人」の物語を取り上げ、エマオへの道でイエスに出会った弟子たちの歩みを、一人ひとりの歩み、また教会の歩みと重ねられて、「エマオに向かう弟子たちの旅は、私たち個人の、また教会の歩みをイメージさせるものです」と指摘。

 「私たちは人生の道、信仰の道を、夢や計画や希望を抱いて歩みますが、途中で自分の弱さや失敗、失望を味わい、挫折感にさいなまれ、身動きできなくなる時があります。しかし、まさにその時、主は私たちのところにおいでになり、に寄り添い、歩みを共にしてくださるのです」と説かれた。

 そして、「この福音の物語は、私たちが、悪の暴力や恥や罪の意識に茫然とし、人生が罪や失敗によって干上がり、何もかも失ったと思う時、まさに落胆と苦しみの中で、主が私たちに近づき、共に歩いてくださることを教えています」と語られた。

 さらに、「失望の中で、『この場から逃げたい』という誘惑に打ち勝つことの大切さ」を強調されたうえで、「エマオに向かう弟子たちにも、『イエスが十字架上で亡くなったエルサレムからできるだけ遠く、静かな場所に行きたい』という気持ちに襲われたことでしょう。人生で失敗したときに、それに立ち向かわず、逃げ出すことは最悪です。敵の誘惑は、私たちの霊的歩みや教会の歩みを脅かします」と注意された。

 最後に教皇は、「私たちの道、力、慰め主である主イエスに、エマオの弟子たちのように『私たちと一緒にお泊りください』と願い、『人生の苦しみの闇が、朝の輝きに変わり、新しい命の希望が開けるように、一緒に歩いてください』と祈りましょう」と参加者に促された。

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 ケベック州の保護者、聖アンナの名を冠したサンタンヌ・ド・ボープレは、北米で最も古い巡礼地として知られ、カナダの国定聖地となっている。1658年に、最初の教会が、人々の信心を集めていた木製の聖アンナ像を安置するために建設された。

 その際、脊椎側弯症のために松葉杖の補助なしでは歩行できなかった一人の信者がこの建設に加わったところ、礎石を据えた段階で治癒し、杖なしで歩けるようになった。このことが広く伝わり、地域の入植者や、受洗した先住民たちの巡礼地になっていった。その後、老朽化や火災などに遭い、何度か再建され、現在の大聖堂は1923年に建てられたものだ。

(編集「カトリック・あい」)

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2022年7月29日