☩教皇カナダ訪問:エドモントンでミサ「それぞれのルーツを守り、育てよう」ー”同一化政策”への反省を念頭に

”同一化政策”への反省を念頭に

(2022.7.26 バチカン放送)

 カナダ訪問中の教皇フランシスコは26日午前、アルバータ州の州都エドモントンのスタジアムで、約5万人の信徒を前にミサを捧げられた。

 教会の暦は、この日、おとめマリアの両親、イエスの祖父母、聖ヨアキムと聖アンナを祝った。教皇は説教で、「ヨアキムとアンナの家で、幼きイエスは祖父母と触れ合い、その寄り添いや優しさ、賢明さを体験した」とされ、私たち信徒も「それぞれの祖父母たちとの絆を改めて見直すように」と促された。

 そして、「私たちは、”守るべき歴史の子”。私たちは孤立した存在ではありません。誰一人、世界と切り離されて生まれる人はいません。私たちが生まれた時に受け取ったルーツと愛、私たちが育った家庭は、ただ一つしかない歴史の一部です。それは私たちが受けた恵み、守るように、と召された恵みなのです」と強調。

 また、「私たちがここにいるのは、両親のおかげであると同時に、祖父母のおかげでもあります。祖父母たちは私たちが生まれたことの喜びを伝え、多くの場合、何も見返りを求めず、私たちを心から愛してくれます… 祖父母から教わった善と優しさと知恵は、人類の堅固なルーツである。祖父母の家で、私たちは福音の香りを吸い込み、家庭的な信仰の力を味わいます」と語られた。

 ヨアキムとアンナはマリアを愛し、マリアは同じようにイエスを愛した。「その愛は抑圧し束縛する愛ではなく、イエスがこの世に生まれた理由です。その使命を受け入れるのを見守る愛でした」とされた教皇は、「私たちは、祖父母から受け取った豊かさを守ることができますか。学んだ良い教えを記憶することができますか。お年寄りたちと話し、耳を傾ける時間を持っていますか。彼らを思い、彼らのために祈っていますか」と自らに問うことを求められた。

 さらに、教会が”同一化政策”に協力したことへの反省を念頭に「忘却の霧が立ち込める今日において、ルーツを育てることの重要さ」を説かれた教皇は、「根を守ってこそ木が育つように、ルーツを大切にしてこそ未来を築くことができるのです」とされ、「私たちは”歴史を守る子ら”となるだけでなく、”歴史の作り手”となっていく必要」を強調された。

 最後に教皇は信徒たちに、「祖父母や先人たちが伝えた情熱や希望を生き生きと保ち、正義と兄弟愛、連帯に満ちた世界への彼らの夢を受け継ぎ、先人たちの根に支えられて、花を咲かせ、実をつけ、歴史の中に新しい種を蒔くのは、私たちの役割」と訴えられた。

(編集「カトリック・あい」)

このエントリーをはてなブックマークに追加
2022年7月27日