☩教皇カナダ訪問27日:カナダ各界要人・先住民代表と会見「神と人と自然に耳を傾ける先住民たちに、多くを学ぶ必要がある」

(2022.7.28 バチカン放送)カナダ訪問中の教皇フランシスコは27日、ケベック市ででカナダ各界要人・先住民代表、駐在外交団との会見を行われた。

 カナダ総督の公邸到着後の歓迎式、さらにサイモン総督、トルドー首相との会談後に行われた会見で、教皇は、ケベック州の紋章に使われ、カナダ国旗に用いられるようになった「カエデ」の葉、カナダのシンボルである楓の木に注目しつつ、挨拶の言葉を述べられた。

 教皇は「楓の木々は、植民地への移住者たちがカナダに来る以前から、過去の多くの歴史を見守ってきました」とされ、先住民の人々が古くから、楓の樹液から栄養のあるシロップを作っていたことに触れつつ、「常に大地と環境を守り、被造物の調和のビジョンへの忠実に配慮した忍耐強い働き」を続けてきた人々に思いをはせられた。

 そして、「めまぐるしい変化とスピードに特徴づけられた世界が、真に人間的で持続可能な統合的発展を難しくし、疲弊した社会を生み出している現在、神と人と自然に耳を傾ける先住民たちの力に、多くを学ぶ必要があります」と強調。

 さらに、「汚れた空気を吸収し、酸素を送り出す大きな楓の葉は、『被造物の美しさに目を見張り、搾取という害ある習慣からの回復を促す先住民の素晴らしい文化』にもっと関心をもつように私たちを招いています」とされた。

 教皇は、「しかし、このような文化は、過去において、乱暴な形で妨げられ、特に(カナダにおける)同化政策と、それに伴う寄宿学校制度が、多くの先住民の家族を傷つけ、言語や文化、世界観を脅かしました。それに、この国のカトリック教会の組織が関与したことに、強い恥と悲しみを感じます」とし、「多くのキリスト教徒が犯した悪に対し、カナダの司教団と共に、この場で、改めて赦しを乞いたい」と謝罪された。

 続けて教皇は、「様々な色の葉をつけた楓の木は、画一的ではない、開いた受容的な人類共同体を、共に前進させていくことの重要さを思い起させ、枝々を豊かに彩る葉の一枚一枚は、社会を構成する一つひとつの家族を思わせます」と語られ、「生産性や利益の名のもとに家族への配慮と権利が忘れられることのないよう、家族を大切にする先住民から、教えを受けなければなりません」と説かれた。

 また、兵士たちが楓の葉で傷を覆い、癒した過去を思い起こし、「現在の戦争の狂気に対しても、私たちは敵対的な言葉や行為が激しくなるのを抑え、憎悪の傷を癒すことが求められている」とウクライナやミャンマーなど世界中で起きている悲劇を念頭に語られた。

 最後に教皇は、紛争を始め気候変動、環境問題、新型コロナなど伝染病の大感染、移民・難民問題など、世界が取り組むべき大きな課題を挙げつつ、「共通の認識をもとに、共に努力し、解決が急務となっている諸課題に立ち向いましょう」とカナダの人々に呼びかけられた。

(編集「カトリック・あい」)

このエントリーをはてなブックマークに追加
2022年7月29日