・教皇フランシスコが、高松教区の諏訪司教の辞表受理ーまた司教空席の教区

(2022.9.28 カトリック・あい)

 教皇フランシスコは26日付けで、高松教区の使徒ヨハネ諏訪榮治郎司教から出された辞表を受理された。

 受理の理由は明らかにされていないが、諏訪司教は1947年 7月8日に神戸市に生まれ、この7月8日で”司教定年”の75歳に達していることから、それを理由とする受理とみられる。

 世界の高位聖職者の中には、この定年を超えてもポストを務める例があるが、それは、これまでの司牧者としての貢献が顕著であった場合や、余人をもって代えがたい仕事をしていると教皇が判断された場合に限られると考えられており、昨年の高見・長崎大司教の場合と同様、今回もその条件に当てはまらなかった、との見方がある。

 なお、今回の辞表の受理を受けた後任司教の任命はなく、高松教区の司教ポストは当面、空席とし、後日選ばれる教区管理者が暫定的に教区長の役割を務めることになる。信徒の数に比べて教区が多く司教ポストも多い日本の教会では、このところ司祭不足を背景にした適任者の不足などから、司教退任後の後任がすぐに決まらず、空席が続くことが目立っている。今年6月に大分教区で森山信三司教が叙階されて、日本の全教区で司教空席が解消されたばかりだったが、その3か月後にまた空席が生じることになった。

 なお、大司教が、日本の司教協議会会長、そしてアジア司教協議会連盟の事務総長も兼務して多忙を極める東京大司教区では、菊地大司教の就任から5年近くを経過した今も、補佐司教が空席のままの状態が続いている。

 

2022年9月28日

・バチカン国務長官が露外相と会い、対話による和平実現求めるー外相はロシアの正当性主張のみ

(2022.9.24 カトリック・あい)

 Vatican Newsが22日付けで報じたところに、バチカンのパロリン国務長官・枢機卿が訪問先のニューヨーク国連本部で21日開かれた包括的核実験禁止条約(CTBT)フレンズ・ハイレベル会合に出席。その機会に、ロシアのラブロフ外相と言葉を交わした。

 同会合は、日本、ドイツ、豪州など6か国によるCTBTフレンズグループが開いたもの。岸田首相は「日本として、CTBTの早期発効、そして検証体制の強化に向けてより一層貢献していく」と強調。来年5月に広島で開く主要7カ国首脳会議(G7サミット)での議論などを通じて、「『核兵器のない世界』の実現に向け、現実的かつ実践的な取り組みを進めよう」と呼びかけた。

Top Vatican diplomat meets Russian foreign minister

 パロリン国務長官も「(ロシアの軍事侵攻による)世界の緊張の増幅、(ロシアの)核兵器使用をほのめかす威嚇によって、包括的核実験禁止条約の発効は、今これまでになく重大な意味を持っている」と述べた。

 パロリン国務長官は、国連訪問中のラブロフ外相とも個別に会い、「対話によって、事態が変わる可能性は常にある」という教皇フランシスコの言葉をもとに、ロシアの軍事侵攻がもたらしているウクライナの悲惨な状態を速やかに克服するための関係国の対話の重要性を強調した。

 これに対して、ロシア外務省はこの話し合いの後、声明を発表し、23日付けのCruxによれば、ラブロフ外相はパロリン国務長官に対して、「ロシアと西側諸国の間で進行中の危機の原因は、ロシアを破壊し、世界を分裂させようとするNATO(北大西洋条約機構)の”聖戦”の結果だ… ロシアの行動は、自国の独立と安全を確保し、世界を支配しようとする米国の覇権的願望に対抗するものだ」と従来のロシアの主張を繰り返し、現在進行中のウクライナ東部、南部の地域での”国民投票”の正当性などにも言及した、という。

2022年9月24日

・バチカン支援援助省長官、ウクライナ東部イジュームの集団虐殺の場で祈り

ウクライナ東部イジュームの共同埋葬地で祈るクライェウスキ枢機卿 2022年9月19日ウクライナ東部イジュームの共同埋葬地で祈るクライェウスキ枢機卿 20

(2022.9.20 バチカン放送)

 教皇フランシスコの使節として4度目のウクライナ訪問中のバチカン支援援助省長官、クライェウスキ枢機卿が19日、ロシア軍に蹂躙された東部イジュームを訪れ、共同埋葬された多数の死者たちのために祈った。

 訪問は、ウクライナ各地の教会共同体をたずねつつ、危険を負いながらも司牧や教会活動のために地域に留まる聖職者や修道者、助けを必要とする信者らに、教皇の寄り添いを具体的な形で伝えることが目的。

 今回は15日のウクライナ南部、オデッサ教区訪問を皮切りに、17日はザポリージャ入りし、支援物資を運ぶ途中で銃撃に遭った。幸い、随行者と共にケガはなく、19日には、東部ハルキウ州イジュームのロシア軍による集団虐殺の現地を訪問。

 犠牲者の氏名も特定されないまま埋められ、現在発掘調査が進んでいる500人近い遺体の存在に、枢機卿は「言葉も、涙すら出ない」「戦争は憐みを知らない」と話し、多くの死者たちを悼み、祈りを捧げた。

(編集「かとりっく・あい」)

2022年9月21日

・英女王の国葬に教皇の代理として外務局長が参列

 

The funeral of Queen Elizabeth II in Westminster Abbey(2022.9.19 Vatican News   Susy Hodges)

 

2022年9月20日

・バチカン支援援助省長官がウクライナ”最前線”で援助活動中に銃撃受ける

ウクライナで伝道中のクラエフスキ枢機卿Cardinal Krajewski on mission in Ukraine 

*援助物資を下ろしている最中に”標的”にされた

 ザポリージャは中央ウクライナのドニプロ川沿いの主要都市で、2月にロシアが軍事侵攻を始めた際、真っ先に攻撃、占領され、現在も原子力発電所がロシア軍の脅威にさらされている地域だ。

 枢機卿はこの日、現地の司教やプロテスタントの高位聖職者、ウクライナ軍の兵士たちとともに、被災者たちへの支援活動を実施。ミニバスに食料を積んで、行き場を失った人々が多く残っているが、「兵隊以外は立ち入らない」といわれる、ロシア軍との戦いの”最前線”支援物資を届けに行った。

 そして、食料を車から降ろし終えようとした時、側近たちと共に銃撃に遭った。すぐに身を守る措置を取ったため、皆にケガはなく、命に別条がなかったが、Vatican Newsの電話取材に対して「このような経験は、私の人生で初めてだった。命を守るには、ただ走ればいいわけではない。だが、どこに走ればいいのか分からなかった」と振り返った。

 

*それでも、教皇の心と援助物資を届け続ける

 枢機卿はその後も、援助物資の配給を続け、教皇フランシスコから祝福されたロザリオすべてを人々に配り、首にかけられるようにした。9月17日は、彼にとって特別の日だった。教皇臨席のもとに聖ペトロ大聖堂で司教に叙階されて9年目の記念日だったが、「容赦のない」日、「涙も言葉もない」日になった。そして、この事件後、「私たちは、ただ、この祈りを繰り返すことしかできないー『イエス様、私はあなたを信頼しています』と」と語っている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年9月18日

・教皇、エリザベス英女王逝去に弔電「奉仕の生涯、献身の模範、信仰の不動の証し」に敬意

エリザベス女王とフィリップ殿下のバチカン訪問 2014年4月3日エリザベス女王とフィリップ殿下のバチカン訪問 2014年4月3日 

(2022.9.8 バチカン放送)

 教皇フランシスコは8日、英国のエリザベス英女王がなくなったこを深く悲しまれ、新国王となったチャールズ三世にあてた弔電で、新国王はじめ英国王室の人々、そして英国と英連邦諸国の国民の心からのお悔やみを伝えられた。

 教皇は弔電で、エリザベス女王の死を悲しむ人々と心を合わせ、故人の冥福を祈るとともに、「女王の自国と英連邦諸国のための疲れを知らぬ奉仕の生涯と、義務に対する献身の模範、キリスト教信仰の不動の証し、神の約束における確かな希望」に敬意を表された。

 そして、「女王の高貴な魂を、天の御父の慈しみ深い優しさ」に託された教皇は、女王の後を継ぎ、気高い責任を担う新国王を「神が揺るぎない恵みをもって支えてくださるように」と祈られ、エリザベス女王の思い出を抱く新国王はじめすべての人々に「神の慰めと力があるように」と、神の豊かな祝福を祈り求められた。

(編集「カトリック・あい」)

2022年9月9日

・「中国との暫定合意、再延長に向けて交渉中」「教会は武力による自衛権を認めている」とバチカン国務長官

ピエトロ・パロリン枢機卿がイタリアのニュースチャンネルTg2に登場Cardinal Secretary of State Pietro Parolin appears on Italian news channel Tg2 

*対中関係には多くの困難、道のりは長い

 長官は、まず、間もなく再延長の期限を迎える中国との暫定合意について、「誰かと交渉するときは、常に相手の善意を認めることから始めなければなりません。そうでないと、交渉は意味をなさない」と前置きしたうえ、「中国のすべての司教が教皇と交わりをもち、完全に『中国人』で、完全に『カトリック』であることを保証することを目的とした暫定合意が、更新されると確信している」と述べた。

 その一方で長官は、バチカンの交渉団が北京に戻ったが、「多くの困難があり、長い道のりがある」ことを認め、「”悪天候”の中で撒かれた”種”が芽吹くのを目にするための旅を続けるには、忍耐が必要です」と必ずしも楽観していない考えを付け加えた。

*キリル総主教と教皇の会見実現の努力続ける

 ロシアのウクライナ侵攻が長期化し、子供を含む犠牲者が増え続けている。教皇フランシスコは侵攻を中止させるため、かねてから、プーチン大統領に強い影響力をもつロシア正教のキリル総主教との会談実現を望まれ、9月13日からカザフスタンで開かれる世界宗教者会議の場で総主教と会うことを強く希望されていたが、総主教は先々週になって、同会議を欠席を表明した。

 これについて、長官は「(総主教が教皇の会見呼びかけに応えることを)私は信じています」としつつ、それを効果的なものに津するために、「十分に準備する必要がある」と述べた。そして、バチカンとロシア正教モスクワ総主教庁との対話は、「政府当局と強く結びついているロシア正教会の伝統にもかかわらず、継続している。(その伝統は)対話を無効にするものではありません」と、改憲実現の努力を続けることを確認した。

 

*教皇のウクライナ訪問は

 その文脈の中で教皇のウクライナ訪問も以前から言われているが、長官は、教皇のウクライナ訪問の希望は変わっていない、とし、「教皇がかねてから言われているように、状況が適切で、訪問が、教皇の”現場写真”の機会になるのではなく、和平実現に貢献できるタイミングで、訪問することを決意されているのです」と述べた。そしてこの和平は、永続的な平和を求めることを目的とし、侵略する側、侵略を受けている側の両方に向けられたものであり、「公正」かつ「完全」な平和、「すべての人を満足させ、将来の紛争を避けるためにあらゆる側面を考慮に入れた平和」でなければならない、と指摘した。

 

*攻撃を受けた者に自衛する権利がある

 長官はまた、世界の主要国の間で軍拡競争が起きていることを非難するとともに、「攻撃を受けた者に自衛する権利がある」ことを再確認。「『カトリック教会のカテキズム』は武力による自衛の権利を認めており、侵略者を止めることは義務でもある」とするとともに、「自衛権の行使は、条件を満たす必要があり、その場合、現代の兵器の破壊力を考慮に入れなければなりません」と強調した。

 さらに、軍拡競争が起きていることに教皇が重大な懸念を抱いておられる理由を説明し、世界各国の軍事費は2021年だけでも総額約2ドルに達していることを挙げ、軍拡競争は愚かな行為であり、「すべての人がすべての人に対してリスクとエスカレートし、他のことに役立てるべき世界の資源が、そのために奪われているからです」と述べた。

 

*社会の世俗化の中でも、カトリック教徒が”撤退”すべきでない

 9月25日に予定される総選挙で最高潮に達するイタリアの政治危機に関連して、長官は、「宗教を私的な領域に追いやる社会の傾向」を指摘。「時にはカトリック教徒も、そのような領域に追いやられる可能性がある」と警告するとともに、「現在の世俗化の傾向の中にあっても、カトリック教徒の”市民生活からの撤退”は認められません。キリスト教の社会的、歴史的側面からみても、これを受け入れることができません」と言明。

 「政治におけるカトリック教徒の存在は重要であり、その貢献は重要です。教皇の教えに触発されて、特定の側面に焦点を当てることなく、例えば人生の問題に完全なビジョンを持ち、当事者としてこれを表現することを期待したい」とした。

*ヨハネ・パウロ1世は真の改革者

 最後に、4日に列福されるヨハネ・パウロ1世教皇について、「最も貧しい人々に近く、信仰と福音の本質に焦点を当てた司牧者」と評した長官は、「ヨハネ・パウロ1世は率直、謙虚で、保守的であるどころか、第二バチカン公会議の改革の真の、一貫した推進者でした」とし、今でも根強い「毒殺説」を、「真実ではありません」と否定。「彼の死は、自然死でした。それは議論の余地がありません」と述べた。

 そして、「社会教説を基礎に置いた移住・移民問題、感染症の大感染、戦争などの問題に関する教会の対応に、ヨハネ・パウロ1世教皇は、依然として影響を与えている」と指摘。「私たちは、この困難な世界に平和をもたらすのに役立つあらゆることを支援します」という教皇の言葉を引用した。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年9月4日

・「教皇は”ロシアが始めた”戦争への非難を明言する」とバチカンが声明

(2022.8.31 カトリック・あい)

  ロシアのウクライナ軍事侵略に関する教皇フランシスコの深慮を欠いた発言がウクライナとの間で外交的な亀裂を起こしていたが、バチカンが30日、「ロシア連邦によって始められたウクライナにおける大規模な戦争をはっきりと非難する」とする声明を、30日付けのバチカンのホームページを通じて発表した。

 声明はまず、「‎ウクライナでの戦争について、教皇フランシスコと彼の協力者による多くの介入がなされている。その大半は、平和ととりもどるための連帯と努力を、司牧者たちと信徒たち、そして善意のすべての人々に促すことを目的としている」‎と説明。

 そして、「最近、このような介入に付随する政治的な意味について、何度も公に議論がなされている」が、「改めて強調したいのは、‎この心を揺さぶる問題に関する教皇の発言は、政治的立場からではなく、人の命とそれに関連する価値を守ろうとする声だと解釈される必要がある、ということだ」とし、教皇がロシアやプーチン大統領を名指しで非難するのを避けているのは、ロシア政治的配慮からだ、と批判する関係者などに理解を求めた。

 そのうえで、声明は「ロシア連邦によって始められたウクライナでの大規模戦争について、教皇フランシスコのさまざまな介入が、道徳的に不正で、容認できず、野蛮で、分別を欠き、忌まわしく、神を冒涜するものとしての強い非難のもとになされているのは、明確で疑いないことだ」と言明した。

 ただし、この声明を作成したバチカンの部署、責任者の名前は明らかにされておらず、教皇の意向をそのまま明らかにしたものかも明確でない。ウクライナ当局者や関係者の教皇に対する疑念がこの声明で払拭できるか不明だ。

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 現在も多くの犠牲者を出し続けているロシアによるウクライナ軍事侵略について、教皇はこれまで、「不当な侵略」あるいは「侵略」という言葉を使ったことがあたったが、和平への対話の扉を開いておきたい、との配慮からか、具体的に「ロシア」あるいは「プーチン大統領」を名指しで非難することは避けていた。

 そして、”プーチン大統領の頭脳”と言われ、ウクライナ侵攻を「ウクライナを”非ナチ化”するため」と正当化する論陣を張っていたロシアの哲学者の娘が8月20日に爆破テロで殺害されたことに対しても、24日の一般謁見で「戦争は狂気。戦争に加わっている誰もが『自分は狂っていない』とは言えない… モスクワで車の座席の下にあった爆弾で殺された可哀想な女性を思い起します。無実の者が戦争代償になったのです!」と、ウクライナ、ロシア両国をまとめて非難するような発言をした。

 これに怒ったウクライナ政府は、駐ウクライナ・バチカン大使を呼んで公式に抗議する一方、ウクライナの独立記念日でロシアによる侵略開始から 6 か月目にあたる 8 月 24 日に一般謁見に参加した駐バチカン・ウクライナ大使が、教皇の発言にTwitter で懸念を表明ー「今日の教皇の言葉には落胆し、多くのことを考えさせられた。『加害者と被害者』、『レイプ犯とレイプ被害者』を一緒にして語ることはできない。ロシア帝国主義の論理的支柱の娘を『無実の犠牲者』と呼べるだろうか?彼女は”生贄”としてロシア人に殺害され、侵略の”盾”にされているのだ」と訴えた。

 ロシアの専門家は、殺害された29歳のこの女性は、父親と同じ、ウクライナ侵略戦争の支持者であり、ウクライナに対してさらに強力な武力を使うよう主張していた。また、この爆殺にウクライナは関与しておらず、ロシアの治安当局が背後にいる、との見方もある。

2022年8月31日

・枢機卿会議ーバチカン改革の使徒憲章「Praedicate Evangelium‎‎(福音を宣べ伝える)」の理解深める

教皇と枢機卿団、教皇庁改革めぐる考察の集い 2022年8月29日 バチカン・シノドスホール教皇と枢機卿団、教皇庁改革めぐる考察の集い(2022年8月29日 バチカン・シノドスホール=Vatican Media)

‎(2022.8.29 Vatican News  Salvatore Cernuzio)‎

 教皇フランシスコと枢機卿団による非公開の枢機卿会議が29,30の両日、バチカンの新装なったシノドス・ホールで開かれ、教皇が先に出されたバチカン改革の仕上げとなる使徒憲章「Praedicate Evangelium‎‎(福音を宣べ伝える)」について理解を深めるとともに、新枢機卿も含め参加者たちが互いを知り合う機会を持った。

 今回の会議には、新たに任命された者も含め226人の全枢機卿のうち約200人が参加。近年では例のない多くの枢機卿が集う会議となった。29日は午前と午後に3回の使用言語別の作業部会で意見の交換がなされ、30日には全体会議などで意見の交換を続けた後、夕刻に聖ペトロ大聖堂で教皇司式によるミサで締めくくられる。

‎ バチカン改革の使徒憲章は、聖霊降臨の主日、6月5日に発表され、9月1日から実施されるもので、教皇フランシスコが教皇就任直後に設けた枢機卿顧問会議で検討、策定され、これまでに実施済みのものも含めて、バチカンの部署、機関の思い切った再編統合と名称の統一、権限や説明責任の明確化に至るまで、改革全般を網羅する内容となっている。そして、使徒憲章のタイトル、「Praedicate Evangelium‎‎(福音を宣べ伝える)」が示すように、バチカンの組織・構造を福音宣教を着実に進め、そのために世界の現場の教会の宣教活動に奉仕する形にすることを狙いとしている。

‎ 会議に参加している新枢機卿の一人、ブラジルのアマゾンを管轄するマナウス教区のレオナルド・シュタイナー大司教は、Vatican News の取材に対して「今回の使徒憲章で、さまざまな教会と教皇庁が互いの声に耳を傾け、対話する場ができるようになった」と評価し、「今回、ローマに来たのは、自分たちがしたことを報告するためではなく、”学ぶ”ためですが、教皇庁もこれまでとは別のやり方で”学ぶ”ことを認識している。誰が教皇に仕え、司教に仕えるのかをよく理解している。互いに耳を傾け、文化的な多様性を受け入れ、感謝の気持ちを忘れない、もっと兄弟的な教会になる、という希望に向かってです」と語った。

*枢機卿たちが互いをよく知る機会も提供

 ‎この2日間の会議は、枢機卿団のメンバーが互いの知識と理解を深める機会も提供している。‎参加者の中には、世界のバチカンから遠く離れた地域から来た枢機卿もいる。普遍教会の理想を実現するために、教皇フランシスコは、新枢機卿任命にあたってそうした地域にも気を配られ、トンガからブルネイ、モンゴルからハイチ、バングラデシュからラオス、レソトに至るまで、これまで一度も枢機卿を持たなかった国からも、枢機卿を任命している。‎

‎ 結果、枢機卿団は、文化的背景、司牧をするうえでの感受性、地理的な場所など、極めて多様な背景を持つメンバーで構成されている。そのため、定期的にバチカンでの会議に出たりすることが難しくなっているが、‎コロンビア・‎カルタヘナ名誉大司教のホルヘ・エンリケ・ヒメネス・カルバハル新枢機卿は、それであるからこそ、今回の会議の機会に教皇と顔を合わせ、枢機卿の皆と対話し、互いを知り合うことが大切。枢機卿会議と教皇との会合は、私たちが互いをよく知り、意識し、将来に備えるのに役立ちます」と語っている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年8月30日

・教皇がイタリア中部・ラクィラ訪問、震災犠牲者悼み、復興の努力称える

教皇フランシスコ、イタリア中部ラクィラの修復中のカテドラルで 2022年8月28日教皇フランシスコ、イタリア中部ラクィラの修復中のカテドラルで 2022年8月28日  (Vatican Media)

 教皇フランシスコが28日、イタリア中部ラクィラを訪問、2009年の地震の被災者らとお会いになった。

 ご訪問の目的は、2009年のラクィラ地震の犠牲者の遺族や被災者を励ますとともに、コレマッジョ聖堂で毎年8月28日から29日まで祝われる行事「チェレスティーノの赦し」の開幕を告げ、同聖堂の「聖なる門」を開くこと。

 同日早朝、ラクィラに到着された教皇は、市内中心部ドゥオーモ広場にあるカテドラルに向かわれた。

 13世紀を起源とするこのカテドラルは、1703年の大地震で深刻な被害を受け、19世紀から20世記にかけて修復された。しかし、2009年4月6日のラクィラ地震で再び大きなダメージを受け、使用不可と判定された。現在、修復作業が行われている。

 カテドラル前で行われた市民との集いで、教皇は地震の犠牲者の遺族をはじめ、この悲劇に大きな尊厳をもって立ち向かった全市民に寄り添いを表明。

 苦しみと茫然自失の中にも、十字架上で死に復活したキリストを見つめ続けた被災者たちの信仰の証しに感謝され、「イエスは御父のみ腕に皆さんを託され、御父は皆さんのただ一滴の涙をも無駄にすることなく、すべてをいつくしみ深いその御心に受け止められます… 言葉だけで苦しみを慰めることはできなくても、寄り添いや友情、愛情をもって、互いに兄弟姉妹として助け合い、共に歩むことで前進することができるでしょう」と語られた。

 この席で教皇はアブルッツォ州内の刑務所関係者の使節にも挨拶され、「より人間的な社会の構築における希望のしるし」として彼らの仕事を励ました。

 教皇は、最後にすべての市民に心からの祝福をおくられた。集いの終了後、教皇はヘルメットをつけ、関係者の案内を受けながら、修復中のカテドラルの内部をご覧になった。

(編集「カトリック・あい」)

2022年8月29日