・教皇 入院4日目、17日ー呼吸器の複数菌感染により適切な療養必要に、病状は安定

ローマのジェメッリ総合病院と聖ヨハネ・パウロ2世像ローマのジェメッリ総合病院と聖ヨハネ・パウロ2世像  (ANSA)

(2025.2.17  バチカン放送)

 呼吸器感染症でローマのジェメッリ総合病院に入院中の教皇フランシスコの17日午前中の様子について、バチカン広報局は以下のように伝えた。

 「ここ数日と今日の検査の結果、呼吸器の複数菌感染が明らかになり、治療法をさらに変更することになった。今日までに実施されたすべての検査は複雑な臨床像を示しており、これに伴い、適切な療養が必要とされる。」

 バチカンのマッテオ・ブルーニ広報局長は、報道関係者らに対し、「教皇は昨晩よくお休みになられた。朝食をとり、新聞を読まれた。治療は続く」と述べたほか、教皇は朗らかなご様子であることを伝えた。

 パレスチナ・ガザ地区の小教区主任司祭、ガブリエル・ロマネッリ神父は、教皇が入院後最初の2日間、いつものように小教区に電話をかけてくださり、ビデオで会話したこと、昨日は電話の代わりにメッセージを寄せてくださったことを、バチカンのメディアに語った。

   またバチカン広報局の17日夜の発表によると、 「教皇はその後も発熱はなく、指示された治療を続けておられ、臨床的な状態は安定している」。そして、この朝、聖体を拝領され、その後、仕事に関するいくらかの作業を行い、文書に目を通された。「今この時も、多くの親愛と寄り添いのメッセージを受け取り続けていることに感動されている。その中でも特に、現在入院生活をしている人々が絵やメッセージを通して伝える愛情に、感謝を述べておられる。教皇はこれらの人々のために祈ると共に、ご自身のために祈りを願われている」としている。

(編集「カトリック・あい」)

2025年2月17日

・教皇 入院3日目の16日―病状は安定、治療を継続

ローマのジェメッリ病院前広場の聖ヨハネ・パウロ2世像ローマのジェメッリ病院前広場の聖ヨハネ・パウロ2世像  (AFP or licensors)

 呼吸器感染症で14日からジェメッリ総合病院に入院中の教皇フランシスコの16日の様子について、バチカンのマッテオ・ブルーニ広報局長が以下のように発表した。

「教皇フランシスコは夜間よくお休みになった。臨床的状態は安定しており、医療スタッフより処方された診断に沿った治療プロセスを継続している。

 16日朝、教皇は聖体を拝領された。そして、テレビでミサをご覧になった。午後は、読書を交えながら休息された」

(編集「カトリック・あい」)

2025年2月17日

・バチカン行政機構の最高位に初の女性ー教皇、バチカン市国行政庁長官にSr.ペトリーニを任命

Archive photo of Sister Raffaella Petrini and Pope FrancisArchive photo of Sister Raffaella Petrini and Pope Francis 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2025年2月16日

・教皇入院2日目ー数値改善、絶対安静で回復に努め、主日の正午の祈り先唱は控えられる

ローマのジェメッリ総合病院ローマのジェメッリ総合病院  (AFP or licensors)

 バチカン広報局が15日夕、教皇フランシスコの入院2日目の同日夕方までの経過について発表した。発表内容以下の通り。

・・・・・・・

  教皇フランシスコは一晩中よく休まれた。発熱は見られなかった。日中に行われた検査により、呼吸器感染症を確認した。治療はその後の微生物学的検査に基づき、若干変更された。今日の臨床検査では、いくつかの数値が改善した。

 午前中、教皇は聖体拝領され、その後、休息と、祈りや読書を交互に行われた。

 回復を促すために、医療スタッフは絶対安静をお願いした。そのため、教皇は明日、16日の年間第6主日の正午の祈りの先唱はなさらないが、教皇はお告げの祈りの際の原稿を発表する意向だ。

 教皇は、寄り添いと親愛の情を伝える多くのメッセージに接し、感謝されるとともに、今後も、ご自身のために祈ってくれるよう、願われている。

2025年2月16日

・教皇、微熱のため呼吸器感染症の薬物治療を開始(Vatican News)

Pope Francis treated for respiratory tract infection at Rome's Gemelli HospitalPope Francis treated for respiratory tract infection at Rome’s Gemelli Hospital  (ANSA)

 

 

2025年2月15日

・教皇、長引く気管支炎の検査と治療のために入院(CRUX)

Pope Francis starts reading his speech during his Wednesday general audience in the Paul VI Hall at the Vatican on Wednesday, Feb. 12, 2025. (Credit: Alessandra Tarantino/AP.)

(2025.2.14 Crux   Elise Ann Allen

2025年2月15日

・教皇、気管支炎の検査と治療のためジェメッリ病院に入院

ローマのアゴスティーノ・ジェメッリ総合病院ローマのアゴスティーノ・ジェメッリ総合病院 

 バチカン広報局の声明によると、教皇は14日午前、予定されていたいくつかの謁見を終えられた後に、このところ患っておられた気管支炎のために必要な検査と、病院での治療を目的に、ローマのアゴスティーノ・ジェメッリ総合病院に入院された。

 教皇はここ数日、ミサや謁見などの場でご自身の気管支炎に言及し、準備された説教や講話を側近の代読に委ねられてきた。

 この朝、教皇はすべての謁見を、お住まいであるバチカンのサンタ・マルタ館で行われた。

(編集「カトリック・あい」)

2025年2月14日

・教皇の健康状態ー長引く気管支炎をめぐって懸念の声も(La Croix)

(2025.2.11  La Croix (with I.Media)

 教皇フランシスコ(88歳)が気管支炎で苦しんでおられ、ご自身で講話をするのに困難を生じ、バチカン宮殿でなく宿舎でご自身の宿舎でゲストと会見することを余儀なくされている。しかし、10日も通常通り予定されていた謁見はお続けになった。

教皇フランシスコは、2025年1月26日、サンピエトロ大聖堂のサンピエトロ大聖堂でミサを主宰します。(教皇フランシスコは、2025年1月26日、サンピエトロ大聖堂のサンピエトロ大聖堂でミサを主宰された。(写真:バチカンプレスプール)
 教皇は、ほぼ一週間にわたって気管支炎の重症例に苦しんでおられる。病気のために彼はスピーチを読むことができなくなり、使徒宮殿ではなく彼の住居でゲストを迎えることを余儀なくされた。

 冬にしばしば再発するこの新たな呼吸器疾患のエピソードにもかかわらず、教皇はいつものように聴衆と続けた。2月10日、88歳の教皇は、朝の議題である6つの公式会議すべてに出席した。

 「このひどい風邪で、話すのが難しいので、お詫びしたいと思います」と教皇は5日、水曜恒例の連続講話の代読を補助者の司祭に委任する前にこう言われた。翌日、バチカン報道局は、教皇が「気管支炎」に罹患したと述べ、宿舎のサンタ・マルタで活動を続けることを余儀なくされた。

 それ以来、会議はサンタマルタで通常通り続けられ、キャンセルはなく、スケジュールを軽くすることを余儀なくされた冬の呼吸器疾患の以前の状況とは異なる。2023年3月、教皇は感染性気管支炎のために入院された。「もしあと数時間待っていたら、もっと深刻になっていたでしょう」と数週間後にメキシコのテレビで語られていた。

 

 *「疲労が見える」

 

 2月9日、教皇は寒さにも耐え忍び、サンピエトロ広場で行われた軍のジュビリーの屋外ミサを祝った。しかし、彼は非常に疲れているように見え、弱々しい声で、「呼吸困難」のために彼の説教を読み続けることができなかったことを群衆に謝罪された。

 教皇に近い人々は、彼の顔が「疲労で特徴づけられている」ように見え、彼が体重を増やしたと指摘しており、これはコルチコステロイドによる治療に起因するものもあるが、公式には、教皇が健康速報の公開に消極的であるため、情報は公開されていない。 「彼は体調が良くない」とバチカンの情報筋は懸念を述べ、最近の彼の安定した状態は必ずしも「安心できる」ものではない、と指摘した。

 「教皇は非常に疲れていました」と、教皇が月曜日の朝に謁見したパリのグランドモスクのケムス・エディン・ハフィズ師は確認した。「彼は、バチカン宮殿の図書室で私たちを迎え入れるはずだったのに、(サンタ・マルタで)私たちを迎えられ、謝まられた。彼のことが少し心配だった」。「彼の顔には苦しさが出ていました。息切れしていました、それはかなり困難でした」と付け加え、高齢で「彼の肩に重い責任」を負っていることが分かった、という。

 しかし、約30分間の会見の中で、ケムス・エディン・ハフィズ師は、教皇が「とても愛想がよく、微笑み、とても友好的」で、「とても気配りが行き届いていた」とも述べた。「彼の知的に非常に鋭い所は変わっていない‥. 会見の最後に、彼は私の手を取り、ご自分のために祈るように、と願われました」と語った。

*「心配する必要はない…」

 2月8日、セビリア同胞団会議のスペイン代表たちは、教皇との会見が当初予定されていた20分ではなく、45分に伸びたことに感動した。バチカンのある関係者は「会見をキャンセルされない限り、心配する必要はない。だが、彼は88歳だ。彼の体に何が起こるかわからないことも確かだ」と述べた。

 2月12日、教皇はパウロ六世の謁見ホールで毎週の一般謁見を主宰する予定だ。来週、彼はバチカンを離れ、芸術家の聖年の行事のため、ローマ南東部のチネチッタ映画スタジオを訪れる予定。それにもかかわらず、第266代教皇は、知的能力を保持している限り、辞任するつもりはない、とすでに述べておられる。「統治は膝ではなく、頭でするものです」と彼は2022年12月のABCとのインタビューで語っておられた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。
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2025年2月11日

・7月27日「祖父母と高齢者のための世界祈願日」のテーマは「希望を失うことのない人は、幸い」

バチカンで2024年4月に行われた、高齢者と若者たちの集いで バチカンで2024年4月に行われた、高齢者と若者たちの集いで   (VATICAN MEDIA Divisione Foto)

(2025.2.4 バチカン放送)

 バチカンの「いのち・信徒・家庭省」が4日、7月27日に記念される第5回「祖父母と高齢者のための世界祈願日」のテーマを発表した。

 教皇フランシスコが選ばれたテーマは、「希望を失うことのない人は、幸い」( シラ書14章2節参照)。

 シラ書から引用されたこの言葉は、お年寄りの深い幸福感と、キリスト教的で和解した老後のための道として、主の中に置かれた希望を示している。

 教皇は、2021年に設けられた同祈願日を、この聖年に、「祖父母や高齢者の存在が、いかに各家庭や教会共同体の中で希望のしるしとなり得るか」を考える機会とすることを希望されている。

 「いのち・信徒・家庭省」は、7月27日のミサを、世界のすべての教区で高齢者のためのために捧げ、お年寄りへの訪問や、異なる世代間の出会いの機会を促すように、との教皇の勧めを新たにしている。

(編集「カトリック・あい」)

2025年2月5日

・バチカンが、 AIと人間の知性の関係に関する文書を発表

AIと人間の知性の関係めぐる教理省と文化教育省の文書発表AIと人間の知性の関係めぐる教理省と文化教育省の文書発表  (REUTERS)

(2025.1.28 バチカン放送)

 バチカンの教理省と文化教育省が28日、「Antiqua et Nova( Note on the relationship between artificial intelligence and human intelligence=人工知能と人間の知能の関係に関する文書)」を発表した。

 この文書は、教皇フランシスコの人工知能に対するここ数年の関心と注意を基礎としており、教育者や信仰を伝える立場にある人はもとより「人々と共通善に奉仕する科学技術」の発展に必要な条件を共有する人々にも向けられている。

 文書は6章・117節で構成され、教育、経済、労働、医療、人間関係の分野や、戦争を背景に、人工知能(AI)の開発上の課題や可能性に光を当てている。

*AIの危険-個人や企業の利益のために操作される恐れ

 文書は、AIの危険性を具体的に列挙すると同時に、神と人間の「協力の一部」として進歩するよう促す一方で、効果をまだ予測できないこうした技術革新に対し、不安を示している。

 そして、人工知能と人間の知能の区別に数節を費やし、「AIを指して『知性』という言葉を使うこと自体が、誤解を招きやすい」と指摘。AIは「人工的な知性の形」ではなく、「その産物の一つ」であるとしている(35項)。

 さらに、人間の創意のあらゆる産物と同じように、AIも「肯定的な目的にも、否定的な目的にも」使うことができ、「重要な革新」をもたらすことができる(48)一方で、「差別や、貧困、情報格差、社会的不平等の状況を悪化させる危険」も内包(52項)している、とし、「倫理的懸念」を生んでいるのは「AIの主な応用をめぐる権限のほとんどが、力を持つ少数の企業の手に集中していること」(53項)であり、「個人あるいは企業の利益」のために操作される恐れ(同)がある、とも指摘している。

 

*AIの兵器利用が制御不能な破壊力をもたらす懸念

 AIと兵器との関係では、においては、「人間の直接介入なしに標的を特定し、命中可能な自律的で殺傷力のある兵器システム」が深刻な倫理的懸念(100項)をもたらしており、教皇は、「人類または地域全体の生存」に関わる現実的脅威として、その使用の禁止を求め(101項)ておられる。そして、「戦争に制御不能の破壊力を与え、子供たちさえを含む、多く無実の市民を攻撃するリスク」がある、と文書は警告している。

*子供の成長や人間関係にとって有害にもなり得る

 

またAIは、人間関係についても、「有害な孤立」をもたらす可能性(58項)があり、「AIの擬人化」は、子どもたちの成長に問題を起こし得る(60項)ほか、AIを人間のように表現することを詐欺的な目的で使用する場合、「重大な倫理違反」となり、教育、人間関係、性的な文脈において、AIを使って人を欺くことは「不道徳であり、慎重な注意が必要 」(62項)とも述べている。

*経済・金融、労働分野への影響

 

経済・金融の分野でも同様に警戒が必要で、特に労働分野で、AIは技能と生産性を向上させる「大きな可能性」を持つ一方、「労働者から資格を取り上げ、自動化された監視体制」のもとに、固定化された反復的な役務に追いやる」可能性(67項)がある、としている。

*医療分野への影響

 

文書は、AIと医療の関係にも多くのスペースを割いており、医療分野での応用の膨大な可能性に触れながらも、「医師と患者の関係に取って代わるなら、病者に伴う孤独感を『悪化』させる恐れがある」とし、AIによって、「金持ちの医療」が強化されれば、経済的余裕のある人々が高度な医療の恩恵を受ける一方で、他の人々は基本的な医療サービスへのアクセスすらできない状況に陥ることが考えられる、と警告している。

*教育分野への影響

 

文書は、教育の分野においてもAIがもたらすリスクを浮き彫りにしており、「慎重に使用するなら、AIは教育へのアクセスをより良くし、学生たちに”即時の照”ができるようにする(80項)」が、問題は、多くのプログラムが「生徒が自分で答えを見い出す、あるいは自分で文章を書くように促すのではなく、単に答えを提供するにとどまる」ことで、その結果、「批判的思考を育てられなくなる」(82項)と警告。多くの「歪曲・捏造された情報」や「フェイクニュース」を生み出すプログラムがあることにも、注意を促している。

*”フェイクニュース”と”ディープフェイク”

 

フェイクニュースに関して、文書は、AIが「偽造されたコンテンツや、偽情報を生み」(85項)、それを「欺き、傷つける」ために拡散する(87項)など、深刻なリスクがあることを注意している。そして、常にコンテンツの「信憑性を慎重にチェック」し、「人を辱める言葉やイメージの共有」を避け、憎しみや不寛容を煽るもの」や「人間の性」の品位を落とすものを排除するように、促している(89項)。

*プライバシーと管理

 

「プライバシーと管理」について、文書は、ある種のデータが「良心にまで触れ」(90項)、すべてが「密かに覗き見られる一種の見世物」になりかねないリスクを持っている、と指摘(92項)。また「デジタル上の監視が、信者の生活や信仰の表現を管理下に置くために使われる可能性」があることに、注意を促している。

 

 

*共に暮らす家である地球をより良くするために

 

被造物のテーマにおいて、共に暮らす家=地球との絆をより良いものとするためのAIの応用は、「期待できるもの」とする一方で、現在のAIモデルは「大量のエネルギーと水」を必要とし、資源を集中的に消費するのみならず、「CO2排出に大きく影響する」という負の側面にも触れている。

 

 

*神との関係

 

最後に文書は、人間が「自らの産物の奴隷」となるリスクを警告し、「AIは『人間の知性を補完する道具』としてのみ使用されるべきであり、人間の知性の豊かさに取って代わることがあってはならない」(112項)と強調している。

 

(編集「カトリック・あい」)

2025年1月29日

・ 教皇、お住まいのサンタ・マルタ館で転倒、右前腕を打撲されたが、「公務に支障なし」とバチカン広報

教皇フランシスコと世界食料安全保障委員会ジェジル議長 2025年1月16日 バチカン宮殿世界食料安全保障委員会ジェジル議長と会見される教皇フランシスコ(2025年1月16日、バチカン宮殿で=ANSA)

(2025.1.16 バチカン放送)

 バチカンの広報局の声明によると、教皇は16日、ご自身の住まいであるバチカンのサンタ・マルタ館で、転倒のために右前腕を打撲された。これによる骨折はないというが、念のため右腕に固定処置がとられた。

 公務には支障がなく、教皇は同日、世界食料安全保障委員会のノシフォ・ナウスカ-ジーン・ジェジル議長との会見を予定通りなさった。

(編集「カトリック・あい」)

2025年1月17日

・バチカンに初の女性長官が誕生ー奉献・使徒的生活会省のSr.ブランビッラ

シモーナ・ブランビッラ修道女シモーナ・ブランビッラ修道女 

  教皇フランシスコが6日、教皇庁奉献・使徒的生活会省長官に、同省次官のシスター・シモーナ・ブランビッラ(59)を任命された。バチカンの省の長官に女性が任命されるのは初めて。

 副長官には、サレジオ会前総長のアンヘル・フェルナンデス・アルティメ枢機卿(64)が就任する。

Sr.ブランビッラは、慰めの聖母宣教修道女会の会員で、2011年から2023年10月まで、教皇庁の奉献・使徒的生活会省次官に任命されるまで同会の総長を務めていた。

 教皇フランシスコは教皇就任以来、女性の登用を積極的に進めている。2013年から2023年にかけて、教皇庁とバチカン市国で働く女性の割合は、19.2%から23,4%に上昇。

 女性を含む一般信徒が教皇庁の省はじめとした部署の要職に就くケースが増え、総合人間開発省のアレッサンドラ・スメリッリ次官、バチカン美術館のバルバラ・ヤッタ館長、バチカン市国行政庁次官ラファエラ・ペトリーニ次官などがその例だ。昨年12月には、Sr.シモーナ・ブランビッラと世界カトリック女性団体連合(WUCWO)前会長のマリア・リア・ゼルビーノを国務省の常任評議会議員に任命されている。

 さらに2022年には、教皇が使徒憲章Praedicate Evangeliumを出され以前は枢機卿や大司教に限られていた長官になる道を開いており、今回の  Sr.ブランビッラの長官任命はそれに基づくものといえる。

(編集「カトリック・あい」)

2025年1月7日

・『パーフェクト・デイズ』聖年にふさわしい、希望の巡礼者たちのための映画だーバチカン、映画評論で推奨

(2024.12.19 Vatican News)

 ドイツの名監督ヴィム・ヴェンダースが東京・渋谷の公共トイレを舞台に描いた人間ドラマ、『パーフェクト・デイズ』をバチカンのパウロ会の検察官で映画評論家のグレッグ・アパセル神父(CSP)が、2025年聖年にふさわしい映画として推奨している。

 主人公のトイレ清掃員、平山役を役所広司が務め第76回カンヌ国際映画祭で日本人2人目の男優賞を受賞して話題となった映画。2024年の第47回日本アカデミー賞 – 優秀作品賞、最優秀監督賞(ヴィム・ヴェンダース)、最優秀主演男優賞(役所広司)、第17回アジア・フィルム・アワード – 最優秀男優賞(役所広司)も受賞している。東京。日比谷のTOHOシネマズ シャンテで12月25日まで上映しているほか、DVDや一部の動画サイトで閲覧可能だ。=PERFECT DAYS 公式サイト (perfectdays-movie.jp)

 以下、アパセル神父の映画評。

 教皇フランシスコは、すべてのキリスト教徒に希望の巡礼者となるよう呼びかけておられる。聖年における免罪符付与に関する法令の中で、法王は「希望は『神の救いのご臨在を必要とする人間の心の渇望』を包括する時代の兆しの中で再発見され、希望の兆しとなるべきである」と書かれた。

 そこで私は、ヴィム・ヴェンダース監督の2023年の映画『パーフェクト・デイズ』に専心することで、自分自身の希望の巡礼の旅を始めた。私たちは平山が日常的に行っていることを追う。彼は起床し、体を洗い、服を着て、植物に水をやり、東京の公衆トイレを清掃する仕事に向かうために車を運転する。これらは2020年の夏季オリンピックのために建設された芸術的にデザインされた9つのトイレである。 私たちは平山氏とともに、彼を取り巻く世界の素晴らしさを瞑想する。

 木々の梢と太陽が作り出す影、太極拳をやるホームレスの男性、母親が見失った子供を無視する母親、一人で昼食を食べている悲しげな若い女性、そして、緻密に仕上げられた仕事に誇りを持つ平山氏。彼は微笑むが、多くを語らない。彼は自分の周りで起こっていることすべてに気づいており、感謝している。ここに希望がある。それは、私たちを取り巻くありふれた日常の中に美を見出すことだ。そして、平山は日々撮影する写真の中にその美を表現している。彼は車を走らせながら、オーティス・レディング、パティ・スミス、ルー・リードなど70年代から80年代の音楽を集めたカセットテープを聴くのが好きだ。そして、仕事が終わると、彼の夜のルーティンが始まる。

 平山は自転車で銭湯に行き、体を洗った後は湯船でくつろぐ。静かな部屋で休んだり、防塵マスクを着けた寝たきりの老人に扇風機をあててあげたりもする。顔なじみの店で食事をし、野球観戦をしながら、常に視界に入るスカイツリーを眺める。 寝る前にはウィリアム・フォークナーや、その時読んでいる作家の本を読む。夜は白黒の夢を見る。木々の影が絶えず存在する。時折、子供の手を引く男が現れたり、昔の誰かの顔が現れたりするが、これらの夢は美しく撮影されている。この映画は当初「木漏れ日」というタイトルだった。これは、木々の間から漏れる光の効果を意味する。

 平山は休日には洗濯をし、家を掃除し、フィルムを現像して良い写真を保存し、それらを銀色の容器に保管する。その容器には、古本や大切なカセットテープも一緒に入っている。 ある夜、レストランで、そのレストランの優雅な女性経営者が、すべての客に、特に平山に特別な注意を払っていた。歌を歌ってほしいとせがまれて、ついに彼女は承諾し、日本語で「太陽が昇る家」を心に沁みいるように歌った。

 数日後、平山は、その女性が男に抱きついて泣いているのを目撃した。その後、その男が平山に近づいてきて尋ねた。「俺たちを見てた? いつもあそこに行ってるんだな。私は彼女の元夫だ。7年前に離婚した。今、私は癌を患っている。化学療法で体が炎症を起こしている。私は彼女に謝らなければならないと思った。彼女にお礼を言いたかった」そして、優しい瞬間、2人の男は互いの影の動きを観察し、まるで少年のように影踏み鬼ごっこをした。平山がカセットで最後に流したのは、ニーナ・シモンの歌う「Feeling Good」だった。歌詞はこうだ。「夜が明けて新しい朝が来た。私は気分がいい」という歌詞とともに、平山が夜明けに向かって車を走らせる。

 姪や妹、ホームレスの男性、そして夢との感動的な瞬間など、印象的な場面は他にもたくさんある。この映画は私個人に語りかけてきた。特定の映画を観ているときの自分の居場所や自分自身について、何かがある。それが映画の体験に影響を与えるのだ。 身の回りのことに目を向けてみよう。通り過ぎる時には気づかない人々にも目を向けてみよう。自然にも目を向けてみよう。特に、木々に目を向けてみよう。木々は、光と闇の相互作用の中で、影や模様、陰影を作り出す。木々を通して、自分が世界の中でどのような位置にいるのかを理解し、目の前にある希望を見出そう。

 『ベルリン・天使の詩』で初めてその芸術性を評価するようになったヴィム・ヴェンダース監督は、共同脚本家の高崎卓馬、撮影監督のフランツ・ラースティグ、編集者のトニー・フロッシュハマーと共同で素晴らしい映画を制作した。しかし、平山役の役所広司の演技が『パーフェクト・デイズ』を必見の映画にしている。 昨年のカンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した役所広司氏は、この役で実にさまざまな側面を見せている。彼の表情や考えは実に素晴らしく、彼の心の奥底にあるものを私たちに見せてくれる。そして、私たち観客も、自分自身の魂について何かを理解できるのかもしれない。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2024年12月21日

・バチカン・メディアがYou Tubeとも連携し、2025年聖年の主要行事を完全中継へ

(2024.12.19 Vatican News)

 12月24日の主の降誕徹夜ミサで、教皇フランシスコが聖なる扉を開き、希望の聖年の開始を告げられるが、バチカンの各種メディア、特にマルチメディアポータルサイト「バチカンニュース」(53言語対応の統合システム)で、バチカン放送の音声ストリーム、バチカンメディアの動画、YouTubeとの連携により、世界中のすべての信者が聖年の主要行事をすべてフォローできるようになる。

 教皇は、この聖年が「私たちの信仰を強め、私たちの生活のただ中に復活したキリストを認識できるようにし、私たちをキリスト教の希望の巡礼者へと変容させる」よう、この1年を通して祈り、自らを整えることを、世界の信者たちに呼びかけておられる。完全かつアクセスしやすい報道のおかげで、2025年の聖年に開催される主要なイベントにリアルタイムでオンデマンドで参加することが可能となり、教育、文化、歴史的なコンテンツで、信仰、希望、普遍的な交わりの旅を体験できることになる。

 YouTube上のバチカンニュースの番組は、聖ペトロ大聖堂の聖なる扉の開門から始まり、聖年の終了まで、バラエティに富んだ魅力的なものとなる。ライブストリーミングにより、何百万人もの信者が、手話を含む複数の言語による解説やレポートとともに高画質の映像を視聴しながら、祈りに参加することができる。

 ライブストリーミングに加え、YouTubeを通じて提供するバチカンニュースでは、視聴者のあらゆるニーズに応える幅広いマルチメディアコンテンツを提供する。具体的には、① 聖年におけるハイライトや最もエキサイティングな瞬間を、短時間で魅力的なフォーマットで捉えたショートビデオ。共有や発見が容易なフォーマットで提供② 教会および文化的生活の主要人物や証人への独占インタビュー。聖年および現代社会におけるその精神的な関連性の意義について考察⓷ ヴォッドキャストおよびポッドキャストで、視聴者が聖年の主要テーマを発見し、考えを深め、信仰の物語や世界中の巡礼の証言に触れることができるよう意図されたオーディオおよびビデオコンテンツを提供―などだ。

 ローマに巡礼に来られない人々にも霊的な体験を容易にするとともに、マルチメディアの旅(バチカンラジオのアプリで音声、バチカンニュースのアプリで動画でも視聴可能)は、聖年と普遍的な教会に関連する宗教的、歴史的、文化的遺産を再発見する機会となろう。各コンテンツは、デジタルの世界と精神的な次元の橋渡しをするように設計されており、キリスト教の伝統に深く根ざしたこのイベントに、信者や関心のある人々が積極的に参加できる機会を提供することになる。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2024年12月20日

・教皇、コルシカ島日帰り訪問を開始、地中海地域の民間信心に関する会議で講演、ミサ

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2024年12月15日