・「ウイグル族迫害は世紀の汚点」-閣僚会議が中国の宗教迫害を非難(BW)

   7月15日から18日にワシントンで開かれた第2回「宗教の自由を促進するための閣僚会議(Ministerial to Advance Religious Freedom)」には106か国が出席した。メッセージは明確だ。中国はあらゆる宗教を迫害している。

拷問を乗り越えた法輪功学習者、張玉華(ジャン・ユーファ)氏と面会するトランプ大統領。Epoch Timesによる提供。拷問を乗り越えた法輪功学習者、張玉華(ジャン・ユーファ)氏と面会するトランプ大統領。Epoch Timesによる提供。

 「信教の自由 のスーパーボウル」。誰が最初に言い出したのかは不明だが、すっかり定着した別名だ。ワシントンD.C.で開かれたこの会議では、スーパーボウルのような雰囲気が特に懐疑的な出席者さえも巻き込んだ。それぞれが迫害の被害者と共に叫び、迫害者に怒り、ナンシー・ペロシ下院議長やトニー・ブレア前英国首相ら大物の講演の冷静な中にピリッとしたユーモアに笑った。

 迫害が続く世界を忘れないため、黄色に装った2000人の 法輪功 学習者がワシントン市内を行進すると、滅多なことでは驚かないこの街も注意を向けないわけにはいかなかった。

 そしてトランプ大統領は予定を変更し、中国から来た4人(チベット仏教徒、ウイグル族、法輪功学習者、キリスト教徒)を含む宗教迫害の被害者と面会したのだ。マイク・ポンペオ国務長官はいつになく厳しい表情で中国のウイグル族の迫害を「世紀の汚点」と呼び、中国がワシントンの行事に代表を派遣しないよう一部諸国に不当な圧力をかけていたことを示唆した。

 Bitter Winterも出席したが、すべてを報じるのは不可能である。信教の自由を求める活動に関係するあらゆる重要人物がこの街に集まったからだ。それは信教の自由の会議としては間違いなく過去最大だった。106か国、500のNGO団体と宗教団体が出席し、100を超えるサイドイベントが行われたのだ。

 スーパーボウル形式がメディアにとって容易ではなかったのは確かだ。世界各地で信教の自由が脅かされ、西側諸国でもヘイトクライムと差別が起きているという明快なメッセージはあった。しかしメディアとしては具体的にどの事例に焦点を当てるべきか迷うこともあった。

 民主主義諸国であっても問題がないわけではない。特に多くの出席者を集めたサイドイベントのひとつ、この閣僚会議の主要パートナーである国際信教の自由円卓会議(International Religious Freedom Roundtable)の取り組みに関するイベントの間、私自身、ある皮肉を指摘した。

 この大規模な信教の自由の祭典の数日後に、韓国では中国の諜報員および協力関係にある支持者が、何の問題も起こしていない、中国から逃亡中の 全能神教会 信者を標的に虚偽のデモを起こすことになっていたからだ。デマを非難する書簡には13のNGOが署名し、代表団に配布され、共感と支持の輪を生み出した。

 虐待や差別の事例があまりに多く報告され、メディアがすべてを網羅することは不可能だった。その中で、米国務長官の「世紀の汚点」の講演は、会議を本来の目的に立ち返らせたとも言える。先月、同じくポンぺオ国務長官は「国際信教の自由」報告書の発表において、世界には悪者が大勢いるが、中国は「群を抜いている」と述べている。

国際信教の自由円卓会議のイベント。国際信教の自由円卓会議のイベント。

 ウイグル族が上げた声は1度に限らず、はっきりと確かに聞こえた。彼らは米国平和研究所の満席のレセプションで話をし、本会議では投獄されたウイグル族の文化人、イルハム・トーティ(Ilham Tohti)氏の娘が中国に抗議し、真実を述べ、フェイクニュースの拡散を止め、恐ろしい 「教育による改心」のための強制収容所 に拘束されている数百万人のウイグル族を解放するよう求めた。

 私が最も心を打たれたのは、中国に関する開会サイドイベントで聞いた中国4省の全能神教会の元指導者、鄒徳美(ゾウ・ドゥメイ)氏の演説だ。鄒氏が米国に亡命し、メディアがその件を報じ始めたとき、中国共産党 は彼女の両親を逮捕して母親を殺害したという。

 政治家、外交官、宗教指導者らと議論する中で、ポンぺオ国務長官の談話のとおり、中国が閣僚会議を妨害しようとしたことが分かってきた。反人権の「恥ずべき国々」を結集させ、会議を批判したのだ。

 信教の自由の推進における米国の主導的役割を快く思わない国があってもおかしくないが、不満を訴えるより、この分野においては米国人のように積極的に活動すべきだ。

 結局、2つの異なる 人権 のストーリーのぶつかり合いなのである。中国と「恥ずべき国々」にとって、人権とは「西洋人」または「米国人」のものであり、非西洋諸国はそれを無視してよいのだ。一報、国際法、民主主義政権、そして思いやりのあるまともな人間にとって、人権は普遍的であり、信教の自由はあらゆる人権の中でも特に貴重な部分なのである。

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日8言語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。いかなる宗教団体や政治団体とも関係をもたず、政治問題について特定の立場を取らない。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 記者たちは逮捕されるなどの危険を顧みず、中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究の領域で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

2019年7月22日

・ワシントンで「宗教の自由促進の閣僚会議」開くー米副大統領も中国の宗教弾圧批判

中国のウイグル族やキリスト教などの信徒への残虐行為支える欧米、日韓の企業を非難

 米国務省主催の第二回「宗教の自由を促進するための閣僚会議」が15日から3日間、ワシントンで開かれ、100ヵ国の政府と500のNGO団体及び宗教団体が、マイク・ポンペオ国務長官と「国際信教の自由」担当のサム・ブラウンバック担当大使の呼びかけに応じ、信教の自由に向けて協力することを誓った。

 信教の自由を求める会議としては世界で最大の規模を誇る。この閣僚会議では、代表団を対象とした非公開のプログラムや複数の付随するイベントも行われた。中国で弾圧を受けている団体によって結成された「中国での信教の自由を促進するための同盟」は15日に「シリコンバレーと中国: テクノロジーを介した宗教弾圧」と題するセミナーを開き、複数の専門的なNGOが共同で「臓器のために政治犯を必要に応じて殺害する中国の取り組みの最新情報」に関するイベントを行った。

弾圧を支えるテクノロジー

 閣僚会議では「中国の監視システムの部品など高度のテクノロジー製品を供給している欧米や日韓のハイテク企業の行為はモラルに反しており、違法とすべきだ」との意見が出された。

 ウイグル族 やその他の少数民族、家庭教会 に属するキリスト教徒、法輪功 の学習者、全能神教会 のキリスト教徒、中国天主教愛国会 への参加を良心に従って拒否するカトリック教徒、チベット仏教徒 及びその他の宗教団体の信者は、動物のように追い回され、逮捕され、長年勾留され、拷問を受け、暗殺されることもある。だが、これらの犯罪行為を、国外から供給されるテクノロジーが支えていることはあまり知られてこなかった。

 宗教を信仰する者やその他の反体制派を逮捕し、セキュリティ対策が施された 「教育による改心」のための強制収容所 に拘束するという、中国当局の行為を支えているのは、”容疑者”の追跡、監視のグローバルなシステムだ。北米、欧州、日本及び韓国の企業が中国に輸出している部品がなければ、中国共産党 はこのシステムを実行に移せなかった。欧米、日韓の企業は莫大な利益を得る一方で、製品が何に使用されるか確認しようとしない。

 弾圧を受けている人々を犠牲で利益を得る自由主義世界の企業の行為は絶対に受け入れられないものだ。「中国での信教の自由を促進するための同盟」の代表者は、ワシントンのダークセン上院ビルの一室に詰めかけた大勢の人々に対して、「この行為を中止すべきだ」と訴えた。同盟は中国とのこの取引を行う主要なハイテク企業のCEOに書簡を送る計画を立てている。充分な成果が得られない場合は、関係国政府の介入を要請するという。

拷問に耐えたウイグル人のミリグル・トゥルスンさんが付随するイベントで講演を行った。拷問に耐えたウイグル人のミリグル・トゥルスンさんが付随するイベントで講演を行った。

拷問の証言

 ナショナル・プレスクラブで行われたイベントでは、ウイグル人女性のミリグル・トゥルスン(30)さんが自己の拷問の経験を語った。トゥルスンさんは中国当局に逮捕され、収容所に拘留されている間に、生まれて間もない息子のモハメド君を亡くしていた。新疆ウイグル自治区 の病院で適切な治療を受けられなかったためだ。彼女は「海外への渡航歴がある」という理由だけで勾留された、という。

 また、鄒徳美(ゾウ・ドゥメイ)さんは、欧米の企業が提供した部品によって作られた衛星及び携帯電話の追跡/盗聴機器によって、14年にわたって追跡され、特定され、逮捕された。彼女と同じ修道名を用いていた別の全能神教会の信者も拷問され、さらに鄒さんの問題が国際的な注目を集めている間に、当局は、高齢の両親を逮捕するために同様の機器を使った、と説明した。鄒さんの母は5日間の勾留、拷問の末に死亡した。海外にいる鄒さんも、強制送還の恐れがあったが、「国際信教の自由円卓会議」とBitter Winterの支援で回避された、と述べた。

宗教の自由を促進するための閣僚会議

馬永田(マ・ヨンティアン)さんも不当な弾圧について語った。事業家の馬さんは、遠隔の省から北京を訪れ、贈賄犯罪に対する適正な措置を請願したところ、仲間と共に逆に罰せられ、弾圧された。

 法輪功の学習者による声明も朗読され、当局が宗教関係の反体制派を追跡し、逮捕し、拷問にかけるために、テクノロジーがどのように用いられているかに関して詳しい説明が行われた。

ハイテク弾圧、臓器摘出に対して活動家が団結

 イベントの後半では、様々な国々の活動家が声を上げ、中国共産党に監視技術を流出させる行為を今すぐにやめるよう求めた。

 チャイナ・エイド(China Aid)を設立し理事を務めるボブ・フー氏は「正しい行いをしなくても、少なくとも悪事を働くべきではありません」と述べた。

 ウイグル人権 プロジェクトの渉外担当理事を務めるルイサ・グレベ氏は、拷問者に技術的な支援を行う行為を米国内で違法にする法案を提出するための取り組みを簡潔に説明した。

 台湾人の弁護士であり、法輪功の学習者である童文薰氏は、現在も中国で行われている恐ろしい臓器摘出を非難した。

台湾人の弁護士であり、法輪功の学習者である童文薰氏。台湾人の弁護士であり、法輪功の学習者である童文薰氏。

 このイベントを開催したのは、中国臓器収奪リサーチセンター(COHRC)中国での臓器移植濫用停止 ETAC国際ネットワーク(ETAC)、人権法律基金(Human Rights Law Foundation)及び公民力量。ルイサ・グレベ氏が議長を務め、国際的な専門家を招いて行われた。中国臓器収奪リサーチセンターは2019年度の報告書と映像作品『メディカル・ジェノサイド: 中国の臓器移植産業の隠れた大量虐殺(Medical Genocide: Hidden Mass Murder in China’s Organ Transplant Industry)』の発表を行った。

臓器摘出に関する討論会。臓器摘出に関する討論会。

 中国共産党は学者や支持者に大金を支払い、政治犯(法輪功の学習者、ウイグル族及び全能神教会を含むその他の弾圧を受けている団体に属する人々)をターゲットにした臓器摘出が今も行われていることを否定する「学術的」な作品を作らせているが、中国民衆法廷やその他の国際的な調査機関の調査により、この主張は否定されている。

 アン F. コーソン博士は、親中国共産党のメディアのネットワークはこのような調査の報道を頑なに拒否し、「この行為を既に中止した」と主張する中国の虚偽報道を繰り返しているだけだと伝えていた。

残念ながら、臓器摘出は中国で今も活発に行われている。そして、最も恥ずべき取引において臓器が必要とされる際に政治犯は殺害されている。

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日8言語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

米副大統領、中国のウイグル族拘束、キリスト教徒など弾圧を非難 

(2019.7.19 日本経済新聞)

 米国のペンス副大統領とポンペオ米国務長官は18日、米国務省で開いた信教の自由に関する閣僚級会合で相次いで演説した。中国政府による新疆ウイグル自治区でのウイグル族の大量拘束、イラン政府による「信仰の自由」の妨害などを批判した。両氏の主な発言は以下の通り。

■ペンス副大統領

 米副大統領として、米国の建国に生命を与えた信教の自由を支持する。トランプ大統領の指導力でこの政権は米国内外の自由を守る行動をとってきた。昨年来進展はあったが、まだやるべきことは多い。驚くことに世界の人口の83%がその自由を脅かされ、あるいは禁じられている。

 この西半球でも、ニカラグアのオルテガ(大統領)らは信仰や人権への攻撃を続けている。ベネズエラでは独裁者のマドゥロ(大統領)が反体制派のカトリックの聖職者を起訴する法律を使っている。

 イランでの宗教的少数派の迫害も批判しよう。イランの国民はあったとしてもほとんど宗教の自由がない。キリスト教徒やユダヤ教徒、イスラム教スンニ派らは、多数であるイスラム教シーア派が享受している最も基本的な権利を認められていない。もちろん、イランの指導層は自国民を迫害することだけで満足していない。隣のイラクを含めて地域一帯に暴力やテロリズムを定期的に持ち出している。米国は何もせず手をこまぬくことはない。私たちはイランの政権に立ち向かっている。

 私たちはミャンマーで迫害を受けているイスラム系少数民族ロヒンギャのためにも戦っている。好戦的な仏教徒による少数派のムスリムやキリスト教徒への抑圧を座視することはできない。米国は迫害に関わった人たちに責任をとらせるようミャンマー政府に求めてきた。このような大規模な残虐行為は2度と起きてはならない。

 米国はまた、中国での宗教弾圧にも声を上げてきた。きょうも再びそうする。中国によるチベット仏教とへの弾圧は数十年にわたる。1995年、中国当局は(ダライ・ラマに次ぐ高位の「活仏」とされる)パンチェン・ラマを捕らえた。この24年間、家族ともども消息が伝えられていない。

 新疆ウイグル自治区では、共産党は100万人以上のウイグル族を含むイスラム教徒を強制収容施設に投獄している。そこで彼らは24時間体制での洗脳に耐えている。収容所の生存者によると、北京は意図的にウイグル文化を抹殺し、イスラムの信仰を根絶しようとしている。

 キリスト教徒の信仰も標的だ。ただ、最も大いなる皮肉なのだが、この2000年のうち今の中国共産党の体制下でその信仰は最も急速に広がっているのだ。たった70年前に共産党が権力を手に入れたとき、キリスト教徒は50万人にも満たなかった。今や2世代を経て1億3000万人にも達しようとしている。信仰が中国全土に広がっているのだ。それは香港でもそうだ。民主活動家のジミー・ライ氏は今月初め、こう語ってくれた。若者が抗議の行進で警官と向きあうとき、彼らはしばしば賛美歌を歌うというのだ。

 中国当局は聖書の販売を禁止しているかもしれないが、地球上のどの国よりも多い発行を止めることはできていない。教会の建設も禁じているかもしれないが、中国ではどの国よりも多くの教会が作られている。米国は現在、中国との貿易交渉に臨んでいる。それは続くだろう。しかし、その交渉がどうなっても、米国民は中国で信仰に生きる人とともにあると保証する。迫害される恐れなく自由に信仰できるよう願う。

 北朝鮮での信仰の扱いはもっとひどい。国連人権委員会はこう報告している。「北朝鮮での人権侵害は人間性への犯罪であり、その重大性や規模、そして本質は現代世界で比肩するものはない」と。北朝鮮の政権は公式に政府当局者にこう求めている。いわく、キリスト教の反動主義者の分子を一掃せよと。聖書を持っていれば死刑になる。トランプ大統領は北朝鮮の非核化と恒久的な平和を追求し続ける。米国は朝鮮半島の全ての人々の信仰のために戦う。

 米国は宗教上の理由で迫害を受けた全ての犠牲者とともにある。それは北朝鮮であれ、中国であれ、ミャンマーであれ、イランであれ、世界中の全ての人と心と祈りをともにする。

■ポンペオ米国務長官

 宗教の自由に関する今年の国際会議に前回よりも参加者が大きく増えたことを強調したい。キリスト教やユダヤ教、イスラム教などにかかわらず宗教の自由が数十億人に関わる課題と位置づけられているからだ。我々は宗教の自由に向けて結束し主張を強めるがこれは始まりにすぎない。

 イラン当局は少数民族が宗教に関する本を所持することを妨害し、少数民族に教育の機会を与えない。ミャンマーでは(少数民族の)ロヒンギャがひどい扱いを受けて迫害されている。その大部分はイスラム教徒だ。米国はミャンマー軍高官に対して(経済制裁という)公の行動を初めて起こした。

 中国共産党は中国国民の生活や心情を支配しようとしている。中国政府はこの会合に他国が参加することを妨げようとした。これが中国の憲法に明記された信仰の自由の保障と整合的だといえるのだろうか。現代における最悪の人権危機の一つが中国で起きている。これはまさに今世紀の汚点だ。

 我々は信仰の自由を守り推進するために今ここに集まった。米国務省は迫害を受ける犠牲者に迅速な支援を講じるために多国間の基金を立ち上げた。我々は同盟国と手を携えて多国間での対応を活発化させていく。

 信仰の自由に対する侵害を我々は継続的に非難しなければならない。米国は国連やその他の多国間枠組みで信仰の自由が最優先課題であると訴えていく。そのためには市民社会の支援が必要だ。草の根の運動家たちに感謝している。(ワシントン支局)

2019年7月19日

・世界の飢餓人口8億2000万人、一方で肥満者増加続く-国連報告、バチカン対応訴え

 2019年7月15日、ニューヨーク – 最新の「世界の食料安全保障と栄養の現状」報告書によると、2018年は推計8億2000万人が十分な食料を得ることができませんでした。これは、2017年推計の8億1100万人から上昇し、世界の飢餓人口は3年連続で増加しています。報告書はこのような状況は、「持続可能な開発目標(SDGs)」の2030年までに「飢餓をゼロに(ゼロハンガー)」を達成するための大きな課題となっていると指摘しています。

 報告書はまた、発育阻害の子どもの数を半減させ、低出生体重児を減らすという目標への歩みは非常に遅く、SDG2の栄養関連ターゲットの達成がさらに危うくなっていると述べています。 同時にこれらの課題に加え、過体重と肥満は世界の全地域で増加しており、特に学齢期の子どもと大人に著しいとしています。 いずれの大陸においても、食料不安に陥る可能性は男性よりも女性のほうが高く、ラテンアメリカでその差が最も顕著です。

 「困難を伴う現在の傾向に対処していくために、私たちは大規模で多様なセクター間の連携をより大胆に行っていく必要があります」と国際連合食糧農業機関(FAO)、国際農業開発基金(IFAD)、国連児童基金(UNICEF)、国連世界食糧計画(国連WFP)、世界保健機関(WHO)の各代表は報告書の共同序文で呼びかけています。 飢餓は、経済成長が遅れている多くの国々で増加していて、特に、中所得国と一次産品貿易に大きく依存する国で顕著です。報告書はまた、飢餓人口が増加している多くの国々では所得格差が拡大していて、貧しく脆弱で社会から疎外されている人々にとって、景気の低迷や悪化に対処することが一層困難な状況となっています。

 国連各機関の代表は、「私たちは、貧しい人々に対して包括的な構造変革を実施する必要があります。それは、経済の脆弱性を低減し、飢餓と食料不安、そしてあらゆる形態の栄養不良に終止符を打つための軌道から外れないよう、人々に焦点をあて、コミュニティを中心に据えたものであるべきです」と述べました。

*アフリカとアジアで遅れる進展

 状況がもっとも厳しいのはアフリカであり、飢餓蔓延率が世界で最も高いです。また、アフリカのどの地域でも飢餓蔓延率がゆっくりと着実に上昇しています。特に東アフリカでは、人口の3分の1に近い人々(30.8%)が栄養不足に苦しんでいます。気候や紛争といった要因に加えて、経済の低迷と景気の悪化が飢餓の増加を助長しています。2011年以降、経済の低迷や停滞によって飢餓が増加している国のうち、半数近くがアフリカ諸国です。

 飢餓人口の最も多い地域はアジア(5億万人以上)、その多くが南アジア諸国に住んでいます。あらゆる形態の栄養不良について、アフリカとアジアの両地域が絶対的な割合を占めており、世界の発育阻害の子ども10人中9人が、消耗症の子ども10人中9人がこの二つの地域に集中しています。南アジアとサハラ以南のアフリカ地域では3人に1人の子どもが発育阻害です。 発育阻害と消耗症の問題に加え、アジアとアフリカは、世界の子どもの肥満人口の75%近くが住んでいる地域でもあります。この原因は、主に不健康な食生活によるものです。

*飢餓を超え

 今年の報告書は新しい指標を導入し、食料不安を複数の要因の重大度によって測定て、中程度および深刻な食料不安の蔓延に関するSDG2の進展をモニタリングしています。この指標は、過去12ヶ月の食料へのアクセスについて直接人々から集めたデータに基づき、「食料不安の体験の尺度(Food Insecurity Experience Scale: FIES)」を用いています。中程度の食料不安を体験している人々は、食料を入手出来る可能性の不確実性に直面しており、摂取する食料の質や量の妥協を強いられています。 同報告書は、20億人以上の人々(大半が低・中所得国に住んでいる)が、安全で栄養のある十分な量の食料への定期的なアクセスが出来ないと推定しています。しかし、食料へのアクセスは高所得国においても問題となっており、北米と欧州に暮らす人々の8%が、安全で栄養のある十分な量の食料への定期的なアクセスが出来ません。 増加し続ける世界人口に対し、持続可能な生産によって健康的な食料を提供するため、フードシステムの大きな変革が求められています。

*主要な数

 2018年の*世界の飢餓人口:8億2160万人(9人に1人)- アジア:5億1390万人- アフリカ:2億5610万人- ラテンアメリカ・カリブ海地域:4250万人 *中程度および深刻な食料不安の人口:20億人(26.4%)*低出生体重児:2050万人(7人に1人)*発育阻害(低身長)の5歳未満児:1億4890万人(21.9%)*消耗症(低体重)の5歳未満児:4950万人(7.3%)*過体重の5歳未満児:4000万人(5.9%)*過体重の学齢期の子ども・若者:3億3800万人*大人の肥満:6億7200万人(13%、大人の8人に1人)

 この報告書は、飢餓の撲滅、食料安全保障の促進、あらゆる形態の栄養不良の根絶を目指している「持続可能な開発目標 (SDGs)」のゴール2、ゼロハンガーへの進捗状況を確認するものでもあります。  2017年版の報告書は、飢餓増加の3つの主要因として紛争、気候、経済停滞を指摘しました。今回出された2018年版の報告書は、食料安全保障と栄養における経済停滞と景気悪化の役割に焦点を当てています。 栄養不足の蔓延率については、以前の報告書との比較は避けるように願います。なぜなら、毎年の報告書発行に際し、遡及修正も含め、データ全体一式が見直され、修正されているからです。このような方法により最新の報告書では、前回の報告書発出以降に入手された新たな情報が反映されています。

 報告書概要はこちらから(英語) http://www.fao.org/state-of-food-security-nutrition/en/  

 

世界の飢餓と戦うために連帯と善意が必要、とバチカン訴え

(2019.7.17 Vatican-news Robin Gomes

 世界の飢餓人口が2018年に推計8億2000万人に上ったとの国連報告が発表されたのを受けて、バチカンのフェルナンド・チカ・アレラノFAO担当大使がコメントを発表。「人類は、最も貧しい兄弟たちへに義務を十分果たしていない… 飢餓は増え続けており、その数字は極めて危機的だ」と訴えた。

 また、発表された数字は、飢餓の酷さだけでなく、一方で肥満が問題になっていることを示している、とし、世界の成人の6億7200万人、全成人の8人に1人が肥満になっており、栄養不足で苦しむ人が増える一方で、”栄養過多”が増えている問題を指摘。

 こうした現状を変えていくために、国際社会はなすべきことがまだ多くあるにもかかわらず、紛争、経済危機、気候変動などを含む人為的な原因解消に取り組む意思が欠如している、と批判した。

 さらに、大使は、教皇フランシスコがかねて言われているように、世界の飢餓解消のために一人一人の取り組みが求められており、「まず第一に食料を無駄にしないこと、そして、福音書のサマリア人のたとえ話に出てくるラビやレビ人のように、助けを必要としている人々を前に目を閉じ、飢えに苦しむ声を聴こうとせずに、通り過ぎないこと… 小教区、NGO、その他の場で積極的に取り組みがされているが、もっとできることがある」と述べた。

 また大使は、教皇が先月にバチカンでのFAOの会議出席者たちとの会見で「飢餓は、一人の苦しみが皆の苦しみであるがゆえに、どの人にも関わる問題です」と言われたこと、また、世界には食料が過剰な国とアフリカのように不足している国がある現状を踏まえて、水の活用、食料の生産と公正な配分を訴えられたことを取り上げ、「こうした不平等は、本当に残酷なことです」と語った。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

 

2019年7月18日

・日仏独など22ヵ国が国連人権理事会 に新疆ウイグルでの残虐行為非難の書簡提出、伊、韓など不参加(Bitter Winter)

 国連で22ヵ国が中国共産党の”教育による改心”の強制収容所を非難する書簡に署名したが、37ヵ国が人権での中国の「偉業」を称賛。

   今週、”教育による改心”のための強制収容所 で行われている残虐な行為を世界に知らしめる上で、非常に重要な戦いの一つが行われた。中国共産党 は300万人の ウイグル族 や カザフ族 などの少数民族のムスリムを 中国の新疆ウイグル自治区 のこの施設に勾留している。

    7月15日、日仏独など22ヵ国が、大規模な勾留と収容施設で行われている残虐な行為を非難する書簡を、共同でジュネーブの 国連人権理事会 に提出した。

 署名した国々は公表されており、 「アイスランド、アイルランド、イギリス、エストニア、オーストラリア、オーストリア、オランダ、カナダ、スイス、スウェーデン、スペイン、デンマーク、ドイツ、ニュージーランド、ノルウェー、フィンランド、フランス、ベルギー、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、日本」。米国は別の理由で人権理事会を退場していたため、署名には加わらなかった。

 Bitter Winterは、これらの勇敢な国々を称賛しているが、一部の声明とは反対に、一帯一路構想への参加には政治的な代償が伴うことを理解している。一帯一路に参加しているイタリアとギリシャは、この書簡に署名した従来のEUの提携国と足並みを合わせなかった。スイスは最近一帯一路に参加したものの、人権に対して強い姿勢で臨む伝統が勝り、見事に署名した。韓国の不在も目立った。同国は宗教への弾圧から逃げ出した大勢の中国人の難民を抱えている。また、外交関係の情報筋によると、トルコが弾圧のウイグル族の犠牲者を支持することを期待していたが、中国は同国のエルドアン政権との関係改善に力を入れているようだ。

 7月12日、合計37ヵ国の人権を著しく侵害する国々、そして、中国と友好的な関係を育む国々及び中国と取引する国々が、人権に関する実在しない中国の所謂「偉業」を称え、ウイグル族やその他のムスリムを収容施設に勾留する行為は「分離主義」と「テロ」と戦う上で必要であったと指摘する、恥ずべき、不適切な書簡を同じく人権理事会に提出した。これらの国々は、この書簡に署名することで、恥ずべき国々としてこの先何年も記憶されることになると恐らく理解しているだろう。

 中国の情報源は署名した国々を全て公開しているわけではないが、「ロシア、パキスタン、サウジアラビア、エジプト、キューバ、アルジェリア、アラブ首長国連邦、カタール、ナイジェリア、アンゴラ、トーゴ、タジキスタン、フィリピン、ベラルーシ及びその他の複数の国々」が署名したとしている。名前が公表されなかった国は非公表を要請した可能性が高い。Bitter Winterは「ジンバブエ、オマーン、ベネズエラ、シリア、ミャンマー」も署名したことを確認している。

 今週の出来事から3つの重要な政治的な考察を得ることができる。

 まず、中国とロシアを筆頭に、北朝鮮、シリア、そして、ベネズエラを含む、罰を受けることなく人権の侵害を試みる恥ずべき枢軸国が存在する。著しく人権を侵害しているムスリムが大半を占める国々はこの枢軸に参加しており、中国で弾圧にさらされている仲間のムスリムを保護することよりも、自らの人権侵害の罪を免れることを重視している。甚大な人権侵害に対して国際社会から厳しく批判されているミャンマー、ベラルーシ、フィリピン等の国々にも同じことが言える。

 第二に、一帯一路及び経済的な提携(中国を非難する書簡に署名しなかった国の一つであるポルトガルは通称「パンダ債」を人民元建てで発行している。イタリアも先週同じ取り組みを開始した)は、事実上、本来人権を支持する国々を委縮させ、中国共産党の残虐な行為を非難することを回避させた。

 第三に、市民社会、NGO、そして、Bitter Winterをはじめとするメディアの存在は、中国共産党の虚偽報道を今でも非難することに前向きな国家の政府を支援する上で際立って重要である。Bitter Winterは、写真と独占映像を介して「教育による改心」のための強制収容所が「職業訓練校」ではなく、刑務所であると証明する上で極めて重要な役割を果たしている。このような支援がなければ、恥ずべき国々は勝利する可能性がある。

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日8言語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

2019年7月15日

・「ベネズエラで人権が危機に瀕している」-ラテンアメリカ司教団、現政権の退陣求める

(2019.7.13 Vatican News Devin Watkins)

Venezuelans shout pro-opposition slogans in CaracasVenezuelans shout pro-opposition slogans in Caracas 

 書簡は「ベネズエラ国民は、複雑で激烈な政治、経済、社会状況に直面し、民主主義、人権、そして(注:キリスト教精神に基づく)環境保護が危機に瀕している」として、同国と国民が危機的状況に置かれていることを強調。ベネズエラ国民と教会に対して、強い連帯と支持を表明するとともに、「正当性を欠き、過った」政権という表現で、事実上、マドゥロ現政権の退陣を求めた。

 国連がこのほど発表したところによると、ベネズエラの保安部隊は、2018年1月からこれまでに、すくなくとも6800人の国民を殺害した。医療保険制度は悲惨な状態にあり、食物を得る権利も侵害されている。経済全体も今年だけで前年対比で25%も縮小しており、国民は予期しない食料不足や極度のインフレに直面している。

 ラテンアメリカ司教協議会は、カトリックの人権保護・支援団体の地域組織であるカリタス・ベネズエラに緊急食糧援助の支援を求めた。そしてベネズエラ全国民に、正義、自由と連帯の下に、調和ある平和的な共存の道を選ぶよう訴え、「政治は基本的な倫理原則に従わねばならず、人間の尊厳への侵害は神ご自身への侵害だ。そうした考えで、私たちはベネズエラの司教団と一致している」と言明した。

 そして、書簡の最後に、カブレヨス大司教は、ベネズエラの国民と教会に対する支援を確認し、ベネズエラの守護、コロモトの聖母が仲介してくださるように祈った。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

 

2019年7月14日

・15日から「信教の自由」国際会議―米国の担当大使が「バチカン・中国暫定合意」公表を要求(Crux)

(2019.7.12 Crux Senior Correspodent Elise Hrris)

 ローマ発-米国の信教の自由担当特任大使のサム・ブラウンバック氏は12日の電話による記者会見で、昨年9月にバチカンと中国の間でなされた中国国内での司教任命に関する暫定合意について言及。合意内容を評価するためにも公表される必要がある、と述べた。

 大使はインタビューで「暫定合意が公表されることは皆のためだ、と考える。公表すれば、その内容を評価し、白日の下にさらし、限界を知ることができる」と語った。暫定合意は、中国当局と教皇の双方に司教指名に対して発言権を認めたもの、とされているが、その内容の詳細は10か月を経た今も公表されておらず、各方面から批判されている。

 大使は3月に香港を訪問した際、この暫定合意について、「チベット仏教や他のキリスト教諸派を含めた他の宗教団体、信徒に対する政府関与の悪例となるものだ」と批判していた。今回、Cruxの質問に答えた大使は「中国国内での宗教迫害が、暫定合意でひどくなったとは言えない」ものの、「中国共産党が2017年に宗教活動規制の権限を手にして以来、国内のあらゆる宗教に対する攻撃が激しくなっている」と指摘。暫定合意が「事態を悪化させたかどうかは分からないが、内容を公表するのが正しいやり方だ、と信じている」と述べた。

 米政府が主宰する信教の自由に関する第二回国際会議が15日から18日にかけてワシントンで開かれるが、中国政府がこの会議に招かれていない。これについて、大使は「我々は、信教の自由について同じ考え方を持つ、あるいは自国内で信教の自由をさらに進めることに意欲を持つ国を招いている」と説明。「残念ながら、中国のこの分野での成績は思わしくない」とし、具体例として、民族的、宗教的少数者が多く住む新彊ウイグル自治区でのチベット仏教徒への迫害など数々の人権侵害、教皇に忠誠を誓い中国当局への登録を拒否している、いわゆるカトリックの”地下教会”を含めたキリスト教徒たちへの迫害、などをあげた。

 このような理由から中国政府は会議に招かれず、同様の理由でイランと北朝鮮も招請国のリストから外された、という。イランについては「宗教的な迫害や脅迫が行われている世界最悪の国の一つ」であり、「宗教的な自由を認める国となることに何の関心も持っていない」と批判し、そのような国になろうと努力することを希望しているが、「今のところ、そのような兆候は見られない」と言明した。

 昨年の第一回会合は、世界的な宗教迫害の激化を受けて、信教の自由に関する過去最大規模の会合となった。第二回の今回は、前半の二日間は世界の宗教指導者たちと市民活動家が信教の自由に関する現在の世界の状況について意見を交換し、後半の二日間は招待された世界115か国の政府代表が、今後、信教の自由に関してどのように行動していくべきかについて話し合う予定だ。

 今回会合には、さまざまな宗教から実際に迫害を受けた人々も20人以上が議論に参加するが、米サンディエゴで今年4月27日に発生した虐殺事件の当事者であるユダヤ教のラビや、スリランカでイースター当日に発生した連続爆破テロの犠牲者たちと仕事をしていたキリスト教徒、ニュージーランドのクライストチャーチで3月15日にモスクで襲撃を受けたイスラム教徒も出席する。また、2014年8月にイラクでヤズィーディー教徒スィンジャールの虐殺事件で、自身も拉致、監禁、強姦され他悲惨な経験を持つヤズィーディー教徒人権活動家ナディア・ムラド女史や、2016年にトルコで逮捕、監禁された米国の福音派教会のアンドリュー・ブランソン牧師も出席を予定している。

 今回の会合は、15日からワシントンの米国務省で閣僚級会合が行われるが、ホロコースト博物館で被害者との会合があり、最終日の18日はアフリカ系アメリカ人博物館で大規模な閉幕レセプションが開かれることになっている。また、若者による討議の場や活動団体が主宰する関連の集会も予定され、参加者が多数に上ると予測されることから、ジョージ・ワシントン大学に第二会場を設ける。

 ブラウンバック大使は「我々の努力が、活発な動きの刺激剤になっているようだ。信教の自由をめぐる地球的な、草の根運動が実現し、様々な宗教を信じる人たちが、ある地域で多数派でも他の地域では少数派である人たちが、互いの信教の自由のために連帯して立ち上がることを期待している」と語る一方、会議の狙いについて「”共通の神学”に到達することではないし、議題にも入っていない。目的とするのは『共通の人権』の確保に向けて働くこと。人権は、自分たちの信仰を安心して、恐れることなく実践するために、一人一人に与えられているものだからだ」と強調した。

 また閣僚会合に対して大使は、世界の地域と特定の文脈の中で信仰の自由の実態を評価する”円卓会議”が設けられることを希望しており、「少数派が傷つけられないようなテキストの再版のような具体的な措置もとられるだろう」と述べた。

 参加各国が来年に向けて計画する具体的な活動については、最終日の18日に発表される予定だが、大使は、今回の会合が、近年、世界中で発生し、増加している迫害に対する「重要な外交的イニシアチブ」を発揮することを期待し、「現在のこうした事態に対抗し、流れを逆にする運動を始めるようにしたい。地球的な、草の根運動を開始することを心から希望している」と強調した。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2019年7月13日

・バチカン、性的暴行容疑の駐仏大使の外交特権を放棄(VaticanNews)

(2019.7.8  Vatican News)

 バチカン広報局のアレッサンドロ・ジソッティ暫定局長は8日、神学生たちへの性的暴行容疑でフランス捜査当局の調べを受けている駐仏大使、ルイジ・ベンツーラ大司教に与えられている外交特権を放棄した、と発表した。バチカンも加盟している外交関係に関するウィーン条約には、「接受国の刑事裁判権からの免除」の放棄についての条項があり、今回の措置は、この条項に基づくものだ。

 ジソッティ暫定局長は声明で、外交特権の放棄は「この問題が起きた当初から表明されていた、同案件に責任を持つフランス司法当局に完全かつ自発的に協力する、との当該教皇大使の意志を確認する例外的な態度表明だ」と説明。

 声明は、聖座が「ベンツーラ大司教が自由意思で参加」する司法手続きの準備の段階が終了するのを待って、今回の判断を下し、具体的には、6月末に同段階の終了の通知を受け、先週、フランス当局に外交特権を放棄する決定を伝えた、としている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

2019年7月9日

・駐仏バチカン大使の大司教も不適切行為で告訴へ(La Croix)

(2019.7.5 LA CROIX international  Rome Vatican City Nicolas Senèze)

    二人の男性がこのほど、バチカンの裁判機関に、駐仏バチカン大使のルイジ・ベントゥーラ大司教から性的暴行を受けたとして告訴する意思を固めた。原告の一人は、バリ市役所職員のマシュー・デ・ラ・スセール氏で、今年1月の新年行事の場で、大司教から繰り返し不適切な行為を受けたという。この問題はすでにパリ市長に報告され、大司教はパリ市役所の行事すべてへの参加を禁じられた。

 教皇庁立グレゴリアン大学の児童保護センター所長のハンス・ゾルネル師は7月3日に被害者と会見した。これについて、デ・ラ・スセール氏は La Croixに「とても丁寧に対応してくれました… 『自分は児童に対する性的虐待を主として扱っているが、今回起きたことを軽視したくない』と言ってくれた」と語った。

 一方、バチカンでは、フランス国内におけると同様、教会の幹部たちの多くが、これは大使に対するパリ市役所の陰謀だ、と受け止めているものの、大使の弁護担当者たちは本人と話をする機会を得ていない。

 原告者の中には、神学生で、(注:夏の休暇明けの)9月に戻ってこないように神学校側から言われた者もいるが、大使が問題を起こしたフランス人神学生は彼一人ではないようだ。デ・ラ・スセール氏によると「大使が神学校を訪問しようとする時、自分の秘書に何人かの神学生の電話番号を調べておくように言い、後で彼らを大使館に呼んでいました。彼らの一人は大使の感情を損ねないように、と注意を受けていた」という。

 アントワネット・フレティ弁護士は、これは地位の乱用と見なされる、と語る。「襲われたのが男性だというだけで、このような行為が軽視されることにはなりません… 一連の行為は、必ずしも若者とは限らない年齢の違う被害者に対する計画的なものですが、彼らの置かれた状況によって、傷つけられたり、ショックを受けたことにかわりはない」としている。

 これまでに得た情報によると、原告はこれまで6人に上っているが、他にも同様の案件が、(バチカン外交官の活動を監督する)バチカンの国務省にもたらされており、フランス東部のある司教はベントゥーラ大使から被害を受けている、と言われている。

 最高位の外交官の一人が関係した問題発生に対して、当惑したバチカンは、2016年に大使が受けた脳の手術が影響したもの、と弁明していた。だが、「大使はフランスに駐在する以前、2001年から2009年にカナダで勤務していた時にも不適切な行為をしていた」というデ・ラ・スセール氏の証言で、この主張は崩れている。氏は「私はチリのジャーナリストとも連絡を取っています。大使は1999年から2001年にチリにいました。そこでも同様なことをしていたことが明らかになるでしょう」と述べた。

 バチカンは、フランスでの捜査の結論が出るまで、対応を待つ姿勢を続けている。大使は外交特権を持っているので法廷に立つことはできないし、バチカンは、先例を作らないように、外交特権を手放すことはしない。

 告訴手続きが進まないことにいら立ちを強めるデ・ラ・スセール氏らゾルネル師と会見した被害者は、バチカンの司法制度に目を向けることを決めたが、「フランスでは被害者が公判にかかわり、法廷で被害者の主張が認められるが、バチカンの法廷では、それと同じように被害者の権利を主張できるのでしょうか?」と疑問を投げかけている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

LA CROIX internationa is the premier online Catholic daily providing unique quality content about topics that matter in the world such as politics, society, religion, culture, education and ethics. for post-Vatican II Catholics and those who are passionate about how the living Christian tradition engages, shapes and makes sense of the burning issues of the day in our rapidly changing world. Inspired by the reforming vision of the Second Vatican Council, LCI offers news, commentary and analysis on the Church in the World and the world of the Church. LA CROIX is Europe’s pre-eminent Catholic daily providing quality journalism on world events, politics, science, culture, technology, economy and much more. La CROIX which first appeared as a daily newspaper in 1883 is a highly respected and world leading, independent Catholic daily.

 

 

 

2019年7月7日

・仏で司祭が性的虐待で有罪。監督の枢機卿は執行猶予判決に不服で控訴中(VaticanNews)

(2019.7.4 VaticanNews Cyprien Viet)

 1970年代から80年代にかけて数十人の思春期の子供たちに性的虐待を働いたとして、リヨンの司祭がフランスの教会裁判所から4日、有罪判決を受け、司祭の資格をはく奪された。また、この事実を知っていながら同司祭について適切な措置を取るのを怠ったとして、管轄の教区長だった枢機卿はすでに、リヨン地方裁判所で執行猶予付きの有罪判決を受けている。仏司法当局による同司祭の裁判の日程は今後明らかにされる見通し。

 教会裁判所で有罪判決を受けたのは、ベルナール・プレイナ神父。現在73歳の同神父はフランスのリヨン郊外で、彼を信頼しているボーイ・スカウトの複数の隊員に性的虐待をしたとして訴えられていた。この事件に関連して、リヨン大司教のフィリップ・バルバラン枢機卿も、管轄の大司教区で起きた同神父のスカウト隊員に対する虐待の申し立てを受けたにもかかわらず関係部署に報告を怠ったとして、リヨンの裁判所から執行猶予の判決を受けていた。虐待が行われていた当時、バルバラン枢機卿はリヨン大司教区のトップではなかったが、プレイナ神父の小教区での地位を2015年まで、そのままにしていたことが、問題とされた。

  フランスの司教協議会は4日、声明を発表し、刑事訴訟を担当する同国の教会合議制裁判所の判断は、ベルナール・プレイナ神父が「16歳以下の未成年に対して性的な犯罪行為を犯したことを、有罪と認める」だった、と述べた。

 プレイナは、1970年代から20年にわたって、サント・フォワ・レ・リヨンのボーイ・スカウト団の責任者を務めていた。この団は主要なスカウトの活動と直接関係をもたなかったため、監査の対象とされておらず、10数年以上経ってから、同国の人権団体「ラ・パロル・リベレ」が、この性的虐待の被害者は何十人にも上ると発表して、問題が表面化した。原告の被害者側が補償を求めていることから、バルバラン枢機卿は時効の放棄を申し出、司法手続きは2018年8月6日の公判開始をもって始まっていた。

 司教協議会の声明は「(注:性的虐待の)諸事実およびそれが繰り返しなされたこと、きわめて多くの被害者を出したこと、プレイナが自ら創設、指導を続けてきたスカウト団において、指導者および担当司祭としての権力を乱用したこと-に鑑み、法廷は、教会法に基づき、最も重い懲罰-司祭の資格はく奪-を課することを決めた」と判決理由について説明した。

 プレイナには、判決の効力が発生して一か月以内にバチカンの教理省の法廷に控訴することができる。また、教会裁判所は、今後、被害者から求められている金銭補償について検討する予定。

 一方、バルバラン枢機卿は3月に、リヨンの地方裁判所から、プレイナの問題行為について多くの報告を受けていたにもかかわらず、担当の小教区から外すことを怠ったとして、6か月の執行猶予付き有罪判決を受けていた。枢機卿は判決を不服として控訴しており、控訴審は11月28日から始まる予定。また、リヨン大司教区は、ミシェル・デュボス司教が管理者として教区長の職務を代行するが、バルバラン枢機卿はリヨンの名義大司教にとどまる。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2019年7月5日

*アフリカの子供たちの45%が飢餓で死亡、早急な対策実施を-国際NGOが訴え

(2019.6.22 Crux Staff )

ヤウンデ(カメルーン)発ー 国際NGOのAfrican Child Policy Forum(ACPF・アフリカ子供政策フォーラム)は、このほど発表したアフリカの子供たちの食糧事情に関する報告で、アフリカの子供たちの45%が飢餓によって死亡しており、さらなる状況の悪化が危惧されている、と警告。「飢餓は子供たちの健康を害し、学ぶ意欲を奪い、社会に出ても、健康な同年代の子供たちと同等の収入を得ることが困難になる」として、各国政府など関係者に具体的対応を訴えた。

 報告によると、最近のアフリカ大陸の経済成長にもかかわらず、約6000万人の子供たちに十分な食料が与えられずにいる。 アッセファ・ベケレACPF常任理事は「これには、『政治的な無関心』『無責任なガバナンス』『経済的管理の不備』が密接に関係している。現状は全く改善されていない。調査結果は、子供たちの飢餓は、『極度の貧困』『経済成長の不均衡』『性差別』『破壊された食糧システム』によるもの、と明確に結論付けています。アフリカは従来以上に食糧生産をしていますが、事態は改善されていません」と述べた。

 報告では国名を明記していないが、マラウイの子供たちの栄養状態は非常に悪く、子供たちの死因の半分が飢餓。ザンビアでは子供の40%が発育不全で苦しんでいる、という。両国で活動しているカトリックの国際支援組織、カリタスの関係者たちは、こうした現状を「『貧しい人の問題』ということで、無視され黙認され、悲劇が続いているのです… 21世紀の今日、アフリカで今なおこどもたちが飢餓に直面している。その状況は悪化しています」とCruxに訴えている。

 カリタス・マラウイのマーシー・チランボ 氏は「報告は、飢餓と政策課題と政治との関連を示している…飢餓は劣悪な公衆衛生にも関係があります」と語り、「妊娠中あるいは育児中の母親が十分な支援を得られないことは、特に彼女たちの多くが住む地方で重要な問題です。食物の栄養に関する正しい知識の不足、穀物生産の多様化が進まないことが、問題を悪化させています」と指摘。「栄養不良は、最後発途上国、後発途上国の地方の子供たちに偏在しています」と話した。

 カリタス・ザンビアのムサンバ・ムバンガ氏は「子供の栄養不良は、主に特に地方の家庭への食糧供給が不安定なことに原因があります」「大部分の家庭が一日一食で、しかも食事の内容は貧弱」と指摘し、「ザンビアでは、栄養的に偏りのない食事をどうやって実現するかが、大きな課題です。子供たちは栄養的にバランスの取れた食事をしていません。乳幼児と児童の食料ガイドラインによると、生後6か月から23か月の幼児でバランスの取れた食事をしているのは全体の二割、に過ぎず、「女性と幼児、特に授乳期の乳児に対する対応が不十分」だという。また、慢性栄養不良が続く主な原因は「きれいな水が手に入らないこと」にもある、と説明した。

 今回の報告は「紛争地帯と気候変動に関連した問題が、アフリカの飢餓の危機の核心になっている」ことも指摘している。アフリカの5歳以下の栄養不良の子供たちの75%が「紛争で荒廃した地帯」に住み、子供の栄養不良の割合は「紛争が長期化している地域が、そうでない地域の2、3倍」に上っているとし、2年前にエチオピアで800万人、マラウイで500万人、ジンバブエで400万人、ケニアで300万人が深刻な食糧危機に見舞われたが、その原因は「危機的な気候変動に関係する問題」にある、としている。

 チランボ氏は「アフリカに、さらなる貧困削減と女性支援の政策を導入する必要」があり、単に政策を立てるだけではなく、実行しなければならない。大部分の国で、政策は良くても、なかなか実行されないところに問題があります」と言った。そして、こうした問題を克服するため、カリタス・マラウイは「農業に焦点をあて、地方の家庭が十分な食料を確保できるように、現地の共同体で継続可能な農業多角化を進める支援プロジェクトを実施しています」と説明。

 「家族が自分たちの収穫では足りない食料を市場を通して補うことが確実にできるように、『農村貯蓄・融資』制度も含めた支援を実施。栄養不良を無くすために、栄養のバランスの取れた食事をどのようにしたら作ることができるか、多くの人に知ってもらおうと、男女を対象とした料理の講習にも取り組んできました」と、多様な対応を、関係者たちが見習うよう求めている。

(翻訳「カトリック・あい」田中典子)

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2019年6月24日