・ドイツのカトリック信者数が昨年一年で過去最大、52万人も減少―背景に性的虐待による信頼危機

(2023.6.30 カトリック・あい)

  ドイツ司教協議会(DBK)が6月28日発表した年次統計によると、2022年一年で同国の52万2821人のカトリック信者が教会に背を向けた。これは2021年の35万9338人を大きく上回り、過去最大の教会離れを記録したことになる。

 背景には、聖職者による性的虐待とそれを隠ぺいしようとする高位聖職者の対応による教会に対する信頼の危機があるとされており、ゲオルグ・ベツィングDBK会長は、この数字を深刻に受け止めるとともに、カトリック信者に対し、落胆することなく、被害者対策や教会改革に努めるよう呼びかけた。

 カトリック教会の信者数は、キリスト教各派の中で最大の2090万人に上るが、2010年にドイツで聖職者の性的虐待危機が深刻化して以来、10年余りの間に約370万人が教会を去っている。聖職者による未成年者性的虐待の被害者は1946年から2014年までに3677人に上るとの調査結果があるが、すべての聖職者にアクセスできていないことから、実際の被害者数はさらに多いと見られている。

 DBKはこの問題について公式に謝罪した後、被害者に対する補償制度などの整備に取り組んできたが、依然として不十分との声も被害者の間にある。また、ドイツ最大のケルン教区では、大司教のヴェルキ枢機卿が、教区司祭などの性的虐待を隠ぺいしたとして司法当局の調べを受けている。教会に対する信者の信頼回復するための教会改革も、司祭の独身制の再考や女性の教会における役割の引き上げなどは、内部の保守勢力やバチカンから抵抗を受けており思うように進んでおらず、教会離れは止まりそうにない。

(さらなる情報はLa Croix の記事を参照:https://international.la-croix.com/news/religion/more-than-half-a-million-germans-left-the-catholic-church-in-2022/18051)

 

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2023年6月30日