・日本司教団ー11月27日実施の新「ミサの式次第と第一~第四奉献文」など(伴奏譜追加)

(2022.10.13 カトリック中央協議会)

 教皇庁典礼秘跡省は、本年(2021年)5月23日(聖霊降臨の祭日)付で、日本の司教団から提出されていた以下の式文を認証しました(Prot.N.148/14)。

  • 「ミサの式次第と第一~第四奉献文」 「ミサの結びの祝福と会衆のための祈願」「水の祝福と灌水」

 日本司教団はこの認証を受けて、2021年度日本カトリック司教協議会第1回臨時司教総会(7月開催)において、これらの新しい式文によるミサを2022年11月27日(待降節第1主日)から実施することを決定しました。
今後、上記の期日からの実施に向けて、各共同体で準備を進めることになりますが、そのための資料として『新しい「ミサの式次第と第一~第四奉献文」の変更箇所-2022年11月27日(待降節第1主日)からの実施に向けて』が発行されました。この冊子には、改訂作業の経緯や基本方針などのほか、認証された式文の全文とおもな改訂箇所の解説が掲載されています。今後予定されている各教区における新しい式文の説明会や各共同体での勉強会などの機会にもご活用ください。(※情報を随時追加いたします。)

各共同体での準備のために

新しい「ミサの式次第と第一~第四奉献文」の変更箇所――2022年11月27日(待降節第1主日)からの実施に向けて

新しい「ミサの賛歌(ミサ曲)」の楽譜と音源について

以下は、11月27日(待降節第一主日)から新しい「ミサの式次第と奉献文」の実施に向けて、日本カトリック典礼委員会が準備した「ミサの賛歌(ミサ曲)」の楽譜と音源です。練習のために楽譜をコピー、印刷してお使いください。
また、「ミサの式次第」の楽譜も準備が整いしだい掲載します。




2022年10月24日

・「多くの司祭は『司教たちが自分を支持してくれる』とは信じていない」全米の調査結果(Crux)

Survey shows many priests don’t trust bishops to support them

Brandon Vaidyanathan, associate professor and chair in the department of sociology at The Catholic University of America in Washington, speaks at the university Oct. 19, 2022, during a presentation on the findings of a national study of Catholic priests. At right is Stephen White, executive director of The Catholic Project at the university. (Credit: Bob Roller/CNS.)

 

(2022.10.20 Crux  National CorrespondentJohn Lavenburg)

 ニューヨーク発 – 全米カトリック司教協議会が設立し、ワシントンにキャンパスを置く「カトリック大学アメリカ」が20日、性的虐待問題の暗雲が続く全米の司祭を対象にした調査報告書を発表した。

 「危機の時代における福利、信頼、および政策: カトリック司祭の全国調査」と題するこの報告書によると、米国の司祭の大多数が「ダラス憲章と聖職者の性的虐待の危機に対する制度的対応を支持する一方で、自分たちが誤って告発されることを恐れており、そうした場合、司教が彼らを支持してくれるが確信が持てない」と回答。

*司祭の士気は高いが、司教への信頼は高くない

 そして「米国の司祭たちの士気は高いものの、司教に対する全体的な信頼は高くなく、特に若い司祭はある種の”燃え尽き症候群”を経験している」と報告書は指摘している。

 報告書をまとめた同大学のカトリック ・プロジェクト事務局長、スティーブン ホワイト氏は「今から5年後に同じ調査を行った場合、状況が異なっていることを期待している。聖職者は自分の召命に満足いるが、『不安を和らげてもらいたい。支えられていると感じさせててもらいたい』と願っている。司教たちも、それを望んでいることは分かるが(うまく表現できていない)、このデータが役立つことを願う」と述べた。 今回の調査はまず、全米の191 の教区の 1万人のカトリック司祭に調査票を送る形で行われ、36% の3516 人から回答を得、さらに回答のあった司祭100人以上の司祭に面接調査を行った。また、全米の司教すべてに対しても調査票を送ったが、回答者は131人だった。

*回答司祭の45%が”燃え尽き症候群”を経験、特に若い司祭に多い

 

調査ではまず、ハーバード大学が作成したFlourishing Indexを使って、司教と司祭の幸福度を測定。司祭の 77% と司教の 81% が「生き生きと活動している」と分類された。だが、一方で、司祭の 45% が、聖職者としての務めに”燃え尽き症候群”を発症していると判断され、回答者の 9 パーセントが重度の燃え尽き症候群となっている。また、若い司祭は、何らかの形で燃え尽き症候群を経験する可能性が高いことも判明した。

「若い司祭の燃え尽き症候群の原因をよりよく理解することは、司祭養成と聖職者の定着の在り方を改善するために重要である」と報告書は指摘している。

また、司祭の司教に対する信頼感については、司祭の 49% が「自分の司教を信頼している」と答えたものの、「全米の司教全体のリーダーシップと意思決定を信頼している」と答えた司祭は3516人の回答者のうちわずか 24 人。さらに、司祭たちは、さまざまな社会的支援において司教を最下位にランク付けし、「上司の司教が、個人的な問題への対応の力になってくれる」とした司祭は36%にとどまった。

*性的虐待で誤って訴えられるのを恐れる司祭が8割

報告書に引用された匿名の司祭は、「自分の上司の司教は『自分のお尻を隠したいだけ。司祭のことはあまり気にしない管理者だ」と辛らつに批判している。報告書は「司教に対する司祭の不信感の少なくとも一部は、聖職者による性的虐待がもたらした教会の危機に対処すべく作成された対策の実施に関する経験から来ている」と指摘している。

 また報告書では、司祭の 90% は「教区が子供の安全と保護の強い文化を持っている」と考えているが、 40% は「性的虐待には例外なく厳しい措置を取る」という教皇の方針は厳しすぎる、と考えている。また司祭の 82% が「性的虐待で誤って告発されることを恐れている」と回答した。

 さらに「性的虐待の訴えが出された場合、自分たちを弁護するために、教区から十分な人的、物的支援がが提供される」と信じる教区司祭は 36% にとどまる一方、司祭全体の51% は、「訴えが出された場合、司教が自分たちを支援してくれると信じている」と述べた。

 これについて、匿名を条件の語ったある司祭は、「私たちには、まず、司教たちが後ろ盾になってくれていない、と「いう一般的な感覚がある… 司教たちは、司祭を支えるという司教としてしなければならないことをするのではなく、告発された司祭の後ろを向く、という感覚があります」と語り、また別の司祭は「訴えがされた場合、それを審査する委員会がどのような対応をすることになっているのか、何の情報もない」と述べた。

 

 

*司教は「兄弟、父親」として、司祭との信頼関係改善の必要

 このような結果から、報告書は、司教が司祭との信頼関係を改善するためまずすべきことは、「”雇用主”ではなく、兄弟と父親として」個人的な関係を強化することであり、次に司祭たちが願っているのは、司教たちに「もっと透明性と説明責任を果たす」こと。財務や役割などに関する計画立案と実施決定に関する透明性、および性的虐待の申し立てを受けた司教たちの審査プロセスと適正な手続きの確保に関する透明性を図ることを求めている。

 説明責任に関しては、多くの司祭が一貫した基準を示すよう求めている。面接調査を受けた匿名の司祭は、「司教は、司祭と同じように責任を負わなければなりません… また、カトリックの教えに忠実であるべきですが、悲しいことに、多くの場合そうではありません」と訴えている。

2022年10月21日

(評論)教皇はプーチンを止めるために何ができるのか(LaCroix)

What can Pope Francis do to stop Putin?
(2013 年 11 月 25 日、ロシア大統領がバチカンを訪問中のウラジミール・プーチンと教皇フランシスコ=ROPI/ ZUMA PRESS/ MAXPPP)

(2022.10.4 La Croix  Loup Besmond de Senneville and Marguerite de Lasa | Vatican City)

 ロシアのウクライナ軍事侵略に終止符を打つ教皇フランシスコの取り組みを、二つの視点から見ることができるだろう。 1 つは宗教史家の視点、もう 1 つは政治学者の視点だ。

 教皇は2日の日曜日の正午の祈りに先立つ説教で、「ロシア大統領」に前例のない訴えを行い、ウクライナの 4 つの地域の併合を非難するとともに、世界の指導者たちに、戦争の「狂気」に反対し、「対話のためのイニシアティブ」を取るよう強く求めた。

 では、このような教皇の努力は、この戦争を終わらすために、どのような効果があるのだろうかーバチカンでLaCroix特派員を務めるLoup Besmond de Sennevilleは、ローマ・フレンチ・スクールの近現代研究のディレクター Laura Pettinaroliに聞いた。

 

*「フランシスコは前任の教皇たちと歩調を合わせている」

 2日の教皇の発言は、4代前の教皇ヨハネス23世とある程度一致している。1962年10月のキューバのミサイル危機の際の 口頭での介入だった。この時も、ロシアの前身のソ連が、米国の喉元のキューバに核兵器を持ち込もうとし、ケネディ大統領がフルシチョフ首相がぎりぎりのやり取りをする中で、ヨハネ23世は、恐ろしい戦争を強く警告した。フランシスコも、戦争が「血の川」の「恐怖」をもたらしており、「過ち」であり、「狂気」であり、最も弱い存在である子供たちも巻き込んでいると非難した。

 戦争の暴力に問題は、ベネディクト 15 世 (1914-1922) とピオ 12 世 (1939-1958) の中心的な関心でもあり、戦争に対して、人類の団結と連帯の根本的な地平を想起させることを意図していた。

 さらに、フランシスコは、武力による領土拡張は国際法の原則に反するとして、ロシアの行動を非難したが、これは、1960年代のバチカン外交の、多国間主義と少数者の権利を強力に促進する伝統的な姿勢をもとにしたものだ。

 また、これまで試みられなかった方法も含めて外交ルートを通じての和平実現の努力を、ロシア、ウクライナ両国の大統領と世界の政治指導者たちに求め、必要なら教皇自身が調停役となる意思を改めて暗に示した。ロシアがウクライナ軍事侵攻を始めて以来、バチカンはレオ 13 世 (1878 ~ 1903 年) とベネディクト 15 世が行ったように、このような暗示を繰り返した来たが、1901 年に教皇レオ 13 世によって平和実現のために奉献された「ポンペイのロザリオの聖母」のように、フランシスコの訴えが効果的を挙げるかどうか、判断することは難しい。

 ヨハネ 23 世が行った1962年の訴えは、国際世論を動かし、バチカン、ソ連、ロシア正教会の間の緊張緩和の原動力としての効果をもたらした。ベネディクト 15 世の1917年夏の第一次世界大戦中の平和への訴えは働きかけは、短期間でもあり、効果がなかった、と多くの人が考えているが、彼の提唱した内容は、翌1918 年に ウィルソン米大統領によって、平和実現にに必要な 14 項目に取り上げられました。

*「教皇の外交は他国の外交と同じくらい無力だ」

 同じくLaCroixのMarguerite de Lasaは、パリの国際戦略関係研究所  のFrançois Mabille部長(地政学側面からの宗教研究)から次のような見解を得た。

 2日の正午祈りでの教皇フランシスコの言明には、2 つの本質的な意味がある。カトリック教徒、特にウクライナのカトリック教徒にとって、教皇は、自身を仲介者として名乗りをあげ、初めて、ウラジーミル・プーチンを極めて強く批判する発言をした、と受け止められた。

 この言明は、ロシアがウクライナへの軍事侵攻を開始して以来、プーチンが犯した行為に対する分析の誤りから抜け出すことを可能にし、それによって、この軍事侵攻に関して教皇が示してきたこれまでの姿勢とバランスをとることに貢献している。

 侵攻が始まった2月以降の教皇の姿勢は、ロシア政権の現実と、そのイデオロギー的な支援者としてモスクワ総主教庁が果たす役割についての誤解をもとにしていた。信仰開始時に、教皇は、”侵略者”の名を挙げるのを避けた。

 2日の教皇の言明のこれまでの発言との大きな違いは、国際法に言及し、ロシアによるウクライナの4つの地域の併合を非難したことだ。教皇は歴代教皇の立場に倣って、平和の実現、そのための調停、紛争の終結を求め、ロシアとウクライナの両当事者に直接、訴えた。

 だが、教皇の今回の厳しい発言が、今起きていることそのものに影響を与えるとは思わない。

 教皇は今、仲介者、対話者としての地位を再び確立しているが、政治指導者たちと同じように、これは非常に困難な仕事だ。ロシアがウクライナに侵攻した瞬間から、バチカン外交は国家の外交と同じように無力なもののと、自由が利かなくなった。教皇は、プーチンが核兵器の使用に進む危険性を強調して、対話と平和の実現を再び訴えている。だが、軍事的対応を続ける政治指導者たちから危機脱出のための提案を聞いていない段階で、この訴えの効果はどうなのだろうか。私たちは、この危機的状況の中で、教皇から宗教的あるいは政治的な言葉が発せられるのを期待しているのだろうか?

 教会は「地政学的な立場」を取るべきか、それとも人道的な対応に徹するべきなのか?ロシアのウクライナへの軍事侵攻が始まって以来、教皇は、この二つの間で揺れ動いてきた. ここで、教皇の立場が、彼の個人的な信念から来るものと、パロリン国務長官やイエズス会など他のネットワークからもたらされる意見の間でどのように精緻化されているのかを、理解することは興味深いだろう。

 バチカン国務省の外務局長として外交を担当するギャラガー大司教は、5月に教皇の従来の意見と異なる立場を取り、「ウクライナには一定の範囲内で自衛する権利がある」と言明した。「平和の人」でありたいフランシスコの個人的な信念は、(2日の言明以前の)これまで、バチカン国務省の立場を明らかに損なう言明の基調をなしてきた。国務省の立場は、教皇の言明よりも外交的であり、専門的であり、武器による自衛に関する教会の立場に沿っているにもかかわらず、である。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

LA CROIX international is the premier online Catholic daily providing unique quality content about topics that matter in the world such as politics, society, religion, culture, education and ethics. for post-Vatican II Catholics and those who are passionate about how the living Christian tradition engages, shapes and makes sense of the burning issues of the day in our rapidly changing world. Inspired by the reforming vision of the Second Vatican Council, LCI offers news, commentary and analysis on the Church in the World and the world of the Church. LA CROIX is Europe’s pre-eminent Catholic daily providing quality journalism on world events, politics, science, culture, technology, economy and much more. La CROIX which first appeared as a daily newspaper in 1883 is a highly respected and world leading, independent Catholic daily.

2022年10月5日

・ウクライナ侵略をやめる勇気を示すか、続行で破滅をもたらすかー今や選択肢は二つしかない(VN)

Mourners attend the funeral of a Ukrainian servicemen亡くなったウクライナ兵士たちの葬儀で涙にくれる母や妻、子供たち 

 プーチン政権は、国際的な強い批判に遭っている。「最も近い」と思っていた友好国でさえ、支援の手を実質的に緩めつつある。愚かな侵略戦争を続けようとやっきになればなるほど、国際的な孤立は深まっている。

 今、プーチン政権がすべきことは、侵略戦争に勝つことではなく、早期に終結するために勇気を奮うことだ。

 侵略戦争を始めた当事者は、勝利を手にしなければ、自分の立場が危険にさらされる、と考える。したがって、現在の状況は極めて危険だ。絶望的な状況に追い込まれた者は、絶望的な振る舞いをする恐れがある。そして、核兵器の使用も辞さない、という脅しが、今や公然となされている。

 勇気と絶望の距離は大きい。だが、勇気ある人々が数を増やして団結すれば、歴史を変える可能性がある。歴史は教えているー「不正義が常軌を逸した時に人々は立ち上がる」と。私たちは今、歴史のそうした大きな転換点にいるのだ。

 最大の問題は、プーチン政権が、柔軟に使える選択肢を使い果たしていることだ。選択肢は二つしかない。勇気をもって侵略戦争を終わらすか、それとも続行し(注*核の使用を含む)威嚇を現実のものとすることで、すべてを危険にさらすか、である。後者を選べば、致命的な破局がもたらされるだろう。… 神が私たちをお守りくださいますように。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年9月25日

・4日に列福されるヨハネ・パウロ1世ー”長期政権”の教皇2人に”挟まれ”、死因は封印された‎(Crux)

(9月4日に列福されるヨハネ・パウロ一世教皇、1978年8月26日に新教皇に選出されたが、在位44日で帰天した)ソース画像を表示

(2022.9.1 Crux/ Associated Press  Frances D’Emilio)

ローマ — 1978 年 9 月 29 日の早朝、ローマのアパートにいたステファニア・ファラスカは突然の電話の音に目を覚ました。受話器を取った父親の耳に、バチカンで司祭として働いていた叔父の声が響いたー「教皇が亡くなられた」。それを聞いた父がうろたえて言ったー「亡くなってしまった!」。当時15歳だった彼女は、今でもその瞬間をはっきり覚えている、という。

 世界中の数え切れないほどの人々がそうしたように、ファラスカの父親が、65歳の新教皇が就任からわずか1か月余りで、なぜ亡くならねばならなかったのか、理解に苦しみながら、まず頭に浮かべたのは、その年の 8月上旬に80歳で亡くなった教皇パウロ 6 世のことだった。アルビノ・ルチアーニとして生まれたヨハネ・ パウロ 1 世は、その人生よりも、謎に包まれた突然の死について、世界中の多くの関係者に記憶されている。

 

*”前後の二人の教皇”はすぐに列聖されたが…

(写真は、ヨハネ・パウロ1世の自筆のメモ)

Relic of JPI

 カトリックのジャーナリストとなったファラスカは、この10年以上にわたって、ヨハネ・ パウロ 1 世の突然の死をめぐる問題ではなく、彼の司祭、司教、枢機卿、そして教皇としての生き方が列聖に値することを、バチカンに納得させるのに苦労してきた。そして、年間第23主日の4日、教皇フランシスコは、ヨハネ・パウロ1世を、列聖への最後のステップである福者に列する。

 列福への正式な取り組みは、教皇が亡くなって 5 年を待つ必要があるとされてきた。ヨハネ パウロ 2 世が2005 年に亡くなられた後、「今すぐに聖人に!」という多くの声に応え、そのルールは放棄されたが、ヨハネ・パウロ1世の列福に向けた作業が始まるまでに25年もかかった。

 「ヨハネ・パウロ 1 世は、前後2人の教皇に〝挟まれた“方でした」とファラスカは言う。2人とは、ヨハネ・パウロ2世ー彼の後継者であり、史上最も長く教皇の座にあったーと、前任者であるパウロ 6 世ー第二バチカン公会議を取りまとめ、在位は15年に及んだーだ。いずれもすでに列聖されている。だが、この二人の間に挟まれたヨハネ・パウロ1世に「興味を持つ歴史家は一人もいませんでした。忘れ去られたように、時は過ぎ去っていきました」とファラスカ。

 

*バチカンの巨大金融スキャンダルの最中の突然の死に、”毒殺”疑惑

 だが、ジャーナリストたちは、”誰がやったのか”については関心を持ち続けた。司教、枢機卿時代から誰にでも笑顔で接し、「ほほえみの教皇」と呼ばれたヨハネ・パウロ1世がバチカン宮殿の寝室で遺体が発見されたことは、当初から疑惑の的となった。死後数時間のバチカンの説明は一貫しなかった。第一発見者について、最初は「男性秘書」と言い、ほどなく、「朝のコーヒーを持ってきた修道女」に言い換えた。

  「最初から『修道女が第一発見者だ』と言えば、疑惑を持たれることはなかったでしょう」とファラスカは言う。その修道女、シスター・ヴィンチェンツァは、教皇の家族によく知られていました。彼女たちは、「教皇の寝室に女性が入るのは不適切だと思われるので、教皇が亡くなっているのを最初に見つけたのは自分だ、と公言しないように」とバチカンから注意された、という。

 当時、バチカンは、バチカン銀行をめぐる巨大金融スキャンダルの渦中にあった。当時バチカン銀行の総裁だったマーキンカス大司教(故人)とイタリアの銀行、さらにイタリアの有力地下組織を巻き込み、ヨハネ・パウロ1世が亡くなって間もなく、イタリアの個人銀行、アンブロシアーノ銀行の頭取がロンドン中心部のブラック・フライアー橋の下で死体となって発見された。

 突然の死をめぐる疑惑は、この問題と結びつく形で深まったーヨハネ・パウロ1世はこの金融スキャンダルに徹底的なメスを入れようとしていたのではないか?バチカン官僚機構の腐敗を根絶することを計画していたのではないか?

 英国の著作家、デイビッド・A・ヤロップは1984年に出版した「In God’s Name: An Investigation Into the Murder of Pope John Paul I(神の名において: 教皇ヨハネ・パウロ1世の殺害に関する調査)」で、バチカンが「ヨハネ・パウロ1世は亡くなる前の晩、ベッドに入る前に胸の痛みを感じたが、大事を取ることなく就寝し、心臓発作を起こし、死に至った」と結論付けているのに対して、「本来なら直ちになされるべき検死が行われなかった」のは、”不都合な真実”が明らかになるのを防ぐためだったことを示唆し、「バチカンとバチカン銀行につながる秘密結社のメンバーに関係を持つ殺し屋によって毒殺された」と結論付けた.

 

 

*「バチカンの周囲の人々が、彼を働かさせ過ぎ、適切な健康管理を怠ったのが、命を失った原因」とも

 1987年、別の英国人ジャーナリスト、ジョン・コーンウェルは、当時のユーゴスラビアで聖母マリアが出現したという主張を調べる目的でバチカンに来たが、あるバチカンの司教から、、ヨハネ・パウロ1世の死の「真実」を書くように求められ、そのためにヨハネ・パウロ1世の担当医や遺体を整復した専門家などに主題できるように手配することを約束した。

 その結果をもとにコーンウェルはベストセラー、「A Thief in the Night」を出版したが、彼はそこで、ヨハネ・パウロ1世は「無視されて死んだ」と結論付けた。

 取材に対して、コーンウェルは「バチカンのど真ん中で起きた、配慮の欠落でした… (ヨハネ・パウロ1世の周りにいた)人々は、適切な助けを怠り、彼を働かせすぎ、適切な健康管理もしていなかった」と批判、「言い換えれば、彼らは、ヨハネ・パウロ1世に敬意を払っていなかった、ということです。取るに足らない教皇だと考え、『ピーター・セラーズに似ている』とまで言ったのです」と述べた。(カトリック・あい注:ピーター・セラーズはコメディアン出身のと英国の俳優で、しばしば不器用な役を演じることがあったが、三度、アカデミー男優賞の候補となり、ゴールデングローブ賞を受賞した名優。54歳で早逝)。

 またコーンウェルは「この問題に関心を持つ人々の中には、私が一人の司教を含め、(疑惑を持たれた人々について)殺人に関与したとする証拠を見つけることができなかった、と失望する人もいた」とし、それは、「私が取材で出会ったバチカン内部の人たちの間に、ヨハネ・パウロ1世を”排除”しようとする陰謀があったことを確信する人たちです」と語った。

 

 

*「列福は『教皇だから』ではない、因習にとらわれず、信望愛に生きた方だから」

 ファラスカは、「ヨハネ・パウロ1世は、教皇だったので列福されるのではありません」とし、 「信仰、希望、慈愛において模範的な生き方をされたからです。彼はすべての人にとっての模範。本質的な美徳の証人だったからです」 と強調する。

 ヨハネ・パウロ1世は,それまでの教皇の型を破り、説教や講話で自分自身のことを伝統的な「私たち」ではなく「私」と呼ばれたが、「彼は、それまで何世紀も続いてきた因習を吹き飛ばす、そよ風のようでした… 彼の『口語』で語るという選択は、神学的な選択でした」 と説明した。関連して、彼女は、ヨハネ・パウロ1世が最も大切にしていた本の中に、マーク・ トウェイン、ウィラ・キャザー、それに、司祭探偵「ブラウン神父」シリーズの作者であるギルバート・キース・チェスタートンの著作があったことにも注目している。

 

 

*「ヨハネ・パウロ1世が叙階のきっかけになった司祭が教皇に執り成しを求め、奇跡が起きた」

 列福されるために、神への執り成しの祈りに起因する奇跡が必要とされる。ヨハネ・パウロ1世に関しては、その奇跡は 2011 年に起きている。脳の炎症と敗血症性によるショックでブエノスアイレスの病院に緊急入院した11 歳の少女がいた。 彼女の両親は近くの教区の司祭に、瀕死の娘のため病院に祈りに来てくれるよう懇願した。これに応えて、病院に来たダブスティ神父は、少女が助かるように誰に執り成しを求めるべきか考えたが、突然、ヨハネ・パウロ1世が頭に浮かび、彼に執り成しを願う祈りを捧げた。そして彼女は、医学的に説明のつかない回復をした。

 だが、世界の信徒の誰からもほとんど忘れ去られていた教皇の名前が浮かんだのはなぜなのだろうか。ダブスティ神父は、ファラスカの取材に、「私は 15 歳の時、新しく選ばれたヨハネ・パウロ1世が話されるのを聞いて、司祭になる決心をした。新教皇がとても素直で喜びに満ちていたから」、それが彼に執り成しを求めることにつながった、と説明している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

2022年9月2日

(評論)新枢機卿が誕生してー枢機卿をめぐる”神話”を壊す(Crux)

(Credit: AP Photo/Andrew Medichini.)

‎‎(2022.8.28 Crux Editor  John L. Allen Jr.)

 ローマ – 教皇フランシスコが27日、80歳未満で教皇選挙権を持つ16人を含む20人の新しい枢機卿を叙任した。フランシスコにとって八回目の新枢機卿叙任となったが、新枢機卿が誕生するたびに、”誤解”が生まれ傾向がある。ここでは、枢機卿について考える際に避けるべき 3 つの考えの誤りを示そうと思う。

 まず第一に、西側の“予想屋”たちが、ほかのケースと同じように、枢機卿を”リベラル”か”保守”かで分けようとする、自然的な傾向がある。

  これは一般に、米国と欧州の枢機卿については、かなりうまく機能するようだ。たとえば、米サンディエゴ教区長のロバート・マッケルロイ新枢機卿が、米国の司教団の”伝統的な重心”よりも左にあると考えるのは、少々単純化しすぎとはいえ、間違ってはいない。

  バチカンの典礼秘跡省長官で英国出身のアーサー・ローチ新枢機卿も、前任長官のロバート・サラ枢機卿よりも進歩的と言える。

  ただ、欧米の領域を出ると、そのような分類法が通用しなくなる傾向がある。例えばインドでカースト制度で最下層のダリット(不可触民)出身の初の枢機卿となったアンソニー・プーラ大司教を、そのような方法で区別することは注意を要する。東ティモール初の枢機卿となったヴィルジリオ・ド・カルモ・ダ・シルバ大司教はどうだろうか?

 彼らについては、リベラルか、保守か、どちらの側にいるのか判別できないだけでなく、そもそもこのような分け方ができないことが多いだ。たとえば、開発途上国の高位聖職者は、教義に関しては非常に伝統的であることが多いが、社会正義の問題に関しては非常に進歩的だ、というように。

  さらに、彼らの視点は、主として、それぞれの置かれた地域の状況に基づいている。おそらく、ナイジェリアの新枢機卿、ピーター・エベレ・オクパレケ大司教は、トランスジェンダーの権利や米国ではリベラルか保守かを分ける基準のようになっている中絶を法的に認めるかどうかよりも、自国を覆っている政治・社会腐敗、宗派間の暴力、治安問題にずっと大きな関心を持っている。

  要は、カトリックは世界的な信仰で、教皇フランシスコの治世下で、そのことが枢機卿団の中身に大きく反映されるようになってきている。したがって、従来のような欧米の視点に重きを置いて”分析”しようとするのを、止めねばならない、ということだ。

*枢機卿たちにバチカンの”専門家”を期待するな

 「枢機卿なら、バチカンの裏も表も知っているに違いない」と思い込む傾向が部外者にはあるが、実際はそうではない。新たに枢機卿となった人のほとんどは、任命を受けてまず最初に、バチカンの”権力回廊”が「北極のツンドラや太平洋の孤島と同じように、自分にとって”未知の世界”だ」と気づくだろう。

 たとえば、今、金融犯罪の疑いでバチカンで裁判にかけられている 10 人の被告のうち 3 人以上の名前を挙げられるのは、教皇選挙権を持つ新しい枢機卿16人のうち 2 人だけの可能性が高い。

 新枢機卿のほとんどが名前を挙げられるのは、アンジェロ・ベッチュウ枢機卿だろう。彼は、2020年に枢機卿としての特権をはく奪されたにもかかわらず、教皇の”お陰”で枢機卿会議への出席が認められている。

 だがそれ以外は、バチカン市国の委員会議長で行政庁長官のフェルナンド・ベルヘス・アルサガ大司教などを除けば、バチカンをだましたとして訴えられた2人の金融業者、ラファエレ・ミシオーネやジャンルイジ・トルツィの名前を含めて名前を挙げることのできる新枢機卿はいないだろう。

 フランシスコが教皇職について以来、バチカンから遠く離れた地域で働き、過去にもバチカンで働いた経験がないばかりか、ほんのわずかな期間でもバチカンで過ごしたことのない者から、数多くの枢機卿が選ばれるようになって、バチカンの事情に疎い枢機卿がますます増えている。50パーセントの確率で、ローマの料理店で枢機卿たちの夕食の世話をするウエイターの方が、枢機卿たちよりもバチカンの”パワーゲーム”について語ることができる、と言うことができる。

 あなたがバチカンの現状を気遣うカトリック信徒なら、そのことを知り合いの枢機卿に伝えても何の問題もない。だが、彼がバチカン内部で実際に何が起こっているかについて、あなたよりもよく知っていると期待しないほうがいい。

 

*枢機卿たちは、互いに気心の知れた親友ではない

 枢機卿に関する当然と思われるが、実は誤った思い込みは、枢機卿団は昨日現在で総員 226 人、うち教皇選挙権を持つのが132 人と言う非常に小さな”クラブ”だから、お互いがとても親密な関係にあるに違いない、と考えることだ。

  Crux が最近、新枢機卿の一人に、「あなたが個人的に知っている枢機卿は何人ですか」と聞いたところ、返事は「7 人くらい」だった。この答えは平均の下限かも知れないが、枢機卿の多くが互いを知らない、というのは事実である。これまで「ありそうもない」と考えられた場所に”赤い帽子”を配る、という教皇フランシスコの枢機卿任命の傾向を考えると、それは極めて自然なことだ。ナイジェリアのエクウロビア大司教である新枢機卿が、たとえばシンガポールやモンゴルの枢機卿と知り合いだと言えるだろうか?

 実際、多くの観測筋は、明日から始まる 2 日間の枢機卿会議の本当の狙いは、表向き言われている「バチカン改革について意見を交換すること」ではない。これまで述べたように、これらの枢機卿のほとんどは、バチカンについてよく知らないから、”短期集中コース”を有意義にするには 2 日間ではとても足りない。それでも、お互いが顔を合わせる機会を提供し、互いの関心や経験について、つかの間の感触を得るのが、本当の狙いとすれば、それはそれなりに意味のあることだ。

 そのような結果となるのは仕方がないが、”その時”がいつ来たとしても、今回の枢機卿会議の結果が、教皇選びに影響を与えることは否定できない。

*現教皇の下で加速する“馴染みのなさ”が次期教皇選挙に与える影響は

 2005 年の教皇選挙に参加したある枢機卿が、さまざまな評判のある候補者に関する分厚い説明書を持っていたことを思い出す。彼はローマに向かう飛行機の中でその説明書を読み込んだが、「候補となり得る枢機卿たちについて、それまでほとんど知らなかったので、そうせざるを得なかった」と語っていた。

 (その教皇選挙では、結局、教理省長官を長く勤め、立場上、多くの枢機卿から知られていたヨゼフ・ラッツィンガー枢機卿が教皇に選ばれたのだが、結果が出るまで、彼が選ばれるという確信を持った者はいなかった。)

 この、枢機卿同士の”なじみのなさ”は、教皇フランシスコの下でさらに深まっている。これはつまり、枢機卿たちが次の教皇を選出するために集まったときに多くの時間が費やされるのは、候補者を立てて争うことよりも、”候補者紹介”となることを意味する。

 以上で述べてきたことを要約すれば、次のようになるだろう。

 「枢機卿を見るときは、期待値を下げるように。彼らが、教皇職には及ばないものの、教会で高い地位を占めてはいるが、率直に言って、その地位が、あなたが本当に知りたいと思っていることの多くを含め、すべてのことに関する専門家にすることはない」。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

2022年8月29日

・世界55カ国の民主主義に関する世論調査―G7で際立つ日本国民の民主主義制度への不信(言論NPO)

(2022.8.18 言論NPOニュース)

 世界は自国の民主主義の状況をどう見ているのか。言論NPOが昨年、世界の7団体と実施した「世界55カ国の民主主義に関する世論調査」結果がこのほど明らかになった。(2022.8.16)

 調査では、多くの国で代表制民主主義の仕組みに対する市民の信頼が壊れ始めていること、その中でも、日本国民の自国の民主主義に対する信頼が際立って後退していることが明らかになっている。

 この調査は、フランスのファンダポール財団や言論NPOなどの7団体が協力して昨年の7月に行ったもの。調査はG7各国などの55カ国で行われ、47,408名が回答している。

 世界各国の民主主義の状況を55カ国で比較できる世論調査はほかに例がなく、調査では民主主義の仕組みやそれぞれの機能の信頼、さらには中国やロシアなどに対する意識など108もの設問をそれぞれの国民に尋ねている。

*世界で問われる選挙の意味、日本では政党から民意が離れている

 今回、調査に協力した55カ国では有権者の投票によって代表を選ぶ代表制民主主義の制度を取り入れており、市民は表現などの自由や選挙を尊重している。

 今回の調査では各国でそうした民主主義の社会に対しては根強い信頼が見られるものの、多くの国で民主主義制度を構成する様々な仕組みが、信頼を失い始めていることが明らかになっている。

 まず、選挙によって物事を進めるため、投票の仕組み自体は有意義だと感じている人は55カ国全体の回答者の70%と圧倒的であり、国民の政治参加の舞台である選挙自体には強い信頼が見られる。

 だが、国別でみると、政治家が国民の願いを顧みないために投票自体に意味はないと感じる国民が4割を超える国も14カ国存在している。先進的な民主主義国とされるG7の国でも、フランスでは国民の41%が選挙自体に意味はないと回答しており、日本にもそうした人は35%存在する。

 また、17カ国では、半数以上の国民が選挙プロセスに透明性がないと感じており、選挙制度自体に問題があると考えている。選挙プロセスの不透明さを感じる人は、G7加盟国でもイタリアが51%と半数を越え、日本も48%と半数に近づいている。

 政党と民意の繋がりは民主主義国に不可欠であり、今回の調査に参加した55カ国のうち40カ国では半数を超える人が国内に自分の意見を代弁する政党があると回答している。ところが、日本では63%もの人が自分の意見を代弁する政党は国内にないと回答しており、政党から民意が離れている。これはG7の中でも突出した傾向である。

*問:国内には、あなたの意見を代弁する政党があると思いますか?

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【座談会】世界の民主主義はなぜ信頼を失ったのか―世界55カ国の世論調査を分析するー

(2022.8.17 言論NPOニュース)

出演者:出演者:池本大輔(明治学院大学法学部政治学科教授)内山融(東京大学大学院総合文化研究科教授)吉田徹(同志社大学政策学部教授)

司会者:工藤泰志(言論NPO代表)

 世界55カ国の民主主義の世論調査は、言論NPOがフランスのフォンダポール財団など7団体で昨年の夏に行ったもので、その分析結果が明らかになったことで、「世界の民主主義はなぜ信頼を失ったのか」をテーマとした言論フォーラムを開催しました。

4人.jpg 議論には池本大輔氏(明治学院大学法学部教授)、内山融氏(東京大学大学院総合文化研究科教授)、吉田徹氏(同志社大学政策学部教授)が参加し、司会は工藤泰志(言論NPO代表)が務めました。
今回の世論調査結果では、世界各国で民主主義の様々な機能に関して信頼低下が浮き彫りとなっています。

 議論では、「世界の民主主義の信頼が後退している背景に世界で進む経済的格差や分断の拡大に対して民主主義が解決策を提示できていないこと」や、その他にも、「民主主義を支える規範そのものが壊れ始めていること」や、「SNSのエコーチェンバー現象が分断を拡大させていること」「エリート層と一般層の相互不信など」といった要因も提示されました。

 その中でも、日本の傾向は際立っており、政党や議会、政府などへの信頼が世界55カ国やG7各国と比べても低いものとなっており、これらに関しては、「日本では代表制民主主義の回路が目詰まりを起こしている」との指摘がありました。

 議論では、こうした日本における政治不信と代表制民主主義の機能不全をどうするか、に議論が集まりましたが、調査結果では「日本人の中に民主主義、それ自体に対する期待は根強く残っている」ことも明らかになり、「民主主義の修復をどうするかは私たち次第だ」との意見が出されました。

 ただ、日本の調査では、「議会や政党の制度疲労だけではなく、学校や労働組合を含めた社会の制度自体が制度疲労していること」も明らかになり、特に「非営利組織に対する信頼度が低い」という結果が着目され、「デモクラシーを支える自発的組織・結社の力が弱い」ことが民主主義の脆弱性にもつながっていると指摘され、「まず社会の中の横のつながりを作り直さないといけない」と、市民社会が民主主義立て直しのカギとなるとの発言が各氏からは相次ぎました。

 その際に、市民社会に根差した組織政党が発達してこなかった政党側の改革についても発言がありました。その上で「政治と社会をつなぐ多様なチャネルや、そのアクターを増やすための仕掛けづくりが必要であり、市民の政治参加の回路を増やすことが必要」だとの提案も相次ぎました。

 議論を受けて最後に工藤は、「分厚い市民社会をつくためにプラットフォームを作るべきとの指摘は非常に重要だ」と応じつつ、言論NPOとしてもそうした取り組みを今後も進めていく考えを強調。そのための作業を再開したいと語りました。

⇒調査結果を基にして行われた座談会はこちら
⇒代表・工藤のインタビュー「強い政治不信 拭う決意を」(8月17日付・読売新聞朝刊)はこちら

詳細な調査結果はこちら(無料登録・会員の方限定)

2022年8月19日

・カトリック教会の”選挙の季節”への一考察(Crux)

(2022.8.14 Crux Editor  John L. Allen Jr.

  教皇フランシスコはこれまで、”辞任の危機”に瀕していることを否定し、それは聖職者主義の悪や移民の尊厳に関する彼の巧みな言葉と同様、”大ヒット語録”の一つになっている。*間もなく退任されるとは、とても見えないが

 教皇は85 歳で、変形性関節症で右膝の急性の痛みに苦しんでいるが、先日は一週間のカナダ訪問をし、今月下旬には新枢機卿任命式とそれに続く枢機卿会議を予定。28日にはイタリア中部の都市、アキラに出かけ、9月に入って4日にヨハネ・パウロ一世の列福式、さらに13日からカザフスタンへ3日間の旅に出る。さらに、実現すればだが、彼が教皇職に就いて以来、最も緊張を強いられるウクライナの首都キーウ訪問の可能性もある。

*教皇の健康状態に過剰反応するようになっている

 第一に、私たちは今、(教皇フランシスコの)健康をめぐるあらゆる問題に過剰反応するようになっている。ヨハネ・パウロ二世の治世の後半を知る人なら、それがよく分かるだろう。弱弱しく見えたり、大きな行事をキャンセルせねばならなくなると、すぐに、それを教皇職の終わりと結び付けたものだ。

 フランシスコの支持者たちは、彼が去ることを望まず、終わりが近づいているとほのめかす人を激しく非難するだろうし、批判者たちは、終わりが近い、という噂を信じたがるだろう。

 バチカンは、教皇の健康に関する情報の公開に非常に慎重だ。「教皇にも、プライバシーを守る権利がある」という奇妙な考えに固執しているため、教皇の健康状態、受けている治療、あるいは彼の医療チームがどのような判断をしているのか、などについて詳細な最新情報を手に入れることはできない。フランシスコは昨年、結腸手術を受けたが、術後に公式の医療報告はなく、医師が彼の身体的な状況についての見通しについてどのように判断しているかも分からない。 だから、いつまで教皇職を続けられるのか、誰にも分からないし、最善の対応は、彼の動静に一喜一憂しすぎないことだろう。

*”後継候補”の言動に関心が集まってくる

 第二に、私たちは、バチカン報道をめぐる(‎米国の大統領予備選挙シーズンの先陣をきる)”アイオワ州党員集会”の段階に入っている。この段階では、教皇候補として名を挙げられた人の振る舞いはすべて、”選挙力学のレンズ”を通して見られるのだ。

 例えば、イタリアのボローニャ大司教、マッテオ・ズッピ枢機卿は現在、教皇フランシスコが取り組んでいる課題の継承者である後継候補として最有力視されている。彼は、イタリアの司教協議会の会長を務めているが、イタリアは9 月 20 日に総選挙が予定されるなど”政治の季節”を迎えており、彼の言動は、イタリアという国の今後に影響を与えるだけでなく、仮にフランシスコの後継者となった時にどう振舞うか、などと絡めて評価されるようになるだろう。

 同様に、ハンガリーのブダペスト大司教、エルドー・ペーテル枢機卿は、フランシスコの路線と決別するであろう保守的な後継候補と見なされている。ハンガリーで絶え間ない論争の的となっている移民・難民問題に関する枢機卿の言動は、”教皇レース”で非常に重要なものとなろう。 この面で、「”葉巻”は、時には単なる”葉巻”だ」-つまり、司教たちは時には、司教としてー”選挙綱領”の一部と意識せずにー行動する必要がある、ということを覚えておく価値はあると思う。

*8月下旬の枢機卿会議とケレスティヌス 5 世教皇の墓前訪問

 第三に、今、バチカンでは、主要なメディアによる報道の”景気循環”の時期に来ている。バチカンに関係するすべての大きなイベントは、”本番前の舞台稽古”と見なされるからだ。

 その経験則により、8 月のカレンダーの27日から30日にマルをつけよう。教皇フランシスコは新枢機卿の任命式で、自身の後継者を選ぶ新たなメンバーを創出し、後継候補になる潜在的な可能性を持つすべての枢機卿と顔を合わせる。その一方で、ベネディクト 16 世教皇の自発的退任前にしたように、700年前、存命中に教皇職を退いたケレスティヌス 5 世教皇の墓にも足を運ぶ予定だ。

 この一連の行事はマスコミの報道を飽和状態にし、大げさに言えば、第二次大戦の連合軍ノルマンディー上陸作戦やケネディ米大統領暗殺をめぐる報道にも匹敵する騒ぎになるかもしれない。

 言い換えれば、機は熟していようと、いなかろうと、カトリック教会の”選挙の季節”は近づいている。ヨハネ・パウロ二世の時と同じように、実際にその時が来るまでにいくつかのヤマがあるかもしれないが、そのことで不平を言うのは、天気について不満を述べるのと同じようなものだ。好むと好まざるとにかかわらず、来る時は来る、のだ。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年8月17日

・「教皇が、キーフより先にモスクワを訪問すれば最悪」とウクライナの司教団(Crux)

(2022.7.19 Crux |Rome Bureau Chief Inés San Martín)

ROME – 自身が希望を表明しているウクライナ訪問の前に教皇フランシスコがロシアを訪問した場合、「最悪の事態」を招き、「ウクライナの国境は教皇に対して閉鎖される可能性がある」と見方を、ウクライナのラテン典礼カトリック教会の指導者、モチジツキ大司教が、ドイツの週刊誌Die Tagespostとのインタビューで明らかにした。

 ウクライナには、ラテン典礼カトリック教会の信徒が150万人おり、モチジツキ大司教はそのリーダーだが、「ギリシャ典礼のカトリック教会の信徒も含めて、教皇フランシスコがこれまでロシアに対してなさっている言動の全てを受け入れることができません。私たちには、教皇の意図も、方針もよく分からないのです」としたうえで、それでも「教皇は善意を持っておられ、その対応次第で、ウクライナに平和がもたらされることに期待をかけている」と強調した。

 教皇は、2月24日にプーチン大統領がロシア軍にウクライナ侵攻を命じる前から、ウクライナ訪問の可能性について言及していたが、最近になって、両国の対話を実現させるために、まずモスクワに行く、という願望を表明していると伝えられている。

 モチジツキ大司教は、「まず最初に犠牲となった人、苦しんでいる人、そしてそれを引き起こした人に目を向けなければならない、と私は信徒たちに説いています.…。ウクライナの人々は、教皇が自分たちのそばにいて祈ってくださっていることに非常に感謝している」としたうえで、「教皇がこれまで、ロシアが我が国へ一方的な軍事侵略をしていることを明確に批判したことがないことも、皆知っているのです。ウクライナのギリシャ典礼の教会と他の典礼の教会の信徒たちは、教皇がロシアに対して曖昧な態度を続け、ロシアとの対話の扉を開いたままにすることを目的としたふるまいを続けていることに、当惑しています」と指摘した。

 教皇は3月のイタリアの新聞とのインタビューで、「ウクライナ侵攻を中止するようプーチン大統領に求めるためにモスクワ訪問を打診しているが、まだ返事を受けていない」という主旨の発言をしていた。

 この後、今月に入ってのロイター通信とのインタビューでは、「数か月前に最初の打診をした際には、クレムリンは、教皇の訪問受け入れを拒んだ」としたうえで、今は状況が変わった可能性があることを示唆し、 「私は(ウクライナに)行くことを希望していますが、まず、モスクワに行きたかった… ロシアの大統領が私に平和のための小さな窓を開けてくれれば、試してみる価値があると思い、訪問の可能性についてメッセージを交換しました」と述べた。そして、 「カナダ訪問から戻った後、私がウクライナを訪問できる可能性があります」としつつ、 「まずはロシアに行って、何らかの形で和平実現の促進を試みること…。両方の首都に行きたいと思います」と語っていた。

 教皇は7月24日から29日までカナダを訪問する。 バチカンのギャラガー外務局長は最近のインタビューで、教皇のウクライナ訪問は、9月よりも差し迫っている可能性がある、とし、「教皇は間違いなくウクライナに行かれるでしょう。訪問が前向きな結果をもたらす可能性があることを、強く確信しておられます」と説明している。

 カナダ以外で、これまでに公式のスケジュールに載っているのは、9月14,15両日の宗教間会議参加のためのカザフスタン訪問だが、教皇は先日のメキシコのテレビ局とのインタビューで「カザフスタン訪問中にロシア正教会のキリル総主教と会うことを希望している」と語っている。

 モチジツキ大司教は、「ロシアによる軍事侵攻が始まる前から、ウクライナの信徒たちは教皇の訪問を望んでいたが、現在は、その希望をさらに強まっています。教皇がウクライナに来て、この血まみれの殉教者の土地に入って祝福をしてくだされば、主は私たちに恵みを与え、奇跡を起こし、私たちの国に平和がもたらされるでしょう」と訪問実現に強い期待を示している。ウクライナのユラシュ駐バチカン大使も、ウクライナ政府が教皇の訪問実現に努めており、「たぶん9月(に訪問が実現)… でも、それはすべて神の意志にかかっています」と述べている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年7月20日

・「フランシスコをもはや”公平な調停者”と見なさない人々がいる」キーウ総大司教が、教皇のウクライナ訪問に懸念(Crux)

(2022.6.19 Crux |Senior Correspondent  Elise Ann Allen)

 司教は、「教皇が苦しむ人々の真っ只中においでになることは、私たちウクライナのカトリック教徒にとって大きな希望。教皇がこれまで繰り返し、停戦を訴え、人道援助の実施に具体的に行動されたことで、私たちは親密さを感じており、世界の教会を巻き込んだ、絶え間ない祈りにも感謝している」と述べ、「実際にウクライナを訪問されれば、私たちにさらなる勇気を与えてくださることになるでしょう」と期待を込めた。

 ただし、教皇訪問の時期については、今ただちに、とお願いするわけにはいかない、との見方を表明。その理由として、「ほとんどのウクライナの兵士が、ロシア軍の侵攻を止める戦いの最前線に出ている中で、訪問の際に必要な安全を保障するのが難しい。それだけでなく、ロシアの軍事侵攻が始まった時点と比べて、国民の間には、教皇の最近の言葉が間違っているとし、歓迎しない声がでていることも、ある」と説明した。

 司教は、教皇のどの言葉が、そのような見方をされているのか具体的には語らなかったが、ロシアの軍事侵略からウクライナを守る武器を持った戦いを支持することに教皇が躊躇していること、さらに、米欧の北大西洋条約機構(NATO)がロシアのウクライナ侵攻の引き金になった可能性がある、とあたかも米欧側に責任があるかのような見方を教皇が示唆したことが、ウクライナの内外で論議を呼んでいることは、良く知られていることだ。

 教皇フランシスコは、14日発行のイエズス会の学術誌LaCiviltàCattolicaに掲載された編集者との対話で、ロシアのウクライナ軍事侵攻について言及し、「そこには、抽象理論に基ずく”善玉””悪玉”は存在しない。地球規模の、互いにひどく絡み合った要素をともなった何かが、新たに起きている」と述べ、「ロシア分の凶暴さ、残酷さ」を弾劾したものの、この戦争の動機として武器取引を批判。そのことが、バチカンの観測筋の中に「教皇は、ウクライナへの武器支援に反対している」との見方を生んでいる。

 また教皇はここで、ロシアの軍事侵攻が始まった2月24日より前に会ったある国家元首が、「NATOが、ロシアの玄関口で、怒鳴り声をあげている。NATOの振る舞いは、戦争につながりかねない」と警告していた、と語り、NATOにこの紛争の責任の一端があるとの考えを示唆していた。

 さらに、教皇は今年の聖金曜日の4月15日に行われた十字架の道行きで、ロシア人とウクライナ人の女性たちに一緒に十字架を担うように求めたことも含めて、ロシアの軍事侵略開始以来の言動に、一部から批判が続いている。

 教皇は、先に、ロシア軍による戦争犯罪があったとされるウクライナの都市、ブチャから届けられたウクライナ国旗に接吻した場面を写真にとられ、停戦を呼び掛け、交渉を支援することを提案したが、ウクライナへの軍事侵略者としての「ロシア」あるいは「プーチン」を、これまで一度も名指ししていない。

 また、教皇は先月のイタリアの日刊紙Corriere della Seraのインタビューで、「他国がウクライナに武装支援することが適切かどうか」の問いに対して、「私は答えることができません。あまりにも距離があり過ぎます」としたうえで、「明らかなことは、その場所で武器がテストされているということです。 ロシア人は今、戦車がほとんど役に立たないことを知っており、他のことを考えています。 武器は、戦争でテストするために作られている… 武器取引は醜聞です。わずかな人しか使わない」とも述べている。

・・・・・・・・・・

 このような教皇の発言は、彼の敵対者だけでなく友人たちからも非難されている。その中には、ヴェノスアイレス時代からの長年の友であり、ウクライナのギリシャ・カトリック教会を監督しているスビアトスラフ・シェフチュク総大司教も含まれている。

 シェフチュク総大司教は、LaCiviltàCattolicaでの教皇の発言を受けた形で、最近のビデオメッセージで、「この戦争の原因はロシア自体にある。 そして、ロシアの侵略者は、外部の侵略者の助けを借りて、問題を解決しようとしている」と反論。「ウクライナに対するロシアの侵略は、外部の挑発によって起きたものでは、まったくない」と主張した。

・・・・・・・・・・・・

 教皇は最近、戦争に関する彼の「曖昧な」レトリックに懸念を抱くウクライナ人の小グループと、ほぼ2時間にわたって会見した。

 2017年に教皇によってキーウ総大司教に任命されたクリヴィツキーは、約800万のこの都市で約20万人のラテン儀式カトリック教徒を司牧している。「教皇が依然として戦争の阻止に貢献できると思うか」の問いに、「確かにそう思う。バチカンは、私たちとロシアの間の仲介者として基本的な役割を果たすことができる」とする一方で、両国の停戦交渉には「調停者」が必要だが、「教皇のことを、もはやsuper partes(注*調停に当たって両当事者いずれにも公平である者)と見なさない人もいる」と述べた。

 ただし、このような教皇の発言をめぐって、一部に教皇の姿勢に懸念を示す声が出てはいるものの、「教皇とバチカンの外交関係者が、停戦交渉開始の前提となる両当事者による対話実現の種を蒔いていること」には、確信を表明している。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。

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2022年6月20日