・「フランシスコをもはや”公平な調停者”と見なさない人々がいる」キーウ総大司教が、教皇のウクライナ訪問に懸念(Crux)

(2022.6.19 Crux |Senior Correspondent  Elise Ann Allen)

 司教は、「教皇が苦しむ人々の真っ只中においでになることは、私たちウクライナのカトリック教徒にとって大きな希望。教皇がこれまで繰り返し、停戦を訴え、人道援助の実施に具体的に行動されたことで、私たちは親密さを感じており、世界の教会を巻き込んだ、絶え間ない祈りにも感謝している」と述べ、「実際にウクライナを訪問されれば、私たちにさらなる勇気を与えてくださることになるでしょう」と期待を込めた。

 ただし、教皇訪問の時期については、今ただちに、とお願いするわけにはいかない、との見方を表明。その理由として、「ほとんどのウクライナの兵士が、ロシア軍の侵攻を止める戦いの最前線に出ている中で、訪問の際に必要な安全を保障するのが難しい。それだけでなく、ロシアの軍事侵攻が始まった時点と比べて、国民の間には、教皇の最近の言葉が間違っているとし、歓迎しない声がでていることも、ある」と説明した。

 司教は、教皇のどの言葉が、そのような見方をされているのか具体的には語らなかったが、ロシアの軍事侵略からウクライナを守る武器を持った戦いを支持することに教皇が躊躇していること、さらに、米欧の北大西洋条約機構(NATO)がロシアのウクライナ侵攻の引き金になった可能性がある、とあたかも米欧側に責任があるかのような見方を教皇が示唆したことが、ウクライナの内外で論議を呼んでいることは、良く知られていることだ。

 教皇フランシスコは、14日発行のイエズス会の学術誌LaCiviltàCattolicaに掲載された編集者との対話で、ロシアのウクライナ軍事侵攻について言及し、「そこには、抽象理論に基ずく”善玉””悪玉”は存在しない。地球規模の、互いにひどく絡み合った要素をともなった何かが、新たに起きている」と述べ、「ロシア分の凶暴さ、残酷さ」を弾劾したものの、この戦争の動機として武器取引を批判。そのことが、バチカンの観測筋の中に「教皇は、ウクライナへの武器支援に反対している」との見方を生んでいる。

 また教皇はここで、ロシアの軍事侵攻が始まった2月24日より前に会ったある国家元首が、「NATOが、ロシアの玄関口で、怒鳴り声をあげている。NATOの振る舞いは、戦争につながりかねない」と警告していた、と語り、NATOにこの紛争の責任の一端があるとの考えを示唆していた。

 さらに、教皇は今年の聖金曜日の4月15日に行われた十字架の道行きで、ロシア人とウクライナ人の女性たちに一緒に十字架を担うように求めたことも含めて、ロシアの軍事侵略開始以来の言動に、一部から批判が続いている。

 教皇は、先に、ロシア軍による戦争犯罪があったとされるウクライナの都市、ブチャから届けられたウクライナ国旗に接吻した場面を写真にとられ、停戦を呼び掛け、交渉を支援することを提案したが、ウクライナへの軍事侵略者としての「ロシア」あるいは「プーチン」を、これまで一度も名指ししていない。

 また、教皇は先月のイタリアの日刊紙Corriere della Seraのインタビューで、「他国がウクライナに武装支援することが適切かどうか」の問いに対して、「私は答えることができません。あまりにも距離があり過ぎます」としたうえで、「明らかなことは、その場所で武器がテストされているということです。 ロシア人は今、戦車がほとんど役に立たないことを知っており、他のことを考えています。 武器は、戦争でテストするために作られている… 武器取引は醜聞です。わずかな人しか使わない」とも述べている。

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 このような教皇の発言は、彼の敵対者だけでなく友人たちからも非難されている。その中には、ヴェノスアイレス時代からの長年の友であり、ウクライナのギリシャ・カトリック教会を監督しているスビアトスラフ・シェフチュク総大司教も含まれている。

 シェフチュク総大司教は、LaCiviltàCattolicaでの教皇の発言を受けた形で、最近のビデオメッセージで、「この戦争の原因はロシア自体にある。 そして、ロシアの侵略者は、外部の侵略者の助けを借りて、問題を解決しようとしている」と反論。「ウクライナに対するロシアの侵略は、外部の挑発によって起きたものでは、まったくない」と主張した。

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 教皇は最近、戦争に関する彼の「曖昧な」レトリックに懸念を抱くウクライナ人の小グループと、ほぼ2時間にわたって会見した。

 2017年に教皇によってキーウ総大司教に任命されたクリヴィツキーは、約800万のこの都市で約20万人のラテン儀式カトリック教徒を司牧している。「教皇が依然として戦争の阻止に貢献できると思うか」の問いに、「確かにそう思う。バチカンは、私たちとロシアの間の仲介者として基本的な役割を果たすことができる」とする一方で、両国の停戦交渉には「調停者」が必要だが、「教皇のことを、もはやsuper partes(注*調停に当たって両当事者いずれにも公平である者)と見なさない人もいる」と述べた。

 ただし、このような教皇の発言をめぐって、一部に教皇の姿勢に懸念を示す声が出てはいるものの、「教皇とバチカンの外交関係者が、停戦交渉開始の前提となる両当事者による対話実現の種を蒔いていること」には、確信を表明している。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年6月20日

・教皇の存命中退任に因縁のある”ラクイラ訪問”が”憶測”を呼んでいる(Crux)

(2022.6.6 Crux/Associated Press  Nicole Winfield  

 ローマ発—バチカン広報が6日、教皇フランシスコが8月28日に、ケレスティヌス5世教皇(在位:1294年7月5日 – 12月13日)が始めた祝祭出席のためイタリア中部のラクイラを訪問される、発表した。

 ケレスティヌス5世はベネディクト16世教皇以前に存命中に退任した数少ない教皇の一人。イタリアとカトリックのメディアの間は、85歳のフランシスコが先月に車椅子の使用を余儀なくされた歩行上の支障など身体的な問題が増えてきていることから、ベネディクト16世に倣うことを計画しているのではないか、との憶測が流れている。

 このような憶測は、先週、フランシスコが21人の新枢機卿を任命、正式就任のための枢機卿会議を8月27日に召集する、と発表したことで、さらに勢いを増した。新枢機卿の任命で、次期教皇の選出権をつ132人のうちフランシスコの任命による枢機卿は83人と過半数を大きく上回る。枢機卿の投票行動を規制することは誰にもできないが、彼の司牧方針を共有する次期教皇が選ばれる可能性が以前より高くなったと言えるだろう。っています。

 教皇はまた、新司教就任のための会議に続いて2日間の枢機卿会議を開き、6月5日に発効したバチカン改革の仕上げをめざす新使徒憲章について説明することも予定している。新使徒憲章では、女性が教皇庁の部署のトップとなる道を開き、聖職者の教皇庁での勤務に任期を定め、教皇庁を、世界の現地の教会に奉仕する機関として位置づけるなど、カトリック教会史上、画期的な内容を含んでいる。

 バチカン改革という重大な使命を帯びて2013年に教皇に就任したフランシスコは、これまで 9年の間、積極的にその使命を果たすことに努め、いくつかの分野で改革を実現している。そして、さらに改革の仕上げをめざす新使徒憲章の発効翌日、というタイミングでのラクイラ訪問の発表。バチカンとイタリアでは通常、8月から9月中旬までが休暇のシーズンであり、重要な経済・社会活動以外のすべてが動きを止める。

 そのシーズン中の 8月下旬に枢機卿会議を招集し、新しい枢機卿を就任させ、バチカン改革の仕上げへの理解と協力を求めることにしたことは、教皇が、尋常ではない行為を念頭に置いていることを示唆している、と見ることが可能だ。

  教皇が訪問を予定するラクイラの大聖堂には、在位5か月で辞任した隠者の教皇、ケレスティヌス5世の墓がある。 2009年に前教皇のベネディクト16世が地震で荒廃したラクイラを訪れ、その墓で祈った。当時、この前教皇の振る舞いが重要な意味を持つことを理解した人は誰もいなかったが、その4年後、85歳になったベネディクト16世は「教皇職の激務をこれ以上続けるための力が心身ともになくなった」として、ケレスティヌス5世に倣って辞任している。

 バチカン広報の発表によると、教皇フランシスコは8月28日にミサを奉げるためにラクイラを訪れ、ケレスティヌス5世の墓のある大聖堂の「聖なる扉」を開く。この日は、ケレスティヌス5世が教皇勅書で定めたラクイラ大聖堂の赦しの祝祭の日に当たる。「毎年行われるこの祝祭の締めくくりに来られる教皇は、これまで誰もいませんでした。それが、教皇フランシスコは、赦しの秘跡を記念するために来られるのです」「世界のすべての人々、とくに戦争や内紛で被害を受けた人々が連帯と平和の道を見つける力となることを願っています」とラクイラ大司教のジュゼッペ・ぺㇳロッチ枢機卿は語った。。

 前教皇が引退を決断した時、教皇フランシスコは、「将来の教皇が同じことをするための”扉”を開くもの」と、その決断を賞賛していた。自身は、教皇就任当初、2年から5年の短い在位を想定していたが、就任から 9年を経た今、辞任を決断する兆候を見せておらず、重要な懸案も残している。

 年内の海外訪問先として、コンゴ、南スーダン、カナダ、カザフスタンを計画中のほか、2023年10月には”シノドスの道”の締めくくりとも言える世界代表司教会議を予定。カトリック教会の”地方分権化”の推進、バチカン改革の継続的な実施も、これから軌道に載せねばならない。

 しかし、教皇は右膝の靭帯の緊張に悩まされ、苦痛により歩行が困難になり、手術など抜本的対応が必要になっている。だが、昨年7月に大腸を33センチ切除する手術を受けた際に、麻酔の強い副作用に苦しめられたことから、友人たちに「もう手術は受けたくない」と話したと伝えられている。

 教皇の最側近で友人でもあるオスカル・ロドリゲス・マラディアガ枢機卿(ホンジュラスのテグシガルパ大司教)は今週、スペイン語のカトリックサイトReligionDigitalの取材に、「教皇の辞任の話には、根拠がない。”目の錯覚”、”脳の錯覚”だと思う」と語った。

 米ニュージャージー州のキーン大学の教会史専攻のクリストファー・ベリット教授は「大半のバチカン・ウオッチャーは、教皇フランシスが結局は退任すると予測しているが、ベネディクト16世が亡くなる前、ということはない」。引退教皇は 95歳で、肉体的に弱ってはいるが、気力はあり、バチカン庭園の住まいに時折、来客を迎えている。「フランシスコは、退任教皇が2人いるようなことはしないだろう」と言う。

 そして、教皇のラクイラへの訪問に関連しては、「ベネディクト16世の2009年のラクイラ訪問の意味について、ほとんどの関係者が考えることをしなかった。その訪問から、『彼が退任しようとしている』と読み取った記事が多く書かれたかどうかは覚えていない」が、「余り深読みしないほうがいい。フランシスコのラクイラ訪問は、まさに『司牧的訪問』であるかもしれない」と語っている。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年6月8日

・ウクライナ避難民支援に修道女たちが重要な役割を果たしている(Crux)

Religious sisters play key role in helping Ukrainian refugees

Sister Dolores Zok, bottom left, with some Ukrainian displaced people who stayed with her congregation after fleeing their country. (Credit: Sister Dolores Zok.)

 

(2022.6.3 Crux Rome Bureau Chief  San Martín)

 ローマ発–ロシアのプーチン大統領がウクライナへの軍事侵攻を命じてから3日で、100日目を迎えた。この間、700万人近くのウクライナ国民が国外に避難を余儀なくされ、そのほとんどが女性と子供だ。

 隣国ポーランドは少なくとも400万人の避難民を受け入れており、そのうち少なくとも2万1000人にとって、女子修道会が運営する1000の施設や修道院がなければ、安心して避難できる場を見つけることはできなかっただろう。

 Mission Congregation Servants of the Holy Spirit(聖霊奉侍布教修道女会)のシスター、ドロレス・ゾクはCruxの電話取材に、「ポーランドには今も、新たな避難民が到着し続けています。先週の土曜日に電車でワルシャワに行きましたが、ブダペストから多くのウクライナ人、特に女性と子供たちが目立ちました」と語る。

 そして、「他の欧州諸国では、避難民は3か月しか滞在できませんが、ポーランドでは、現在18か月滞在できます。そして 、短期滞在の後、カナダ、ドイツ、あるいは米国に行こうとする人たちもいます」と説明。

 ポーランド修道会協議会の会長でもあるシスター・ゾクによると、同国の主要な修道会はこれまでに自分たちの管理・運営する550の修道院や施設を避難民に開放し、2万1000人に住まいや食事の提供などの支援を行っている。「支援のためには、例えばガス代など出費が重なります。これからどうやって支援に必要な資金を確保したらいいかを考えると、夜も眠れない日が続いています」と訴えた。

 以下は、シスター・ゾクのインタビューの要旨。

Crux:ポーランドの女子修道会は、ウクライナから避難して来た人たちために、修道院や関連施設を開放しています。現在の状況はどうなっていますか?

Zok:戦争が始まった時、私たちは、予期しない事態に非常に驚き、ショックを受けました。多くのウクライナ人がポーランドに到着し始め、私たちは彼らに門戸を開くことに決めました。主な修道会がポーランド全体で約850か所の施設を避難民に開放しています。ウクライナに残った人たちのための避難所が95か所あり、そこでもポーランド人のシスターが奉仕しています。

 国境の町、プシェミシル、ジェシュフ、ルブリンなどには、避難先に向かう途中の人たちの一時休憩の場所として、いつもにぎわっています。また避難民は、ポーランド中の修道院に助けを求めて訪れます。私たちの聖霊奉侍布教修道女会は、国際的な奉仕活動を展開する修道会ですから、その経験を生かすことができる。私の修道院だけで現在50人を受け入れています。彼らのために敷地内の建物の一つを改装し、彼らが生活できるようにしました。もちろん食事も提供しています。また、女性たちの中には仕事を探しに出かける人もおり、子供たちは学校に行くので、うまく順応できるように、ポーランド語を教えています。

 そうしている間にも、避難民の入国は続いています。私は先週の土曜日に首都のワルシャワに出掛けましたが、ハンガリーのブダペストから、たくさんのウクライナ避難民、特に女性と子供たちが到着していました。他の欧州諸国は、避難民の滞在を3か月しか認めていませんが、ポーランドでは現在、18か月の滞在を認めています。ここから、さらにカナダやドイツ、米国に行こうとする人もいます。

Q: ウクライナからの避難民のうち、ポーランドの修道会が関わった人の数はどれほどでしょう?

A: 私が持っている統計によると、現時点で、ポーランドの女子修道会が550か所の修道院や関連施設を避難民に開放し、約2万1000人を支援しています。滞在期間は、数日、10日など様々で、短期滞在の後、仕事を見つけて別の所に引っ越した人もいれば、海外に出た人もいます。

Q: 1つの修道院で1000人以上のウクライナ人を受け入れている、という話もありますが?

A: それは事実ですが、そうした修道院は国境にあり、人々は数日の短期滞在です。食事をし、睡眠をとり、必要なものを手に入れたら、他の町に移って行きます。

Q: 収容している避難民への食事の提供はどうしていますか。光熱費なども含めた出費の増加にどのように対応していますか?

A: 私たちの修道院は、ポーランド西部のラチブシュにあります。特にロシアがウクライナ侵攻を始めた当初は、自宅に避難民を受け入れることのできない多くの住民が、私たちのところに「避難民のために」と食料、衣服、薬などの物資を持ってきてくれました。今はめったにそういうことがないので、費用は修道院で負担していますが、カリタス・ポーランドや、ローマの修道会総長連盟を通しヒルトン財団から、そして米国その他の国の多くの財団から財政支援を受けています。また、国にも、非難民を受け入れている一般家庭と同様、いくらかの支援を求めることができます。そして、私たちは国際的な修道会なので、その助けを得ています。

Q: ロシアのウクライナ侵攻が始まった時の、ポーランドの人々が見せた対応をどう思われましたか?

A: 本当に驚きました。感動的でした。 私は第二次世界大戦前にドイツの一部だった地域の出身です。ドイツ系の人々がいて、戦争中にロシア軍が私たちを酷く苦しめました、当時を知っている年配の人たちは、そうした苦しみを覚えています。 ですから、非難してくるウクライナ人を迎えようと何人のもポーランドの人々が国境に行くのを見て、とても心を打たれました。

 多くの家庭がウクライナの人々を自宅に受け入れ、よく世話をしてくれていますが、何か月も続けるのが難しい家庭もあります。速やかに平和が回復され、人々が政府の適切な支援を受けて、故郷に戻れるのを願っています。 また、多くの避難民はウクライナに戻ろうとする一方で、長期滞在が認められていない欧州の他の国々からポーランドに来る人が続いている、ということも指摘しておきます。

Q: あなたが出会ったウクライナ人のほとんどが帰国を希望しているのでしょうか?

A: 私の知る限り、そうです、彼らはどうしても戻りたいのです。彼らは、私たちと非常によく似ていて、自分の国をとても愛しています。非難している間も、心はウクライナにあり、自分の子供たちの未来を確かなものにするために、どうやって働けばいいかを考えています。ウクライナに関するニュースを絶えず追っています。
Q: ウクライナ侵攻が始まって以来、夜遅くまで眠れずに心配していることがありますか?
A: 私の活動に資金援助を受けていますが、光熱費が高騰を続けるなど、支援活動に支障が出ないか心配です。それよりももっと心配なのは、私たちが与っている避難民の家族のことです。ロシアの軍事侵攻で多くの家族が離れ離れになっており、父や夫、兄弟はウクライナに留まっています。彼らの心理的な苦痛がとても気がかりです。多くの人々が悲しみに打ち勝ち、ロシア人を赦すことは難しいかもしれません。軍事侵攻が始まる前は、多くのウクライナ人とロシア人は友達同士でしたが、和解には、時間がかかるのではないかと心配しています。

Q: 他に何かおっしゃりたいことは?

A: 私は、ロシアの軍事侵攻の犠牲者を助けるために米国の人々が行っているすべての努力を称賛しています。 彼らは、ウクライナの人々の生活に非常に関心を持っています。 私たちは具体的な支援、物資、資金、そして危機に適切に対処するための貴重な提案を得ることができます。米国政府は、さまざまな方法で私たちを本当に助けてくれており、具体的な提案をしています。 しかし、他の国々も、もっと多くのことができると思います。

 私は、この戦争がすぐに終わることを祈ります、そして、心の中にウクライナの人たちを持っている私たちは、ロシアの侵攻が止まった時、彼らが自国を再建する準備ができているように望んでいます。ウクライナの人たちには、物的にも、精神的にも、私たちの助けが必要です。そして、 私たちは皆、キリストの希望のメッセージを必要としているのです。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2022年6月4日

・教皇フランシスコの後継者は…まだ枢機卿になっていない人から?(La Croix)

(2022.5.13 La Croix Robert Mickens |Vatican City)

 教皇フランシスコは現在も、ミサ、日曜正午の祈り、一般謁見、さらには海外訪問など積極的な活動を続けているが、間違いなく、教皇としての”最終段階”にある。

 教皇は、膝の痛みのために車椅子の使用を余儀なくされているかかわらず、活動のペースを緩めていない。85歳の教皇は、2013年の3月にローマ司教に選出されたときよりも体重が重く、動作が抑えられている少ない可能性があるが、彼の心は相変わらず健全で機敏に見える。

 だが、高齢と身体的な問題がブレーキになり始めていることは否定できない。近代の教皇で最高齢の記録は1903年に93歳で亡くなったレオ13世だが、フランシスコはこの10月で、それ以後の最高齢教皇だったベネディクト16世の引退時の年齢を超える。

 そうしたことから、教会史上初のイエズス会出身の教皇の後継者についてのうわさ話が、バチカン関係者の間でかまびすしくなりはじめているのだが、教皇選挙権を持つ枢機卿(彼ら自身も潜在的な候補者だが)がどのような判断をするのか、予測は難しい。フランシスコがこれまでに選任した枢機卿は極めて多様であり、大半が知名度が低く、カトリックの人口が少ない地域出身者だ。しかも、国際的な活動経験のないの者がほとんどだ。

*数字が教えるのは…

 現在、教皇選挙に投票する資格をもつ80歳未満の枢機卿は117人いる (教皇が選挙権を剥奪したアンジェロ・ベッチウ=73歳=は含まれない)が、6月6日の時点では、116人に減る。そして、フランシスコによって任命された枢機卿は、このうち67人。前任のベネディクト16世任命は38人、残りの12人はヨハネパウロ2世の任命だが、メキシコのノルベルト・リベラカレラ枢機卿は6月に80歳を超え、選挙権を失う。

 現在の教皇が、自身の後継者を選ぶ枢機卿の6割近くを任命したという事実は、誰が後継者となるかを考える場合に比較的重要であるものの、枢機卿たちがシスティナ礼拝堂の中に突然、閉じ込められた場合、彼らが誰に投票するかは、定かでない。

 教皇選挙権を持つ117人が一堂に会したことはない。教皇フランシスコは、2013年に教皇職に就いて10年目になるこれまでに、枢機卿団に新しいメンバーを加えるための枢機卿会議を7かい開いているが、2014年2月の最初の枢機卿会議を除くと、枢機卿全員を集める会議を開いたことはない。

 影響力のある、選挙権を持たない”退職枢機卿”92人の動向にも注意が必要だ。彼らは、教皇選挙が行われる直前に、選挙権を持つ枢機卿たちとの間で開かれる会議で、極めて影響力のある役割を果たすことが可能だ。この会議では、ヨハネ・パウロ二世とベネディクト16世が選任した、選挙権を持たない枢機卿の数が、フランシスコが選任した者の3倍に達する。選挙権を持津者と持たない者を合わせた枢機卿の総数209人の全員が、教皇選挙前の会議に参加した場合、フランシスコに選任された者は92人だけとなる。

 枢機卿団が一堂に会する機会は、2014年以降もたれていないことから、彼らを結び付ける具体的な傾向を引き出すことも難しい。彼らが、他の聖職者と区別される唯一の義務、教皇選挙権の行使がなされる時、どのようなタイプの教皇を選ぼうするのだろうか。

*フランシスコが掲げる課題に対応する教皇候補は

 フランシスコが教皇職の間に実現しようとしてきた教会改革の野心的な、そして時には破壊的なプログラムを強く支持する枢機卿は多い。アルゼンチン出身の教皇は、自身が発出した最も重要な文書である使徒的勧告「福音の喜び」で描いた、生き生きと福音宣教を進める教会の青写真を心から受け入れる枢機卿たちから揺るぎない忠誠を表明されている。

 枢機卿団には、フランシスコの課題に取り組む大物がおり、その回勅「ラウダート・シ」と使徒的勧告「兄弟の皆さん」を活動の主たる舞台にしているが、彼らの中に、次期教皇に選出されるのに十分な票を獲得できる者がいるだろうか?

 世界代表司教会議に向けて進んでいる教会改革と”共働性”を作る試み―すべてのレベルでの教会活動と統治の本質的な要素ーがその中心にある。そして、バチカンのシノドス事務局長として精力的に活動しているマリオ・グレック枢機卿は、このカテゴリーでは、次期教皇のトップ候補だ。だが、65歳と若く、健康状態の優れていることが、ヨハネパウロ2世のような”長期政権”に戻りたくないと考える人々には考えされない選択肢だ。

 グレック枢機卿と同じカテゴリーに属し、十分な票を獲得する可能性がある他の枢機卿としては、ボローニャのマッテオ・ズッピ枢機卿(66)が含まれる。彼も”若い”が、アフリカなど、彼の出身母体である聖エギディオ共同体が活発に活動している他の地域との関係は良好だ。

 バチカンの67歳の国務長官、ピエトロ・パロリン枢機卿は、制度的規律の一部を回復しつつ、フランシスコの改革を続けられる人物として、教皇庁全体で関心を持たれている。北イタリア出身のパロリンは、バチカン外交官の道をひたすら歩き、司牧的な姿勢を強調している者の、教区の司祭や司教を務めたことはなく、それが彼の弱点と見なされている。

 他のいわゆる”フランシスコの司教”たちは、おそらく、さまざまな理由で、次期教皇に選出されないだろう。

*”軌道を変えようとする候補者”は

 枢機卿団の中には、フランシスコの進めている方法に懸念を示す者もいる。中には公然と反旗を翻す枢機卿もいるが、大部分は、大人しく黙っている。問題は、彼らの中に、好況として選出されるに足る支持票を得られる者がいるかどうかだ。

 このカテゴリーに属する候補と考えられる者の1人は、ハンガリーのエステルゴム-ブダペスト教区長、ピーター・エルドー枢機卿だ。来月で70歳となる教会法博士は、年齢は理想的。教訓的で教義的に厳格だが、人的関係に細心の注意を払い、つながりを持つことに長けている。欧州司教会議評議会(CCEE)の会長を二期務め、バチカンの公用語であるイタリア語に堪能。ただ、ハンガリーの”泥棒・国家主義政権”に結託しすぎ、という評価が足を引っ張る可能性がある。

 スリランカのマルコム・ランジス枢機卿(74)は、フランシスコの軌道を変えたいと考える”ベネディクト16世保守派”だ。バチカンでの2つの要職と教皇大使などを務め、教会活動に豊富な経験を持つ。かつて熱心だった旧ラテン語ミサ典礼への態度をトーンダウンさせたように見られ、宗教的迫害に対して率直に批判する有力者に浮上している。

 ”軌道変更”のカテゴリーには、レイモンド・バーク枢機卿やゲルト・ミュラー枢機卿のような、さまざまな理由で教皇候補とは目されない人々が含まれる。その一人にロベール・サラ枢機卿を加えたい、という誘惑に駆られるが、それは間違いだろう。6月で77歳になるガーナ人は、仲間の枢機卿、特に仲間のアフリカ人から、丁寧な姿勢と霊性で評価されている。

 極めて保守的な人物が絶対に次期教皇に選ばれることはない、と確信する人は、2005年の教皇選挙を思い起こすといい。

*”妥協が生む候補者”

 教皇フランシスコの後継者は妥協の結果選ばれる可能性が非常に高い。だが、それは必ずしも、その人物が穏健派、あるいは中庸であることを意味しない。有権者の様々な派閥から教皇に選出されるに十分な支持表を得られることを意味するのだ。

 過去12年にわたって司教省の長官を務めてきたフランス系カナダ人のマルク・ウェレット枢機卿は、”軌道を変更”する人物の1人だ。骨の髄までベネディクト16世の弟子である彼は、フランシスコを支持していると見えるように態度を豹変させたが、古典的な神学的、司牧的直感は変わっていない。6月に77歳となるウェレットは”暫定教皇”としては良い年齢だ。

 ピーター・タークソンとチャールズ・ボーもいくつかの点で注目に値する。

 73歳のタークソンは、貴重な経験を積んでおり、バチカンの二つの部署で長を務めた際には、若干の傷を負っている。ガーナ出身の聖書学者で、教区司教を務めたこともある。カトリックの社会教育の強力な推進者だが、性道徳に関しては保守的な考えを持つ。彼の特徴は、典型的なフランシスコ派でもなく、ベネディクト16世派でもないことにあるかもしれない。

 同じく73歳のボーは、2003年からヤンゴン(ミャンマー)の大司教を務めている。アジア司教協議会連盟の会長でもあり、宗教的な差別、迫害、不当な扱いに批判的立場を明確にするカトリック教会の最も強力で信頼できる指導者の1人だ。サレジオ会の会員で、この修道会のほとんどの会員に共通しているように、イタリアで勉強したことがない。

 バチカン福音宣教省の長官であるマニラの元大司教であるルイス・タグル枢機卿は、アジアの主要な教皇候補と目されている。間もなく65歳になるフィリピン人にはある程度の支持が得られる可能性があるものの、ボー枢機卿の宣教司牧における勇気は確実に多くの注目を集めるだろう。

 

*”眠れる候補者”?

 もちろん、現在の有権者の枢機卿の中には、”眠れる候補”や”万能札の候補”がいる可能性もある。通常、ローマの司教は西方典礼(西方典礼)の聖職者から選ばれると考えられているが、東方典礼カトリック教会の枢機卿もおり、教皇に選ばれるのを禁じる規則や規範はない。

 バグダッドのカルデア総主教であるルイス・サコ枢機卿は、おそらくこのカテゴリーで最も説得力のある人物だ。戦争で荒廃したイラクの司教 を20年にわたって務め、7月に74歳になる。東方典礼の司教が教皇に選ばれることは、650年近くも起きていないが、枢機卿以外から教皇を選ぶことは禁じられていない。そうなることに賭けるべきではないが、できる限り最良の候補を見つけるために、網を広くかけるのはいいことだ。

 言うまでもなく、教皇には、聖ペテロの座に就くのに適切な資質を持つ者ー枢機卿ーを選任する権限がある。教皇は、新しい枢機卿を任命するたびに、自分の後継者の候補を指名しているのだ。教皇フランシスコは11月に次の枢機卿会議を開く予定だが、枢機卿団の現在の有権者枠である120人の欠員を補填したり、その枠を超えるようにするために、11月よりも早く開くことを希望する声もある。ローマで好んで言われるように、「次の教皇は、まだ枢機卿になってはいない」かも知れない。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

(注:LA CROIX internationalは、1883年に創刊された世界的に権威のある独立系のカトリック日刊紙LA CROIXのオンライン版。急激に変化する世界と教会の動きを適切な報道と解説で追い続けていることに定評があります。「カトリック・あい」は翻訳・転載の許可を得て、逐次、掲載していきます。原文はhttps://international.la-croix.comでご覧になれます。

LA CROIX international is the premier online Catholic daily providing unique quality content about topics that matter in the world such as politics, society, religion, culture, education and ethics. for post-Vatican II Catholics and those who are passionate about how the living Christian tradition engages, shapes and makes sense of the burning issues of the day in our rapidly changing world. Inspired by the reforming vision of the Second Vatican Council, LCI offers news, commentary and analysis on the Church in the World and the world of the Church. LA CROIX is Europe’s pre-eminent Catholic daily providing quality journalism on world events, politics, science, culture, technology, economy and much more. La CROIX which first appeared as a daily newspaper in 1883 is a highly respected and world leading, independent Catholic daily.

2022年5月23日

・「ウクライナには自衛し、外国から武器供給を受ける権利がある」とバチカン外務局長(Crux)

(2022.5.13 Crux  Rome Bureau Chief Ines San Martín)

 また外務局長は、米国と中国の果たすべき役割についても言及し、「(注:世界平和に強い影響力を持つ米中はじめ)私たち全員が、現在の状況に対して役割を果たす、という道義的責任を負っています」とした。

 そして「この戦争を速やかに停止させ、平和を回復できなかったことで、安全保障の国際的なシステムが弱体であることを示した事実」だが、 「私たちは安全保障の多国間の仕組みを放棄してはならない。逆に強化せねばなりません。米国、中国、そして国連の安全保障理事会のメンバー国のように国際政治に強い影響力を持つ国々は、果たすべき極めて重要な役割を持っており、私たちが直面している緊急性を理解する必要がある」と言明。

 さらに「『重要な役割』とは、『武器供与』だけを意味するのではありません。、外交と対話における『言葉』が最も重要であると私は信じています。ただ、言葉は”道具化”される可能性があり、実際に”道具化”され、人々の不信につながった。私たちの言葉で人々の命が危険にさらされるようなときには、特に誠実さが言葉に必要になります」と語った。

 外務局長はまた、ウクライナ戦争には宗教的側面があり、ロシアのウクライナ軍事侵攻によって、ロシア正教会のキリル総主教とギリシャ正教会のバーソロミュー・エキュメニカル総主教との間に「緊張」が生まれていることを認め、「残念ながら、正教会には、強い国民的アイデンティティ、国家と結びついた側面があることを、私たちは認識せざるを得ない」としつつ、 「ロシア正教会が、ロシア政府を批判、あるいは反対する決定を下すことは非常に困難ですが、教皇が語っておられるように、私たちは真の平和の推進者となるために、このような事態を克服せねばならない」と述べた。

 また外務局長は、教皇が先にイタリアの新聞Corriere della Seraとの会見でキリル総主教が「クレムリンの祭壇の奉仕者」になることを警告されたことについては、「起こり得ることに対しての警告です。正教会、とくにモスクワとイスタンブールとのエキュメニカルな関係は、教皇にとって優先事項。6月中旬に予定されていた教皇と総主教との会談はできなくなりましたが、対話は続けられます」と答えた。

 そして、会談の延期の決定は、教皇の「賢明」な判断であり、「それは、ご自身の行動が前向きな貢献となる必要があり、事態を悪化させるのではなく、平和の道を育む必要があることを、教皇が認識しておられるからです」とし、「教皇には、対話への使命があります。私たちは、どちらか一方にくみすることのないように努めていますが、現在の恐ろしい紛争の解決策を見つけるために、すべての人々の間で対話の場を探しているのです」と強調した。

 マリウポリの製鉄所に閉じ込められた2人のウクライナ兵の妻と教皇が会見するなどの教皇の行為の重要性については、「十分な貢献とは言えませんが、重要なこと。悲惨な現実を変えることができないとしても、できる限りのことをすべきです。『振る舞いの達人』である教皇は、ウクライナから避難して来た何百万人もの人々、特に女性と子供たちに明確な支援のメッセージをだしています。教皇は、彼らのおかれた状況を考える時、涙を流す、と言われますが、これは本当です。教皇は深い感受性を持っておられるのです。彼らが味わっている苦しみを全世界に伝える必要があります」と語った。

(編集・翻訳「カトリック・あい」)

バチカン外務局長ギャラガー大司教、ウクライナを訪問

(2022.5.18 バチカン放送)

 バチカンの外務局長ポール・リチャード・ギャラガー大司教が18日、20日まで3日間の予定でウクライナを訪問した。戦争に苦しむウクライナの人々に教皇フランシスコの寄り添いを伝えるのが目的で、ウクライナ西部のリヴィウ、さらに首都キーウを訪れる予定。

 初日18日、ギャラガー大司教は、ポーランド南東部コルチョバから、アンドリー・ユラシュ駐バチカン・ウクライナ大使とウクライナ司教協議会会長でリヴィウ大司教のミエチスラウ・モクシツキ師に迎えられてウクライナに入り、リヴィウ教区のラテン典礼大司教館を訪れ、教皇フランシスコの名のもとに、ウクライナの人々と国の平和を祈り、祝福をおくった。

 

2022年5月14日

・ウクライナで奉仕中の修道女が告発「ロシア兵たちは、市民を”虐殺”している」(Crux)

French forensics investigators look at remains of bodies of burned civilians exhumed from a grave in the town of Bucha, Ukraine, April 12, 2022. (Credit: Valentyn Ogirenko/Reuters via CNS.)

(2022.4.25 Crux  Contributor irmala Carvalho)

Religious sister in Ukraine says Russian soldiers ‘butchering’ civilians ウクライナ西部で奉仕活動中のインド人修道女が、ロシアの兵士が彼らが侵入した地域で無実の民間人を”虐殺”している、と告発した。

 仏アルザスに本部を置く聖マルコ・聖ヨセフの姉妹会のシスター・リジー・パイヤピリーは現在、ポーランド、スロバキア、ハンガリー、ルーマニアとの国境に近いウクライナのムカチェヴォにいる。この町は、ロシア軍から激し攻撃を受けている東部からの避難民を受け入れ、国外脱出の中継点でもある。

 シスターはCruxの取材に対し、「ロシアのウクライナ軍事侵攻では、武器の乱用だけでなく、罪のない女性と子供に対する虐殺と抑圧、そして残忍な性的暴行も伴っています」と語り、ロシア軍が犯している人権侵害と戦争犯罪の報道が真実であることを確認した。

 *ロシア兵が非武装の男性が至近距離で射殺

 「これが、私たちが『戦争』と呼ぶものの実態なのでしょうか?武器を持たない男性を至近距離から打ち殺し、子供たちの前で若い女性を、母親をレイプし、妊娠中の女性を残酷に傷つける… どうして、こんなに残酷の振る舞いができるのでしょう?」。

 ロシアの軍事侵略が始まって以来、ウクライナ西部の修道院やその他の宗教施設は、避難民を積極的に受け入れてきた。そのほとんどは女性と子供たちだ。「避難して来た女性たち、少女たちは、自分たちが受けた虐待について語ります。ロシア兵から受けた残忍な行為に今も苦しんでいる。女性たちは、”戦争の武器”としてレイプの脅威を心身に刻み付けられています。あるロシア兵は、6歳の息子の前で母親を拷問し、殺害しています」と訴えた。

 *息子の目の前で母親が…そして少女たちも…性的暴行の犠牲に

 さらにシスターは、「残酷な性的暴行を受けた母親は、息子の目の前で、心身の苦しみに耐えられずに亡くなりました。 カーギフでは、車のタイヤの下に6体の女性の遺体が見つかりました。ロシア軍は大量虐殺を行なっており、道端に遺棄された遺体には腕も脚もない。埋葬に何日かかるか分からない状態です」と述べ、 「これは無実の人々の虐殺です。文明社会はそれを承認することはできません」と強く批判した。

 そして、 ウクライナでの悲惨な戦争は「(ロシアが最初にクリミアとウクライナ東部の一部を占領した)8年前に始まりました。2月24日にロシアが始めた今回の軍事侵略は、私たちにとっての”聖金曜日”になりました。イエスがゴルゴタの丘に上ったとき、顔と衣が血で覆われていたことを私たちは知っています。同じことが今日、ウクライナでも起きている。罪のない人の血は至るところで流されています」と語った。

 *侵略が進むほど、さらに多くの無実の人の血が流される

 シスターは、「聖母マリアが愛する子が掛けられた十字架の下で嘆き悲しんだように、ここには、子供たちを悼む多くの母親たちがいます。私は、『マリアがウクライナの母親たちのために、主に執り成しをしてくださる』と確信しています。マリアは、母親たちの痛みを理解なさいます」とする一方で、「ウクライナにとって、ロシアの侵略が進めば進むほど、さらに多くの罪のない人々、特に女性と子供たちが命を落とすでしょう。ここには、ロシア兵に性的暴行を受けた9歳、10歳、そして11歳の少女たちがいる。今日、ゴルゴタは、本当にウクライナにあるのです」と嘆いた。

*聖母マリアは、母親たちの嘆き悲しみを分かってくださる

 それでも気を取り直し、 「主の復活が、(主が亡くなられた)聖金曜日の後に来ることを、私たちは知っています。神が私たちと共におられることを信じ、知っています。主が復活される日も、私たちのためにやってくるでしょう。そして、私たちの苦しみは終わります。復活の夜明けが、私たちにも来るように祈りましょう」と自らを励まし、「イエスは、私たちのために死にました。そして、私たちの苦しみを知っておられ、理解してくださいます。私たちは主の復活、そして、ウクライナにとっての希望と平和の復活を待ち望みます」と力を込めた。

*主よ、害をなす人々の心をあなたに開き、戦いを止めてください

 シスターはまた、歴史を共有する正教会の国であるウクライナとロシアが戦い続けていることを悲しみ、 「神の民が争っている。兄弟が平和から離れ、互いに戦っている。これは悲しむべきこと。どうか、神が、害をなす人々の心をあなたに開かせ、この戦争を止めてくださるように、ウクライナの平和を祈りましょう」とロシアとウクライナの人々、そして世界の人々に訴えた。

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

2022年4月26日

・ウクライナ・マリウポリの母親たちから教皇に助けを求める手紙

An aerial view of Mariupol devastated by the bombingsAn aerial view of Mariupol devastated by the bombings  (ANSA)

 バチカン・人間開発の部署暫定長官のマイケル・チェルニー枢機卿が20日、ロシア軍の攻撃で崩壊寸前のウクライナ・マウリポリの避難所から脱出できずにいる母親たちから、教皇フランシスコ宛てに出した手紙の内容を明らかにした。

 ロシア軍が激しい攻撃でマリウポリのせん滅を図ろうとし、これに対してウクライナ兵たちがアゾフスタル製鉄所に立てこもって抵抗を続けているが、製鉄所の構内には約1000人の市民が避難しており、ウクライナ政府は、彼らを安全に製鉄所から脱出できるよう努めている。

 ウクライナのイリーナ・ベレシチューク副首相は20日の声明で、ウクライナ軍が安全を確保しているザポリージャへの”人道回廊”を設定する「予備的合意」がロシア側と出来ている、とし、20日午後から女性、子供、そして高齢者を対象としてマウリポリ、とくに同製鉄所からの避難が始まるだろう、と期待を述べている。

*マリウポリにはまだ10万人が脱出できずにいる!

 2月24日にロシア軍が侵攻する前に40万人が住んでいた港湾都市マリウポリは、7週間にわたる執拗なロシア軍の攻撃で徹底的に破壊され、数千人にのぼる市民が殺害されているが、なお、推定10万人が、食料、電気、飲料水、負傷者を手当てする医薬品の支援も得られないまま、市内に閉じ込められている。ロシア軍が、同市からの避難を妨害し、約束した”人道回廊”を非難する人々に発砲する事態も伝えられ、動けずにいるのだ。

 

*枢機卿に託された教皇への2ページにわたる手紙

 こうした危機的状況にあるマリウポリの母親たちのグループは、民間人と負傷した兵士を避難させることができるように支援を求める教皇フランシスコ宛ての手紙をチェルニー枢機卿に託した。「マリウポリを守る母たち、妻たち、そして子供たち」が署名した2ページの手紙は、ウクライナ国営テレビ「UATVチャンネル」の記者サケン・アイミュルザエフから枢機卿に渡された。

 枢機卿はVatican Newsに、「この手紙の内容は、教皇がこれまで繰り返し批判されてきた全面戦争の理不尽さに、さらなる証拠を提供するものです」と述べ、教皇の次のような返事を読み上げた。

 「戦争で破壊されたウクライナに平和がありますように。ウクライナは、残酷で無意味な戦争の暴力と破壊によって苛酷な試練に遭わされています。耐えがたい苦痛と死の恐ろしい闇夜の地に、希望の新たな夜明けがすぐに来ますように!平和のための決断をさせましょう。人々を苦しめる“力自慢”に終止符が打たれますように。どうか、戦争に慣れてしまわないように!私たち皆で、バルコニーから、そして街中で、ひたすら平和を願いましょう!」

*人道にもとる大惨事だ

 母親たちの手紙は、数週間にわたる執拗な砲撃によって「灰になり」、「21世紀のヨーロッパにおける前例のない人道にもとる大惨事」の震源地となった、虐待されたこの都市の苦しみと苦しみを語っています。

 署名者たちは、この大惨事が、国際人道法によって保護されるべき人々にとって、「無差別攻撃」、不当な破壊、そして言いようのない苦しみを含む、この都市の包囲の「容認できない」問題に改めて世界の人々が注意を向けるよう、強く求めている。

 

*苦しんでいる人を助けることはまだできます!

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年4月21日

・マリウポリで支援活動中のカリタス・ウクライナのスタッフ、家族7人をロシア軍が殺害

An image of the devastated city of Mariupol in UkraineAn image of the devastated city of Mariupol in Ukraine 

(2022.4.12 Vatican News  Alessandro Gisotti)

   ウクライナへ一方的な軍事侵略を続けるロシア軍は、同国南東部の港湾都市マリウポリで大勢の民間人を殺害しながら、なお陥落を目指して攻撃を続けているが、同地で被災者の支援を続けているカリタス・ウクライナのマリウポリ事務所が攻撃され、カリタスの女性スタッフとその家族、計7人が殺されていたことが、11日明らかになった。

 カトリックの国際援助組織、カリタス・インターナショナルのアロイシウス・ジョン事務総長は「カリタスの仲間たちの悲劇に驚き、衝撃を受けています。悲劇の中にいるカの仲間と家族の皆さんの悲しみに心を合わせます」と述べ、犠牲者たちに深い哀悼の意を捧げた。

 現地のカリタス関係者によると、7人が殺害されたのは、3月15日。ロシア軍の戦車がカリタスのマリウポリ・センターに砲弾を撃ち込み、センターに避難していた2人の職員と5人の家族を殺害した。カリタス・ウクライナのタチアナ・スタウニチイ代表は、「犠牲者の家族のために、皆さんの連帯と祈りが必要です」と訴えた。

 現段階では、マリウポリとの連絡が絶たれているために、現地のカリタス事務所にアクセスできず、カリタス・ウクライナはそこで起きたことを把握するための情報収集を続けている状態だという。

 カリタス・インターナショナル会長のルイス・アントニオ・タグル枢機卿は、Vatican News の取材に対して、「自分たちの命を危険にさらし、戦争で荒廃したウクライナに留まって人々を助け、戦闘を終わらせるよう心から訴え続ける方々の証しは極めて価値あるもの」としたうえ、改めて、ロシア軍の即時攻撃停止を強く求め、以下のように語った。

VN: マリウポリのカリタスセンターが攻撃されました。 2人の女性スタッフを含む少なくとも7人が亡くなっています。この悲劇的なニュースについてどう思いますか?

タグレ枢機卿: 殺害のニュースに深い悲しみとショックを感じます。カリタス・インターナショナルは、亡くなった方々、負傷された方々とその家族の皆さんに哀悼の意を捧げます。このような悲しみを繰り返さないためにも、残忍な行為を一日も早く終わらせ、対話に戻り、すべての人が兄弟姉妹となるために、あらゆる努力をせねばならない、と世界に訴えます。

VN: ウクライナの人たちを助けるために、自分の命を危険にさらしながら、活動を続けている人たちにおっしゃりたいことは?

枢機卿: 命を危険にさらしている男女の方々に心から感謝します。あなたがたは、聖なる行い、聖なる働きをされています。あなたがたは、無私無欲の行いによって、世界を変える真実、正義、愛と平和の種を蒔いています。神は、あなたがたの努力が無駄にならないようになさいます。あなたがたの行いは必ず、実を結びます。

VN: 犠牲になったカリタスの人道支援活動に従事している人々、そして恐ろしい残虐行為のすべての犠牲者を称えるために、私たちには何ができるでしょうか?

枢機卿: 私たちは、人道支援活動をされていた方々とその家族のために祈ることで、彼らの犠牲を心から称えます。私たちは、神が、無欲で奉仕する人たち、正義を行なう人たちの叫びを聴いておられると信じ、人道支援活動を行う組織が提供する奉仕の価値を確認することで、彼らを称えます。神に祈り、平和を願い、そのために働く善意の人々に訴えることで、彼らを称えます。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年4月12日

・欧州のカトリックとキリスト教各派代表が共同声明で、ウクライナの平和回復を訴え

Cardinal Hollerich and Rev. Krieger visit refugees and humanitarian workers on the border between Poland and Ukraine ポーランドのウクライナの国境で、避難の実情を聞くオロリッシュCOMECE(右)、クリーガーCEC両会長 (左)  (Alessandro Di Maio)

    オロリッシュ、クリーガー両会長は声明で、「訪問中に出会った避難民の皆さんや支援者の方々から、ウクライナでの、そして非難してくる途中での人々の悲劇の体験を聴き、ショックを受けた」と述べるとともに、また、軍事侵略ですべてを失った彼らを快く受け入れ、支援を続けている組織の関係者、ボランティア、政府関係者、宗教関係者に感謝の意を表わした。

 そして、「キリストの受難と死の物語は、世界の多くの地域で、特にウクライナの人々が自分の国で、そして非難した場所で経験した苦難、悲劇を映している。だが、神は、キリストを通して、私たちと同じ人間の姿になり、私たちの限界と嫌悪を引き受け、私たちが出会う難局、悲憤、諦観と絶望を、神への信頼を通して希望に変えてくださいます。その変化は、人間の心の中で、そして神が愛する世界で起こります」と避難民たちを激励した。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年4月10日

(解説)教皇の「国連は無力」発言の真意はー安保理事会など主要機関の改革(VN)

Pope Francis addressing the UN, 25 September 2015Pope Francis addressing the UN, 25 September 2015 

    教皇フランシスコが6日の水曜恒例の一般謁見で、「ウクライナにおける今の戦争で、私たちは、国連の諸組織の無力さを目の当たりにしています」と言明され、大きな反響を呼んでいる。

 教皇は、これまでも国連総会へのメッセージや回勅「Fratelli tutti(兄弟の皆さん)」の中で、”世界家族”の具体化を図るための国連改革を提唱し、多国間主義に向けた努力を強く求めてきたが、それらに劣らず、重い意味をもつ。

 この言葉は、次のような厳しい見方が前提となっているー「第二次世界大戦の後、平和の時代の基礎を築く試みがなされました。だが、残念ながら、私たちは(大戦の悲劇から)学ぶことが全くなかったのですね?大国間の競争という”古い話”が続いたのです」と。

 教皇は「国連の役割」と「多国間主義の価値」を固く信じている。「人類共存への新たな地平を模索する中に、私たちが生きている」という確信が、現在の「時代の変化」の中でさらに強められている。彼の前の教皇たち、特に聖パウロ6世、聖ヨハネパウロ2世、ベネディクト16世を受けて、教皇フランシスコは、国連を支持する姿勢や言葉を繰り返し行い、国連の諸機関の無力に苦しめられている国々、人々によって求められている改革を奨励してきた。

 2015年9月25日の国連総会で、教皇は「時の変化に合わせた改革と適応は、国連の究極の目的を追求する中で、欠かすことができません。その目的とは、すべての加盟国に、例外なく、平等の政策決定への参加を実現することです」と訴えた。教皇は就任当初から、特に安全保障理事会、国際通貨基金や世界銀行などの金融機関と各種のグループ、あるいは世界的な経済危機に対処するために作られたメカニズムなど、重要な執行能力を備えた機関における加盟国の公平性の確保を強く求めている。

 そして、教皇は、国連総会へのこのメッセージを、このように締めくくった。 「称賛に値する国連機関の法的枠組みは、将来の世代のための安全で幸せな未来の誓約となり得ます。そして、加盟国の代表たちが、党派的、イデオロギー的な利害にとらわれず、共通善への奉仕へ誠実に努力するなら、その可能性は現実のものとなるでしょう」。私たちの「共通の家」の世話、人々を中心に置いた国際紛争の平和的解決と経済発展において、教皇とバチカンは、多様な問題と関心を取りまとめるために、国連が最もふさわしい場であると判断している。

 2019年12月、教皇とグチエレス国連事務総長は共同のビデオメッセージで、「個人間および国家間の対話、多国間主義、国際的な諸機関の役割、そして、相互評価と理解の手段としての外交に対する信頼は、平和な世界の構築に欠かすことができない」と強調した。

 その数か月後に、新型コロナウイルスの世界的大感染が始まり、人類すべてが”同じ船”に乗っていることを、世界の人々が実感し、多国間主義に力を入れることが一層、重要になった。彼は、2020年9月25日の国連総会の第75回会合のビデオメッセージで、「新型コロナウイルスの世界的大感染は、私たちが互いの存在なしでは生きていけないことを改めて認識するとともに、悪いことに、互いが対立する関係にあることを明らかにしました。国連は、国々を結びつけ、人々の間の架け橋となるために作られています」と述べ、さらに、「紛争に苦しむ私たちの世界は、平和実現へ効果的な国連を必要としています。安全保障理事会の理事国、特に常任理事国は、これまで以上に強い団結と決意を持って行動しなければならない」と訴えている。

 国連改革の主張は、教皇が一昨年に出された回勅「兄弟の皆さん」にも見られる。この回勅で、教皇フランシスコは、特にこのために一項(173項)を設け、国連改革は「世界家族の概念が実際のものとなるために欠かすことができない」とし、「法の支配と、交渉、調停、仲裁による紛争解決」を確実にする必要がある、と強調している。

 6日の一般謁見での発言と同様のトーンで教皇はまた、「国連の組織の問題と欠点は、共同で対処し解決することが可能であり、この組織が”非合法化”されないようにする必要がある」と警告している。このような表現で、「国々が相互理解の道を勇気をもって追求することで一致しないなら、国連は存在価値がない」と教皇は示唆しているようだ。ロシアによるウクライナ侵略の終結、ワクチンの専売特許、あるいは地球温暖化への戦いで、皆が“得る”ことができるように、それぞれが少しばかり”失う”ことを進んで受け入ればならないのか否か。最も重要な課題ー人類の未来ーが危機の瀬戸際にある。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2022年4月8日