・カンタラメッサ枢機卿の「四旬節の小さな黙想」⑤イエスは言われるー「ぜひあなたの家に泊まりたい」と

(2024.3.1 バチカン放送)

 教皇付き説教師カンタラメッサ枢機卿の「四旬節の小さな黙想」の第5回目は、「徴税人ザアカイ」のエピソード(ルカ福音書19章1-10節)で、イエスが木の上にいたザアカイに「急いで降りてきなさい。今日はぜひあなたの家に泊まりたい」という言葉を観想するよう勧めている。

 ルカ福音書19章に登場するザアカイは、徴税人の頭で、金持ちだった。エリコの町を通るイエスを一目見たい、と思ったが、群衆に遮られて見えなかったため、木に登った。その場所を通りかかったイエスは上を見上げ、「ザアカイ、急いで降りてきなさい。今日はぜひあなたの家に泊まりたい」と言われた。ザアカイは急いで降りて、喜んでイエスを迎え、財産の半分を貧しい人々に施す、と約束し、イエスは「今日、救いがこの家を訪れた」と言われた。

 第5回目の内容は次のとおり。

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 私たちが今日一日を共にする言葉、それは、イエスを見るためにいちじく桑の木の上に登ったザアカイにイエスがかけた言葉です。その木のそばを通ったイエスは、彼を見上げて言われました。叱るような口調ではなく、招く口調でした―「ザアカイ、急いで降りてきなさい。今日はぜひあなたの家に泊まりたい」。ザアカイ、私は言う、私の言葉を聞きなさい、ぜひあなたの家に泊まりたいのだ、と。

 この言葉は私たちにとっては、「あなたの生活に親密に関わりたい。群衆の間や、広場や、教会の中で会うだけでは十分でない」という意味。教皇フランシスコの使徒的勧告『福音の喜び』の冒頭の言葉を思い出させます―「私はすべてのキリスト者に、『どのような場、状況にあっても、今この瞬間、イエス・キリストとの人格的な出会いを新たにするように』と呼びかけたいと思います。少なくともイエスとの出会いを妨げないよう、日々努力することをお勧めします」(3項)。

 このようなキリストとの人格的な出会いとは、何によって成り立つのでしょうか。それは、何年も写真だけで知っていた人と実際に出会うようなものです。私たちの人との関係で起きることが、この違いを理解するのを助けてくれるでしょう。それは、ある人を「単に知っている状態」から、「深く愛する状態」に移る時です。

 あなたが若い男性、若い女性なら、これをよく理解できると思います。「深く愛すること」だけが、人生を本当に変えられるのです。それは自然の愛においても、精神の愛においてもです。そして、イエスは、決して失望させることのない愛の対象なのです。

(編集「カトリック・あい」)

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2024年3月2日