・コプト教会が「同性愛者の祝福は受け入れられない」とカトリック教会との神学的対話を中断(Crux)

Pope Francis, right, arrives for his weekly general audience in St. Peter’s Square at The Vatican, with the leader of the Coptic Orthodox Church of Alexandria, Tawadros II, Wednesday, May 10, 2023. (Credit: Alessandra Tarantino/AP.)
(2024.3.9 Crux  Managing Editor  Charles Collins)

 東方教会の中で影響力持つエジプトのコプト教会が7日、「同性愛者への祝福」を認めるというバチカンの方針に対し、「あらゆる形態の同性愛関係」は許容できない、として、カトリック教会との間で続けてきた神学的対話を中断することを確認した。

 バチカンは昨年12月18日に教理省長官の名で“Fiducia Supplicans: On the Pastoral Meaning of Blessings」と題する文書を発表、「結婚に関する伝統的な教会の教義は変わらない」としつつ、「結婚とは程遠い状態のカップルが、教会での祈りに参加する場合」には、個人的な慎重さと知恵を発揮し、 司牧的かつ自然発生的な祝福をもって彼らを神に身を委ねたい」とした。

 この文書は、カトリック教会で大きな論争を巻き起こしており、一部の司教協議会は、「同性愛者のカップルを祝福すると思われるものはすべて拒否する」と言明している。

 7日に発表されたコプト教会の教会会議の声明で、「コプト教会は、あらゆる形態の同性愛関係を拒否する、という確固たる立場を確認する。同性愛関係は、聖書と、神が人間を男性と女性に創造した定めに違反するものであり、どのような祝福も、そのような関係は、罪に対する祝福であり、受け入れられない」と言明している。

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 教皇は1月26日に、「『司牧的かつ自然発生的な祝福』の意図は、さまざまな状況に置かれ、自分の道を前進するために、時には出発するために、助けを求めるすべての人々に対して、主と教会がどれほど親密であるかを具体的に示すことにある」とされ、「強調したいことの1つ目は、これらの祝福は、いかなる文脈や典礼的性格の外であっても、受け取るために道徳的な完全性を必要としない、ということ。 2つ目は、カップルが自発的に(祝福を)求めるために名乗り出たとき、祝福されるのは(同性結婚をした人々)ではなく、単に二人で祝福を求めた人たちだけだ、ということです」と説明されていた。

 だが、コプト教会による今回の動きにより、カトリック教会との関係が冷え込んだように見える。教皇フランシスコとコプト教会の首長であるタワドロス2世教皇は昨年5月10日に初めて会談し、この日を毎年恒例の「コプト教徒とカトリック教徒の友好の日」と定めた。その後、教皇フランシスコが、リビアでイスラム過激派によって斬首されたコプト正教会事務局の職員21人を殉教者として認め、カトリック教会と東方教会の間の最も重要な信仰一致運動の勝利とされ、バチカンのキリスト教一致推進省のブライアン・ファレル長官も「これは関係の新たな時代の始まりだ」と述べていた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2024年3月10日