・「忘れられた人道危機を生きる人びと、ロヒンギャと共に」国境なき医師団が10月8日にトークイベント

(2022.9.27  カトリック・あい)                                              © Elizabeth D. Costa/MSF

© Elizabeth D. Costa/MSF 国境なき医師団(MSF)が、難民や移民の人びとが置かれた状況や医療ニーズについて紹介する「エンドレスジャーニー展・大阪~終わらせたい、強いられた旅路~」を開くのに合わせて、10月8日に大阪の会場とオンラインで、ミャンマー国軍による迫害で5年以上も避難生活を余儀なくされているロヒンギャの人々に光を当てたトークイベントを開催する。

 世界の難民や国内避難民は、国連難民高等弁務官事務所によると1億人*を超えている。しかし、そうした危機に置かれた人びとの声や思いは十分に知られていません。MSF主催のエンドレスジャーニー展は、難民や移民の人びとが置かれた状況や医療ニーズについて紹介するもので、トークイベントもその一環。

 今年の7月にバングラデシュのロヒンギャ難民キャンプを視察した国境なき医師団日本事務局長の村田慎二郎のほか、在日ロヒンギャ女性で通訳・翻訳家の長谷川留理華さん、数々のロヒンギャ難民の現地取材を行ってきたルポライターの増保千尋さんをゲストに迎え、現在進行形のこの人道危機のみならず、ロヒンギャの人びとの文化や歴史についても理解を深めるのが狙いだ。

開催要領は以下の通り。*開催日時=10月8日(土)午後4時半から6時 *会場=関テレ扇町スクエア 1Fイベントスペース(大阪市北区扇町2-1-7)およびオンライン(YouTube)

  *申し込み=https://www.msf.or.jp/event/detail/20221008.html

2022年9月27日

・9月1日から「すべての命を守るための月間」で菊地・司教協議会会長談話

(2022.8.31 カトリック・あい)

 世界のキリスト教諸教派は9月1日からアシジの聖フランシスコの祝日である10月4日までを「被造物の季節」と設定し、共に暮らす家のために祈り、また守るよう呼びかけている。バチカンの人間開発省は、カトリック教会もこのエキュメニカルな活動に参加するよう呼びかけており、日本では「すべての命を守るための月間」としている。

 日本カトリック司教協議会の菊地会長(東京大司教)はこの月間に向けたメッセージを7月20日付けで出している。内容以下の通り。

「2022年すべての命を守るための月間」に向けた日本カトリック司教協議会会長談話

 

                  「被造物の声に耳を傾ける」

 今年の被造物の季節のテーマは「被造物の声に耳を傾ける」で、詩編19編2節~5節から取られています。

 天は神の栄光を物語り 大空は御手の業を示す。昼は昼に語り伝え 夜は夜に知識を送る。話すことも、語ることもなく 声は聞こえなくても その響きは全地に その言葉は世界の果てに向かう。

 私たちは「話せず、語れず、声が届かない」被造物や貧しい人々の叫びに耳を傾けるよう、招かれています。あなたが住む地域では、どんな声が聞こえますか?「人々の圧力によって聞こえないように押し潰されてしまっている声」はありませんか?どうかこの期間に「私たち自身の中での調和、他者との調和、自然やいのちある他の被造物たちとの調和、そして神との調和といったさまざまなレベルで、エコロジカルな平衡を回復」(LS210)していくことができるよう、祈り、身近で実行できる小さな取り組みを行ってください。

 日本の司教団はこれまで、日本の教会としてどのように環境回勅『ラウダート・シ』がうたう総合的な(インテグラル)エコロジーに取り組んでいくのか検討を続けて来ました。現在、その方向性を示す冊子の作成が行われており、今年7月の臨時司教総会では、総合的な(インテグラル)エコロジーの取り組みを推進していくためのデスクが、司教協議会に設置されました。社会問題としての環境への取り組みにとどまらず、キリスト者が個人として、共同体として、霊的にも、社会的にも神と、自然と、他者と調和して生きていくための取り組みを各教区やカトリック関連団体との連携のうちに進めていきますので、皆様のご協力をお願いいたします。

2022年7月20日 日本カトリック司教協議会会長 カトリック東京大司教 菊 地 功

2022年8月31日

・「アジアの司教たちは”シノドス”の精神で若者たちに耳を傾けねばならない」とボ枢機卿‐FABC50周年で

(2022.8.23 カトリック・あい)

 バンコクで22日開かれたアジア司教協議会連盟(FABC)50周年記念式典で、FABC会長でヤンゴン大司教のチャールズ・マウン・ボ枢機卿が講演し、来年秋に予定される世界代表司教会議に向けて教皇が提唱されている”シノドスの道”で、アジアの司教たちに「若者たちの声にもっと耳を傾ける」よう訴えた。

式典を密着取材しているLiCAS.newsが23日付けで伝えたもの。

ボ枢機卿は、この講演の中でまず、「今、アジアの教会とFABCは、非常に困難な時代において岐路に立っている」とし、「紛争、難民の増大、経済の崩壊、脅威を増す気候変動、新型コロナの大感染、そして、何百万人にも上る飢餓に苦しむ人がいる中で、私たちは、この総会に集まります」と述べた。

そして「世俗主義が、伝統的なキリスト教世界では優勢となり、専制独裁主義的な権力が多くの国で標準になりつつあり… 民主主義は危機に直面し、原理主義と宗教的暴力が、世界の平和を脅かしています」と‎世界、アジア、そして教会を取り巻く情勢が危機的状況にあるとの認識を強調。

‎ 「このような困難な状況の中で、アジアの教会がどのような役割を果たすことができるか、自分自身で真剣に考える求められています」と、式典の参加者たちに訴えた。

 さらに、‎「私たちはシノドス的(共働的)な教会になるよう、強く求められています。私たちは、活動的な宣教師になるように、という福音の呼びかけを受け止めねばならない」と強調した。‎

2022年8月23日

改・発足50周年のアジア司教協議会連盟の10月総会前の典礼の集いー教皇も教会刷新へ励ましのメッセージ

‎ 今総会のテーマは「“Journeying Together as People of Asia…. ‘and they went a different way.’(アジアの民として共に旅する…別の道を歩んできた)」とされているが、メッセージの中で教皇は、このテーマは「互いに耳を傾け、対話し、識別する、という世界の教会が歩む”シノドスの道”の幅広い文脈に最もかなったもの」とされ、アジア地域の教会指導者たち140人以上の参加が予定される10月の総会が、アジアの教会が国や地域を超えて、名実ともに”シノドスの道”を歩む契機になることを願われた。‎

 アジアは今、コロナ世界的大感染、ロシアのウクライナ軍事侵攻によるアジアを含む世界の政治・経済・社会への影響、中国の台湾への武力威嚇、そして、ミャンマー国軍の国内少数民族や民主活動家の弾圧、中国政府・共産党による新疆ウイグル自治区でのイスラム系少数民族への虐待、中国国内のカトリック”地下教会”への弾圧、香港の陳日君・枢機卿や民主運動家への弾圧など、信教の自由を含む基本的人権、それ以上に多くの人々の生命が深刻な脅威にさらされている。さらに教会内部でも、聖職者による女性や弱者への性的虐待と高位聖職者による隠ぺいなど、信頼を大きく損ない、信徒離れをもたらす事態がアジアでも散見されている。

 「FABCは各国の司教協議会による”任意団体”として作られ、実行はそれぞれの司教協議会に、最終的にはそれぞれの司教の判断に委ねられている。つまり、FABCがアジアの教会をその決定に従わせるような仕組みは、存在しない」(スリランカの著名な人権擁護家で the Young Christian Workers Movementの指導司祭などを務めるReid Shelton Fernando神父。La Croixへの寄稿で)と指摘されるFABCが、発足半世紀を迎えた記念すべき総会で、アジアの教会が直面する緊急の課題について、どこまで真剣な議論を進め、在り方そのものも含めて成果を出すことができるか注目される。

2022年8月20日

・ミャンマーのボ枢機卿、軍事政権が「国民への弾圧をエスカレートさせている」と非難

Protests in Myanmar as military junta cracks down on civiliansProtests in Myanmar as military junta cracks down on civilians 

   ボ枢機卿は訪問先のオーストラリアで、スーチー氏判決に関連して、「彼ら(国軍)は、国民すべてを脅しています… 年末までに、完全に支配権を確立することを狙っており、弾圧を強化し、残虐行為と脅迫によって、抵抗させないようにしている」と批判。

 軍事政権は、子供たちを含む国民、2100人以上を殺害、1万5000人を拘束しているが、「今後どうなるのか、政治・社会状況は錯綜、混乱しており、予測が不可能。現在言えることは、村々が焼かれ、破壊され、国民の半分が貧困にあえぎ、何百万人が避難民になっていることです」と深刻化している窮状を訴え、アジアそして世界の国々、国際機関、教会の更なる助けを求めている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

 

2022年8月16日

・国連人権委・独立調査機関年次報告「ミャンマーで人権蹂躙の犯罪行為が激しさを増し、女性と子供たちが深刻な被害を受けている」

 国連人権理事会(UNHRC)の「ミャンマーに関する独立調査メカニズム(IIMM)」が9日発表した、ミャンマーの人権状況に関する年次報告によると、ミャンマーでは国軍による人権蹂躙行為が組織的に行われ続けており、特に女性と子供たちに深刻な影響を与えている。‎

‎ IIMMは3年前に発足以来、約200の情報源から300万件以上の情報を収集、分析を続けており、その範囲は、関係者からの聞き取り、発表された声明、関係文書、ビデオ、写真、ソーシャルメディアから得る資料に及ぶ。

 報告書は、そうした広範な情報から、性的暴行やその他の形態の暴力を含む性的犯罪、および子供に対する犯罪が、ミャンマー軍の治安部隊、武装集団によってなされている、と指摘。また、子どもたちは、両親の代わりに拷問され、徴兵され、恣意的に拘禁されている、としている。‎

 また、2021年2月の国軍によるクーデターと政権奪取以降、「ミャンマーでは、民間人に対する広範かつ組織的な規模と方法で人権を侵す犯罪が行われているという十分な証拠があり、潜在的な犯罪も拡大している。この報告書の作成後の7月25日にもミャンマー国軍によって4人の民間人が処刑されている。‎

‎ 約100万人にのぼるロヒンギャの少数民族は故郷を追われ、大部分が今も、隣接国の難民収容所や国内の収容所で生活を余儀なくされている。‎

 このようなミャンマー国軍による人権犯罪を裁くために国際司法裁判所および国際刑事裁判所で進行中の国際司法手続を支援するため、IIMMは、情報源の同意を得て、犯罪を裏付ける証拠物件の提供などを行っている。

‎ 詳細な情報は https://iimm.un.org/ or contact  iimm@un.org  

 

2022年8月13日

・9日の長崎原爆記念日、カトリック長崎教区は夕刻に「長崎中地区主催」のミサ

(2022.8.8 カトリック・あい)

 広島に続いて長崎に8月9日、午前11時2分、米軍による原爆が投下されて77年を迎えるが、カトリック長崎大司教区は、恒例の平和祈願祭は教区主催の大規模な行事をせず、夕刻からの「長崎中地区主催」の平和祈願ミサ、ロザリオの祈りなどにとどめ、動画配信する。以下は長崎大司教区からのお知らせ。

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 昨年・一昨年と同様に、新型コロナウイルス感染防止のため、長崎教区主催としての大規模な実施はいたしません。今年は長崎中地区主催として行われます。当日の様子は、インターネットを通じてライブ配信することとなりました(予約URLは こちら です)。どうぞご一緒にお祈りください。

 youtubeチャンネル・カトリック長崎大司教区 Roman Catholic Archdiocese of Nagasaki https://www.youtube.com/user/NagasakiCollegio を事前にチャンネル登録しておくとスムーズにご覧いただけます。

■ 平和祈願祭(場所:カトリック浦上教会)日時:2022年8月9日(火)

 *第1部 18時~ 被爆77周年を記念してDVD上映、紙芝居の上演  *第2部 18時30分~ 平和祈願ミサ(主司式:中村倫明大司教) *第3部 ミサ後、ロザリオの祈り *第4部 平和セレモニー

2022年8月8日

・ミャンマー軍事クーデター後、8月5日現在で2158 人が国軍に殺され、逮捕・監禁中が1万1925人

(2022.8.8 カトリック・あい) 

 ミャンマーの人権団体、政治犯支援協会(AAPP)によると、昨年2月の軍事クーデターで政権を握った国軍による民主活動家や一般市民、少数民族などに対する弾圧は現在も続いている。

 8月5日現在でAAPPが確認した数字では、この1年半に2158人が殺害されている。逮捕者は1万1925人に上り、うち1375人が有罪とされ刑務所に入れられ、77人が獄中で死亡。死刑判決を受けた人は119人でうち、うち42人は本人欠席のままの裁判で死刑を言い渡されている。実際にはこれらの数字を上回る人々が犠牲になっているとみられる。

 ごく最近確認された犠牲者は、ミャンマーの最南部、少数民族のカレン族が多く住むタニンダーリ州ダウェイ郡の民間人ソー・ミン氏。8月4日夜に国軍に拘束され、翌5日早朝、同郡のザヤール村近くの幹線道路で遺体となって見つかった。こめかみに銃創があり、ほかにも銃撃された傷が残っていた。‎

Interactive sub-domain for AAPP data: https://coup.aappb.org/

2022年8月8日

・コロナ感染で東京カテドラル・関口教会が8月7日まで、ミサ全面中止に

(2022.7.30 カトリック・あい)

 コロナ感染第7波が急拡大しているが、カトリック東京大司教区の東京カテドラル聖マリア大聖堂・関口教会が、主任司祭元司祭、助祭が感染したことで、7月31日、8月7日のミサが全面中止となった。同教会の30日付けの発表文以下の通り。

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 関口教会として従来基本的な感染症対策の徹底をしていましたが、東京は新型コロナウィルス感染症第7波の記録的な感染爆発にあります。主任司祭の私天本とピルジュン神父様は7月27日に陽性、三田助祭も陽性となり現在入院されています。また、こどもたちの感染も増えています。

第7波は感染リスクが非常に高いと判断し、7月31日、ならびに8月7日の主日のミサ(8:00と10:00)を中止といたします。 関口教会としての対応を7月30日現時点で以下のように致します。

1.7月31日、8月7日主日のミサ中止 7月31日、8月7日主日のミサ8:00と10:00のミサを中止といたします。主日のミサは8月14日から再開予定です。 8月14日主日のミサ(8:00と10:00) 8月15日聖母被昇天の祭日(7:00と18:00)

2.週日(月~土 朝7:00)のミサと聖体礼拝(木 13:00~16:00) 7月28日(木)~8月6日(土)までの週日のミサと聖体礼拝を中止とします。 週日のミサは8月8日(月)から再開予定 聖体礼拝は8月11日(木)から再開予定

3.事務室お休み 7月31日(日)から8月14日(日)まで事務室をお休みといたします。この期間は従来の夏休み期間を含んでいます。8月15日(月)から事務室再開予定 関口教会の皆さんには、ご不便とご迷惑をおかけしますがご理解とご協力をお願いします。この状況において、教会のために懸命に奉仕してくださっている方々にあらためて感謝するとともに、医療現場を支えるすべての職種の方々の上に励ましと慰めが与えられるように、ともに祈りましょう。

関口教会主任司祭 天本昭好神父

2022年7月31日

・「キリストの平和において勝利を」8月平和旬間へ日本司教協議会会長談話

(2022.7.17  カトリック・あい)

 8月6日からの教会の平和旬間を前に、菊地・東京大司教が、東京教区の信徒あてと別に、日本の司教協議会会長として、我が国の全信徒あての談話を発表した。全文次の通り。

(「カトリック・あい」では、一部ひらがな表記になっている部分を、新聞など一般に使用されている当用漢字表記に修正しました。「命」などには漢字自体に深い意味があり、文章としても読みやすく、意味が通じやすい、との判断からです。「命」の成り立ちは「令」に「口」を合わせたもので、「祈りを捧げる人に神から与えられるもの」という意味が込められています。ひらがな表記では、そのような意味は伝えられません。日本のカトリック教会が、なぜ、「命」や「私」をわざわざ「ひらがな表記」にする”慣習”があるのでしょうか。)

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2022年平和旬間 日本カトリック司教協議会会長談話 「平和は可能です。平和は義務です」

 平和が暴力的に踏みにじられた年になりました。命の尊厳がないがしろにされ、その保護が後回しにされる年になりました。

 私たちは、2022年の平和旬間を、また新たな命の危機の現実の中で迎えます。2年以上にわたる感染症の脅威の中で教皇フランシスコは、命を守り、その危機に立ち向かうには連帯が不可欠だと強調してきました。2020年9月2日には、この危機的状況から、以前よりよい状態で抜け出すには、「調和のうちに結ばれた多様性と連帯」が不可欠だと呼びかけています。

 しかしながらこの半年の間、私たちの眼前で展開したのは、調和でも多様性でも連帯でもなく、対立と排除と暴虐でした。

 感染症による命の危機に直面する世界では、戦争こそしてはならないはずです。しかし、世界の指導者たちの考えは、私たちとは異なるようです。

 ウクライナへのロシアの武力侵攻は、平和を求めてこれまで積み重ねてきた国際社会の努力を踏みにじる大国の暴力的行動として世界に大きな衝撃を与えました。そして、命を守り平和を希求する多くの人の願いを顧みることなく事態は展開しています。

 感染症の状況の中で、私たちは互いに支え合うこと、互いの命を思いやること、つまり連帯して支え合うことこそが、命を守る最善の道であることを体験から学びました。平和とは、単に争いがない状況のことではなく、争いが起こりうる社会のさまざまな要因を取り除き、互いが支え合いながら命を生きる状況のことです。

 しかし戦争によって暴力的に命を奪われる多くの存在に触れ、その理不尽さに心が打ちのめされるとき、湧き上がる恐怖と怒りは、思いやりや支え合いを、感情の背後に追いやってしまいます。今世界は、暴力によって平和を獲得することを肯定する感情に流されています。しかしそれは、真の平和を踏みにじることにしかなりえません。

 今年の復活祭メッセージで、教皇フランシスコはこう呼びかけました。

 「どうか、戦争に慣れてしまわないでください。平和を希求することに積極的に関わりましょう。バルコニーから、街角から、平和を叫びましょう。「平和を!」と。各国の指導者たちが、人々の平和への願いに耳を傾けてくれますように」(2022年4月17日)。

 同時に、戦争という事実があまりにも大きい力をもっているため、その陰で、多くの命の危機が忘れ去られています。さまざまな理由から祖国を追われ避難の旅路にある人たち、経済状況からいのちをつなぐことが難しい人たち、政治や信条に対する迫害から命の危機に直面する人たち――。

 こうした、長年にわたって放置されている人間の命に関わる課題も、世界には山積しています。私たちの周囲にも、法律の狭間で翻弄されながら助けを求めている人はいます。神から与えられた賜物である命は、その始まりから終わりまで守られなくてはなりません。

 互いに支え合ってこの共通の家で生きる私たちは、「人間の命と、地球上のあらゆる形態の命を守ることが求められていることを認識し、エコロジカルな正義を推進するよう」求められています(ラウダート・シ目標2)。

 平和旬間を迎え、私たちはさまざまな角度から平和について学び行動する時を与えられています。

 「すべての戦争は全人類に影響を与え、死別や難民の悲劇、経済危機や食糧危機に至るまで、さまざまな後遺症をもたらします」。そう述べたうえで教皇フランシスコは、復活祭メッセージを次のような呼びかけで締めくくっています。

 「兄弟姉妹の皆さん、キリストの平和において勝利を収めましょう。平和は可能です。平和は義務です。平和はすべての人が責任をもって第一に優先するべきものです」。

 皆さん、この平和旬間に、「暴力によらない平和は可能だ」と、「連帯こそが平和を生み出すのだ」と改めて声を上げ、行動しましょう。

2022年7月7日 日本カトリック司教協議会会長 カトリック東京大司教 菊地 功

2022年7月17日

・「ミャンマーとウクライナの人たちのために祈ろう」8月のカトリック平和旬間に向けて菊地・東京大司教がメッセージ

(2022.7.16 カトリック・あい)

 8月6日から15日にかけて、日本の教会は恒例の平和旬間を迎えるが、菊地・東京大司教が15日付けで、同旬間を前にしたメッセージを発表した。内容以下の通り。

2022年平和旬間にあたって

カトリック東京大司教区の皆様      カトリック東京大司教区 大司教 菊地功

平和旬間にあたり、今年もミャンマーの人々を忘れずに、祈りましょう

 平和という言葉が暴力によって踏みにじられる中で、今年も8月6日から15日まで、日本の教会は平和旬間を迎えます。

 2年以上にわたって、感染症による命の危機に直面する世界で、優先するべきなの命を守るために連帯することです。しかし、世界の現実は、全く異なる様相を見せています。

 ロシアのウクライナへの武力侵攻は、平和を求めてこれまで積み重ねてきた国際社会の努力を踏みにじる大国の暴力的行動として世界に大きな衝撃を与え続けています。姉妹教会であるミャンマーの状況は、2021年年2月に発生したクーデター以降、全く解決する兆候を見せていません。

 私たちの国でも、先日の参議院選挙期間中に、安倍晋三元総理が銃撃され、命を暴力によって奪われるという衝撃的な事件が発生しました。私たちの「共通の家」は、まるで暴力によって支配されているかのようです。

 1981年に日本を訪問された教皇聖ヨハネ・パウロ2世は、広島での「平和アピール」で、「戦争は人間の仕業です。戦争は人間の生命の破壊です。戦争は死です」と、平和を呼びかけられました。その言葉に触発されて、日本の教会は、戦争を振り返り、平和を思うとき、平和は単なる願望ではなく具体的な行動が必要であることを心に刻むために、この10日間の平和旬間を定めました。

 「戦争は人間の仕業」であるからこそ、その対極にある平和を生み出すのは、やはり「人間の仕業」であるはずです。「戦争は人間の生命の破壊」であるからこそ、私たちは神からの賜物である命を守り抜くために、平和を生み出さなくてはなりません。「戦争は死」であるからこそ、私たち命を生きている者は、戦争を止めさせなくてはなりません。

 77年前、世界を巻き込んだあの暴力的な戦争が終わった時、私たちは戦争に至った道を振り返り、反省し、二度と同じ過ちを繰り返さないことを誓ったはずでした。しかし、世界はその後も、暴力をもって互いの相違を解決するような行動を続けてきました。その度ごとに、教会をはじめ平和を希求する多くの人が声を上げ、平和の大切さを繰り返し主張してきました。

 しかしこの二年半、感染症による命の危機の中で、世界は守りの姿勢を強めて内向きになり、あたかも、異質な存在を排除することや連帯ではなく、対立することを良し、とするかのような道を歩んでいます。今こそ、過去を振り返り、現在の歩みを見極めながら、未来に向かって平和の大切さを主張し歩みを進めるときです。

 2022年の平和旬間は、ウクライナをはじめ世界全体の平和を祈ると同時に、改めて東京教区の姉妹教会であるミャンマーの教会に思いを馳せ、ミャンマーの人々のために、またその平和のために祈る時を、継続したいと思います。

 暴力の連鎖があるかのような世界の状況のなかで、次々と出現する悲劇的事態に、世界の関心は移り変わっていきます。その中にあって、地域の平和を乱す状況は一朝一夕では解決しないがために、「古い」事態は忘れ去られてしまいます。だからこそ私たちは、姉妹教会であるミャンマーのことを忘れず、今年も改めて、ミャンマーの平和のために祈り続けたい、と思います。

 ご存じのように、2021年2月1日に発生したクーデター以降、ミャンマーの国情は安定せず、人々と共に平和を求めて立ち上がったカトリック教会に対して、暴力的な攻撃も行われています。ミャンマー司教協議会会長であるチャールズ・ボ枢機卿の平和への呼びかけに応え、聖霊の導きのもとに、政府や軍の関係者が平和のために賢明な判断が出来るように、弱い立場に置かれた人々、特にミャンマーでの数多の少数民族の方々の命が守られるように、信仰の自由が守られるように、この平和旬間にともに祈りましょう。

 今年もまた具体的な行動として、8月7日の主日は「ミャンマーの人々のため」の意向でミサを捧げ、特別献金をお願いいたします。皆様の献金は、東京教区のミャンマー委員会(責任者、レオ・シューマカ師)を通じて、ミャンマーの教会に届けられます。

 なお、今年も感染症の状況が改善しない中、例年カテドラルで土曜日に行われていた「平和を願うミサ」や平和巡礼ウォークについても行わず、8月7日の主日10時に、関口教会のミサをその意向を持っての大司教司式ミサといたします。それぞれの小教区でも、この日の主日ミサで、ミャンマーの人々のためにお祈りください。

 神の望まれる平和が、この世界に実現しますように。御旨が行われますように。

                                              以上

2022年 カトリック東京大司教区 平和旬間
平和を求める祈り

いつくしみ深い父よ
すべての悪からわたしたちを救い
現代に平和をお与えください

現実を変えるにはあまりに無力だと感じる時
小さな一歩が
小さな祈りが
あなたの正義を実現するための力となることを
教えてください

暗闇の中に取り残されているミャンマーの兄弟姉妹が
闇を打ち破る希望の光に照らされ
真の平和と和解を実現することができますように

暴力が支配する世界の各地で
あなたのみこころが行われ
平和が実現しますように

平和の王であるあなたの御子
イエスキリストによって
アーメン

聖母マリア、私たちのために祈ってください。
アーメン

2022年7月16日

・東京大司教区がコロナ再燃警戒期間の解除に伴う措置を発表・原則現行維持

(2022.5.23 カトリック・あい)

 東京都がコロナ感染の再燃を警戒する期間を解除したのを受け、カトリック東京大司教区は23日、「リバウンド警戒期間の解除に伴って」のお知らせを、全小教区に対して通知した。それによると、現在の「ステージ3」の感染対策を原則として継続するが、ミサの参加を、「所属教会のみで」としていたのを、「可能な限り、ご自分の所属教会に」とするなど、若干緩和している。お知らせの全文以下の通り。

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リバウンド警戒期間の解除に伴って」

カトリック東京大司教区の皆さんへ カトリック東京大司教区 大司教 菊地功

 東京都と千葉県では、3月21日にまん延防止等重点措置が解除になり、その後東京都では5月22日までリバウンド警戒期間とされてきました。同警戒期間も解除されたことに伴い、現在の感染状況や小教区における状況を勘案したうえで検討の結果、以下のように対応を変更することにいたしましたのでお知らせいたします。

 東京教区内の小教区などにおいて、感染症対策にご協力いただいている皆様に、心から感謝申し上げます。

 東京教区においては、5月23日以降、基本的には現在のステージ3の感染対策を継続して、感染予防対策に努めることとします。なお現状に鑑み、多少の緩和を講じますので、添付の一覧をご参照の上、小教区などにおける感染対策にあたってください。

 なお、それぞれの教会で事情が異なりますから、教区の感染対策は対応の指針として参考にされ、それぞれにふさわしい独自の対応をお取りください。

 この困難の中で、感染症への対策にご協力いただいている皆様に、心から感謝いたします。自分の身を守るだけではなく,教会内外の他の方々への十分な配慮をもって、お互いのいのちを守るための隣人愛の積極的な行動を取るように努めましょう。

 間もなく聖霊降臨を迎えようとしています。この困難な時を一日も早く乗り越えることが出来るように、聖霊の豊かなめぐみと導きがわたしたちにあるように、父である神に、ともに祈り求め続けましょう。祈りには力があります。   以上

<参照>

2022年5月23日以降におけるステージ3の対応指針 (下線部が変更点です)

1:  聖堂内で、互いに十分な距離を保つため、入堂人数の制限をします。生活をともにする家族は、一緒に着席して構いません。充分な換気が出来ない聖堂構造の場合は、十分な距離を取ることに特に留意します

 対策の具体的な方法について、主任司祭、または施設の責任者の指示に従ってください。また、可能な限り、ご自分の所属教会のミサに参加してください。なお小教区は、感染が発生した場合に保健所の要請に応えるため、ミサ参加者の情報を把握します。情報の取り扱いには注意し、後日破棄します。

2:  高齢の方・基礎疾患のある方は、できる限りご自宅でお祈りください。ただし、教会での年齢制限は行いません。ご家族から懸念が表明されたときも、ご自宅でお祈りください。なお、主日のミサにあずかる義務は、教区内のすべての方を対象に引き続いて免除します。

3:  2020131日以降の当初から行われてきた手指消毒など感染症対策を充分に行い、換気を保ち、しばらくの間、建物内ではマスクを着用してください。

4:  ミサや集会などでは、全員で一緒に唱える事を控えます。広い空間があり充分に換気が出来る場合、聖歌隊の歌唱や独唱は可能ですが、マスクを必ず着用してください。

5:  しばらくの間、ミサでの奉納も行いません。またしばらくの間、聖体拝領は、必ず拝領の直前に消毒をした手でお受けください。口での拝領を希望される方は、特に司祭の手指を介した他者への感染を防ぐため、事前に司祭にご相談ください。

6:  ミサ以外の、会議や会合、集い、勉強会などの対面の活動は、会場の収容人数(定員の半分程度)や換気、時間(最大でも1時間半程度)に慎重に配慮しながら、実施してください。なお食事を伴う行事は控えてください。

7:  ゆるしの秘跡については、部屋の換気にご留意ください。なお2020年3月26日付の、「一般赦免に関する使徒座裁判所内赦院からの通達に関して」の公示は、現在も有効です。

付記:聖体を授ける司祭や臨時の奉仕者は、必ず直前に手指を消毒し、マスクを着用してください。信徒の方に「聖体授与の臨時の奉仕者」をお願いすることも、主任司祭の判断にゆだねます。

 なお、マスクはワクチン接種の有無にかかわらず着用してください。フェイスシールドはマスクの代わりにはなりません。フェイスシールドを使う場合でも、マスクを併用ください。また、不織布マスクを使用されることをお勧めします。

2022年5月23日

・「ともに耳を傾け、ともに歩もう」をテーマに22日から「ラウダート・シ週間」ー菊地司教協議会会長が談話

(2022.5.17 カトリック・あい)世界のカトリック教会は環境回勅「ラウダート・シ」の公布から7年目となる今年、5月22日から29日を「ラウダート・シ」週間として各種の行事を行う。その週間に先立って、日本カトリック司教協議会の菊地功会長(東京大司教)が以下の会長談話を発表している。全文以下の通り。

ともに耳を傾け、ともに歩もう ~2022年ラウダート・シ週間にあたって~(2022年5月22日~29日)】

 教皇フランシスコは、2015年5月に回勅「ラウダート・シ ともに暮らす家を大切に」を発表され、全世界に向けて、「わたしたち皆がともに暮らす家」を大切に守るという視点から、エコロジーの様々な課題に総合的に取り組むことを呼びかけられました。すべての被造物は互いにすべてつながっているがために、互いの調和のうちに生きていく道を探ることの重要性を教皇様は強調され、教会全体としてこの課題に取り組むように求めておられます。

日本の司教団は、2019年11月の教皇訪日を受けて、教皇フランシスコが日本から世界に向けて発信されたさまざまなメッセージを具体的に生きていくために、訪日のテーマである「すべてのいのちを守るため」を深め、黙想し、祈り、行動するために、特別な期間を設けることにしました。そこで毎年9月1日から10月4日を、「すべてのいのちを守るための月間」として、昨年からその取り組みを始めました。「ラウダート・シ」に記されたメッセージこそ、教皇が日本から世界に向けて語られた、賜物であるいのちへの強い思いを具体化するものだからです。

 同時に司教団は、環境問題へさらに真摯に取り組むため、取り組みの方向性と理解を包括的に示す文書を作成し、現在、書籍として出版する準備を進め、その具体的な活動についても検討を続けています。

世界の教会に目を向けると、2015年の回勅発表直後に、それまで環境問題に取り組んできたネットワークが発展して、「ラウダート・シ運動」が結成されました。同運動は、教皇庁人間開発のための部署と協働し、毎年、回勅の発表された5月24日前後の一週間を、「ラウダート・シ週間」として、全世界の教会に啓発活動への取り組みを呼びかけています。

今年の「ラウダート・シ週間」は5月22日から29日までとされ、そのテーマが、「ともに耳を傾け、ともに歩もう」とされています。「ともに」と言う呼びかけは、わたしたちが今シノドスの道程をともに歩んでいるからに他なりません。

教皇フランシスコは回勅に、「皆がともに暮らす家を保護するという切迫した課題は、人類家族全体を一つにし、持続可能で総合的な発展を追求するという関心を含んでいます」(13項)と記されました。残念ながら、この数ヶ月、わたしたちはこの共通の家を争いの場としてしまいました。人類家族全体の一致は実現せず、共通の家に対する配慮は後回しにされています。

世界各地の教会とともに、わたしたちもこの「ラウダート・シ週間」に、あらためて教皇様の回勅の呼びかけを学び、その中心的なテーマであるラウダート・シ目標への具体的な取り組みを強めて参りましょう。

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以下は7つの目標とその説明の公式英語文と「カトリック・あい」試訳

Laudato Si’ Goals – LSGs

Measuring Integral Ecology in the spirit of Laudato Si’ 

①The Response to the Cry of the Earth

The Response to the Cry of the Earth a call to protect our common home for the wellbeing of all, as we equitably address the climate crisis, biodiversity loss, and ecological sustainability. Actions could include the adoption of renewable energies and energy sufficiency measures, achieving carbon neutrality, protecting biodiversity, promoting sustainable agriculture, and guaranteeing access to clean water for all.

①地球の叫びに応える

 地球の叫びに応えることは、すべての人々の幸福のために私たちの共通の家を守ること、気候変動危機、生物多様性の喪失、生態系の持続可能性に公正に取り組むことです。具体策としては、再生可能エネルギーと高効率エネルギーの採用、温室効果ガス排出量の全体としてのゼロ達成、生物多様性の保護、持続可能な農業の促進、すべての人にきれいな水が確保などが含まれます。

 

②Response to the Cry of the Poor

The Response to the Cry of the Poor is a call to promote eco-justice, aware that we are called to defend human life from conception to death, and all forms of life on Earth. Actions could include projects to promote solidarity, with special attention given to vulnerable groups such as indigenous communities, refugees, migrants, and children at risk, analysis and improvement of social systems, and social service programmes.

②貧しい人々の叫びに応える

 貧しい人々の叫びへに応えることは、環境正義(肌の色や出身国、所得の多さにかかわらず、誰もが公正に扱われ、安全な環境で暮らせるようにすることの提唱)を推進すること、受胎から死に至る人間の生命を、そして地球上のあらゆる形の生命を守るよう求められていると認識することです。具体策としては、先住民コミュニティ、難民、移民、危険にさらされている子供などの脆弱なグループへの特別な配慮、社会システムの解析と改善、社会福祉の諸制度によって、連帯を促進する事業などが含まれます。

 

⓷Ecological Economics

Ecological Economics acknowledges that the economy is a sub-system of human society, which itself is embedded within the biosphere–our common home. Actions could include sustainable production and consumption, ethical investments, divestment from fossil fuels and any activity harmful to the planet and the people, supporting circular economies, and prioritizing care labour and protecting the dignity of workers.

⓷環境経済学

 環境経済学は、経済が人間社会の一部を構成するシステムであり、それ自体が、私たちの共通の家である生物圏に組み込まれていることを、認めています。 具体策には、持続可能な生産と消費、倫理的投資、化石燃料および地球と人々に有害な活動からの脱却、循環型経済の促進、介護労働の優先的扱い、労働者の尊厳の保護が含まれます。

 

④Adoption of Simple Lifestyles

The Adoption of Sustainable Lifestyles is grounded in the idea of sufficiency, and promoting sobriety in the use of resources and energy. Actions could include reducing waste and recycling, adopting sustainable dietary habits (opting for a more plant-based diet and reducing meat consumption), greater use of public transport, active mobility (walking, cycling), and avoiding single use items (e.g. plastic, etc.).

④簡素な生活様式の採用

 持続可能な生活様式の採用は、資源とエネルギーの利用において効率と節度を促進するという考えに基づいています。 具体策としては、廃棄物の削減と再資源化、持続可能な食生活の採用(植物系の食事を選び、肉の消費を削減するなど)、公共交通機関の利用拡大、徒歩や自転車などの活用、プラスチックなど使い捨て品の利用を避けること、などが考えられます。

 

⑤Ecological Education

Ecological Education is about re-thinking and re-designing curricular and institutional reform in the spirit of integral ecology in order to foster ecological awareness and transformative action. Actions could include ensuring equitable access to education for all and promoting human rights, fostering Laudato Si’ themes within the community, encouraging ecological leadership (students, teachers), and ecological restoration activities.

⑤環境教育

 環境教育とは、環境保護への意識と変革のための行動を促すために、「 integral ecology(統合的環境)」*の精神に基づいたカリキュラムと教育制度の改革について再考し、再設計することに関するものです。具体策としては、すべての人が教育を公平に受けられることを確実にし、人間としての権利を推進し、共同体社会の中で「ラウダート・シ」の課題への取り組みを育て、学生や教員が環境問題への取り組みで主体性を発揮するよう奨励し、環境回復の活動をする目ること、などが含まれます。

 *「 integral ecology」とは、「ラウダート・シ」における中心的な考えであり、「すべてのものはすべてのものと密接に関わっていて、無関心でいられるものなど何ひとつない」という教皇フランシスコとの考え方が軸となった概念(カトリック・あい注)

 

⑥Ecological Spirituality

Ecological Spirituality springs from a profound ecological conversion and helps us to “discover God in all things”, both in the beauty of creation and in the sighs of the sick and the groans of the afflicted, aware that the life of the spirit is not dissociated from worldly realities. Actions could include promoting creation-based liturgical celebrations, developing ecological catechesis, retreats and formation programmes, etc.

⑥環境的霊性

 環境的霊性とは、深遠な環境的回心から生まれ、私たちが、すべてのものの中に神を見い出すのを、創造物の素晴らしさ、そして病にある人のため息、苦しむ人のうめき声の中に、霊的生活がこの世の現実と切り離されていないことを認識するのを助けてくれます。具体的には、創造に基礎を置いたミサ聖祭の促進、環境的な教理教育、黙想、養成プログラムの策定などが含まれます。

 

⑦Community resilience and empowerment

Community resilience and empowerment envisage a synodal journey of community engagement and participatory action at various levels. Actions could include promoting advocacy and developing people’s campaigns, encouraging rootedness and a sense of belonging in local communities and neighbourhood ecosystems.

⑦共同体社会の回復力とエンパワーメント(empowerment)

 共同体社会の回復力とエンパワーメントは、さまざまなレベルの共同体社会の関与と参加型の活動の”共働の旅”を想定しています。 具体策には、社会的弱者などの権利主張代弁の推進する、人々の組織的運動を進展させる、地域社会と近隣の生態系の関係を根付かせ、帰属意識を促すことなどが含まれます。

*empowermentとは、よりよい社会を築くために人々協力し、自分のこと自分の意思決定しながら生きる力を身につけるようにすること(カトリック・あい注)

 

2022年5月17日

・空席続いた大分教区の新司教に森山信三師

(2022.4.5 バチカン放送)

 教皇フランシスコは5日、大分教区の新司教にスルピス森山信三師を任命された。司教叙階式の日程の詳細については後日発表の予定。

 森山被選司教は、1959年1月17日生まれの63歳。福岡市に生まれ、福岡大学卒後、福岡サン・スルピス神学院入学。1988年、司祭叙階。叙階後は、福岡教区内の小教区主任司祭、幼稚園園長、 カトリック長崎教会管区司祭志願院・福岡コレジオ 院長等を歴任し、2021年4月から、日本カトリック中央協議会事務局長を務めている。

 大分教区では浜口末男司教が2020年12月28日に亡くなって以来、2年余り司教ポストが空席となっていた。また、浜口司教が就任される前も3年間の空席の時期があった。

(編集「カトリック・あい」)

2022年4月6日

・ウクライナの平和を求めて、教皇様と一致して祈ろうー日本の教会も参加

(2022.3.25 カトリック・あい)

 教皇のロシアとウクライナの奉献への参加に呼びかけに対して、日本のカトリック教会もこれに参加することになり、司教協議会の菊地功・会長が23日付けで以下のメッセージを発表した。

 教区の動きは、大阪教区では25日正午から20分間、大阪カテドラル聖マリア大聖堂でロザリオ(ウクライナのため1連、ロシアのため1連)の祈り、聖母マリアへの祈りを行なう集いを開いた。

 東京教区では、教皇の聖ペトロ大聖堂での奉献が日本時間26日未明となるため、26日朝に各小教区、各信徒がそれぞれの判断で祈りを捧げるほか、26日に予定する教区宣教司牧評議会のの冒頭に参加者が共に祈ることにしている。

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ウクライナとロシアを聖母マリアの汚れなきみ心に奉献する 教皇フランシスコと心を合わせて 日本カトリック司教協議会会長呼びかけ

日本のカトリック信者の皆様

 ロシアによるウクライナへの武力侵攻は、2月24日に発生してからまもなく1か月になろうとしていますが、残念ながら戦争状態は継続しており、平和とはほど遠い現実が、毎日のように報道されています。

 命が危機に直面しているこの状況を憂慮され、平和を求めるために様々に努力を続けておられる教皇フランシスコは、聖母の取り次ぎによる平和を求めて、来る3月25日(金)神のお告げの祭日のローマ時間午後5時(日本時間3月26日午前1時)に、聖ペトロ大聖堂において、ロシアとウクライナを聖母マリアの汚れなきみ心に奉献されます。

 なお3月25日は、1984年に教皇ヨハネパウロ2世がロシアを聖母マリアの汚れなきみ心に奉献した日でもあります。
教皇様は、全世界の司教たちに、また司教を通じてすべての信者に、この奉献に一致して祈るようにと呼びかけ、できれば同じ時間に祈りを捧げるようにと招いておられます。

 当日のために準備される祈りは、現時点ではまだ教皇庁から届いていませんが、届き次第、可能であれば翻訳を間に合わせ、ホームページなどでお知らせすることができればと思います。公式の祈りが間にあわない場合でも、教皇様の意向に心をあわせ、平和のためにロザリオの祈りなどをお捧げください。また教皇様の奉献との同時刻は日本では深夜ですので、祈りを捧げるのは翌朝でもかまいません。具体的には、それぞれの教区司教の定めるところに従ってお祈りください。

 聖母の取り次ぎによって、神の平和がこの地上にもたらされ、特にウクライナの地に平和が確立されますように、また賜物であるいのちがその尊厳を守られますように、教皇様と心をあわせてともに祈りをささげましょう。

2022年3月23日 日本カトリック司教協議会 会長 カトリック東京大司教 菊地功

(2022.3.23 東京教区ニュース)

菊池大司教より、東京教区の皆様へ

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 ウクライナにおける戦争状態を憂慮し、平和を求めて様々に努力を積み重ねておられる教皇フランシスコは、3月25日に聖母の汚れなきみこころに、ロシアとウクライナを奉献されることを決められ、世界中の司教に一致して祈るようにと通達を出されました。(写真はファティマにて)

 通達の文書と、それに伴う奉献の祈りの文書は、3月23日午前中に、教皇庁大使館から各司教に送付されてきました。祈りの文章はかなりの長文ですし、用語などに過去の公式の祈りとの整合性を持たせなくてはならないため、現在、中央協議会事務局で典礼委員会の協力の下、翻訳が進められています(カトリック中央協議会による公式訳はこちら)。

 聖母の汚れなきみこころにロシアを奉献すると言うことに関して、その原点は、ファティマで出現された聖母が、ルチアに伝えた第一、第二の秘密に記されています(「ファティマ第三の秘密」教皇庁教理省、カトリック中央協議会2001年4月20日発行)。是非この文書を一度ご参照ください。

 そこにはこう記されています。「けれども、最後には、わたしの汚れない心が勝利するでしょう。教皇は、ロシアを私に奉献し、ロシアは回心し、世界に平和が与えられるでしょう」(同書19頁)。

 また同書を発行した当時の教皇庁教理省の次官であったベルトーネ枢機卿は、「1984年3月25日、バチカンの聖ペトロ広場において、前もって呼びかけておいた世界中の司教たちと霊的に心を合わせ、(教皇ヨハネ・パウロ二世は)「すべての人々と諸民族」を「マリアの汚れないみ心」にゆだねました」と記し、それについて、「シスター・ルチアは、荘厳で普遍的なこの奉献の祈りが、彼女から見ても聖母マリアの望みにかなうものであることをことを認めました。『はい。1984年3月25日は、聖母が望まれたように行われました』。したがって、これ以外にどのような議論や要求にも根拠がありません」とも記しておられます。(同書12頁)

 教皇様はこの聖母の言葉に信頼し、聖母の汚れなきみ心に全人類と、特にロシアとウクライナを奉献されます。さらにファティマにも特使を派遣して、同様に奉献の祈りをささげられます。わたしたちも教皇様に心をあわせ、平和のために祈りをささげましょう。

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 東京教区にあっては、教皇様によるローマでの奉献の時刻が日本では深夜となりますから、同じ時間でなくとも、翌26日の朝などに祈りをささげるものといたします。また26日(土)には教区宣教司牧評議会が開催されますので、その冒頭に、参加者と一緒に祈りをささげます。

 聖母の取り次ぎによって、神の平和がこの地上に実現し、今、命の危機に見舞われているウクライナの地に平和が確立されるように、また賜物である命がその尊厳を守られるように、教皇様と心をあわせてともに祈りをささげましょう。

 

2022年3月25日