(2023.5.2 Crux National Correspondent John Levenburg)
米国の信教の自由委員会、中国など12か国に加えインド、ナイジェリアなど5か国を「特別懸念国」に指定を勧告
宗教差別的政策を証人(承認)、推進している。
米国の信教の自由委員会、中国など12か国に加えインド、ナイジェリアなど5か国を「特別懸念国」に指定を勧告
宗教差別的政策を証人(承認)、推進している。
(Photo Credit: TVB via AP.)
ミサ後に大聖堂の外で地元メディアのインタビューを受けた周司教は、「今回の北京訪問で、李大司教と、若者たちの召命を進める方法についての有益な意見交換ができた」と述べるとともに、司祭や信徒が「国と教会の両方を愛することの重要性」を強調し、「私たちは皆、国と教会を愛することを学ばねばなりません。 誰もが自分の国がうまくいくことを望んでいます。 誰も自分の国が悪くなることを望んでいません。 愛国的であることは義務です。 香港あるいは中国本土に住む人は、自分の国を愛すべきです」と述べた。
・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.
(2023.1.17 中国天主教)
中国カトリック愛国協会について、
リリース時間: 2014-05-30 著者:
中国カトリック愛国協会は 1957 年 8 月 2 日に設立されました。 それは、全国のカトリック司祭と信者で構成される非営利の愛国的で宗教的な大衆グループです。
ご存知のように、新中国の建国当初、中国のカトリックはまだ植民地状態にあり、教会を管理する権利は外国の宣教師の手にありました。 教会を浄化し、福音を広めるために、中国のカトリックの愛国的司祭たちは、中国のカトリック反帝国愛国運動を下から上まで開始しました。
1950 年 11 月 30 日、四川省広源県の 500 人を超えるカトリック信者が、王良左神父が率いる「広源カトリックの自立と革新運動宣言」を共同で発行し、「新しい教会を設立する」という考えを提案しました。それは、自律的で、自立的で、自己増殖的です。」 この宣言は、国の多くの地域でカトリック教徒によって反響されました. 1950 年から 1956 年末にかけて、全国に 200 を超える地元の愛国団体が設立され、全国的な愛国団体である中国カトリック愛国協会を設立する条件が整いました。
1956 年 2 月、中国人民政治協商会議第 2 委員会の第 2 回会合に出席した司教、司祭、信者、および特別に招待された代表者数名は、国務院書記長の習仲勲が主宰するシンポジウムに参加した。 シンポジウムでは、誰もが1955年の反帝国愛国運動と反革命運動の後、カトリック社会の愛国者、特に高級聖職者がさまざまなイデオロギー的制約から解放され、愛国意識を高めたと信じていました。 国家愛国団体設立の条件が整い、その時が来ました。
1956 年 7 月 19 日から 25 日まで、中国カトリック愛国協会準備委員会の準備会議が北京で開催され、36 人のプロモーターが会議に出席した。 会議は満場一致で中国カトリック友好協会の発起人会議の提案を承認し、中国カトリック友好協会大会準備委員会の準備室を設立した。 準備委員会の準備会議の後、周恩来首相は、翌日、中南海の自光閣で開催された会議に出席した世界中の司教、司祭、信者を迎え、自信を持って教会を運営するよう奨励した。
周首相は、「教会が神学校をうまく運営し、能力と道徳的誠実さの両方を備えた司祭を育成することを願っています。財政的な問題があれば、政府はそれを解決するために最善を尽くします。」 周首相のスピーチは参加者を勇気づけました。
1957 年 2 月 12 日から 16 日まで、中国愛国カトリック愛国協会イニシエーター(拡大)会議が北京で開催されました。 瀋陽教区のPi Shushi大司教が招待されました。 会議は、中国カトリック愛国協会を設立することを決議した。
1957 年 7 月 15 日、北京の新橋ホテルで中国カトリック代表会議が開催され、全国 26 の省 (市、自治区) から 241 名の代表 (実際には 237 名) が参加しました。 その中には、11 人の司教、4 人の使徒的首相、58 人の代理司教、代理司教、84 人の司祭、1 人の修道士、9 人の修道女、74 人の平信徒がいます。 8月2日、閉会式が行われました。 すべての代表者は満場一致で「中国愛国カトリック協会の憲法」を可決しました。
憲章は、「協会は中国のカトリック司祭と信者で構成される愛国的で宗教的な大衆組織である」と規定しており、その目的は「全国の司祭と信者を団結させ、愛国心の精神を推進し、社会主義の建設に積極的に参加することです。祖国と様々な愛国運動のために、世界平和を守り、政府が信教の自由の政策を実施するのを支援する.同日に可決された「中国カトリック代表会議の決議」は、「祖国と教会の未来のために、中国のカトリック教会は古い中国の帝国主義を完全に変え、私たちの教会に植民地と半植民地の国家を与え、独立を実行し、中国の司祭と信者自身によって運営されなければなりません.祖国の利益と独立した尊厳を守るために、私たちはバチカンの聖座と純粋に宗教的な関係を維持します.法王に従います.」
中国カトリック愛国協会の副会長、事務局長、副事務局長、および常任委員会のメンバー。 瀋陽教区の毘淑子大主教が、中国愛国カトリック協会の初代会長に選出された。 会議終了の 2 日後、人民日報は「カトリック反帝国主義愛国運動の発展」と題する社説を掲載した。
社説は、「中国のカトリック教徒は、中国で独自のカトリック教会を運営するすべての権利を持っている」と指摘し、「この中国のカトリック代表会議は非常にうまく開催され、カトリック教徒の政治的意識をさらに向上させ、将来の愛への努力の方向性を決定した」と指摘した。国を愛し、教会を愛してください。」
1962年に第2回中国カトリック全国代表大会が開催された際に、名称を「中国カトリック愛国協会」に変更し、それ以来使用されています。
中国天主教主教团について
发布时间:2014-05-30作者:
1980 年 5 月 23 日から 30 日にかけて、第 3 回中国カトリック全国大会が北京で盛大に開催されました。 これは非常に重要な会議であり、中国のカトリックが文化大革命後の包括的な回復と再建の段階に入ったことを示しています。 この会議は、第2回中国カトリック代表会議から18年離れたものであり、「ギャングオブフォー」の粉砕後、カトリックコミュニティの最初の壮大な会議です。
この会議で、中国カトリック司教会議と中国カトリック教務委員会が設立され、当時は「二会一派」と呼ばれていた。 この二つの教務組織の設立は、教務の発展を促進する上で非常に重要な役割を果たしてきました。 宗懐徳司教が愛国協会の会長に選出され、張家樹司教が司教会議の初代会長に選出された。
この会議では、聖職者の後継者を養成するために中国カトリック神学哲学アカデミーを設立することも決定され、「全国カトリック司祭と友人への手紙」と「カトリック司祭と友人への手紙」を発行しました。台湾”。 その後、教務の発展の必要性から、1992年に開催された第5回中国カトリック信者全国代表大会で、全国の組織構造が調整され、元の3つの組織(つまり、「2つの協会と1つの連隊」)が調整されました。
カトリック司教会議と中国カトリック愛国協会の 2 つの機関である学務委員会は、教務を専門とする司教会議の下の委員会に調整されました。 中国のカトリック教会はこれまでに全国代表大会を8回開催し、そのたびに愛国協会と主教会議の憲章を時代に合わせて修正する必要があった。
2010 年 12 月に北京で開催された第 8 回中国カトリック代表会議で、改訂された「中国カトリック愛国協会の憲法」によると、中国カトリック愛国協会の目的は次のとおりです。
共産党と社会主義体制の指導の下、国家の憲法、法律、規則、政策を遵守し、愛国心と教会愛の旗を高く掲げ、独立と自己の原則を堅持する。政治、経済、教会事務の管理、国家主権と教会事務の自治、社会主義の擁護 社会に適応するため、教育事務組織が教会の民主的運営の精神に基づいて司牧伝道に良い仕事をするのを助ける教会; 祖国の統一、国家の統一、社会の調和、宗教の調和を維持し、世界平和に貢献するために、全国の司祭と信者が経済的および社会的発展を促進する上で積極的な役割を果たすように導きます.
「中国カトリック司教会議」は、このグループの目的を次のように規定しています。
第二バチカン公会議の精神を尊重し、信仰の宝庫を維持し、聖霊によって与えられた恵みを用いて福音を広め、聖なる宗教を広め、政治的、経済的、政治的、政治的、政治的、政治的活動における独立と自己管理の原則を遵守する.社会主義社会に適応するために国家の主権と教会の自治を維持し、全国の司祭と信者を団結させて指導し、憲法、法律、規制、政策を遵守し、経済的および社会的促進に積極的な役割を果たします。
祖国の統一、国家の統一、社会の調和、宗教の調和、世界を守ること 国、社会、人類の幸福を増進するために平和に貢献する」信仰と福音宣教の原因である使命は、主イエス・キリストによる使徒の派遣と聖霊による使徒のエンダウメントに基づいている.力を与え、司牧的使命を果たし、ペテロの後継者との交わりを維持する信じられ、行動されるべきである教義と正典の面で総主教;協会の組織では、それは中国のカトリック代表会議に責任があります.」中国のカトリック司教会議は当初設立されました。
現在、中国には 97 のカトリック教区があり、約 60 人の司教または副司教がいます。 40 近くの教区にはまだ司教がいません。 したがって、中国のカトリック教会の司教を選出するという課題は依然として急務です。
前中国駐日本大使の程永華氏(中日友好協会常務副会長、中国人民政治協商会議第 12 期全国委員会外事委員会委員)は世界経済の「頓挫」や「新冷戦」「覇権主義」などが懸念される現状について、歴史上「百年に一度の変化が起きている」と分析。その上で「21世紀はアジアの時代」であり、戦略的互恵関係やRCEP(地域的な包括的経済連携)協定の重要性を改めて唱えました。
国際安全保障の専門家である河野克俊氏(前自衛隊統合幕僚長)は「第一次安倍政権─福田康夫政権時代の『戦略的互恵関係』が最近全く使われなくなった」と指摘した上で、ウクライナ戦争において、ロシアの「核使用」に対して中国側が明確に反対を表明したことなどを評価。国際的に懸念が高まる台湾海峡問題に関しても「尖閣諸島国有化を経て日中間の防衛交流が2013年以降途絶えている」として、早期再開の重要性を求めました。
中国国際戦略研究基金会上席研究員の張沱生氏は、台湾海峡問題を巡って米国の関与が強まっていることを念頭に「冷戦がアジア地域にやってきそうだ」と不快感を表明。同時に日中関係が悪化した理由について①相互信頼の弱体化②グローバリゼーションの進展③パンデミック④歴史認識──などに起因する問題を挙げて、「新しい大国関係をつくらねばならない」と主張しました。
司会の宮本氏が「日中の共通項は経済にある」との認識を示し、元日銀副総裁の山口廣秀氏(日興リサーチセンター理事長)の意見を求めました。
山口氏は「今ほど政治と経済を切り離して語れることはそうそうない。各国間の協調によって不安定化を避けている」との見解を示しました。ウクライナ戦争、北朝鮮ミサイル、台湾海峡問題などアンチ・グローバリゼーションを進める不安定要因が山積する中で、日中両国ともに共通の対応を求められると指摘。同時に「中国が改革開放路線を堅持してくれるのかどうか、日本の経済界は心配している」と述べ、両国共通の土俵づくりの構築が重要との認識を明らかにしました。
一連の発言を受けて、改めて宮本氏が「世界や日中が大きな問題を抱えている中で、両国がどのような関係を目指すべきか」と問題を提起しました。
五百旗頭氏は「中国が『核不使用』を表明した意味合いは大きい」と歓迎した上で、最近のゼロコロナ政策にも変化が生じていることに言及。強硬路線から「やや柔らかな路線に移ってきている」として、今後の方向性を注視する考えを示しました。
朱光耀氏は先の発言に続いて、チェンマイ・イニシアチブを念頭に「日中は協力を強化しなければならない」と指摘。その上でマクロ経済、地域政策、サプライチェーンなど各種政策を整理するためにも「今回のフォーラムは有効だ」と語りました。この発言を受けて、山口氏が「世界経済はディスインフレ、デフレからインフレの時代に変わりつつある」と懸念を表明。マクロ経済分野において、日中両国がどのような考えを持っているのか示すことも、世界経済にとって重要になると強調しました。
また、安全保障分野について程永華氏が「今、わざと相手を敵だとみなす動きがあるが、日中間には平和友好条約がある。さらに交流を深めて対話を進めていくべきだと」と語りかけました。
一方、河野氏は、日本国民の間には尖閣諸島を巡る中国の行動に対して「脅威がある」と指摘。仮に台湾有事が生じれば、「日本の安全保障上対応せざるを得なくなる」と釘を刺しました。
これに対して中国側司会の趙啓正氏は「中国からすると、日本のロジックは受け入れられない」「米国の空母、偵察機が台湾海峡付近をパトロールしているが、日本の基地からやって来ている。日米同盟も我々に不安を与える」と反論しました。
張沱生氏が「どのような中日関係が望ましいのか」と問題提起し、互恵関係や「一つの中国」原則の遵守などが基本になると指摘。同時にさまざまなレベル・分野での対話の回復をはじめ、APECなど国際的な枠組みでの議論が求められると主張しました。
日中双方の意見が真っ向から対立しそうな気配になったところ、五百旗頭氏が「ウクライナ戦争を終結させるイニシアチブを、日中が共同で働きかけることは重要だ。成熟した大国の雅量を示してほしい」と訴えました。
最後に司会の宮本氏、趙啓正両氏が「対話を基礎としたプラットフォーム」設定の重要性を確認。「まずはこの『東京─北京フォーラム』を大切にしよう」と語りかけて、1時間半にわたるパネルディスカッションは終了しました。
中国側司会者で、中国国際伝播集団の高岸明副総裁兼総編集長が議論を引き取り、「マスコミが報道するポイントは、台湾海峡や地域の問題など相違のはっきりしている部分にフォーカスを与える」とし、「このフォーラムで包括的に話し合って、そうではない部分にも焦点を当てたい」と述べ、一層の議論の進展を求めました。
中国社会科学院日本研究所の金莹研究員は、ロシアによるウクライナ侵攻など国際情勢の反応について「反応は近寄っているが、因果関係において認識が大きく異なっている。福田康夫元首相が述べたように、重要なのは『同して和せず』の現状から、どうシフトしてゆくかだ」と語り、日中両国の協力関係の構築が重要との認識を示しました。
日本を代表するオピニオン誌『中央公論』の五十嵐文編集長はロシアのウクライナ侵攻に関する設問・回答があったことに「大変貴重だ」と語り、関係者の努力と苦労を労いました。その上で、中国世論の2割超が「国連憲章や国際法に反する行動であり、反対すべきだ」としていること関して「驚きだ。中国世論が全面的に侵攻を支持するものではなく、安心した」と歓迎の意向を表明しました。
零点有数デジタル科技集団の袁岳董事長は、中日間に「米国」というファクターが影を落としている点に着眼しました。「ペロシ米下院議長の訪台などが中日関係に大きく影響を及ぼしている。中国人はもっと日本人と仲良くなり、関係が緩和することを望んでいる。日本は単に米国に追従するのではなく、”台湾独立反対”を宣言するなど独自の考えを示してほしい」と、独自の主張を展開しました。 これに対して、司会の工藤氏は「米中の対立に関して日本はどちらにも与せずに、世界に寄与したいと理念的に思っている」と懸念を打ち消しました。
一方で工藤は「今年が国交正常化50周年であることを『知っている』」とした日本人が3割余り、中国人は4分の1にとどまる実態を「どう考えればいいのか」と語り、再び問題を提起しました。
金氏は2020年の世論調査結果と今回を比較検討して「『歴史の岐路』という言葉が浮かんだ。国交正常化50周年の節目において、バックグラウンドとなる東アジア、国際環境の現状が良くない。経済は”バラスト”化が指摘されている。さまざまな意見の相違があり、本当に危険だ」と危機感を表明。日本の大幅な円安状況や防衛費増強論議にも憂慮を示しながら「レスポンス型の外交政策から呼応型の外交を目指すべきではないか」と主張しました。
こうした中国側出席者の不安感に関して、五十嵐氏は「両国民ともに、日中関係は極めて政治に左右される状況にある」と指摘。相手国の印象が悪くなる要因として、日本側は「尖閣諸島周辺の侵犯」、共産党中心の「政治体制への違和感」などを挙げているが、中国側は「侵略した歴史」問題や「釣魚島周辺の国有化」に不満を抱えていることに関して、「民間・若者交流、経済も大事だが、一たび政治問題が起きればストップしてしまう」と指摘。外交関係の強化が何よりも重要だとの認識を示しました。
袁岳氏は、メディアが中国共産党の政治体制に与える「マイナスイメージ」に不満感を表明しました。従来のゼロコロナ政策に関しても「政府は『成功』と言う中、『緩和が足りない』と言う人を取り上げる。どちらが国民に有利に働くのか、政府はきちんと考えている」と語り、最近の「緩和」方針が「国民の許容度と連動している」との見解を明らかにしました。
川島氏は今回の日中間の調査結果について「ある種の時間軸のズレ」がうかがえるとの見方を示しました。その上で北東アジアにおいても脅威が増大していることについて「非常に危機が迫っている」として、両国政府が調査結果を重く受け止めるべきだとの認識を示唆しました。
この点に関して、五十嵐氏も紛争を回避し、持続的平和のために両国が取り組むべき目標に関して「台湾海峡問題を意識して、中国の半数近くが『不戦』を挙げたのは貴重だ」と歓迎。その一方で「唱えるだけでは実現しないのは明々白々だ」として、具体的な施策と議論の実行が重要であると述べました。
袁岳氏も「実は良い兆しもある」と応じ、海空の防衛交流メカニズムの早期再開の重要性を訴えました。
中国側司会の高岸明氏は「相手に対する印象や台湾に対する考えは異なるものの、ルールベースの民間自由貿易などは大切だ。小異を乗り越えて大同につくことが、相互信頼の醸成につながる」と述べ、1時間の議論を結びました。日本側司会の工藤氏も「18回目の議論となるが、内容は非常に良かった」と語り、次回に向けて期待感を表明しました。
50年前の国交正常化交渉において、外務省アジア局中国課首席事務官として日中航空協定策定に奔走した小倉和夫氏(元駐仏大使、元駐韓国大使、国際交流基金元理事長)は「対中感情のもたらすことから、中国は『強国』であると自ら宣伝することは止めた方がいい」と指摘した上で「50年前の方が、はるかに政治的価値観が異なった。長期的視点を持ち、友好関係を構築することが最大の安全保障になる」と訴えました。
前駐日本大使の程永華氏(中日友好協会常務副会長、中国人民政治協商会議第12期全国委員会外事委員会委員)は午前中のパネルディスカッションに続いて登壇。「孔子は『五十にして天命を知る』と言ったが、中日関係のレベルはまだまだだ」と現状を分析。その上で日本の対中姿勢に関して「『台湾有事』という言い方は一線を越えている。日中間の四つの政治文書を遵守すべきであり、日本には冷静に対処してほしい」と牽制しました。
安倍政権で外務政務官、外務副大臣、安全保障担当首相補佐官を歴任した衆議院議員の薗浦健太郎氏は、日中の外交姿勢の違いについて「中国は台湾と歴史問題、日本は尖閣諸島と軍拡を最大の問題だと思っている。意思疎通、すり合わせをすることで対話がスタートする」と分析。同時にサプライチェーン問題についても「複雑でデカップリングができるわけがない。国民感情が良くない中で、50年間の知見が問われている」と述べました。
復旦大学日本研究センター主任の胡令遠氏は過去50年間における冷戦構造の終焉、グローバリゼーションの進展に続いて、現在を「百年未曾有の時代」と位置づけました。この「三つの重要な結節点」を踏まえて「常に政治的な知恵で大きな障害を乗り越えてきた」と述べ、11月17日に初めて対面で実現した中日首脳会談で確認した五つのコンセンサスの具体的な実施を求めました。
公明党参議院会長の西田実仁氏(党選挙対策委員長)は日中共同世論調査の結果を踏まえて「両国ともに、平和を希求し、不戦を求める結果が出ている。いかにして平和の機運を求めていくかが大事だ。パワーを軽視する平和主義は、リアリズムに徹する相手国に付け入る隙を与えてしまうため、軍事バランスを保つための一定の抑止力は必要になる」と指摘。その上で「アジア版OSCEとも言うべき常設の安保協力機構で、常駐の『東アジア平和担当大使』が定期的に接触することが有益ではないか」と提言しました。
ここまでの議論を受けて、中国側司会の高洪氏が「激動の世界情勢」において「いかにして国と国の基本的信義を守り、どうやって改善していくべきか」と問題を提起して、さらなる議論の深化を求めました。
元外務大臣などを歴任した川口順子氏は世論調査結果を踏まえて「グッドニュースは、平和を希求する共通基盤があることだ」と指摘。一方で「バッドニュースはないが、チャレンジはある」として「互いに脅威と思っていること」を挙げました。続けて外交政策において「既成概念を破る発想」の重要性に加えて、国民を「根」にたとえながら「根が深く張れば、木は倒れない」と述べ、国民の理解の進展が一層重要になると訴えました。
中国国際交流協会副会長の劉洪才氏(元中国共産党中央対外連絡部副部長、中国人民政治協商会議第13期全国委員会外事委員会副主任)は四つの政治文書に言及して「50年間の成果であり、今後の両国関係をリードするものである」との認識を示しました。同時に「イデオロギーが異なっても、阻害するものはない。この議論に政治家が参加しているけれども、我々は自民党、公明党、民主党とも協議した経験があり、ベスト・プラクティクスだ。民間友好も重要であり、相互信頼の醸成に努めるべきだ」と語りました。
国民民主党代表の玉木雄一郎氏は日中共同世論調査の結果を受けて、「緊張を高める日本の世論を改めることが外交の幅を広げることにつながる」と述べました。具体的には、尖閣諸島付近の中国艦船の領海・接続水域通過問題や、ウイグル自治区人権問題に関する説明が足りないことなどを挙げました。さらに「いかなる衝突を避けるため」にも、両国間のホットラインの構築や国境を越えた若者文化交流の重要性を唱えました。
この点について、中国側司会の高洪氏は「我々は覇権を唱えていない。情報の非対称が大きな原因であり、悪意のある宣伝はミスリーディングされる」と釘を刺しました。
中国グローバル化シンクタンク(CCG)理事長の王輝耀氏は「我々は一衣帯水の隣人である。私は留学生の研究をしており、コロナ禍前は民間交流は1000万人を超えていたし、香港、マカオを含めて10万人超の留学生がいた」と振り返りました。その上で「より良いコロナ対策を講じて人的・文化交流の強化に努めるべきだ」と主張しました。
国交正常化40年時の駐中国大使だった木寺昌人氏(元駐フランス大使)は、二階俊博自民党総務会長(当時)が主導した2015年の「3000人中国訪問団」の成功に触れて、さながら「中日友好大会だった。それまで『中日関係を悪くしたのは日本側だ』と主張していたのが、『中日双方が努力しないといけない』という言い方に変わった」と回想しました。その上で台湾問題に関して「日本が妨げているわけではないのに、なぜ結果が出ていないのか」と疑問を投げ掛けました。同時に「これ以上関係を悪くしない、ということが一つのアイデアではないか」とも述べました。
司会の工藤、高洪両氏が一連の発言を踏まえた意見を求めたところ、劉洪才氏が「日中関係は大きな成果を上げたが、大きく改善することもある。そのためには対話、コミュニケーションを強化することが大切だ。中国には、覇権を唱えると国が衰えるという言葉がある。平和発展の道は共産党規約にも、憲法にも記されている」と理解を求めました。
小倉氏は、日中国交正常化交渉で訪中した田中角栄首相、大平正芳外相が漢詩を詠んだ経験を踏まえて「伝統文化の交流が大切だ」と語りました。
程永華氏も「中日は各レベル・分野でさまざまな対話があったけれども、この3年間で途絶えてしまった」と振り返り、相互利益とアジアの発展のために「対話の復活」「ホットラインの構築」を促しました。
ここまでの経過を踏まえて、日本側司会の工藤氏が「対話を求めて青少年、文化交流は大事だ」としながらも「建設的な発言ばかりではなく、地域の不安を解決するための対話をどう考えるか」と再び問題を提起しました。
この点に関して、木寺氏は日本の大手スーパーAEONの中国での取り組みなどを例に挙げて「感動を共有した者同士は仲良くなるし、ケンカもしない。その努力をしないと、将来は良くならない」と、実体験を語りました。
高洪氏は、国際的に注視される「台湾海峡問題への懸念は理解している。しかし、こう申し上げたい。台湾とは同胞であり、平和統一するという考えは変わらない」と、政府の見解を繰り返しました。この点について胡令遠氏も「台湾は内政問題で、懸念することはない」と追従。王輝耀氏も先の台湾統一地方選挙で与党・民進党が敗れた結果を踏まえて「台湾の人々が平和を求めている表れである。(2024年の総統選を経て)国民党政権になれば、平和的統一につながる」との見通しを示しました。
一連の議論を踏まえて薗浦氏は「今までの議論を聞いていて、日中のアジェンダの設定が少し違う」と指摘。「すり合わせをすることが重要だと改めて思った」と語りました。
白熱した議論を受け、高洪氏が「東京─北京フォーラム」の役割について「トラック1.5とも位置づけることができ、私たちの努力に掛かっている。より良い目標に向かって汗水を一緒に流しましょう」と述べ、2時間に及んだ議論を結びました。
12月7日に開幕した「第18回東京―北京フォーラム」。初日午後には、平和秩序分科会特別セッション「国連憲章の今日的意味と世界の平和秩序の再建」が行われました。日本側司会は言論NPO代表の工藤泰志が、中国側司会は楊伯江氏(中国社会科学院日本研究所所長、中華日本学会常務副会長)が務めました。
まず前半では、「ロシアのウクライナ侵攻と世界の平和秩序の今後」をテーマに議論が行われました。
日本側から最初の問題提起を行ったのは田中均氏(日本総研国際戦略研究所特別顧問(前理事長)、元外務審議官)です。田中氏は現状分析として、これまでの世界は「1. 国連中心の集団安全保障体制」、「2. 米国の抑止力」、「3. 世界の相互依存関係」の三点によって平和が維持されてきたとしつつ、「それが壊れ始めている」と指摘。
1に関しては国連憲章を無視したロシアの侵略に対して拒否権を発動できない国連の無力さによってより露になり、仮に中国がロシアに与するようなことがあれば「完全に終わりだ」と強く懸念。
2については中東で間違いを犯した米国の弱体化を指摘し、3については各国による経済制裁の多発が大きな要因との見方を示しました。その上で田中氏は、これら三点の見直しが急務であると主張しました。
中国側から最初の問題提起を行った徐歩氏(中国国際問題研究院院長、国連秘書長ハイレベル諮問委員会メンバー)はまず米国に対する批判を展開。地政学的な大国間競争が起き始めている要因として、国家安全保障戦略やインド太平洋の展開において中国をターゲットとしたり、貿易のみならずイデオロギーをも武器化している米国の行動を、平和秩序を乱すものとして強く批判しました。
徐歩氏は欧州の現状については、政治的・安全保障的な安定のための構造が出来なかったことを問題視するとともに、ここでは日中関係50年の教訓を生かせると提案。特に「歴史を鏡とする」姿勢によって、「ロシアとNATOの歴史をよく考えるべき」と提言。併せて周辺国家とともに共同発展を実現するという習近平主席の国際秩序についての考え方も大いに参考になるだろうと語りました。
日本側二人目の問題提起を行った神余隆博氏(関西学院大学教授、元国連大使、元駐ドイツ大使)は、「ウクライナ戦争は国連憲章と国際法が禁じる典型的な侵略戦争」と切り出した上で、「中国はロシア非難決議には安保理でも総会決議でも賛成せず棄権している。侵略についての中国の立場は極めて曖昧だ」と苦言を呈しました。
また、北朝鮮のミサイル・核開発の問題に関しても、頻繁なミサイル発射をめぐる北朝鮮非難決議に対して中国とロシアは新たな拒否権を行使して成立を阻止しているとしつつ、「多くの国から見ればなぜ中国が拒否権を行使するのか理解できないと思う。中国はこの問題で北朝鮮に対して影響力を行使しているようには見えない」と批判しました。
続いて神余氏は、日本が来年1月から2年間、非常任理事国として中国と共に安保理の意思決定に加わることを踏まえ、日中協力についても問題提起。自身が国連大使を務めていた2006年から2007年も日本は安保理非常任理事国でしたが、「日中両国は北朝鮮の核・ミサイル開発等の問題で緊密に協力することができた」と振り返りつつ、「来年からの2年間はウクライナ戦争の停戦の実現と北朝鮮や台湾をめぐる情勢が緊張しないように防ぐ上で極めて重要な時期になる。今回も日中は国連安保理において東アジアと世界の平和のために協力すべきである」と主張。
具体的な紛争の平和的な解決や核軍縮、安保理改革といった点に加え、「法の支配」(ルール・オヴ・ロー)「合意は守らなければならない」(パクタ・スント・セルヴァンダ)という国際法の基本中の基本原則が守られていない事態への対処でも協力すべきと語りました。
中国側二人目の問題提起を行った李東燕氏(中国社会科学院世界経済・政治研究所研究員)は、国連の設立実現は「諸国民の平和への願いの結実であり、国際法の勝利だ」とその意義を強調しましたが、その限界についてはロシアのウクライナ侵攻以前からすでに露呈していたと指摘し、国連の機能強化のための改革は不可欠であるとしました。
しかし同時に、「大国間関係が悪化すれば国連以前に秩序は悪化してしまう」として大国間関係の安定化への取り組みを求めるとともに、「地域組織やその他の新しい組織、安全保障メカニズム」をつくることで国連を補完することも必要になってくるとの認識を示しました。
問題提起の後、ディスカッションに入りました。日本側からは国連の役割に対するポジティブな評価や抜本的な改革についての発言が相次ぎました。
明石康氏(国立京都国際会館理事長、元国連事務次長)は、国連は機能不全という指摘に対して、確かに当初予定されていた国連軍は1947年時点で早々に実現困難となったものの、それでも1956年のスエズ動乱から始まり、世界の平和維持のために様々な活動を行ってきたとしつつ、「全体としては国連は機能してきたのではないか」と評価。ウクライナ問題に際しても、停戦の実効性を確保するために国連ができることはあるとの見方を示しました。
神保謙氏(慶應義塾大学総合政策学部教授)も、「ウクライナ危機の中でも国連ができたことはある」とした上で、国連総会の緊急特別会合がロシアのウクライナ侵攻への非難決議採択を通じて国際的な規範形成をしたことや、マリウポリから退避するための人道回廊設置では役割を果たしたと評価しました。
神保氏はさらに、常任理事国という特別な地位を得ている中国が国連の役割を軽んじることは、中国自身の国益に合致していないと忠告。特に北朝鮮問題を念頭に、自分が絡んでいる対立を国連の場に持ち込んで機能不全にすべきではないと指摘しました。
山口壯氏(衆議院議員、前環境大臣、元外務副大臣)は、一つの拒否権だけで機能不全に陥ることがないようにするための安保理改革について提言。米英仏ロ中5カ国が有する拒否権を剥奪するのではなく、理事国の数を増やして、多数決あるいは絶対多数で問題を処理することによって拒否権を行使したとしても議決可能となるようにする、といった改革を模索すべきと語りました。
一方の中国側からは、世界平和を乱しているのは米国であるといった主張や、ウクライナ問題についてもロシア側の事情や歴史的な背景などを考慮すべきといった意見が相次ぎました。
王文氏(中国人民大学重陽金融研究院執行院長)は過去20年間、アフガニスタンやリビアなどでの失敗を通じて国連は弱体化を続けてきたが、それらはそもそも米国が起こしたトラブルであり、「米国こそが国連憲章の破壊者だ」と糾弾。
ウクライナ問題についても、ロシアの侵攻には反対としつつ、米国からプレッシャーを受ける中国の姿をロシアに重ね合わせながら、「圧迫を受けているというロシアの気持ちはよくわかる」と一定の理解を示しました。
何亜非氏(元国務院華僑事務弁公室副主任、元中国駐国連ジュネーブ代表団大使、元外交部副部長)も、ウクライナ問題の背景は「歴史を踏まえながら分析すべきであり、どちらが悪いか白黒はっきりさせるのは難しい」と慎重な物言いに終始しました。
また、米国に対しては、積極的な同盟の展開を「時代に潮流に則っているのか」と苦言を呈すと、楊伯江氏も同盟展開自体が国連の精神に反するし、それは米国に追随する日本も同様だと補足しました。
趙啓正氏(元国務院新聞弁公室主任、中国人民政治協商会議第11期全国委員会外事委員会主任)も同様の視点から、国連の外部にNATOやクアッドをはじめとして様々な同盟・連携が存在していることが、国連の権威性を弱めていると指摘。同時に、中国はどことも同盟を結んでいないし、「ロシアとの間にも秘密裏の同盟など存在しない」ことを強調しました。
セッションの後半では、「世界の平和秩序の修復で日中はどう協力すべきか」をテーマとして議論が行われました。
中国側から最初の問題提起を行った何亜非氏は、世界の平和秩序が困難に直面し、グローバリゼーションが一部崩壊している今、秩序修復のためには協力しかないと切り出しつつ、日中両国は「地政学的対立を理由に隣国に責任を押し付け合うのではなく、協力発展を目指すべき」と主張。平和秩序修復での日中協力を訴えました。
何亜非氏は同時に、これまで世界の中心にあった西側の理念がその限界を露呈しつつある中では、東洋の理念が重要になってくるとも指摘。また、アジアの課題はアジア自身で解決することの重要性を説きつつ、「AIやデジタルでのオープンな技術協力や、経済のデカップリング阻止で日中協力の余地は大きい」とし、こうした様々な協力によるつながりを積み重ねることが結局は平和にもつながっていくとしました。
日本側から問題提起を行った神保謙氏は、「今我々がこうして議論している最中にもウクライナでは戦闘が続いている」とした上で、大国である日中両国には和平に向けた責任があると指摘。「少なくとも侵攻が始まった2月24日以前の状態に戻すことが望ましいステータスだとロシアに働きかけるべき」としつつ、停戦後の平和維持活動での日中協力が重要と語りました。
神保氏は日中間の課題として他にも、安全保障問題での対立とは別に経済関係の強化は進め、相互依存関係を深めていくことの重要性についても言及しました。
王文氏は、米国に追随し、台湾やウイグルへの干渉を続けたり、中国を軍事的脅威とみなす日本の姿勢に対して「中国国民は当惑している」としつつ、「日本は歴史から教訓を汲み取るべき」と釘を刺した上で、日中関係の今後について提言。未来志向の戦略を共有するとともに、歴史や領土で共通認識を持つべきとしつつ、「中国の姿を冷静に見て、平和的台頭を受け止めてほしい」と注文を付けました。
明石氏は、国連カンボジア暫定統治機構(UNTAC)代表としてカンボジア和平に携わった際の日中PKO協力を回顧しつつ、ウクライナにおいても「あのような日中協力ができれば」と期待を寄せました。
また明石氏は、ウクライナ和平に向けて米仏はすでに議論を始めているとしつつ、こうしたイニシアティブに加わるだけではなく、「自分たちからも議論をリードしていくことも必要だ。待っているだけでは生産的ではない」とより積極的な行動を求めました。同時に、ノン・ガバメントにも果たすべき役割はあり、有識者の知恵も求められてくると居並ぶ両国のパネリストに語りかけました。
問題提起の後、ディスカッションに入りました。
趙啓正氏は、「まず日中両国間の平和と友好をしっかりと固めること。そこが安定しないとアジアや世界の平和を語っても机上の空論にしかならない」と地道に足元を固めることの重要性を指摘。その上で、北東アジアの平和を実現する上での最大の障害は北朝鮮問題であるとし、ここで日中協力は不可欠との認識を示しました。
趙啓正氏は日米関係に関しても言及。政治・経済・安全保障など多面にわたる強固すぎる関係によって「中国は蚊帳の外に置かれている」としつつ、日本に対しては「中国ともしっかり結びつくべき」と要望し、半導体など技術分野ではそれは十分可能との認識を示しました。
こうした「まず日中関係再構築。そこからアジア、世界」との視点や、技術や貿易など他分野での協力を強固にすべきとの意見は、他のパネリストからも相次ぎました。
神余氏は、日米関係は「自由、人権、法の支配という価値を共有しているから強固なのだ」と日中関係との違いを強調しましたが同時に、日中両国も価値を越えて協力できることはあると提言。日本と中国が平和条約で合意している「反覇権」の考え方は、「国連憲章にもないユニークかつ重要な原則だ」としつつ、「これを協力して世界に広めることが今後の世界平和の鍵となる」
と主張。
また、「この反覇権と現状変更のための武力不行使の原則を、すべてのアジア諸国で確認するための国際会議を国連と共に日中が協力して開催できれば世界平和への素晴らしい貢献となる」、「国連憲章の理念を実現するために、日中両国は何事も『戦わずして勝つ』こと、すなわち『外交で勝つ』ことに徹底して、切磋琢磨すべきである」などと語りました。
神保氏もこれを受けて、米中の戦略的な対立とは異なる場面での日中協力は可能とし、「その大元には国連憲章があるべき」と語りました。
議論を受けて最後に工藤は、「まず議論が始まったことが収穫だ」とし、今後さらなる議論の展開に意欲を見せました。