・米国の信教の自由委員会、中国など12か国に加えインド、ナイジェリアなど5か国を「特別懸念国」に指定を勧告

米国の信教の自由委員会、中国など12か国に加えインド、ナイジェリアなど5か国を「特別懸念国」に指定を勧告

宗教差別的政策を証人(承認)、推進している。

 ニューヨーク – 米連邦議会が設立した超党派の「国際信教の自由委員会(United States Commission on International Religious Freedom=USCIRF)」が1日、2023年版の年次報告書を発表するとともに、米政府に対し、「特に深刻な」信教の自由の侵害への関与または容認を理由に、新たに 5 つの国を「特に懸念される国 (CPC)」として指定することを勧告した。

 CPCにはこれまで中国、北朝鮮、ミャンマー、ロシア、パキスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、キューバ、エリトリア、イラン、サウジアラビア、ニカラグアの 12 か国が指定されているが、新たに指定を勧告したのは、アフガニスタン、インド、ナイジェリア、シリア、ベトナムだ。 これら17の国の現状について、報告書は、政府機関や過激派グループによる宗教的迫害が、多くの宗教関係者やコミュニティの殺害、抑圧、強制退去につながった多くの事例を概説している。

 米国には「国際信教の自由法 (IRFA)」があり、米政府がCPCに指定した国に対して、宗教の自由の侵害を終わらせるために非経済的な措置を取ること、その措置が成果を挙げなかった場合は経済制裁に踏み切ることを定めている。

 委員会はまた、CPCよりも若干緩い「特別監視リスト」に入れている国のうちコモロを除外する一方、アルジェリアと中央アフリカ共和国をリストに残し、さらに、アゼルバイジャン、エジプト、インドネシア、イラク、カザフスタン、マレーシア、スリランカ、トルコ、ウズベキスタンを追加することを勧告している。 さらに、「特に懸念される集団」として、「アル・シャバブ」「ボコ・ハラム」「ハヤト・タハリール・アル・シャム(HTS」「フーシ派(イエメン北部を拠点に活動するイスラム教シーア派の一派ザイド派の武装組織)」「大サハラのイスラム国(ISGS)」「西アフリカ地域のイスラム国」「Jamaat Nasr al-Islam wal Muslimin」の7つを、従来の「タリバン」とロシアの民間軍事組織「ワグネル」に加えて指定するよう勧告した。

 USCIRF は、アフガニスタン、インド、シリア、ベトナムの 4 か国とナイジェリアを、米政府に対して「特に懸念される国 (CPC)」に指定するよう昨年も勧告しているが、国務省はこれを無視し、結果としてこれらの国々が宗教的迫害のを強める要因となった。

 今回の報告でUSCIRF は、アフガニスタンでは2021 年 8 月にタリバンが国家の支配権を掌握して以来、宗教の自由が悪化し続けていることを強調。キリスト教徒、LGBTQI+ の人々、および女性を含む宗教的少数派の自由を侵害するシャリアの厳格な執行が続けられている、と指摘している。

 またインドでは、2022 年を通じて、国、州、および地方の政府が、イスラム教徒、キリスト教徒、シーク教徒、ダリット(ヒンドゥー教社会の被差別民)、アディヴァシス(先住民) に対する宗教差別的政策を進めている。

 国の主導権をめぐる内戦、人道危機が深まるシリアでも、信教の自由の状況は依然として劣悪で。テロリスト集団ハイアット・タハリール・アル・シャムを含む非国家主体も、宗教的少数派、特にキリスト教徒とドルーズ派に対して多くの迫害を行っている。

 ベトナムでは、このような国々とほぼ同様の迫害がなされており、政府は宗教団体、特に未登録の独立した信仰共同体に対する統制と迫害を強化している。 迫害には、嫌がらせ、投獄の脅迫、罰金、および宗派を非難または脱退の強制が含まれている、としている。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2023年5月4日