・ 中国で、すべての宗教活動施設に「習近平主席の社会主義思想の徹底」など義務付ける新規則(BW)

Baiyun Taoist Temple, Guangzhou. Credits. 中国共産党・政府が近く、新たな「宗教活動施設の設置、承認、および登録に関する規則」を実施する。2005年実施の現行規則よりも一段と厳しい締め付けを行い、国内のすべての宗教の礼拝施設に中国共産党の宣伝を義務付ける内容となっている。

 中国では、 すべての宗教団体の活動が、行政や警察当局による日々の監視は言うまでもなく、数多くの法律、規則、条例によって、すでに”窒息”状態にある。

  それでも、習近平・主席は、宗教活動によって中国共産党が脅かされるリスクが依然、存在する、とし、これを受けた党、政府が継続的に新しい対策を講じている。新たな「宗教活動施設の設置、承認、および登録に関する規則」の実施もその一環だ。 新規則の原案はすでに公示されており、利害関係者は4月24日までに原案に対する意見を申し立てることができる、とされているが、この”疑似民主的な手続き”を経ても、過去の例を見る限り、修正はほとんどない。

 原案を見ると、現行規則で定めている「宗教施設の当局への登録義務付け」などに変更がないが、特徴は、すべての宗教の礼拝施設が 中国共産党の宣伝広報の”積極的な代理店”でなければならない、という点が強調されていること。具体的には、「 礼拝施設は、中国共産党の指導部を支持し、社会主義制度を支持し、習近平の社会主義思想を徹底的に実施する場合にのみ、運営許可を取得して、施設を維持することができる」「憲法、法律、政令、規則、および関連する宗教事務管理規定を遵守し、社会主義の核心的価値観を実践し、宗教の中国化の方向性を順守する」と定めている。

 そして、施設の閉鎖は従来よりも迅速かつ容易に行われることとされ、「祖国への愛と、中国共産党の指導部と社会主義制度への支持」を積極的に説くことが義務付けられ、 司祭、牧師、イマーム、僧侶も、「祖国への愛と、中国共産党の指導部と社会主義制度への支持」に基づいて選ばれる必要がある、としている。

 また、新疆、チベット、内モンゴル自治区を念頭に、礼拝施設では「国語(漢語)と文字の使用を促進し、国家の団結と進歩を促進し、宗教的な市民を指導して国家意識を高めるべきである」とし、「市民の意識、法の支配の意識、民族的慣習と宗教的信念の正しい区別、行政、司法、教育、社会生活を妨害するために宗教を使用すること」の禁止を明言している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

*Bitter Winter(https://jp.bitterwinter.org )は、中国における信教の自由 と人権 について報道するオンライン・メディアとして2018年5月に創刊。イタリアのトリノを拠点とする新興宗教研究センター(CESNUR)が、毎日4か国語でニュースを発信中。世界各国の研究者、ジャーナリスト、人権活動家が連携し、中国における、あらゆる宗教に対する迫害に関するニュース、公的文書、証言を公表し、弱者の声を伝えている。中国全土の数百人の記者ネットワークにより生の声を届け, 中国の現状や、宗教の状況を毎日報告しており、多くの場合、他では目にしないような写真や動画も送信している。中国で迫害を受けている宗教的マイノリティや宗教団体から直接報告を受けることもある。編集長のマッシモ・イントロヴィーニャ(Massimo Introvigne)は教皇庁立グレゴリアン大学で学んだ宗教研究で著名な学者。ー「カトリック・あい」はBitterWinterの承認を受けて記事を転載します。

 

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2023年4月8日