・ニューデリーで2000人のキリスト教徒が、インド全土での迫害に抗議のデモ(Crux)

 

(2023.2.22  Crux  Contributor  Nirmala Carvalho)

   ムンバイ発 – インドの首都ニューデリーで19日、2000 人を超えるキリスト教徒が集まり、全国のキリスト教徒に向けられた暴力と差別に抗議する異例のデモ、集会を行った。

 主催者は、1947年に国家の独立が宣言されて以来、キリスト教徒が首都で、このような抗議集会を開いたのは5回とわずかだが、今回の行動は「キリスト教徒への迫害と差別の強まりに強いられたものだ」と説明している。

 キリスト教徒に対する迫害を監視する超宗派監視団体、キリスト教連合フォーラム(UCF) によると、2022 年の1年間に 21 州で 598 件のキリスト教徒に対する暴力事件が発生。8年前の 2014年の4倍に急増している。その内容は、脅迫、暴徒による暴力、性的なものを含む残忍な暴行、礼拝所の破壊、教会の閉鎖、信徒の社会的排斥、死者の埋葬の拒否、改宗に関する虚偽の報告、反改宗法に基ずく強制的な改宗など、多岐にわたっている。

 また、キリスト教徒が迫害に最も遭っているのはウッタル プラデーシュ州 (人口 2 億人の国内で最も人口の多い州) で 186 件、これに次いでチャッティースガル州が 132 件、ジャールカンド州が 51 件、カルナータカ州が 37 件、タミル ナードゥ州が33件となっている。

 抗議集会の主催者によると、19 日の抗議行動は、右派のヒンズー民族主義政党 BJP を代表するナレンドラ モディ首相率いる中央政府と、国の最高裁判所および市民社会に注意を向けさせるのを目的としていた。会場となったのは、18 世紀に建てられた有名な天体観測施設ジャンタル・ マンタル前の広場。

 バプテスト教会評議会、ユナイテッド ペンテコステ派教会 – 北東インド、マニプール福音ルーテル教会など、約 79 のキリスト教団体が抗議に参加し、抗議者たちは、キリスト教徒を標的にした憎悪と暴力に対する追悼を象徴する黒い腕章をつけて参加した。

 UCF の報告書はまた、昨年、反改宗法に違反し、キリスト教への改宗を強要したとして起訴されたキリスト教徒は74件でうち56件がウッタル プラデーシュ州、また逮捕者が最も多かったのも同州で332 人。続いてカルナータカ州で 40 人、マディヤ プラデーシュ州で 21 人、ウッタラーカンド州で 17 人に上っている。

 集会で、UCFののマイケル・ウィリアム会長は、「今日、私たちは、チャッティースガル州、ジャールカンド州、マディヤ プラデーシュ州、ウッタル プラデーシュ州、カルナタカ州、その他多くの場所でキリスト教を信仰している同胞の苦悩を分かち合うことを希望し、ここジャンタル マンタルに平和に集まりました。 私たちには信教の自由という基本的人権の最も基本となる権利が奪われている。私たちは結束して立ち上がり、インド大統領に覚書を提出する予定です」と語った。

 また、ニュー・ライフ・チャーチのバスカー牧師は、「抗議行動はインド政府に信教の自由を約束させることを目的としています。インドの憲法によれば、私たちが信じていることを実行し、公言する自由が認められている。ところが、キリスト教徒の殺害が多発し、キリスト教への改宗を強要した疑いもかけられている。私たちは政府に保護を求めているのです」と述べた。

 ジャーナリストで人権活動家のジョン・ダヤル氏も「政府は私たちを裏切った。カルナータカ、チャッティースガル、ジャールカンド、ウッタル プラデーシュなど、いくつもの州でキリスト教徒の共同体を標的とした攻撃が行われている。このことを認めるよう政府に求めたい」と批判、最近の迫害の事例として、キリスト教徒の埋葬地使用の拒否、日曜日の祈祷会の最中に教会への攻撃、ヒンズー教への改宗強要と拒否した者の村からの追放などを挙げている。

 

(翻訳「カトリック・あい」南條俊二)

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2023年2月23日