・”シノドスの道”の歩みが、”失望”のまま終わらないためにーフランスの宗教社会学者が論考

(2023.5.29  カトリック・あい)

 教皇フランシスコが、カトリック教会を、司教、司祭、一般信徒、教会を構成するすべての人が互いに耳を傾け合い、synodal(共働する)教会となるために2021年秋に始められた”synodal path(シノドスの道)”の歩みは、世界の小教区、信者のグループから始まって、教区レベル、国レベル、大陸レベルと進み、今年と来年のそれぞれ10月に予定される、一般信徒も議決権を持って参加する世界代表司教会議(シノドス)で当面のゴールを迎える。

 だが、これまでの歩みを見ると、日本を含むアジア地域をはじめ、教会を構成するすべての人が互いに耳を傾け合うには程遠い状態が続いており、教皇の思いとはかけ離れているように思われる。

 そうした中で、フランスの哲学者で宗教社会学者のジャン・ルイ・シュレゲル氏が、5月25日付のカトリックの有力オンライン情報誌LaCroixインターナショナルに、現在世界のカトリック教会で進められている”シノドスの道”についての論考を寄せた。以下のその要約を掲載する。

 全文詳細はhttps://international.la-croix.com/news/religion/synod-preparations-show-the-church-is-fracturing-perhaps-even-imploding/17864に。

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 多くの人は、この10月にローマで一回目の「synodality」をテーマにした世界代表司教会議の行方に懸念を持っている。 教皇フランシスコが会議の総括者に任命したジャン=クロード・オロリッシュ枢機卿とシノドス事務局長のマリオ・グレッグ枢機卿、そして事務局次長のシスター・ナタリー・ベカーが成果に前向きな発言をしているにもかかわらず、である。

 そして、この懸念には多くの理由がある。 まず第一に、これまで開かれた”シノドスの道”の歩みに関係する様々な会合がもたらした「失望」が挙げられる。私たちは今、重要なのはその「結果」ではなく、「行事そのもの」であるという司教たちの発言も聞いている。そのために、この前例のない”シノドスの道”の歩みに、世界中のかなりの数のカトリック教徒を動員し、「共に歩む」ようにと招くことになるだろう。期待値を下げるような発言は、「失望」を事前に防ぐためではないだろうか。

 

 

*教会の信頼回復のために緊急に取り組むべき課題

 

  世界中のカトリック教徒は、共通する主張と大陸によって異なる主張を通して教会改革への願望を表明してきた。 その内容を読むと、どの課題が冷静に対処され、どの課題が世界代表司教会議の議題選定に困難をもたらすかを見極めるために、高位聖職者である必要がないことが分かる。

 たとえ答えが単純でなくても、人は常に意見を交わすことが出来る―社会で軽視されている人々(同性愛者たち、一夫多妻主義者たち、若者たち、女性たち…)の排除、外国人に対する寛容、貧困者を優先する活動の復活、経済植民地主義、 気候変動による新たな不平等、階層的な教会とsynodal(共働的)な教会の間の、あるいはローマ本部(バチカン)とあらゆる種類の周辺地域の間のギャップ、そして世俗化の拡大とそれがもたらしている影響、などだ。

 だが、司祭の役割と地位(つまり、強制的な独身制)、教会における女性の位置(司祭職、助祭職からの排除)、そして教会の権力/権威の行使、となると、話は別になるだろう。 さらに、性的虐待の組織的要因に関する教義的、司牧的な問題などは、教会が信頼を回復するために、緊急かつ迅速な対処が求められる課題だ。

 フランス司教協議会(CEF)が3月末にルルドで開いた総会では、「教会における性的虐待に関する独立委員会(CIASE)」の報告書を受けて設置された作業部会の提案が審議された。この問題への 司教たちの極めて慎重な反応がバチカンが今後踏み込もうとする”予兆”だとすれば、今後の展開をあまり楽観視することはできないだろう。

*”反抗する教会”を厳しく批判することが好ましいのか

 ドイツのカトリック教徒たちがたどっている”シノドスの道”の歩み方は、世界の教会関係者から大きな関心を持って見られている。聖職者と一般信徒が同数で構成される教会会議の十分に根拠のあるすべての決定に、反対するバチカンの厳しい態度も、好ましい前兆とは言えない。 教皇フランシスコは、ドイツにはすでに「非常に優れたプロテスタント教会」があり、第二のプロテスタント(ローマの権威に反抗する)教会は必要ありません、と皮肉を込めて批判している。

 だが、私の知る限り、数多くの聖職者による性的虐待の暴露で失墜した教会の信頼を取り戻すことを直接の動機として始った、ドイツの”シノドスの道”の歩みが、教皇の権威や教皇に対する忠誠に疑問を投げかけたことは一度もなかった。

 

*危機を直視することが、教会に利益をもたらす

 世界代表司教会議の準備段階で表面化し、緊急に対処すべき問題、つまりカトリック教会が今、分裂状態にあり、内部崩壊の危機さえあることを直視するのが、私たちの利益につながるだろう。”シノドスの道”の歩みの過程を伝えるべき多くの司祭たちは、歩みへの参加を放棄したり、歩みの開始や促進に何も努力して来なかった。40歳から45歳以下の一般信徒はほとんど、あるいはまったく歩みに参加していまい。

 わずかに声を上げた若い人たちは一番保守的な態度を取っている。教会の草の根レベルでの意見の交換、伝統至上主義者の目には進歩的過ぎると映る声に対して嫌悪と拒絶を、ソーシャルネットワークや自分のホームページで表明していることは言うまでもない。そして、”伝統的”とされる人々は、「(教会の仕組みやルールの)改革」という言葉そのものを”攻撃的”と見なし、個人的な回心、個々の過ち、祈りと崇敬をさらに強くすることの緊急性だけを信奉している。このようにして「 第二バチカン公会議」を過去に追いやる人々の動きは、”シノドスの道”のプログラムを提示する人々と違って、自身の目的に司祭や若者を引き込むという点で順調に進んでいる。

*「分断化し、多極化した教会」が真に話し合うべき課題は

 

 また、フランスでの”シノドスの道”の歩みは、教皇フランシスコがドイツの”シノドスの道”の歩みを批判したのと同じ”エリート主義”的要素によって支配されてきた、とも指摘された。 “シノドスの道”の歩みに参加した人々のほとんどは、熱心な教区民、神学を学んだり特別な訓練を受けた教会関係者や活動家、カトリックのメディア関係者などだった。歩みに参加した人々は、フランスでも他の国と同じように、教会の”公会議”世代を構成する中流および中流階級のカトリック信者であり、”伝統派” からあまり愛されていない意欲的で教養のあるグループである。

 こうして私たちはスペクトルの対極にある 2 つのグループの前にいることに気づく。最近のさまざまな出来事によって大きく分断され、「多極化した教会」(バチカンのシノドス事務局次長のシスター・ナタリー・ベカーの言葉)は、内部で和解できるのだろうか? 予測するのは難しい。

 なぜなら、私たちは現在、教会、典礼、司祭職、信仰と道徳、現代世界におけるキリスト教徒の生活、そして、宗教と”聖なる者”の意味をめぐって根本的に対立し、平行線をたどる未来像を扱っているからだが、これこそまさに、”シノドスの道”の歩みの中で私たちが話し合うべきことではないだろうか。

(筆者のジャン=ルイ・シュレーゲルは、フランスの著名なカトリック哲学者、宗教社会学者。 数多くの書籍や記事の編集者兼著者でもある)

 

(まとめ「カトリック・あい」南條俊二)

2023年5月29日

・「神と人への奉仕の中に一致を 見出す」オロリッシュ枢機卿、”シノドス”を語る(VN)

Cardinal Jean-Claude Hollerich, SJCardinal Jean-Claude Hollerich, SJ  (Archeveche de Luxembourg / SCP)

 インタビューでのオロリッシュ枢機卿との一問一答は以下の通り。

*10月のシノドスで一般信徒など”司教以外”の参加者が議決権を持つ理由

問: 今年 10 月のシノドス(世界代表司教会議)の通常総会には、司祭、男女修道者、女性や若者を含む一般信徒など、かなりの数の議決権をもつ「非司教」が参加することになりました。この意義はどこにあるのですか?

答: 過去にも、議決権を持つ参加者がおり、特に新しいことではありません。 議決権を持つ女性はいませんでしたが、司教以外の人がいました。 変わるのは、”小さなグループ”が大きくなる、ことです。

 司教は常に担当教会の司牧者であり、シノドスは司教の「シノドス」のままです。 人々から分離された機能を司教に見ることはできません。 私はルクセンブルグの大司教です。ローマにいるときはルクセンブルクの教会が恋しいです。大聖堂の 1 列目、2 列目、3 列目にいる人々のことを考えています。毎日会う人々のことを考え、恋しく思います。10月の総会には、一般信徒のごく一部が司牧者である司教と共に出席します。 彼らには特別な使命があり、教区レベル、司教協議会レベル、そして大陸レベルの”シノドスの道”の歩みで、素晴らしい経験を積んでいます。 参加するすべての司教たちがこのような経験をしたわけではありません。 したがって、今総会に参加する新しいメンバーの役割は、”シノドスの道”のこれまでの歩みで経験したことの証人となり、経験していない人に伝えることです。

問: それでも、シノドスは「司教たちの」会議のままなのですか?

答: はい。司教が「多数派」であり、新しい方式を導入した後も、それは変わりません。 さまざまなレベルで始まり、最終的に教皇に到達する識別を行うのは、司教たちの責任です。そして、 シノドスの新しいメンバーは、いわば、神の民の「非司教」部分を代表しています。

問: 神の民の代表と共にある司教会議だと言えるのでしょうか?

答: 司教も、神の民に属しているのです。少なくとも、私は神の民の一員になりたい…… そうでないと気分がすぐれません! 私たちは、新しいメンバーを、これまでの”シノドスの道”の歩みの証人であり記憶として、もっと理解する必要があります。

*10月のシノドス総会の狙いはどこにあるのか?

問: ‘Synod on synodality(シノドスについてのシノドス)”という10月の総会のタイトルは、かなり専門的な表現で、人々の生活とはかけ離れているように感じます。  このタイトルに込められた意図は何でしょうか。

答:総会の狙いは、「どのようにしたら、私たちは福音宣教する教会になることができるか」を共に考えること。タイトルにはその意図が込められています。このことを強調することは重要だと思います。これは”分析”や”瞑想”ではありません。 私たちは、神が今の時代に望んでおられるように教会を生き、世界に、同時代の人々に福音を宣べ伝えるために生きています。それは素晴らしいことです。

 教会の歴史は、常に”シノドス(共働)”でした。 (初代教会最大の説教者と言われる)聖ヨハネ・クリソストムは、「シノドスと教会は同義語である」と言います… 私たちが歩んでいる道、神の民全体の関与は、聖霊が第二バチカン公会議が実行するような方法で私たちを導いていることを示しています 。特に公会議で出された Lumen gentium (教会憲章)がそのことを確認しています。

*総会で問われるのは、「個人主義」が氾濫する現代社会における教会の在り方

 

問: では、10月の総会の中心にあるのは、個々の話題ではなく、この教会の在り方と言えばいいのでしょうか?

答: そうです。「現代の病気への対応」と言ってもいいでしょう。 私たちが生きている超近代、あるいはデジタル時代を特徴付けるのは、日々ますます顕著になっている「個人主義」です。 そして、この個人主義では、人類は存続できません。生き残るためには「共同体」の要素が必要です。それと、社会やメディア、さらにはカトリック教会の現場においてさえも、二極化が進むという現象が見られます。「共に歩む神の民」(の実践)は、このような現代世界の傾向への対応です。

 ここで注意していただきたいのは、私たちがこうした傾向に対応するために「synodality(共働性)」を”発明”したのではない、ということです。今のこの時期に、初代教会が経験していたsynodalityへの欲求に再び火を点けたのは、聖霊です。そうしなければ、人類が危険にさらされるからです。

 

*シノドスで必要なのは論争ではなく、耳を傾け、「霊的対話」をすること

問: 誰もが話し、誰もが論争に巻き込まれている今の時代にあって、教皇フランシスコは「互いに耳を傾けること」の重要性をしばしば強調されていますが、実際に「耳を傾ける人」はほとんどいないようです…

答: 私が教区司教として、話を聞いている時に気が変わることがありますが、それは私にとって良いことです。 私が担当するルクセンブルク教区は大きくありません。私の国、ルクセンブルクの人口は66 万人。多かれ少なかれ同じことを、時には同じ場所で、同じ教授の下で学んだ側近が、司教にはいます。 彼らは同じように考えます。

 でも、神の民のすべてにとっては、明白でないこともある。 その意味で、開放性、他者の声を聞く方法を知っていることは良いことです。また、人々が司教たちの話を聞くのもよいことです。なぜなら、司教たちには耳を傾ける役割だけでなく、答えを提供し、人々の羊飼いになる役割もあるからです。

 私たちには、多数による決定に全員が従う”シノドス議会主義”はありません。 「シノドス」は議会ではありません。 私たちは神の意志を識別し、聖霊に導かれることを望んでいます。

問: では、シノドスにおいて、決定に至るプロセスはどのようなものですか?

答: これは「霊的なプロセス」です。 それが、私たちがこの霊的な対話-聖霊においてなされる対話をする理由です。共通の結論に達するために、反対の姿勢を取るのでなく、耳を傾け、対話に入る方法です。 このプロセスで常に回心が必要なのは明らかです。回心せねばならないのは司教であり、一般の信徒です。

問: 教会においてさえも、特定の結果を得るために「数を数えたい」という政治的なメンタリティ―に直面することがあります。 それと「霊的プロセス」の違いはどこにあるのでしょう?

答:教会における”議会主義”は、プロテスタントの兄弟たちのsynodalityに属するものです。 私たちはカトリックのsynodalityを実践せねなりません。 私たちは、聖職、司教の共同性、教会に対する責任、ペテロの優位性を定めています。 これらすべては、synodalityによって根絶されることがありません。というよりも、synodalityは、司教たちの共同性と教皇の優位性が行使される中で、神の意志を共に求めることを視野に入れたものです。

 ですから、「ここにこういう問題があります。それについて 2 つの立場があり、過半数の支持を受けた人が勝ち、それが行われます」と言うようなものではありません。 それでは教会は破壊されてしまいます。 私たちはそうなるのを望んでいません。私 たちは教会共同体として共に歩む必要があります。

 

 

*「共に歩む」とは具体的にどういうことか?

問: 「共に歩む」とは具体的にどういうことでしょうか?

答: 私たちが歩くとき、キリストが中心です。 右に人がいて、左に人がいて、もっと前を歩く人がいて、時間がかかって後ろにいる人がいて… そうやって、「共に歩く」のは普通のことです。 教会の中に緊張があるのは正常、ということを学ばねばなりません。すべての人が、すべての大陸で、すべての問題について同じように考えるわけではない。 ですから、異なる文化を持つ人に対しても、敬意を持って耳を傾け、神の意志を求め、共に進むべき道を決めることが重要です。

 私を左側に「置く」人が何人かいるから、左側を歩いているとしましょう。 キリストを中心に歩いていて、左側から見ると、キリストだけではなく、人々が右側を歩いているのも見えます。 彼らを見ないでキリストを見ることはできません。つまり、右側を歩いている人たちも、私の共同体の一員です。 「共に歩まねばならない」ということです。 右側を歩く人も、前に進む人も、後ろを歩く人も、同じ経験をしてもらいたい…。キリストが真に中心であり、聖霊が道具であり、死んでよみがえられた主が中心におられるのを保証するものであるなら、私たちは皆、宣教する弟子です。

問: それでも、私たちは、組織や戦略など他のことに忙しかったり、気を取られたりしているように思われることもありますね。

答: 教会は、組織や戦略について話すのにいつも忙しくすることはできません。 試合をせず、ルールだけ話しているサッカークラブがあるとすれば、おかしいと思いませんか? そのようなクラブに入ったり、応援したりする人は多くないでしょう! 教会についても同じことが言えます。私たちの信仰は、教会の内外で奉仕することによって生きている。 神への奉仕と人々への奉仕の中で生きているのです。

 

 

*大陸レベル会合で気付いたことは、地域による「違い」

問: シノドスの大陸レベルの歩みに参加して気付いたことは?

答: とても素晴らしかったです。さまざまな国の司教協議会が、さまざまな大陸のレベルの会合に提案をしました。相違もありました。たとえば、ほとんどの大陸レベルの会合で、「テント」のイメージを気に入りましたが、アフリカではそうではありませんでした。なぜなら、彼らにとってテントのイメージは、「難民のテント」であり、「悲惨と貧困のテント」だったからです。彼らは、「神の家族」のイメージを好みます。「家族は広げられるが、テントは広げられない」というのです。

 それを知って、私は、 1 つのイメージだけでなく、さまざまなイメージを示す必要があることに気付きました。 「テント」のイメージを愛する人は「神の家族」のイメージから何かを学ぶことができる、と確信しています。 大陸レベルの会合に出席するの重要なことでした。私が出席したのは、話すためではなく、影響を与えるためではなく、耳を傾け、多様性を理解するためです。10月のシノドス総会でも、そうする必要があるでしょう。

 

問: 7つの大陸レベル会合と”デジタル会合”の8 つの最終報告から何が明らかになるでしょうか?

答: ”デジタル シノドス”は素晴らしい体験でした… 8つの文書すべてから浮かびあかったのは、実際に体験されたたこと-人々の喜びです。 欧州やアジアの会合では、集まりが繰り返されるようにしたい、との希望が出されました。欧州の会合について、私は心配していました。(参加国の間に)大きな違いがあったからです。 しかし、ここでも人々は前に進むことを希望しています。違いを抱えながら前進し、共に歩まねばなりません。 8つの最終報告をもとに、聖体拝領について、教会行事への参加について、福音宣教について、何が重要かを考え、10 月のシノドス総会のための準備文書をまとめる必要があります。

問: さまざまな大陸の貢献を引き出すために、どのような工夫をしましたか?

答: グループで、シノドス(共働)的なやり方で。 一人でしたわけではありません。 さまざまな課題に取り組むいくつかのグループがありました-高位聖職者のグループ、叙階された聖職者のグループ、洗礼を受けている信徒のグループ、司教たちのグループなど。共に歩む道で明らかになったすべてを包含するために、教会の教導職、教皇たち、第二バチカン公会議が何を語っているかを熟慮し、これについて大陸レベルの諸会合が何を語らねばならないのかを自らに問い、まとめました。

 

 

 

*10月のシノドスに向けた討議要綱はどのような中身に?

問: Instrumentum Laboris(討議要綱)はどのようなものになりますか?

答: 短いテキストの形になります。 シノドス総会の参加者たちが分かち合い、参加し、それによって自分自身を表現できるように。参加者たちが自由に語ることができるのを望んでいます-「それは捨てましょう」「何か他のことをしましょう」という風に。シノドス総会は今年10月、さらに来年10月に予定されており、急ぐ必要はありません。無理な妥協をしてはなりません。 今日の世界で、神が教会に求めておられることを真に理解するための時間が、私たちにはあります。

問: 具体的に、今から 9 月までの間に何がありますか?

答: 討議要綱が世界のシノドス総会の参加者たちに示されます。要綱に盛り込むべき新しい要素が多いので、やるべきことがまだたくさんあると思います。 そして、まだ定かでないのは、すべてのことがシノドス評議会と教皇に従う必要があり、私たち―総会の報告者、シノドス事務局長、特別秘書役の判断もそれに従わねばならないだろう、ということについてです。

 司教たちなしでも、司教たちに反対しても、synodality(共働性)はない。そして、教皇なしでも、教皇に反対しても、です。すべてのことは、教皇の承認、祝福を得るために低産される必要があります。そうしなければ、私たちは職務を続けることができない。 私たちはカトリック教徒であり、カトリック教徒であり続けたいと思っているのです!

 

*これまで”シノドスの道”に参加できなかった人たちに

問: あなたはさまざまな大陸レベル会合に参加しておられますが、 「生ぬるい」反応や抵抗にお遭いになったことはありましたか?

答: 参加していて、 2 つの誘惑に気付きました。 1つは、すべてを「古いパターンに同化する誘惑」です。 私が「右翼」と呼んでいる誘惑です。私たちには、これまでしてきた事に固執し、新しい事について考えたり、思い悩んだりしたくない、という傾向があります。

 もう一つ、「左翼」の誘惑もあります。それは、「教会で重要とみなされる問題はすべてシノドスで話し合わなければ、という誘惑」です。 でも、これは不可能です。 シノドスには、synodaliry(共働性)というテーマが設定されています。それが私たちの課題―synodality、聖体祭儀、参加、宣教の使命、です。シノドス総会は、これらに焦点を当てます。 他の課題の重要性に異議を唱えるつもりはありません。教皇が選択した方法で、それらを熟考できるようにされます。それでも、シノドス総会のテーマがsynodalityであることに変わりはありません。

問:これまでの” シノドスの道”の歩みで、教区レベルで直接関わることがなく、そうする機会がなかった人にどのように対処することができるでしょう?

答: まず第一に、私は彼らに祈ってもらいます。神の意志を行うためには、たくさん祈らなければならないからです。 教会全体の祈りの支えが必要です。そして、彼らに、「自分の心の中でシノドスを生きようとするように」とお願いしたいと思います。仕事でも教会でも、彼らの祈りは抽象的なままではあってはなりません。

 シノドスの祈りに参加することは重要です。 シノドス事務局長のマリオ・グレック枢機卿は、私が美しいと思うことを言いました- イエスのなさり方に倣いましょう、教会を見る時、イエスの存在を認めましょう-これは非常に重要なことです。そうしなければ、人々が私たちの中にイエスを認めなければ、どうして福音を宣べ伝えることができるでしょう? そして、そのためには、回心が必要です。 回心なくしてsynodalityはあり得ない。回心は、右派、左派、そして中道派、すべての人に求められます。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2023年4月28日

・”シノドスの道”-10月の全世界代表司教会議総会で一般信徒、聖職者の70人に議決権

Cardinals Hollerich (L) and Grech (R) present the changes to the Synod at the Holy See Press OfficeCardinals Hollerich (L) and Grech (R) present the changes to the Synod at the Holy See Press Office 

 また書簡では「今回の決定は、シノドスに関する現行規定を廃止するものではない。2018年の使徒憲章、 Episcopalis Communio(司教の一致)で、シノドスへの『非司教』の参加が規定されている」としたうえで、70人の「非司教」は、事前に用意された140人の中から教皇がお選びになり、「司祭、修道者、修道女、助祭、一般信徒など神の民を代表する」とする。そして、この総会には「傍聴者」はいなくなる。

 オロリッシュ枢機卿は、「世界代表司教会議総会の性格を維持しつつ、総会参加者の21パーセントを『非司教』が占めることになる。彼らの存在は、神の民の預言と司牧者の識別の間の対話を確かなものにします」と説明。70 人の「非司教」の半数が女性であり、また若者の参加が予定されることについて、両枢機卿は、「それが私たちの世界のあり方だからです」と述べた。

 そして、140人の候補者の選択に当たっては、「それぞれの文化的背景、これまでの”シノドスの道”での忍耐、知識、そして参画が判断基準となる。そこから教皇が選ばれた70人は、総会での議決権を持つことになります」とし、グレック枢機卿は、「このことは重要ですが、いつの日か、投票なしで済ますことができるようになることを期待しています。なぜなら、シノドスは『識別』、そして『祈り』だからです」と付け加えた。

*「非司教」のうち、修道者は男女5人ずつが選ばれる

 また、70人のうち男女修道会総長連合から選ばれる男女各5人の修道者にも、総会での投票権が与えられ、従来のシノドス会合に出席した「奉献生活の会」のメンバー 10 人に取って代わることになる。

 総会の本会議で行われるすべての議決は、秘密投票によって行われ、教皇によって批准されなければならず、教皇が議決を確認するまで、その名前は公表されない、ものとされる。

*会議の進行を助ける専門家のポストも新設

 また、10月のシノドス総会には、会議の進行を助ける専門家のポストが新設され、複数の人が選ばれる。グレック枢機卿によると、このポストは、シノドス研究グループの経験から生まれたもので、「専門家の存在が実りある力を生み出すことができる」と判断したといい、オロリッシュ枢機卿が「総会参加者の中には、これまでシノドスに一度も参加したことのない司教がいるので、特に霊的側面からの助けが必要となります」と補足。また、10月のシノドス総会には、司教協議会のない国から参加する司教も初めて参加する予定であり、エストニアとモルドバの両教区、そしてオロリッシュ枢機卿が教区長を務めるルクセンブルグ大司教区もそれに該当する、と述べた。

 最後に両枢機卿は、このような新たな形で開かれるシノドス総会によって、「教会は、さらに完全なものとなり、ローマで全教会の代表を務めることが喜ばしいものでなるでしょう」と口をそろえた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2023年4月27日

・”シノドスの道”の大陸レベル会合後の歩みについてシノドス事務局が会見

Group photos from each Continental AssemblyGroup photos from each Continental Assembly 

 

 

*目覚ましい多様性が一致の道に

 会見に出席したオーストラリア司教協議会会長でパース教区長のジョン・コステロ大司教は、まず、それぞれの大陸レベルの会合が「スタイルと内容の面でかなり異なっていたが、そのことは、教会がグローバルで普遍的なものであることを示している」と述べたうえで、オセアニア地域の会合の経験を踏まえ、「私たちは教会ですでに現実となっている多様性の大きさを、改めて認識した。 これにより、均一でない中での深い一体感が可能になるが、実際には、厳格な均一性のあらゆる探求を放棄することが求められた。霊的な対話の実践が、会合出席者の間に互いを尊敬する空気を作り出す上で重要でした」と語った。

 ナタリー事務局次長は、7 つの大陸レベル会合のうち 4 つに参加したが、「霊的な対話が、広範な教会活動の代表者やさまざまな国の代表者の対話に役立つことに気付きました」とし、 「オセアニア地域の海洋汚染や中東危機などの問題に向き合う時、霊的対話が、共働と連帯を促進し、”シノドスの道”の歩みを続ける希望が生まれるのを経験しました」と語った。

 また、「この方法論が、教会の多様性の素晴らしさに貢献し、より大きな言論の自由をもたらすことが分かった。大陸レベルの会合で明確になったことの一つは、『多様性は一致への道でもある』ということ、それと、”シノドスの道”には障害もあるが、改善の余地があること、でした」と指摘した。

 

*大陸レベルの会合はあくまで”シノドスの道”の一過程

 

 コステロ大司教は、大陸レベル会合の最終報告書をもとに19日まで開かれた専門家会合に触れ、「世界の各教区、各国レベルの報告をもとにした作業文書の策定以降の”シノドスの道”の歩み、作業文書をもとにした大陸レベル会合の報告書内容を詳細に評価・分析した。霊的対話の手法も取られました」と語ったうえで、 「大陸レベル会合は、あくまで”シノドスの道”の歩みの一過程。歩みに参加された方々が、これまでの熟考と識別のすべての作業を、これで終わらせないように希望したい。また、これまでに策定された作業文書や、大陸レベルの報告書を深く読み返してほしい。これらの文書は、 10 月の世界代表司教会議に参加する人々を刺激し、準備に役立ち続けるでしょう」と強調した。

 

 

*”デジタル シノドス”も進展

 続いて、バチカン広報省のルシオ・アドリアン・ルイス次官が「Digital Synod initiative」について説明し、制度的教会に関わらない人々を”シノドスの道”の対話に招き入れる狙いで生まれたこの企画には、「発足時に250 人の”デジタル宣教師”が参加したが、現在は 1000 人を超えている。主に 18 歳から 40 歳の間の人々に手を差し伸べることができた。3割が未信者が、教会から離れた信者。アンケートに対しては、115 か国の人々から 7 つの言語で 15万件の回答があり、2000万人の潜在的な閲覧参加者が見込まれるます」と述べた。

 

*”シノドスの道”と教会一致運動が相互に貢献

 バチカンのキリスト教一致推進省のヒヤシンス・デスティベル神父は「カトリック教徒が他のキリスト教徒から受け取ることができる贈り物の1つは、まさに“共働性”の経験でしょう。当省は、昨年から今年にかけて 4 つの国際会議を企画、実施し、キリスト教他宗派の現実から共働性の経験を理解しました。会議には、 カトリックの神学者とシノドス事務局のメンバーも出席し、教会が彼らから何を学ぶことができるかを聞き、理解しました」とし、教皇も「キリスト教一致運動は、”シノドスの道”の歩みに貢献し、”シノドスの道”の歩みは教会一致運動に貢献している」と語られている、と述べた。

 

*”シノドスの道”のこれからの歩みは

 大陸レベル会合を終えた”シノドスの道”の次の段階は、10月の世界代表司教会議に向けた準備文書の策定だ。シノドス事務局のナタリー事務局次長は、5 月末までに文書の策定が終わり、公表されることを目指している、とするとともに、作業文書の重要なポイントの 1 つとして「現在の”シノドスの道”の歩みを通して、世界の多様な文化や状況の中で 『1 つの教会』になるための方法を識別し、さらに学び続けること」を挙げ、”シノドスの道”は、「何をどのレベルで決定すべきか、適応と柔軟性を備えた一致の原則をどのように明確にするかについての演習の機会になる」と語った。

 またコステロ大司教は、”シノドスの道”の歩みが「今も進行中のプロセスにあること」を改めて強調。「歩みのさまざまな段階で、結果がどうなるか、結論がどうなるかを知りたい、と言う誘惑にかられるでしょうが、結論を急ぐことは、結論に向かう旅の重要性を無視することになります」と述べ、必要なことは、「スキルと洞察力を使って共働性を展開できるようにすること」、「聖霊が私たちを主が望んでおられる方向に導いてくださること」だと語った。

 

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2023年4月21日

・”シノドスの道”オセアニア地域大陸レベル会合の最終文書で”緊張”が明確にされた(Crux)

(2023.4.17 Crux  Managing Editor  Charles Collins)

 ”シノドスの道”のオセアニア・カトリック司教協議会連盟による大陸レベル会合の最終文書がこのほど発表されたが、その中で先進国と発展途上国をメンバーとするこの地域での「緊張」が明らかになった。

 

 

*性問題、女性の役割、「死と復活」をめぐる教会の教義で意見に差

 

 同司教協議会連盟は、オーストラリア、ニュージーランド、パプア ニューギニア、ソロモン諸島、および太平洋司教会議 (CEPAC) に加盟するクック諸島、フィジー、フランス領ポリネシア、グアム、キリバス、マーシャル諸島、ミクロネシア、ニューカレドニア、北マリアナ諸島、サモア、トンガ、ツバル、バヌアツ、ウォリス フツナで構成され、 この地域の東方カトリック教会 (ECC) も参加している。

 最終文書で指摘された意見の不一致がもたらす「緊張」の中には、性の問題、性差をめぐる問題、 教会における女性の役割、「死と復活」などに関するカトリック 教会の教えの変化の可能性などがある。

 

 

 さらに、最終文書では、「中絶や安楽死などの人生の始まりと終わりの問題、および信教の自由を迫害する動きに対しても、注意を払う必要がある」とし、司教たちの意見として、このような率直な意見の表明、”緊張”の表明について、「私たちは”別の教会”を建てたいのではなく、愛する教会を刷新し、活性化させたいのだ」と強調。刷新と活性化は、個人の回心から始まり、共同体的および構造的な表現の中に見出される。 司教協議会は、誰も置き去りにしないことを目指している。 そのような教会で、私たちは互いに愛し合いながら共に歩んでいく」と決意を表明している。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

・・Cruxは、カトリック専門のニュース、分析、評論を網羅する米国のインターネット・メディアです。 2014年9月に米国の主要日刊紙の一つである「ボストン・グローブ」 (欧米を中心にした聖職者による幼児性的虐待事件摘発のきっかけとなった世界的なスクープで有名。映画化され、日本でも全国上映された)の報道活動の一環として創刊されました。現在は、米国に本拠を置くカトリック団体とパートナーシップを組み、多くのカトリック関係団体、機関、個人の支援を受けて、バチカンを含め,どこからも干渉を受けない、独立系カトリック・メディアとして世界的に高い評価を受けています。「カトリック・あい」は、カトリック専門の非営利メディアとして、Cruxが発信するニュース、分析、評論の日本語への翻訳、転載について了解を得て、掲載しています。Crux is dedicated to smart, wired and independent reporting on the Vatican and worldwide Catholic Church. That kind of reporting doesn’t come cheap, and we need your support. You can help Crux by giving a small amount monthly, or with a onetime gift. Please remember, Crux is a for-profit organization, so contributions are not tax-deductible.

 

2023年4月21日

・”シノドスの道”-専門家チームが10月の世界代表司教会議の討議要綱策定の準備に着手

2019.10.12 Sinodo settima Congregazione Generale pom

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2023年4月15日

・”シノドスの道”北米大陸レベル会合の最終文書―洗礼、交わり、福音宣教の使命に焦点

(2023.4.12 Vatican News  Christopher Wells)

  ”シノドスの道”の米国とカナダの教会による北米大陸レベル会合の最終文書が12日に発表された。シノドスの基盤として「信徒に共通した洗礼」「キリストとの交わり」、そして「世界に良いたよりをもたらす」という私たちの使命に、焦点を当てている。

 最終文書の表書きで、北米司教協議会連盟のダニエル・フローレス司教とレイモンド・ポアソン司教は、今回の会合が「米国とカナダの教会にとって重要な瞬間であり、現代世界における教会の進むべき道としてシノダリティ(共働性)を包含するために、教皇フランシスコへの応答を強化することに繋がった」と述べた。

 文書は、北米大陸レベル会合の内容をもとに、北米大陸レベル執筆チームによって作成されたもので、大陸レベル会合で明らかになった 3 つの主要テーマ-「洗礼を通じての呼びかけと賜物」「キリストと我々相互の交わり」「宣教の使命への派遣」-について詳しく述べている。

 

 

*連動する3つのテーマ

 主要テーマの第一は、シノダリティの基盤として、「私たち共通の洗礼の呼びかけと尊厳の中心的な役割」を強調し、「教会とその使命における共同責任の機会と共にある尊厳のより深い認識」を求めている。

 第二の「キリストと我々相互の交わり」では、教会内部の深い分裂の存在を認識し、キリストの体を構成する信徒たちの一致を強める方策を探求している。

 そして第三の「宣教の使命への派遣」では、洗礼を受けたすべての者が表に出て、福音を宣べ伝え、特に社会や教会の片隅に置かれている人々に宣教する義務があることを確認している。

 

 

*教会が直面している問題

 文書は、これらの主要テーマの文脈の中で、信徒の間から提起された「教会における女性と若者の役割」を含む問題を指摘。また、「教会の信頼・信用の危機の原因となり続けている聖職者による性的虐待」や「特にLGBTQのコミュニティに対する教会の抱擁性」「 教会と現代世界との関係」、 そして「シノダリティ(共働性)と識別、宣教の使命、そしてカトリックの社会教説についての養成の必要性」も強調している。

 また、司教たちは、教区レベルでの”シノドスの道”の歩みを振り返って、「生きたシノダリティの経験」ができたことを「大きな恵み」と表現し、「シノダリティの実践を継続し、深める方法を見つけたい」と述べた。

 さらに、”シノドスの道”の世界レベルの歩み―10月のバチカンでの世界代表司教会議に向けた5つの優先課題として、「シノダリティの形成と識別の霊性を含む現地教会のシノダルな協議の調和」「『排除されている』と感じている人々の歓迎」「 教会における共同責任」「 さまざまな種類の二極化と分裂の中での教会における一致と交わり」、 そして「社会の周辺に出かけて行く教会の必要」-を挙げている。

 北米司教協議会連盟のダニエル・フローレス司教とレイモンド・ポアソン司教は最終文書の表書きで、「北米の”神の民”は共に、この”シノドスの道”の歩みの最初の一歩を踏み出した。多くの人が、米国とカナダにおいて教会への喜び、切望、嘆き、夢を繰り返し聞くことを願っている」と今後への期待を表明している。

 *最終文書の全文は、the Synod websiteに。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2023年4月14日

・”シノドスの道”オセアニア大陸レベル会合も報告書発表

General Assembly of the Federation of Catholic Bishops Conference of Oceania - FCBCO Continental Stage of the Synod on SynodalityGeneral Assembly of the Federation of Catholic Bishops Conference of Oceania – FCBCO Continental Stage of the Synod on Synodality 

(2023.4.13  Vatican News  Christopher Wells)

   “シノドスの道”のオセアニア地区の大陸レベル会合が13日、これまでの話し合いの結果をまとめた報告書を発表した。環境危機への対応、女性の役割、若者たちへの積極的な対応の必要を強調している。

 報告書はまず、オセアニア地域の豊かな多様性とシノダリティ(共働性)に関するこれまでの前向きな経験を指摘。神の民が本当に自分たちの声を聞いてもらえるのか、シノダリティが結局、教会にとって害のあるものになるのではないか、などを心配しつつも、これまでの識別のプロセスの中で、多くの参加者が共働的な教会への世界的な呼び掛けに大きな感銘を受け、バチカンのシノドス事務局の大陸レベル会議に向けた世界各国レベルまでのこれまでの”シノドスの道”についての取りまとめた準備文書がシノダリティの全地球的な経験をとらえる内容になっている、と述べた。

 

*女性の役割、若者のケア、生涯養成、性的虐待…

 報告書の中心部分では、識別プロセスの「成果」と出された共通の認識が示され、「教会内の分裂についての懸念」「様々な差異を包含することが必要だとの認識」「 教会の教えと教会における女性の役割に関する問いかけ」「 若い人たちに手を差し伸べることの重要性」と、「すべての信徒の生涯養成の重要性」などが具体的に挙げられた。

 また、教会内部での緊張、さまざまな文脈で生じたさまざまな司牧上の問題の存在などを指摘し、 「性をめぐる多様性を持つ人々の経験と、この問題に対する教会共同体の対応」「教会の教えに関する問題」「性的虐待がもたらす教会の危機」「文化的な包括性の問題」なども真剣に取り組むべき問題として指摘している。

 

 

 

*10月の世界代表司教会議では環境や信教の自由の危機、信徒の役割などにもっと関心を

 

 さらに、バチカンの準備文書に対しては、オセアニアの人々に強い関心のある環境危機にもっと注意を払う必要がある、としたほか、宗教生活、結婚の召命、一般信徒の役割、生命に関わる問題、信教の自由に対する規制の強まりなども、もっと注目すべき分野として挙げている。

 10 月に開かれる世界代表司教会議に向けて、世界レベルでの”シノドスの道”の優先事項を特定し、使命に関して明確な方向性を打ち出す必要と、小教区から教区、国、大陸などあらゆるレベルでもっとシノダル(共働的)な教会となる必要性を強調。世界代表司教会議で扱うべき優先事項として、「私たちの”共通の家”のケアのあり方」「教会における女性と若者の役割」「あらゆるレベルでの信仰養成」を挙げた。

 

*「さらに多くの信徒が参加するように」

 

 報告書は、最後に、これまでの”シノドスの道”に歩みに対する聖霊の働きを認め、「参加者はすでにシノドスの過程で変化を感じており、シノドスの次の段階を待ち望んでいる」とし、「神の民の名において、10月の世界代表司教会議で、『あなたのテントのスペースを広げる』という準備文書の呼びかけを取り上げるよう求めた。

 また報告書の本文に続けて、オセアニア地区の司教たちの独自の「司牧的応答」を追加文書とし、 オセアニア司教協議会連盟の会長、アンソニー・ランダッツォ司教は「オセアニアの人々の羊飼いとして集められた私たちは、自分が聞いたことについて祈りと熟考を共有することを希望しました」と述べた。

 司教たちは、神の民への信頼を表明すると同時に、これからも歩み続ける”シノドスの道”にさらに多くの人が参加することを希望するとし、「シノダリティー(共働性)を成長させていくためには時間が必要。教会の刷新は、個人の回心から始まり、すべての人が共に歩むことによって可能となる」と強調した。

 そして、これまでの”シノドスの道”の歩みで生まれた喜びと希望を強調し、 「私たちはまた、預言者になるように召されていると感じている…  イエスが使徒たちを遣わされたように、私たちも遣わされている」と述べている。

 報告書の全文は Synod websiteに掲載。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2023年4月14日

・「履物を脱いで」はアジアの”シノドスの道”の歩みの特徴―アジア大陸レベル会合の最終文書

(2023.3.27 Vatican News   Sr Bernadette Mary Reis, fsp)

*教育、医療、社会福祉で貢献する教会、だが、”道”の参加者は限られている

 

*多様な歴史・伝統と文化とともに、新たな形の”殉教”も

 

 その一方で、アジア地域の教会の特徴として、「喜び、悲しみ、脆弱性、傷などのさまざまな感情」を通じて表現される「教会への深い愛」があり、”シノドスの道”の国・地域レベルさらにアジア大陸レベルの歩みの中で、「それぞれが持つ様々な歴史・伝統と豊かな文化」とともに、「多くのキリスト教徒が「信仰を守るためにさまざまな脅威に苦しんでいる事実―『殉教』の新たな形」を深く認識することが可能になった―としている。

 そして、アジアの教会に共鳴している「傷」には、「財政、支配権、良心、権威、そして性に関わる虐待」「統治と意思決定への女性の十分な参加の欠如」「教会の一員であるにもかかわらず、歓迎されていない人々の集団に対して司牧ケアをすることへの理解の欠如と失敗」「個人主義、消費主義、物質主義などのイデオロギーの蔓延」、「抑圧的な政権による教会の沈黙」などを挙げている。

 さらに、「シノドス的教会の司牧のあり方に関する新しいビジョン」に向けた「機会」となり得るのは、まさにこれらの「喜びと傷」であり、「教会は、誰もが歓迎されていると感じ、帰属意識を感じる”内に包み込む精神”から始めなければならない。 神の民は、誰もが排除されるべきではない。 弱く、傷つきやすくても、教会の”内に包み込む精神”が、シノドス的教会にとって必須だ」と強調している。

 「宗教の多様性」など、いくつかのアジアの現実は、教会に対話、平和構築、和解、調和を「強いる」ものだ。 実際、この文書は、「いくつかの場所では、この対話の推進はカトリック教会だけのイニシアチブであり、相互関係がすぐに実現しない場合がある」と述べている。また、対話に関して、大陸レベル会合で表明されたいくつかの留保にも言及しているが、アジアの「内向きの教会」が「より宣教的で共同体的で統合されたアプローチ」を通じて「追加の使命」に向かって進む必要があるという「強い意識」も示している。

 

*「分断」「対立」「聖職者主義」を克服する必要

 また最終文書は、教会を構成するさまざまな現実の間には「分断」があることを認め、それはしばしば「真の弟子になるための洗礼の呼びかけを他者が実行するのを妨げる(時には除外さえする)リーダーシップのスタイル」によって助長されている、と指摘。

 これを克服するためには、「一般信徒の使徒職の範囲をひろげる」「カテキスタの使徒職を推進する」「教会における権力の行使に説明責任と透明性を確保する」「司祭の召命の欠如や教会における若者の不在などについて、真剣な対応に努める」「さまざまな貧困を経験している人々を教会の活動に取り込む」ことが必要、とし、「対立」と「聖職者主義」も克服すべき課題に挙げている。

 さらに、最終文書は、かなり数のアジアの人々が故郷を離れた経験をもち、難民または避難民となっていることを認めながら、その多くが「生きた経験だけでなく、信仰も周囲の人々に伝え、福音の宣教者になっている」とも指摘。教会が彼らを包み込む方法の一つとして、「新たな福音宣教者として、この”シノドスの道”に招き、共に歩むこと」を挙げている。

 

*アジアの教会が取り組むべき6つの優先課題は

 

 また最終文書では、アジアの教会が取り組むべき優先課題として6つ―「養成」「包括とホスピタリティ」「宣教する弟子となる」「説明責任を果たし透明性を図る」「祈りと礼拝」「環境保全」―を挙げ、それぞれがシノドス(共働)的な教会―「すべてのものを贖い、和解させるために来られたイエス」に倣い、「この地球全体を新たなものにしようとする」教会に必要なものである、としている。

 最終文書は最後に、アジアにおける”シノドスの道”の歩みの特徴を一言で表現すれば、「家や寺院に入る時に履物を脱ぐ」という、この地域の文化慣行であり、それは「相手を尊敬するしるし」であり、「自分たちが入っていこうとする相手の生活を意識すること」である、と指摘。

 このことは、モーセが体験した神の顕現、私たちが「聖なる地に立っている」ことを思い起させ、「私たちが保護し、世話をするよう求められている地球」を意識することに繋がるものであり、 アジアの教会で体験している”シノドスの道”の歩みの「美しいシンボル」であり、 偏見を持たずに耳を傾けるのに欠かせない相手に対する敬意、一致よりも分裂を生み出す”高い地位の象徴となるもの”を取り除く必要を、自分たちに思い起こさせる、とし、次のように締めくくっている。

 「『履物を脱ぐ』…それは、関係性、文脈、宣教性をもち、謙遜と希望をもって共に旅をしている私たちの教会を明確に表現している」。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

 

 

2023年3月28日

・”シノドスの道”中南米大陸会合終了―「誰もが『自分の声』が反映されている、と感じる報告書に」

Fr Ricardo González Sánchez at the synod meetingFr Ricardo González Sánchez at the synod meeting 

(2023.3.20 VaticanNews  Joseph Tulloch)

 ”シノドスの道”の中南米大陸レベル会合は3月17日から20日にかけて、コロンビアの首都ボゴタで開かれ、10月にバチカンで開かれる世界代表司教会議での協議の基礎となる報告案について話し合った。

 Vatican Newsの取材に答えた起草委員会のメンバー、リカルド・ゴンザレス神父によると、報告案の取りまとめは、司教たちの「司牧的および神学的考察を助ける」ために選ばれた司祭と男女の一般信徒 12 人のグループによって行われた。

 参加各国の司教協議会から出された報告を基に、大陸レベル会合での話し合いの内容、アマゾン地域の先住民やアフリカ系中南米人などの声も含めるのに努めたが、取りまとめの過程で、「兄弟姉妹として、召命や奉仕の違いを越えて、互いに耳を傾け、私たち全員がすべての教会の一員として、非常に豊かな経験でした」と感想を語った。

 また、報告案の策定に当たっては、「新しい内容のものを取り入れるのではなく、これまでの”シノドスの道”の小教区レベル、教区レベルなどの歩みで出された信者たちの声を正確にまとめること、各レベルで表明された関心事項、懸念事項に可能な限り忠実にとりまとめることに注力した」ことも強調。最終的な狙いは、「誰もが自分の声が反映されている」と思えるような内容にすること、と述べた。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

 

2023年3月23日

・”シノドスの道”アフリカ大陸レベル会議が閉幕ー秋の世界代表司教会議に向けた8つの優先課題決定

Cardinal Fridolin Ambongo addresses the assemblyCardinal Fridolin Ambongo addresses the assembly 

 参加者の一人、シスター・ホセ・マリアは会議の前に「”私”ではなく、”アフリカの神の1つの教会の家族”として考えねばなりません。お互いに耳を傾け、聖霊に耳を傾けています」と述べ、報告に盛り込むべき課題について、「これまで 15の小グループで話し合いが行われましたが、優先課題は5つに絞りたい」としていた。

 だが、その希望通りにすることは難しく、結局、報告書草案取りまとめチームによって、次の8つの優先課題が草案に盛り込まれた。

1.  離婚、壊れた結婚、再婚した人々、一人親など現在の課題に焦点を当てた家庭への司牧ケア。

2. 1995年の最初のアフリカ司教会議以来、神の家族としての教会の概念にすでに大切にされているものとしてのアフリカの文化的価値観を、教会の教義を無視することなく深化すること。

3. 共同責任と相互補完性が 基本原則のUbuntu(人と人との忠誠心を持った関係)、Ujamaa(同胞)、Indaba(重要な問題を議論するための会議)、Palaver(時間のかかる交渉)などの様々な哲学を背景に表現されるアフリカの共同社会の文化について考慮すること。

4. アフリカにおける戦争と社会的な紛争につながることの多い「天然資源の搾取」と戦うことを約束すること。

5. 礼拝の規範に従って、信徒の積極的な参加のために典礼の刷新を促進すること。

6. 教会の統治において共働性を促進する方法として、包括性の考え方が強調される神の民を育てること。

7. 女性たち、若者たち、そして疎外感をもつすべてのグループの人々を包含すること。

8. 環境の危機に対処するためのsynodal(共働的)変化をもたらす方法としてのEcological justice(肌の色や出身国、所得の多寡に関係なく、誰もが公正に扱われ、安全な環境で暮らせるようにすること)とstewardship(天然資源にの責任ある計画と管理を行う倫理的価値)の重要性。

・・・・・・・・・

 そして会議は、3時間以上続いた最終セッションの終わりに、司教たちが交替で閉会の挨拶をした。まず主催地アディスアベバの大司教でエチオピア司教協議会会長のベルハナエソス・ソラフィエル枢機卿が、アフリカ・マダガスカル司教協議会連盟(SECAM)が会議開催地としてにアディスアベバを選んだこと、会議参加者全員で大陸レベルと世界レベルの”シノドスの道”の歩みのための報告書をまとめる対話ができたことに感謝を述べた。

 SECAM副会長でモザンビーク教区長のルシオ・ムアンデラ司教は、今会議に先立つアクラとナイロビでの2つの準備会合を含むプロセス全体の責任者を務めたが、「兄弟が共に住むことは何という幸せ… 頭の上に注がれたかぐわしい油のようだ。それは、ひげに滴り落ちる。衣の襟にまで垂れるアロンのひげに… それはシオンの山々に滴り落ちる」という詩編133章の言葉を引用し、「この言葉が、今回の会議で私たちが経験したことを要約しています」と語った。

 また、世界代表司教会議のまとめ役であるジャン=クロード・オロリッシュ枢機卿は、今回会議で示された”シノドスの道”の精神を高く評価し、「互いに耳を傾け合う時間を親愛なる兄弟姉妹の皆さんと過ごせたことを感謝します。会議で皆さんが述べられたことすべてに感謝します」と語り、「まさに重要なのは、Sinodality(共働性)、交わり、参加、そして使命です」と強調した。

 そして閉会のあいさつに立ったSECAM会長のフリドリン・アンボンゴ枢機卿は、開催地エチオピアの政府、カトリック教会、そしてエチオピアの人々のもてなしに感謝し、バチカン、SECAM、およびアフリカ全土のすべての代表者、専門家チームを含む関係者全員に感謝を表明。

 「今回の会議は、アフリカの教会刷新のための最初の集まりであり、Kairos(機会)でした。学び、sinodality(共働性)を生きる時を過ごしました。アフリカの”神の家族”を体験する時でもありました。互いに耳を傾け、アフリカ大陸に影響を与える繊細な問題について、聖霊の言葉に耳を傾けました。 ここアフリカで、私たちの使命を互いに更新し合うためのsinodal(共働的)な集まりになりました」と締めくくった。

 ”シノドスの道”のアフリカ大陸レベル会議が終わり、今秋の世界代表司教会議に向けた歩みが続く。現在起きている宗教上のイデオロギー的過激主義など、アフリカの教会と人々にとって大きな懸念となっている難問に解を見つけるための時間は十分にはなかったようだ。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

2023年3月7日

・菊地・司教協議会会長が”シノドスの道”アジア大陸レベル会議報告

(2023.3.3 週刊大司教)

2023asiasynod02 教会は2021年から2024年に向かって、”シノドスの道”を歩んでいるのは、ご存じの通りです。

 全体としては、それぞれの教区での取り組みに始まって、大陸レベルの取り組み、そしてローマでの会議と続いていきますが、その行事とは別に、教会が交わりの共同体として「共に歩む」ことを基本的な姿勢として身につけることを、この取り組みは求めています。

 御聖体と御言葉の内に現存される主イエスに生かされる神の民は、互いに耳を傾け、支え合いながら、祈りをともにすることで、教会に対する聖霊の導きを識別し、この世界にあって主イエスの与えられた福音宣教の使命を果たしながら、御父に向かって正しい道を歩み続ける教会共同体であることを目指しています。

 したがって”シノドスの道”は、ローマでの会議へ向けた一連の出来事と、それぞれの教会での取り組みの継続という、二つの道を同時にたどる歩みです。

2023asiasynod08-2

 そのシノドスの道の、大陸別会議が、現在相次いで開催されており、アジアの会議も、先日2月23日から27日まで、タイのバンコク大司教区司牧センター「Baan Phu Waan」を会場に、80名近い参加者を得て開催されました。

2023asiasynod01

 今回の会議は、各国からの回答書をもとにバチカンのシノドス事務局によって昨年10月末に作成された文書、「あなたの天幕に場所を広く取りなさい」(イザヤ 54・2)に基づいて、アジアではこの1月15日までにFABC(アジア司教協議会連盟)に提出されたアジア各国の回答書をもとに分かち合いを行いました。

 2月24日と25日の小グループでの分かち合いに基づいて「識別と文書作成チーム」によってアジア大陸レベルの回答書が作成され、26日には全体会議でその枠組みを承認。さらに会議が終わり参加者が帰国を始めた27、28両日、同チームが作業を続け、出来上がった回答書は、3月3日の日本時間の午後にオンラインで開かれるFABCの中央委員会(各国の司教協議会会長がメンバー)で採択、バチカンに送付される予定です。

 バチカンのシノドス事務局は、これらに基づいて6月頃までに作業文書を作成し、それに基づいて10月の世界代表司教会議第一セッションがローマで行われます。

 様々な段階で作成されている文書の邦訳は、中央協議会のこちらをご覧ください

 今回のアジアの大陸別シノドスは、正式名称を「Asian Continental Assembly on Sunodality(シノドス性についてのアジア大陸会議)」と言い、全体では、6名の枢機卿、5名の大司教、18名の司教、28名の司祭、5名の女性奉献生活者、18名の信徒が参加しました。またバチカンからは、事務局長のグレック枢機卿、会議のRelatorであるオロリッシュ枢機卿、事務局秘書のシスター・ナタリーも参加し、さらにバチカンの広報からかなり大がかりなチームが参加して、発信をしていました。

 参加者については、事前にバチカンの事務局から、各国の司教協議会会長に加えて、あと二名と指定があり、しかもそのカテゴリーにも指定があったため、FABC事務局でその指定にあったカテゴリーを各国に振り分けました。

 日本には、会長の司教の他に、若い教区司祭と女性信徒の指定があり、英語での会議参加などの条件を勘案して、高松教区の高山徹神父とJLMM事務局の辻明美さんに、代表として参加していただきました。

2023asiasynod05

 また文書を作成するための「識別と文書作成チーム」は、中央・南・東南・東アジアからそれぞれ一人ずつ出すことになり、東アジアからは、これも英語で自由に文書作成の作業ができる人と言うことで人選に難儀しましたが、中央協議会で翻訳などのお手伝いもいただいているセルヴィ・エバンジェリー会員の西村桃子さんにお願いしました。

 このチームにはこれ以外に、司祭の神学者が2名、信徒の神学者が2名(男女一人ずつ)、そして事務局次長が加わりました。現場でチームの応援団として事務局長のわたしと会長のボ枢機卿で作業を見守りましたが、短時間に集中して文書を作成したチームには、感謝しかありません。

 今後、参加してくださった方々からの振り返りも含めて、カトリック新聞などで発信がある予定ですが、それを通じて、さらにシノドスの道程を深めていくことができればと思います。ともに歩む道程には、常に主ご自身が共にいてくださることを心に留めたいと思います。

(菊地功=きくち・いさお=カトリック日本司教協議会会長、東京大司教)

(編集「カトリック・あい」)

2023年3月4日

・”シノドスの道”アフリカの大陸レベル会議ー1年半の歩みの経験を分かち合う

Participants at the Continental Assembly for AfricaParticipants at the Continental Assembly for Africa 

(2023.3.3 Vatican New  Andrew Kaufa, SMM – Addis Ababa)

 エチオピアの首都アディスアベバで開かれていた”シノドスの道”のアフリカ大陸レベル会議で、参加者たちは2021年10月に”シノドスの道”の歩みが始まってから経験したことに喜びをもって感謝している。

 会議ではアフリカ全土から集まった枢機卿、司教、司祭、修道者、若者を含む信徒が10 人づつの小グループに分かれて意見交換をし、過去 1 年半の”シノドスの道”の歩みで経験し、学んだことを分かち合った。

 ある英語圏の国々のグループの参加者は「sinodality(共働性)は、アフリカでの私たちのやり方の一部になっており、アフリカの教会で進んで受け入れられています。将来の教会につながる歩みを促進しています」と評価。

 他の英語圏グループの参加者は「歩みの中で、聖霊が、若者も女性も障害者も、アフリカの教会として共に歩むよう私たちを招いておられることを感じました  。 また、教会の所有権は私たち全員に属している、ということを確認し、一般信徒も教会の所有、運営に責任をもち、改善に率先して自由に行動することができるできるという認識を持ちました。これはまだ進行中ですが、それがアフリカの教会のあり方にならねばならない、と確信しました」と述べた。

 

*”ピラミッド構造”の教会は、参加型で”耳を傾ける”教会に変わる必要

 フランス語圏のあるグループの代表者は、「現在の”ピラミッド構造”の教会は、参加型で”耳を傾ける”新しい教会に道を譲らねばならない、と認識しました」とし、「”シノドスの道”は、教会の新しい”ライフスタイル”として受け入れられる必要があり、そのために一般信徒の積極的な関与が欠かせません。”シノドスの道”の枠組みは、私たち全員が『宣教師』になることを求めており、私たちに与えられた使命について説明責任を負うことを求めています」と強調。

 また別のグループは「教会の”ピラミッド”構造は、シノドスの精神によってのみ改善される。そして、聖体拝領などの秘跡を受けるのを妨げられているキリスト教徒に秘跡への道を開くことができるのです」と指摘した。

 

*教会における女性と若者の役割を高める必要

 参加者たちはまた、”シノドスの道”の歩みが、将来の教会における女性と青少年の役割に関するいくつかの洞察を深めるのに役立った、と口をそろえた。そして、「女性は教会の主要なメンバーです。 多くの女性たちが取り残されている。教会や社会で賜物を分かち合うことが許されねばならない。また、青少年は教会の希望の源。 彼らは自己表現の機会が与えられることを希望しています。 彼ら自身の生活に影響を与える否定的な力を黙って受け入れてはならないのです」と強調した。

 

*新たな教理教育の必要

 ”シノドスの道”を歩む経験の中で、アフリカの教会の聖職者、一般信徒が重要視した他の側面には、聖体拝領の精神性を高める必要、”ピラミッド型”の教会構造の改革、教会に対する帰属意識と所有権の感覚を高め、聖職者主義のリスクに対処する取り組み、などがある。

 ある参加者は「これらすべての課題に対応するために、新たな教理教育が必要です」と述べ、また「”シノドスの道”を共に歩むのは、重要なことですが、困難を伴うのも事実。”シノドスの道”は、改革をもたらすことを意味し、そのために忍耐も必要です」と語った。

 また 別のグループは、「誰もが教会に提供するものを持っており、”シノドスの道”の歩みは、人と人との絶え間ないコミュニケーションを必要とし、互いに耳を傾け、教会で信徒は司祭と共同責任を果たしていくもの」と付け加えた。

 

2023年3月4日

☩「Sinodalityの重要性を再認識した公会議決定の完全な実践にあと40年必要」

 教皇フランシスコがベルギーのカトリック系週刊誌「テルティオ」のインタビューに答えられた内容が28日発表された。。

 それによると、同誌のヴァン・リエルデ編集長が、教皇と第二バチカン公会議の関係について質問。「あなたの在位期を理解する鍵は、第二バチカン公会議にあるのではないか。同公会議の内容の実践を推進しようとするのは、どうしてですか」と聞いた。

 これに対して、教皇はまず、「歴史家たちによれば、一つの公会議の決定が完全に効力を表し、それが実践されるまで一世紀かかると言われています。私たちがそこに至るまで、今からさらに40年が必要です」と前置きされたうえで、「第二バチカン公会議がもたらしたものは、教会の刷新だけではありません。『教会を常に生き生きしたものにする』という挑戦でした」と強調。

 さらに「公会議は教会を新たにするのではなく、若返らせるのです。教会は常に前進する母です。第二バチカン公会議は、教会が時代のしるしと共にさらに成熟するための扉を開きました」とされ、「たとえば、『教会憲章』は、最も伝統的な公文書であると同時に、最も近代的なものでもあります。『教会』という仕組みの中で、伝統は常に新しい。なぜなら、『伝統』とは常に発展、成長していくものだからです」と語られた。

 また「第二バチカン公会議の内容の適用と実践には、sinodality(共働性)の促進も含まれていると思いますが」の問いに、教皇は「パウロ6世は、公会議の終わりに、東方典礼カトリック教会がsinodal(共働的)側面を保つ一方で西方教会がそれをほとんど失ってしまったことに衝撃を受けられた。そして、シノドス事務局の設立を決め、教会に新しいsinodalityを推進しようとされました」と述べ、「第二バチカン公会議がsinodality(共働性)の重要さを再認識する契機」となったことを指摘された。

 続いて、リエルデ編集長が「ベルギーの教会では、聖職者の数も、信徒の数も減少しています。教会の指導者たちは典礼と福音宣教に焦点をあてる傾向がありますが、今、教会が注目されるためには、社会的・預言的面に注力すべきではないでしょうか」と聞いたのに対して、教皇は「それらは互いに矛盾するものではありません。祈りと礼拝と信心業は、”香部屋に引きこもる”ことを意味しない。ミサを捧げない教会は、教会ではない。しかし、”香部屋に身を隠す教会”も、教会とは言えません」と解答。

 さらに、「ミサには、その後にもたらされるものがあります。ミサでパンを裂きますが、それは『社会的義務を果たし、他者の世話をする』よう促します。祈りと仕事、神の礼拝と兄弟姉妹への奉仕は並行するもの。すべての兄弟姉妹の中に、私たちはイエス・キリストを見るからです」と語られた。

 「新自由主義的経済モデルは、限界に達したように思われるが、それに代わるものはあるのか」という問いには、「経済は、”社会的な経済”でなくてはなりません。市場経済に『社会的』という言葉を加えたのは、ヨハネ・パウロ2世でした」とされたうえで、「現在の経済危機は深刻。世界の多くの人が、食べるためにも、生きるためにも事欠いている。豊かさは大企業を動かす一部の人々の手の中にあり、これらの企業は時として人々を搾取する傾向にある。経済は、常に社会に奉仕するもの、社会的なものであるべきです」と述べられた。

(編集「カトリック・あい」)

2023年3月1日

・アジア大陸レベル会議閉幕、「アジアの教会は世界に多くのことを与えられる」とオロリッシュ枢機卿が激励

   “シノドスの道”アジア大陸レベル会議は26日、最終日を迎えた。この日の全体会合で講演したシノドスの総括担当者であるジャン=クロード・オロリッシュ枢機卿(ルクセンブルク大司教は、現在進められている”シノドスの道”に求められている「調和と回心」について語り、「アジアの教会は、世界に多くのことを与えることができる」と激励した。

 最終日の会合は、 フィリピン出身でシノドスの神学委員会のメンバー、エステラ・パディラ教授が進行役を務める形で、フィリピンのパブロ・デビッド司教、台湾・中国地域司教協議会シノドスチームの テレサ・ウー氏など参加者による分かち合いが行われた。

 

*”交響曲”としてのシノドス

 オロリッシュ枢機卿が冒頭、この日の議事を方向付けるために 3 つのポイントを提示。まず、相乗効果、連帯、調和としての”交響曲”を挙げた。作業グループの 1 つによって行われた省察を取り上げ、 「”交響曲”には反復と規律が含まれており、すべての演奏者は自分の楽器を大事にする必要があります。もしピアノがうまく調律されていなければ、”不協和音”のひどい演奏になってしまうでしょう」とし、「共働的な回心は、”楽器を調律”すること。 回心は常にキリストに向かっています」と述べた。

 

*共働的回心と洗礼に基づく一致

 そして、「回心には、互いを見て、私たち一人一人の中にある洗礼によって与えられた尊厳を理解するために、私たち自身のエゴを手放す謙虚さが必要です」としたうえで、「 聖体拝領ではなく洗礼から始めることは、洗礼に基づく教会一致の”新しい春”をもたらすことになるでしょう」と述べた。

 

*「創造」のシノドス的解釈

 三つ目のポイントとして、枢機卿は「創造のシノドス的解釈」を提示した。 そして、聖書に書かれた創造のシノドス的解釈は、「男」、「男と女」、あるいは婚姻制度と家族の創造として見るのではなく、「人間性」の創造と見ること、と指摘。 「私たちは教会として、想像された人類の一部であり、人類に奉仕するよう召されています。 ですから、シノドス(共働)的な教会とは、キリストによって宣教され、福音を宣言する教会です。 もし私たちが世界に仕えなければ、誰も[私たちの]福音の宣教を信じないでしょう」と述べた。

 

*デジタル時代にシノドス的教会が与えられるものは

 また枢機卿は、シノドス的教会が世界に与えることができるものは、他宗教との対話と、デジタル文化で促進される個人化に、共同体社会をもたらすことで実証される、としたうえで、「 私たちはデジタル時代の”0年”におり、『私たちの時代への変換』が必要です。 若い人たちはすでに ”0.1 年”に進んでいます….  にもかかわらず、私たち司教は、デジタル時代の前、”マイナス 0.1 インチ”の状態にあることもある」と指摘。”シノドスの道”を歩むことは、「教会共同体を共同生活の中心に戻すことであり、新しい時代に奉仕することです」と強調した。

 講話の最後に枢機卿は、会議の参加者たちに「私たちは皆、キリストと共に、聖霊の導きのもとに歩んでいます。そして、アジア教会は、世界に与えるべきものをたくさんもっています」と激励した。

 

 

*大陸文書草案の最終まとめを執筆チームに一任

 参加者による分かち合い、オロリッシュ枢機卿の講演の後、沈黙の祈りがされ、識別と大陸文書起草チームのメンバー、クラレンス・デヴァダス神父から、文書案初稿をもとに今回会議で出された意見を受けた最終草案のの更新された草案の説明があった。

 これを受けて、進行役のパディラ教授が、会議参加者に対し、修正草案について静かに熟考する時間をとることを提案。その後、 活発な議論が行われ、修正草案が彼らの意見を反映していることを評価。さらなる修正を執筆チームに委任し、修正草案に執筆チームが今回の会議から得られた最終的な所見を取り入れた後、最終案をアジア司教会議連盟(FABC)に加盟する全司教協議会に提示し、承認を得る方針が了承された。最終文書は FABC からバチカンのシノドス事務局に送付される。

 

*「秋の世界代表司教会議に向け、アジアの教会の更なる貢献を」とシノドス事務局長

 最終日の午後のセッションでは、参加者は、教会のシノドリティを強化するために教会の構造をどのように変更または作成できるか、およびシノドスの 2023 年 10 月と 2024 年 10 月のセッションで何が起こることを望んでいるのかについて、熟考し、議論し、報告した。

 閉会にあたってバチカンのシノドス事務局長のグレック枢機卿があいさつし、参加者たちに、素晴らしい経験をしたことへの感謝を述べ、 「今回の経験で、私はアジアの教会を忘れることができなくなります。sinodality(共働性)に関する大陸レベルのこの会議は、シノドスは神の民についてのもの。問うべきは『教会とは何か』ではなく、『教会とは誰か』です」と語った。

 そして「すべての人が、『共に歩む』よう招かれており、そうすることでキリストは今日、人々に出会うことができるようになるでしょう。そうして、sinodal(共働的な)教会は福音宣教の目標に向かって進んで行くのです」と強調。

 また、「sinodality(共働性)は一世紀のキリスト教徒の経験からの教会の特質であり、取り戻す必要がある。 ”シノドスの道”を歩む旅の素晴らしさは、私たちが sensus fidelium(信者の感覚ないしは信仰の感覚)と聖職者団の職務の適切なバランスを見つけようとすることにあります。 今回の会議で、皆さんは正しいバランスを保つことができました。皆さんの教会のアジアの特徴は、世界の教会全体に利益をもたらします」と評価した。

 そして、「このような鍛錬をもって、皆さんが取りまとめる文書は、今秋の世界代表司教会議に向けた準備に貢献すること、そしてsynodality (共働性)が変化をもたらすことを期待しましょう」と語り、それぞれの国に戻った参加者たちが、信徒たちに教皇と自分の感謝の意を伝えてくれるように、そして「新たな福音宣教の原動力」を提供するsynodality (共働性)の種を播き続けてくれるように、と願った。

*菊地FABC事務局長が閉会の辞

 この後、アジア司教協議会連盟(FABC)事務局長の菊地・東京大司教が閉会の辞で、会議を成功に導いた参加者全員の積極的な貢献に謝意を述べ、会議は終了。

 参加者たちは、FABC 議長のチャールズ・ボー枢機卿が主宰する四旬節第一主日のミサに参加。ボ―枢機卿はミサ中の説教で、主の復活を祝い、悪徳を放棄してもすぐその悪徳に戻ってしまう、という多くのカトリック信者の傾向に疑問を呈したうえで、「英語の『Lent(四旬節)』は、synodal conversion(共働的回心)に導く”頭文字”を内包しています。『L』は letting go(前に進む)、『E』はencounter(出会う)、『N』はneighborliness(隣人を大切にする)、そして『T』は transformation(変わる)です」と四旬節の意味を強調した。

 

2023年2月27日