・”シノドスの道”アフリカ大陸レベル会議が閉幕ー秋の世界代表司教会議に向けた8つの優先課題決定

Cardinal Fridolin Ambongo addresses the assemblyCardinal Fridolin Ambongo addresses the assembly 

 参加者の一人、シスター・ホセ・マリアは会議の前に「”私”ではなく、”アフリカの神の1つの教会の家族”として考えねばなりません。お互いに耳を傾け、聖霊に耳を傾けています」と述べ、報告に盛り込むべき課題について、「これまで 15の小グループで話し合いが行われましたが、優先課題は5つに絞りたい」としていた。

 だが、その希望通りにすることは難しく、結局、報告書草案取りまとめチームによって、次の8つの優先課題が草案に盛り込まれた。

1.  離婚、壊れた結婚、再婚した人々、一人親など現在の課題に焦点を当てた家庭への司牧ケア。

2. 1995年の最初のアフリカ司教会議以来、神の家族としての教会の概念にすでに大切にされているものとしてのアフリカの文化的価値観を、教会の教義を無視することなく深化すること。

3. 共同責任と相互補完性が 基本原則のUbuntu(人と人との忠誠心を持った関係)、Ujamaa(同胞)、Indaba(重要な問題を議論するための会議)、Palaver(時間のかかる交渉)などの様々な哲学を背景に表現されるアフリカの共同社会の文化について考慮すること。

4. アフリカにおける戦争と社会的な紛争につながることの多い「天然資源の搾取」と戦うことを約束すること。

5. 礼拝の規範に従って、信徒の積極的な参加のために典礼の刷新を促進すること。

6. 教会の統治において共働性を促進する方法として、包括性の考え方が強調される神の民を育てること。

7. 女性たち、若者たち、そして疎外感をもつすべてのグループの人々を包含すること。

8. 環境の危機に対処するためのsynodal(共働的)変化をもたらす方法としてのEcological justice(肌の色や出身国、所得の多寡に関係なく、誰もが公正に扱われ、安全な環境で暮らせるようにすること)とstewardship(天然資源にの責任ある計画と管理を行う倫理的価値)の重要性。

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 そして会議は、3時間以上続いた最終セッションの終わりに、司教たちが交替で閉会の挨拶をした。まず主催地アディスアベバの大司教でエチオピア司教協議会会長のベルハナエソス・ソラフィエル枢機卿が、アフリカ・マダガスカル司教協議会連盟(SECAM)が会議開催地としてにアディスアベバを選んだこと、会議参加者全員で大陸レベルと世界レベルの”シノドスの道”の歩みのための報告書をまとめる対話ができたことに感謝を述べた。

 SECAM副会長でモザンビーク教区長のルシオ・ムアンデラ司教は、今会議に先立つアクラとナイロビでの2つの準備会合を含むプロセス全体の責任者を務めたが、「兄弟が共に住むことは何という幸せ… 頭の上に注がれたかぐわしい油のようだ。それは、ひげに滴り落ちる。衣の襟にまで垂れるアロンのひげに… それはシオンの山々に滴り落ちる」という詩編133章の言葉を引用し、「この言葉が、今回の会議で私たちが経験したことを要約しています」と語った。

 また、世界代表司教会議のまとめ役であるジャン=クロード・オロリッシュ枢機卿は、今回会議で示された”シノドスの道”の精神を高く評価し、「互いに耳を傾け合う時間を親愛なる兄弟姉妹の皆さんと過ごせたことを感謝します。会議で皆さんが述べられたことすべてに感謝します」と語り、「まさに重要なのは、Sinodality(共働性)、交わり、参加、そして使命です」と強調した。

 そして閉会のあいさつに立ったSECAM会長のフリドリン・アンボンゴ枢機卿は、開催地エチオピアの政府、カトリック教会、そしてエチオピアの人々のもてなしに感謝し、バチカン、SECAM、およびアフリカ全土のすべての代表者、専門家チームを含む関係者全員に感謝を表明。

 「今回の会議は、アフリカの教会刷新のための最初の集まりであり、Kairos(機会)でした。学び、sinodality(共働性)を生きる時を過ごしました。アフリカの”神の家族”を体験する時でもありました。互いに耳を傾け、アフリカ大陸に影響を与える繊細な問題について、聖霊の言葉に耳を傾けました。 ここアフリカで、私たちの使命を互いに更新し合うためのsinodal(共働的)な集まりになりました」と締めくくった。

 ”シノドスの道”のアフリカ大陸レベル会議が終わり、今秋の世界代表司教会議に向けた歩みが続く。現在起きている宗教上のイデオロギー的過激主義など、アフリカの教会と人々にとって大きな懸念となっている難問に解を見つけるための時間は十分にはなかったようだ。

(翻訳・編集「カトリック・あい」南條俊二)

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2023年3月7日